JP5737489B2 - ガスインジェクション用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、幅広なガスインジェクション成形条件幅を持ち、かつ良好な成形外観であり成形品内部の中空部が均一な肉厚であって、かつ高強度な成形品を得ることができるポリアミド樹脂組成物に関する。
従来より、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂は機械的特性、耐熱性に優れることから、機械部品などの成形用材料として広く使われてきた。昨今、特に自動車分野では環境面への配慮から軽量化の検討が進められている。樹脂材料の軽量化手法の一つとしてガスインジェクション成形が以前から知られている(例えば、特許文献1)。ガスインジェクション成形は、射出成形において金型内に樹脂が射出された直後に高圧ガスを注入し、保圧の代わりにガスの圧力によって金型面の転写を行い、中空成形品を得る手法であるが、中空成形によって樹脂の使用量が下がり、軽量化が期待できる上、ソリやバリの低減も期待できる手法である。
ただしガラス繊維強化樹脂をガスインジェクション成形に使用した場合、流動性の悪さから中空の肉厚が偏ったものとなり、薄肉部分で強度が低下するため、同じ成形品内でも部分的に強度が弱くなるという問題が起こりやすい。更に保圧工程をガス圧で行うため、絶対的な圧力が不足して金型面の転写性が低下して、成形後の外観がガラス繊維浮きの状態となって品位が下がるという問題があった。特に金型面がシボ加工されていた場合、シボの奥深くまで樹脂が行渡らずにシボ転写性が不十分になってしまったり、同じ成形品でも場所によってシボ転写性に差が現れて外観上、斑となって見える問題があった。
特開平11−99533号公報
本発明の課題は、幅広なガスインジェクション成形条件幅を持ち、かつ良好な成形外観であり成形品内部の中空部が均一な肉厚であって、かつ高強度な成形品を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアミド6樹脂の相対粘度値を特定の範囲下とし、かつ非晶性ポリアミド樹脂、及びガラス繊維を一定範囲下として、かつカーボンブラックを特定化することで、幅広いガスインジェクション成形条件を持ち、同時に成形品中空部の肉厚が均一であり、かつ成形外観に優れ、高強度な成形品を得られることを見出した。本発明は以下の構成を採用するものである。
(1)96%濃硫酸を溶媒とし、25℃、1g/dlで測定される相対粘度値(RV)が1.8〜2.6の範囲にあるポリアミド6樹脂が85〜96質量部、非晶性ポリアミド樹脂が4〜15質量部の合計100質量部に対してガラス繊維強化材が8〜60質量部、及びチャンネル型カーボンブラックが0.01〜5質量部からなり、ガラス繊維以外の強化材を含む場合、その配合量は、ポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して、ガラス繊維を合わせて60質量部を超えない範囲であるポリアミド樹脂組成物であって、示差走査熱量計(DSC)で測定されるTC2が183℃以上、190℃以下となることを特徴としたガスインジェクション用ポリアミド樹脂組成物。
(2)自動車用ドアハンドルに使用されることを特徴とする(1)記載のガスインジェクション用ポリアミド樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物をガスインジェクション成形に用いることで肉厚が均等で、成自動車ドアハンドルに代表される機械部品としての強度も十分であり、成形後の外観も全体に斑がなく、ガラス繊維浮きも見られない外観良好な成形品を得ることができる。またガスインジェクション成形の条件を幅広く取ることができる。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明のポリアミド6樹脂は、96質量%濃硫酸を溶媒として25℃、1g/dlで測定した相対粘度が1.8〜2.6である。
相対粘度が1.8〜2.6のポリアミド6樹脂を得るには、特別に相対粘度が1.8〜2.6のポリアミド6樹脂を重合するか、または相対粘度2.6超の相対粘度を持つポリアミド6樹脂で減粘剤を用いてポリアミド分子鎖を切断する方法がある。減粘剤としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が有効であり、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。その添加量はポリアミド6樹脂100質量部に対し0.1〜3質量部前後配合して溶融混錬すると本発明の相対粘度範囲内になるが、ポリアミド6樹脂の種類によって相対粘度の値は異なるので、予め予備実験を行い、減粘剤の添加量を決めることが必要である。
相対粘度が2.6を超えるポリアミド6樹脂を使用した場合、樹脂の流動性が低くなるのでガスインジェクションのガス圧によって均一な中空肉厚を得ることが難しくなり、同時に流動性の低さによって金型転写性も下がり、良好な成形外観を得ることが難しくなる。特にシボ加工された金型面の場合、流動性が低いとシボの奥深くまで樹脂が行渡らずにシボ転写が不十分となってしまう。シボ転写が不十分であると成形品表面の光の反射性が高くなり、質感に乏しい外観となってしまう。シボの転写性は一般的にグロス値で表すことができるが、相対粘度が2.6を超えるポリアミド6樹脂を使用した場合、グロス値が大きくなってしまう。
相対粘度が1.8未満のポリアミド6樹脂を使用した場合、流動性が高くなりすぎて射出前に成形機のノズルから樹脂が流れ出てしまうなど取扱性に問題がでる。また成形品の機械的強度、衝撃強度も低下してしまう。
本発明における非晶性ポリアミド樹脂は、JIS K7121に準じて示差走査熱量計(DSC)で測定した場合、明確な融点を示さないものである。具体的には4、4’−ダイアミノ−3、3’−ジメチル−ジシクロ−ヘキシレンメタン(CA)、4、4’−ダイアミノジシクロ−ヘキシレンメタン(PACM)、メタキシリレンジアミン(MXD)、トリメチル−ヘキサメチレンジアミン(TMD)、イソフォロンジアミン(IA)、4、4’−ダイアミン−ジシクロ−ヘキシレンプロパン(PACP)、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンとテルフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸等のジカルボン酸、およびカプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム類から重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
これらの非晶性ポリアミド重合体の中で、特に好ましいものはヘキサメチレンテレフタレート/ヘキサメチレンイソフタレート共重合体(6T/6I)、4、4´−ダイアミノ−3、3´−ジメチル−ジシクロ−ヘキシレンメタン(CA)/イソフタール酸(I)/ラウリルラクタム(LL)共重合体(I/CA/LL)およびテレフタール酸(T)/トリメチル−ヘキサメチレンジアミン(TMD)重合体(T/TMD)等である。
非晶性ポリアミド樹脂の配合量は、ポリアミド6樹脂と非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対し4〜15質量部である。非晶性ポリアミド樹脂の配合量が質量部未満だった場合、金型内での冷却固化速度が早くなり、ガスインジェクション成形後の肉厚が偏ったり、更には成形後のガラス繊維浮き、シボの転写性が不十分となってしまう。
一方、非晶性ポリアミド樹脂の配合量が15質量部を超える場合、冷却固化速度が遅くなりすぎて離型性が悪くなり、金型に密着して離型できなくなるか、成形品表面に離型ジワがでたりする。更に結晶性が悪くなるため機械的強度、衝撃強度の低下にもつながってしまう。
本発明において金型内での冷却固化速度は、JIS K7121に準じて示差走査熱量計(DSC)で測定される降温結晶化温度(Tc2)で表すことができる。すなわち非晶性ポリアミドの配合量が4質量部未満だった場合、Tc2は190℃以上となって冷却固化が早まり、15質量部を超える場合はTc2が183℃以下となって冷却固化速度が遅くなる。
本発明のガラス繊維強化材は、E−ガラス、S−ガラス、C−ガラス等市販されているものは全て使用することができる。またガラス繊維の太さは特に限定されるものではなく、断面が円形状であれば直径5〜15μm程度のものを使用できる。またポリアミド樹脂用のカップリング剤や収束剤で表面処理したガラス繊維を使用することが好ましい。
本発明においてガラス繊維の配合量はポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して8〜60質量部であり、好ましくは10〜40質量部である。
配合量が8質量部未満だった場合、ガラス繊維による補強効果が小さく、機械的強度、衝撃強度も不十分なものとなる。一方、ガラス繊維の配合量が60質量部を超えた場合、溶融時の流動性が悪くなってガスインジェクション成形後の肉厚が不均一になる。またガラス繊維浮きなどの外観不良も起こり易くなる。
本発明において、ガラス繊維以外に、有機、無機、あるいは繊維強化材、非繊維状強化材を併用することができる。繊維強化材としては、例えば炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維強化材としては、例えばワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、タルク、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ミルドガラスファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素などが挙げられ、これらの強化材は中空であってもよく、複数種類併用することも可能である。また、これら強化材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時に同時に配合し、もしくは予め強化材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
これらガラス繊維以外の強化材の配合量は、ポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して、ガラス繊維を合わせて60質量部を超えない範囲である。
本発明に用いられるチャンネル型カーボンブラックは、本発明の組成物を黒色に着色するためのものである。チャンネル型カーボンブラックの使用により、ファーネス法や他の方法で製造されたカーボンブラックより格段に表面光沢の良い成形品を得ることができる。すなわちチャンネル型カーボンブラック以外のカーボンブラックではポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して0.1質量部の少量配合でも成形品の表面外観は急激に変化する。具体的にはガラス繊維が浮き出た状態となったり、成形品の金型転写性に斑がでること、またはシボ転写性が不十分になってしまうことである。
これはチャンネル型チャンネル型カーボンブラックの粒径が微細であり、かつ表面の性質がポリアミド樹脂に対して高い親和力を持つためと考えられる。
本発明において、チャンネル型カーボンブラックの配合量は、ポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.05〜3質量部である。配合量が0.01質量部未満となった場合、黒色度は低くなり、5質量部を超えると機械的強度が低くなる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、黒色度を調整するため、ニグロシン系に代表される有機染料を併用することができる。有機染料の配合量はポリアミド樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して1質量部を超えない範囲である。1質量部を超えた場合、耐薬品性が低下する。
更にカーボンブラック以外の顔料として硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉄、クロム化合物、ニッケル化合物、コバルト、コバルト化合物、チタン化合物などを併用することもできる。
カーボンブラック以外の顔料の配合量はポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して3質量部を超えない範囲である。3質量部を超えた場合、機械的強度、衝撃強度が低下する。
また、本発明のポリミアド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲でポリアミド樹脂に対して一般的に使用される酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤などの添加剤を目的に応じて配合することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されるものではなく、混錬装置として一般の単軸押出機、二軸押出機および加圧ニーダー等が使用できるが、本発明においては二軸押出機が特に好ましい。
一実施形態として、ポリアミド6樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ガラス繊維、チャンネル型カーボンブラックと必要に応じて他の強化材、顔料、染料、添加剤等を混合し、二軸押出機に投入し、均一に溶融混錬することによりポリアミド樹脂組成物を製造することが出来る。混錬温度は230℃〜320℃で混錬時間は0.3〜10分程度が好ましい。
本発明において、ガスインジェクション成形は、射出成形において金型内に樹脂が射出された直後に窒素ガス等の高圧ガスを注入し、ガスの圧力によって金型面の転写を行い、中空成形品を得る手法である。成形時のシリンダー温度は220〜320℃であり、好ましくは230〜290℃である。
本発明で得られるガスインジェクション成形の中空度合いは、ガスインジェクション成形品を中央で切断したときに観察できる偏肉性で表すことができる。具体的には断面部の最も厚肉となった部分の肉厚と最も薄肉となった部分の肉厚の比を偏肉性とすることができる。例えば最も厚肉となった部分の肉厚が4.0mmで、最も薄肉となった部分の肉厚が2.0mmであれば偏肉性は2.0(=4.0mm/2.0mm)である。本発明における好ましい偏肉性は1.0〜8.0であり、より好ましくは1.0〜5.0である。偏肉性が8.0以上となった場合、最も薄肉となった部分の肉厚が薄くなりすぎて、成形時の中空破裂、または成形品の強度が低下してしまう。
本発明で得られる樹脂組成物でガスインジェクション成形を行った場合、肉厚が均等であり、かつ成形品の強度も高く、成形後の外観も均一で優れた成形品を得ることができる。また成形条件も幅広く取ることができるため、安定して良品を得ることができる。
本発明で得られる成形品は電気、機械部品の外装部分に適しており、厚肉の成形品には最適である。特に自動車ドアハンドルは成形品の肉厚が厚く、かつ意匠部品であるため優れた成形外観が必要であるが、本発明の樹脂組成物をガスインジェクション成形に用いることで、製品強度が高く、軽量で、かつ成形外観の優れたドアハンドルを安定的に量産することができる。
以下の実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
本発明の実施例、比較例に使用した原材料は以下である。
・ポリアミド6樹脂として、相対粘度が3.1、2.5、2.2、1.9の4種類を準備した。
相対粘度は、ポリアミド樹脂0.25gを96質量%の硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlをオストワルド粘度管にいれ、25℃で測定し以下の式より算出した。
RV=t/t0
RV:相対粘度
t:サンプル溶液の落下時間
t0:溶媒の落下時間
・非晶性ポリアミド樹脂として、ヘキサメチレンテレフタレート/ヘキサメチレンイソフタレート共重合体(6T/6I)を準備した。
・ガラス繊維は単繊維径13μmのチョップドタイプを準備した。
・カーボンブラックとして、チャンネル型カーボンブラック(以降チャンネルCBと略記)、ファーネス型カーボンブラック(以降ファーネスCBと略記)の2種類を準備した。
混練はニ軸押出機を用いて行った。実施例、比較例の各組成でガラス繊維を除く全成分を予備混合した後、二軸押出機のホッパーに投入して溶融混練した。ガラス繊維はニ軸押出機のベント口から別に投入した。二軸押出機の設定条件はシリンダー温度240〜280℃であり、混錬時間は0.5〜3分である。
得られたポリアミド樹脂組成物の降温結晶化温度(Tc2)は、JIS K7121に準じて示差走査熱量計(DSC)で測定した。
実施例、比較例のペレットは射出成形機で自動車用ドアハンドルのガスインジェクション成形を実施した。金型は表面がシボ加工(TH−112)を施したものを使用した。シリンダー温度は260℃、金型温度は80℃、ガスインジェクション用のガスには窒素を使用した。
実施例、比較例のドアハンドル成形品は以下の方法で評価を行った。
(1)偏肉性
ガスインジェクション成形品を中央部で切断し、断面の最も厚肉となった部分の肉厚と最も薄くなった部分の肉厚の比。
(2)離型性
ガスインジェクション成形品がスムースに離型できるかを評価した。スムースに離型できた場合を○と判断し、成形品表面に離型ジワが出た場合を△と判断、また離型できなかった場合を×とした。
(3)成形外観
ガスインジェクション成形品の表面外観にガラス繊維浮き等の異常がみられないか、シボ転写性に斑がでていないかを目視で確認した。
(4)グロス値
ガスインジェクション成形品のゲート付近のシボ表面のグロス値を測定した。測定はBYK−Gardner Gmbhのmicro−TRI−glossを60°視野で使用した。
(5)落下試験
ガスインジェクション成形品を高さ1mから落下させ、割れがおこらないかを評価した。
表1〜4に記載の組成で、実施例、比較例を実施し、各評価を行った。
Figure 0005737489
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Figure 0005737489
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各実施例のペレットでガスインジェクション成形しても偏肉性、離型性で問題は見られなかった。また成形外観でもガラス繊維浮き、離型ジワなどの問題もなく、グロス値も1.0以下と金型表面のシボを十分に転写した質感の高く、かつ強度も満足がいく成形品が得られた。
一方、非晶性ポリミアド樹脂を配合しなかった比較例1、比較例6では金型内での冷却固化速度が速くなり、偏肉性が高く、かつ成形外観でもガラス繊維浮きが発生し、グロス値も1.5以上と高くなり質感の低いものとなった。また非晶性ポリアミドを過剰に配合した比較例2では偏肉性、グロス値、製品強度では問題がなかったものの、離型性が悪くなり、成形外観でも離型ジワが見られる結果となった。更に比較例2より過剰に非晶性ポリアミド樹脂を配合した比較例3では金型に密着して離型そのものができなくなり、成形品の取り出しができなかった。
ポリアミド6樹脂の相対粘度を過剰に高くした比較例4、及びガラス繊維の配合量を過剰に高くした比較例5ではシボ転写性が不十分なものとなりグロス値が高くなって質感に欠け、かつガラス繊維浮きも見られる結果となった。
ガラス繊維の配合量を低くした比較例7、及びチャンネルCBの配合量を過剰に高くした比較例8では、偏肉性、離型性、成形外観、グロス値では問題がなかったものの、強度が不十分であり、落下試験で割れる結果となった。
一方、ファーネスCBを使用した比較例9、10では、成形外観でガラス繊維浮きが見られ、満足のいくものが得られなかった。
本発明で得られる樹脂組成物は、ガスインジェクション成形において幅広い成形条件範囲で、製品強度が高く、かつ成形外観の良好で、金型シボ面を十分に転写しているのでグロスが低く、質感の高いものとなる。よって製品強度と軽量化の両立が必要であり、かつ意匠性も高い電気電子分野、自動車分野の外装部材、特に自動車ドアハンドルに最適である。

Claims (2)

  1. 96%濃硫酸を溶媒とし、25℃、1g/dlで測定される相対粘度値(RV)が1.8〜2.6の範囲にあるポリアミド6樹脂が85〜96質量部、非晶性ポリアミド樹脂が4〜15質量部の合計100質量部に対してガラス繊維強化材が8〜60質量部、及びチャンネル型カーボンブラックが0.01〜5質量部からなり、ガラス繊維以外の強化材を含む場合、その配合量は、ポリアミド6樹脂、及び非晶性ポリアミド樹脂の合計100質量部に対して、ガラス繊維を合わせて60質量部を超えない範囲であるポリアミド樹脂組成物であって、示差走査熱量計(DSC)で測定されるTC2が183℃以上、190℃以下となることを特徴としたガスインジェクション用ポリアミド樹脂組成物。
  2. 自動車用ドアハンドルに使用されることを特徴とする請求項1記載のガスインジェクション用ポリアミド樹脂組成物。
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