JP5737291B2 - ジアミン前駆体化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
液晶配向膜は、ポリアミド酸(ポリアミック酸)などのポリイミド前駆体や可溶性ポリイミドを主成分とする液晶配向剤溶液をガラスなどの電極基板に塗布し焼成することにより得られるポリイミド膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステルなどの布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことにより形成される。
ポリイミド膜のラビング処理は、液晶配向膜の特性を発揮するうえで必要であるが、このラビング処理においては、液晶配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響による配向処理の面内不均一性などの様々な問題が発生することが明らかとなってきている。特に、最近は、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化への要求などから、ラビング処理において発生する問題への対応が、ますます厳しく要求されてきている。
本出願人は、先に、かかるラビング処理においても傷がつきにくいポリイミドとして、特定のジアミン化合物を使用するポリイミド系の液晶配向剤を提案した(特許文献3参照)。この液晶配向剤は、加熱により脱離するt−ブトキシカルボニル基で保護されたジアミン化合物を使用し、これをテトラカルボン酸ニ無水物と反応して得られるポリアミド酸及び/又はポリイミドを含むものである。この液晶配向剤の場合、その製造における焼成過程において、加熱によりt−ブトキシカルボニル基が脱離し、反応性の高い脂肪族アミンが生成し、この脂肪族アミンが架橋点となって膜の表面を強固なものとし、ラビング処理によっても傷がつきにくい液晶配向膜を提供できる。
更に、本発明は、ジアミン化合物の前駆体化合物であるニトロ化合物から、tert−ブトキシカルボニル基を有するジアミン化合物を製造する方法も提供する。
1.下記の反応式(1)に従って、式1で表わされる化合物(式中、R1は、−CH2COOR、又は−CH2Ph(-Z)m(Zは、フェニル基(Ph)の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基若しくはアルカリ金属原子であり、Phはフェニル基である。)を、二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)2O)と反応させて式2で表わされる化合物を製造し、
得られた式2で表わされる化合物を、下記の反応式(2)に従って、塩基の存在下に、H−A−CH2-X(式中、Aは、−C≡C−又は-CH=CH-であり、Xは、脱離性置換基である。)で表わされる化合物と反応させて式3で表わされる化合物を製造し、
次いで、得られた式3で表わされる化合物を、下記の反応式(3)に従って、式4で表わされる化合物(式中、Yは、脱離性置換基である。)とカップリング反応させて式5で表わされるジアミン前駆体化合物を製造する方法。
3.前記カップリング反応が、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に行われる上記1又は2に記載の方法。
4.前記カップリング反応が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体の共存下に行われる上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.式4で表される化合物におけるYが、Br、 I、又は トリフルオロメタンスルホン酸エステル基である上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6.H−A−CH2−Xで表わされる化合物におけるXが、ハロゲン、又はスルホン酸エステル基である上記1〜5のいずれかに記載の方法。
7.H−A−CH2−Xで表わされる化合物が、プロパルギルハライド、又はアリルハライドである上記1に記載の方法。
8.上記1〜7のいずれかに記載の方法で得られる式5で表わされる化合物を、下記の反応式(4)に従って、還元して式6(式中、R2は、水素原子又は−CH2COORであり、Rは、低級アルキル基である。)で表わされるジアミン化合物を製造する方法。
また、本発明によれば、製造されたジアミン化合物の前駆体化合物のニトロ化合物からtert−ブトキシカルボニル基を有するジアミン化合物を製造する方法が提供される。
さらに、本発明によれば、下記の新規な化合物が提供される。
A.下記式1で表わされる化合物を原料にした下記式2で表わされる化合物の製造
式1で表わされる化合物を原料にし、これを(Boc)2O(二炭酸ジ-tert-ブチル)と反応させることにより、反応式(1)にしたがって、式2で表わされる化合物が製造される。
式1中、R1は、−CH2COOR、又は−CH2Ph(-Z)m(Zはフェニル基(Ph)上の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基またはアルカリ金属原子であり、Phはフェニル基である。
ここで、低級アルキル基とは、炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に、-CH2CO2-tert-Bu(tert-ブチル基)が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましく、特に、ナトリウム又はカリウムが好ましい。
Zは、フェニル基上の置換基であり、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、メトキシ基またはニトロ基が好ましい。
mは、0〜5であり、0〜2が好ましい。
式1で表わされる化合物は、R1が-CH2CO2-tert-Buの場合、グリシン-tert-ブチルエステルもしくはその塩であり、R1が-CH2Phの場合、ベンジルアミンもしくはその塩である。これらのグリシン-tert-ブチルエステルもしくはその塩、及び、ベンジルアミンもしくはその塩は、プロパルギルアミン(HC≡CCH2NH2)などと異なり、入手が容易であり、安価である。
反応溶媒としては、反応条件下において安定であり、不活性で、目的とする反応を妨げない溶媒であればいずれも使用できる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、TBME(tert−ブチルメチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリルなどが使用できる。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
上記反応式(1)により得られた式2で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいが、精製せずにそのまま次工程に用いてもよい。
このようにして製造される式2で表わされる化合物の好ましい例は、Boc−NHCH2COOtert−Bu、またはBoc−NHCH2Ph(-Z)m(ただし、Zはフェニル基上の置換基であって、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、mは0〜5である。)である。
上記反応式(1)で得られた式2で表わされる化合物からは、塩基の存在下に、H−A−CH2-X(式中、Aは、−C≡C−又は−CH=CH−であり、Xは脱離能力のある置換基である。)と反応させることにより、下記の反応式(2)にしたがって、式3で表わされる化合物が製造される。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜150 ℃、特に好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは0.5〜50時間である。
上記反応式(2)により得られた式3で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいが、精製せずにそのまま次工程に用いてもよい。
このようにして製造される式3で表わされる化合物の好ましい例は、Boc−N(CH2C≡CH)CH2COOt−Bu、Boc−N(CH2C≡CH)CH2Ph(−Z)m、Boc−N(CH2CH=CH2)CH2COOt−Bu、またはBoc−N(CH2CH=CH2)CH2Ph(−Z)mである。ここで、Zはフェニル基上の置換基であって、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、mは0〜5である。
上記反応式(2)で得られた式3で表わされる化合物からは、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に、式4で表わされる化合物と、薗頭反応若しくはヘック反応などのカップリング反応を行うことにより、式5で表わされる化合物が製造される。
本反応においては、適当な金属錯体と配位子を用いて金属錯体触媒を形成し、使用する。通常、金属錯体としては、パラジウム錯体やニッケル錯体が使用され、反応によっては、銅触媒を助触媒として共存させることが好ましい。
金属錯体触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、いわゆる低原子価のパラジウム錯体又はニッケル錯体を用いることが好ましく、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価金属錯体触媒が好ましい。また、反応系中で容易にゼロ価金属錯体触媒に変換される適当な前駆体を用いることもできる。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない金属錯体と、配位子である3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価金属錯体触媒を生成させることもできる。
これらパラジウム錯体の使用量は、いわゆる触媒量で良く、好ましくは、式4で表わされる化合物に対して20モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下である。同時に助触媒として使用される銅触媒は1価のものが好ましく、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)などが挙げられる。
原料である式3で表わされる化合物のAが、-C≡C-である末端アセチレン化合物の場合には、予め、塩基として、有機リチウム、有機マグネシウム、有機亜鉛などを用いて金属アセチリド(LnM-C≡C-、式中Mは金属、Lは配位子、nはゼロでない整数。)としておき、この金属アセチリドを反応に用いることも可能である。Mとしては、Li、 Mg、 Zn、 Sn、 Bなどが挙げられる。Lとしては、F、Cl、Br、I、OH、C1−6アルコキシなどが挙げられる。
上記反応式(3)により得られた式5で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製するのが好ましい。なお、再結晶はできるだけ低温で行うのが好ましい。
このようにして製造される式5で表わされる化合物のうち、以下の3種の化合物は、本出願前において新規な化合物である。
上記反応式(3)で得られた式5で表わされる化合物からは、そのベンゼン環が有するニトロ基、及びその側鎖部分の不飽和結合、さらに、構造によってはベンジル基が還元され、上記反応式(4)にしたがって、式6で表わされるジアミンが製造される。式6で表わされる化合物において、式5で表される化合物のR1がベンジル基の場合は、R2は水素原子であり、R1がCH2COORの場合は、R2もCH2COORである。Rは、低級アルキル基であり、この場合の低級アルキル基については、R1の場合と同じ説明が適用される。
上記に例示の還元反応のうち、基質が式5で表わされる化合物の構造と還元反応の反応性を考慮すると、水素添加反応の使用が好ましい。
使用する触媒としては、市販品として入手できる活性炭担持金属、例えば、パラジウム−活性炭、白金−活性炭、ロジウム−活性炭などがある。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなど必ずしも活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。一般的に広く使用されているパラジウム−活性炭の使用でも良好な結果が得られる。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
さらに、反応をより効果的に進行させるため、加圧下で反応を実施することもできる。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、好ましくは20気圧(kgf)程度の加圧範囲、より好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜150 ℃、特に好ましくは0〜80℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは1〜200時間である。
上記反応式(4)により得られた式6で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製するのが好ましい。
このようにして製造される式6で表わされる化合物の好ましい例は、R2が水素原子またはCH2COOt−Buで表わされる化合物である。
1H-NMR及び13C-NMR;
装置: Varian NMR System 400 NB (400 MHz)
測定溶媒: CDCl3, DMSO-d6
基準物質: テトラメチルシラン(TMS) (TMSの1Hのδ値を0.0 ppm とする。)
CDCl3 (CDCl3の13Cのδ値を77.0 ppm とする。)
次いで、水(30 mL)を加えた後、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を留去し、n-ヘキサンで再結晶を行い、N-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10を得た(10.6 g, 45.9 mmol, 100%収率)。生成物の構造は、1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 4.98 (b-s, 1H, NH), 3.79 (d, 2H, J=5.6 Hz, NCH2CO2-tert-Bu), 1.52-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
次いで、水(5 L)を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を留去させ、目的のN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10 (1.551 Kg, 6.706 mol, 99%収率)を得た。得られたN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10を1H-NMR分析で確認したところ、上述の実施例1において得られたN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステルの1H-NMRと完全に一致した。
生成物である末端アセチレン化合物11の構造は、1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 4.20-4.10 (m, 2H, HC≡CCH2N), 4.00-3.90 (m, 2H, NCH2CO2-tert -Bu), 2.23 (t, 1H, J=2.6 Hz, HC≡C), 1.50-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
得られた化合物の構造を1H-NMR分析で確認したところ、上記の実施例3において、t-BuOKを使用して得られた化合物11の1H-NMRと完全に一致した。
1H-NMR (CDCl3): δ 8.16 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 7.99 (dd, 1H, J=9.2, 2.4 Hz, Ar-H), 6.62 (d, 1H, J=9.2 Hz, Ar-H), 5.15 (s, 2H, NH2), 4.45-4.32 (m. 2H, C≡CCH2N), 4.04-3.88 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu), 1.55-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
得られた反応混合液に活性炭(0.750 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(22.5 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(46.2 mL)、活性炭(1.15 g)を加え、80℃を超えない温度で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(10.3 g, 25.2 mmol, 89%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
得られた反応混合液に酢酸エチル(53.4 mL)及び活性炭(0.803 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(24.1 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(35.6 mL)、活性炭(1.23 g)を加え、100 ℃で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(10.2 g, 25.2 mmol, 83%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
得られた反応混合液に酢酸エチル(33.3 mL)及び活性炭(0.500 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(15.0 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(20.8 mL)、活性炭(0.766 g)を加え、100 ℃で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(5.48 g, 13.5 mmol, 72%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
次に、上記で得られたN-Boc-グリシンtert-ブチルエステル10のトルエン溶液に、tert-ブトキシカリウム(5.490 g, 48.93 mol)のテトラヒドロフラン(26.7 mL)懸濁液を室温で滴下し、その混合液を10分間室温で撹拌した。この反応混合液を氷冷し、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(0.4864 g, 13.17 mmol)とプロパルギルブロミド(5.820 g, 48.95 mmol)のトルエン(10.0 mL)溶液を、この順番で反応混合液に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、13重量%の塩化アンモニウム水溶液(23.7 mL)を加えて反応を停止させ、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を一部留去して、目的の末端アセチレン化合物11を含むトルエン溶液を得た(32.71 g)。
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (6.84 g, 25.9 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(90.0 mg, 0.130 mmol)及びヨウ化銅(I) (49.3 mg, 0.25.9 mmol)の酢酸エチル(45.5 mL)の懸濁液に、室温でジエチルアミン(9.47 g, 129 mmol)と上記で得られた末端アセチレン11のトルエン溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を50 ℃に昇温して6時間撹拌した。この反応混合液に活性炭(0.68 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(20.5 mL)を加え、有機相を分離した。有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗製物にトルエン(42.5 mL)、活性炭(1.05 g)を加え、80℃を超えない温度で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(7.86 g, 19.4 mmol, 75%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.54-6.42 (m, 3H, Ar-H), 3.51-3.45 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu), 3.38-3.30 (m, 2H, CH2CH2N), 2.51-2.44 (m, 2H, ArCH2), 1.84-1.76 (m, 2H, CH2CH2CH2), 1.48-1.44 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
1H-NMR (CDCl3): δ 5.84-5.73 (m, 1H, -CH=CH2), 5.20-5.08 (m, 2H, -CH=CH2), 3.95-3.71 (m, 4H, -NCH2CO2tert-Bu及び-NCH2CH=), 1.55-1.38 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
1H-NMR (CDCl3): δ 8.10 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 7.96 (dd, 1H, J=8.8, 2.4 Hz, Ar-H), 6.61 (d, 1H, J=8.8 Hz, Ar-H), 6.53 (d, 1H, J=15.6 Hz, Ar-CH=C), 6.18 (dt, 1H, J=15.6, 6.0 Hz, C=CH-CH2-), 4.72-4.60 (m, 2H, NH2), 4.12-4.02 (m, 2H, C=CHCH2N), 3.94-3.88 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu ), 1.55-1.39 (m, 18H,( tert-Bu) ×2).
1H-NMR (CDCl3): δ 7.35-7.23 (m, 5H, -Ph), 4.88 (b-s, 1H, NH), 4.31 (d, 2H, J=5.6 Hz, NCH2Ph), 1.46 (s, 9H, tert-Bu).
1H-NMR (CDCl3): δ 7.35-7.23 (m, 5H, -Ph), 4.56 (s, 2H, CH2), 4.10-3.82 (b-m, 2H, CH2), 2.21 (b-s, 1H, H-C≡C), 1.58-1.39 (b-m, 9H, tert-Bu).
1H-NMR (CDCl3): δ 8.11 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 8.00 (dd, 1H, J=9.2, 2.4 Hz, Ar-H), 7.40-7.23 (m, 5H, NCH2Ph), 6.63 (d, 1H, J=9.2 Hz, Ar-H), 5.10-4.67 (b-m, 2H, NH2), 4.59 (s, 2H, CH2), 4.25 (b-s, 2H, CH2), 1.51 (s, 9H, tert-Bu).
なお、2010年8月17日に出願された日本特許出願2010−182555号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (10)
- 下記の反応式(1)に従って、式1で表わされる化合物(式中、R1は、−CH2COOR、又は−CH2Ph(-Z)m(Zは、フェニル基(Ph)の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基またはアルカリ金属原子である。)を、二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)2O)と反応させて式2で表わされる化合物を製造し、
得られた式2で表わされる化合物を、下記の反応式(2)に従って、塩基の存在下に、H−A−CH2-X(式中、Aは、−C≡C−又は-CH=CH-であり、Xは、脱離性置換基である。)で表わされる化合物と反応させて式3で表わされる化合物を製造し、
次いで、得られた式3で表わされる化合物を、下記の反応式(3)に従って、式4で表わされる化合物(式中、Yは、脱離性置換基である。)とカップリング反応させて式5で表わされるジアミン前駆体化合物を製造する方法。
- 式1で表わされる化合物が、グリシンtert−ブチルエステル若しくはその塩、又は、ベンジルアミン若しくはその塩である請求項1に記載の方法。
- 前記カップリング反応が、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に行われる請求項1又は2に記載の方法。
- 前記カップリング反応が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体の共存下に行われる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 式4で表される化合物におけるYが、Br、 I、又は トリフルオロメタンスルホン酸エステル基である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- H−A−CH2−Xで表わされる化合物におけるXが、ハロゲン、又はスルホン酸エステル基である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- H−A−CH2−Xで表わされる化合物が、プロパルギルハライド、又はアリルハライドである請求項1に記載の方法。
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