JP5735483B2 - 信号を復調するためのシステム - Google Patents
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Description
1)制御可能な基準周波数生成器を含むデジタルFLL(周波数ロック・ループ)を有するデジタル復調器であって、複素復調を実施することができるデジタル復調器と、
2)複素高速フーリエ変換(FFT)を実施することができるデジタルFFT装置と、
3)位相変調信号の期待される周波数特性を規定する情報を含むメモリと、
4)分析装置と、
を有する。
位相が
p(t)=P*cos(ωm*t)
によって変調される搬送波周波数ωを有する搬送波信号から成る位相変調信号を考える。ここで、Pは、ラジアンでの変調度(modulation amplitude)であり、ωmは、変調周波数である。
図4は、P=π及びfm=ωm/2π=1MHzである大きい位相変調の場合のこのような位相変調の例を示していているグラフである。
得られる位相変調信号は、式:
f(t)=cos(ω*t+p(t))
によって記述されることができる。
この信号の例は、図5に示されており、ここで、搬送波周波数f=ω/2π=300kHzである。
通信理論から知られているように、このような位相変調信号は、ベッセル関数の級数によって決定されるスペクトルを有しており、上述で与えられた例に関して、複素フーリエ変換から見出されるようなスペクトルが、図6に示されている。複素FFTスペクトルが、図6の左側のグラフに示されている一方で、図6の右のグラフには、FFTのスペクトルが示されている。複素FFTスペクトルが正負の周波数を含むことに注意されたい。実数の範囲(real domain)において、正の周波数のみが測定されることができ、右側に示されているスペクトルを与える。
スペクトル内の種々のピークの高さは、位相変調の深さPによって決定される。図7は、P=0.5*πと、それぞれ、ω=300kHz(左側)及びω=−300kHz(右側)での例に関するFFTスペクトルを示している。これらのスペクトルは、冒頭において議論された例における物体の運動の方向に対応する、周波数の符号に関して、如何なる情報ももたらさないことが分かる。このことは、図6のCFFTスペクトルにおいても認識されることができ、スペクトルは、ゼロに関して対称であるということに留意されたい。更に、最も強いピークは、小さいピークの1つとして認識可能である300kHzのドップラー周波数と異なる周波数において発生し得ることが分かる。
本発明は、上述のようなスペクトルに類似する周波数スペクトルを有する、上述のような種類の位相変調信号を受信することができる復調システムであって、出力信号(復調信号とも示される)を供給するようにこのような動作を実施することができる復調システムであって、その周波数スペクトルが搬送波周波数において明確な信号を有し、正負の変調周波数を明確に区別する、復調システムを提供することを目指す。本発明によって提案されているこのような復調システム100のブロック図は、図8に示されている。復調システム100は、位相変調入力信号Siを受信する入力101を有する。
復調システム100は、第1の入力111及び第2の入力112を有する複素復調器110を有する。第1の入力111において、複素復調器110は、位相変調入力信号Siを受信する。第2の入力112において、複素復調器110は、入力信号Siの位相変調に関する情報を含む信号SPMIを受信する。複素復調器110は、この情報を、式:
g(t)=f(t)*exp(−i* p(t)*u)
(ここで、uは、1、又は1にほぼ等しい係数)
に従って、位相変調の逆関数の近似によって入力信号Siの複素乗算を実施するために使用するように設計されている。
上述のf(t)の例に関して、これは、結果として、
g(t)=0.5*{exp[i*(ω*t+p(t))]+exp[−i*(ω*t+p(t))]}*exp(−i*p(t)*u)、
又は、
g(t)=0.5*{exp[i*(ω*t+p(t)*(1−u))]+exp[−i*(ω*t+p(t)*(1+u))]}
となる。
図9は、3つの異なる値のPに関して、搬送波周波数が300kHz及びu=0.75(uの推定における25%のエラーを示している)の場合の一例に関して得られるスペクトルg(t)を示している。この変調周波数fmは、1MHzである。サンプリング周波数は16MHzであり、この結果、フーリエ変換は、−8〜8MHzの範囲における出力を提供するが、この図は、−4〜4MHzの範囲のみを示している。
最も強いピークは、300kHzの正の搬送波周波数に対応していることが、明らかに分かる。縦の点線は、この最も強いピークに属しているベッセル級数周波数のピークを示している。縦の矢印は、−300kHzの負の搬送波周波数を有する周波数ピークを示しており、この周波数は、逆搬送波周波数として示される。残る(印が付いていない)ピークは、この逆搬送波周波数の周りにおけるベッセル級数周波数である。
全スペクトルは、入力信号が複素信号であるので、複素フーリエ変換の結果である。スペクトルにおける最も高いピークは、ドップラー周波数(位相変調入力信号の搬送波周波数)に対応している。残留位相変調(1−u)*p(t)によって生成されるサイドピークが存在し、これらのサイドピークのメインのピークに対する相対的なレベルは、(1−u)*Pによって決定される。u=1である場合、側波帯は存在しない。(1−u)*Pの符号は、サイドピークの位相を決定する。従って、スペクトルは、u及び/又はPを決定する及び制御するのに使用されることができる。最も高いピークとは逆に、逆の(負の)周波数における第2のピークが存在し、このピークは、位相量(1+u)*Pでのこのピークのより深い位相変調のために、より弱くなり、より多くのサイドピークを有する。Pを増大させることによって、第2のピークは、完全に抑制されることができ、スペクトルは、より広い範囲にわたって散乱される。
図10は、同じ例に関するがu=1(完全な復調)及びP=πである場合について、得られるスペクトルg(t)を示している。ドップラーピークは、最も強いものであり、如何なる側波帯も生じない。逆のドップラーピークは、10dB以上弱く、広い周波数領域にわたって散乱される多くの側波帯を有する。従って、逆のドップラーピークの周辺のスペクトルは、位相変調深さを決定するのに使用されることもできる。
搬送波周波数がゼロに近いとき、特別な場合が発生する。この場合、搬送波周波数と逆搬送波周波数とは、実際に重なり合い、これらの側波帯に関しても実際に重なり合う。しかしながら、この逆周波数の広いスペクトルは依然として変調深さの推定を可能にする。図11は、搬送波周波数(ドップラー周波数)が50kHzである例に関して、図10と同等のグラフである。同じ状況において、図11は、−1〜+1MHzの範囲に対して、このスペクトルの拡大されたものを示している。低分解能のCFFTは、搬送波周波数(即ち速度)が低いことを決定することができるのみである一方で、十分な分解能のCFFTは、周波数の符号(即ち運動の方向)も決定することができる。
従って、変調位相の逆関数、又はその近似で複素回転を用いることによる位相変調信号の復調は、信号の周波数と周波数符号との両方が決定されることを可能にすることが示された。レーザー自己混合センサ(a laser self-mixing sensor)の場合、この周波数は、ドップラー周波数である。位相変調は、大きいものであることを可能にされているので、信号の周波数は、もはや、複素復調の前に、信号スペクトルを見ることによっては決定されることができない。周波数の符号が実信号のスペクトルから決定されることができないことはよく知られているが、複素復調によって、得られるスペクトルは、周波数符号の決定を可能にする。
従って、復調装置100は、スペクトル分析装置130を有し、複素復調器110からの出力信号を受信し、第1の出力131において、(入力信号Siの搬送波周波数に対応する)復調信号のメインの周波数及び周波数の符号を出力として供給する。このスペクトル分析装置130は、CFFT(複素高速フーリエ変換)装置として実施化されることができるが、これは、唯一の適用可能な手段というわけではない。PLL又はFLLは、CFFTに対して代替的なものとして又はCFFTと並行して使用されることができる他の選択肢である。PLL又はFLLは、入力において、信号に、期待される信号周波数(自己混合センサの場合にはドップラー周波数)を乗算するミキサー(複素回転)を有する。この段階においてその周波数と逆のものとの乗算を含むことは容易である。この場合、両方の結果は、期待される周波数(例えば、上述の図における+/−10kHz)からはるかに遠い周波数を取り除くためにローパスフィルタをかけられることができる。次いで、両方の信号の振幅が比較されることができ、当該メインの信号は、望まれていない逆の信号よりもはるかに強いことが知られているので、この弱く望まれていない信号に対する如何なるロックも、直ちに検出され防止されることができる。
フィルタの帯域幅が両方のピークを通過させるのに十分広い場合(即ち期待されるドップラー周波数がフィルタの帯域幅の下方にある場合)、両方のピークは、各出力(即ち正のドップラー復調周波数での出力及び負のドップラー復調周波数での出力)において検出されるであろう。ドップラー周波数の範囲に対して、フィルタの出力間の振幅の差は、どちらの符号が正しいかを決定するのに依然として十分である。より低いドップラー周波数の場合、出力は、区別されることができず、出力の一方、例えば、正のドップラー周波数の復調による出力が、選択されることができる。この場合、出力における複素信号の位相は、追跡されることができる。この位相は、入力信号の全体の信号位相をもたらすためにドップラー周波数の復調の位相に付加されることができる。復調出力のための正又は負のドップラー周波数の選択におけるエラーは、この方法によって、負からの正までの全ての信号周波数に対してPLL又はFLLが正確に位相を追跡することができるように、自己相殺されるであろう。
信号(ドップラー周波数)が非常に高い場合、FLLは、誤ってサイドピークにロックし得る。このことを防止するために、FLLと並行してのCFFTの使用が、正しい信号周波数を決定する及び正しいピークにロックするためにFLLを支持するのに便利である。バースト動作において、CFFTはFLL復調周波数を、この復調周波数の良好な推定がバーストの前に知られていない場合に正しい値にプッシュするために特に便利である。
複素復調は復調位相量におけるエラーに耐性があるが、最良の結果は復調位相量が変調信号の位相量の近くにある場合に、得られる。従って、スペクトル分析装置130は、変調信号の実際の位相量と復調位相量との間の差の推定を表すエラー信号Seを供給する第2の出力132を有する。復調位相量におけるエラーは、メイン周波数周辺におけるスペクトルの側波帯位相及び振幅から又はメイン周波数の望まれていない負の像の周辺のスペクトルの側波帯位相及び振幅から、推定されることができる。メイン周波数のピークに対する望まれていない逆の周波数ピークの振幅も、復調情報を得るのに使用されることもできる。変調コントローラ140は、エラー信号Seを受信し、この信号を、複素復調器110のための位相変調情報信号SPMIを生成するために使用する。
復調位相量が、変調位相量に多かれ少なかれ整合しなければならない一方で、このことが復調位相量を制御することによって達成されることは必要ではないことに留意すべきである。代替的なものとして、変調位相量は制御されることができる。実際的な実施化において、センサモジュールは受信センサだけでなく送信レーザーを含むことができ、従って、このようなモジュールは、レーザー駆動及び信号分析機能の両方を組み込んでいる。レーザー駆動によって、変調位相量は、大部分の場合において、レーザーバイアス電流に重ね合わされる交流電流の振幅を制御することによって制御されることができる。
従って、一般に、
スペクトル分析=>復調度=>スペクトル=>スペクトル分析、
スペクトル分析=>変調度=>スペクトル=>スペクトル分析
のような、制御ループが存在する。
自己混合センサの用途のために、実際に、自己混合レーザーセンサが位相変調される場合、通常、当該レーザー光の振幅変調成分も存在することに留意しなければならない。この信号は位相変調周波数において発生する。図13は、与えられている例に関して対応する周波数スペクトルを示している(300kHz信号周波数、1MHz変調周波数、π/2位相変調及び復調)。
スペクトルは、0と1MHzの変調周波数の整数倍とにおける強い望まれていないピークを示している。FLLは信号変調のために望まれていないピークの接近によって有害な影響を受け得る。これはドップラー周波数が望まれていないピークに近くないように、位相変調周波数(従って、そのスペクトル)をドップラー周波数に依存してシフトすることによって緩和されることができる。信号周波数の符号がわかる場合(物体が高速で移動しているセンサの場合など)、変調は一斉にオフにされることもできる。
従って、スペクトル分析装置130は、どのような位相変調周波数がCFFTで分析しやすくFLLにとってロックしやすいスペクトルを得るために望ましいかを決定するために信号周波数を使用するように設計されることができる。CFFTは、適切な変調周波数が選択されることができるように、信号周波数の範囲を決定するために使用されることもできる。第3の出力133において、スペクトル分析装置130は、所望の位相変調周波数を表している信号Sfを供給し、この信号は、変調コントローラ140によっても受信され、複素復調器110のための位相変調情報信号SPMIを生成するために使用される。従って、位相変調情報信号SPMIは、位相変調周波数及び/又は位相変調度を設定するための情報を含むことができる。
非常に低い速度の場合、残留振幅変調は、0Hzに近いピークにつながる。このピークは、適切な復調位相量を選択することによって抑制されることができる。例えば、1.22π復調位相量における、残留AM変調(u=1)による例が与えられる場合、残留AM変調によるピークは、消滅され得る。残留AM変調の相殺のために適当な位相復調度は、システムの設計に依存する。更に、信号が復調される前の残留AM変調の相殺のような、他の手段も可能である。このような手段の組み合わせは、低い周波数において残留AM変調の効果を取り除くのに使用されることができる。
図14は、特に、復調位相量及び関数が入力信号における望まれていないAM変調の良好な抑制を得るために選択される場合の一例である。位相変調及び復調関数が整合しなければならないので、これは位相変調が位相復調よりもむしろこの整合を得るために制御される場合の一例である。これは、低い信号周波数(又は自己混合センサにおける低いドップラー周波数)に対して特定の位相変調が選択され、(例えば、上述のスペクトルが強い望まれていないピークを示している1MHz周辺の信号による)高い速度に対しては他の位相変調並びに復調周波数及び/又は量が好ましい場合の一例でもある。
Claims (17)
- 位相変調入力信号を復調するための復調システムであって、
前記位相変調入力信号を受信する第1の入力を有し、前記位相変調の逆関数の近似でこの信号の複素乗算を実施するように設計される複素復調器と、
前記複素復調器によって生成される復調積信号を受信し、前記復調積信号の周波数スペクトルを分析することができるスペクトル分析装置と、
を有する復調システム。 - 前記スペクトル分析装置がCFFT装置を有する、請求項1に記載の復調システム。
- 前記スペクトル分析装置がPLL装置又はFLL装置を有する、請求項1に記載の復調システム。
- 前記スペクトル分析装置がCFFT装置と並行してPLL装置又はFLL装置を有する、請求項1に記載の復調システム。
- 前記スペクトル分析装置が、前記変調入力信号の実際の位相量と復調位相量との間の差の推定を決定することができ、この推定をあらわすエラー信号を供給することができる請求項1に記載の復調システムであって、
前記復調システムは、前記エラー信号を受信する変調コントローラを更に有し、前記エラー信号を用いて前記複素復調器のための位相変調情報信号を生成し、
前記複素復調器は、前記位相変調の逆関数の近似を決定する又は適応させるために前記位相変調情報信号を使用する、
復調システム。 - 前記復調位相量におけるエラーが前記メイン周波数周辺の前記スペクトルの側波帯位相及び振幅から推定される、請求項5に記載の復調システム。
- 前記復調位相量におけるエラーが前記メイン周波数の望まれていない負の像の周辺のスペクトルの側波帯位相及び振幅から推定される、請求項5に記載の復調システム。
- 前記メイン周波数のピークに対する望まれていない逆の周波数ピークの振幅が復調情報を得るために使用される、請求項7に記載の復調システム。
- 前記位相変調周波数及びそのスペクトルが、前記メイン周波数と望まれていない周波数ピークとの間の距離を増大させるために、前記メイン周波数に依存してシフトされる、請求項5に記載の復調システム。
- 前記スペクトル分析装置は、望ましい位相変調周波数を決定するために前記信号周波数を使用するように設計され、前記スペクトル分析装置は、前記所望の位相変調周波数をあらわす信号を供給するように設計され、この信号は、前記変調コントローラによっても受信され、前記複素復調器のための前記位相変調情報信号を生成するために使用される、請求項5に記載の復調システム。
- 前記復調位相量は、0Hzの近くにおけるピークの抑制のために選択される、請求項5に記載の復調システム。
- 前記復調位相量及び関数は、前記入力信号の望まれていないAM変調の良好な抑制を得るために選択される、請求項5に記載の復調システム。
- 運動検出器に対して運動している物体の運動方向を検出することができる運動検出器であって、
半透明のフロントミラー、半透明のリアミラー及び2つのこれらのミラー間の半導体レーザー本体を有するレーザーであって、前記フロントミラーにおけるレーザー出力光によって出力レーザービームを出力し、前記リアミラーにおける測定光によって測定ビームを出力するように設計されているレーザーにおいて、更に、反射光の少なくとも一部が前記レーザー本体内のメイン光と干渉することを可能にするように設計されるレーザーと、
前記レーザー本体内の前記メインレーザー光を生成するように前記レーザーにレーザー電流を供給するための制御可能なレーザー電流源と、
前記レーザー電流源を制御するためのコントローラと、
前記測定光の少なくとも一部を検出する及び前記コントローラに測定信号を供給するための光検出器と、
を有する運動検出器であって、
前記コントローラは、前記レーザー出力光の波長を変調するために前記レーザー電流を変調するように前記レーザー電流源を制御するように設計され、
前記コントローラは、前記物体の運動の速度及び方向を決定するために変調された前記レーザー電流と併せて前記検出光の周波数スペクトルを分析するように設計され、
前記コントローラは、請求項1乃至12の何れか一項に記載の復調システムを有する、
運動検出器。 - 前記コントローラは、前記変調信号の変調深さを変調するように前記レーザー電流源を制御するように設計される、請求項13に記載の運動検出器。
- 前記コントローラは、所望の復調深さに整合するように前記変調信号の変調深さを調整するように設計される、請求項14に記載の運動検出器。
- 前記コントローラは、検知信号の位相変調深さを制御するように設計される、請求項13に記載の運動検出器。
- 前記検知信号の位相変調深さは、前記レーザー電流変調の振幅を制御することによって制御される、請求項16に記載の運動検出器。
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