JP5733971B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録ヘッドの製造方法に関する。
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に液流路、液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部、及び液体を吐出するための微細な吐出口を備えている。従来、このようなインクジェット記録ヘッドを製造する方法として、特許文献1に記載されている製造方法があげられる。即ち、液体吐出エネルギー発生部を有する基板上に、ノズル層と成るカチオン重合性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤とを有するネガ型感光性樹脂の塗布を行う。その後、塗布されたネガ型感光性樹脂へ露光を行った後、未露光部を現像することで吐出口を形成する。
特開平8−323985号公報
しかし、上記構成においては、装置トラブル等で露光工程後、現像工程までの時間が変動した場合、それに伴って吐出口の面積も変化してしまうことが懸念される。その理由を以下に説明する。ネガ型感光性樹脂内のカチオン重合性樹脂は、露光工程によってカチオン重合開始剤から生成されたカチオンにより硬化反応を開始する。そして、露光工程から現像工程までの時間が経過するにつれて、露光部で生成されたカチオンが未露光部にまで移動する。そのため、露光工程から現像工程までの時間が変動することで、現像工程によって除去される吐出口の面積が変化することが想定されるのである。これまでの市場の印字品位の要求に対しては、上記構成で問題は生じていなかった。しかし、今後は今まで以上に安定的に高い印字品位を市場に提供する必要があり、吐出口面積のバラツキを今以上に抑えることで、吐出されるインクの吐出量を安定させ、印字物の色味の高い再現性を実現させていく必要がある。
本発明の目的は、フォトリソグラフィー工程によって形状精度高く形成された吐出口を備えたインクジェット記録ヘッドを歩留まりよく製造する方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明の一例は、インクの吐出口が設けられた吐出口部材を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、基板上に設けられた、光カチオン重合開始剤とカチオン重合性樹脂とを含み、前記吐出口部材となるためのネガ型感光性樹脂を露光し、露光が行われた部分を硬化させる硬化工程と、前記硬化工程後にカチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含んだ物質を前記ネガ型感光性樹脂へ付加し前記ネガ型感光性樹脂層に浸透させる付加工程と、前記硬化が行われなかった部分を除去することにより前記吐出口を形成する形成工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、露光直後の硬化反応後、カチオントラップ能を有する窒素原子を提供することにより、時間経過による未露光部の硬化を抑制することができる。そのためフォトリソグラフィー工程によって形状精度高く形成された吐出口を備えたインクジェット記録ヘッドを歩留まりよく製造することが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドの斜視模式図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施例に係るカチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含んだ物質を付加する工程を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明を具体的に説明する。なお、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中に同一の番号を付し、その説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の一実施例に係るインクジェット記録ヘッドの斜視模式図である。インクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するためのエネルギー発生素子2を複数有する素子基板1上に、インクを吐出するための吐出口9を備えた吐出口部材100と、吐出口9に連通しインクを保持するインク流路11と、更に、被覆樹脂層4の内部応力を低減するために形成された溝12を有する。また、素子基板1には、インクをインク流路11に供給するインク供給口10が設けられている。
図2は、図1で示すインクジェット記録ヘッドのA−A’断面を製造工程毎に表した模式図である。
図2(a)では、インク流路パターン3を形成する工程を示している。
まず、エネルギー発生素子2が形成された素子基板1上に、ポジ型感光性樹脂を含むポジ型感光性樹脂層を形成する。ポジ型感光性樹脂層に含まれるポジ型感光性樹脂としては、特に限定されるものではない。しかし、後述する被覆樹脂層4の露光時に感光してパターニング不良が発生する懸念があるため、被覆樹脂層4の露光に使用される紫外線に対する吸光度が低い材料が好ましい。ポジ型感光性樹脂層の形成方法としては、例えば、ポジ型感光性樹脂を適宜溶媒に溶解し、スピンコート法により塗布する。その後、プリベークを行うことでポジ型感光性樹脂層を形成することができる。
ポジ型感光性樹脂層の厚さは、所望のインク流路の高さであり、特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜30μmであることが好ましい。本実施例においては、14μmとした。
次に、ポジ型感光性樹脂層をパターニングしてインク流路パターン3を形成する。
ポジ型感光性樹脂層をパターニングする方法としては、ポジ型感光性樹脂層に対して、ポジ型感光性樹脂を感光可能な活性エネルギー線を、マスクを介して照射し、パターン露光する。その後、ポジ型感光性樹脂の露光部を溶解可能な溶媒等を用いて現像し、リンス処理を行うことで、インク流路パターン3を形成することができる。
図2(b)では、インク流路パターン3及び素子基板1上に、カチオン重合性樹脂とカチオン重合開始剤と、を含む吐出口部材100となるためのネガ型感光性樹脂からなる被覆樹脂層4を形成する。
カチオン重合性樹脂としては、エポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系などカチオン重合可能な樹脂であれば何でも良い。しかし、硬化時の体積収縮が小さいことや、硬化物の物性を考慮すると、脂環式エポキシやグリシジルエーテルといったエポキシ系やオキセタン系が好ましい。また、光重合開始剤としては、一般的に知られているイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩など幅広く使用することができる。しかし、カチオン重合活性の大きさからリン系のPFやアンチモン系のSbFをアニオンとするオニウム塩が好ましい。
前記被覆樹脂層4の形成方法としては、例えば、前記被覆樹脂層4の材料を適宜溶媒に溶解した溶液を、スピンコート法にて前記インク流路パターン3および、素子基板1上に塗布し、被覆樹脂層4を形成することができる。溶媒を使用する場合、前記インク流路パターン3を溶解しない溶媒を選択して使用する。
図2(c)では、前記被覆樹脂層4に対し、マスク5の遮光部6以外の領域から透過した紫外線7で露光する。これにより、被覆樹脂層4の紫外線7照射領域では、前記光カチオン重合開始剤より発生されたカチオンの作用で硬化反応が始まる。
図2(d)では、前記被覆樹脂層4の硬化反応を促進する目的で加熱処理を行う。加熱処理を行うことで、前記被覆樹脂層4の露光部の反応が促進され、硬化部4aが形成される。他方、硬化が行われなかった未露光部4bは後の現像で除去される(以後、PEB工程)。温度は90℃付近の温度が適当である。
更に、露光工程を経て硬化反応が開始された前記被覆樹脂層4へカチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含む物質を付加する(窒素原子付加工程)。
窒素原子付加工程によって付加されたカチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含む物質は、被覆樹脂4内部まで浸透し、未露光部に侵入するカチオンを失活させ、時間の経過によるパターン開口部の面積が変化することを抑制する。
本発明における「カチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含む物質」とは、脂肪族アミン等のsp混成している分子軌道を有するもの、芳香族アミン等のsp混成している分子軌道を有するものを示す。窒素分子等のsp混成している分子軌道を有するものは含まない。
sp混成、sp混成している分子軌道を有する窒素を含む物質の場合、sp混成の場合よりも、窒素原子が持つ孤立電子対の結合距離が大きく、他の軌道と結合する際に重なりが良くなり、カチオンをトラップする能力を有するものと考えられる。
付加方法としては後述するような窒素ガスを使用したプラズマ処理や、アミン系の溶液の塗布によるものが挙げられる。また、PEB工程から窒素原子付加工程までの時間間隔は可能な限り短いことが、反応抑制上好ましく、具体的には1分から1時間程度であると好ましい。
図2(e)では、窒素を付加した前記被覆樹脂層4上へ撥水層8を形成する工程を示す。撥水層8は、汎用的なスピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法及び真空蒸着法等の成膜方法によって形成できる。撥水層8に含まれる撥水材としては、フッ素含有基を有する化合物を用いる。中でも高い撥水性を得るためには、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を用いることがより好ましい。パーフルオロアルキル基としては、例えば下記式(1)
(式(1)中、nは3以上の整数である。)で表される基が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、例えば下記式(2)
(式(2)中、p、q、r、sは0又は1以上の整数であり、少なくとも一つは1以上の整数である。)で表される基が挙げられる。
これらの撥水基の繰り返し単位の数(n、p、q、r、s)を比較すると、一般に市販の撥水材では、nは11以下の整数であるものが多く、p、q、r、sは10から50程度と比較的大きい場合が多い。そのため、パーフルオロポリエーテル基を有する撥水材の方がパーフルオロアルキル基を有する撥水材よりも一分子中に多くのフッ素原子を含み、高い撥水性を示す傾向にある。また、パーフルオロポリエーテル基の平均分子量については、小さすぎると撥水性が発現せず、また大きすぎると溶媒への溶解性が低下することから、500〜20000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましい。尚、パーフルオロポリエーテル基の平均分子量とは、前記式(2)の場合、繰り返し単位で示される部分の平均分子量を示す。
前述のように撥水層8に含まれる撥水材は、カチオン重合性樹脂を含む被覆樹脂層4と反応して結合を形成し得る化合物を用いる。被覆樹脂層4の表面には、本来樹脂層が含有していた水酸基、エポキシ基、オキセタン基に加えて、前記窒素原子付加工程により窒素含有基が存在する。そこで、それらの官能基と反応して結合を形成し得る官能基として水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、シリル基、アミド基等を有する撥水材が用いられる。
具体的には、末端部に加水分解性のシリル基を有する化合物等が挙げられる。撥水材としては、例えば、下記式(3)
(式(3)中、Rfはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基、Rは加水分解性置換基、Xは炭素数1から3のアルキレン基、Yは非加水分解性置換基、aは1から3の整数を示す。)で表される化合物、下記式(4)
(式(4)中、Rf、R、X、Y及びaは式(3)と同義である。)で表される化合物、下記式(5)
(式(5)中、Rf、R、X、Y及びaは式(3)と同義である。また、Zは水素原子又はアルキル基、mは1から5の整数を示す。)で表される化合物が挙げられる。
式中の加水分解性置換基Rとしては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、水素原子等が挙げられる。その中でも、加水分解反応により脱離した基がカチオン重合反応を阻害せず、反応性を制御しやすいものとしてメトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。また、非加水分解性置換基Yとしては、炭素数1から20のアルキル基、フェニル基が挙げられる。Xとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
市販品では、オプツールDSX、オプツールAES(以上商品名、ダイキン工業株式会社製)、ノベックEGC−1720(商品名、住友スリーエム株式会社製)、FG−5010、FG−5020、FS−2050(以上商品名、株式会社ハーベス製)、OPC−700、OPC−800、XOPC−900(以上商品名、株式会社野田スクリーン製)等が挙げられる。
撥水材が加水分解性のシリル基を有する場合、空気中の水分により加水分解が起こり、シラノール基が生成する。更に、加熱することによってシラノール基と被覆樹脂層4表面に存在するエポキシ基や水酸基との反応が促進される。この際、撥水材の加水分解を促進し、さらにシラノール基を生成させるために、加湿環境下で撥水層12の形成を行うこと、または撥水層8の形成後に加湿環境を経験させることも有用である。
撥水材を溶液として塗布する場合の撥水材溶液の濃度については、塗布方法、使用用途や被覆樹脂層4の材料によって、適切に決定される。撥水材溶液中の撥水材の濃度としては、0.01〜1.0重量%が好ましい。より好ましくは0.05〜0.5重量%である。撥水材の濃度が前記範囲であれば、十分な撥水性、耐久性を示し、塗布膜表面全体で均一な撥水性が得られる。このとき、撥水層8の厚みとしては1〜20nmの範囲となるように塗布することが望ましい。
撥水材を希釈する溶剤としては、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロポリエーテル、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。地球温暖化係数の観点からは、ハイドロフルオロエーテルであるノベックHFE−7100、HFE−7200、HFE−7600(以上商品名、住友スリーエム株式会社製)が好適である(以下、撥水材塗布工程)。
図2(f)では、未露光部の前記被覆樹脂層4及び未露光部の前記被覆樹脂層4上の前記撥水層8の現像を行い吐出口9を形成し、吐出口部材100を形成する。現像液としては、未露光部の被覆樹脂層4が現像可能な溶液ならば特に制限はない。
図2(g)では、インク供給口10を形成する。更にインク流路パターン3を除去することによりインク流路11を形成する(以後、流路形成工程)。
インク流路パターン3の除去方法としては、例えば、インク流路パターン3を溶解可能な溶媒に基板を浸漬し、除去する方法などがある。また、必要に応じて、インク流路パターン3を感光可能な活性エネルギー線を用いて露光して溶解性を高めてもよい。
その後、エネルギー発生素子2を駆動させるための電気的接合を行う。さらに、インク供給のためのインク供給部材等を接続して、インクジェット記録ヘッドが完成する(以後、ヘッド実装工程)。
本実施例においては、露光工程後にPEB工程を行っているが、露光工程のみで前記被覆樹脂層4の硬化反応が促進される場合には、この工程は無くても構わない。
また、本実施例においては、窒素原子付加工程後に前記撥水層8の形成を行ったが、前記撥水層8の形成は、前記被覆樹脂層4の塗布後、或いは、露光工程後でも構わない。
また、上記の説明では、撥水層8を設けたものを例示して説明を行っているが、この撥水層は無くても構わない。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図2を参照して説明を行う。
まず、基板1上にポリメチルイソプロペニルケトンからなる流路パターン3を10μmの厚さで形成した(図2(a))。
次いで、インク流路パターン3及び素子基板1上に、カチオン重合性樹脂とカチオン重合開始剤と、を含む吐出口部材100となるためのネガ型感光性樹脂からなる被覆樹脂層4を形成した(図2(b))。本実施例においては、以下の組成の樹脂材料を被覆樹脂層4とした。
・カチオン重合性樹脂
「EHPE−3150」(商品名:ダイセル化学株式会社製) 100質量部
・光カチオン重合開始剤
「SP−172」(商品名:株式会社アデカ製) 6質量部
次いで、吐出口9の吐出口部材の表層部の開口の出来上がりの直径が約8.3μmとなるように、マスク5を用い、i線ステッパーによる4000J/m^2の露光を行った(図2(c))。
その後90℃で1時間の加熱を行った。次いで、窒素原子付加工程として被処理材をチャンバー内へ入れた状態でチャンバー内を減圧環境にした後にプラズマ処理を行う形態のプラズマ処理(以後、減圧プラズマ処理)を行った(図2(d))。
ここでプラズマ処理について説明する。プラズマ処理で用いるプラズマ生成用ガスは、酸素等のガスが多く加わることで、ネガ型感光性樹脂へのダメージ軽減という意味では、窒素ガスの比率を多いことが好ましい。但し、プラズマ生成用ガス中に酸素ガス等が入ることで、撥水層9の密着が良化するため、若干の酸素ガスが入っても構わない。生成用ガス中の窒素ガスの割合としては、体積比率として90%以上が望ましく、98%以上が更に望ましい。
図3は、被覆樹脂層4へ減圧プラズマ処理を行った状態を示す。図3(a)は、減圧プラズマ処理を行う前、前記PEB工程を経て、被覆樹脂層4の露光部が硬化部4aとなった状態である。その際、被覆樹脂層4内には、まだカチオンが残っている。図3(b)は、減圧プラズマ処理を行い、窒素化合物が被覆樹脂層4の表層と内部へ付加された状態を示す。この際、窒素化合物としては、NH基、NO基、NH基等が多く生成され、被覆樹脂層4の表層と内部で共有結合等の化学結合を有して結合される。図3(c)は、被覆樹脂層4の表層と内部へ付加された窒素化合物が被覆樹脂層4内に残っているカチオンをトラップし、失活させた状態を示す。これにより未露光部への硬化の進行が抑制され、現像工程までの間に未硬化部4bの体積の減少が抑制される。
本実施例で用いた減圧プラズマ処理装置は、CDE−7−4(芝浦メカトロニクス製)である。各条件は、ガス種(流量)、Power、真空度、処理時間がそれぞれ、窒素(500sccm)、ガス中の窒素分率100%、500w、30Pa、900secで処理を行った(以下、減圧プラズマ処理工程)。
次いで、撥水材として、オプツールDSX(商品名、ダイキン工業株式会社製)を被覆樹脂層4上に塗布した(図2(e))。
その後、現像を行い未硬化部分である4bを除去した。なお、現像はMIBK、キシレンの混合液で現像処理を行った後、MIBK、HFE−7100(住友スリーエム株式会社製)の混合液でリンス処理を行った(図2(f))。
次いで流路パターン3を乳酸メチルで除去し流路11を形成した。供給口10の形成については省略する。
(実施例2)
本実施例では、窒素原子付加工程として、実施例1の減圧プラズマ処理に替えて、大気中で非処理材へプラズマを照射させる形態のプラズマ処理(以後、大気圧プラズマ処理)を用いた。
用いた大気圧プラズマ処理装置は、リモート型AP−T03(積水化学工業製)である。各条件は、ガス種(流量)、Power、ワーク搬送速度、プラズマ処理ヘッド幅、スキャン数がそれぞれ、窒素(600slm)、400w、1.0m/min、3mm、5回で処理を行った(以下、大気圧プラズマ処理工程)。更に、撥水材塗布工程、現像工程、流路形成工程、ヘッド実装工程を経て、インクジェット記録ヘッドを完成させた。
(実施例3)
PEB工程を経た被覆樹脂層4に対し、窒素原子付加工程として被覆樹脂層への窒素化合物の塗布を行ってもよい。塗布する窒素化合物としては、窒素原子を有するものならばよいが、アミン化合物ならば尚望ましい。また、本実施例の窒素原子付加工程では、上記実施例1、2で記載したプラズマ処理に比べて、多量のアミン化合物が被覆樹脂層内へ入り込む可能性がある。そのため、反応性が高く未露光部のカチオン重合性樹脂が硬化する恐れもある第1級アミン、第2級アミンを用いず、反応性の低い第3級アミンを用いることが望ましい。第3級アミンとしては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等があげられる。アミン化合物を塗布する際の塗布溶媒としては、後のベーク処理で揮発し易く、更に、塗布した際にアミン化合物がネガ型感光性樹脂内へ浸透し易い溶媒が望ましい。本実施例においては、トリイソプロパノールアミンをエタノールで10倍希釈した溶液を、露光工程、PEB工程を経た被覆樹脂層上に塗布した。そして、塗布溶媒を乾燥させるために90℃のベークを行うことで窒素原子付加工程とした(以下、アミン処理工程)。更に、撥水材塗布工程、現像工程、流路形成工程、ヘッド実装工程を経てインクジェット記録ヘッドを完成させた。
(比較例1)
実施例1の製造工程における窒素付加処理を行わなかった。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを製造した。
各実施例、比較例により製造されたインクジェット記録ヘッドの吐出口面積を評価した。また、それぞれを吐出装置に搭載してインクの吐出を行い、その印字を評価した。
表1は、実施例1の製造工程において、減圧プラズマ処理工程から現像工程までの工程間隔を5,24,48時間の3通りの時間として、製造されたインクジェット記録ヘッドのそれぞれ評価結果である。この際、PEB工程から窒素プラズマ処理工程までの時間は1h以下とした。
表2は、実施例2の製造工程における、大気圧プラズマ処理工程から現像工程までの工程間隔を5,24,48時間の3通りの時間として、製造されたインクジェット記録ヘッドそれぞれの評価結果である。この際、PEB工程から窒素プラズマ処理工程までの時間は1h以下とした。
また、表3は、実施例3の製造工程における、アミン処理工程から現像工程までの工程間隔を5,24,48時間の3通りの時間として、製造されたインクジェット記録ヘッドの評価結果である。この際、PEB工程からアミン処理工程までの時間は1h以下とした。
また表4は、比較例の製造工程における、PEB工程から現像工程までの工程間隔を6,25,49hの3通りの時間として、製造されたインクジェット記録ヘッドの評価結果である。
(吐出口面積評価)
○:マスク投影形状径Φ8.3μmである吐出口面積のマスク投影形状面積に対する
収縮率が5%未満
△:マスク投影形状径Φ8.3μmである吐出口面積のマスク投影形状面積に対する
収縮率が5%以上10%未満
×:マスク投影形状径Φ8.3μmである吐出口面積のマスク投影形状面積に対する
収縮率が10%以上
(印字評価)
○:各ノズルの平均吐出量が1.3〜1.4pl内で印字品位良好
△:各ノズルの平均吐出量が1.2〜1.3plで印字品位が許容範囲内
×:各ノズルの平均吐出量が1.2pl以下で印字品位が許容範囲外(色味低下)
表1〜4より、露光工程から現像工程までの滞留時間が延びた場合においても、露光工程後に被覆樹脂層へ窒素原子を付加することで、吐出口の面積は安定的に形成可能であり、それにより良好な印字を実現可能となる。
1 素子基板
2 エネルギー発生素子
3 インク流路パターン
4 被覆樹脂層
5 マスク
6 遮光部
7 紫外線
8 撥水層
9 吐出口
10 インク供給口
11 インク流路
12 溝

Claims (10)

  1. インクの吐出口が設けられた吐出口部材を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    基板上に設けられた、光カチオン重合開始剤とカチオン重合性樹脂とを含み、前記吐出口部材となるためのネガ型感光性樹脂を露光し、露光が行われた部分を硬化させる硬化工程と、
    前記硬化工程後にカチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含んだ物質を前記ネガ型感光性樹脂へ付加し前記ネガ型感光性樹脂層に浸透させる付加工程と、
    前記硬化が行われなかった部分を除去することにより前記吐出口を形成する形成工程と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記付加工程が、プラズマ処理工程であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記プラズマ処理工程で用いるプラズマ生成用ガスは、窒素ガスを体積の90%以上の割合で含有することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記プラズマ処理工程で用いるプラズマ生成用ガスは、窒素ガスを体積の98%以上の割合で含有することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記カチオン重合性樹脂は、エポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系の樹脂の少なくともいずれかである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 前記付加工程において、アミン化合物を前記ネガ型感光性樹脂に塗布することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記付加工程の後に、前記ネガ型感光性樹脂に撥水材を塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  8. 前記撥水材がパーフルオロポリエーテル基を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  9. 前記カチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含んだ物質が、sp混成またはsp混成した分子軌道を有する窒素を含む物質である請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 前記カチオンをトラップする能力を有する窒素原子を含んだ物質が、脂肪族アミンまたは芳香族アミンである請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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