JP5733197B2 - 塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法に関する。
自動車用窓ガラスは、通常、そのガラス面に、紫外線の遮蔽、赤外線の遮蔽、撥水性の付与、防曇性の付与等を目的とした塗膜が設けられる。このような塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法としては、窓ガラスにフローコート法によって塗布液を塗布し、該塗布液を乾燥して塗膜を形成する方法が広く用いられている。
窓ガラスに塗布液を塗布する方法としては、例えば、(1)窓ガラスを、車両に組み付けた際に上部側になる辺(上端)を上にして保持した状態で、上部側に位置している窓ガラスの上端側にノズルによって赤外線カット液を射出し、赤外線カット液を鉛直下向きに流動させることにより赤外線カット液を塗布する方法(特許文献1)、(2)窓ガラスを下端を上にして保持した状態で、上部側に位置する該窓ガラスの下端側にノズルによって赤外線カット液を射出し、赤外線カット液を鉛直下向きに流動させることにより赤外線カット液を塗布する方法(特許文献2)が知られている。
特開2007−191322号公報 特開2007−176443号公報
自動車用窓ガラスを自動車のドアに組み付ける際は、自動車用窓ガラスの下端側が、ドアの内部で窓ガラスを支持する樹脂製のガラスホルダーに接着剤で接着固定される。しかし、塗布液の塗布方法として前記方法(1)を採用して製造した塗膜付き自動車用窓ガラスは、樹脂製のガラスホルダーに充分な接着強度で接着することが困難である。
一方、塗布液の塗布方法として前記方法(2)を採用して製造された塗膜付き自動車用窓ガラスは、窓ガラスを昇降させて繰り返し開閉する際に、ドア上部のガラス収納部と塗膜が擦れることで、塗膜に傷が付いて外観が悪くなる。
本発明は、ドア内部で窓ガラスを支持する樹脂製のガラスホルダーに高い接着強度で接着固定でき、しかも繰り返し開閉しても窓ガラスに設けた塗膜に傷が形成され難い塗膜付き自動車用窓ガラス、および該自動車用窓ガラスの製造方法の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]自動車の開閉可能な窓ガラスの少なくとも一方の面に塗膜が形成されており、該塗膜は該窓ガラスの上端から所定の領域および該窓ガラスの下端から所定の領域を除いた領域に存在し、前記窓ガラスの上端から所定の領域の幅は、前記窓ガラスが閉じられた場合に、前記窓ガラスがドアの上部フレームのガラス収納部内に収納される領域の幅以上であり、前記塗膜の上端側の端部の膜厚が1μm以上である塗膜付き自動車用窓ガラス。
[2]前記塗膜の上端側の膜厚が下端側の膜厚よりも厚い[1]に記載の塗膜付き自動車用窓ガラス
[3]前記塗膜が紫外線カット膜および赤外線カット膜の少なくとも一方である[1]または[2]に記載の塗膜付き自動車用窓ガラス。
[4]前記塗膜の膜厚が10μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗膜付き自動車用窓ガラス。
[5]自動車の開閉可能な窓ガラスをその下端を上にして立てた状態で保持し、前記窓ガラスの上端側の所定の領域への塗布液の塗布を妨げながら、前記窓ガラスの少なくとも一方の面に、前記窓ガラスの下端側の所定の領域が非塗布領域となるように、該非塗布領域の上端側の境界線に沿って、塗布液を射出するノズルを相対移動させて塗布液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で塗布した塗布液を乾燥して前記窓ガラスに、上端側の端部の膜厚が1μm以上である塗膜を形成する乾燥工程と、
を有し、前記窓ガラスの上端から所定の領域の幅は、前記窓ガラスが閉じられた場合に、前記窓ガラスがドアの上部フレームのガラス収納部内に収納される領域の幅以上である塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
[6]前記塗膜として紫外線カット膜および赤外線カット膜の少なくとも一方を形成する、[5]に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
[7]前記窓ガラスの上端から所定の領域の境界線に沿って廂状のガイド部材を設置し、前記窓ガラス上を流れる塗布液が前記ガイド部材をつたって流れ落ちるようにして、前記窓ガラスの上端から所定の領域への塗布液の塗布を妨げる[5]または[6]に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
[8]前記窓ガラスの上端から所定の領域に撥水塗膜を設けて、該領域への塗布液の塗布を妨げる[5]または[6]に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
[9]前記塗膜の膜厚が10μm以下である、[5]〜[8]のいずれかに記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスは、ドア内部で窓ガラスを支持する樹脂製のガラスホルダーに高い接着強度で接着固定でき、しかも繰り返し開閉しても窓ガラスに設けた塗膜に傷が形成され難い。
また、本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法によれば、ドア内部で窓ガラスを支持する樹脂製のガラスホルダーに高い接着強度で接着固定でき、しかも繰り返し開閉しても窓ガラスに設けた塗膜に傷が形成され難い塗膜付き自動車用窓ガラスが得られる。
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスを内面側から見た正面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの側面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの他の例を示す側面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの他の例を示す側面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの他の例を示す側面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの他の例を示す側面図である。 本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの他の例を示す側面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した側面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した正面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した側面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した側面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した正面図である。 本発明の製造方法の塗布工程を示した側面図である。
<塗膜付き自動車用窓ガラス>
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスは、自動車の開閉可能な窓ガラスの少なくとも一方の面に塗膜が形成されており、該塗膜が、該窓ガラスの上端から所定の領域および該窓ガラスの下端から所定の領域を除いた領域に存在している自動車用窓ガラスである。
図1および図2は、本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの一例である、窓ガラスの一方の面に塗膜が形成されている塗膜付き自動車用窓ガラス1(以下、「塗膜付き窓ガラス1」と記し、他の例も同様に記す。)を示した図である。
なお、本明細書における側面図では、説明の便宜上、塗膜の厚みを強調して示している。
塗膜付き窓ガラス1は、図1および図2に示すように、窓ガラス10に塗膜12が形成されている。塗膜12は、窓ガラス10における上端14から所定の領域A(以下、単に「領域A」ということがある。)と、下端16側の所定の領域B(以下、単に「領域B」ということがある。)を除いた領域に存在している。
なお、本発明において、塗膜が領域Aおよび領域Bを除く領域に存在するとは、後述する手段によって塗布液の塗布を妨げても不可避的に形成される塗膜を除いて、領域Aおよび領域Bに塗膜が実質的に形成されずに、領域Aおよび領域Bを除く領域に塗膜が形成されていることを意味する。
窓ガラス10は、自動車のドアの開閉可能な窓ガラスとして使用されるものであり、上端14側の端部を収納するガラス収納部を有する上部フレームを備えたドアに組みつけられる窓ガラスである。具体的には、自動車の前部または後部のドアに取り付けられる昇降して開閉可能な窓ガラスが挙げられる。
窓ガラス10の形状は、図1に示すように、一方の側端18(以下、単に「側端18」という。)が他方の側端20(以下、単に「側端20」という。)よりも長く、上端14が曲線状になっている形状である。また、窓ガラス10の側端18と、塗膜付き窓ガラス1をドアに取り付けたときの水平方向xとがなす角度αは90°よりも大きくなっており、側端20と前記水平方向xとがなす角度βが90°よりも小さくなっている。さらに、窓ガラス10は、図2に示すように、自動車に組み付けられたときに内側となる面10a(以下、「内面10a」という。)が凹状、外側となる面10b(以下、「外面10b」という。)が凸状となるように湾曲している。窓ガラス10は、側端20側を前、側端18側を後ろにして、内面10aが車内側、外面10bが車外側となるように自動車の前部のドアに取り付けられる。
窓ガラス10は、下端16側が、ドアの内部で窓ガラスを保持する樹脂製のガラスホルダーに接着固定されることでドアに組み付けられる。また、窓を閉じた状態では、窓ガラス10の上端14側の一部はドアの上部フレームのガラス収納部に収納され、窓ガラス10の下端16側におけるドアのベルトラインより下側の領域はドア内部に収納されたままになっている。
窓ガラス10の材質としては、特に限定されず、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機ガラス等が挙げられる。
塗膜12は、窓ガラス10の内面10aに形成されている。
窓ガラス10における上端14から所定の領域Aには、塗膜12が形成されていない。これにより、ドアに組み付けた塗膜付き窓ガラス1を繰り返し開閉しても、塗膜12に傷が形成されて外観が悪くなることを抑制できる。
領域Aは、上端14から所定の幅aの領域であることが好ましい。
前記幅aは、自動車のドアにおいて塗膜付き窓ガラス1が閉じられた場合に、窓ガラス10におけるドアの上部フレームのガラス収納部内に収納される領域の幅(以下、「ガラス収納幅」という。)以上であることが好ましい。
前記幅aがガラス収納幅以上であれば、窓を繰り返し開閉しても、窓ガラス10の領域Aはドアの上部フレームのガラス収納部に完全には収納されなくなる。そのため、塗膜12の上端は前記ガラス収納部に擦れることがなく、窓を繰り返し開閉しても塗膜12に傷が付いて外観が悪くなることを抑制できる。また、塗膜12による機能が充分に得られやすい点から、前記幅aはガラス収納幅にできるだけ近いことが好ましい。
なお、塗膜12がドアの上部フレームのガラス収納部に擦れて傷付くのを抑制するという機能を損なわない範囲内であれば、前記幅aはガラス収納幅以下であってもよい。この場合、塗膜12の上端が傷つくことを抑制しやすいことから、前記幅aはガラス収納幅にできるだけ近いことが好ましい。
具体的には、幅aとガラス収納幅の差は、0mm〜10mmが好ましく、0.5mm〜5mmがより好ましく、1mm〜3mmが特に好ましい。幅aとガラス収納幅の差とは、幅aがガラス収納幅よりも小さい場合、および幅aがガラス収納幅よりも大きい場合のいずれの場合も含む。また、前記幅aとガラス収納幅の差が0mmとは、幅aとガラス収納幅が一致していることを意味する。
また、従来、ドア内部で窓ガラスを支持する樹脂製のガラスホルダーに、窓ガラスを接着剤で接着固定する際、窓ガラスに塗膜を形成していると、窓ガラスとガラスホルダーの接着強度が充分に得られないことがある。この問題について検討したところ、ガラスホルダーと接着固定する部分に塗膜が形成されている場合、(i)窓ガラスに形成された塗膜とガラスホルダーの接着強度が、窓ガラスとガラスホルダーの接着強度よりも低くなること、(ii)塗膜が窓ガラスから剥離することで窓ガラスとガラスホルダーの接着強度が低下すること、等が要因であることがわかった。
これに対し、塗膜付き窓ガラス1では、窓ガラス10における下端16側の所定の領域Bには、塗膜12が形成されていない。これにより、窓ガラス10における塗膜12が形成されていない下端16部分と、樹脂製のガラスホルダーを直接接着剤で接着できるので、それらを高い接着強度で接着固定できる。
窓ガラス10とガラスホルダーの接着強度がより高くなることから、領域Bは、窓ガラス10における下端16側のガラスホルダーに接着固定される領域(以下、「領域C」という。)の少なくとも一部を含むことが好ましく、領域Cの全部を含むことがより好ましく、領域Cの全部と、領域Cを除いて、ドアに組み付けられて窓を閉じたときにドアのベルトラインの下側となる領域(以下、「領域D」という。)の一部を含むことがさらに好ましく、領域Cと領域Dを合わせた領域に一致していることが特に好ましい。
なお、領域Bは、塗膜12による効果を損なわない範囲であれば、領域Cと領域Dを合わせた領域よりも大きくてもよい。この場合、塗膜12による効果が充分に得られやすいことから、領域Bの大きさは、領域Cと領域Dを合わせた領域の大きさに近いことが好ましい。
塗膜12としては、例えば、紫外線カット膜、赤外線カット膜、防曇膜、防汚膜、撥水膜、親水膜等が挙げられる。また、紫外線をカットする成分と赤外線をカットする成分を含有し、紫外線と赤外線の両方をカットする紫外・赤外カット膜であってもよい。
塗膜12としては、紫外線カット膜もしくは赤外線カット膜が好ましい。
塗膜12の膜厚は、紫外線カット、赤外線カット等の塗膜12の機能が向上することから、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。また、塗膜12の膜厚は、耐久性環境下でクラックおよび剥離が生じる可能性が低くなることから、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
塗膜12の膜厚は、上端14側の膜厚が下端16側の膜厚より厚くなっていることが好ましい。これにより、自動車の搭乗者が、塗膜12が形成されていることを認識することが容易になり、製品に満足感が得られやすくなるので、商品性が向上する。また、特に塗膜12が紫外線および赤外線の少なくとも一方をカットする機能を有する塗膜の場合、塗膜付き窓ガラス1の上端14側に近い部分を透過する光ほど、自動車の搭乗者に到達する割合が高いので、上端14側の膜厚が下端16側の膜厚より厚くなっていることで、搭乗者に到達する紫外線や赤外線をより効率的に低減できる。
前記効果が得られやすくなることから、塗膜12の上端14側の端部の膜厚は、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。また、境界線の段差が大きいと昇降時に剥離および傷がそこから入り易くなることから、塗膜12の上端14側の端部の膜厚は、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
なお、塗膜12の膜厚は、全体的に均一であってもよく、下端16側の膜厚が上端14側の膜厚よりも厚くなっていてもよい。
以上説明した本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスは、上端側に塗膜が形成されていない領域があるので、繰り返し開閉しても塗膜が傷付くことを抑制できる。また、下端側にも塗膜が形成されない領域があるので、窓ガラスをドア内部のガラスホルダーに高い接着強度で接着固定できる。また、本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスは、上端側および下端側に塗膜が形成されない領域を設けるものの、これらの領域は窓を閉じた状態でドアの内部に隠れる部分であるので、塗膜による機能は充分に得られる。
(他の実施形態)
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスは、図3に示すように、窓ガラス10の内面10aに塗膜12が形成され、外面10bに塗膜22が形成された塗膜付き窓ガラス2であってもよい。塗膜付き窓ガラス2において塗膜付き窓ガラス1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
窓ガラス10の外面10bに形成する塗膜22も、塗膜12と同様に、窓ガラス10における上端14から所定の領域Aと、下端16側の所定の領域Bを除く領域に存在する。これにより、窓ガラス10の外面10bに形成した塗膜22が開閉の繰り返しによって傷付くことを抑制でき、さらに窓ガラス10をドア内部のガラスホルダーに高い接着強度で接着固定できる。
塗膜22としては、塗膜付き窓ガラス1で挙げた塗膜12と同じものが挙げられ、なかでも、撥水膜、親水膜、防曇膜、防汚膜が好ましい。
塗膜が2層構成のものとしては、例えば、図4に示すように、窓ガラス10の外面10bに塗膜24と塗膜26が積層され、それら塗膜24と塗膜26が領域Aおよび領域Bを除く領域に存在する塗膜付き窓ガラス3が挙げられる。塗膜付き窓ガラス3において塗膜付き窓ガラス1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
塗膜24、26としては、塗膜付き窓ガラス1で挙げた塗膜12と同じものが挙げられる。撥水膜は、紫外線カット膜や赤外線カット膜に比べて硬く傷が付き難い。そのため、窓ガラス10の外面10bに紫外線カット膜や赤外線カット膜と撥水膜を積層する場合は、塗膜24を紫外線カット膜または赤外線カット膜とし、塗膜26を撥水膜とすることが好ましい。
また、図5に示すように、窓ガラス10の内面10aに塗膜28と塗膜30が積層され、それら塗膜28と塗膜30が領域Aおよび領域Bを除く領域に存在する塗膜付き窓ガラス4であってもよい。塗膜付き窓ガラス4において塗膜付き窓ガラス1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
塗膜28、30としては、塗膜付き窓ガラス1で挙げた塗膜12と同じものが挙げられる。撥水膜は、紫外線カット膜や赤外線カット膜を形成する際の硬化温度における耐熱性が不充分であるので、窓ガラス10の内面10aに紫外線カット膜や赤外線カット膜と撥水膜を積層する場合は、塗膜28を紫外線カット膜または赤外線カット膜とし、塗膜30を撥水膜とすることが好ましい。
また、図6に示すように、窓ガラス10の内面10aに塗膜28と塗膜30が積層され、外面10bに塗膜22が形成され、それら塗膜28、塗膜30および塗膜22がそれぞれ領域Aおよび領域Bを除く領域に存在する塗膜付き窓ガラス5であってもよい。塗膜付き窓ガラス5において塗膜付き窓ガラス1、2、4と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
また、図7に示すように、窓ガラス10の内面10aに塗膜12が形成され、外面10bに塗膜24と塗膜26が積層され、それら塗膜12、塗膜24および塗膜26がそれぞれ領域Aおよび領域Bを除く領域に存在する塗膜付き窓ガラス6であってもよい。塗膜付き窓ガラス6において塗膜付き窓ガラス1、3と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
また、自動車の開閉可能な窓ガラスの形状は、種々のものがあり、前記した窓ガラス10の形状には限定されない。
<塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法>
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法は、前述した本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスを製造する方法である。以下、本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法の一例として、塗膜付き窓ガラス1の製造方法について説明する。塗膜付き窓ガラス1の製造方法は、下記塗布工程および乾燥工程を有する。
塗布工程:図8および図9に示すように、窓ガラス10を下端16を上にして立てた状態で保持し、窓ガラス10の領域Aへの塗布液の塗布を妨げながら、窓ガラス10の内面10aに、窓ガラス10の領域Bが非塗布領域となるように、該非塗布領域の上端14側の境界線Lに沿って、塗布液を射出するノズル50を相対移動させて、塗布液を塗布する。
乾燥工程:前記塗布工程で塗布した塗布液を乾燥して、図1および図2に示すように窓ガラス10の内面10aに塗膜12を形成する。
塗布工程:
塗布工程においては、窓ガラス10をその下端16を上にして立てた状態で保持する。そして、図9に示すように、窓ガラス10の内面10aにおける上端14から所定の幅aの領域Aにマスキング部材52を設けた状態で、前記非塗布領域(領域B)における上端14側の境界線Lに沿ってノズル50を相対移動させながら塗布液を供給し、境界線Lの上端14側の領域にフローコート法により塗布液を塗布する。
境界線Lは、窓ガラス10をドアに組み付けて、窓を閉じたときにドアのベルトラインに一致することが好ましい。
マスキング部材52としては、3M製スコッチブランドテープ、ダイヤテックス製パイオランテープ、積水化学製ポリエチレンポリエチレンテープ等が挙げられる。
窓ガラス10を立てた状態で保持する方法は、特に限定されず、例えば、窓ガラス10における塗布液を塗布しない外面10bに、吸盤を密着させて保持する方法等が挙げられる。
窓ガラス10の内面10aへの塗布液の塗布方法は、塗布液の液割れ、および塗布液の外面10b側への回り込みを抑制しやすいことから、下記方法(X)および方法(Y)が好ましい。
方法(X):内面10aに対し、側端18、境界線L、側端20に順に沿うようにノズル50を相対移動させて塗布液を塗布する方法。
方法(Y):内面10aに対し、側端20、境界線L、側端18に順に沿うようにノズル50を相対移動させて塗布液を塗布する方法。
(方法(X))
方法(X)では、図9に示すように、窓ガラス10とノズル50を下記工程(X−1)〜工程(X−3)の順で相対移動させながら塗布液を吐出する。
(X−1)内面10aの側端18に沿って、境界線Lまでノズル50を上方向に相対移動させる第1工程。
(X−2)内面10aの境界線Lに沿って、側端18から側端20までノズル50を相対移動させる第2工程。
(X−3)内面10aの側端20に沿って、境界線Lから下方向にノズル50を相対移動させる第3工程。
方法(X)における窓ガラス10とノズル50の相対移動は、窓ガラス10の位置を固定してノズル50を移動させてもよく、ノズル50の位置を固定して窓ガラス10を移動させてもよく、窓ガラス10とノズル50を互いに移動させてもよい。なかでも、塗布液の液割れ、塗布液の反対側のガラス面への回り込みを抑制しやすいことから、窓ガラス10の位置を固定してノズル50を移動させることが好ましい。
方法(X)により塗布液を塗布すると、図10に示すように、各工程で供給された塗布液54が自重によって内面10aを上端14側へと流れていき、図11に示すように、内面10aにおける領域Aおよび領域Bを除く部分に塗布液54が塗布される。塗布液54は、有機溶剤等の揮発成分が空気中に揮発し、固形分濃度が上昇して濃縮されながら内面10aを流れていくため、内面10aの上端14側の方が膜厚が厚くなる。
方法(X)では、前述したように、工程(X−1)〜工程(X−3)の順に窓ガラス10とノズル50を相対移動させながら塗布液54を塗布することで、塗布液54の塗りもれ、外面10bへの塗布液54の回り込みを容易に抑制できる。この要因は、以下のように考えられる。
内面10aに供給された塗布液は、自重によって内面10aを上端14に向かって流れていく。工程(X−1)を行わず、工程(X−2)のみで窓ガラス10の内面10aに塗布液54を塗布しようとすると、側端18は上端14側が末広がりとなっているため、塗りもれが生じやすい。また、工程(X−3)を行わず、工程(X−2)のみで窓ガラス10の内面10aに塗布液54を塗布しようとすると、側端20側は上端14に行くに従ってインカーブしているので、外面10bに塗布液の回り込みが生じやすくなる。
これに対し、工程(X−1)を行うことで、側端18側に塗りもれが生じることを容易に抑制できる。また、工程(X−3)を行うことで、側端20に沿って塗布液54が塗布された部分が、側端20の上部側(下端16側)に供給された塗布液54が流れる際、塗布液54の流れをガイドする道筋として作用することで、塗布液54が側端20に沿って流れ、窓ガラス10の外面10bに塗布液が回り込むことが抑制されやすい。
加えて、工程(X−2)によって供給された塗布液54の上端14への流れは、予め工程(X−1)で塗布された塗布液54に沿って流れやすいので、よりスムーズになる。そのため、塗布液54の流れが枝分かれすることによる液割れが抑制される。
工程(X−2)において、窓ガラス10の内面10aに供給された塗布液54が上端14側に流れていく際、その流速が遅いと、塗布液54の流れが枝分かれし、液割れを生じる場合がある。そのため、塗布液の流れが枝分かれして液割れするのを抑制する目的で、窓ガラス10の水平面に対する傾斜角θ(図8)を90°に近くすることが好ましい。窓ガラス10の水平面に対する傾斜角θが90°に近いほど、内面10aに供給された塗布液54が上端14側に流れる際の流速が速くなり、塗布液の液割れが生じ難くなる。
前記窓ガラス10の水平面に対する傾斜角θとは、窓ガラス10における凸状の外面10bの中央部分に接触する平面と、水平面とがなす角度を意味する。
また、窓ガラス10の内面10aに対するノズル50の角度φ(図10)は、小さいほど好ましい。ノズル50の前記角度φが小さいほど、ノズル50から塗布液を吐出する方向が窓ガラス10の内面10aに対して平行に近づき、ノズル50から吐出される塗布液の流速が内面10aと接触した際に低下し難くなるため、塗布液の液割れが生じ難くなる。
窓ガラス10の内面10aに対するノズル50の角度φとは、ノズル50の先端が位置する点で内面10aに接する平面と、ノズル50とがなす角度を意味する。
ノズル50の相対移動速度は、塗布液54の粘度、塗布液54の吐出量、窓ガラス10の高さ等によっても異なり、塗布液54の液割れの抑制と、生産性を考慮して適宜決定すればよい。前記ノズル50の相対移動速度とは、窓ガラス10から見たノズル50の移動速度である。
工程(X−1)と工程(X−3)における窓ガラス10とノズル50の相対移動のベクトルは、垂直方向が主成分であって、水平方向の成分は小さい。一方、工程(X−2)における窓ガラス10とノズル50の相対移動のベクトルは水平方向が主成分である。液割れは水平方向の相対移動速度が大きい程発生しやすいので、工程(X−1)におけるノズル50の相対移動速度vと、工程(X−2)におけるノズル50の相対移動速度vと、工程(X−3)におけるノズル50の相対移動速度vとの関係は、相対移動速度v、vが相対移動速度vよりも速いことが好ましい。
前記ノズル50の相対移動速度v、v、vは、各々一定の速度であっても、途中で変化してもよいが、相対移動速度vは側端18側が側端20側よりも遅いことが好ましい。なぜなら、ノズル50から内面10aに供給された塗布液54は、上端14に向かって流れる距離が長いほど、揮発成分の揮発によって固形分濃度が上昇するので上端14近傍の流速が低下する。窓ガラス10は、側端20から側端18にいくにしたがって高さが高くなっているため、内面10aの側端18側の方が塗布液54の流れる距離が長い。そのため、工程(X−2)におけるノズル50の相対移動速度vは、ノズル50が側端18に近いほど遅いことが好ましい。これにより、高さの高い側端18側においても、塗布液54が上端14に向かって流れやすくなり、塗布液54の流速の低下による液割れが生じ難くなる。
また、方法(X)では、工程(X−1)における窓ガラス10とノズル50の相対移動の開始位置、すなわち塗布液54の塗布を開始する位置は、内面10aの側端18側に塗りもれが生じることを抑制しつつ塗布液54を塗布できる範囲であればよい。工程(X−3)における窓ガラス10とノズル50の相対移動の終了位置、すなわち塗布液54の塗布を終了する位置は、内面10aの側端20側から外面10bへと塗布液が回り込むのを抑制しつつ塗布液54を塗布できる範囲であればよい。
(方法(Y))
方法(Y)は、図12に示すように、窓ガラス10とノズル50を下記工程(Y−1)〜工程(Y−3)の順で相対移動させながら塗布液を吐出する方法である。
(Y−1)内面10aの側端20に沿って、境界線Lまでノズル50を上方向に相対移動させる第1工程。
(Y−2)内面10aの境界線Lに沿って側端20から側端18までノズル50を相対移動させる第2工程。
(Y−3)内面10aの側端18に沿って境界線Lから下方向にノズル50を相対移動させる第3工程。
方法(Y)における窓ガラス10とノズル50の相対移動は、方法(X)と同様に、窓ガラス10の位置を固定してノズル50を移動させてもよく、ノズル50の位置を固定して窓ガラス10を移動させてもよく、窓ガラス10とノズル50を互いに移動させてもよい。なかでも、塗布液の液割れ、塗布液の反対側のガラス面への回り込みを抑制しやすい点から、窓ガラス10の位置を固定してノズル50を移動させることが好ましい。
窓ガラス10の内面10aに供給された塗布液は、方法(X)と同様に、自重によって内面10aを上端14側へと流れていき、内面10aの領域Aおよび領域Bを除く部分に塗布液が塗布される。
方法(Y)は、窓ガラス10とノズル50の相対移動を開始する位置と終了する位置、すなわち塗布液の塗布を開始する位置と終了する位置が反対である以外は、方法(X)と同じ方法である。方法(Y)によれば、方法(X)と同じ理由で、塗布液の塗りもれ、塗布液の液割れ、および外面10bへの塗布液の回り込みを容易に抑制できる。
また、方法(X)と同様に、塗布液の液割れや非塗布面である外面10b側への回り込みを抑制しやすい点から、方法(Y)における窓ガラス10の水平面に対する傾斜角θは、90°に近くすることが好ましい。また、方法(Y)における窓ガラス10の内面10aに対するノズル50の角度φは小さいほど好ましい。
また、工程(Y−1)におけるノズル50の相対移動速度v、工程(Y−2)におけるノズル50の相対移動速度v、工程(Y−3)におけるノズル50の相対移動速度vについては、それぞれ方法(X)におけるノズル50の相対移動速度v、v、vと同様のことがいえる。
側端20近傍と側端18近傍は、工程(Y−1)と工程(Y−3)における窓ガラス10とノズル50の相対移動のベクトルは垂直方向が主成分であり、一方、工程(Y−2)における窓ガラス10とノズル50の相対移動のベクトルは水平方向が主成分である。液割れは水平方向の相対移動速度が大きい程発生しやすいので、工程(Y−1)におけるノズル50の相対移動速度vと、工程(Y−2)におけるノズル50の相対移動速度vと、工程(Y−3)におけるノズル50の相対移動速度vとの関係は、相対移動速度v、vが相対移動速度vよりも速いことが好ましい。
また、工程(Y−1)〜(Y−3)におけるノズル50の相対移動速度v、v、vは、各々一定の速度であっても、途中で変化させてもよいが、相対移動速度vは側端18に近いほど遅いことが好ましい。これにより、高さの高い側端18側においても塗布液の液割れが生じ難くなる。ノズル50の相対移動速度vと、相対移動速度vは境界線Lに近いほど遅いことが好ましい。
方法(Y)では、工程(Y−1)における窓ガラス10とノズル50の相対移動の開始位置、すなわち塗布液の塗布を開始する位置は、内面10aの側端20側から外面10bに塗布液が回り込むのを抑制しつつ塗布液を塗布できる範囲であればよい。また、工程(Y−3)における窓ガラス10とノズル50の相対移動の終了位置、すなわち塗布液の塗布を終了する位置は、内面10aの側端18側に塗りもれが生じることを抑制しつつ塗布液を塗布できる範囲であればよい。
本発明における塗布工程での塗布液の塗布方法は、窓ガラス10の内面10aに形成する塗膜12の側端18側と側端20側の膜厚を揃えやすい点から、方法(X)が好ましい。方法(X)の方が側端18側と側端20側の塗膜の膜厚を揃えやすい理由は以下に示すとおりである。
窓ガラス10の内面10aに塗布された塗布液54は、有機溶剤等の揮発成分が空気中に揮発し、固形分濃度が上昇して濃縮されながら流れるので、図11に示すように、内面10aの上端14側ほど塗布液54の厚みが厚くなる傾向がある。この塗布液54の厚みの変化は、塗布液54が流れる距離が長いほど顕著であるため、側端20の長さに比べて側端18の長さが長い窓ガラス10では、側端18側の方が側端20側よりも上端14側の塗布液54の厚みが厚くなりやすい。一方、塗布液54を塗布してから窓ガラス10が立てられた状態で維持される時間(塗り置き時間)が長いほど、窓ガラス10の上端14側から塗布液54が流れ落ちていくため、内面10aの上端14側の塗布液54の厚みが薄くなる傾向がある。
方法(X)では、長さがより長い側端18側に先に塗布液を塗布するので、側端18側に塗布された塗布液54は側端20側に塗布された塗布液54よりも塗り置き時間が長くなり、上端14側から流れ落ちる量が多くなる。そのため、方法(X)によれば、内面10aの側端18側は、側端20側に比べて塗布液が流れる距離が長いために塗布液の厚みが厚くなりやすい一方で、側端20側に比べて塗り置き時間が長くなって上端14側から流れ落ちる塗布液量が多くなるので、塗布液の厚みの増加が小さくなる。そのため、側端18側と側端20側の上端14側の厚みのバランスを取りやすい。
ノズル50の形状は、特に限定されないが、吐出される塗布液の幅がより広くなるノズルが好ましく、複数本のノズルが並列された複合ノズル、幅が広いスリット状の吐出口を有するスリットノズルが好ましい。ノズル50から吐出される塗布液の幅が広くなると、窓ガラス10の内面10aの同じ位置に、塗布液が供給される時間に幅が生じる。そのため、方法(X)の工程(X−2)あるいは方法(Y)の工程(Y−2)において、内面10aに先に供給された塗布液が内面10aを流れていく際に液割れが生じたとしても、同じ位置に後から供給されて流れてくる塗布液によってその液割れが解消される効果が期待できる。つまり、前記複合ノズル、スリットノズル等のノズルを用いることで、吐出口の幅の狭い単一のノズルを用いて、同じ部分に複数回塗布液を塗布するのと同等の効果が期待できる。
また、ノズル50から、同じ吐出量で塗布液を吐出する場合、前記複合ノズル、スリットノズル等のように吐出される塗布液の幅が広い方が、幅の狭い単一のノズルに比べて、吐出する塗布液の線速度が遅くなるため、特に側端18側と側端20側において塗布液が勢い余って外面10bに回り込んでしまうことを抑制しやすい。
本発明の塗布工程では、例えば、図1に例示した、側端20と水平方向xとがなす角度βが90°よりも小さい窓ガラス10に塗布液を塗布する場合、内面10aの側端20近傍の境界線L側に供給された塗布液が、内面10aを上端14側に流れていく際に側端20から窓ガラス10の外面10b側に回り込んでしまうおそれがある。そのため、方法(X)および方法(Y)のいずれの方法を採用する場合であっても、側端20を水平面に対して垂直にした状態で塗布液の塗布を行うことが好ましい。これにより、窓ガラス10の側端20側において、内面10aに塗布した塗布液が側端20側から外面10b側に回りこむことを抑制することが容易になる。
本発明に用いる塗布液は、窓ガラス10の面に、本発明の塗布工程および乾燥工程によって必要な機能を有する塗膜12を形成できるものであればよく、紫外線カット膜形成用塗布液、赤外線カット膜形成用塗布液、防曇膜形成用塗布液、撥水膜形成用塗布液等の公知の塗布液が挙げられる。
乾燥工程:
本発明の製造方法における乾燥工程では、塗布液に含まれている有機溶剤等の揮発成分を蒸発させて除去して乾燥する。乾燥工程は、特に限定されず、公知の乾燥工程を採用できる。本発明における乾燥工程としては、例えば、塗布液が塗布された窓ガラス10を一定時間置くことで、内面10aに塗布した塗布液を仮乾燥する仮乾燥工程と、塗布液が塗布された窓ガラス10を加熱して塗布液を完全に乾燥させる本乾燥工程を有する工程が挙げられる。
本乾燥工程では、塗布液が塗布された窓ガラス10を加熱することにより、塗布液に含まれている有機溶剤等の揮発成分を蒸発させて除去し、乾燥させて被膜を形成する。
塗布液が塗布された窓ガラス10を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、塗布液が塗布された窓ガラス10をコンベア上に載せ、加熱炉内に送ることで加熱する方法が挙げられる。本乾燥工程で内面を下向きにしてコンベア上に載せる場合、塗膜が窓ガラスの上端の端部まで存在すると、上端の端部に位置する塗膜が加熱された加熱炉のコンベアに接触し、塗膜が白化するという外観上の問題が生じる。一方、本発明の製造方法によれば、塗膜12が窓ガラス10の上端14の端部まで存在しないため、このような外観上の問題は生じない。
また、形成する塗膜を、塗膜中の成分を硬化させて硬化塗膜とする場合等は、必要に応じて乾燥工程後に硬化工程等の他の工程を行ってもよい。
(他の実施形態)
本発明の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法の塗布工程において、領域Aへの塗布液の塗布を妨げる手段は、前記したマスキング部材52を設ける手段には限定されない。
マスキング部材を設ける手段以外の領域Aへの塗布液の塗布を妨げる手段としては、例えば、図13に示すように、領域Aの境界線に沿って廂状のガイド部材56を設置し、窓ガラス10の内面10a上を流れる塗布液54がガイド部材56をつたって流れ落ちるようにすることで、窓ガラス10の領域Aへの塗布液の塗布を妨げる手段が挙げられる。
ガイド部材56の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
また、窓ガラス10の領域Aに撥水塗膜を設けることで領域Aへの塗布液の塗布を妨げる手段を使用することもできる。
撥水塗膜の形成に使用する材料としては、例えば、含フッ素シリコン撥水剤が挙げられる。前記材料を、上端に沿ってスキージーであらかじめ塗付することで、窓ガラス10の内面10aにおける領域Aに撥水塗膜を形成して塗布液の塗布を妨げることができる。
また、窓ガラス10の領域Aに滑水処理を施すことで領域Aへの塗布液の塗布を妨げる手段を使用してもよい。
滑水処理に使用する材料としては、例えば、ポリシロキサン剤が挙げられる。前記材料を使用して、上端に沿ってスキージーであらかじめ塗付することで、窓ガラス10の内面10aにおける領域Aへの塗布液の塗布を妨げることができる。
また、窓ガラス10における外面10bに塗膜を形成する場合は、内面10aの代わりに外面10bに塗布液を塗布する以外は同様にして製造できる。
また、窓ガラス10の内面10aと外面10bの両方に塗膜を形成する場合は、それぞれの面に逐次塗膜を形成してもよく、同時に形成してもよい。
撥水膜は、紫外線カット膜や赤外線カット膜を形成する際の加熱(180〜200℃程度)によって劣化するおそれがある。そのため、例えば窓ガラス10の外面10bに撥水膜、内面10aに紫外線カット膜や赤外線カット膜を形成する場合は、内面10aに紫外線カット膜や赤外線カット膜を形成した後に、外面10bに撥水膜を形成することが好ましい。また、窓ガラス10の一方の面に、撥水膜と紫外線カット膜や赤外線カット膜を積層する場合は、紫外線カット膜や赤外線カット膜を形成した後に、撥水膜を積層することが好ましい。
1〜6 塗膜付き自動車用窓ガラス
10 窓ガラス
12 塗膜
14 上端
16 下端
18、20 側端
50 ノズル
52 マスキング部材
54 塗布液
56 ガイド部材

Claims (9)

  1. 自動車の開閉可能な窓ガラスの少なくとも一方の面に塗膜が形成されており、該塗膜は該窓ガラスの上端から所定の領域および該窓ガラスの下端から所定の領域を除いた領域に存在し、前記窓ガラスの上端から所定の領域の幅は、前記窓ガラスが閉じられた場合に、前記窓ガラスがドアの上部フレームのガラス収納部内に収納される領域の幅以上であり、前記塗膜の上端側の端部の膜厚が1μm以上である塗膜付き自動車用窓ガラス。
  2. 前記塗膜の上端側の膜厚が下端側の膜厚よりも厚い請求項1に記載の塗膜付き自動車用窓ガラス。
  3. 前記塗膜が紫外線カット膜および赤外線カット膜の少なくとも一方である請求項1または2に記載の塗膜付き自動車用窓ガラス。
  4. 前記塗膜の膜厚が10μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗膜付き自動車用窓ガラス。
  5. 自動車の開閉可能な窓ガラスをその下端を上にして立てた状態で保持し、前記窓ガラスの上端側の所定の領域への塗布液の塗布を妨げながら、前記窓ガラスの少なくとも一方の面に、前記窓ガラスの下端側の所定の領域が非塗布領域となるように、該非塗布領域の上端側の境界線に沿って、塗布液を射出するノズルを相対移動させて塗布液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で塗布した塗布液を乾燥して前記窓ガラスに、上端側の端部の膜厚が1μm以上である塗膜を形成する乾燥工程と、
    を有し、前記窓ガラスの上端から所定の領域の幅は、前記窓ガラスが閉じられた場合に、前記窓ガラスがドアの上部フレームのガラス収納部内に収納される領域の幅以上である塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
  6. 前記塗膜として紫外線カット膜および赤外線カット膜の少なくとも一方を形成する、請求項5に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
  7. 前記窓ガラスの上端から所定の領域の境界線に沿って廂状のガイド部材を設置し、前記窓ガラス上を流れる塗布液が前記ガイド部材をつたって流れ落ちるようにして、前記窓ガラスの上端から所定の領域への塗布液の塗布を妨げる請求項5または6に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
  8. 前記窓ガラスの上端から所定の領域に撥水塗膜を設けて、該領域への塗布液の塗布を妨げる請求項5または6に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
  9. 前記塗膜の膜厚が10μm以下である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の塗膜付き自動車用窓ガラスの製造方法。
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