以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの図示しない操作部を操作すると、洗浄ノズル473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、洗浄ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
洗浄ノズル473の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口474が設けられている。そして、洗浄ノズル473は、その先端部に設けられた吐水口474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
図2は、本実施形態の洗浄ノズルを洗浄する動作の概略を説明するための断面模式図である。
なお、図2(a)は、ノズル洗浄部が洗浄ノズルの先端側の外観面を洗浄する状態を表す断面模式図であり、図2(b)は、ノズル洗浄部が洗浄ノズルの後端側の外観面を洗浄する状態を表す断面模式図である。また、図2(a)および図2(b)は、洗浄ノズル473の軸473cに沿うような切断面すなわち図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、洗浄ノズル473を洗浄あるいは清掃するノズル洗浄部510を備える。ノズル洗浄部510は、洗浄水を吐水する吐水部515を有する。ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473が進退しているときに、洗浄ノズル473の外観面に対して吐水部515から洗浄水を吐水し、洗浄ノズル473の外観面を洗浄することができる。
図2(a)および図2(b)に表したように、洗浄ノズル473は、例えば便器800の上面などの水平面850に対する洗浄ノズル473の軸473cの角度θ1が大きくなる姿勢へ遷移しつつ進出する。言い換えれば、洗浄ノズル473は、収納状態よりも起立する姿勢へ遷移しつつ進出する。一方、洗浄ノズル473は、水平面850に対する洗浄ノズル473の軸473cの角度θ1が小さくなる姿勢へ遷移しつつ後退する。つまり、洗浄ノズル473は、角度変化を伴ってケーシング400から進出したり、ケーシング400へ後退する。
本実施形態では、ノズル洗浄部510から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水状態は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。ここで、本願明細書において「吐水状態」とは、例えば洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度や、洗浄ノズル473の外観面までの吐水距離や、洗浄ノズル473の外観面への吐水水量や、脈動吐水および泡沫吐水の状態などをいうものとする。また、本願明細書においては、洗浄ノズル473の軸473cの方向または進退方向に対して平行な方向であって、便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。
図2に表した洗浄動作では、洗浄ノズル473は角度変化を伴って進退するため、ノズル洗浄部510の吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。例えば、図2(a)に表したように、洗浄ノズル473の先端側の外観面(第1の外観面)を洗浄する場合において、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、略垂直である。一方、図2(b)に表したように、洗浄ノズル473の後端側の外観面(第2の外観面)を洗浄する場合において、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、垂直よりも小さい角度すなわち鋭角である。
ここで、本願明細書において「吐水角度」とは、洗浄ノズル473を側方からみたときに、ノズル洗浄部510から吐水される洗浄水の吐水方向と、洗浄水の着水位置よりも後方側における洗浄ノズル473の外観面と、の間の角度をいうものとする。
洗浄ノズル473の先端側の外観面を洗浄する場合の吐水角度θ2は略垂直であるため、吐水部515から吐水された洗浄水は、洗浄ノズル473の外観面および外観面に付着した汚れに対してより大きい着水力を有する。ここで、本願明細書において「着水力」とは、例えば洗浄水の着水圧力を意味し、また、単位面積あたりの洗浄水が有する運動量であり、汚れを落としたり、剥いだり、浮かせたりする力をいう。言い換えれば、吐水部515から吐水された洗浄水は、洗浄ノズル473の外観面および外観面に付着した汚れに対してより強く当たる。そのため、洗浄ノズル473の先端側の外観面を洗浄する場合には、外観面に付着した汚れを落としやすい吐水状態となっている。洗浄ノズル473の先端側の外観面は、洗浄ノズル473の後端側の外観面よりも汚れやすい。そのため、ノズル洗浄部510は、汚れやすい箇所(洗浄ノズル473の先端側の外観面)をしっかり洗浄することができる。
一方、洗浄ノズル473の後端側の外観面を洗浄する場合の吐水角度θ2は鋭角であるため、図2(b)に表した矢印A1のように、洗浄ノズル473の外観面に着水した洗浄水は、外観面に沿う方向の成分を有する。そのため、吐水角度θ2が垂直である場合と比較して、洗浄ノズル473の先端側へ向かう水流がより強く生ずる。そのため、洗浄ノズル473の後端側に着水した洗浄水は、汚れやすい先端側へ流れる。これにより、汚れやすい箇所(洗浄ノズル473の先端側の外観面)の洗浄を補完することができる。
このように、図2に表した洗浄動作では、ノズル洗浄部510の吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。そのため、汚れが付きやすい先端側の外観面と、先端側の外観面よりも汚れが付きにくい後端側の外観面と、において吐水状態を異ならせることができる。これにより、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。そのため、より高い衛生面を有する洗浄ノズル473を提供することができる。
図3は、本実施形態の洗浄ノズルを洗浄する他の動作の概略を説明するための断面模式図である。
なお、図3(a)は、ノズル洗浄部が洗浄ノズルの先端側の外観面を洗浄する状態を表す断面模式図であり、図3(b)は、ノズル洗浄部が洗浄ノズルの後端側の外観面を洗浄する状態を表す断面模式図である。また、図3(a)および図3(b)は、洗浄ノズル473の軸473cに沿うような切断面すなわち図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
図3に表した洗浄ノズル473は、角度変化を伴わずにケーシング400から進出したり、ケーシング400へ後退する。つまり、図3に表した洗浄ノズル473は、収納状態の洗浄ノズル473(図3(a)参照)の軸473cの方向に進退する。一方、図3に表したノズル洗浄部510は、図3(a)および図3(b)に表したように、洗浄ノズル473の進退に連動して回動すなわち角度変化を行う。つまり、洗浄ノズル473からみたノズル洗浄部510の角度が洗浄ノズル473の進退に連動して変化する。言い換えれば、ノズル洗浄部510の洗浄ノズル473の外観面に対する角度は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。
そのため、図3に表した洗浄動作においても、図2に関して前述した洗浄動作のように、ノズル洗浄部510の吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。例えば、図3(a)に表したように、洗浄ノズル473の先端側の外観面(第1の外観面)を洗浄する場合において、ノズル洗浄部510は、吐水角度θ2が略垂直となる姿勢をとる。一方、図3(b)に表したように、洗浄ノズル473の後端側の外観面(第2の外観面)を洗浄する場合において、ノズル洗浄部510は、吐水角度θ2が垂直よりも小さい角度すなわち鋭角となる姿勢をとる。
このように、洗浄ノズル473が角度変化を行う場合だけではなく、ノズル洗浄部510が角度変化を行うことにより、ノズル洗浄部510の吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2を洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異ならせることができる。そのため、図2に関して前述した洗浄動作と同様に、汚れが付きやすい先端側の外観面と、先端側の外観面よりも汚れが付きにくい後端側の外観面と、において吐水状態を異ならせることができる。これにより、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。そのため、より高い衛生面を有する洗浄ノズル473を提供することができる。
次に、本実施形態の洗浄ノズルを洗浄する動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
まず、洗浄ノズル473が角度変化を伴って進退する場合の洗浄動作の具体例について説明する。
図4は、本具体例のノズルユニットを例示する斜視模式図である。
また、図5は、本具体例のノズル洗浄部を表す斜視模式図である。
なお、図4(a)は、洗浄ノズルがケーシングに収納された状態を表す斜視模式図であり、図4(b)は、洗浄ノズルが進出した状態を表す斜視模式図である。
本具体例のノズルユニット470は、図4に表したように、基台475と、基台475に支持された洗浄ノズル473と、洗浄ノズル473を移動させるノズルモータ476と、を有する。なお、図4に表した洗浄ノズル473は、単段式すなわち1本の可動部を有する洗浄ノズルであるが、本発明はこれだけに限定されるわけではない。洗浄ノズルは、複数の可動部を有する多段式の洗浄ノズルであってもよい。
洗浄ノズル473は、ノズルモータ476から伝達される駆動力により、基台475に対して摺動自在に設けられている。ノズルモータ476は、基台475に固定されている。
また、洗浄ノズル473は、スライダ477を有する。スライダ477は、基台475に対して摺動自在に設けられている。そのため、洗浄ノズル473は、スライダ477とともに基台475に対して摺動可能である。これにより、洗浄ノズル473は、ケーシング400および基台475から進退自在に移動できる。
ケーシング400は、ケースプレート401と、ケースカバー402と、を有する。ケースカバー402の前側には、ケースカバー402の開口部を開閉するシャッター420が設けられている。図4(b)に表したように、シャッター420は、洗浄ノズル473の進退に伴って開閉することができる。より具体的には、シャッター420は、ケースカバー402に対して回動自在に軸支されている。そして、シャッター420は、洗浄ノズル473がケーシング400から進出する際に、上部を中心として回動しケースカバー402の開口部を開けることができる。一方、シャッター420は、洗浄ノズル473がケーシング400へ後退する際あるいは後退した後に、上部を中心として回動しケースカバー402の開口部を閉じることができる。なお、シャッター420の設置形態は、これだけに限定されず、例えばケースプレート401に回動自在に軸支されていてもよい。
図5に表したように、ケーシング400には、ノズル洗浄部510が設けられている。なお、説明の便宜上、図4に表した衛生洗浄装置ではノズル洗浄部510を省略している。ノズル洗浄部510は、収納状態における洗浄ノズル473の先端側に設けられている。ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の外観面に向けて洗浄水を吐水する吐水部515(図7参照)を有する。本具体例のノズル洗浄部510は、ケーシング400に取り付けられ、洗浄ノズル473の進退に連動して回動するわけではない。
また、ケーシング400には、洗浄ノズル473の移動を案内する軌道ガイド450が設けられている。洗浄ノズル473は、軌道ガイド450により一定の軌道を描き、収納状態から進出状態へ変化する。このとき、洗浄ノズル473は、例えば便器800の上面などの水平面850(図2参照)に対する洗浄ノズル473の軸473cの角度θ1(図2参照)が大きくなる姿勢へ遷移しつつ進出する。言い換えれば、洗浄ノズル473は、収納状態よりも起立する姿勢へ遷移しつつ進出する。これについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図6は、本具体例の洗浄ノズルの軌道を例示する平面模式図である。
また、図7は、本具体例の洗浄ノズルを洗浄する動作を説明するための断面模式図である。
なお、図7は、洗浄ノズル473の軸473cに沿うような切断面すなわち図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
洗浄ノズル473には、ケーブルラック478が固定されている。ケーブルラック478は、例えば柔軟性を有する樹脂などの材料により形成されている。ケーブルラック478の少なくとも一側面には、歯車481、483と係合する凹凸が設けられている。そして、ケーブルラック478は、基台475に設けられた第1のケーブルガイド部479(図4(b)参照)と、ケーシング400に設けられた第2のケーブルガイド部411と、に沿って衛生洗浄装置100内で摺動可能に支持されている。
ノズルモータ476は、駆動出力を適宜減速させて歯車481、483に出力可能である。ケーブルラック478は、歯車483に係合され、歯車483の回転駆動力を直線方向の駆動力に変換して洗浄ノズル473を移動させる。つまり、洗浄ノズル473は、歯車481、483およびケーブルラック478を介してノズルモータ476から伝達される駆動力により、基台475に対して摺動自在に設けられている。
軌道ガイド450には、図6に表したように、洗浄ノズル473の軌道を規制する軌道溝451が形成されている。一方、スライダ477には、図6に表したように、軌道溝451に嵌合可能な嵌合部477bが設けられている。嵌合部477bは、軌道溝451に嵌合されている。そして、洗浄ノズル473が収納状態から進出状態へ変化する際には、スライダ477の嵌合部477bは、軌道溝451を摺動しつつ移動する。そのため、スライダ477は、軌道溝451と略同一の軌道を描き移動する。
嵌合部477bは、例えば回動不能な突起部としてスライダ477に付設されていてもよいし、スライダ477に対して回動自在な部分を有していてもよい。嵌合部477bがスライダ477に対して回動自在な部分を有する場合には、スライダ477の嵌合部477bは、軌道溝451を回動しつつ移動する。そのため、本願明細書において「摺動」という範囲には、接触状態で摺り動く場合だけではなく、接触状態で転がり動く場合が含まれるものとする。
軌道ガイド450は、曲線規制部453と、直線規制部455と、を有する。曲線規制部453は、略水平方向に形成されている。一方、直線規制部455は、曲線規制部453と接続された側の一端部が曲線規制部453と接続されていない側の他端部よりも高くなるように傾斜して形成されている。言い換えれば、直線規制部455は、曲線規制部453と接続されていない側の他端部が曲線規制部453と接続された側の一端部よりも低くなるように傾斜して形成されている。なお、直線規制部455にロック機構を持たせたり、角度変更用の駆動源を設けてもよい。
まず、図7(a)に表したように、洗浄ノズル473がケーシング400に収納された状態において、吐水部515は、例えば洗浄ノズル473の外観面に対して垂直に洗浄水を吐水できる。つまり、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、略垂直である。これにより、図2に関して前述したように、吐水部515から吐水された洗浄水は、洗浄ノズル473の外観面および外観面に付着した汚れに対してより強く当たる。そのため、ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の先端側の外観面をしっかり洗浄することができる。
続いて、洗浄ノズル473が収納状態から進出状態へ変化を始めると、スライダ477の嵌合部477bは、曲線規制部453を摺動する。このとき、洗浄ノズル473は、回動軸463によりケーシング400に対して回動自在に軸支された筒体461を通過する。筒体461は、筒状に形成され、洗浄ノズル473の角度に応じて回動軸463を中心として回動できる。つまり、筒体461のケーシング400に対する角度は、洗浄ノズル473の角度変化に連動して変化する。そして、筒体461および回動軸463は、洗浄ノズル473の移動を案内し規制することができる。
そのため、洗浄ノズル473が収納状態から進出状態へ変化を始めると、嵌合部477bは、曲線規制部453に案内され略水平方向に移動する。一方で、洗浄ノズル473は、回動軸463を中心として回動する筒体461の内部を通過する。これにより、洗浄ノズル473は、洗浄ノズル473の軸473cの水平面850に対する角度θ1が大きくなる姿勢へ遷移しつつ進出する。言い換えれば、洗浄ノズル473は、収納状態よりも起立する姿勢へ遷移しつつ進出する。そのため、スライダ477の嵌合部477bが曲線規制部453を摺動する際には、洗浄ノズル473の先端部473aは、図6に表したように、曲線軌道491を描きつつ進出する。
これにより、図7(b)に表したように、吐水部515は、例えば洗浄ノズル473の外観面に対して垂直よりも小さい角度すなわち鋭角に洗浄水を吐水できる。つまり、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、垂直よりも小さい角度である。そのため、図7(b)に表した矢印A3のように、洗浄ノズル473の外観面に着水した洗浄水は、外観面に沿う方向の成分を有する。そのため、吐水角度θ2が垂直である場合と比較して、洗浄ノズル473の先端側へ向かう水流がより強く生ずる。そのため、洗浄ノズル473の後端側に着水した洗浄水は、汚れやすい先端側へ流れる。これにより、洗浄ノズル473の先端側の洗浄を補完することができる。
続いて、スライダ477の嵌合部477bは、直線規制部455を摺動する。このとき、筒体461は、ケーシング400に対して回動自在に軸支されているため、直線規制部455の傾斜角度すなわちスライダ477および洗浄ノズル473の移動方向と、筒体461の軸方向と、は略同一となる。これにより、スライダ477の嵌合部477bが直線規制部455を摺動する際には、洗浄ノズル473の先端部473aは、図6に表したように、直線軌道493を描きつつ進出する。
これにより、図7(c)に表したように、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、図7(b)に表した吐水角度θ2と同様に垂直よりも小さい角度である。そのため、図7(c)に表した矢印A4のように、洗浄ノズル473の外観面に着水した洗浄水は、外観面に沿う方向の成分を有する。そのため、図7(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
本具体例によれば、吐水角度θ2を異ならせるというより簡単な動作で、汚れが付きやすい先端側の外観面と、先端側の外観面よりも汚れが付きにくい後端側の外観面と、において吐水状態を異ならせることができる。これにより、本具体例にかかる衛生洗浄装置100は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。
また、本具体例では、洗浄ノズル473の先端部473aが描く曲線軌道491は、洗浄ノズル473が便座200に着座した使用者の臀部と接触することを回避する軌道である。一方、洗浄ノズル473の先端部473aが描く直線軌道493は、進出状態へ到達する軌道である。そのため、進出状態の洗浄ノズル473の軸473cは、便座200に着座した使用者の臀部とは干渉しない。また、進出状態および進出途中の洗浄ノズル473は、便座200に着座した使用者の臀部とは接触しない。これにより、収納状態の洗浄ノズル473の軸473cが便座200に着座した使用者の臀部と干渉する程度にまで、洗浄ノズル473の軸473cの水平面850に対する角度θ1が小さい姿勢で洗浄ノズル473を収納させることができる。
なお、洗浄ノズル473と使用者の臀部との干渉を回避する角度θ1は、一般的な形状を有する便座200および便器800、並びに一般的な収納位置(例えば臀部との水平方向および鉛直方向の相対的位置)に設置された洗浄ノズル473を有する衛生洗浄装置100を使用した場合には、例えば約30°〜45°程度である。
本具体例によれば、図6に表したように、洗浄ノズル473は、洗浄ノズル473の軸473cの水平面850に対する角度θ1が大きくなる姿勢へ遷移しつつ進出する。また、収納状態の洗浄ノズル473の高さをより低く抑えた場合でも、進出状態および進出途中の洗浄ノズル473が便座200に着座した使用者の臀部と接触することを回避できる。さらに、洗浄ノズル473の軸473cの水平面850に対する角度θ1を変化させるために必要な回動スペースを最小限にすることができる。これにより、収納状態の洗浄ノズル473の高さをより低く抑えることができる。そのため、衛生洗浄装置100の高さをより低く抑え、衛生洗浄装置100のコンパクト化を図ることができる。
また、本具体例のノズル洗浄部510は、ケーシング400に取り付けられ固定されている。そのため、例えば一般的なノズル洗浄室などをノズル洗浄部510として使用することで、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。
さらに、前述したように、ノズル洗浄部510は、収納状態における洗浄ノズル473の先端側に設けられている。そのため、洗浄ノズル473が進退する際には、洗浄ノズル473の後端側は、ノズル洗浄部510の吐水部515を通過する。そのため、ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の先端側だけでなく後端側に対してもより近い距離で洗浄水を吐水することができる。これにより、衛生洗浄装置100のコンパクト化を図ることができる。
また、本具体例のノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の先端部473aが曲線軌道491の後半以降に進出すると洗浄水の吐水を開始する。そのため、吐水角度θ2や吐水距離をより大きく変化させる必要はない。これにより、洗浄水の飛び散りの発生を抑え、より安定して洗浄水を吐水させることができる。
次に、ノズル洗浄部の吐水部が洗浄ノズル473の進退に連動して角度変化を行う場合の洗浄動作の具体例について説明する。
図8は、本具体例のノズル洗浄部を例示する斜視模式図である。
また、図9は、本具体例の洗浄ノズルを洗浄する動作を説明するための断面模式図である。
なお、図9は、洗浄ノズル473の軸473cに沿うような切断面すなわち図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例では、図4〜図7に関して前述した具体例と比較して、モータ521と、モータ521に接続された軸受523と、がケーシング400の内部にさらに設けられている。モータ521は、駆動出力を適宜減速させて軸受523に出力可能である。図8に表したように、軸受523は、ノズル洗浄部510の上部に係合され、モータ521の駆動力をノズル洗浄部510に伝達しノズル洗浄部510を回動させる。つまり、ノズル洗浄部510は、軸受523を介してモータ521から伝達される駆動力により、ケーシング400および洗浄ノズル473に対して回動自在に設けられている。
本具体例のノズルユニットの軌道ガイド450aには、洗浄ノズル473の軌道を規制する軌道溝451aが形成されている。本具体例の軌道ガイド450aは、直線規制部455を有し、曲線規制部453を有していない。直線規制部455は、後方側の一端部が前方側の他端部よりも高くなるように傾斜して形成されている。言い換えれば、直線規制部455は、前方側の他端部が後方側の一端部よりも低くなるように傾斜して形成されている。
そのため、図9(a)〜図9(c)に表したように、本具体例の洗浄ノズル473は、角度変化を伴わずにケーシング400から進出したり、ケーシング400へ後退する。つまり、本具体例の洗浄ノズル473は、収納状態の洗浄ノズル473(図9(a)参照)の軸473cの方向に進退する。
まず、図9(a)に表したように、洗浄ノズル473がケーシング400に収納された状態において、吐水部515は、例えば洗浄ノズル473の外観面に対して垂直に洗浄水を吐水できる。つまり、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、略垂直である。これにより、図2に関して前述したように、吐水部515から吐水された洗浄水は、洗浄ノズル473の外観面および外観面に付着した汚れに対してより強く当たる。そのため、ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の先端側の外観面をしっかり洗浄することができる。
続いて、洗浄ノズル473が収納状態から進出状態へ変化を始めると、モータ521は、駆動を開始し、軸受523を介してノズル洗浄部510を回動させる。つまり、ノズル洗浄部510は、洗浄ノズル473の進退動作に連動して回動すなわちケーシング400に対して角度変化を行う。
これにより、図9(b)に表したように、吐水部515は、例えば洗浄ノズル473の外観面に対して垂直よりも小さい角度すなわち鋭角に洗浄水を吐水できる。つまり、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、垂直よりも小さい角度である。そのため、図9(b)に表した矢印A5のように、洗浄ノズル473の外観面に着水した洗浄水は、外観面に沿う方向の成分を有する。そのため、吐水角度θ2が垂直である場合と比較して、洗浄ノズル473の先端側へ向かう水流がより強く生ずる。そのため、洗浄ノズル473の後端側に着水した洗浄水は、汚れやすい先端側へ流れる。これにより、洗浄ノズル473の先端側の洗浄を補完することができる。
続いて、図7(c)に表したように、洗浄ノズル473がさらに進出すると、モータ521は、軸受523を介してノズル洗浄部510をさらに回動させる。そのため、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、図9(b)に表した吐水角度θ2よりも小さい角度となる。そのため、図9(c)に表した矢印A6のように、洗浄ノズル473の外観面に着水した洗浄水は、図9(b)に表した矢印A5よりも大きい成分を外観面に沿う方向に有する。そのため、図9(b)に表した状態と比較して、洗浄ノズル473の先端側へ向かう水流がさらに強く生ずる。そのため、洗浄ノズル473の後端の近傍に着水した洗浄水を汚れやすい先端側へ流すことができる。これにより、洗浄ノズル473の先端側の洗浄を補完することができる。
本具体例によれば、ノズル洗浄部510だけを角度変化させることで、吐水角度θ2を異ならせることができる。言い換えれば、洗浄ノズル473の角度を変化させる必要はない。そのため、例えば配置スペースの関係上、洗浄ノズル473の角度を変化させる機構などを設けることが困難な場合でも、ノズル洗浄部510だけを角度変化させることで、汚れが付きやすい先端側の外観面と、先端側の外観面よりも汚れが付きにくい後端側の外観面と、において吐水状態を異ならせることができる。これにより、本具体例にかかる衛生洗浄装置100は、より簡単な動作で、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。
また、本具体例の吐水部515は、ノズル洗浄部510に固定されている。そのため、吐水部515は、ノズル洗浄部510とともに角度変化を行うことができる。そのため、吐水部515だけを角度変化させるための複雑な構造や機構などを設ける必要はない。これにより、より簡易的な構造で前述した効果を得ることができる。
なお、ノズル洗浄部510および吐水部515がそれぞれ個別に角度変化を行うことで、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2が洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なってもよい。これによれば、ノズル洗浄部510および吐水部515の両方の角度を変化させることができるため、洗浄ノズル473の外観面に合わせてより細かい角度調整を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ノズル洗浄部510から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水状態は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異なる。そのため、汚れが付きやすい先端側の外観面と、先端側の外観面よりも汚れが付きにくい後端側の外観面と、において吐水状態を異ならせることができる。これにより、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて洗浄ノズル473をより効率的に洗浄し、より衛生的に保つことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ノズルユニット470などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやノズル洗浄部510の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、本実施形態では、洗浄ノズル473が角度変化を伴って進退する場合と、ノズル洗浄部510が洗浄ノズル473の進退に連動して角度変化を行う場合と、を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、洗浄ノズル473とノズル洗浄部510との両方が、角度変化を行ってもよい。この場合でも、ノズル洗浄部510から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水状態を洗浄ノズル473の外観面の前後方向の位置に応じて異ならせることができる。また、洗浄ノズル473の先端側の外観面を洗浄する場合において、吐水部515から吐水される洗浄水の洗浄ノズル473の外観面に対する吐水角度θ2は、略垂直に限定されるわけではない。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。