JP5732872B2 - 異形金属リングの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3にこのユニゾンリングを含むノズルベーン装置が開示されている。
図14はその具体例を示している。
図に示すユニゾンリング10の場合、外周形状が、周方向に沿って凸形状部12と凹形状部14とを複数有する凹凸形状をなしている。
また内周形状が、周方向に沿って凸形状部12の内側に位置する凹形状部16を有する凹凸形状をなしている。
ここで内周側の凹形状部16は、ノズルベーンにおける各羽根との係合用の部分であり、また凸形状部18は、駆動アームとの連結用の部分である。
即ち、図15に示しているように先ずシート状の金属板材200に対してプレス打抜加工を施し、外周形状が所望形状をなす中間リング品10Aとなし、次に内周面に対し切削加工(内径加工)を施して凹形状部16を形成してユニゾンリング10となしていた。
但し厳密にはその後において熱処理等を施して最終製品とする。
この製造方法ではまた、ユニゾンリング10の1つ1つをプレス打抜加工にて得ることとなるため、製造の工数も多く、このこともまたユニゾンリングの製造コストを高める要因となっていた。
その際、ランド部における材料の流れの上流側である上面を、径方向内方に進むにつれて流れの下流側である下方へと移行する形状のテーパ面となしておくことが好適である。
図16は、本発明者がこの方法の実施に際して検討したダイスのランド部とその周辺部を示している。
同図において、22はダイス24に設けた絞り部としてのランド部で、全周に亘りダイス24の内面から径方向内方に突出している。
このランド部22の上面は、その外周端から径方向内方に向うにつれて下方即ち材料流れの下流側へと漸次移行する形状のテーパ面26をなしている。
またテーパ面に凹型部に到る溝を設けることで、凹型部の上端位置が低くなる。
そしてそれらによって、後に具体的に説明するように凸形状部での欠肉の発生を防ぐことが可能となり、外周形状が周方向に凹凸形状をなす異形金属パイプを、ひいては異形金属リングを良好に成形できるようになる。
そして押出加工を用いて異形金属リングを製造できるようになることで、異形金属リングの生産性を高め、歩留り率を従来に比べ大幅に高め得て、また製造コストを安価となすことができる。
このようにすることで、凹型部による凸形状部(異形金属パイプの凸形状部で厚肉部となる部分)の成形開始と、凸型部による凹形状部(異形金属パイプの薄肉部となる部分)の成形開始とを時間差なく同時に合せることができ、凸型部による凹形状部の成形の開始が、凹型部による凸形状部の成形の開始よりも遅れることによって、凹型部の内部に隙間が生成すること、即ち欠肉が生じるのをより有効に防ぐことができ、従って異形金属パイプの凹凸形状をより高精度で良好に形成することが可能となる。
このようにした場合、材料を凹型部に向けて、より効果的に誘導し案内することができる。
図1はユニゾンリング10を表しており、図示のようにこのユニゾンリング10は、円形リング体の外周面と内周面とに、周方向に沿って凹凸を付けた形態の異形リング形状をなしている。
詳しくは、このユニゾンリング10は外周形状が、略台形状の凸形状部12を24°ごとの一定間隔で複数(ここでは15個)有するとともに、それら凸形状部12と12との間に略逆台形状の凹形状部14を有する形状をなしており、また内周形状が、凸形状部12の位置においてU字状の凹形状部16を複数(ここでは15個)有する形状をなしている。
また内周面の図1(A)中上端の位置には、凹形状部20の位置において下向きに即ち径方向内方に突出する、凸形状部18が設けられている。
ここで凸形状部18は略U字状をなしている。
本実施形態においてこのユニゾンリング10は、図2及び図3に示す異形金属パイプ32を軸直角方向に切断した後、内径加工(及び凹形状部20Aの加工を含む外径加工)を施すことによって得られる。
また中心Oから凸形状部18までの寸法d=47.9mmであり、中心Oから凹形状部20までの寸法e=61.7mmである。
先ず、図4に示しているように金属(ここではオーステナイトステンレス鋼であるJIS SUS310S)の断面円形の長尺材36に対して切断具38により軸直角方向に切断加工を行い、所定サイズの中実の丸棒40を、第1段目の前工程の後方押出加工の押出用素材として用意する。
ここでは丸棒40のサイズは外径φ160mm×高さ125mmLである。
ここでは押出加工として先ず後方押出加工を行い、しかる後前方押出加工を行う。
図5,図6は、後方押出加工の方法を具体的に示している。
図5において、42はポンチ,46はダイスで、58は押出成形された成形品50(図7参照)を突き出すエジェクタである。
尚成形品50は、次の2段目の前方押出加工の押出用素材となる。
ポンチ42には、図1の凸形状部18を成形するための、凸形状部18に対応した凹型部44が備えられている。
更にダイス46には、成形品50に対して図7(A)の凸形状部56を成形するための凹型部60が備えられている。
ここにおいて図4及び図7の底部52付きの円筒カップ状の成形品50が得られる。
図において52は底部を、54は円筒状の周壁部を表している。
また18は、周壁部54の内周側に形成された凸形状部を示しており、更に56は、凸形状部18と同じ周方向位置において、周壁部54の外周側に形成された凸形状部を表している。
尚この後方押出加工によって得た成形品50は、例えば外径がφ160mm×内径φ108mmで、高さが215mmLの寸法である。
尚、底部52の厚みは10mmである。
即ち、丸棒40の炉出し温度を1177〜1233℃とし、押出加工(鍛造)前の温度を1087〜1112℃とし、押出加工後の温度を936〜1025℃の温度とし、また鍛圧を約950tとして鍛造即ち後方押出加工を行う。
図8及び図9はその具体的な内容を示している。
これらの図において、62はポンチで、図1の凸形状部18に対応した凹型部44が備えられている。
64はダイスで、後述のランド部68よりも上側の内面66には、図7の凸形状部56に対応した形状の凹型部60が備えられている。
このランド部68は、その上面詳しくは材料の流れの上流側の面がテーパ面26とされている。
尚、フランジ部34については、この後の工程の外削加工によって除去せしめられ、ここにおいて図2及び図4の異形金属パイプ32が図12及び図4に示す異形金属パイプ32となる。
この実施形態において、2段目の前方押出加工の条件は、例えば押出加工(鍛造)前温度を896〜1008℃とし、押出加工後の温度を832〜905℃とし、鍛圧を約1400tとして行うことができる。
また溝67は、その溝幅が外周端で最も拡く、内周端に向うにつれて溝幅が漸次狭小化するものとなしてある。
ここで溝67の溝幅Wは、互いに隣接する溝67と67との間の部分が、ランド部68の外周端から同じ幅で凸型部30の上端(内周端)30aに到るように寸法が定められている。
ランド部22を、図16に示す形状となした場合、凹型部28の上端28aと、凸型部30の上端30aとの軸方向位置、即ち高さ位置が異なっているため、材料をランド部22に対して通過させる過程で、先ず凹型部28の上端28aにて凸形状部12の外形部分の形状を規定したとしても、そのすぐ後に、凸型部30における上端30aにより、凹形状部14の外形部分が成形され且つ形状規定されることとなる。
その際に、一旦は凹型部28の上端28aにて成形開始され、形状規定された凸形状部12の外形部分が、径方向内方に引張られてしまい(凹形状部14の外形部分を凸型部30の上端30aにて形状規定する際に、材料が径方向内方に押されるため)、そのことが凹型部28の内部に材料が十分に充填されず、特に外形部分において隙間Kを生じ、これが欠肉を生ぜしめる原因となっていた。
これにより,本実施形態によれば凸形状部12,凹形状部14を含む,図2の異形金属パイプ32の外周形状を予め設定した形状に良好に成形することができる。
図中Aが実測した形状の線を、またBが設計形状の線をそれぞれ示している。
ここでは実測形状の方が、設計形状よりも僅かに大きな形状をなしているが、これは同一の前方押出成形型を用いて30回の試作を行った上での結果であるため、その間に金型が摩耗してランド部の内形が僅かに拡大し、またポンチ62の形状が狭小化したことによるものである。
但し実測した形状と、設計した形状との差は極めて僅かであり、その差は寸法公差の範囲内である。
因みに表1に、図3における寸法a,b,c,d,eの寸法公差と、実測した寸法の最大値と最小値を示している。
例えば本発明は上記のユニゾンリング以外の他の様々な異形金属リングを製造するに際して適用可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
12 凸形状部
14 凹形状部
26 テーパ面
28 凹型部
30 凸型部
28a,30a 上端
32 異形金属パイプ
40 丸棒
46,64 ダイス
67 溝
68 ランド部
Claims (4)
- 外周形状が周方向に凹凸形状をなす異形金属リングを製造する方法であって、
金属の棒材から得た押出用素材に、2段階の押出加工を施し、第1段目では後方押出加工を行い、内周面が径方向内方に突出する凸形状部を有する円筒状の金属パイプを得、しかる後第2段目の前方押出加工を施し、外周形状が周方向に凹凸形状をなす異形金属パイプを得た後、該異形金属パイプを軸直角方向の切断面で所定幅に切断することによって前記異形金属リングを得るようになし、
前記前方押出加工では、ダイスの内面に、全周に亘り径方向内方に突出する、前記異形金属パイプの外周面の凸形状部を成形する凹型部と、該凸形状部と凸形状部との間の凹形状部を成形する凸型部とを備えたランド部を設けて、前記素材をポンチの押込みにより該ランド部を軸方向に通過させて成形するようになし、
前記ランド部における材料の流れの上流側である上面を、径方向内方に進むにつれて流れの下流側である下方へと移行する形状のテーパ面となすとともに、
該テーパ面には、前記ランド部の外周端から前記凹型部の上端に到る溝を付加してあることを特徴とする異形金属リングの製造方法。
- 請求項1において、前記溝を付加することによって、前記凹型部の上端を、前記凸型部の上端と同じ軸方向の高さに位置させてあることを特徴とする異形金属リングの製造方法。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記溝の周方向の溝幅が前記外周端で最も広く、内周端に向うにつれて溝幅が漸次狭小化するものとなしてあることを特徴とする異形金属リングの製造方法。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記異形金属リングが、可変ノズルベーン付きターボチャージャにおけるノズルベーン回動用のユニゾンリングであることを特徴とする異形金属リングの製造方法。
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