JP6040944B2 - 耐熱合金製リングの成形方法 - Google Patents

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本発明は、高温環境下で使用する耐熱合金製リングに関し、耐熱合金製リングの成形方法に関する。
耐熱合金製の部品が多用される装置の一例として、ガスタービンが挙げられる。ガスタービンは、回転軸に多段で取り付けられたリング形状のタービンディスク外周部に翼形状のブレードを配置し、軸方向の流体の流れを回転運動に変換することで動力を発生するものである。
ガスタービン前方から吸い込まれた空気は、後続の多段軸流圧縮部で圧縮され、さらに後続に配置された燃焼器内で、圧縮空気に燃料を混合したガスを燃焼させることにより高温・高圧の燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスはタービンディスクの外周部の流路を軸方向に流れながらタービンディスクに取り付けられたブレードに衝突することで、軸方向の運動が回転運動に変換され、タービンディスクを高速回転させる。この回転駆動力は、回転軸を介して前段のタービンディスクを回転させ、空気を圧縮することにより連続的に回転するように作用する。
近年、省エネルギーの観点から、ガスタービンの効率向上が重要な技術的課題となっているが、取り扱う燃焼ガスの最高温度が高いほど効率が向上するため、より高温で作動可能なものが求められている。
一方、ガスタービンのタービンディスクやブレードは、高速回転させて使用されるため、運転中に遠心力による高い負荷を受ける。また、これらのタービンディスク、ブレードは600℃以上の高温ガスに曝されたり、高温ガスの流路近傍で使用されるため、高温環境で高い強度を有することが不可欠である。さらに、ガスタービンの起動と停止が断続的に生ずる運転パターンで使用される場合、これらの構成部品には繰り返し負荷が生じ、部品の温度上昇と冷却の段階で生ずる熱応力も繰り返し作用する。
したがって、このように繰り返し作用する負荷や熱応力に対しても十分な強度を有した部品を用いて、ガスタービンを構成することが重要である。
一方、タービンの高効率化を図るため、タービンディスクやブレードといった回転体の寸法は、大型化の傾向にあるため、より高い遠心力に耐え得る高品質な耐熱合金リングが求められている。これらの要求に応じるため、ガスタービン内部には、高温環境下で高い強度を有する耐熱合金として、オーステナイト系ステンレス鋼、チタン合金、Ni基合金などが主に用いられている。
こうした耐熱合金のうち、特に優れた高温強度を有するNi合金(例えば718合金)に関しては、金属結晶組織を微細化することで、疲労強度を向上できることが知られており、材料内部の粒径を微細化する手法については、これまでにも様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載されているように、結晶組織を微細化するため、結晶粒の粗大化を抑制する粒子を析出させるなどの方法が有効な手段とされている。また、特許文献2に記載されているように、熱間加工時に素材に歪みを動員し、微細化現象を促進させて微細粒を得る方法も提案されている。
耐熱合金リングの製造方法に関しては、耐熱合金のうち、特にNi基材料は、希少金属を主成分とするため通常の鋼材と比較して高価であり、切削素材として仕上げ形状に近いニアネット形状素材の切削により、切削時の切屑量を低減し、製造コスト低減できるニアネット鍛造がしばしば用いられている。
一般にニアネット鍛造には、熱間鍛造が用いられるが、製造工程の1例として、まず円柱状のビレットを据え込み鍛造により円盤に成形し、次に中心部を穿孔し、さらにリング圧延により所定の径のリングを成形し、最後に金型を用いて断面形状を成形する熱間鍛造工程が用いられている。
特公平7−42535号公報 特公平7−138719号公報 特開2011−56548号公報
しかし、上述の熱間鍛造工程を用いたリング圧延では、製造条件によっては異常高温発熱が生ずることがあり、品質低下を引き起こす場合がある。すなわち、Ni基合金、例えば718合金の場合、1050℃を超えると、結晶粒の成長を抑制する粒子が母材に固溶するため、結晶粒の成長が活発化し、粗粒の組織が生ずる。このため、リング圧延時、Ni基合金に異常高温発生箇所が発生することのないように製造することが、きわめて重要な技術課題となる。
従来は、リング圧延素材として矩形断面のリング圧延素材が用いられるが、これを圧延する場合、上下面中央部に凹部ができやすく、これを防ぐために、上下方向にアキシャルロールを圧下しながら圧延を行う必要がある。ところが、上下方向に圧下するための構造は、片持はりであるため、主ロールの半分程度の圧下力とすることが一般的である。したがって、凹部が生ずることを見越して、削り代が設けられるため、ニアネット化が不十分であるばかりか、圧延に要する荷重が増大することがある。
さらに、最終型への鍛造工程においては、例えばタービンディスクなどの複雑な断面形状を成形する場合、型鍛造では素材全面に、均一で最適な歪みを付与することは難しい。このため、鍛造狙い形状によっては、鍛造中に歪みがほとんど付与されないデッドゾーンが生ずる場合がある。このような場合には、デッドゾーンにおいて、歪み動員による金属結晶組織の微細化現象が十分に行われず、品質低下の要因である粗粒が残ってしまうことが頻繁に発生し製造上の課題となる。
したがって、型鍛造の素材をリング圧延で製造する際、予め前工程であるリング圧延の段階で微細な結晶組織を得ることも重要な技術課題となる。
このような技術課題を踏まえ、本発明の目的は、リング圧延時の過度な温度上昇を抑制するとともに、リング圧延素材全面に均一で最適な歪みが動員されるよう、ガスタービン等の高温部で使用する耐熱合金回転部品の素材として耐熱合金製リングの成形方法を提供することにある。
本発明は上記の課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明のリング圧延素材の成型方法は、リング状に予成形された耐熱合金素材からなり、再結晶温度以上に加熱した状態で、その径方向外周面と内周面に対向配置される主ロールとマンドレルロールと、その高さ方向上面と下面に対向配置される上下アキシャルロールを具備するリングローリングミルを用いて、主ロールとマンドレルロールの径方向の間隔を狭めることにより、耐熱合金製リングに圧延成形するリング圧延素材の成型方法であって、上下アキシャルロールとして、平坦な円錐面と、その軸方向端部に凹部を有するアキシャルロールを使用し、この凹部を前記リング圧延素材の高さ方向上面と下面に対向配置させながら、主ロールとマンドレルロールの径方向の間隔を狭めることにより、リング圧延素材の高さ方向の断面形状が、その高さ方向を二分する中心線の内径側及び外径側の少なくとも一方に向けて、高さが減少するテーパー形状を形成するよう、リング圧延素材の予成形を行い、その後、上下アキシャルロールを一旦リング圧延素材の高さ方向上面と下面から離隔させた状態で、その平坦な円錐面が前記リング圧延素材の高さ方向上面と下面に対向配置するように軸方向に移動させ、リング圧延素材を再結晶温度以上に維持した状態で、主ロールとマンドレルロールの径方向の間隔をさらに狭めることにより耐熱合金製リングに圧延成形するようにした。
このとき、前記凹部の形状、前記リング圧延素材の初期加熱温度、リングローリングミルにおける各ロールによる圧下力、及びその変化速度シーケンス、圧下時間の圧延条件を選定することにより、圧延工程時における前記リング圧延素材の内周面と外周面の温度差を200度以内とする。
本発明のリング圧延素材の成型方法を用いることにより、リング圧延前に、切削工程によりリング圧延素材の断面形状を加工する工数を省くことができ、短時間でリングを得ることができる。また、切削工程を省くことで、切屑の量を低減できるため、材料の歩留まりを向上できる。
すなわち、リング前工程で切削加工して適正素材断面形状にするかわりに、圧延初期段階で発熱が生じやすい内径側を、本発明のリング圧延素材形状に予成形することで、発熱の少ないリング圧延が可能となり、高品質な耐熱合金リングを提供できるばかりでなく、リング圧延前工程において機械加工工程が不要となり、製造時間を短縮できる。
その際、上下アキシャルロールに形成する凹部の形状、リング圧延素材の初期加熱温度、リングローリングミルにおける各ロールによる圧下力、及びその変化速度シーケンス、圧下時間等の圧延条件を選定することにより、圧延工程時におけるリング圧延素材の内周面と外周面の温度差を200度以内とすることで、リング断面内の温度を一定範囲に保った状態で圧延することができ、加工温度が高温になりすぎることによる粗大粒子の発生を抑えた上で、温度が低温になりすぎることによる粗大粒と微細化した粒子が混在した組織の発生を防ぐことができ、より高品質なリングを得ることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、リング圧延素材の一例を示す模式図である。 図2は、実施例1の製造方法を説明するフローチャートの例である。 図3は、実施例1の製造方法による断面形状の変化の様子を示す図である。 図4は、リングローリングミルの一例を示す概略図である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
[実施例1]
本実施例で使用するリングローリングミルとして、例えば図4に示すような構成のものを用いることができる。
すなわち、このリングローリングミルは、所定の回転速度で回転可能な主ロール106と軸周りに従動回転できるマンドレルロール105をリング圧延素材101の径方向外周面と内周面に対向配置し、リング圧延素材101の高さ方向からみて上面と下面に対向配置したアキシャルロール107A、107Bを備えている。
圧延中のリング圧延素材101の芯ずれを低減するため、主ロール106の両脇に従動回転できるガイドロールを配置して、リング圧延素材101の外周部を支持しながら圧延すると、より安定した圧延ができる。
主ロール106は円筒形状をしており、圧延中は、リング圧延素材101の外周面に接触させた状態で駆動することで、リング圧延素材101を回転させるものである。
マンドレルロール105には円筒形状のロールを用い、軸周りに自由に回転できる構造であり、かつ主ロール106の回転軸と略平行に配置されている。
圧延中は、マンドレルロール105の外周面をリング圧延素材101の内周面に接触させた状態で圧延が行われ、圧延中に、主ロール106とマンドレルロール105で挟まれたロール間距離を徐々に狭めることで、リング圧延素材101の径方向内周面と外周面との間を肉厚方向に押下する。
上下アキシャルロール107A、107Bは、20〜45°の頂角を有する円錐形状であり、リング圧延素材101の高さ方向の寸法を調整するため、それぞれリング圧延素材101の略中心に先端が向くように配置される。
なお、この実施例では、圧延中、アキシャルロール107A、107Bは、リング圧延素材101の回転数に合わせて駆動回転されるが、従動回転させてもよい。
圧延手順としては、所定の温度に加熱したリング圧延素材101の内径穴にマンドレルロール105を通しておき、主ロール106とマンドレルロール105の間隔が徐々に狭まるように、マンドレルロール105を径方向外方に徐々に移動させ、両者の距離が、リング圧延素材101の初期状態の肉厚と一致した状態となると、主ロール106の表面とリング圧延素材101の外周面の摩擦によりリング圧延素材101に回転が付与される。このとき、マンドレルロール105は、リング圧延素材101の回転に追従するように従動回転する。
その後、マンドレルロール105を径方向外方に徐々に移動させ、主ロール106の間隔を徐々に狭めることで、肉厚方向を圧下し、リング圧延素材101の周方向に沿って連続的に塑性変形を与えることになる。
本実施例では、最終的な圧延工程に先立って、例えば、図2に示す工程、図3に示す断面形状の成型工程により、リング圧延素材101を形状110に予成形するもので、その際の圧延方法を、図2のフローチャートに示す。
はじめに、S1で矩形リング圧延素材101を加熱する。次に、S2で矩形リング圧延素材を圧延装置にセットする。S3でマンドレル105と主ロール106の間隔を圧延初期値に設定し位置決めを行った後、S4で主ロール106を回転させることにより、リング圧延素材101の回転をはじめる。
次に、S5でアキシャルロール107の軸方向先端側に形成した凹部が、リング圧延素材101の径方向内周及び外周の角部に一致するように位置決めを行う。この状態で、S6で肉厚方向に圧下を行い101角部の圧延を行い、例えば、図1に示すようなリング圧延素材101の形態に予成形を行う。
本実施例の効果を確認するため、粘塑性有限要素解析を用い、断面形状の変化を得た。リング圧延素材101の高さ方向の中心面に関する対称性を考慮し、1/2モデルを用いて計算を実施した。
図3は、上記の解析から得られた断面形状の変化の様子を示しており、ここでは、特にS5、S6の工程に着目して解析を実施した。
なお、アキシャルロール凹部と素材の初期隙間をd0として、アキシャル押し込み量をh0−H0/d0k×100%と定義し、初期(0%)、50%、100%の各段階の断面形状を抽出した。
初期段階では、上述のように、まずリング圧延素材とアキシャルロール107の凹部が合致する位置に位置決めする。その後、アキシャルロール107を圧下させると、リング圧延素材の角部に、アキシャルロール107の凹部の表面形状が転写され、面取がされていく。その後、アキシャルロール107をリング圧延素材101の上下面から離隔し、アキシャルロール107の平坦な円錐面とリング圧延素材101の上下面が接触するように再度位置決めして同様の圧延を行うことで、圧延途中段階で、素材角部の発熱が抑制された状態で、圧延することができる。
以上のような圧延方法を実施することにより、従来の矩形断面のリング圧延素材を用いた場合でも、初期に角部の予成形を行うことで、その後の圧延において圧延部の局所的な発熱を抑えて、内部組織が良好な耐熱合金リングを製造することができる。しかも、リング圧延素材の内面にテーパー部を成形する工程を予め切削する工程が不要となる。
また以上の圧延方法では、アキシャルロール107が高さ方向に圧下できることを利用したものであり、厚さの異なるリングであっても、アキシャルロール107の位置決めを行うことで柔軟に対応できる。
したがって、従来の型形状が付与されたマンドレルロール105及び主ロール106を用いることなく実施できるため、治工具費の低減が図れるばかりか、マンドレルロール105の型交換工数の低減が図れるため、製造時間の短縮化が図れる。
圧延目標のリング径が初期に対して大きい場合、上記の図3(c)で付与した角部には、圧延中に再度材料が流動することがあるが、その場合には、再度図3(b)、(c)のステップを実施して、再び角部の面取りを行ってから、拡径を継続するとよい。
[実施例2]
本実施例の耐熱合金リングの圧延方法を説明する。
この実施例では、Φ1000以上のガスタービン用ディクスに用いるものであり、リング圧延素材として高温強度に優れたNi基耐熱合金を採用する。以下、Ni基合耐熱金の成分の一例として、i:50〜55%,Cr:15〜22%,Nb:4.5〜6.5%,Mo:2.5〜3.5%,Ti:0.6〜1.2%,Al:0.2〜0.8%でなる成分組成を有するNi合金製のリング圧延素材101、実施例の製造方法を用いて、耐熱合金素材を最終製品に圧延加工する際、リング圧延素材101の組成、形状やアキシャルロール107に形成した凹部の形状、さらには、リング圧延素材101の初期加熱温度、リングローリングミルにおける各ロールによる圧下力、及びその変化速度シーケンス、圧下時間等の圧延条件を選定することにより、内周と外周の温度の差が200℃以内となるようにリング圧延を行うものである。
すなわち、不安定な圧延状態に陥ることを防ぐため、リング圧延素材101の圧延工程において、リング圧延素材101の内周と外周の温度差で管理することが有効であることから、この温度差200℃以内とすることで、安定状態が保たれ、良好な組織を有した耐熱リングが得られる。
実施例1で用いた圧延条件では、主ロールがマンドレルロールより大きいために、リング内外周の歪みに着目すると、内径側の歪みがより多く導入される。したがって、内径が発熱しやすい状態である。一方、外周側は、主ロールとの接触により素材の熱はロールに伝熱されるため、外周部は温度低下の傾向にある。リング圧延実施時は、外周部が主ロールとの接触や、外気への放熱により温度低下が生ずると、概ね厚みの1/2から外周部にかけての素材は、リング自体の拡径を阻害するように作用する。その結果、内径側の素材にはマンドレルロールからの圧下力をより多く負担するようになり、発熱が増大する。
以上の構成の製造方法を用いることにより、圧延中の組織変化を安定して生じせしめることができ、高品質なリング圧延素材を得ることができる。リング圧延中のリング外周及び内周は、非接触式温度計を用いることで、表面の温度を実測するとよい。
100 リング圧延素材の中心軸
105 マンドレルロール
106 主ロール
107A 上アキシャルロール
107B 下アキシャルロール
110 リング圧延素材の高さ方向断面形状

Claims (1)

  1. リング状に予成形された耐熱合金素材からなり、再結晶温度以上に加熱した状態で、その径方向外周面と内周面に対向配置される主ロールとマンドレルロールと、その高さ方向上面と下面に対向配置される上下アキシャルロールを具備するリングローリングミルを用いて、前記主ロールとマンドレルロールの径方向の間隔を狭めることにより、耐熱合金製リングに圧延成形するリング圧延素材の成形方法であって、
    前記上下アキシャルロールとして、平坦な円錐面と、その軸方向端部に凹部を有するアキシャルロールを使用し、この凹部を前記リング圧延素材の高さ方向上面と下面に対向配置させながら、前記主ロールとマンドレルロールの径方向の間隔を狭めつつ、前記凹部の形状、前記リング圧延素材の初期加熱温度、リングローリングミルにおける各ロールによる圧下力、及びその変化速度シーケンス、圧下時間の圧延条件を選定して、圧延工程時における前記リング圧延素材の内周面と外周面の温度差を200度以内とすることにより、前記リング圧延素材の高さ方向の断面形状が、その高さ方向を二分する中心線の内径側及び外径側の少なくとも一方に向けて、高さが減少するテーパー形状を形成するリング圧延素材の成形方法。
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