JP5731694B2 - ポータブルトイレ - Google Patents

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Description

本発明は、ポータブルトイレに関する。ここで、ポータブルトイレは、例えば、ベッド脇に置かれて介護用に用いることができるトイレである。ポータブルトイレは、介護用トイレや簡易トイレなどとも称されうる。
例えば、特許文献1には、ポータブルトイレの脱臭構造が開示されている。ここで開示されたポータブルトイレでは、便器本体の後部に脱臭装置が設けられている。便器本体の上面には、トレイが配置されている。当該トレイの内部には、脱臭ダクトが形成されている。また、当該トレイの側周面には、脱臭ダクトの吸引口が形成されている。なお、特許文献1では、ポータブルトイレは「携帯用便器」、トレイは「受け板」、脱臭ダクトは「臭気吸引ダクト」とそれぞれ称されている。
特許第3826020号公報
ここで提案されるポータブルトイレは、便器本体と、脚と、バケツと、バケツの周りを受けるトレイとを備えている。ここで、便器本体は、上下に組み合わされる上側部材と下側部材とを備えている。上側部材は、上面部と、上面部の周縁から周方向に連続して下方に延びた側面部とを有している。下側部材は、底部と、底部の周縁から周方向に連続して上方に延び、かつ、上側部材の側面部と組み合わされた側面部とを有している。底部の前後左右の隅部には、それぞれボスが設けられている。下側部材の後部において、下側部材の側面部が前方に向けて凹んでおり、かつ、当該凹んだ部分では、下側部材と上側部材とが当接している。脚は、ボスに装着される脚部を備えている。トレイは、上側部材の上面部に取付けられている。バケツは、上面部に取付けられたトレイの中央部に支持されている。

トレイは、後部の中央部分に、脱臭装置に臭気が吸引される開口を有していてもよい。また、バケツの上縁には取っ手が取付けられており、バケツが前記トレイに支持された状態において、取っ手は後方に廻されて、トレイの後部に配置されてもよい。また、トレイは、上側部材の上面部に配置され、バケツは、当該トレイの中央部分に配置されてもよい。また、上側部材の上面部には、トレイの外縁が収まるように凹んだ段差が設けられていてもよい。また、バケツの上縁は、周方向に連続して外側に屈曲しており、トレイの中央部分のバケツが収められる部位の周縁に引っ掛けられて載置されていてもよい。
また、特許文献1のポータブルトイレにおいて、例えば、脱臭ダクトは、トレイに設けられているが、トレイへの取り付けや取り外しが複雑であった。ここでは、ポータブルトイレについて、全く新しい脱臭ダクトの構造を提案する。
かかる観点において、ここで提案されるポータブルトイレは、便器本体と、脱臭ダクトとを備えている。ここで、便器本体は、バケツを収容する収容部と、脱臭ダクトが配置される脱臭ダクト配置部とを有している。脱臭ダクト配置部は、配置される脱臭ダクトに対向する側面を有し、かつ、当該側面にガイドを有している。脱臭ダクトは、ガイドに係合し、当該ガイドに沿って案内される係合部を有している。
また、ここで、脱臭ダクト配置部は、側面として、当該脱臭ダクト配置部に配置された脱臭ダクトを挟む2つの側面を有していてもよい。この場合、当該2つの側面は、脱臭ダクトの外側面に対向し、それぞれ前記ガイドを有しており、脱臭ダクトは、2つの側面に形成されたガイドにそれぞれ装着される少なくとも2つの係合部を有していてもよい。
また、便器本体の脱臭ダクト配置部は、予め定められた一の方向に開放されており、ガイドは、脱臭ダクト配置部の側面の前記一の方向の端部に至っていてもよい。例えば、便器本体は、脱臭ダクト配置部の上部が開放されており、ガイドは、脱臭ダクト配置部の側面の上方の端部に至っていてもよい。
また、脱臭ダクト配置部の予め定められた位置に、ガイドの終端が設定されていてもよい。また、脱臭ダクト配置部は、便器本体の後方に配置されていてもよい。また、脱臭ダクト配置部は、便器本体の後方の中央部に配置されていてもよい。
また、ガイドおよび係合部は、直線に沿って設けられていてもよい。また、ガイドは溝であり、係合部は突起であってもよい。また、ガイドは突出した突出部であり、係合部は突出部に嵌る窪みであってもよい。
また、便器本体に予め定められた位置に配置された脱臭装置を備えていてもよい。この場合、脱臭装置を便器本体に予め定められた位置に配置することによって、脱臭装置と脱臭ダクトが係合し、脱臭ダクト配置部に脱臭ダクトが保持されていてもよい。
また、脱臭ダクトは、脱臭装置が接続される接続口を有していてもよい。この場合、脱臭装置は、接続口に接続される被接続口を有していてもよい。また、接続口と被接続口とは、脱臭ダクト配置部において、ガイドに沿った当該脱臭ダクトが移動しうる方向とは異なる方向において嵌り合っていてもよい。
図1は、ポータブルトイレ10の斜視図である。 図2は、ポータブルトイレ10の斜視図である。 図3は、ポータブルトイレ10の斜視図である。 図4は、ポータブルトイレ10の斜視図である。 図5は、便器本体100の平面図である。 図6は、便器本体100の左側を示す側面図である。 図7は、図6のVII−VII断面矢視図であり、便器本体100の縦断面図である。 図8は、バケツ40とトレイ50が配置された便器本体100の縦断面図である。 図9は、上側部材210の底面図である。 図10は、上側部材210の周縁部の断面を拡大した拡大断面図である。 図11は、下側部材220の平面図である。 図12は、下側部材220の周縁部の断面を拡大した拡大断面図である。 図13は、左側の肘掛300を示す斜視図である。 図14は、肘掛ベース301の中空軸314(414)を横断した横断平面図である。 図15は、ポータブルトイレ10の平面図である。 図16は、便器本体100の平面図である。 図17は、便器本体100の平面図である。 図18は、便器本体100の縦断側面図である。 図19は、脱臭ダクト700およびその周辺を拡大した断面図である。 図20は、脱臭ダクト700が配置される部位およびその周辺を拡大した断面図である。 図21は、脱臭ダクト700の正面図である。 図22は、脱臭ダクト700の左側の側面図である。 図23は、図21のXXIII−XXIII断面の断面図である。 図24は、脱臭ダクト700の背面図である。 図25は、ポータブルトイレ10の変形例に関し、脱臭ダクト700およびその周辺を拡大した断面図である。
以下、ここで提案されるポータブルトイレを図面に基づいて説明する。以下の説明において、ポータブルトイレに関し、前、後、左、右というときは、それぞれ便座に腰掛けた使用者から見た方向を基準にしている。図面には、前(F)、後(Bk)、左(L)、右(R)に対応させて、それぞれ符号F、Bk、L、Rが適宜に付されている。また、各図において同じ作用を奏する部材や部位には、同じ符号を付し、適宜に重複する説明を省略している。
ここでは、まず、ポータブルトイレの概要を説明し、その後、ポータブルトイレの脱臭ダクト配置部およびその周辺部の構造を説明する。
《ポータブルトイレ10》
図1から図4はそれぞれポータブルトイレ10の斜視図である。ここで、図1は、蓋20が開いた状態(蓋20が上げられた状態)を示している。図2は、図1の状態から便座30を上げ、バケツ40の蓋42(バケツ蓋)と、左側の肘掛300とを取り外した状態を示している。図3は、図2の状態からバケツ40を取り外した状態を示すポータブルトイレ10の斜視図である。さらに、図4は、図3の状態からトレイ50(受け板)、蓋20および便座30を取り外した状態を示すポータブルトイレ10の斜視図である。
ポータブルトイレ10は、図1から図4に示すように蓋20と、便座30と、バケツ40と、トレイ50と、便器本体100と、背もたれ250と、肘掛300、400と、脚500、600と、脱臭装置750(図5参照)とを備えている。
《蓋20》
蓋20は、ポータブルトイレ10の便座30に被せられる部材である。この実施形態では、蓋20は、図1に示すように、矩形の部材であり、後ろ側の縁にヒンジ21が取り付けられている。蓋20は、ヒンジ21を軸にして回動する。蓋20は、前後方向の中間部に蝶番22が取り付けられている。蓋20は、蝶番22によって前後方向の中間部で折り曲げることができる。折り曲げられた蓋20は、背もたれ250に設けられた開口251を通すことができる。背もたれ250に設けられた開口251に蓋20を通すことによって、蓋20の姿勢は、背もたれ250の前で便座30の上に配置された姿勢(図15参照)と、背もたれ250の後ろに引き上げた姿勢(図1に示す状態)とで適宜に変えられる。
《便座30》
便座30は、図1に示すように、便器本体100の上面の中央部に配置されている。この実施形態では、便座30は、後部の縁に設けられたヒンジ31を介して便器本体100に取り付けられている。そして、便座30の姿勢は、図1に示すように、便器本体100の上面に配置された姿勢と、図2に示すように、便器本体100の上面から引き上げられた姿勢とで適宜に変えられる。この実施形態では、便座30は、使用者がお尻を受ける座面を有する。便座30の中央には開口32が形成されている。
《バケツ40》
バケツ40は、使用者の排便を受けるバケツであり、「汚物受け」と称されうる。この実施形態では、バケツ40は、上部が開口した底が深い有底の容器である。図3および図4に示すように、便器本体100は、当該バケツ40を収容する窪んだ収容部101を有している。収容部101は、「汚水受け」とも称されうる。バケツ40と収容部101は、異形形状であり、バケツ40は予め定められた向きで収容部101に収められる。図2に示すように、バケツ40の上縁には取っ手41が取り付けられている。バケツ40が収容部101に収容された状態では、取っ手41はバケツ40の後方へ廻される。また、図1に示すように、バケツ40の開口には蓋42(バケツ蓋)が装着される。
《トレイ50》
この実施形態では、図3に示すように、便器本体100の収容部101を囲むように便器本体100の上部にトレイ50が置かれている。トレイ50は、便器本体100の上面に置かれている。トレイ50の上には便座30が配置される。トレイ50の中央部には、収容部101の上部開口に合わせた形状の開口51が形成されている。トレイ50の開口51の縁およびトレイ50の外縁には、上方に向けて連続して立ち上がった壁52、53がそれぞれ設けられている。トレイ50の上に落ちた汚水は、かかる壁52、53によってトレイ50の上面に受けられる。
また、トレイ50には、蓋20のヒンジ21を取り付ける基部54(図1参照)と、便座30のヒンジ31を取り付ける基部55とが設けられている。蓋20のヒンジ21の基部54と、便座30のヒンジ31の基部55とは、それぞれトレイ50の上面の左右両側部にそれぞれ設けられている。蓋20のヒンジ21を取り付ける基部54は、トレイ50の上面において、トレイ50の後端部に設けられている。便座30のヒンジ31を取り付ける基部55は、トレイ50の上面において、蓋20のヒンジ21を取り付ける基部54よりも前側に設けられている。また、トレイ50の外縁の壁53には、後部の中央部分にダクト装着口56が設けられている。ここでは、ダクト装着口56は、便器本体100の左右方向に延びた略長方形状である。また、トレイ50は、当該ダクト装着口56の上縁から後方に延びたカバー部57(図18参照)を備えている。
≪トレイ50の取り外し≫
この実施形態では、図1に示すように、便座30および蓋20をトレイ50に取り付けた状態で、便器本体100からトレイ50を取り外すことができる。なお、トレイ50を便器本体100から取り外す際には、図3に示すように、トレイ50および便器本体100からバケツ40を取り外しておくとよい。そして、便座30および蓋20をそれぞれトレイ50の上に被せた状態(図示省略)で、便座30および蓋20と一緒にトレイ50を、便器本体100から引き上げて取り外すとよい。図4は、上記のように便器本体100からトレイ50が取り外された状態が図示されている。なお、図4では、左側の肘掛300が取り外されているが、背もたれ250および左右両側の肘掛300、400(図1参照)が便器本体100に取り付けられた状態で、トレイ50、便座30および蓋20は、便器本体100から取り外すことができる。
この実施形態では、便器本体100は、脱臭ダクト700を取り付ける脱臭ダクト配置部162と、脱臭装置750を取り付ける脱臭装置配置部161とを有している。脱臭ダクト配置部162および脱臭装置配置部161には、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取り付ける取付部材160が取り付けられている。図4に示すように、トレイ50を取り外すことによって、便器本体100の上面部102に、便器本体100の脱臭ダクト配置部162、脱臭ダクト700および脱臭装置750が現われる。
《便器本体100》
次に、便器本体100を説明する。便器本体100は、図4に示すように、収容部101と、上面部102と、外郭部103と、底部104と、脱臭ダクト配置部162と、脱臭装置配置部161とを有している。
ここで、図5は、便器本体100の平面図である。図6は、便器本体100の左側を示す側面図である。図7は、図6のVII−VII断面矢視図であり、便器本体100の縦断面図である。図8は、図7に示された便器本体100の縦断面図に、バケツ40とトレイ50を書き加えたものである。なお、図5は、便器本体100の脱臭ダクト配置部162から取付部材160が取り外された状態が示されている。脱臭装置750が取り付けられる位置は、2点鎖線(仮想線)で示されている。
《収容部101》
図7および図8に示すように、収容部101は、バケツ40が収められた窪んだ部位である。この実施形態では、バケツ40の上縁43は、周方向に連続して外側に屈曲している。バケツ40は、トレイ50の開口51から便器本体100の収容部101に収められ、かつ、トレイ50の開口51の周縁に連続して立ち上がった壁52の上端に、バケツ40の上縁43を引っ掛けて載置されている。この実施形態では、便器本体100の後部には、脱臭装置750を取り付ける脱臭装置配置部161(図5参照)が設けられている。収容部101の後部には、脱臭装置750へ臭気を導く脱臭ダクト700が取り付けられる。また、この実施形態では、収容部101の後部には、脱臭ダクト700からの排水を受ける受け部216および受け部216で受けた排水を収容部101へ導く溝状の排出路216aが設けられている。
《上面部102》
上面部102は、図3、図4、図7および図8に示すように、収容部101の上部周辺に設けられている。上面部102の上には、図1に示すように、便座30が配置される。なお、この実施形態では、図1および図8に示すように、上面部102の上には、トレイ50が配置され、その上に便座30が配置されている。上面部102には、図5に示すように、肘掛取付部211、212と、背もたれ取付部213、214とが設けられている。
《外郭部103、底部104》
外郭部103は、図7に示すように、収容部101の少なくとも外側面111を囲う部位である。底部104は、外郭部103の下端から連続し、便器本体100の底を形成する部位である。ポータブルトイレ10は、便器本体100の少なくとも前面において、上面部102の周縁を形成する面112(この実施形態では、上面部102の周縁の周側面)と、外郭部103を形成する面113(この実施形態では、外郭部103の側面)とが連続している。さらに、外郭部103を形成する面113と、底部104を形成する面114とが連続している。そして、ポータブルトイレ10の脚500、600は、図1に示すように、便器本体100の底部104の左右にそれぞれ独立して取り付けられている。
なお、ここで、面が連続しているとは、外観上、面が一連に連なっていることをいう。例えば、ここでは、便器本体100の少なくとも前面において、ポータブルトイレ10の外郭部103を構成する上面部102の周縁を形成する面112と、外郭部103を形成する面113とは、一連に連なっている。また、この実施形態では、便器本体100は、後述するように上側部材210と下側部材220とで構成されている。ここで、上側部材210と下側部材220とは、外側面が一連に連なるように組み合わされている。かかる箇所では、「面が連続している」とする。また、意匠上の多少の凹凸や段差などは、問題としない。
このポータブルトイレ10では、図1、図6、図7および図8に示すように、バケツ40を収容している収容部101の外側面111が外郭部103に囲われている。このため、バケツ40を収容している収容部101が外観上見えにくい。また、ポータブルトイレ10の前面において、上面部102の周縁を形成する面112と、外郭部103を形成する面113とが連続している。また、外郭部103を形成する面113(この実施形態では、外郭部103の側面)と、底部104を形成する面114とが連続している。つまり、ポータブルトイレ10の前面において、便器本体100を構成する部材の縁が下方に張り出していない。このため、ポータブルトイレ10の前面では、使用者および介助者の足が、ポータブルトイレ10の下端に引っ掛かりにくい。
さらにポータブルトイレ10の前面において、便器本体100の外郭部103は、上面部102の周縁から底部104へ向かうにつれて後方に傾斜している。このため、図1に示すように、ポータブルトイレ10に座った使用者が体の近くに足を引き寄せる空間S1が、ポータブルトイレ10の前面下部、使用者の足元に形成されている。ポータブルトイレ10の前面下部にこのような空間S1があると、使用者は、ポータブルトイレ10に座った状態で、自らの重心の近くに足を引き寄せることができ、ポータブルトイレ10から立ち上がりやすくなる。また、介助者にとっても、ポータブルトイレ10の前面に足を踏み入れる空間S1があるので、ベッドとポータブルトイレ10との間で使用者が乗り移るのを介助するのが容易になる。また、この実施形態では、便器本体100の外郭部103は、ポータブルトイレ10の前面と左右の両側面とが連続した面で形成されており、上面部102の周縁から底部104へ向かうにつれて少し内側に傾斜している。かかる外郭形状によって、使用者がベッドに乗り移る際に、便器本体100が邪魔になりにくい。
《上側部材210と下側部材220》
この実施形態では、ポータブルトイレ10は、樹脂製(樹脂成形品)である。便器本体100は、上側部材210と下側部材220とを備えている。上側部材210と下側部材220とは上下に組み合わされている。かかる構造によって、樹脂成形による便器本体100の作製を容易にし、かつ、便器本体100に所要の剛性を確保している。
この実施形態では、上下に組み合わされた上側部材210と下側部材220の後部の中央部には、図5に示すように、前方に向けて窪んだ窪み215が設けられている。また、当該窪み215の前面の上部中央は下方に窪んでおり、上述した収容部101の後部に通じる受け部216および溝状の排出路216aが設けられている。当該便器本体100の後部の窪み215には、図4に示すように、取付部材160が取り付けられ、脱臭ダクト700を配置する脱臭ダクト配置部162と、脱臭装置750を配置する脱臭装置配置部161とが設けられている。
ここで、上側部材210には、便器本体100のうち収容部101と上面部102とが含まれている。下側部材220には、外郭部103の少なくとも一部と底部104とが含まれている。なお、上側部材210は、収容部101と上面部102とが含まれているとよく、外郭部103の一部(上部)が含まれていてもよい。また、下側部材220には、外郭部103の少なくとも一部(下部)と底部104とが含まれているとよく、外郭部103の一部(上部)が含まれていなくてもよい。また、上面部102と外郭部103、および、外郭部103と底部104などは、境界が明確に定められるものではない。
《上側部材210》
図9は、上側部材210の底面図である。図10は、上側部材210の周縁部の断面を拡大した拡大断面図である。この実施形態では、上側部材210は、一体的な成形品である。上側部材210には、図5、図8および図9に示すように、バケツ40が収容される収容部101と、上面部102とが含まれている。また、上面部102には、肘掛取付部211、212と、背もたれ取付部213、214とが設けられている。肘掛取付部211、212と、背もたれ取付部213、214とについては、後で述べる。
図9に示すように、上側部材210の周縁は全周にわたって下方に屈曲している。上側部材210の下縁210aには、図10に示すように、凡そ全周にわたって内側に段差210a1を有し、外側面に沿って下方に延びた係合片210a2が設けられている。
上側部材210の周縁には、図9に示すように、上側部材210と下側部材220とを組み付けるための複数のピン210bが設けられている。ピン210bは、便器本体100の内側に設けられており、上側部材210の底面において下方に突出している。この実施形態では、ピン210bは、略矩形の上側部材210の四隅に設けられている。また、上側部材210の周縁には、上側部材210と下側部材220とを組み付けるための複数のねじ穴210cが形成されている。また、上側部材210の裏面(内面)には、リブが適当に配置されている。また、収容部101の底101aには、底の周縁に沿って下方に突出した底面リブ101a1がある。また、上側部材210の後部の中央部に設けられた窪み215の周縁部には、脱臭装置750を取り付けるための取付孔210dが形成されている。
《下側部材220》
図11は、下側部材220の平面図である。図12は、下側部材220の周縁部の断面を拡大した拡大断面図である。この実施形態では、下側部材220は、一体的な成形品である。下側部材220には、底部104と、外郭部103とが含まれている。下側部材220は、全体として有底の略矩形の箱形状であり、底部104には、上側部材210の収容部101の底101aに対向する部位に開口104aが形成されている。開口104aの縁には、周方向に連続した突起104a1が設けられている。当該突起104a1は、上側部材210と下側部材220とを上下に組み合わせた際に、上側部材210の収容部101の底101aに形成された底面リブ101a1の内側において立ち上がった状態になる。また、便器本体100の底部104には、脚500、600の脚部501、502、601、602の上端が装着されるボス121〜124が設けられている。この実施形態では、ボス121〜124は、下側部材220の底部104の前後左右の隅部に設けられている。
図11に示すように、底部104は全周にわたって上方に屈曲し、外郭部103に連続している。下側部材220の上縁220aには、図12に示すように、凡そ全周にわたって外側に段差220a1を有し、内側面に沿って上方に延びた係合片220a2が設けられている。
また、下側部材220の周縁には、図11に示すように、上側部材210に設けられた複数のピン210bに対応する位置にピン穴220bが設けられている。ピン穴220bは、便器本体100の内側に設けられており、上側部材210に設けられたピン210bがそれぞれ嵌りうる内径を有している。この実施形態では、ピン穴220bは、略矩形の下側部材220の四隅に設けられている。また、下側部材220の周縁には、上側部材210に形成されたねじ穴210cに対応する位置にねじ穴220cが形成されている。また、下側部材220の底面には、リブが適当に配置されている。特に、脚500、600が取り付けられるボス121〜124の周囲にはリブ121a〜124aが放射状に設けられおり、所要の強度が確保されている。
《上側部材210と下側部材220の組み付け》
図7に示すように、上側部材210の下縁210aと下側部材220の上縁220aとは、互いに内外に嵌り合っている。この実施形態では、図10に示すように、上側部材210の下縁210aには、凡そ全周にわたって内側に段差210a1を有し、外側面に沿って下方に延びた係合片210a2が設けられている。下側部材220の上縁220aには、凡そ全周にわたって外側に段差220a1を有し、内側面に沿って上方に延びた係合片220a2が設けられている。この実施形態では、図7に示すように、外側面に沿って下方に延びた上側部材210の係合片210a2(図10参照)と、内側面に沿って上方に延びた下側部材220の係合片220a2(図12参照)とが内外に嵌り合っている。
この実施形態では、上側部材210と下側部材220のうち、一方(この実施形態では、上側部材210)にピン210bが設けられ、他方(この実施形態では、下側部材220)にピン210bが嵌るピン穴220bが設けられている。そして、上側部材210と下側部材220とが組み合わされる際に、ピン210bがピン穴220bに装着されている。また、上側部材210と下側部材220に設けられたねじ穴210c、220cは、上側部材210と下側部材220とが組み合わされる際に穴が合い、ビスで止められる。これにより、便器本体100は一体化される。なお、この実施形態では、上側部材210にピン210bが設けられ、かつ、下側部材220にピン穴220bが設けられている。便器本体100は、これに限らず、下側部材220にピンが設けられ、かつ、上側部材210にピン穴が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、ピン210bとピン穴220bは、それぞれ便器本体100の内側に設けられており、便器本体100の外観上現われていない。このため、かかるピン210bとピン穴220bは、ポータブルトイレ10の外観において美感を損なわない。
《水抜き穴》
また、便器本体100の側面には、水抜き穴が形成されている。この実施形態では、図11に示すように、下側部材220の後部において、上縁220aに水抜き穴となる切欠き220dが形成されている。当該切欠き220dは、上側部材210と下側部材220とが組み合わせた状態で水抜き穴になる。例えば、ポータブルトイレ10を水洗いした際に、便器本体100内に水が入る。この際、下側部材220の内部に設けられたリブ121a〜124aに水が残留する。このような場合に、ポータブルトイレ10の後部を下に向けて放置すると、リブ121a〜124aを伝って、ポータブルトイレ10の後部の水抜き穴から便器本体100の外に水が排出される。このような水抜き穴は、便器本体100の側面に形成されているとよい。なお、この実施形態では、水抜き穴は、便器本体100の後側の側面に形成されているが、水抜き穴は、便器本体100の左右の側面に設けられていてもよいし、便器本体100の前面に設けられていてもよい。
次に、便器本体100に設けられた肘掛取付部211、212と、肘掛取付部211、212に取り付けられる肘掛300、400とを説明する。
《肘掛300、400》
ここで、図13は、左側の肘掛300を示す斜視図である。肘掛300、400は、凡そ同様の構造を有している。図13中のカッコ内の符号は、右側の肘掛400の符号を示している。ここでは、左側の肘掛300には300番台の符号を付し、右側の肘掛400の各部位には、左側の肘掛300の各部位に対応させて400番台の符号を付している。
肘掛300(400)は、図13に示すように、肘掛ベース301(401)と、肘掛本体302(402)と、高さ調節機構303(403)とを備えている。
《肘掛ベース301(401)》
肘掛ベース301(401)は、基部311(411)と、2本の中空の支柱312、313(412、413)と、中空軸314(414)とを備えている。基部311(411)は、便器本体100の上側部材210に前後方向に沿って配置される長手のプレートである。2本の支柱312、313(412、413)は、基部311(411)の前後両端部に配置されている。基部311(411)は、2本の支柱312、313(412、413)の中間部の下端よりの位置に架け渡されている。
基部311(411)には、係合突起321(421)と、差込穴322(422)とがある。係合突起321(421)は、基部311(411)の下面から、基部311(411)の長手方向に沿って下方に突出した突起である。差込穴322(422)は、基部311(411)の中間部前よりに形成されており、肘掛300、400を上側部材210に固定する固定ピン350(450)(図1参照)を挿し込む貫通した穴である。また、後側の支柱313(413)の外周面には、上下に連続して後方に突出した係合片323(423)が設けられている。肘掛ベース301(401)の中空軸314(414)は、基部311(411)よりも高い位置において、前後一対の支柱312、313(412、413)に架設されている。図1に示す例では、右側の肘掛ベース401の前側の支柱412に、トイレットペーパーホルダ60が取り付けられている。
《肘掛本体302(402)》
肘掛本体302(402)は、肘掛部341(441)と、可動軸342、343(442、443)とを備えている。肘掛部341(441)は、ポータブルトイレ10の使用者が肘を掛ける部位である。この実施形態では、肘掛部341(441)は、長手の形状を有しており、ポータブルトイレ10の左右において前後方向に延びた状態で設けられる。可動軸342、343(442、443)は、肘掛部341(441)の下部の前後に離れた位置において下方に延びている。肘掛本体302(402)の前後の2本の中空の可動軸342、343(442、443)が、肘掛ベース301(401)の2本の中空の支柱312、313(412、413)に挿入されている。
《高さ調節機構303(403)》
高さ調節機構303(403)は、肘掛部341(441)の高さを調整する機構である。高さ調節機構303(403)は、肘掛ベース301(401)の中空軸314(414)内に内装されている。図14は、肘掛ベース301(401)の中空軸314(414)を横断した横断平面図である。
図14に示すように、この実施形態では、肘掛本体302(402)の可動軸342、343(442、443)には、穴361、362(461、462)が形成されている。当該穴361、362(461、462)は、図示は省略するが、長さ方向に沿って、複数形成されている。また、肘掛ベース301の支柱312、313(412、413)にも、中空軸314(414)に連通するように貫通した穴363、364(463、464)が形成されている。
高さ調節機構303(403)は、肘掛ベース301の中空軸314(414)の内部に突起381、382(481、482)を有している。突起381、382(481、482)は、可動軸342、343(442、443)に向かって突出するように、中空軸314(414)に装着されている。中空軸314(414)には、バネ383、384(483、484)が内装されている。バネ383、384(483、484)は、中空軸314(414)から支柱312、313(412、413)の内部に突起381、382(481、482)が突出するように突起381、382(481、482)を付勢するかかる突起381、382(481、482)は、中空軸314(414)に沿ってスライド可能に取り付けられた摘み385、386(485、486)と一体的な部材である。摘み385、386(485、486)を操作することによって、支柱312、313(412、413)の内部に突出した突起381、382(481、482)は、支柱312、313(412、413)から引き抜かれる。
当該突起381、382(481、482)は、支柱312、313(412、413)の内部に突出した状態では、肘掛本体302(402)の可動軸342、343(442、443)の穴361、362(461、462)に嵌る。この際、可動軸342、343(442、443)の長さ方向に沿って形成された複数の穴361、362(461、462)のうち、何れかの穴に当該突起381、382(481、482)を嵌めるとよい。突起381、382(481、482)を嵌める穴361、362(461、462)を変えることによって、肘掛部341(441)の高さが調整される。つまり、かかる高さ調節機構303(403)によって、肘掛ベース301(401)の2本の中空の支柱312、313(412、413)に対し、肘掛本体302(402)の可動軸342、343(442、443)が挿入された長さが変化する。これにより、便器本体100に対する肘掛部341(441)の高さが調整される。
《肘掛取付部211、212》
上側部材210には、かかる肘掛300、400が取り付けられる肘掛取付部211、212が設けられている。肘掛取付部211、212は、上側部材210の上面部102の左右において、それぞれ肘掛300、400を取り付ける位置に設けられている。肘掛取付部211、212は、それぞれ左右の肘掛300、400の下部に対応した形状を有している。
肘掛取付部211、212は、図2、図5および図13に示すように、それぞれ肘掛300、400の基部311(411)が嵌る前後に延びた長手の窪み221、222を有している。当該窪み221、222には、縦穴223、224、225、226と、係合溝227、228と、鍵穴231、232が形成されている。上側部材210の裏面には、特に肘掛取付部211、212の裏面にリブが多く配置されている。かかるリブによって肘掛300、400のぐらつきが小さく抑えられるとともに所要の耐荷重を確保することができる。
ここで、左側の窪み221には、左側の肘掛300の基部311(図13参照)が嵌る。また、左側の窪み221に形成された縦穴223、225には、基部311から下方に突出した支柱312、313(図13参照)の下端部312a、313aがそれぞれ嵌る。左側の窪み221に形成された係合溝227には、左側の肘掛300の基部311の下面から下方に突出した係合突起321(図13参照)が嵌る。さらに、左側の窪み221に形成された鍵穴231は、左側の肘掛300の基部311に形成された差込穴322に対応する位置に形成されている。当該左側の肘掛300は、支柱312、313(図13参照)の下端部312a、313aを、便器本体100の肘掛取付部211の縦穴223、225に挿入し、基部311を窪み221に嵌める。そして、差込穴322および鍵穴231に固定ピン350(図1参照)を装着する。これによって、左側の肘掛300を便器本体100に固定することができる。
また、右側の窪み222には、右側の肘掛400の基部411が嵌る。また、右側の窪み222に形成された縦穴224、226には、基部411から下方に突出した支柱412、413(図13参照)の下端部412a、413aがそれぞれ嵌る。右側の窪み222に形成された係合溝228には、右側の肘掛400の基部411の下面から下方に突出した係合突起421(図13参照)が嵌る。さらに、右側の窪み222に形成された鍵穴232は、右側の肘掛400の基部411に形成された差込穴422に対応する位置に形成されている。そして、当該右側の窪み222に右側の肘掛400の基部411を嵌めて、差込穴422および鍵穴232に固定ピン450(図1参照)を装着することによって、右側の肘掛400を便器本体100に固定することができる。
ここで、高さ調節機構303(403)の摘み385、386(485、486)は、図1に示すように、肘掛ベース301(401)の中空軸314(414)の左右両側に設けられている。このため、肘掛300、400の高さ調節機構303(403)は、ポータブルトイレ10の内側および外側の両側からも操作できる。
図15は、ポータブルトイレ10の蓋20を閉じた状態での平面図である。この実施形態では、左右の肘掛300、400は、平面視において、肘掛ベース301の支柱312、313(412、413)の中心軸を結ぶ線C1に対して、肘掛部341(441)が内側に張り出している長さL1と、外側に張り出している長さL2が異なる。例えば、図15に示すように、この実施形態では、肘掛部341(441)が内側に張り出している長さL1は、外側に張り出している長さL2よりも長い。また、便器本体100の肘掛取付部211、212は、左右で同じ構造を有している。つまり、左の肘掛300を右側の肘掛取付部212に取り付けることができ、右の肘掛400を左側の肘掛取付部211に取り付けることができる。左右の肘掛300、400を入れ替えることで、ポータブルトイレ10における肘掛部341(441)の間隔L3を変えることができる。これにより、使用者の体格に応じて、肘掛部341(441)の間隔L3を調整できる。
なお、この実施形態では、左側の肘掛ベース301に取り付けられた肘掛本体302を、右側の肘掛ベース401に取り付け、右側の肘掛ベース401に取り付けられた肘掛本体402を、左側の肘掛ベース301に取り付けることができる。左右の肘掛ベース301、401に対して、左右の肘掛本体302、402を入れ替えることによって、左右の肘掛部341、441の間隔L3を調整してもよい。
また、左右の肘掛300、400は、使用者や介助者のニーズに応じて適宜に取り外すことができる。また、ポータブルトイレ10は、便器本体100から肘掛300、400を取り外した際に、便器本体100の肘掛取付部211、212に被せることができるカバーが付属されているとよい。かかるカバーは、肘掛取付部211、212に取り付けられた際に、便器本体100の上面を平坦にする形状であるとよい。
また、肘掛ベース301(401)の後側の支柱313(413)の外周面に、上下に連続して後方に突出した係合片323(423)は、後述する背もたれ250に形成された係合溝256、257(図1〜図4参照)にそれぞれ係合している。
《背もたれ250》
次に、ポータブルトイレ10の背もたれ250と、便器本体100の背もたれ取付部213、214とを説明する。背もたれ取付部213、214は、図5に示すように、便器本体100の上面において、後部の左右両側にそれぞれ設けられている。背もたれ250は、図1に示すように、便器本体100の上面において、蓋20を後方に通すことができる開口251を有している。この背もたれ250は、左右の柱部252、253と、背もたれ部254と、クッション255とを備えている。柱部252、253は、ポータブルトイレ10の背部において、便器本体100の左右両側に設けられた背もたれ取付部213、214に取り付けられる。柱部252、253は、便器本体100の背もたれ取付部213、214から上方に立ち上がっている。背もたれ部254は、柱部252、253の上端に架け渡されている。クッション255は、背もたれ部254の前面に取り付けられている。また、背もたれ250の下端部の前面には、肘掛300、400の係合片323、423が係合する係合溝256、257が形成されている。
《脚500、600》
次に、脚500、600は、図1に示すように、それぞれ2本の脚部501、502(601、602)と、フロントベース部503(603)と、リヤベース部504(604)と、連結部505(605)とを備えている。なお、ここで、左側の脚500の各部材および部位には500番台の符号を付している。右側の脚600の各部材および部位には、左側の脚500に対応させて、600番台の符号を付している。また、右側の脚600の、脚部602と、リヤベース部604と、連結部605とは、図1において、便器本体100に隠れており、図示されていない。右側の脚600の脚部602と、リヤベース部604と、連結部605とは、それぞれ左側の脚500の脚部502と、リヤベース部504と、連結部505と凡そ左右が対象な構造を有している。
2本の脚部501、502(601、602)は、便器本体100の左右において、それぞれ前後に配置されている。この実施形態では、脚部501、502(601、602)の上端は、便器本体100の底部104には設けられたボス121〜124(図11参照)に装着されている。脚部501、502(601、602)は、長さを調節する構造(長さ調節構造800)を備えている。脚部501、502(601、602)の長さを調節することによって、ポータブルトイレ10の便座30の高さを調整することができる。
フロントベース部503(603)は、前側の脚部501(601)の下端から前方に延びた部位である。リヤベース部504(604)は、後ろ側の脚部502(602)の下端から後方に延びた部位である。この実施形態では、リヤベース部504(604)の後端には、キャスター506(606)が取り付けられている。図1では、右側のリヤベース部604(図15参照)および右側のリヤベース部604の後端に取り付けられたキャスター606(図15参照)は、便器本体100に隠れており、図示されていない。
この実施形態では、便器本体100の下に2本の脚部501、502(601、602)があり、フロントベース部503(603)が、前側の脚部501(601)の下端から前方に延びている。また、リヤベース部504(604)は、後ろ側の脚部502(602)の下端から後方に延びている。つまり、このポータブルトイレ10は、単純な4本足の椅子のような構造ではない。かかるフロントベース部503(603)によって、ポータブルトイレ10は前方へ転倒するのが確実に防止されている。また、かかるリヤベース部504(604)によって、ポータブルトイレ10は後方へ転倒するのが確実に防止されている。
また、このポータブルトイレ10は樹脂製である。このような樹脂製のポータブルトイレ10は、一般的には、木製の簡易トイレなどと比べると、全体が軽量であるとともに剛性が低く、全体として撓みやすい。例えば、ポータブルトイレ10の使用者が、肘掛300、400の肘掛部341、441の前側に体重を掛けて立ち上がろうとする場合に撓みやすい。このポータブルトイレ10は、ポータブルトイレ10の使用者が、肘掛300、400の肘掛部341、441の前側に体重を掛けて立ち上がろうとする場合に、前方へ傾くように力が掛かる。しかし、脚500が便器本体100の前方へ延びた脚500、600のフロントベース部503、603によって、ポータブルトイレ10が前方への倒れるのが防止される。
また、この実施形態では、ポータブルトイレ10の下部後方にはリヤベース部504(604)が延びている。例えば、介助者が背もたれに体重を掛けて、介助作業を行うような場合でも、かかるリヤベース部504(604)によって、ポータブルトイレ10が後方へ倒れるのを防止できる。
またポータブルトイレ10には、脚500、600の脚部501、502(601、602)の基端にも大きな力が作用する。この実施形態では、便器本体100の底部104に、脚部501、502(601、602)の上端が装着されるボス121〜124(図11参照)が設けられている。さらに、当該ボス121〜124の周囲にリブ121a〜124aが放射状に設けられおり、所要の強度が確保されている。かかるリブ121a〜124aによって、脚部501、502(601、602)の上端が装着されたボス121〜124に所要の剛性が確保されている。このため、脚部501、502(601、602)が装着されたボス121〜124の周辺部分の撓みが小さく抑えられ、ポータブルトイレ10の撓みが小さく抑えられる。
また、脚500、600の脚部501、502(601、602)は、便器本体100の底部104に設けられたボス121〜124(図11参照)に装着されている。ここでは図示は省略するが、ボス121〜124は、脚500、600の脚部501、502(601、602)を保持する構造を備えている。また、脚500、600の脚部501、502(601、602)は、ボス121〜124に挿入された長さを調整できる幅がある程度大きく確保されている。これによって、便器本体100の高さを調整できる幅をより大きく確保できる。
また、連結部505(605)は、2本の脚部501、502(601、602)の下端を繋ぐように前後方向に延び、フロントベース部503、603とリヤベース部504(604)とに連続している。かかる連結部505(605)によって、フロントベース部503、603とリヤベース部504(604)とが一体的になる。このため、例えば、ポータブルトイレ10の使用者が、肘掛300、400の前側に体重を掛けて立ち上がろうとする場合に、フロントベース部503、603の撓みやポータブルトイレ10の前方への撓みや、リヤベース部504(604)の後端が浮くのを小さく抑えることができる。
以上のように、ここで提案されるポータブルトイレ10は、図1から図4に示すように、バケツ40と、便座30と、便器本体100と、脚500、600とを備えている。便器本体100は、バケツ40が収められる窪んだ収容部101と、収容部101の上部周辺に設けられ、便座30が配置される上面部102と、収容部101の少なくとも外側面111を囲う外郭部103と、外郭部103の下端から連続し、便器本体100の底を形成する底部104とを有している。
そして、図6に示すように、便器本体100の少なくとも前面において、上面部102の周縁を形成する面112と、外郭部103を形成する面113と、底部104を形成する面114とが連続している。また、脚500、600は、便器本体100の底部104の左右においてそれぞれ独立して取り付けられている。上述したように、このポータブルトイレ10では、使用者および介助者の足が便器本体100の前面下部に引っ掛かりにくい。
また、便器本体100の少なくとも前面において、外郭部103は上面部102の周縁から底部104へ向かうにつれて後方に傾斜している。便器本体100の前面においてポータブルトイレ10に座った使用者が足を引き寄せる所要の空間S1が確保されている。
また、便器本体100は、収容部101と上面部102とを含む上側部材210と、外郭部103の少なくとも一部と、底部104とを含む下側部材220とを備えている。ここでは、上側部材210と下側部材220とが組み合わされている。このように、かかる構成では、便器本体100は、例えば、上下半割型であり、上側部材210と下側部材220の成形が容易になる。
また、この場合、図7に示すように、上側部材210の下縁210aと下側部材220の上縁220aとは、互いに内外に嵌り合っているとよい。かかる構成によって、上側部材210の下縁210aと下側部材220の上縁220aの剛性が確保され、便器本体100全体として高い剛性が得られる。また、この実施形態では、上側部材210と下側部材220とは、それぞれ一体的な成形品で具現化されている。また、便器本体100の上面部には、図3に示すように、収容部101の上部開口を囲うようにトレイ50が配置されている。さらに当該トレイ50の上に便座30が配置されている。かかるトレイ50によって、バケツ40から汚水がこぼれた場合でも、汚水が床に流れ出にくい。
また、この実施形態では、便器本体100の底部104は、図7および図11に示すように、収容部101の底に対向する部位に開口104aを有している。かかる開口により、便器本体100の軽量化が図られている。また、便器本体100の収容部101の外側面111は、全体として外郭部103で囲われている。このため、外観上、バケツ40を収容する部分が見えず、汚物を入れるバケツの印象が薄い。このため、このポータブルトイレ10は、清潔感が高いデザインになっている。
また、収容部101の底101aには、当該底101aの周縁に沿って下方に突出した底面リブ101a1(図9参照)を有している。かかる底面リブ101a1によって、収容部101の底101aの剛性が確保されている。さらに、便器本体100の底部104の開口104aの縁には、収容部101の底面リブ101a1の内側において立ち上がった突起104a1が設けられている。このため、便器本体100を丸洗いした場合に、便器本体100内に水が残留しても、例えば、上側部材210の内面を伝って流れ落ちる水は、収容部101の底面リブ101a1を伝い、下側部材220の底部104で受けられる。下側部材220の底部104に流れた水は、開口104aの縁に設けられた突起104a1よって受けられる。したがって、このポータブルトイレ10は、便器本体100内に残留した水は、容易には便器本体100の底に垂れない。
≪ポータブルトイレ10の脱臭ダクト配置部162およびその周辺部の構造≫
以下、ポータブルトイレ10の脱臭ダクト配置部162およびその周辺部の構造を説明する。
ここで、図16および図17は、それぞれ便器本体100の平面図であり、図16には、便器本体100に取付部材160が取り付けられた状態が図示されている。図17には、取付部材160に脱臭ダクト700および脱臭装置750が取り付けられた状態が図示されている。
図18は、便器本体100の縦断側面図であり、便器本体100に取り付けられた脱臭ダクト700およびその周辺が拡大されている。図18は、図17のXVIII−XVIII断面に相当する断面おける便器本体100の縦断側面図である。ただし、図18では、説明の便宜上、便器本体100の上部にトレイ50が配置され、かつ、便器本体100の収容部101にバケツ40が収容された状態で図示されている点で、図17に図示された状態と異なる。また、図18では、蓋20と便座30は取り外されている。また、脱臭装置750は外観が図示されている。
また、図19は、図17のXIX−XIX断面矢視図において、脱臭ダクト700およびその周辺を拡大した図である。図20は、図16のXX−XX断面矢視図において、脱臭ダクト700が配置される部位およびその周辺を拡大した図である。
このポータブルトイレ10は、図5に示すように、便器本体100の後部の中央部に、前方に向けて窪んだ窪み215が設けられている。さらに、当該窪み215の前面の上部中央は下方に窪んでおり、上述した収容部101の後部に通じる受け部216および溝状の排出路216aが設けられている。当該便器本体100の後部の窪み215には、図4に示すように、取付部材160が取り付けられ、脱臭ダクト700を配置する脱臭ダクト配置部162と、脱臭装置750を配置する脱臭装置配置部161とが設けられている。このように、このポータブルトイレ10は、便器本体100の後部に、脱臭ダクト配置部162と脱臭装置配置部161とを備えている。換言すれば、この実施形態では、当該取付部材160を介して、便器本体100の後部に脱臭ダクト700と脱臭装置750とが取り付けられている。
《取付部材160》
取付部材160は、図16および図18に示すように、脱臭ダクト700と脱臭装置750とを便器本体100に取り付けるための部材である。取付部材160は、脱臭装置750が配置される脱臭装置配置部161と、脱臭ダクト700が配置される脱臭ダクト配置部162とを備えている。
<脱臭装置配置部161>
脱臭装置配置部161は、図16および図18に示すように、脱臭装置750が収容される部位である。この実施形態では、脱臭装置配置部161は、脱臭装置750の下部形状に応じて窪んだ略矩形の容器形状を有している。脱臭装置配置部161の底面の中央部分には孔164が形成されている。また、脱臭装置配置部161の上部および後面上部は大きく開口している。また、脱臭装置配置部161の前面上部の中央部分は窪んでいる。当該窪みの縁は前方に延びており、脱臭ダクト配置部162が設けられている。当該脱臭装置配置部161は、便器本体100の後部の窪み215に装着される。当該脱臭ダクト配置部162は、便器本体100の上面後部の受け部216が設けられた窪みに装着される。
<脱臭ダクト配置部162>
脱臭ダクト配置部162は、脱臭ダクト700が配置される部位である。脱臭ダクト配置部162は、配置される脱臭ダクト700に対向する側面(この実施形態では、側壁162a、162b)を有している。また、当該側壁162a、162bは、脱臭ダクト700を案内するためのガイド(この実施形態では、係合凹部165、166)を有している。
より具体的には、脱臭ダクト配置部162は、上述したように脱臭装置配置部161の前面上部の中央部に設けられた窪みの縁から前方に延びた部位である。脱臭ダクト配置部162は、便器本体100の上面後部の受け部216が設けられた窪みに装着されている。かかる脱臭ダクト配置部162は、図16に示すように、便器本体100の上面後部の受け部216が設けられた窪みの内周面に沿って設けられた側壁162a、162bと、底壁162cを備えている。
脱臭ダクト配置部162の側壁162a、162bは、それぞれガイドとしての係合凹部165、166を有している。この実施形態では、係合凹部165、166は、側壁162a、162bの上端から中央部分に至る直線状の溝であり、互いに対向するように側壁162a、162bに設けられている。
換言すれば、図17に示すように、この実施形態では、脱臭ダクト配置部162は、当該脱臭ダクト配置部162に配置された脱臭ダクト700を挟む2つの側壁162a、162bを有している。2つの側壁162a、162bは、脱臭ダクト700の外側面に対向し、それぞれガイドとしての係合凹部165、166を有している。
ここで、この実施形態では、便器本体100は、脱臭ダクト配置部162の上部が開放されている。そして、脱臭ダクト配置部162に設けられたガイドとしての係合凹部165、166の上端(ここでは、始端)は、脱臭ダクト配置部162の側壁162a、162bの上方の端部に至っている。また、係合凹部165、166の下端(ここでは、終端)は、脱臭ダクト配置部162の予め定められた位置に設定されている。また、この実施形態では、ガイドとしての係合凹部165、166は、直線に沿って設けられている。
また、この実施形態では、脱臭ダクト配置部162の底壁162cは、脱臭ダクト配置部162の両側の側壁162a、162bの下端から連続している。かかる底壁162cは、便器本体100の受け部216の上に一部被さっている。底壁162cには、図18および図19に示すように、後述する脱臭ダクト700の底部から突出した凸部721aが収まるように、切り欠き167が形成されている。この切り欠き167は、脱臭ダクト配置部162の底壁162cの前端の中央部分に、半円弧状に形成されている。
取付部材160のフランジ163は、便器本体100の取付部材160に取り付けられる部位である。この実施形態では、フランジ163は、上述した脱臭装置配置部161および脱臭ダクト配置部162の上端から左右両側へ延びている。ここで、フランジ163の下面には、便器本体100の後部の窪み215の周囲に設けられた取付孔210dに対応した位置に、取付ピン163aが下方に突出するように設けられている。
取付部材160の脱臭装置配置部161は、便器本体100の後部の窪み215に装着され、脱臭ダクト配置部162は便器本体100の受け部216に装着される。そして、フランジ163に設けられた取付ピン163aを、便器本体100の後部の窪み215の周囲に設けられた取付孔210d(図5参照)に嵌めることによって、便器本体100の後部に取り付けられる。このように、便器本体100の後部中央には、便器本体100の上側部材210と下側部材220とは別体の取付部材160が取り付けられている。そして、かかる取付部材160によって、便器本体100の後部中央に、図4および図16に示すように、脱臭装置配置部161および脱臭ダクト配置部162が設けられる。
《脱臭ダクト700》
次に、脱臭ダクト700について説明する。図21は、脱臭ダクト700の正面図である。図22は、脱臭ダクト700の左側の側面図である。図23は、図21のXXIII−XXIII断面の断面図である。図24は、脱臭ダクト700の背面図である。
脱臭ダクト700は、図17および図18に示すように、便器本体100の脱臭ダクト配置部162に取り付けられている。脱臭ダクト700は、図18に示すように、便器本体100の前後方向に開口する略筒状体の部材である。脱臭ダクト700は、図21から図23に示すように、吸引口711と、接続口712と、排出孔713と、係合凸部723、724を備えている。
<吸引口711>
吸引口711は、図21に示すように、脱臭ダクト700の前側の開口であり、脱臭ダクト700に臭気を引き込む入り口である。この実施形態では、脱臭ダクト700の吸引口711は、図18に示すように、トレイ50のダクト装着口56の内側に装着される。このため脱臭ダクト700の吸引口711は、トレイ50のダクト装着口56の内面に応じて、左右方向に広がった略長方形状の開口で形成されている。
<接続口712>
接続口712は、脱臭ダクト700の後側の開口であり、脱臭装置750に接続され、脱臭ダクト700に引き込まれた臭気を脱臭装置750へ送る出口である。この実施形態では、接続口712には、図18に示すように、脱臭装置750の吸引口754が装着される。接続口712は、図19に示すように、脱臭装置750の吸引口754に応じて略四角形状に形成されている。具体的には、図18に示すように、脱臭装置750の吸引口754の周縁は、前方に立ち上った立ち上り部755を有している。かかる立ち上がり部755は、脱臭ダクト700の後端に設けられた接続口712の内側に装着されうる。接続口712の内側形状は、脱臭装置750の立ち上り部755の外側形状よりも若干大きく形成されている。
なお、この実施形態では、脱臭ダクト700の後端に設けられた接続口712は、前端に設けられた吸引口711よりも広く開口している。また、前端に設けられた吸引口711は、後端に設けられた接続口712の高さ方向の中心位置に比べて全体として高い位置に設けられている。
<排出孔713>
排出孔713は、図19に示すように、脱臭ダクト700の底に形成されている。この実施形態では、脱臭ダクト700の底には、凹部721が設けられている。この凹部721は、図18および図19に示すように、排出孔713に向かって徐々に落ち込んでいる。詳しくは、凹部721は、排出孔713に向かう程、傾斜角度が大きくなる曲線状の斜面となっている。また、脱臭ダクト700の底の外側には、凹部721に応じて下方に突出した凸部721aがある。ここでは、凹部721は、脱臭ダクト700の底の中央部分に設けられている。そして、凹部721の中央部分には、排出孔713が形成されている。排出孔713は、脱臭ダクト700内に入り込んだ尿等の液体を脱臭ダクト700の外部へ排出するための孔である。ここでは、排出孔713は、略円形状である。
<係合凸部723、724>
この実施形態では、図19および図21に示すように、脱臭ダクト700の左右両側面の外側には、それぞれ係合凸部723、724が設けられている。この係合凸部723、724は、便器本体100の脱臭ダクト配置部162の係合凹部165、166に係合する。ここでは、係合凸部723、724は、それぞれ脱臭ダクト700の左右両側面の中央部分において左右両側に突出している。係合凸部723、724は、上下方向に縦長な楕円形状であり、それぞれ脱臭ダクト配置部162の係合凹部165、166に装着されうる形状を有している。
《脱臭装置750》
次に、脱臭装置750について説明する。脱臭装置750は、図18に示すように、ケース752と、蓋753と、を備えている。ケース752は、略矩形の容器であり、上端が開口している。ここでは、ケース752は、前側部材752aと、後側部材752bとを有している。前側部材752aは、ケース752を前後に半割した状態における前側部分を構成している。後側部材752bは、ケース752を前後に半割した状態における後側部分を構成している。前側部材752aと後側部材752bとを組み合わせることによって、上端が開口した矩形の容器となる。蓋753は、前側部材752aと後側部材752bとを組み合わせたケース752の上端を閉じる部材である。ここでは、ケース752には、臭気を吸引するための臭気吸引ファン(図示せず)、および、取り込んだ臭気を脱臭するための脱臭剤(図示せず)等が内装されているとよい。
また、ケース752の前面の上部には、吸引口754が形成されている。吸引口754は、脱臭装置750内に臭気を取り込む部位である。また、吸引口754の周縁には、ケース752の前面から前方へ立ち上った立ち上り部755が設けられている。また、ケース752の底面には、排出口(図示せず)が形成されている。この排出口は、脱臭装置750内に取り込まれた臭気が脱臭剤によって脱臭され、その脱臭された空気が排出される部位である。
≪脱臭ダクト700および脱臭装置750の装着≫
図17および図18に示すように、脱臭ダクト700は、便器本体100の脱臭ダクト配置部162に装着され、脱臭装置750は、便器本体100の脱臭装置配置部161に装着される。
まず、脱臭ダクト700は、脱臭ダクト700の吸引口711を便器本体100の収容部101に向けて、脱臭ダクト配置部162の上側から、脱臭ダクト配置部162に装入される。このとき、脱臭ダクト700の左右両側の係合凸部723、724は、それぞれ脱臭ダクト配置部162の左右両側の係合凹部165、166に嵌められる。この際、係合凸部723、724は、係合凹部165、166の上端から係合凹部165、166に沿って挿入され、脱臭ダクト配置部162の予め定められた位置に収められる。この実施形態では、脱臭ダクト700の係合凸部723、724の下端が、脱臭ダクト配置部162の係合凹部165、166の下端に当接した位置で、脱臭ダクト配置部162に対する脱臭ダクト700の位置が定まる。かかる係合凹部165、166と係合凸部723、724との係合によって、脱臭ダクト700は、脱臭ダクト配置部162に対して前後方向および左右方向に位置決めされる。
また、この実施形態では、脱臭ダクト700の底には、下方に突出した凸部721aがあるが、脱臭ダクト700が脱臭ダクト配置部162に装着された際には、当該凸部721aは、脱臭ダクト配置部162の底壁162cに形成された切り欠き167に収まる。このように、脱臭ダクト700は、この実施形態において、便器本体100に取り付けられる取付部材160に干渉することなく、脱臭ダクト配置部162の予め定められた位置に配置されている。また、当該凸部721aには、脱臭ダクト700の排出孔713が形成されている。当該排出孔713の下方には、便器本体100の受け部216が配置されている。
次に、脱臭装置配置部161に脱臭装置750が取り付けられる。図18に示すように、この実施形態では、脱臭装置配置部161は、上部および後面上部が大きく開口している。脱臭装置750は、上部を斜め後ろに少し傾けた状態で、脱臭装置配置部161に装入される。そして、脱臭装置750は、吸引口754の周縁から前方に立ち上った立ち上り部755を脱臭ダクト700の接続口712に挿入しつつ、脱臭装置配置部161に収容される。かかる脱臭装置750の立ち上り部755が脱臭ダクト700の接続口712に挿入されることによって、脱臭ダクト700は上下方向の動きが規制される。以上のようにして、脱臭ダクト700および脱臭装置750は、取付部材160を介して便器本体100の脱臭装置配置部161に配置されている。
この実施形態では、図3および図4に示すように、脱臭ダクト700および脱臭装置750を便器本体100に取り付けた状態で、便器本体100の上部にトレイ50が配置される。この際、図18および図19に示すように、脱臭ダクト700の吸引口711の外側に、トレイ50の後部のダクト装着口56が被せられる。また、トレイ50のカバー部57が、脱臭ダクト700の上に配置される。また、トレイ50の後部は、脱臭装置750の上に被さる。また、脱臭ダクト700の吸引口711は、収容部101に向けて開口している。
このように、脱臭ダクト700は、便器本体100からバケツ40およびトレイ50が取り外された状態において、便器本体100に取り付けられた取付部材160に対して着脱可能に取り付けられている。換言すると、脱臭ダクト700は、便器本体100に対して着脱可能に取り付けられている。
使用時には、図2に示すように、便器本体100の収容部101には、バケツ40が収容される。さらに、図1に示すように、バケツ40の上には便座30が配置される。さらに、便座30の開口には、使用者の臀部が嵌る。このため、脱臭装置750を作動させることによって、バケツ40の臭気は、便座30の下面とトレイ50の上面、あるいは、便器本体100の上面との隙間、脱臭ダクト700の吸引口711および脱臭ダクト700を通じて、脱臭装置750に吸引される。また、この実施形態では、脱臭ダクト700の底に排出孔713が形成されている。さらに、排出孔713の下方には、便器本体100の受け部216があり、受け部216には便器本体100の収容部101に通じる排出路216aが設けられている。このため、脱臭ダクト700に水が入り込んでも、排出孔713から受け部216に排出された水は、排出路216aを通じて便器本体100の収容部101に流れていく。また、脱臭ダクト700は、上述したように便器本体100から取り外すことが簡単であるから、取り外して洗うことも可能である。
以上のとおり、このポータブルトイレ10は、便器本体100と、脱臭ダクト700とを備えている。便器本体100は、バケツ40を収容する収容部101と、脱臭ダクト700が配置される脱臭ダクト配置部162とを有している。脱臭ダクト配置部162は、配置される脱臭ダクト700に対向した側壁162a、162b(側面)を有しており、側壁162a、162b(側面)は、係合凹部165、166(ガイド)を有している。脱臭ダクト700は、係合凹部165、166(ガイド)に係合し、係合凹部165、166(ガイド)に沿って案内される係合凸部723、724を有している。かかるポータブルトイレ10によれば、脱臭ダクト700が便器本体100に対して簡単に着脱できるように取り付けられている。このため、脱臭ダクト700を取り外して洗うことが簡単に行える。
また、図16に示すように、脱臭ダクト配置部162は、脱臭ダクト700を挟む2つの側壁162a、162b(側面)を有してもよい。この場合、当該2つの側壁162a、162b(側面)は、脱臭ダクト700の外側面に対向し、それぞれ係合凹部165、166(ガイド)を有しているとよい。この場合、脱臭ダクト700は、2つの側壁162a、162b(側面)に形成された係合凹部165、166(ガイド)にそれぞれ装着される少なくとも2つの係合部を有していてもよい。
また、上述した実施形態では、便器本体100は、脱臭ダクト配置部162の上部が開放されている。そして、係合凹部165、166(ガイド)は、脱臭ダクト配置部162の側面の上方の端部に至っている。このため、脱臭ダクト700は、脱臭ダクト配置部162の上方から、簡単に取り付けたり取り外したりできる。
なお、ここでは、脱臭ダクト配置部162は、上方に開放された例を例示したが、脱臭ダクト配置部162が開放されている方向は、上方でなくてもよい。例えば、脱臭ダクト配置部162は、図示は省略するが、側方あるいは後方に開放されており、当該開放された方向にガイドが延びているとよい。つまり、便器本体100の脱臭ダクト配置部162は、予め定められた一の方向に開放されており、係合凹部165、166(ガイド)は、脱臭ダクト配置部の側面の前記一の方向の端部に至っているとよい。この場合、脱臭ダクト700は、係合凹部165、166(ガイド)に沿って、脱臭ダクト配置部162が開放された方向に、簡単に取り付けたり取り外したりできる。
また、脱臭ダクト配置部162の予め定められた位置に、係合凹部165、166(ガイド)の終端が設定されていてもよい。この場合、係合凹部165、166(ガイド)の終端まで脱臭ダクト700を挿入することによって、脱臭ダクト700は、脱臭ダクト配置部162の予め定められた位置に取り付けられる。
また、脱臭ダクト配置部162は、便器本体100の後方に配置されていてもよい。この場合、脱臭ダクト配置部162は、便器本体100の後方の中央部に配置されていてもよい。かかる位置に脱臭ダクト配置部162を配置することによって、脱臭ダクト700を目立ち難くできる。
また、脱臭ダクト配置部162の係合凹部165、166(ガイド)および脱臭ダクト700の係合凸部723、724(係合部)は、直線に沿って設けられているとよい。つまり、上述した実施形態では、図20に示すように、脱臭ダクト配置部162に装着された係合凹部165、166(ガイド)が直線に沿って形成されている。これに対して、脱臭ダクト700の係合凸部723、724は、図22に示すように、縦長の突起である。そして、脱臭ダクト700の係合凸部723、724は、脱臭ダクト配置部162の係合凹部165、166の直線に沿って、当該係合凹部165、166に係合している。このため、脱臭ダクト700は、係合凹部165、166によって規定される直線に沿って出し入れされるので、脱臭ダクト配置部162に対する動作が単純であり、取り付けや取り外しが容易である。
また、上述した実施形態では、脱臭ダクト配置部162に設けられたガイドとしての係合凹部165、166は溝であり、脱臭ダクト700に設けられた係合部としての係合凸部723、724は突起である。これに限らず、脱臭ダクト配置部162に設けられたガイドは突出した突出部であってもよいし、脱臭ダクト700に設けられた係合部は窪みであってもよい。
図25は、ポータブルトイレ10の変形例を示している。図25に示されたポータブルトイレ10では、便器本体100の脱臭ダクト配置部162の側壁162a、162bに係合凸部171、172が形成されている。他方、脱臭ダクト700には、脱臭ダクト配置部162の係合凸部171、172に係合可能な係合凹部725、726が形成されている。このように、便器本体100には、脱臭ダクト700と脱臭ダクト配置部162のうち一方には突出部が形成され、他方には当該突出部に嵌る窪みが形成されているとよい。
なお、脱臭ダクト700に形成された係合凹部725、726は、脱臭ダクト700の左右両側にそれぞれ形成されている。図示例では、係合凹部725、726は、脱臭ダクト700の左右両側面の中間位置から下方に向けて連続した溝状に形成されている。当該溝状の係合凹部725、726の上端は、上方に開放されておらず、規制部725a、726aが設けられている。脱臭ダクト配置部162の両側の側壁162a、162bには、当該溝状の係合凹部725、726に嵌る係合凸部171、172が設けられている。図示は省略するが、係合凸部171、172は、縦長の突起である。当該係合凸部171、172に、脱臭ダクト700の係合凹部725、726が嵌ることによって、脱臭ダクト700は上下方向に案内されつつ脱臭ダクト配置部162に装着される。
また、ポータブルトイレ10は、図18に示すように、便器本体100に予め定められた位置に配置された脱臭装置750を備えている。便器本体100の予め定められた位置に脱臭装置750を配置することによって、脱臭装置750と脱臭ダクト700が係合し、脱臭ダクト配置部162に脱臭ダクト700が保持されるとよい。例えば、図18に示す実施形態では、脱臭ダクト700の接続口712に、脱臭装置750の吸引口754に設けられた立ち上り部755が嵌ることによって、脱臭装置750と脱臭ダクト700との係合が具現化されている。なお、便器本体100の予め定められた位置に脱臭装置750を配置することによって、脱臭装置750と脱臭ダクト700が係合し、脱臭ダクト配置部162に脱臭ダクト700が保持される構造は、かかる形態に限定されない。
脱臭ダクト700は、脱臭装置750が接続される接続口712を有し、かつ、脱臭装置750は、接続口712に接続される被接続口として、上述したように立ち上り部755を有する吸引口754を備えているとよい。また、かかる接続口と被接続口とは、脱臭ダクト配置部162において、ガイドに沿って当該脱臭ダクト700が移動しうる方向とは異なる方向おいて嵌り合っているとよい。例えば、図18に示すように、脱臭ダクト配置部162に設けられたガイドとしての係合凹部165、166に対して、脱臭ダクト700が上下方向に動きうる場合には、脱臭ダクト700の接続口712に対する脱臭装置750の係合は、当該上下方向の動きを規制するものであるとよい。この場合、脱臭ダクト700と脱臭装置750とが接続されることによって、脱臭ダクト700が脱臭ダクト配置部162から脱落するのが防止される。
以上、ポータブルトイレ10に関して種々の形態を例示したが、本発明に係るポータブルトイレは、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されない。
例えば、脱臭ダクト配置部は、側面として、当該脱臭ダクト配置部に配置された脱臭ダクトを挟む2つの側面を有しており、当該2つの側面は、それぞれガイドを有した形態を例示したが、脱臭ダクト配置部の何れかの側面にガイドが設けられており、脱臭ダクトは、ガイドに案内される係合部を備えていてもよい。また、ガイドの形状や、係合部の形状についても、種々の形態を採用でき、特に言及されない限りにおいて上述した実施形態に限定されない。
10 ポータブルトイレ
20 蓋
21 ヒンジ
22 蝶番
30 便座
31 ヒンジ
32 便座の開口
40 バケツ
41 取っ手
42 バケツ蓋
43 上縁
50 トレイ
51 トレイの開口
52、53 トレイの壁
56 ダクト装着口
57 カバー部
60 トイレットペーパーホルダ
100 便器本体
101 収容部
101a 底
101a1 底面リブ
102 上面部
103 外郭部
104 底部
104a 開口
104a1 突起
111 外側面
112 上面部の周縁を形成する面
113 外郭部を形成する面
114 底部を形成する面
121〜124 ボス
121a〜124a リブ
160 取付部材
161 脱臭装置配置部
162 脱臭ダクト配置部
162a、162b 側壁
162c 底壁
163 フランジ
163a 取付ピン
164 孔
165、166 係合凹部
167 切り欠き
171、172 係合凸部
210 上側部材
210a 上側部材の下縁
210a1 段差
210a2 係合片
210b ピン
210c ねじ穴
210d 取付孔
211、212 肘掛取付部
213、214 背もたれ取付部
215 窪み
216 受け部
216a 排出路
220 下側部材
220a 下側部材の上縁
220a1 段差
220a2 係合片
220b ピン穴
220c ねじ穴
220d 切欠き(水抜き穴)
221、222 窪み
223〜226 縦穴
227、228 係合溝
231、232 鍵穴
250 背もたれ
251 開口
252、253 柱部
254 背もたれ部
255 クッション
256、257 係合溝
300、400 肘掛
301、401 肘掛ベース
302、402 肘掛本体
303、403 高さ調節機構
311、411 基部
312、412 支柱
312a、412a 下端部
313、413 支柱
314、414 中空軸
321、421 係合突起
322、422 差込穴
323、423 係合片
341、441 肘掛部
342、343(442、443) 可動軸
350、450 固定ピン
381、382(481、482) 突起
383、384(483、484) バネ
385、386(485、486) 摘み
500、600 脚
501、502(601、602) 脚部
503、603 フロントベース部
504(604) リヤベース部
505(605) 連結部
506、606 キャスター
700 脱臭ダクト
711 吸引口
712 接続口
713 排出孔
721 凹部
721a 凸部
723、724 係合凸部
725、726 係合凹部
725a、726a 規制部
750 脱臭装置
752 ケース
752a 前側部材
752b 後側部材
753 蓋
754 吸引口
755 立ち上り部
800 長さ調節構造

Claims (5)

  1. 便器本体と、
    脚と、
    バケツと、
    前記バケツの周りを受けるトレイと、
    を備え、
    前記便器本体は、
    上下に組み合わされる上側部材と下側部材とを備え、
    前記上側部材は、
    上面部と、前記上面部の周縁から周方向に連続して下方に延びた側面部とを有し、
    前記下側部材は、
    底部と、前記底部の周縁から周方向に連続して上方に延び、かつ、前記上側部材の側面部と組み合わされた側面部とを有し、
    前記底部の前後左右の隅部には、それぞれボスが設けられており、
    前記下側部材の後部において、前記下側部材の側面部が、前方に向けて凹んでおり、かつ、当該凹んだ部分では、前記下側部材と前記上側部材とが当接しており、
    前記脚は、
    前記ボスに装着される脚部を備え、
    前記トレイは、
    前記上側部材の上面部に取付けられており、
    前記バケツは、
    前記上面部に取付けられた前記トレイの中央部に支持されている、
    ポータブルトイレ。
  2. 前記トレイは、後部の中央部分に、脱臭装置に臭気が吸引される開口を有する、請求項1に記載されたポータブルトイレ。
  3. 前記バケツの上縁には取っ手が取付けられており、
    前記バケツが前記トレイに支持された状態において、前記取っ手は後方に廻されて、前記トレイの後部に配置される、請求項1または2に記載されたポータブルトイレ。
  4. 前記トレイは、前記上側部材の上面部に配置され、
    前記バケツは、当該トレイの中央部分に配置されており、
    前記上側部材の上面部には、前記トレイの外縁が収まるように凹んだ段差が設けられている、請求項1から3までの何れか一項に記載されたポータブルトイレ。
  5. 前記バケツの上縁は、周方向に連続して外側に屈曲しており、
    前記トレイの中央部分の前記バケツが収められる部位の周縁に引っ掛けられて載置されている、請求項4に記載されたポータブルトイレ。
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