本発明は、従来技術において示された欠点を克服し、副作用の低減と同時に化粧的または治療的効果の改善を目的として、美白に有効な能力を有する有効な化合物を開発する目的に基づく。
本発明の目的は、独立請求項に従って達成される。従属請求項は、好ましい態様を含む。本発明に従い、式(I)
式中、
R1は、A、Cyc、F、−(CY2)p−OY、−(CY2)p−NYY、−(CY2)p−COOY、−(CY2)p−CO−NYY、(CY2)p−NY−COYまたはArを示し、
R2は、H、A、Cyc、F、−(CY2)p−OY、−(CY2)p−NYY、−(CY2)p−COOY、−(CY2)p−CO−NYY、(CY2)p−NY−COYまたはArを示し、
Yは、HまたはAlkを示し、
Aは、1〜18個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜12個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、
Cycは、3〜10個のC原子を有する環状アルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Arは、3〜20個のC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族炭素環を示し、それは、非置換であるか、またはF、A、−(CY2)p−OY、−(CY2)p−NYY、−(CY2)p−COOY、−(CY2)p−CO−NYY、(CY2)p−NY−COYにより一、二または三置換されていてもよく、および
m、n、pは、互いに独立して、0、1、2または3を示す、
で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物は、皮膚を明るくするために使用される。本発明の目的のために、皮膚を明るくすることは、好ましくは、非治療的用法を意味すると解される。
本発明に従って同様に、式(I)で表される化合物、上記のとおり、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を、チロシナーゼの阻害に使用する。
本発明のさらなる態様において、式(I)で表される化合物、上記のとおり、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を、皮膚の色素障害の予防、治療および進行制御に使用する。
驚くべきことに、式(I)で表される化合物がチロシナーゼ阻害特性を備えることが見出された。式(I)で表される化合物および特に部分式(part-formula)(IA)、(IB)および(IC)で表されるものは、置換基R1およびR2が結合した2,2’−フロインのそれらの核構造により、チロシナーゼの強力で選択的な阻害を生じるように構造化されている。よって、式(I)を有する化合物の使用は、美白作用に関し、完全に新規な可能性を切り開く。注目すべきは、式(I)で表される化合物が、メラニンの合成を抑制することおよびメラニンの過剰産生を防止することにより、全てのタイプの色素斑点の処置において役割を果たすことである。式(I)で表される化合物の役割は、非治療的および治療的性質の両方であり得る。
これまで、WO 1996/09807から、2−ヒドロキシ−1−エタノン誘導体が、ケラチン含有繊維、例えばヒトの毛髪などのカラーリングに好適であることが、単に知られていた。誘導体は、特に、第一級および第二級アミノ基、窒素含有複素環または芳香性ヒドロキシル化合物を含む化合物との統合投与での、オレンジ色、褐色、赤褐色、青黒色および黒色領域でのカラーリングに対処する。対照的に、本発明は、正確に、式(I)で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の使用を通して、秀逸な様式で皮膚、特にヒトの皮膚を明るくすることを明らかにする。
好ましいのは、本発明の目的には、態様を含む、本明細書において記載されるとおり、少なくとも1種の式(I)で表される化合物の、皮膚を化粧的に明るくするための、特に好ましくはヒトの皮膚を化粧的に明るくするための使用である。この点で、色素斑点を、化粧的に、すなわち、非治療的用法的に処置することができ、ここで、色素斑点には、特に過度の着色、小斑点、加齢性しみおよび/または黒点が含まれる。本発明に従って同様に、記載される式(I)で表される化合物を、化粧的に、特に皮膚の老化の場合において、例えば環境的因子により引き起こされ得るように、使用することができる。
式(I)で表される化合物およびこれらの塩は、結果として同時に、価値ある化粧的および/または薬理学的特性を有し、一方で、皮膚を明るくすることが、90%未満の、好ましくは80%未満の、特に好ましくは70%未満の相対メラニン含有量を伴う点で、良好な耐容性である。
特に、記載される式(I)で表される化合物は、チロシナーゼ阻害剤であり、この特性により、スキンライトナーとしての所望の活性を示す。よって、本発明は、少なくとも1種の式(I)またはその部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の、チロシナーゼの阻害のための、好ましくはまた、in vitroでの使用に関する。用語「阻害」は、本発明の特定の作用に基づく化合物の活性におけるあらゆる低減に関し、後者は、認識、結合および遮断が促進されるように、標的分子と相互作用することができる。
化合物は、チロシナーゼの親和性により区別され、確実な結合および好ましくはオキシダーゼ活性の完全な遮断を確保する。選択されたオキシダーゼの排他的および直接的認識を保証するために、化合物は、特に好ましくは、単一特異的である。本明細書における用語「認識」は、化合物および言及される標的分子間のあらゆるタイプの相互作用に、特に共有または非共有結合に、例えば共有結合、疎水性/親水性相互作用、ファンデルワールス力、イオン引力、水素結合またはリガンド受容体相互作用などに関する。
式(I)で表される化合物の使用は、有利な生物学的活性を示し、本明細書において記載される試験において検知可能であり、例えば酵素ベースアッセイなどである。
化合物の上記使用は、in-vitroまたはin-vivoモデルにおいて起こり得る。式(I)で表される化合物での処置に対する特定細胞の感受性を、in-vitroでの試験により決定することができる。典型的には、細胞の培養物を、本発明の化合物で、種々の濃度で、活性剤がメラニンの合成を阻害するのに十分である一定期間、通常約1時間〜1週間インキュベートする。in vitro試験については、生検標本から培養した細胞を使用することができる。
処置後に細胞中に残留するメラニンの量を、次いで決定する。in vitro使用は、特に、皮膚の色素障害を患う哺乳動物種のサンプル上で起こる。宿主または患者は、あらゆる哺乳動物種、例えば、霊長類、特にヒト、しかしまた、げっ歯類(マウス、ラットおよびハムスターを含む)、ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは、実験調査についての興味の対象であり、ヒト疾患または化粧異常性(cosmetic anomaly)の処置のためのモデルを提供する。
複数の特定化合物の試験により、患者の処置に最も好適だと思われる活性化合物の選択が可能となる。選択化合物のin-vivo用量は、有利には、チロシナーゼの感受性および/または患者の色素障害に、in-vitroデータを考慮して一致し、その結果として治療的有効性が、目に見えて増加する。用量は、使用する特定化合物、特定疾患、患者の状況に応じて変化する。
化粧用量は、典型的には、標的組織中のメラニンの望まれない量をかなり減少させるには十分であり、一方で、患者の生活の質は維持され、最終的には改善する。本発明の以下の教示、および予防、治療および/または進行制御のための式(I)で表される化合物の使用に関するそれらの態様は、有効であり、および適切であると思われる場合には、チロシナーゼ活性の阻害のための化合物の使用に、制限することなく適用することができる。
チロシナーゼ活性のおよびメラニン産生のかなりの低減、例えばメラニン含有量の少なくとも約10%低減が生じるまで、一般的には使用を継続し、本質的に、体内でメラニンの望まれない過剰産生がこれ以上検知されなくなるまで継続することができる。式(I)で表される化合物の調製物の除去後、通常のメラニン合成速度が、再び開始されるので、美白が、反復のまたは進行中の処置を表すことは本明細書においていうまでもない。このタイプの試験において、本発明の化合物は、阻害効果を示し、生じさせ、それは、普通好適な範囲の、好ましくは、マイクロモル範囲の、より好ましくは、ナノモル範囲のIC50値により記録される。チロシナーゼは、特に、化合物の濃度が1μMより小さく、好ましくは、0.5μMより小さく、特に好ましくは、0.1μMより小さい場合に、50%まで阻害される。この濃度は、IC50値と呼ばれる。
本発明に従い、式(I)で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物は、チロシナーゼ活性により、引き起こされ、増進され、および/または伝搬する疾患の予防、治療および/または進行制御における使用に好適である。式(I)またはその部分式で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の、チロシナーゼ活性により、引き起こされ、増進され、および/または伝搬する疾患の予防、治療および/または進行制御のための使用はまた、本願発明に従う。したがって、本発明はまた、式(I)またはその部分式で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の、チロシナーゼ活性により、引き起こされ、増進され、および/または伝搬する疾患の予防、治療および/または進行制御のための医薬の調製に関する。
対応するシグナル経路の同定のために、および種々のシグナル経路環の相互作用を検知するために、好適なモデルまたはモデル系が開発されてきており、例えば細胞培養モデル(Khwaja et al. (1997) EMBO 16: 2783)およびトランスジェニック動物モデル(White et al. (2001) Oncogene 20: 7064)である。シグナルカスケードにおける特定のステージを決定するために、相互作用化合物を、シグナルを調節するために使用することができる(Stephens et al. (2000) Biochemical J 351: 95)。さらに、本発明の化合物をまた、動物モデルにおけるおよび/または細胞培養モデルにおけるまたは本願において言及した臨床疾患における、オキシダーゼ依存性シグナル経路を試験するための試薬として使用することができる。本明細書において議論するように、これらのシグナル経路は、種々の疾患に関連する。したがって、本発明の化合物は、チロシナーゼが関与することによるシグナル経路に依存する、疾患の予防、治療および/または進行制御に有用である。
本発明に従い、式(I)またはその部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の、過度の着色、小斑点、加齢性しみおよび黒点の群から選択される色素障害の予防、治療および/または進行制御における使用に好適である。
本発明のさらなる態様は、式(I)またはその部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物と、好ましくは酸化防止剤、ビタミン、UVフィルター、美白活性化合物、セルフタンニング物質、抗炎症薬、抗菌活性化合物、皮膚の水分含有量を改善する活性化合物、老化阻害活性化合物(抗老化活性化合物)および抗セルライト活性化合物の群から選択された、少なくとも1種のさらなる活性化合物とを組み合わせた使用に関する。
本発明の目的のために、式(I)で表される化合物を、それらがまた、薬学的または化粧的に使用可能な誘導体、塩、水和物、溶媒和物、化合物の前駆体、互変異性体、光学活性形態(例えば、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ化合物など)を意味すると解されるよう定義する。化合物の溶媒和物は、不活性溶媒分子の化合物上へのアダクション(adduction)を意味するものと解され、それは、それらの相互引力により形成される。溶媒和物は、例えば、一または二水和物あるいはアルコラートである。薬学的または化粧的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩および化合物のいわゆる前駆体を意味するものと解される。
前駆体は、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドによって修飾された式(I)の化合物を意味すると解され、それらは有機体において素早く切断され、本発明による有効な化合物を与える。これらはまた、例えば、Int. J. Pharm.115、61-67 (1995)において記載されるように、本発明による化合物の生物分解性ポリマー誘導体を含む。生体内で生物活性剤に変換され得るあらゆる化合物、すなわち式(I)の化合物は、本発明の意味において前駆体である。本発明による化合物の生体内での代謝の結果生じるあらゆる生物学的に活性な化合物は、本発明の意味において代謝産物である。式(I)の化合物は、1またはそれより多くのキラル中心を有することができ、したがって、様々な立体異性形態を生じ得る。式(I)は全てのこれらの形態を含む。
本発明はまた、式(I)の化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの混合物の、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比での使用に関する。特に好ましいのは、本明細書においては、立体異性体化合物の混合物である。
上記または下記において、ラジカルR1、R2、Y、alk、CycおよびArならびに添え字、m、n、およびpは、明確に示されない限り、式(I)について示した意味を有する。個々のラジカルが化合物またはラジカル内に複数回生じる場合には、明確に示されない限り、ラジカルは、互いに独立して示された意味を取る。例えば、ラジカルR4において複数回生じるラジカルYYは、同一または異なるが、好ましくはそれぞれの場合において、互いに独立して、明確に示されない限り、上記および/または下記に示された意味(例えばメチルおよび/またはエチル)から選択される。
例えば、表記(R1)mにおける添え字mは、ラジカルR1による置換の頻度を示し、すなわち、フラニルラジカルは、異なる位置においてラジカルR1を3個まで有してもよく(しかし、同一の位置においてラジカル3個までの連結でない)、ここでそれぞれのラジカルR1は、同一にまたは異なっているが、好ましくはそれぞれの場合において互いに独立して、上記および/または下記に示された意味から選択される。さらに、一般的に2回生じる式(I)におけるラジカルR1は、同一にまたは異なっているが、好ましくはそれぞれの場合において互いに独立して、上記および/または下記に示された意味(例えばAおよび/またはF)から選択される。R1が複数回生ずる場合には、ラジカルはまた、代替的にR1’、R1’’、R1’’’、R1’’’’、R1’’’’’およびR1’’’’’’によって示されてもよい。化合物の定義について、本明細書において使用される用語は、一般的には化合物のための、および特に有機化合物のためのIUPAC組織の規則に基づく。本発明の上述の化合物の説明のための用語は、記載または特許請求の範囲において示さない限り、常に以下の意味を有する。
用語「非置換」は、ラジカル、基または残基が置換基を有しないことを意味する。用語「置換された」は、ラジカル、基または残基が1個または2個以上の置換基を有することを意味する。
本発明の意味における「アルキル」または「A」は、非分岐状(直鎖状)または分岐状であって、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のC原子を有する飽和または不飽和炭化水素ラジカル、すなわち、C1〜18−アルカニル、C2〜18−アルケニルおよびC2〜18−アルキニルを示す。アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1、1−、1、2−または2、2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1、1、2−または1、2、2−トリメチルプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−、2−または3−メチルブチル、1、1−、1、2−、1、3−、2、2−、2、3−または3、3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、ヘキシル、ドデシルである。
さらに、オレイン酸、パルミチン酸またはステアリン酸から誘導されるラジカルは、特に化粧料において通常であり、それらが著しく神佑性を増加させ、これにより医薬組成物およびレオロジー特性を制御することができるためである。アルケニルは少なくとも1個のC−C二重結合を有し、アルキニルは少なくとも1個のC−C三重結合を有する。アルキニルはさらに、少なくとも1個のC−C二重結合を有してもよい。好適なアルケニルの例は、アリル、ビニル、プロペニル(−CH2CH=CH2;−CH=CH−CH3;−C(=CH2)−CH3)、1−、2−または3−ブテニル、イソブテニル、2−メチル−1−または2−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1、3−ブタジエニル、2−メチル−1,3−ブタジエニル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル、1−、2−、3−または4−ペンテニルおよびヘキセニルである。好適なアルキニルの例は、エチニル、プロピニル(−CH2−C≡CH;−C≡C−CH3)、1−、2−または3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはペンタ−3−エン−1−イニル、特にプロピニルである。複数のCH2基が、−CH=CH−および−C≡C−により置き換えられていてもよいラジカルもまた、本発明の一部である。エンイン化合物は、容易に合成により入手可能であり、例えば、追加の環系の構築を伴うBergmann環化により、自然にさらに変換されることができる。
本発明の好ましい態様において、「A」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルであり、ここで、互いに独立して、1、2または3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または互いに独立して、1または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよい。「A」は、特に好ましくは、1、2、3、4、5、6、7または8個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルであり、ここで、互いに独立して、1、2または3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または互いに独立して、1または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよい。置換された「A」の特に好ましい例は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アルコキシエチル(例えば、メトキシエチル、エトキシエチル)およびアルコキシプロピル(例えば、メトキシプロピル、エトキシプロピル)である。「A」は、極めて特に好ましくは、意味「Alk」に対応する。「A」の個々の意味が、本発明の式で表されるラジカルにおいて、互いに独立していることはいうまでもない。
用語「Alk」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルであり、ここで、互いに独立して、1、2または3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、好ましくは、C1〜12−アルキル、特に好ましくは、C1〜4−アルキルである。このタイプのC1〜4−アルキルは、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルであり、最も好ましくは、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。「Alk」の個々の意味が、本発明の式で表されるラジカルにおいて、互いに独立していることはいうまでもない。
本発明の意味における「シクロアルキル」または「Cyc」は、3〜20個の、好ましくは、3〜12個の、特に好ましくは、3〜10個のC原子を含む、1〜3個の環を有する飽和または一部不飽和の非芳香性環状炭化水素基を示す。式(I)の骨格への結合は、シクロアルキル基のあらゆる環原子を介して起こり得る。好適なシクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロオクタジエニルならびにアダマンチル、ビシクロ[5.3.0]デカペンタエニル(アズレンラジカル)、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(カンファーラジカル)または1−メチル−4−プロパ−1−エン−2−イルシクロヘキセニル(リモネンラジカル)である。
本発明の好ましい態様において、「Cyc」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する環状のアルキルであり、ここで、互いに独立して、1、2または3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または互いに独立して、1または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよい。特に好ましいのは、3、4、5、6、7または8個のC原子を有する環状のアルキルであり、ここで、互いに独立して、1、2または3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または互いに独立して、1または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−または−CH=CH−基により置き換えられていてもよい。それらの極めて特に好ましい例は、シクロプレニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタジエニルまたはノルボルニルである。
式(I)の骨格は、本発明の意味におけるあらゆるラジカル、例えばCycまたはArなどが、式(I)で表される化合物を得るために結合することができる、あらゆる包括的または非包括的構造である。
本発明の意味における用語「アリール」、「カルボアリール」または「Ar」は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14、15、16、17、18、19または20個の、好ましくは5〜14個の、特に好ましくは5〜10個のC原子を有する、単環式または多環式芳香族炭化水素系を示し、それらは任意に置換されてもよい。用語「アリール」は、芳香族環が、二環式または多環式の飽和、一部飽和および/または芳香系の一部である系を含み、例えば芳香族環が、アリールラジカルのあらゆる所望の環原子を介して「アリール」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」に縮合している場合である。式(I)の骨格への結合は、アリール基のあらゆる環原子を介して起こり得る。
好適な「アリール」の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、特には、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシトリル(クレゾール様ラジカル)、o−、m−またはp−メトキシ−フェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチル−アミノフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニルである。
本発明の好ましい態様において、「Ar」は、3〜20個のC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族炭素環を示し、それは、非置換であるか、またはF、A、−(CY2)p−OY、−(CY2)p−NYY、−(CY2)p−COOY、−(CY2)p−CO−NYYまたは−(CY2)p−NY−COYにより一、二または三置換されていてもよい。「Ar」が、5〜14個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリールを示し、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−(CY2)p−OYにより一、二または三置換されていてもよいものであることを意味することが、特に好ましい。極めて特に好ましい例は、フェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナントレニルであり、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−OAlkにより一または二置換されていてもよい。「Ar」の個々の意味が、本発明の式で表されるラジカルにおいて、互いに独立していることはいうまでもない。
ラジカルR1は、好ましくは、A、Cyc、F、OYまたはArを示し、特に好ましくは、A、Cyc、F、OHまたはArを示す。
ラジカルR2は、好ましくは、H、A、Cyc、F、OYまたはArを示し、特に好ましくは、H、Alk、Cyc、F、OHまたはArを示し、極めて特に好ましくは、Hを示す。
添え字m、nおよびpは、好ましくは、互いに独立して、0、1または2を示し、特に好ましくは、互いに独立して、0または1を示し、極めて特に好ましくは、互いに独立して、0を示し、最も好ましくは、互いに独立して、上記の意味の1つを示す。
したがって、本発明は、該ラジカルの少なくとも1個が、上記に示した意味を有する、本発明の使用のための式(I)で表される化合物に関する。式(I)の態様の文脈においてより詳細には示されないラジカル、それらの部分式またはそれらの上のあらゆるラジカルは、本発明の目的を達成するために、本明細書において開示するように、式(I)について示した意味を有することが意図される。これは、上記または下記において、該ラジカルが、それらについて割り当てた全ての意味を取り得ることを意味し、あらゆる好ましい態様を含み、それらには限定されず、別の特定の文脈におけるそれらの出現とは関係ない。特に、特定のラジカルのあらゆる態様は、1または2以上の他のラジカルのあらゆる態様と組み合わせることができる。
本発明の好ましい態様において、式(I)
式中、
R1は、A、Cyc、F、OYまたはArを示し、
R2は、Y、Cyc、F、OHまたはArを示し、
Yは、HまたはAlkを示し、
Aは、1〜18個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜12個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、
Cycは、3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−または−CH=CH−基により置き換えられていてもよく、
Arは、5〜14個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリールを示し、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−(CY2)p−OYにより一、二または三置換されていてもよく、および
m、n、pは、互いに独立して、0、1または2を示す、
で表される2,2’−フロイン誘導体および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物が、本発明の使用のために提供される。
本発明の特に好ましい態様において、
式(I)
式中、
R1は、A、Cyc、F、OHまたはArを示し、
R2は、Hを示し、
Y、Aは、互いに独立して、Alkを示し、
Alkは、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルを示し、
Cycは、シクロプレニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルまたはシクロオクタジエニルを示し、
Arは、フェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナントレニルを示し、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−(CY2)p−OYにより一または二置換されていてもよく、および
m、n、pは、互いに独立して、0または1を示す、
で表される2,2’−フロイン誘導体および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物が、本発明の使用のために提供される。
本発明の極めて特に好ましい態様において、2,2’−フロインの部分式(IA)
で表される2,2’−フロインおよび/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物、および/または
部分式(IB)
で表される1,2−ジ−2−フラニル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノンおよび/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物、
が、本発明に従って使用される。
最も好ましいのは、部分式(IA)の2,2’−フロインの本発明の使用であり、すなわち、皮膚を明るくするための、チロシナーゼの阻害のための、および/または皮膚の色素障害の予防、治療および/または進行制御における、それらの使用である。
式(I)で表される化合物およびまたそれらの調製のための出発物質を、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準書におけるもの)に記載され、および/または当業者に既知であるように、および該反応に対して既知であり、好適である反応条件下で、自体公知の方法により調製する。本明細書においてより詳細に言及されない自体公知の変法もまた、本明細書において使用することができる。
使用される条件に応じて、反応時間は、数分間〜14日間であり、反応温度は、−78℃〜150℃であり、通常は−20℃〜100℃であり、特に好ましくは、0℃〜70℃である。
反応を、不活性溶媒中でおよび一般的には酸結合剤、好ましくは、有機塩基、DIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、キノリン、ピペリジンまたはジエタノールアミンなどの存在下で行う。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの弱酸の別の塩もまた、好ましいものであり得る。好適な塩基は、金属酸化物、例えば、アルミニウム酸化物、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム)およびアルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド)などである。
好適な不活性溶媒は、とりわけ、炭化水素、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなど;塩素化炭化水素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなど;アルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなど;エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなど;グリコールエーテルス、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)など;ケトン、アセトンまたはブタノンなど;アミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)など;ニトリル、アセトニトリルなど;スルホキシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)など;二硫化炭素;カルボン酸、ギ酸または酢酸など;ニトロ化合物、ニトロメタンまたはニトロベンゼンなど;エステル、エチルアセタートなど、あるいは該溶媒の混合物である。特に好ましいのは、THF、グリコールエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなど、ジクロロメタンおよび/またはDMFである。
反応混合物のプロセスおよびワークアップ(work-up)を、基本的には、バッチ反応としてまたは連続反応様式において行うことができる。連続反応様式には、例えば、連続撹拌タンク反応器、撹拌反応器カスケード、ループもしくはクロスフロー反応器、流管中のあるいはマイクロリアクタ中の反応が含まれる。反応混合物は、任意に、必要に応じて、固相を介したろ過、クロマトグラフィー、非混合相間の分離(例えば抽出)、固体支持体上での吸着、溶媒および/または共沸混合物の留去、選択蒸留、昇華、結晶化、共結晶化によりまたは膜上のナノろ過によりワークアップされる。
式(I)で表される化合物を、好ましくは、ベンゾイン縮合を行うことにより得ることができる。よって、本発明はまた、式(I)またはその部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の製造方法および/または準備(making-ready)方法に関し、以下のステップ:
(a)式(II)
式中、R1およびmは、上記に示した意味を有する、
で表されるフルフラール誘導体の、
式(II)
式中、R1およびnは、上記に示した意味を有する、
で表されるフルフラール誘導体との、
ベンゾイン付加における、式(I)
式中、R1、mおよびnは、上記に示した意味を有する、
で表される化合物を得る反応、
および任意に
(b)式(I)で表される化合物の塩基または酸の、それらの生理学的に許容可能な塩への変換、
および/または
(c)式(I)で表される化合物またはそれらの生理学的に許容可能な塩の1種の、本願発明の使用のための明らかな準備(apparent making-ready)、
を有する。
好ましくは、ステップ(b)のみが任意であり、一方で、ステップ(c)は必須であり、ステップ(a)または任意のステップ(b)に続くものであることはいうまでもない。別の態様において、本発明はまた、式(I)、その部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の、皮膚の色素障害の予防、治療および進行制御における使用のための製造方法および準備方法に関し、上記のステップを有し、ここで、ステップ(c)は、任意であるが、好ましくは、必須である。
出発化合物は、一般的に知られている。それらが新規である場合には、それらを自体公知の方法により調製することができる。式(II)および(III)で表される化合物を、既知の方法により調製することができる。所望であれば、出発物質を、in situで生成させることができ、これによりそれらを反応混合物から単離しないが、代わりに直ちに本発明の化合物にさらに変換できる。反応を段階的に行うことは、同様に可能である。
本発明の該化合物を、それらの最終的な非塩形態で使用することができる。一方で、本発明にはまた、当該技術分野において既知の手順により種々の有機および無機酸および塩基から誘導される、それらの生理学的に使用可能な塩形態でのこれらの化合物の使用が含まれる。式(I)またはその部分式で表される化合物の生理学的に許容可能な塩形態は、大部分について従来の方法により調製される。化合物が、カルボキシル基を含む場合には、化合物を好適な塩基と反応させることにより、その好適な塩の1種を生成させることができ、対応する塩基付加塩が得られる。かかる塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド)および種々の有機塩基、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどである。
式(I)またはその部分式で表される化合物の塩基を、酸を使用して、例えば、蒸発が続く、不活性溶媒中、例えば、エタノール中などでの当量の塩基および酸の反応により、関連酸付加化合物に変換することができる。この反応に好適な酸は、特に、生理学的に許容可能な塩を与えるもの、例えば、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素)、他の鉱酸およびそれらの対応する塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩など)、アルキルスルホン酸塩およびモノアリールスルホン酸塩(例えば、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸)および他の有機酸ならびにそれらの対応する塩(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、アスコルビン酸など)などである。生理学的に許容不可能な酸による塩、例えばピクリン酸塩を、式(I)で表される化合物の単離および/または精製に使用することができる。
本発明の意味における塩は、式(I)で表される化合物に存在するように、カルボキシレート基に基づくものであり得ることはいうまでもなく、それらの酸性プロトンを、金属により置き換えることができる。代替的に、本発明の意味における塩はまた、式(I)で表される化合物に基づくものであり得、ここで、フロイン誘導体のアルコール官能上のプロトンは、イオンにより置き換えられている。これは、一価イオン、例えば、Li+、Na+、K+またはNH4 +などであり得るが、また多価イオンでもあり得、(フロイン)2Mまたは(フロイン)3M2などのタイプの塩を得る。
上記に述べたことに関し、本発明の関連における表現「生理学的に許容可能な塩」は、その塩の1種の形態での式(I)で表される化合物を含む、活性化合物を意味するものとみられ得、特に、この塩形態が、活性化合物の遊離形態と比較して、改善された化粧的および/または薬物動態的特性を活性化合物に付与する場合である。活性化合物の生理学的に許容可能な塩形態はまた、初めて所望の化粧的および/または薬物動態的特性をこの活性化合物に提供することができ、体内でのその治療有効性に関し、この活性化合物の薬物力学への肯定的な影響を有することすらできる。本発明の意味における好ましい塩は、式(I)で表される化合物の、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅およびアンモニウム塩である。
式(I)で表される化合物は、それらの分子構造によりキラルであり得、したがって、種々のエナンチオ形態が生じ得る。したがって、それらは、ラセミ化合物または光学活性形態であり得る。ラセミ化合物または立体異性体の化粧的および/または薬学的有効性が異なり得るため、エナンチオマーを使用することが所望され得る。これらの場合において、最終生成物または中間体であっても、当業者に既知の化学的または物理的手法によりエナンチオ化合物に分離され得るか、または既に合成においてそのようなものとして用いられ得る。
明らかな準備は、本発明の意味における使用を指向し、すなわち、皮膚を明るくすることにおける使用のための、チロシナーゼの阻害における使用のための、皮膚の色素障害の予防、治療および進行制御における使用のための、および/または異なる度合いに着色された区域によって引き起こされる皮膚の陰り(shade)におけるコントラスト差の低減のためのものである。明らかなまたは自明な準備は、例えば:a)物質または物体の特定の設計、すなわち、これらが、特許に従う使用への適合性が明らかに明白であるよう個別化されている場合であり;b)販売における使用説明書(例えば、添付文書)の同封;c)処方、作成、用量およびすぐに使える包装;d)治療計画、推奨用量;e)使用特定製品指定の使用(Schulte/Kuehnen, PatG [German Patents Act], 8th Edition, § 14 marginal note 101)、に存する。
本発明はさらに、本発明の使用のための、少なくとも1種の式(I)、部分式(IA)、(IB)、(IC)で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を含む調製物に、ならびに化粧的、薬学的または皮膚への適用に好適なビヒクル、および任意に生理学的に許容可能な助剤および/または充填剤に関する。本発明の目的のために、用語「剤」、「組成物」または「処方物」はまた、同義的に、用語「調製物」と並んで使用される。本明細書における調製物は、通常は、例えば、化粧的または皮膚用の処方物または医薬品などの、局所適用され得る調製物である。
本発明の意味における、局所適用され得るとは、調製物が外部にまたは局部に適用されること、すなわち、調製物が、例えば皮膚への適用されることができることに好適でなければならないことを意味する。この場合において、調製物は、化粧的に、薬学的にまたは皮膚に対して好適なビヒクル、および所望の特性プロファイルに応じて、任意にさらなる好適な成分を含む。局所調製物は、好ましくは、化粧的または皮膚への調製物として、特に好ましくは、化粧的調製物として用いられる。好適なビヒクルおよび助剤または充填剤を、以下の部分に詳細に記載する。
調製物は、上記および/または下記において言及した、必要なまたは任意の構成成分を含み(include)、または、必要なまたは任意の構成成分を含み(comprise)、本質的には必要なまたは任意の構成成分からなり、または、必要なまたは任意の構成成分からなり得る。調製物中で使用することができる全ての化合物または構成要素は、既知であって商業的に入手可能であるか、または既知のプロセスにより合成することができるかのいずれかである。態様のさらに好ましい組み合わせは、特許請求の範囲に記載されている。
上記に示したようにまた好ましく記載されるような式(I)で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物は、本発明の調製物中に、調製物の総重量に基づき0.0001〜20重量%で存在する。0.0001〜15重量%が好ましく、0.0001〜10重量%が特に好ましく、0.0001〜5重量%が極めて特に好ましく用いられる。当業者は、全く何ら困難を伴わずに、調製物の意図した効果に応じた量の適切な選択をすることができる。
式(I)またはその部分式で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物が、少なくとも1種のさらなる活性化合物を組み合わせた、本発明の調製物中に存在することがさらに推薦される。さらなる活性化合物は、UVフィルター、酸化防止剤、ビタミン、美白活性化合物、抗老化活性化合物、抗炎症活性化合物、抗菌活性化合物、皮膚の水分含有量を改善する活性化合物(皮膚の水分調節剤)、抗セルライト活性化合物、しわ取り活性化合物、フケ防止活性化合物、抗ニキビ活性化合物、デオドラント、色素およびセルフタンニング物質の群から、特に好ましくは、UVフィルター、酸化防止剤、ビタミン、美白活性化合物、抗老化活性化合物および抗セルライト活性化合物の群から選択される。
本発明に従う好ましい調製物はまた、少なくとも1種の式(I)で表される化合物の他に、1種または2種以上のUVフィルターを含む。原則として、全てのUVフィルターは、本発明の調製物において、式(I)またはその部分式で表される化合物との組み合わせに好適である。特に好ましいのは、生理学的許容性が既に例証されたUVフィルターである。UVAおよびまたUVBフィルターの両方について、専門家の文献から既知の、立証された多くの物質がある。以下のリストに示された化合物は、単に例とみなされなければならない。他のUVフィルターもまた、当然使用することができる。
式(I)で表される化合物および任意の他の成分の他に、好まし調製物は、有機UVフィルター、いわゆる親水性または親油性の日焼け防止フィルターを含んでもよく、それらは、UVA領域および/またはUVB領域および/またはIRおよび/またはVIS領域(吸収体)において効果的である。これらの物質を、特に、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、桂皮酸誘導体およびポリマーフィルターならびにシリコーンフィルターから選択することができ、それらは出願WO 93/04665に記載されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP-A 0 487 404において示されている。該UVフィルターは、通常は、INCI命名法に従って以下に命名される。特に好適な組み合わせは:
・ パラ−アミノ安息香酸およびその誘導体:PABA、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、例えば、ISPにより名称「Escalol 507」、Glyceryl PABA、PEG-25 PABAで市販され、BASFにより名称「Uvinul P25」で市販されている。
・ サリシラート:Merckにより名称「Eusolex HMS」で市販されているホモサラート;サリチラートエチルヘキシル、例えば、Symriseにより名称「Neo Heliopan OS」で市販されている;ジプロピレングリコールサリチラート、例えば、Scherにより名称「Dipsal」で市販されている;TEAサリチラート、例えば、Symriseにより名称「Neo Heliopan TS」で市販されている。
・ β,β−ジフェニルアクリレート誘導体:オクトクリレン、例えば、Merckにより名称「Eusolex(登録商標) OCR」で;BASFから名称「Uvinul N539」で市販されている;エトクリレン、例えば、BASFにより名称「Uvinul N35」で市販されている。
・ ベンゾフェノン誘導体:ベンゾフェノン−1、例えば、名称「Uvinul 400」で市販されている;ベンゾフェノン−2、例えば、名称「Uvinul D50」で市販されている;ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、例えば、名称「Uvinul M40」で市販されている;ベンゾフェノン−4、例えば、名称「Uvinul MS40」で市販されている;ベンゾフェノン−9、例えば、BASFにより名称「Uvinul DS-49」で市販されている;ベンゾフェノン−5、例えば、Norquayにより名称「Helisorb 11」で市販されている;ベンゾフェノン−8、例えば、American Cyanamidにより名称「Spectra-Sorb UV-24」で市販されている;ベンゾフェノン−12 n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアートまたは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、Merck, Darmstadtにより名称Eusolex(登録商標) 4360で市販されている。
・ ベンジリデンカンファー誘導体:3−ベンジリデンカンファー、例えば、Chimexにより名称「Mexoryl SD」で市販されている;4−メチルベンジリデンカンファー、例えば、Merckにより名称「Eusolex 6300」で市販されている;ベンジリデンカンファースルホン酸、例えば、Chimexにより名称「Mexoryl SL」で市販されている;カンファーベンズアルコニウムメトスルファート、例えば、Chimexにより名称「Mexoryl SO」で市販されている;テレフタリリデンジカンファースルホン酸、例えば、Chimexにより名称「Mexoryl SX」で市販されている;ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、Chimexにより名称「Mexoryl SW」で市販されている。
・ フェニルベンズイミダゾール誘導体:フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、例えば、Merckにより名称「Eusolex 232」で市販されている;二ナトリウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホナート、例えば、Symriseにより名称「Neo Heliopan AP」で市販されている。
・ フェニルベンゾトリアゾール誘導体:ドロメトリゾールトリシロキサン、例えば、Rhodia Chimieにより名称「Silatrizole」で市販されている;固体形態でのメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、例えば、Fairmount Chemicalにより名称「MIXXIM BB/100」で、または水性分散体として微粉化された形態のものは、例えば、BASFにより名称「Tinosorb M」で市販されている;
・ トリアジン誘導体:エチルヘキシルトリアゾン、例えば、BASFにより名称「Uvinul T150」で市販されている;ジエチルヘキシルブトアミドトリアゾン、例えば、Sigma 3Vにより名称「Uvasorb HEB」で市販されている;2,4,6−トリス(4’−アミノベンザルマロン酸ジイソブチル)s−トリアジンまたは2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン、BASFによりTinosorb A2Bとして市販されている;2,2’−[6−(4−メトキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]ビス[5−(2−エチルヘキシル)オキシ]フェノール;BASFによりTinosorb Sとして市販されている;N2,N4−ビス[4−[5−(1,1−ジメチルプロピル)−2−ベンゾオキサゾリル]フェニル]−N6−(2−エチルヘキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、Sigma 3VによりUvasorb K 2Aとして市販されている。
・ アントラニリン誘導体:アントラニル酸メンチル、例えば、Symriseにより名称「Neo Heliopan MA」で市販されている。
・ イミダゾール誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリン プロピオナート。
・ ベンズアルマロナート誘導体:機能性ベンズアルマロナート基を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、ポリシリコーン−15などであり、例えば、Hoffmann LaRocheにより名称「Parsol SLX」で市販されている。
・ 4,4−ジアリールブタジエン:1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
・ ベンゾオキサゾール誘導体:2,4−ビス[5−(1−ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、例えば、Sigma 3VによりUvasorb K2Aとして市販されているもの、またはこれを含む混合物。
・ ピペラジン誘導体:例えば、化合物
または以下の構造
のUVフィルター。
以下の式:
に従う、ランダムな分布を有するポリシロキサンコポリマーをベースとするUVフィルターの使用もまた可能であり、ここで、例えば、a=1.2;b=58およびc=2.8である。
好適な有機UV保護物質を、好ましくは、以下のリストから選択することができる:エチルヘキシルサリチラート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4−メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二ナトリウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホナート、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブトアミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン−15、1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン、2,4−ビス[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジンおよびそれらの混合物。
これらの有機UVフィルターは、一般的には、0.01〜20重量パーセント、好ましくは1〜20重量%の量で、処方物中に組み込まれる。
式(I)で表される化合物および任意の他の有機UVフィルターの他に、上記のように、調製物は、さらに無機UVフィルター、いわゆる粒子状UVフィルターを含んでもよい。粒子状UVフィルターとのこれらの組み合わせは、粉末としても、およびまた以下のタイプの分散体またはペーストとしても、両方として可能である。好ましいのは、二酸化チタン類の群から選択されるもの、および例えば被覆された二酸化チタン(例えば、Eusolex(登録商標) T 2000, Eusolex(登録商標) T-AQUA, Eusolex(登録商標) T-AVO, Eusolex(登録商標) T-OLEO)、酸化亜鉛類(例えば、Sachtotec(登録商標))、酸化鉄類、またはまた酸化セリウム類および/または酸化ジルコニウム類の両方である。さらに、色素性(pigmentary)二酸化チタンまたは酸化亜鉛との組み合わせもまた可能であり、ここで、これらの色素の粒径は、200nm以上であり、例えば、Hombitan(登録商標) FGまたはHombitan(登録商標) FF-Pharmaである。
さらに、例えば、調製物が、Cosmetics & Toiletries 1990, 105, 53において記載されるように、慣用の方法により後処理された無機UVフィルターを含むことが好ましくあり得る。1種または2種以上の以下の後処理構成要素を、本明細書において選択することができる:アミノ酸類、蜜ろう、脂肪酸類、脂肪酸アルコール類、アニオン性界面活性剤、レシチン、リン脂質類、脂肪酸類のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄またはアルミニウム塩、ポリエチレン類、シリコーン類、タンパク質類(特には、コラーゲンまたはエラスチン)アルカノールアミン類、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、その他の金属酸化物、ホスファート類、ナトリウムヘキサメタホスファートなど、またはグリセリンである。
本明細書において好ましく用いられる粒子状UVフィルターは:
− 未処理の二酸化チタン類、例えば、Taycaからの製品Microtitanium Dioxide MT 500 B;Degussaからの二酸化チタンP25など;
− 酸化アルミニウムおよび二酸化ケイ素後処理で後処理され微粉化された二酸化チタン類、例えば、Taycaからの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」、またはUniqemaからの製品「Tioveil Fin」など;
− 酸化アルミニウムおよび/またはステアリン酸/ラウリル酸アルミニウム後処理で後処理され微粉化された二酸化チタン類、例えば、TaycaからのMicrotitanium Dioxide MT 100 T;MerckからのEusolex T 2000など;
− 酸化鉄および/またはステアリン酸鉄後処理で後処理され微粉化された二酸化チタン類、例えば、Taycaからの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」など;
− 二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびシリコーン後処理で後処理され微粉化された二酸化チタン類、例えば、Taycaからの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」など;
− ナトリウムヘキサメタホスファートで後処理され微粉化された二酸化チタン類、例えば、Taycaからの製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」など;である。
組み合わせに用いられる、処理され微粉化された二酸化チタン類はまた:
− オクチルトリメトキシシラン類、例えば、Degussaからの製品Tego Sun T 805など;
− 二酸化ケイ素;例えば、DSMからの製品Parsol T Xなど;
− 酸化アルミニウムおよびステアリン酸;例えば、Sachtlebenからの製品UV-Titan M160など;
− アルミニウムおよびグリセリン;例えば、Sachtlebenからの製品UV-Titanなど;
− アルミニウムおよびシリコーン油;例えば、Sachtlebenからの製品UV-Titan M262など;
− ナトリウムヘキサメタホスファートおよびポリビニルピロリドン、
− ポリジメチルシロキサン類、例えば、Cardreからの製品70250 Cardre UF TiO2SI3など;
− ポリジメチルヒドロゲノシロキサン類、例えば、Color Techniquesからの製品Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicなど;
で後処理されてもよい。
以下の製品との組み合わせは、さらにまた有利であり得る:
− 未処理の酸化亜鉛類、例えば、BASF (Sunsmart)からの製品Z Cote、ElementisからのNanoxなど;
− 後処理された酸化亜鉛類、例えば、以下の製品など;
○ Toshibiからの「Zinc Oxide CS-5」(ポリメチルヒドロゲノシロキサンで後処理されたZnO);
○ Nanophase TechnologiesからのNanogard Zinc Oxide FN;
○ Shin-Etsuからの「SPD-Z1」(シリコーングラフトされたアクリルポリマーで後処理されたZnO、シクロジメチルシロキサン類中に分散されたもの);
○ ISPからの「Escalol Z100」(酸化アルミニウム後処理されたZnO、エチル−ヘキシルメトキシシンナマート/PVP−ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物中に分散されたもの);
○ Fuji Pigmentからの「Fuji ZNO-SMS-10」(二酸化ケイ素およびポリメチルシレスキオキサン(polymethylsilesquioxane)で後処理されたZnO);
○ 未処理の酸化セリウムマイクロ色素、例えば、Rhone Poulencからの「Colloidal Cerium Oxide」の名称であるもの;
○ ArnaudからのNanogarの名称である未処理のおよび/または後処理された酸化鉄類、である。
例として、種々の金属酸化物、例えば、二酸化チタンおよび酸化セリウムの混合物を、後処理してまたは後処理せずに用いることもまた可能であり、例えば、Ikedaからの製品Sunveil Aである。さらに、酸化アルミニウムで、二酸化ケイ素でおよびシリコーンで後処理された二酸化チタン/酸化亜鉛混合物の混合物、例えば、Sachtlebenからの製品UV-Titan M261などをまた、用いることができる。
これらの無機UVフィルターを、一般には、0.1〜25重量パーセント、好ましくは、2〜10重量%の量で調製物中に組み入れる。
UVフィルター作用を有する該化合物の1種または2種以上の組み合わせにより、UV放射の有害性に対する保護作用を、最適化することができる。
全ての該UVフィルターをまた、カプセル化形態で用いることができる。特に、カプセル化形態で有機UVフィルターを用いることが有利である。本発明に従って用いられる調製物におけるカプセルは、好ましくは、上記に示した重量パーセント比で調製物中に存在する。
本発明のさらに好ましい態様は、式(I)で表される化合物の、皮膚の水分含有量を維持するかまたは改善するのに役立つ少なくとも1種の物質との組み合わせに関する。これらの物質はまた、これに限定されるとみなされるものと意図されることはなく、すなわち、いわゆる天然水分因子(natural moisturing factor)に属する、例えば、2−オキソピロリジン5−カルボン酸などであり得る。
本発明のさらに好ましい態様において、調製物は、1種または2種以上の酸化防止剤および/または1種または2種以上のビタミンを含む。酸化防止剤の使用により、酸化的ストレスに対する、またはフリーラジカルの効果に対する保護作用を、一般に達成することが可能となり、当業者は、全く何ら困難を伴わずに、好適に素早くまたは時間の遅れを伴って作用する酸化防止剤を選択することができる。
専門家の文献から既知の、立証された多くの物質があり、それらは、酸化防止剤として使用でき、例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール類、(例えば、ウロカン酸)およびそれらの誘導体、ペプチド、例えば、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびそれらの誘導体など(例えば、アンセリン)、
カロチノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびそれらの誘導体、リポ酸およびそれらの誘導体、(例えば、ジヒドロリポ酸など)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステルなど)およびそれらの誘導体、
ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(例えば、エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩など)、および極めて低耐用量(例えば、pmol〜μmol/kgなど)のスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシスタスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ、ヘキサおよびヘプタチオニンスルホキシミンなど)、およびまた(金属)キレート剤、(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリンなど)、
α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸など)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、アスコルビルパルミタート、マグネシウムアスコルビルホスファート、アスコルビルアセタートなど)、トコフェロルスおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセタートなど)、ビタミンAおよび誘導体(例えば、ビタミンAパルミタートなど)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾアート、ルチン酸およびそれらの誘導体、
α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレト酸(nordihydroguaiaretic acid)、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびそれらの誘導体、マンノースおよびそれらの誘導体、亜鉛およびそれらの誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4など)、セレンおよびそれらの誘導体、(例えば、セレノメチオニンなど)、スチルベンおよびそれらの誘導体(例えば、スチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシドなど)である。さらに好適な酸化防止剤はまた、WO 2006/111233およびWO 2006/111234に記載されている。
好適な酸化防止剤はまた、一般式AまたはBで表される化合物であって
式中、
R1は、C(O)CH3、CO2R3、C(O)NH2または−C(O)N(R4)2を示し、
Xは、OまたはNHを示し、
R2は、1〜30個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルキルを示し、
R3は、1〜20個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルキルを示し、
R4は、Hまたは1〜8個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルキルを示し、
R5は、H、1〜8個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルキルまたは1〜8個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルコキシを示し、および
R6は、1〜8個のC原子を有する直鎖状のまたは分岐状のアルキルを示す。
好ましいのは、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸および/または2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸、特に好ましくは、ビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロナート(例えば、Oxynex(登録商標) ST Liquidなど)および/またはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジ)マロナートの誘導体である。
酸化防止剤の混合物は同様に、本発明の調製物での使用に好適である。既知であり、市販の混合物は、例えば、レシチン、L−(+)−アスコルビルパルミタートおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標) AP)、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標) K LIQUIDなど)、天然源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標) L LIQUIDなど)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、クエン酸およびレシチン(例えば、Oxynex(登録商標) LMなど)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビルパルミタートおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標) 2004)を含む混合物である。このタイプの酸化防止剤は、通常、かかる組成物中で、式(I)またはその部分式で表される化合物と共に、1000:1〜1:1000の範囲の重量パーセント比で、好ましくは、100:1〜1:100の重量パーセント比で用いられる。
酸化防止作用を有するフェノールの中で、天然由来のものもあるポリフェノールは、薬学的、化粧的または栄養部門における適用について特に関心の対象である。例えば、主に植物染料として知られる、フラボノイドまたはバイオフラボノイドは、しばしば酸化防止性の可能性を有する。Lemanska et al., Current Topics in Biophysics 2000, 24(2), 101-108は、モノまたはジヒドロキシフラボンの置換パターンの効果に関心を持っている。その中では、ケト官能に隣接するOH基または3’4’−あるいは6,7−あるいは7,8−位のOH基を含むジヒドロキシフラボンが、酸化防止特性を有することが観察され、一方で、場合によっては他のモノおよびジヒドロキシフラボンは、酸化防止特性を有しない。
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン 1522、メレチン、ソホレチン、エリシン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は、しばしば特に効果的な酸化防止剤として言及される(例えば、Rice-Evans et al., Trends in Plant Science 1997, 2(4), 152-159)。Lemanska et al., Free Radical Biology & Medicine 2001, 31(7), 869-881は、ヒドロキシフラボンの酸化防止作用のpH依存性を調査した。ケルセチンは、全pH範囲にわたって、調査された構造の中で最も高い活性を示す。
本発明の調製物は、ビタミンをさらなる成分として含んでもよい。ビタミンA、ビタミンA プロピオナート、ビタミンA パルミタート、ビタミンA アセタート、レチノール、ビタミンB、チアミンクロリドヒドロクロリド(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールE アセタート、トコフェロール ヒドロゲンスクシナート、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、
チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)から選択される、ビタミンおよびビタミン誘導体は、本発明の調製物中に存在し、特に好ましくは、ビタミンA パルミタート、ビタミンCおよびそれらの誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールE アセタート、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンである。化粧的適用の場合において、ビタミンは、通常、総重量に基づき、0.01〜5重量%の範囲で調製物に添加される。栄養生理学的用途は、個々のビタミンの必要性を重視する。
本発明の調製物はまた、1種または2種以上のさらなる美白活性化合物または同義的に脱色素活性化合物を含んでもよい。美白活性化合物は、原則として、当業者に既知の全ての活性化合物であり得る。組み合わせに好適なのは、商業的に入手可能なメラニン形成阻害剤であって、例えば、アスコルビン酸およびその誘導体、アロエシン、ナイアシンアミド、エンブリカ(emblica)、エラグ酸、リコリス抽出物、マルベリー抽出物、コウジ酸、リコリス抽出物、ルシノール、ヒドロキノン、アゼライン酸、アルブチン、マグネシウムアスコルビルホスファートなどである。美白活性を有する化合物の好ましい例は、ヒドロキノン、ナイアシンアミド、アスコルビン酸およびその塩、コウジ酸、アルブチン、アロエシン、アゼライン酸、エラグ酸またはルシノールである。美白活性を有する抽出物の好ましい例は、リコリス抽出物、マルベリー抽出物またはエンブリカである。
本発明の調製物は、さらに、抗老化活性化合物、抗セルライト活性化合物または皮膚保護もしくは皮膚ケア活性化合物を含んでもよい。皮膚保護または皮膚ケア活性化合物は、原則として、当業者に既知の全ての活性化合物であり得る。特に好ましい抗老化活性化合物は、ピリミジンカルボン酸、アリールオキシム、ビオフラボノイド、ビオフラボノイド含有抽出物、クロモンまたはレチノイドである。
特に、皮膚ケア調製物に好適な抗老化活性化合物は、好ましくはまた、いわゆる適合溶質である。これらは、植物または微生物の浸透圧調節に関連し、これらの生命体から単離することが可能な物質である。本明細書における総称、適合溶質はまた、ドイツ国特許出願DE-A-10133202に記載されるオスモライトを含む。好適なオスモライトは、例えば、ポリオール、メチルアミン化合物およびアミノ酸ならびにそれらの個々の前駆体である。
ドイツ国特許出願DE−A−10133202の意味におけるオスモライトは、特に、ポリオール、例えば、ミオイノシトール、マンニトールまたはソルビトールなどおよび/または、以下に言及される1種または2種以上のオスモライト的に(osmolytically)活性物質:タウリン、コリン、ベタイン、ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、グルタミン、グリシン、α−アラニン、グルタマート、アスパルタート、プロリンおよびタウリン、の群からの物質を意味するものと解される。これらの物質の前駆体は、例えば、グルコース、グルコースポリマー、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、無機ホスファート、タンパク質、ペプチドおよびポリアミノ酸などである。前駆体は、例えば、代謝ステップによりオスモライトに変換される化合物である。
本発明に従って好ましく用いられる適合溶質は、ピリミジンカルボン酸(エクトインおよびヒドロキシエクトインなど)、プロリン、ベタイン、グルタミン、環状ジホスホグリセラート、N−アセチルオルニチン、トリメチルアミンN−オキシド、ジ−ミオ−イノシトールホスファート(DIP)、環状2,3−ジホスホグリセラート(cDPG)、1,1−ジグリセロールホスファート(DGP)、β−マンノシルグリセラート(フィロイン)、β−マンノシルグリセルアミド(フィロイン−A)および/またはジマンノシルジイノシトールホスファート(DMIP)またはそれらの化合物の光学異性体、誘導体、例えば、酸またはエステル、あるいはそれらの組み合わせからなる群から選択された物質である。
ピリミジンカルボン酸の中で、本明細書において特に言及すべきは、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)ならびにそれらの誘導体である。
加えて、使用することができる抗老化活性化合物が、Merckからの製品であり、例えば、5,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロモンが、商品名RonaCare(登録商標) Luremine、Ronacare(登録商標) Isoquercetin、Ronacare(登録商標) TilirosidまたはRonacare(登録商標) Cyclo-peptide 5で市販されている。
既知の抗老化活性物質はまた、例えば、EP 1508327に記載されるようにクロモン、またはレチノイド、例えばレチノール(ビタミンA)、レチノイン酸、レチンアルデヒド、またはまたビタミンAの合成により修飾される化合物である。記載されるクロモンおよびレチノイドは、同時にまた効果的な抗セルライト活性化合物である。同様に既知の抗セルライト活性化合物は、カフェインである。
本発明は、同様に、上記のとおり、少なくとも1種の式(I)で表される化合物、およびコントラスト低減効果を有し、均一な皮膚の陰りを達成するセルフタンニング物質を含む調製物に関する。本発明は、同様に、上記のとおり、式(I)で表される化合物の、コントラスト低減および均一な皮膚の陰りを達成するためのセルフタンニング物質と組み合わせた使用に関する。
したがって、コントラスト低減剤は、より強くおよびより弱く色付いた皮膚の区域間のコントラストを低減させることにより、不均一な皮膚の色合いを低減させる物質である。このタイプの均一でない皮膚の色合いは、ここで、不均一な着色および/または角化した皮膚の異なる分布を通して、生じ得る。
均一でない着色は、個体群においては決して異常ではなく、メラノサイトによるメラニン産生の異なるレベルにまたは皮膚におけるメラノサイトの不規則な分布に基づく。メラニン産生阻害物質を伴うメイラード反応またはマイケル付加に基づく、タンニング混合物の組み合わせは、既に過度に着色された皮膚の区域がそれらの高いメラニン濃度を失い、着色剤により皮膚表面で生じた皮膚の陰りが広い区域にわたって確立されるという効果を有する。
コントラスト低減は、特に、少なくとも1種の式(I)で表される化合物と、さらに好ましくは、ジヒドロキシアセトン(DHA)およびそれらから誘導される誘導体、DHA rapid、DHA plusまたはエリトルロースを含むセルフタンニング物質とを、あるいは、DHA、DHA rapid、DHA plusおよび/またはエリトルロースを含むセルフタンニング物質の混合物とを組み合わせた調製物により達成される。
とりわけ、ジヒドロキシアセトン含有混合物または調製物において用いることができる、有利なセルフタナー(tanner)は:グリセリンアルデヒド、ヒドロキシメチルグリオキサール、γ−ジアルデヒド、6−アルド−D−フルクトース、ニンヒドリン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ジュグロン)または2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン)あるいは該化合物の混合物である。エリトルロースは、特に好ましくは、ジヒドロキシアセトン含有混合物中で用いられる。
少なくとも1種の式(I)で表される化合物をまた、本発明に従い、ジヒドロキシアセトンおよび上記の群から選択されるさらなるセルフタナーを含む、セルフタンニング物質の混合物と共に使用することができる。例により、本発明に従って使用される混合物は、上記のとおり、ジヒドロキシアセトンおよび少なくとも1種のさらなるセルフタンニング物質からなる。この混合物を、次いで、本発明に従い、少なくとも1種の式(I)で表される化合物と、組み合わせることができ、下記のとおり、化粧的、皮膚用のまたは医薬調製物において用いることができる。ジヒドロキシアセトンまたはそれらから誘導される誘導体は、極めて特に好ましくは、さらなるセルフタンニング物質なしで用いる。
本発明に従い、少なくとも1種の式(I)で表される化合物およびセルフタナーを含む、記載した調製物において、有色色素がさらに存在してもよく、ここで、色素の層構造は限定されない。0.5〜5重量%の使用のにおいて、有色色素は、好ましくは、皮膚色または茶色みがかっていなければならない。対応する色素の選択について、当業者は精通している。
記載した組成物または調製物は、特に、皮膚を明るくすること、チロシナーゼの阻害、および/または皮膚の色素障害の予防、治療および/または進行制御における使用に、全ての場合において、特に過度の着色、小斑点、加齢性しみ、黒点および環境的に誘発された皮膚の老化の場合に好適である。それらは、ここで、この用途に通常使用される種々の投与形態で存在する。
以下が、例えば本発明の調製物の適用形態として言及され得る:特に外用適用のための、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石けん、界面活性剤を含有するクレンジング調製物、オイル、エアロゾル、プラスター、湿布、包帯およびスプレーである。さらなる適用形態は、例えば、スティック、シャンプーおよびシャワーバス(shower bath)である。
本発明の化粧的および皮膚用調製物は、特に、水を含まない調製物、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型の各場合には、ローションまたは乳液、クリームまたは乳液など、またはマイクロエマルジョンであり得、水中油中水(W/O/W)型またはその逆(O/W/O)の多重エマルジョン、ゲルまたは溶液(特に、油性アルコール性の、油性水性の、水性アルコール性のゲルまたは溶液)、固形スティック、軟膏またはエアロゾルであり得る。適用については、本発明の化粧的および皮膚用調製物を、化粧品の通常の様式で、十分な量を皮膚に適用する。
本発明の態様は、クリームまたは乳液の形態であって、例えば、水の存在下での、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成油またはワックスおよび乳化剤を含むエマルジョンである。さらに特に好ましい態様は、天然または合成油およびワックスをベースとする油性ローション、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、またはエタノールなどの低級アルコールをベースとする油性アルコール性ローション、またはプロピレングリコールなどのグリセロール、および/またはグリセロールなどのポリオール、および油、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルである。
本発明の特に好ましい調製物はまた、1種または2種以上の低級アルコールまたはポリオール、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなど、およびケイ質土などの増粘剤を含む、アルコール性ゲルの形態であってもよい。油性アルコール性ゲルは、さらに、天然または合成油またはワックスを含む。固形スティックは、好ましくは、天然または合成油またはワックス、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の脂肪性物質からなる。調製物が、エアロゾルとして処方される場合には、通常の噴射剤は、アルカンなど、空気、窒素、一酸化二窒素、特に好ましくはアルカンまたは空気が好ましく使用される。
1種または2種以上の式(I)で表される化合物を、記載したとおり、通常の様式で化粧的または皮膚用調製物中に組み入れることができる。調製物は、例えば、経口投与に適するように設計される。カプセル化された形態で、例えば、コラーゲンマトリックスおよび他の慣用のカプセル化材料中で、例えばセルロースまたはキチンカプセルなどとして、あるいは、ゼラチンもしくはワックスマトリックスあるいはリポソームでのカプセル化中で、エクトインを投与することも有利である。特に、ワックスマトリックスが、DE-A-4308282に記載されるように、有益であることが証明されている。
調製物は、必要なまたは任意の該構成成分または成分を含み(include)、または、必要なまたは任意の該構成成分または成分を含み(comprise)、本質的には必要なまたは任意の該構成成分からなり、または、必要なまたは任意の該構成成分からなり得る。調製物中で使用することができる全ての化合物または構成要素は、既知であって商業的に入手可能であるか、または既知のプロセスにより合成することができるかのいずれかである。あらゆる所望の慣用のビヒクル、助剤、および所望により、さらなる活性化合物を、調製物に添加してもよい。好ましい助剤は、防腐剤、安定剤、可溶化剤、着色剤、すなわち、色素、染料、乳化剤または臭気改良剤に由来する。
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、例えば、動物性および植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび二酸化チタン、またはこれらの物質の混合物などの、局所適用に好適な通例のビヒクルを含んでもよい。粉末およびスプレーは、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含んでもよい。
スプレーはさらに、通例上容易に揮発する、液化噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどを含んでもよい。圧縮空気はまた、有利に使用することができる。しかしながら、空気はまた、例えばポンプスプレーなどの常圧計量デバイスにおいても用いることができる。
溶液およびエマルジョンは、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、オイル、特に綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの、例えば、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの通例のビヒクルを含んでもよく;一般的に好ましい可溶化剤は、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル−D−アラニンメチルエステルである。
懸濁液は、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁媒体、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルなど、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などの、液体希釈剤などの通例のビヒクルを含んでもよい。石けんは、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含んでもよい。
界面活性剤含有クレンジング製品は、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物油および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含んでもよい。フェイスまたはボディオイルは、合成油、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油など、天然油、植物油および油性植物抽出物など、パラフィン油、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含んでもよい。
本発明の好ましい調製物形態は、特にエマルジョンを含む。O/Wエマルジョンが、特に好ましい。エマルジョン、W/OエマルジョンおよびO/Wエマルジョンを、慣用の様式で得ることができる。本発明のエマルジョンは有利であり、このタイプの調製物に通常使用されるように、例えば、該脂肪、オイル、ワックスおよび他の脂肪物質、および水または水相、例えば、溶媒または親水性界面活性剤を伴って、および乳化剤を含む。
脂質相を、有利には以下の物質群:
− 鉱油、ミネラルワックス;
− オイル、例えば、カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなど、さらに天然油、例えばヒマシ油など;
− 脂肪、ワックスならびに他の天然および合成脂肪物質、好ましくは、低炭素数を有するアルコールと、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールと脂肪酸とのエステル、あるいは低炭素数を有するアルカン酸と、または脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル;
− シリコーン油、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、およびそれらの混合形態など、
から選択してもよい。
本発明の目的のために、エマルジョン、オレオゲル(oleogel)またはハイドロ分散体(hydrodispersion)の油相は、有利には、3〜30個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のエステル、および3〜30個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルコールの群から、芳香族カルボン酸および3〜30個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルコールのエステルの群から選択される。このタイプのエステル油を、次いで、有利には、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルステアラート、イソプロピルオレアート、n ブチルステアラート、n−ヘキシルラウラート、n−デシルオレアート、イソオクチルステアラート、イソノニルステアラート、イソノニルイソノナノアート、2−エチルヘキシルパルミタート、2−エチルヘキシルラウラート、2−ヘキサルデシルステアラート、2−オクチルドデシルパルミタート、オレイルオレアート、オレイルエルカート、エルシルオレアート、エルシルエルカートならびにこのタイプのエステルの合成、半合成および天然混合物、例えば、ホホバ油などの群から選択することができる。
さらに、油相を、有利には、分岐状および非分岐状炭化水素および炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群、飽和または不飽和、分岐状または非分岐状のアルコール、および脂肪酸トリグリセリド、具体的には、8〜24個の、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群から選択することができる。脂肪酸トリグリセリドを、有利には、例えば、合成、半合成および天然油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、ナタネ油、アーモンド油、ヤシ油、ヤシ油、パーム核油などの群から選択することができる。このタイプのオイルおよびワックス構成要素のあらゆる所望の混合物をまた、有利には、本発明の目的のために用いてもよい。また、ワックス、例えば、セチルパルミタートを、油相の単独脂質構成要素として用いることも有利であり得る。
本発明の調製物の水相は、任意に、有利には、低炭素数を有するアルコール、ジオールまたはポリオール、およびそれらのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類似生成物、さらに、低炭素数を有するアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、および、特に、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類またはそれらの誘導体、例えば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に有利にはポリアクリレートの群から、
好ましくは、いわゆるカーボポール、例えば、カーボポール等級980、981、1382、2984、5984の群からのポリアクリレートの群から選択してもよい、1種または2種以上の増粘剤などを、各場合において、個々にまたは組み合わせて含む。特に、上記で言及した溶媒の混合物を使用する。アルコール性溶媒の場合には、水が、さらなる構成成分であり得る。
好ましい態様において、本発明の調製物は、親水性界面活性剤を含む。親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよびココナッツアンホアセタートの群から選択される。
使用することができる乳化剤は、例えば、既知のW/OおよびO/W乳化剤である。本発明の好ましいO/W乳化剤において、さらなる慣用の共乳化剤を使用することが有利である。
本発明に従って選択される共乳化剤は、O/W乳化剤が、飽和ラジカルRおよびR’を有する限り、有利には、例えば、からのO/W乳化剤であって、主にHLB値11〜16を有する、極めて特に有利には、HLB値14.5〜15.5を有する物質の群からのものである。O/W乳化剤が、不飽和ラジカルRおよび/またはR’を有する場合には、または、イソアルキル誘導体が存在する場合には、かかる乳化剤の好ましいHLB値はまた、より低いものまたはより高いものであり得る。
エトキシ化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)の群から、脂肪アルコールエトキシラートを選択することが有利である。
以下の群:ポリエチレングリコール(20)ステアラート、ポリエチレングリコール(21)ステアラート、ポリエチレングリコール(22)ステアラート、ポリエチレングリコール(23)ステアラート、ポリエチレングリコール(24)ステアラート、ポリエチレングリコール(25)ステアラート、ポリエチレングリコール(12)イソステアラート、ポリエチレングリコール(13)イソステアラート、ポリエチレングリコール(14)イソステアラート、ポリエチレングリコール(15)イソステアラート、ポリエチレングリコール(16)イソステアラート、ポリエチレングリコール(17)イソステアラート、ポリエチレングリコール(18)イソステアラート、ポリエチレングリコール(19)イソステアラート、ポリエチレングリコール(20)イソステアラート、ポリエチレングリコール(21)イソステアラート、ポリエチレングリコール(22)イソステアラート、ポリエチレングリコール(23)イソステアラート、ポリエチレングリコール(24)イソステアラート、ポリエチレングリコール(25)イソステアラート、ポリエチレングリコール(12)オレアート、ポリエチレングリコール(13)オレアート、ポリエチレングリコール(14)オレアート、ポリエチレングリコール(15)オレアート、ポリエチレングリコール(16)オレアート、ポリエチレングリコール(17)オレアート、ポリエチレングリコール(18)オレアート、ポリエチレングリコール(19)オレアート、ポリエチレングリコール(20)オレアートからの脂肪酸エトキシラートを選択することがさらに有利である。
有利に使用することができる、エトキシ化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウム(sodium laureth-11 carboxylate)である。有利に使用することができる、アルキルエーテル硫酸塩は、ラウレス1−4硫酸ナトリウムである。有利に使用することができる、エトキシ化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ダイズステロールもまた、うまくいくことが証明された。有利に使用することができる、エトキシ化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)イブニングプリムローズグリセリドである。
ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプラート/カプリナート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレアート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアラート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレアートココアートの群からのポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することがさらに有利である。
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミタートおよびポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレアートの群からのソルビタンエステルを、同様に選択することが有益である。
以下:8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルコールのジグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、ならびに8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する、飽和および/または不飽和、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸のソルビタンエステルを、任意のW/O乳化剤として用いることができるが、本発明に従い、なお有利であり得るものである。
特に有利なW/O乳化剤は、リセリルモノステアラート、グリセリルモノイソステアラート、グリセリルモノミリスタート、グリセリルモノオレアート、ジグリセリルモノステアラート、ジグリセリルモノイソステアラート、プロピレングリコールモノステアラート、プロピレングリコールモノイソステアラート、プロピレングリコールモノカプリラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンモノイソステアラート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノカプリラート、ソルビタンモノイソオレアート、スクロースジステアラート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウラート、グリセリルモノ−カプリナート、グリセリルモノカプリラートまたはPEG−30ジポリヒドロキシステアラートである。
調製物は、このタイプの調製物において通常使用される、化粧的アジュバントを含んでもよく、例えば、増粘剤、柔軟剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、染料および/または色素などであり、組成物自体または皮膚を色付け、他の成分は通常化粧品において使用される。
使用される分散剤または可溶化剤は、オイル、ワックスまたは他の脂肪物質、低級モノアルコールまたは低級ポリオールあるいはそれらの混合物であり得る。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールは、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールを含む。
本発明はまた、製造方法および任意に本発明の調製物の準備に関し、以下のステップ:(a)式(I)、部分式(IA)、(IB)、(IC)で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を、少なくとも1種のさらなる活性化合物および局所適用に好適な少なくとも1種のビヒクルと、任意に生理学的に許容可能な助剤および/または充填剤と混合すること、任意に(b)式(I)で表される化合物の明らかな準備、を有する。
本発明の調製物を、当業者に周知の手法を利用して調製することができる。混合することにより、少なくとも1種の式(I)またはその部分式で表される化合物の溶解、乳化または分散が、上記のとおり、ビヒクル中でもたらされ得る。式(I)で表される化合物およびこれらとの調製物に関する本発明の従来の教示およびそれらの態様は有効であり、適切であると思われる場合には、調製物および調製物の任意の準備を制限することなく、適用することができる。
本発明はまた、式(I)
式中、
R1は、A、Cyc、OHまたはArを示し、
R2は、Y、Cyc、OHまたはArを示し、
Yは、HまたはAlkを示し、
Aは、5〜18個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜12個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、
Cycは、3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−または−CH=CH−基により置き換えられていてもよく、
Arは、5〜14個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリールを示し、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−(CY2)p−OYにより一、二または三置換されていてもよく、および
m、pは、互いに独立して、0、1または2を示し、
mおよびnが、同時に0を示す場合には、YおよびArは、R2について除かれる、
で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物に関する。
本発明の好ましい態様は、部分式(IC)
式中、
R1は、A、Cyc、OHまたはArを示し、
R2は、Y、Cyc、OHまたはArを示し、
Yは、HまたはAlkを示し、
Aは、5〜8個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−、−CH=CH−または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜4個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、
Cycは、3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−または−CH=CH−基により置き換えられていてもよく、
Arは、5〜14個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリールを示し、それは、非置換であるか、またはF、Alkまたは−(CY2)p−OYにより一、二または三置換されていてもよく、および
m、pは、互いに独立して、0、1または2を示し、
mが、0を示す場合には、YおよびArは、R2について除かれる、
で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物に関する。
本発明の特に好ましい態様において、部分式(IC)、式中、
R1は、A、CycまたはArを示し、
R2は、Cycを示し、
Yは、HまたはAlkを示し、
Aは、5〜8個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−CH=CH−または−C≡C−基により置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜4個のC原子を有する非分岐状または分岐状のアルキルを示し、
Cycは、3〜8個のC原子を有する環状アルキルを示し、ここで、互いに独立して、1〜3個のH原子は、Fにより置き換えられていてもよく、および/または、互いに独立して、1個または2個の隣接するCH2基は、−O−、−N(Alk)−または−CH=CH−基により置き換えられていてもよく、
Arは、5〜14個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリールを示し、それは、非置換であるか、または、FまたはOYにより一または二置換されていてもよく、および
mは、0、1または2を示し、
で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物が調製される。
本発明はさらにまた、部分式(IC)で表される化合物、および/またはこれらの塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の製造方法に関し、以下のステップ:
(a)式(II)
式中、R1およびmは、上記に示した意味を有する、
で表されるフルフラール誘導体のベンゾイン付加により、
部分式(IC)
式中、R1、R2およびmは、上記に示した意味を有する、
で表される化合物を得ること、
および任意に
(b)部分式(IC)で表される化合物の塩基または酸の、それらの塩の1種への変換、
を有する。
式(I)および部分式(IC)で表される化合物は、皮膚を明るくするための、チロシナーゼの阻害のための、および/または皮膚の色素障害の予防、治療および/または進行制御における使用に特に好適である。これらの化合物はまた、特に、セルフタンニング物質の、ケラチン含有マトリックスとの非酵素タンニング反応による有色色素の発生の原則に基づく、セルフタンニング物質と組み合わせることができ、これにより、より均一な皮膚の陰りが達成される。そうでなければ、本発明の従来の教示、および式(I)で表される化合物およびそれらの調製物の使用に関するそれらの態様は有効であり、適切であると思われる場合には、部分式(IC)で表される化合物ならびにその調製物および使用に制限することなく、適用することができる。
本発明の別の態様は、少なくとも1種の式(I)または部分式(IC)で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を含む医薬に関する。本発明のなお別の態様は、活性化合物としての、少なくとも1種の式(IC)で表される化合物、および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物の有効量を、薬学的に耐性助剤と共に含む、医薬組成物に関する。両方の態様について、1種の式(IC)で表される化合物が好ましい。
「医薬」、「薬剤」および「医薬組成物」または「薬学的処方物」は、本明細書において、患者の予防、治療、進行制御または後療法において用いることができる、あらゆる組成物であって、患者は、少なくとも一時的に、好ましくは、皮膚の色素障害の結果として、全身状態のまたは患者生命体の個々の部分の状態の病原変性を示す。
本発明の化合物の保護または治療作用を増大させるためには、薬学的耐性アジュバントを添加することができる。本発明の目的のために、本発明に従う化合物と共に、効果を促進し、増強し、または修正するあらゆる物質が、「アジュバント」である。既知のアジュバントは、例えば、アルミニウム化合物、例えば、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなど、サポニン、例えば、QS 21、ムラミルジペプチドまたはムラミルトリペプチドなど、タンパク質、例えば、ガンマ−インターフェロンまたはTNFなど、MF 59、ホスファチジルコリン、スクアレンまたはポリオールである。さらに、アジュバント効果をタンパク質にコードするDNAを、平行してまたは構成において(in a construct)適用することができる。
細胞または生命体中への医薬組成物の導入を、本発明に従い、チロシナーゼを組成物中に存在する化合物に接触させ、その結果応答を誘発することを可能にする、あらゆる様式で行うことができる。本発明の医薬組成物を、経口、局所、経皮、経粘膜、尿道、膣、直腸、肺、腸および/または非経口、好ましくは、局所または経皮投与することができる。選択される投与のタイプは、適応、投与用量、個別の特定パラメータなどに依存する。特に、種々のタイプの投与は、副作用を最小化し、活性化合物の用量を減少させる、部位特定治療を促進する。
医薬組成物の投与形態を、好適な投与量で、ならびに通常用いられる、通例の固体または液体ビヒクルおよび/または溶離剤および助剤を使用する自体公知の様式で、投与の所望のタイプに対応して調製する。よって、当業者に既知の薬学的に許容可能な賦形剤は、基本的には、本発明の医薬組成物の一部を形成し、ここで、単一用量を調製するために活性化合物と組み合わせられる賦形剤材料の量は、処置される個人および投与のタイプに応じて変化する。これらの薬学的耐性添加剤には、塩、緩衝液、充填剤、安定剤、錯化剤、酸化防止剤、溶媒、結合剤、潤滑剤、錠剤コーティング剤、フレーバー、染料、防腐剤、調整剤などが含まれる。このタイプの賦形剤の例は、水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、炭水化物、例えば、ラクトースまたはデンプンなど、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよびワセリンである。。
医薬処方物は、錠剤、フィルム錠剤、糖衣錠、トローチ、カプセル、丸薬、粉末、顆粒、シロップ、ジュース、滴剤、溶液、分散体、懸濁液、坐剤、エマルジョン、インプラント、クリーム、ゲル、軟膏、ペースト、ローション、血清、オイル、スプレー、エアゾール、接着剤、プラスターまたは包帯の形態であり得る。調製される経口投与形態は、好ましくは、錠剤、フィルム錠剤、糖衣錠、トローチ、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、ジュース、滴剤、溶液、分散体または懸濁液であり、デポー形態を含む。
さらに、非経口医薬形態、例えば、坐剤、懸濁液、エマルジョン、インプラントまたは溶液などは、好ましくは、油性または水性溶液でなければならないとされる。局所投与については、医薬活性化合物を、慣用の様式で、少なくとも1種の薬学的に許容可能なビヒクル、例えば、微結晶性セルロースなど、および任意にさらなる助剤、例えば、保湿剤などで処方し、皮膚に適用することができる固体処方物、例えば、クリーム、ゲル、軟膏、ペースト、粉末またはエマルジョンなどを得るか、あるいは、皮膚に適用することができる液体処方物、例えば、溶液、懸濁液、ローション、血清、オイル、スプレーまたはエアゾールなどを得る。医薬組成物は、好ましくは、局所適用のための形態である。医薬組成物はまた、固体組成物、例えば凍結乾燥状態の形態であり得、次いで使用の前に、溶解剤、例えば蒸留水などの添加により調製することができる。当業者は、凍結乾燥物の調製の基本的原理に精通している。
処方物中の活性化合物の濃度は、0.01〜100重量%であり得る。医薬組成物が、活性化合物として、有効量の化合物を薬学的耐性助剤と共に含むことは極めて重要である。用語「有効量」または「有効用量」は、本明細書においては区別せずに使用され、細胞、組織、器官または哺乳動物中での疾患または病変への予防的または治療的関連効果を有する、有効量の医薬活性化合物を示す。「予防効果」は、疾患の発生を防ぎ、また通常の生理学的機能の増加を含む。予防は、特に、個体が上記の疾患の、例えば、家族歴、遺伝子欠損または直近に死に至らなかった疾患(recently survived disease)などの発病について素因を有する場合には、賢明である。
「治療的関連効果」により、1種の、2種以上のまたは全ての病徴からの、一部または全部の開放がもたらされるか、あるいは1種の、2種以上のまたは全ての肉体的または生化学的パラメータの部分的なまたは完全な回復がもたらされ、該パラメータは、疾患または病変の通常の状態への変化に関連するか、または因果的に関する。進行制御はまた、化合物が、特定の間隔で、例えば、完全に疾患の兆候を排除するために投与される場合には、治療的処置のタイプであり得ると解される。本発明の化合物の投与のための個々の用量または用量範囲は、十分に大きく、生物学的または医学的応答の誘導の、所望の予防的または治療的効果を達成することができる。
一般に、用量は、患者の年齢、体質および性別により変化するであろうし、疾患の重症度が考慮されるであろう。投与の特定の用量、頻度および継続時間が、さらに、因子、例えば、化合物の標的能または結合能、処置される個体の食習慣、投与のタイプ、排出比および他の薬剤との組み合わせなどの多重度に依存することはいうまでもない。個体用量を、原発性疾患に関し、およびまたあらゆる合併症の発生に関し、両方に関して適合させることができる。正確な用量を、当業者は、既知の手段および方法使用して確立することができる。
本発明の態様において、化合物を、投与単位あたり0.01mg〜1g、好ましくは、1〜700mg、特に好ましくは、5〜100mgの用量で投与する。1日用量は、特に、0.02〜100mg/体重1kgである。
医学的効果を補助するために、医薬組成物はまた、本発明の態様において、1種または2種以上のさらなる活性化合物を含んでもよく、ここで、同時または連続投与が考えられる。本発明の医薬組成物の治療的効果は、例えば、所望の副作用としてのチロシナーゼの阻害によるより良好な作用を有する特定のスキンライトナーに、およびこれらの薬剤の副作用の数が、用量の低減により減少されることに存し得る。式(I)で表される化合物の、さらなる活性化合物との組み合わせおよびこのタイプの調製物に関する本発明の従来の教示およびそれらの態様は、有効であり、適切であると思われる場合には、部分式(IC)で表される化合物との組み合わせ調製物およびそれらの調製物を制限することなく、適用することができる。
本発明をまた、本発明の化合物を含むキットとして実践することができる。キットは、(a)有効量の部分式(IC)で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物、および(b)有効量のさらなる活性化合物の別個のパックからなる。キットは、好適な容器、例えば、箱またはカートン、個々のビン、袋またはアンプルなどを含む。キットは、例えば、各々が有効量の部分式(IC)で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物、ならびに溶解形態または凍結乾燥形態での有効量のさらなる活性化合物を含む、別々のアンプルを含んでもよい。本発明のキットはまた、本発明の化合物の取り扱いを説明した、取扱説明書を含むかまたは使用者に取扱説明書を指し示す品目を含んでもよい。
本発明は、さらに、皮膚の色素障害の予防、治療および進行制御を教示し、ここで、式(I)、部分式(IA)、(IB)、(IC)で表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩、互変異性体、立体異性体および/または溶媒和物、全ての比率でのこれらの混合物を、処置される対象に投与する。本発明の意味における好ましい対象は、ヒトまたは動物、特に好ましくは、ヒトである。ここで、当業者には、彼が、当然医薬組成物としても使用することができる本発明の化合物を、種々の用量で、生命体、特にヒト患者に投与することができることは既知である。有効量および投与のタイプを、当業者により、ルーチンの実験により決定することができる。本発明の従来の教示およびそれらの態様は、有効であり、適切であると思われる場合には、処置方法を制限することなく、適用することができる。
本明細書において提示する本発明の一部として、式(I)で表される新規な2,2’−フロイン誘導体が提供された。本発明の化合物は、チロシナーゼ親和性および/または選択性を標的とする。式(I)およびその部分式および誘導体で表される化合物を、高い特異性および安定性、低い調製コストならびに取り扱いの容易さにより区別する。これらの特性が、交差反応性および対応する標的構造の、信頼性があり、安全な相互作用を含む、作用の再現可能なモードの基礎を形成する。本発明はまた、本発明の式(I)で表される新規な2,2’−フロイン誘導体の、チロシナーゼのシグナルカスケードの阻害、制御および/または調節のための使用を含み、これにより研究および/または診断法のための新規なツールを提案する。
該化合物を含む医薬調製物およびこれらの化合物のチロシナーゼにより助長される障害の処置のための使用は、ヒトおよび動物における兆候の直接的で即時の軽減を達成するための、高度に確実なアプローチである。これは、単一療法としてまたは他の美白療法と組み合わせて、のいずれかとして、色素障害の効果的な処置に特に有利である。皮膚の着色の制御は、同様に、現代の化粧製品の中心的な話題である。極めて青白い皮膚またはむしろ日焼けした外見のいずれが好ましいかは、文化的要因に決定的に依存する。美白に役立つ製品は、例えば、アジア文化区域において極めて関心が持たれるものであり、ここで、青白い皮膚の陰りは、上級の(raised)社会的地位および財産に関連する。
メラニンの合成を介して皮膚の陰りを制御する、チロシナーゼの強度で選択的な阻害により、式(I)で表される化合物を、本発明に従い、かなり低い濃度で投与することができ、一方でそれらは、従来技術のより作用の低い美白物質と比較して、同等のまたはむしろ優れた生物学的効果を達成する。それらは、有利に、美白活性化合物としてのそれらの作用に関し、高度で長期の活性を示す。特に、皮膚炎が生じないため、適用により、低減された医学的副作用または医学的副作用がないことも付随する。本発明の化合物は、改善された有効性によるのみならず、また使用の安全性および良好な処方能力によっても区別される。よって、それらを、容易に調製物中に組み入れることができ、調製物中で改善された安定性を有することができる。
さらなるコメントなしに、当業者は、上記の記載を最も広い範囲において利用することができるであろうことが、想定されるであろう。全ての該成分または構成要素およびさらなる該成分または構成要素について、当業者は精通し、ルーチンの実験において本発明の教示のための特定の態様を蓄積する(experience)ことができる。記載の中で引用される全ての文献は、本明細書によりそれらの全体において本願発明の開示内容に参照として組み込まれる。
好ましい態様および例は、いかなる意味においても何ら限定するものではなく、単に記述的開示とみなされなければならない。結果として、本発明が、本明細書に記載されるように、特定の化合物、医薬組成物、使用、方法およびプロセスに制限されないことはいうまでもなく、これは、かかるものが変化し得るためである。さらに、本明細書において使用される専門用語が、特定の態様の説明の目的を果たすのみであり、本発明の保護範囲を制限することを意図しないことはいうまでもない。特許請求の範囲を含む本明細書において使用されるように、単数の語形、例えば、「a」または「the」などは、文脈が具体的に示さない限りは、複数の同等物を含む。例えば、「化合物(a compound)」の言及には、単一の化合物および複数の化合物が含まれ、同様に同一または異なってもよく、あるいは、「プロセス(a process)」の言及には、当業者に既知である、同等のステップおよびプロセスが含まれる。
本発明を、特定の態様の非限定的な例を参照して、以下により詳細に説明する。例は、特に、具体的に例示した特徴の組み合わせに制限されるものとして解釈されてはならないが、その代わりに、本発明の目的が達成される限りは、例示した特徴を、自由に組み合わせるかまたは個々に使用することができる。例の調製物における個々の成分の重量パーセント比は、明示的に説明の開示内容に属し、したがって、特徴として使用することができる。
例1:2,2’−フロインの合成
本発明の化合物は、ベンゾイン縮合により、対応する非置換の、または置換フルフラール誘導体から可能である。この反応は、化学文献に広く記載されてきた。特定の場合においては、合成を、例えば、DE-A-19704273に記載されたように行うことができる:
例2:チロシナーゼアッセイ
スキンライトナーとしての、式(I)を有する化合物の作用を、酵素チロシナーゼを阻害し、これによりメラニン合成を抑制するそれらの能力を試験する。式(I)またはその部分式で表される化合物の、チロシナーゼに対する阻害作用を、菌類からのチロシナーゼおよび基質としてのL−DOPAを使用して評価する。化合物およびL−DOPAを、25℃で10分間、リン酸緩衝液(pH 6.8)中で予備インキュベートし、菌類からのチロシナーゼ(16U)(Fluka)を続いて添加する。サンプルの光学濃度を、470nmで、陰性対照(活性化合物なしのもの)に対して測定する。コウジ酸を、同様にチロシナーゼ参照、すなわち、陽性対照として試験する。
例3:B16Vマウスメラノーマ細胞試験:
B16Vマウスメラノーマ細胞(製造業者:DSMZ、品番:ACC370)を、10%のFBS(ウシ胎児血清;Invitrogen、品番:10499044)、2mM L−グルタミン(Invitrogen、品番:25030)および1mM ピルビン酸ナトリウム(Invitrogen、品番:11360)がさらに添加された、RPMI培地(Invitrogen、品番:31870)中に移植し、37℃および5% CO2で、72時間インキュベートする。培地を分離し、細胞を1回10mlのDPBS(Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水;Invitrogen、品番:14190)で洗浄し、培地を続いて吸引により除去する。1mlのHyQtase細胞分離溶液(Hyclone、品番:SV30030.01)を細胞に添加する。ビンを、何度も回転させ、HyQtase細胞分離溶液を、続いて吸引により除去する。細胞を、次いでインキュベーター中で、37℃でおよび5% CO2で、5分間インキュベートする。細胞を、修正したRPMI培地(上記参照)中に取り込み、細胞計数を決定する。この目的を達成するために、細胞をトリパンブルーで染色し、ノイバウェル血球計算盤(Neubauer counting chamber)中で計数する。細胞を、続いて修正したRPMI培地(上記参照)に、ウェル(6ウェルクリアプレート、TCT、PS(Nunc))毎に、定義された細胞計数80,000細胞で再び播種する。
細胞を、37℃でおよび5% CO2で、24時間インキュベートし、次いで培地を除去する。1980μlの物質溶液を、続いて添加する。この物質希釈のために、2,2’−フロインをDMSO中に溶解し、続いて添加する。滅菌フィルター(0.2μm、Millipore、品番:SLLG013SL)を通してろ過する。溶液を、2,2’−フロイン溶液の最終濃度が、0.1mMまたは0.05mMとなるように、次いで修正したRPMI培地(上記参照だが、この場合において、FBS含有量は、5%のみである)で希釈する。20μlのアルファ−MSH溶液(アルファ−メラノサイト刺激ホルモン、DMSO、Sigma、品番:D2650)を、次いで添加し、ウェル中のアルファ−MSH濃度が、10−8Mとなるようにする。プレートを、続いて再び37℃でおよび5% CO2で、24時間インキュベートする。このセクションにおいて記載したプロセスを、合計さらに2回繰り返す。
最終インキュベート周期の後、培地を吸引により除去し、細胞を1000μlのDPBS(Invitrogen、品番:14190)で洗浄する。培地を再び吸引により除去する。250μlのHyQtase細胞分離溶液(Hyclone、品番:SV30030.01)を細胞に添加する。6ウェルプレートを、何度も回転させ、HyQtase細胞分離溶液を、続いて吸引により除去する。細胞を、次いでインキュベーター中で、37℃でおよび5% CO2で、5分間インキュベートする。細胞を、1.5mlの修正したRPMI培地(上記参照)中に取り込み、カップ(SARSTEDT、参照72.692.005)中に移す。細胞計数を、続いて決定する。
この目的を達成するために、細胞をトリパンブルーで染色し、ノイバウェル血球計算盤中で計数する。細胞を、1分間3500gで遠心分離する。得られたペレットを撮影し、上澄み液を続いて吸引により除去する。ペレットを、1mlの1N NaOH中で、80℃で1時間溶解し、次いでRTまで冷却する。カップ毎に200μlを4回(4倍決定(quadruple determination)として)、続いて96ウェルプレート(VWR、品番:4100636981)中にピペットで入れ、405nmの波長での吸収を決定する(Safire、Tecan)。メラニンの含有量を、検量線により、このようにして決定することができる。
効果がかなりの低濃度で達成されているため(表1)、従来技術において既知の美白物質と比較して、著しい改善を例示することができる。
例4:ヒト初代細胞でのメラニン形成アッセイ
正常ヒト表皮メラノサイト(NHEM、Promocell)のアンプルを解凍し、それらの二重測定の数に応じてさらなるボトルに分割する。2〜3週間後、750,000〜百万個の細胞をT25ボトル中に、5mlの完全培地(full medium)で移す。24時間後、培地を除去し、対応する物質希釈または対照により置き換える。細胞上の種々の試験物質のインキュベーションの全体の継続時間は、10日間である。これらの10日間の間、物質希釈または対照を、2〜3日ごとに置き換える。
10日後、メラノサイトを採取する。500μlのトリプシン/EDTAを細胞に添加し、直ちに再び吸引により除去する。細胞を、続いて培地中に取り込み、計数し、遠心分離除去する(centrifuged off)。上澄み液を除去し、ペレットをDPBSで洗浄し、再び遠心分離する。このペレットの写真を撮る。ペレットを、1mlのNaOH(1M)中に取り込み、振とう器中で、80℃で1時間インキュベートする。室温まで冷却された溶液を、96ウェルプレート(4×200μl)中にピペットで入れ、405nmでの吸収を測定する。測定された値を、続いて対照に対し、パーセントでプロットする。
効果がかなりの低濃度で達成されているため(表2)、従来技術において既知の美白物質と比較して、著しい改善を例示することができる。
例5:調製物
例1の化合物を含む化粧用調製物の処方箋を、例(表3〜5)により以下に示す。さらに、商業的に入手可能な化合物のINCI名を示す。UV-Pearl、OMCは、INCI名での調製物を意味する:水(water)(EUのために:水(aqua))、エチルヘキシルメトキシシンナマート、PVP、クロルフェネシン、BHT;この調製物は、Merck KGaA、 Darmstadtにより名称Eusolex(登録商標)UV Pearl(登録商標) OMCで商業的に入手可能である。表に示した他のUV-Pearlは、各々類似の組成を有し、OMCは、示したUVフィルターにより置き換えられている。