JP5729220B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルの中でも特に溶融成形時の流動性が高いポリブチレンテレフタレートの製造方法に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと表すことがある)は、優れた機械特性、耐熱性、成形性およびリサイクル性を有し、機械強度も高く耐薬品性にも優れていることから、成形品、フィルムおよび繊維などに広く利用されており、中でも、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレーおよびスイッチなどの工業用成形品の材料として広く使用されている。
PBTは通常、テレフタル酸と1,4−ブタンジオール(以下1,4−BGと表すことがある)との直接エステル化反応によりポリエステル先駆体であるオリゴマーを形成し、次いでそのオリゴマーを常圧または減圧下で重縮合反応させて製造する方法、また、テレフタル酸のエステル形成誘導体と1,4−BGとをエステル交換反応させてポリエステル先駆体であるオリゴマーを形成し、次いでそのオリゴマーを常圧または減圧下で重縮合反応させて製造する方法により製造する。この際、反応触媒としてチタン化合物が使用されることも良く知られている。
一方、近年、工業用成形品の小型化・軽量化に対する要求がますます高まっており、機械強度のさらなる向上と同時に、溶融成形時の流動性を改良させることが望まれ、さらにはそのようなPBTを効率的に製造することが望まれていた。
従来、3個以上の官能基を有する化合物を、ポリエステル樹脂製造過程で添加することにより、高い流動性を有するポリエステル樹脂を効率的に製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、開示されている技術では良流動性PBTは得られるものの、多官能分岐剤添加の影響か、重縮合反応速度が遅くなる傾向にあった。これを補うために、高温かつ触媒を多量に用いて重合しているため、ポリエステル樹脂の品質(色調、AV)が劣化し、増粘(ゲル化)が懸念されるという問題点がある。
特開2011−84737号公報
上記問題点に鑑み本発明の課題は、3個以上の官能基を有する化合物を添加しても重縮合反応性、品質を損なうことなく、増粘(ゲル化)の懸念が少ない、高い流動性を有するポリエステル樹脂を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に対して鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂を製造する方法において、反応系に3個以上の官能基を有する化合物を添加し、反応触媒としてチタン化合物および周期表第2族金属の化合物を使用する製造方法を見い出し本発明に到達した。尚、本発明における周期表第2族金属とは、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)の第2族元素である。
即ち本発明の要旨は下記[1] 〜 [4]に存する。
[1] テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとのエステル化反応及び/またはエステル交換反応を行うエステル化工程、及びエステル化工程により得られたオリゴマーを重縮合反応する重縮合工程を経てポリエステルを製造する方法において、反応系に3個以上の官能基を有する化合物を添加し、反応触媒としてチタン化合物および周期表第2族金属の化合物を使用することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
[2] 前記周期表第2族金属の化合物の反応系への添加量が、得られるポリエステル樹脂に対して金属原子として5〜100重量ppmである、[1]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
[3] 3個以上の官能基を有する化合物を、得られるポリエステル樹脂100重量部に対し0.2〜2.0重量部添加する、[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。[4] 前記重縮合反応温度が235℃以上、245℃以下であることを特徴とする、[1]〜[3]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
本発明によれば、3個以上の官能基を有する化合物を添加しても、重縮合反応性、品質を損なうことなく、増粘の懸念が少ない、高い流動性を有するポリエステル樹脂を効率的に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書における、下限値又は上限値は、その下限値又は上限値の数値を含む範囲を意味する。
<製造原料>
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとをエステル化反応及び/またはエステル交換反応させた後、重縮合反応させることにより得られる。
本発明において用いられるテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分とは、ジカルボン酸中のテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体が通常80モル%以上のことである。好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上である。そのほかのジカルボン酸として、イソフタル酸、2,6−ナフタレインジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらは1種または2種以上を用いても良い。
本発明において用いられる1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとは、ジオール中の1、4ブタンジオールが通常80モル%以上のことである。好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上のことである。そのほかのジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチレングリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。これらは1種、または2種以上を用いてもよく、目的により任意に選ぶことができる。また、ポリアルキレングリコールは熱安定性が悪く、分解反応を起こしやすいため、含有量は少ない方が好ましい。
本発明において用いられるエステル形成性誘導体とは、樹脂の製造工程においてジオー
ルとしてエステルを形成し得るものであり、テレフタル酸またはその他ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的にはメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル等が挙げられる。これらの1種、または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。
3個以上の官能基を有する化合物の官能基としては水酸基、カルボキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官能基があげられる。
具体的には、3個以上の水酸基を有する化合物である多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ペンタエリスリトールモノステアラート等の脂肪族炭化水素の多価アルコールが挙げられ、3個以上の水酸基を有する化合物である多価アルコールの炭素数としては3〜30が好ましい。水酸基の数は、好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8、最も好ましくは3〜6である。これらの、3個以上の水酸基を有する化合物である多価アルコールは、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが重縮合反応性をあまり損なわず、高い流動性を発現させるという点で好ましく用いられる。
3個以上のカルボキシル基を有する化合物である多価カルボン酸としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3個以上の官能基を有し、該官能基が水酸基およびカルボキシル基からなる化合物であるオキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3個以上の官能基を有する化合物の量は、得られるポリエステル樹脂100重量部に対しに対して、好ましくは2.0重量部以下、更に好ましくは1.5重量部以下、特に好ましくは1.0重量部以下である。一方、好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは0.35重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上である。上限値超過であると製造時に増粘やゲルが発生する傾向にある。 また下限値未満であると高い流動性を持つポリエ
ステル樹脂を得難い傾向にある。
<製造方法>
PBTの公知の製造方法として、テレフタル酸と1,4−BGを主原料として用いるい
わゆる直接重合法と、テレフタル酸ジアルキルエステルと 1,4−BGを主原料として用いるエステル交換法がある。
本発明においては反応系に3個以上の官能基を有する化合物を添加し、反応触媒としてチタン化合物および周期表第2族金属の化合物を使用する以外は従来公知の方法、即ち、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとのエステル化反応及び/またはエステル交換反応を行うエステル化工程、及びエステル化工程により得られたオリゴマーを重縮合反応する重縮合工程を経てポリエステルを得る方法で行うことが出来る。
本発明において、オリゴマーとは、数平均分子量が500〜10,000のポリエステル樹脂である。
本発明において、反応系とは、エステル化工程、重縮合工程である。エステル化工程は、エステル化反応槽、及びエステル化反応槽と配管で繋がる機器を含み、重縮合工程は、重縮合反応槽、及び重縮合反応槽と配管で繋がる機器を含む。
上記のエステル化工程は、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を進行させることができる限り任意であり、温度は120℃以上、好ましくは150℃以上、一方、通常245℃以下、好ましくは230℃以下である。また、反応時間は2〜8時間、好ましくは2〜6時間、更に好ましくは2〜4時間である。
エステル化工程により、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオール、テレフタル酸又はエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分が反応したオリゴマーが生成する。そして、後述する重縮合工程においては、このオリゴマーの重縮合反応を行なう。
重縮合工程では、エステル化工程で得られたオリゴマーに重縮合反応をさせる。重縮合反応は通常は溶融重縮合反応として進行する。重縮合工程における条件は、重縮合反応を進行させることができる限り任意である。重縮合反応時における反応温度(内温)は好ましくは245℃以下、更に好ましくは240℃以下、一方230℃以上が好ましく、更に好ましくは235℃以上である。反応温度が上限値超過であると末端ビニル基濃度が大幅に上昇し、製造時に増粘する可能性が高く、色調も悪化する傾向にある。反応温度が下限値未満であると重縮合反応性が悪化する傾向にある。
また、重縮合工程における圧力は、減圧が好ましい。具体的には10Torr以下、好ましくは3Torrである。さらに、重縮合反応時間は、2〜8時間が好ましい。重縮合工程により、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオール、3個以上の官能基を有する化合物、テレフタル酸又はエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分が重縮合反応したポリエステルを得ることができる。
本発明において3個以上の官能基を有する化合物の添加時期はエステル化反応及び/またはエステル交換反応の開始時、エステル化反応及び/またはエステル交換反応中、エステル化反応及び/またはエステル交換反応後、あるいは重縮合反応時等がありうるが、エステル化反応又はエステル交換反応開始時に添加するのが好ましい。
反応触媒として用いられるチタン化合物の添加時期はエステル化反応及び/またはエステル交換反応の開始時、エステル化反応及び/またはエステル交換反応中、エステル化反応及び/またはエステル交換反応後、あるいは重縮合反応時等がありうるが、エステル化反応又はエステル交換反応開始時と重縮合反応前とに分割して添加するのが好ましい。
周期表第2族金属の化合物の添加時期もエステル化反応及び/またはエステル交換反応の開始時、エステル化反応及び/またはエステル交換反応中、エステル化反応及び/またはエステル交換反応後、あるいは重縮合反応時等がありうるが、エステル交換終了時、重合開始前に添加するのが重縮合性及び色調等の点で好ましい。
本発明で用いられるチタン化合物は、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート等のテトラアルキルチタネートであり、中でも特にテトラ−n−ブチルチタネートが好ましい。なお、チタン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
チタン化合物の添加量は得られるポリエステル樹脂に対してチタン原子として、好ましくは20質量ppm以上、より好ましくは30質量ppm以上、一方、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは70質量ppm以下である。上限値超過であると色調、熱安定性などが悪化する傾向にあるだけでなく、チタン触媒の失活により溶液ヘイズや異物が増加する傾向にある。また、下限値未満であると重縮合反応性が悪化する。
なお、ポリエステル樹脂中のチタン原子の含有量は、湿式灰化によりポリマー中の金属
を回収した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)−MS(Mass Spectrometer)法
により測定する。
本発明において用いられる周期表第2族金属の化合物の金属原子はベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。中でも取扱や入手の容易さ、触媒効果の点から、マグネシウム、カルシウムの化合物が好ましい。マグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウム及びその水和物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等が挙げられる。カルシウム化合物としては、酢酸カルシウム及びその水和物、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの中では、酢酸マグネシウムが特に好ましい。なお、周期表第2族金属の化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
周期表第2族金属の化合物の量は、得られるポリエステル樹脂に対して金属原子として好ましくは5重量ppm以上、更に好ましくは20重量ppm以上、一方、好ましくは100重量ppm以下、更に好ましくは70重量ppm以下である。下限値未満であると重縮合反応速度の向上は小さくなる傾向にあり、末端カルボキシル基濃度も増加して耐加水分解性ならびに色調も悪化する傾向にある。上限値超過であると重縮合反応速度が低下し、また耐加水分解性や色調も悪化する傾向にある。
なお、ポリエステル樹脂中の周期表第2族金属の化合物の金属原子の含有量は、チタン原子の含有量の測定方法と同様にして測定することができる。
本発明では、熱安定剤を反応系に添加して使用することもできる。使用する熱安定剤に特に制限は無いが、ヒンダードフェノール系熱安定剤が好ましい。ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。中でも、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、溶融滞留時の熱安定性の点でより好ましい。 なお、ヒンダードフェノール系熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2
種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明のポリエステル樹脂、特にPBTの固有粘度に特に制限はないが、機械的物性、ペレット化の安定性、成形性および流動性の観点からは、好ましくは0.70dL/g以上、更に好ましくは0.80dL/g以上である。PBTの固有粘度が下限値未満であると流動性は向上するものの、良好な機械的物性が得られ難い傾向にある。
本発明のPBTの末端カルボキシル基濃度に特に制限はないが、下限は、1当量/トンであることが好ましく、2当量/トンであることが更に好ましく、3当量/トンであることが特に好ましく、5当量/トンであることが最も好ましく、上限は、50当量/トンであることが好ましく、40当量/トンであることが更に好ましく、30当量/トンであることが特に好ましく、25当量/トンであることが最も好ましい。PBTの末端カルボキシル基濃度が上限値未満であるとPBTの耐加水分解性が良好となる傾向にあり、下限値超過であると重縮合反応性が良好な傾向にある。
本発明のPBTの末端ビニル基濃度に特に制限はないが、色調や重縮合反応性の点から、好ましくは15当量/トン以下、更に好ましくは10当量/トン以下、特には好ましくは5当量/トン以下である。PBTの末端ビニル基濃度は、PBTを溶媒に溶かしてから各磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定することによって求められる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した物性および評価項目の測定方法は次の通りである。
<固有粘度(IV) dL/g>
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において濃度1.0g/dLのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(1)より求めた。
IV=((1+4Kηsp0.5−1)/(2KC) (1)
(但し、ηSP=η/η0−1であり、ηはポリマー溶液落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。)
<末端カルボキシル基濃度(AV)当量/トン>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を溶解させずに同様の操作を実施し、以下の式(2)によって末端カルボキシル基濃度(酸価)を算出した。
末端カルボキシル濃度(当量/トン)=(a−b)×0.1×f/w (2)
(ここで、aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、wはポリエステル樹脂の試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
なお、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は以下の方法で求めた。試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液の指示薬として1〜2滴加え、0.lNの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)。以下の式(3)によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl) (3)
<ペレット色調(b値)>
ペレット状ポリエステルを内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定用セルに充填し、測色色差計Z300A(日本電色工業(株)社製)を使用して、JIS Z8730の参考例1に記載されるLab表示系におけるハンターの色差式の色座標によるb値を、反射法により、測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
<末端ビニル基濃度 当量/トン>
試料約20mgを重クロロホルム/重ヘキサフルオロイソプロパノール(7/3)混合溶
媒0.75mlに溶かし、重ピリジン25μl添加して、外径5mmのNMR試料管に移した。Bruker社製AVANCE400分光計を用い、室温で1H NMRスペクトルを測定した。化学シ
フトの基準は、TMS(トリメチルシラン)のシグナルを0.00ppmとした。末端ビニル基に対応するシグナル強度から末端ビニル基濃度(当量/トン)を算出した。
<溶融粘度 Pa・sec>
溶融粘度の測定、東洋精機製キャピログラフ(キャピログラフ1B)を用いて、温度245℃、せん断速度10〜10000、キャピラリー長10mm、キャピラリー直径1mmの条件で溶融粘度を測定した。
(参考例1)
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた反応容器に、ジメチルテレフタレート(帝人製)132重量部、1,4−ブタンジオール74重量部及び触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4―ブタンジオール溶液0.59重量部(得られるPBTに対するチタン原子として33重量ppm)を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
系内を撹拌しながら150℃まで加温後、210℃に昇温しながらエステル交換反応によって生成するメタノールを留出させつつ3時間反応し、オリゴマーを得た。
続いて、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液1.08重量部(得られるPBTに対するチタン原子として61重量ppm)を仕込み、および酢酸マグネシウム4水和物をあらかじめ10重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液を0.64重量部(得られるPBTに対するMg原子として48重量ppm)仕込んだ。
次に、1時間かけて240℃まで昇温するとともに、1.5時間かけて0.4kPaになるように減圧し、同減圧度で重縮合反応を行った。所定の停止動力に到達した段階で、反応系を常圧に戻し重縮合反応を終了した。得られたPBTを反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、カッターでストランドをカットすることによりペレット状のPBTを得た。得られたPBTの固有粘度(IV)は0.90dL/gであった。以降の実施例、比較例では、本参考例と同じ停止動力に到達した段階で重縮合反応を終了させた。
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた反応容器に、ジメチルテレフタレート(帝人製)132重量部、1,4−ブタンジオール74重量部及び触媒としてテトラブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4―ブタンジオール溶液0.59重量部(得られるPBTに対するチタン原子として33重量ppm)を仕込み、さらに4個の官能基を有する化合物としてペンタエリスリトールを得られるPBTに対して0.75重量部仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
系内を撹拌しながら150℃まで加温後、210℃に昇温しながらエステル交換反応によって生成するメタノールを留出させつつ3時間反応し、オリゴマーを得た。
続いて、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液1.08重量部(得られるPBTに対するチタン原子として61重量ppm)を仕込み、および酢酸マグネシウム4水和物をあらかじめ10重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液を0.64重量部(得られるPBTに対するMg原子として48重量ppm)仕込んだ。
次に、1時間かけて240℃まで昇温するとともに、1.5時間かけて0.4kPaになるように減圧し、同減圧度で重縮合反応を行った。参考例1と同じ動力に到達した段階で、反応系を常圧に戻し重縮合反応を終了した。得られたPBTを反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、カッターでストランドをカットすることによりペレット状のPBTを得た。
得られたPBTの固有粘度(IV)は0.86dL/g、末端カルボキシル基濃度(AV)は24当量/トンあった。減圧開始から重縮合反応終了までを重縮合時間として、固有粘度/重縮合反応時間を重縮合反応速度とした。重縮合反応速度は0.22dL/g/hであった。溶融粘度は、せん断速度1000(/sec)の条件で100Pa・secであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において4個の官能基を有する化合物を、6個の官能基を有する化合物のジペンタエリスリトールに変更した以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物を溶解させた1,4−ブタンジオールの添加量を0.13重量部(得られるPBTに対するMg原子として10重量ppm)とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物を溶解させた1,4−ブタンジオールの添加量を1.6重量部(得られるPBTに対するMg原子として120重量ppm)とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1においてペンタエリスリトールの添加量を0.3重量部とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1においてペンタエリスリトールの添加量を3.0重量部とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において重縮合温度を250℃とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、酢酸マグネシウム4水和物の代わりに酢酸カルシウム4水和物を10重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液0.41重量部(得られるPBTに対するCa原子として48重量ppm)を用いた以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。各種分析結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物を溶解させた1,4−ブタンジオールを添加しない以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。得られたPBTは重縮合速度が遅く、AVが高い結果となった。各種分析結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物を溶解させた1,4−ブタンジオールを添加せず、重縮合反応温度を250℃とした以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。得られたPBTは色調が悪く、耐加水分解性の低い品質であり、連続生産時に増粘しやすいため生産性も悪化した。各種分析結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物を溶解させた1,4−ブタンジオールを添加せず、3個以上の官能基を有する化合物を添加しない以外は実施例1と同様に行い、PBTを得た。得られたPBTの溶融粘度はせん断速度1000(/sec)の条件で17
0Pa・secであり、高い流動性は得られなかった。各種分析結果を表1に示す。
Figure 0005729220
本発明により、良好な機械物性を保ち、溶融成形時の流動性を改善できる。特に、電気
・電子部品、精密機器部品などの複雑な構造を持つ射出成形品に有効である。

Claims (4)

  1. テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとのエステル化反応及び/またはエステル交換反応を行うエステル化工程、及びエステル化工程により得られたオリゴマーを重縮合反応する重縮合工程を経てポリエステルを製造する方法において、反応系に3個以上の官能基を有する化合物を添加し、反応触媒としてチタン化合物および周期表第2族金属の化合物を使用することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 前記周期表第2族金属の化合物の反応系への添加量が、得られるポリエステル樹脂に対して金属原子として5〜100重量ppmである、請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 3個以上の官能基を有する化合物を、得られるポリエステル樹脂100重量部に対し0.2〜2.0重量部添加する、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記重縮合反応温度が235℃以上、245℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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