JP5729109B2 - ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物 - Google Patents
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請求項1:
(A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤と、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)0.5w/v%以上のポリビニルピロリドンとを含み、pHが5.5〜6.8であることを特徴とするソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項2:
(A)成分の抗ヒスタミン剤が、クロルフェニラミンマレイン酸塩と、ジフェンヒドラミン塩酸塩とから選ばれる1種以上である請求項1記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項3:
更に、(E)非イオン性界面活性剤を含む請求項1又は2記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項4:
ソフトコンタクトレンズが、FDAコンタクトレンズ分類でグループIVのレンズである請求項1〜3のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項5:
防腐剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項6:
更に、(F)ホウ酸、ホウ酸塩、トロメタモール、エデト酸ナトリウム、メントール、カンフル、ボルネオール及びゲラニオールから選ばれる1種以上の成分を含む請求項1〜5のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
請求項7:
(A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤を含有し、pHが5.5〜6.8であるソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に配合される吸着抑制剤であって、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)ポリビニルピロリドンとからなる、上記組成物中の(D)成分の含有量が0.5w/v%以上となるように配合することを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制剤。
請求項8:
(A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤を含有するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)0.5w/v%以上のポリビニルピロリドンとを配合し、この組成物のpHを5.5〜6.8にすることを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制方法。
(A)成分の抗ヒスタミン剤は、本発明の有効成分であって、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン及びこれらの塩が挙げられる。より具体的には、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩が好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これら成分の配合量は、クロルフェニラミン又はその塩の場合には、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物中0.001〜1.0w/v%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.3w/v%であり、更に好ましくは0.005〜0.03w/v%の範囲である。0.001w/v%未満の場合には、抗ヒスタミン作用が不十分の場合があり、1.0w/v%を超えると、効果の向上は望めなくなる場合がある。0.001〜1.0w/v%の範囲であれば、有効性の点から好ましい効果が得られる。
ジフェンヒドラミン又はその塩の場合には、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物中0.001〜1.0w/v%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5w/v%であり、更に好ましくは0.01〜0.05w/v%の範囲である。0.001w/v%未満の場合には、抗ヒスタミン作用が不十分の場合があり、1.0w/v%を超えると、効果の向上が望めなくなる場合がある。0.001〜1.0w/v%の範囲であれば、有効性の点から好ましい効果が得られる。
グリチルリチン酸及びその塩は、抗炎症剤であり、(A)成分を含む眼科組成物に添加することで、(A)成分がソフトコンタクトレンズに吸着することを抑制する。グリチルリチン酸及びその塩としては、グリチルリチン酸それ自体の他に、グリチルリチン酸二カリウム等のグリチルリチン酸の塩も含まれる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。グリチルリチン酸及び/又はその塩は、通常眼科組成物中に0.01〜3.0w/v%配合することができ、好ましくは0.01〜1.0w/v%であり、より好ましくは0.05〜0.5w/v%、さらに好ましくは0.06〜0.25w/v%の範囲である。0.01〜3.0w/v%の範囲であれば、抗炎症効果及び吸着抑制の点から好ましい効果が得られる。
コンドロイチン硫酸及びその塩は、アミノ酸の一種であり、(A)成分を含む眼科組成物に添加することで、(A)成分がソフトコンタクトレンズに吸着することを抑制する。コンドロイチン硫酸及びその塩としては、コンドロイチン硫酸それ自体の他に、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸の塩も含まれる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。コンドロイチン硫酸及び/又はその塩は、通常眼科組成物中に0.01〜5.0w/v%配合することができ、好ましくは0.01〜3.0w/v%であり、より好ましくは0.05〜1.0w/v%、さらに好ましくは0.1〜0.5w/v%の範囲である。0.01〜5.0w/v%の範囲であれば、本発明の効果及び眼科組成物の使用感の点から好ましい効果が得られる。
ポリビニルピロリドンは、粘稠剤の一種であり、(B)及び(C)成分に更に加えることで、(A)成分のソフトコンタクトレンズに対する吸着抑制効果を顕著に高めることができ、使用感も向上する。ポリビニルピロリドンの重量平均分子量としては特に制限されず、1,000〜1,500,000が好ましく、より好ましくは10,000〜1,500,000である。なお、本発明において、重量平均分子量は光散乱法により測定した値である。ポリビニルピロリドンとしては、例えば、BASFジャパン(株)製のKollidon(12PF,17PF、25、30、90F)等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ポリビニルピロリドンの含有量は、眼科組成物全量に対して0.5w/v%以上であり、0.5〜20w/v%含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜15w/v%、更に好ましくは0.5〜10w/v%である。上記範囲内であれば、吸着抑制及び使用感の点において好ましい効果が得られる。
本発明においては、(B)〜(D)成分に更に(E)非イオン性界面活性剤を加えることで、(A)成分がソフトコンタクトレンズに吸着することを更に抑制する。非イオン性界面活性剤としては、例えば水溶性のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられ、具体的には、例えばポリオキシエチレン(p=40,50,60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(p=20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール等が挙げられる。より具体的には、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として、日光ケミカルズ(株)製HCO−40,HCO−50,HCO−60(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとして、日光ケミカルズ(株)製TO−10MV等、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとして、BASFジャパン(株)製Lutrol F127、日油(株)製ユニルーブ70DP−950B等を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらのなかでも特に、ポリオキシエチレン(p=60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(p=20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール等が好ましく用いられる。(E)成分の配合量は、特に制限されないが、通常、組成物全体に対して0.001〜10.0w/v%が好ましく、より好ましくは0.01〜5.0w/v%であり、更に好ましくは0.05〜3.0w/v%の範囲である。0.001〜10.0w/v%の範囲であれば、本発明の効果及び眼科組成物の性状の点から好ましい効果が得られる。なお、カチオン性界面活性剤では、本発明の効果は十分ではなく、また、カチオン性界面活性剤自体がソフトコンタクトレンズに吸着するため、刺激低減の点からも本発明においては使用しないことが好ましい。
本発明の眼科組成物には、前記成分の他、眼科組成物に配合できる各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。これらの成分としては、緩衝剤、粘稠剤、pH調整剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、清涼化剤、薬物、水等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、適量を配合することができる。
本発明の眼科組成物のpH(20℃)は、5.5〜6.8であり、好ましくは5.8〜6.5、より好ましくは5.8〜6.4である。pHが高すぎると吸着抑制効果が低減する。この範囲となるよう組成物のpHを調整することによって、本発明の効果及び眼科組成物の使用感の点から好ましい効果が得られる。なお、本発明において、pHの値は、20℃でpH浸透圧計(HOSM−1,東亜ディーケーケー(株)製)を用いて測定した値である。
本発明の眼科組成物は液状であって、その粘度は、点眼剤の場合、1〜50mPa・sが好ましく、1〜20mPa・sがより好ましく、1〜15mPa・sが更に好ましい。なお、本発明において、粘度測定は20℃でE型粘度計(VISCONIC ELD−R,東京計器(株)製)を用いて行う。
本発明の眼科組成物は、その調製方法については特に制限されるものではないが、例えば、精製水等の水性溶媒等に上記(A)〜(D)成分及び必要に応じて(E)成分及びその他の成分を所定濃度加えてpHを調整して得ることができる。その後、適当な容器、例えばポリエチレンテレフタレート製の容器等に無菌充填することができる。
(A)抗ヒスタミン剤を含有し、pHが5.5〜6.8であるソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に配合される吸着抑制剤であって、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)コンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)ポリビニルピロリドンとからなる、上記組成物中の(D)成分の含有量が0.5w/v%以上となるように配合することを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制剤。
(A)抗ヒスタミン剤を含有するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に、(B)グリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)コンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)0.5w/v%以上のポリビニルピロリドンとを配合し、この組成物のpHを5.5〜6.8にすることを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制方法。
表1〜3の組成(配合単位:w/v%)になるように、表中の各配合成分を常法に準じて滅菌精製水に溶解した後、各溶液を無菌ろ過して、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を調製した。得られた各組成物について、下記試験を実施した。結果を表1,2に併記する。
(ソフトコンタクトレンズに対する抗ヒスタミン剤の吸着性評価試験:n=3)
各ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物5mLを20mLバイアルに分注し、バイアル1本につき1枚のソフトコンタクトレンズを浸漬した。レンズを浸漬したバイアルを37℃で7日間振とう撹拌後、溶液中の抗ヒスタミン剤量を液体クロマトグラフィーで、常法に従い、標準サンプルとの比較により定量した。レンズを浸漬させずに同様の処理を行ったものをコントロールとし、コントロール溶液中の抗ヒスタミン剤量に対する比率から、下記式に基づいて、ソフトコンタクトレンズに対する抗ヒスタミン剤のレンズ吸着率(%)を計算した。1種のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に対して3回測定を行い、レンズに対する平均吸着率を算出後、下記評価基準に基づいて評価した。
レンズ吸着率(%)=[(コントロールの抗ヒスタミン剤量−レンズ浸漬液の抗ヒスタミン剤量)/コントロールの抗ヒスタミン剤量]×100
(使用したソフトコンタクトレンズ)
ソフトコンタクトレンズは、FDA(米国食品医薬局)による4分類(グループI〜IV)のうちから、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩が最も吸着しやすいグループIVレンズ(高含水・イオン性レンズ)を用いた。具体的には、アキュビュー(ジョンソンエンドジョンソンメディカル(株)製)を用いた。
(ソフトコンタクトレンズに対する吸着抑制効果の評価基準)
◎:レンズに対する抗ヒスタミン剤の平均吸着率が5%未満
○:レンズに対する抗ヒスタミン剤の平均吸着率が5%以上7%未満
△:レンズに対する抗ヒスタミン剤の平均吸着率が7%以上10%未満
×:レンズに対する抗ヒスタミン剤の平均吸着率が10%以上
ポリビニルピロリドン(PVP K30):商品名「Kollidon 30」、BASFジャパン(株)製
ポリビニルピロリドン(PVP K90):商品名「Kollidon 90F」、BASFジャパン(株)製
ポリソルベート80:商品名「NIKKOL TO−10MV」、日光ケミカルズ(株)製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60:商品名「NIKKOL HCO−60」、日光ケミカルズ(株)製
ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール:商品名「ユニルーブ70DP−950B」、日油(株)製
さらに、表4の組成(配合単位:w/v%)になるように、表中の各配合成分を常法に準じて滅菌精製水に溶解した後、各溶液を無菌ろ過して、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を調製した。得られた各組成物について、上記試験に加えて、下記試験を実施した。結果を表中に併記する。
刺激感に敏感な専門パネラー10名が、マルチドーズ型点眼容器に充填された眼科組成物2滴(80〜100μL)点眼し、点眼後30秒間に感じる「しみる程度」を、下記の評価基準により評価した。結果を、評価の平均評点から下記刺激感評価に基づき示す。
(評価基準)
5:全くしみない
4:わずかにしみる
3:ややしみる
2:しみる
1:かなりしみる
◎:平均評点が4.5以上
○:平均評点が4.0以上4.5未満
△:平均評点が3.0以上4.0未満
×:平均評点が3.0未満
日局参考情報(「第十五改正 日本薬局方解説書 参考情報28.保存力試験方法」)記載の保存効力試験に基づき試験を実施し、点眼剤の判定基準を満たしている場合は「○」、満たしていない場合は「×」とした。
表5,6の組成(配合単位:w/v%)になるように、表中の各配合成分を常法に準じて滅菌精製水に溶解した後、各溶液を無菌ろ過して、ソフトコンタクトレンズ用眼科組成物を調製した。
Claims (8)
- (A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤と、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)0.5w/v%以上のポリビニルピロリドンとを含み、pHが5.5〜6.8であることを特徴とするソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- (A)成分の抗ヒスタミン剤が、クロルフェニラミンマレイン酸塩と、ジフェンヒドラミン塩酸塩とから選ばれる1種以上である請求項1記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- 更に、(E)非イオン性界面活性剤を含む請求項1又は2記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- ソフトコンタクトレンズが、FDAコンタクトレンズ分類でグループIVのレンズである請求項1〜3のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- 防腐剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- 更に、(F)ホウ酸、ホウ酸塩、トロメタモール、エデト酸ナトリウム、メントール、カンフル、ボルネオール及びゲラニオールから選ばれる1種以上の成分を含む請求項1〜5のいずれか1項記載のソフトコンタクトレンズ用眼科組成物。
- (A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤を含有し、pHが5.5〜6.8であるソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に配合される吸着抑制剤であって、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)ポリビニルピロリドンとからなる、上記組成物中の(D)成分の含有量が0.5w/v%以上となるように配合することを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制剤。
- (A)クロルフェニラミン及びその塩と、ジフェンヒドラミン及びその塩とから選ばれる1種以上の抗ヒスタミン剤を含有するソフトコンタクトレンズ用眼科組成物に、(B)0.05〜0.25w/v%のグリチルリチン酸及び/又はその塩と、(C)0.05〜0.5w/v%のコンドロイチン硫酸及び/又はその塩と、(D)0.5w/v%以上のポリビニルピロリドンとを配合し、この組成物のpHを5.5〜6.8にすることを特徴とする、上記(A)成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制方法。
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