JP5728773B2 - 結晶製品の製造方法及びそれに用いる分級層型晶析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、工業晶析による食塩等の結晶成長速度向上方法を利用した結晶製品の製造方法、及びその方法用いられる分級層型晶析装置に関するものである。
食塩の工業晶析で得られる製品中には、微結晶が付着したと思われる結晶が多く見られ、これら微結晶の付着による結晶成長速度、核化速度の変化等は、晶析装置内での現象を複雑にしている。
下記文献1〜3は、母液中に存在する肉眼では確認できないような微小な結晶(微結晶)が粗大な結晶に付着する現象を報告している。
非特許文献3では、冷却式流動層型晶析装置を用いて、結晶成長速度が過飽和度および微結晶数の増加とともに増大することを示している。非特許文献2では、蒸発式逆円錐型晶析装置を用いて晶析装置内の微結晶数分布を考察している。
M.Matsuoka et al.,J.Phys.D:Appl.Phys.,26,B162(1993) 正岡ら,日本海水学会誌,64(3),p.127(2010) 正岡ら,日本海水学会誌,61(1),pp.29−33(2007)
非特許文献2では、微結晶数を効果的に向上させるとともに結晶成長速度を向上させる具体的な手段が開示されていない。また、非特許文献3が開示する結晶成長速度は更に改善の余地がある。
微結晶数を効果的に向上させることにより上記微結晶が粗大な結晶に付着する現象を促進させることで結晶成長速度を向上させる技術が望まれているとともに新しい工業的に有用な大規模晶析方法、及び装置が望まれている。
本発明は、工業的に有用な結晶成長速度を向上させる方法、及び該方法を用いた装置を提供することを課題とする。
本発明は、過飽和母液を生成する過飽和生成部と、育晶器と、過飽和生成部から育晶器へ過飽和母液を含む母液を移送する移送管と、を少なくとも備えた分級層型晶析装置において、前記移送管内の過飽和母液に剪断応力を与えて、該過飽和母液中に微結晶を発生させることにより、育晶器に存在する種晶に該微結晶を付着させ、結晶成長速度を向上させることを含む、結晶製品の製造方法である。また、本発明は、前記移送管内の過飽和母液に剪断応力を与える手段を該移送管に備えた、上記結晶成長速度を向上させる方法に用いられる、分級層型晶析装置を提供する。
本発明は、結晶の成長速度を向上させることができるので、効率的に省エネルギーにて結晶製品を製造することができ、また、従前と同等以上の生産量を維持しつつ分級層型晶析装置を小型化することが可能である。また、本発明は、結晶のサイズ制御が容易にできるので、小サイズから大サイズまで所望の種々のサイズの製品を安定して提供できる。
本発明の概念を説明する模式図であり、分級層型晶析装置の要部の鉛直面による断面を示す。 図1の本発明の方法が適用されるクリスタル−オスロ型晶析装置の要部の鉛直面による断面を模式的に示す。図2(a)は、蒸発式(通常結晶用)の一例であり、図2(b)は、蒸発式(逆溶解性結晶用)の一例であり、図2(c)は、冷却式の一例である。 図1の本発明の方法が適用される逆円錐型晶析装置の要部の鉛直面による断面を模式的に示す。 本発明の分級層型晶析装置の一例を模式的に示す説明図である。 微結晶発生ポンプが母液中の微結晶数に与える影響を示すグラフである。 微結晶発生ポンプの結晶成長速度に与える影響を示すグラフである。
本願明細書で用いる「微結晶」とは、母液中に存在する肉眼では確認できないような微小な結晶を意味し、通常、粒子サイズが0.1〜10μmのものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、過飽和母液を生成する過飽和生成部と、育晶器と、過飽和生成部から育晶器へ過飽和母液を含む母液を移送する移送管と、を少なくとも備えた分級層型晶析装置において、前記移送管内の過飽和母液に剪断応力を与えて、該母液中の微結晶数を向上させる。この微結晶は種晶に付着して、種晶の結晶を所望のサイズに成長させて育晶器底部に晶析、堆積させ、スラリーとして回収され、次いで乾燥される。
本発明の方法は、移送管内の過飽和母液に剪断応力を与える工程を含む。
この工程で過飽和母液は、剪断応力が印加されるが、このときに移送管内の全てが過飽和母液である必要はなく、移送管の少なくとも一部の空間に存在する母液は過飽和化されている必要がある。従って、移送管の一部に過飽和化されていない母液が存在してもよい。また、移送管内の過飽和母液の過飽和度は、一定である必要はない。
該移送管は、過飽和生成部と育晶器に連通するが、移送管の設置方向は、任意であり、鉛直方向、水平方向、斜め方向等に設けられる。また、移送管の構造も母液を移送する空間とそれを保持する外壁を有するパイプ構造のものであれば基本的に任意であり、例えば、長手軸に対して鉛直面による断面が円、楕円、多角形、等、長手方向が直線状、曲線状、らせん状等のもの、またはそれらの組み合わせ等が挙げられる。また、移送管は、その経路の途上にループ(循環路)を有していてもよい。このループは、複数設けることができる。
本発明において、過飽和生成部とは、過飽和母液が生成される場であり、本発明の分級層型晶析装置を構成する要素である。移送管が該要素に備えられ、この移送管は過飽和生成部で生成された過飽和母液を育晶器へ移送する。該母液を移送管に導出する導出口近傍では、母液は、過飽和化されている必要があり、かつこの過飽和状態は、移送管内の過飽和母液に剪断応力を印加するまで維持される。剪断応力を印加された母液は、育晶器へ導入されるが、その導入のために移送管の端部に設けた導入口近傍では、微結晶発生のために通常、母液の過飽和度は低下している。
本発明の晶析装置は、蒸発式、冷却式、反応式、あるいはこれらの組み合わせ型等に適用される。過飽和生成部は、蒸発式の場合、該要素として少なくとも蒸発器を含むものであり、冷却式の場合、該要素として少なくとも熱交換器を含むものであり、反応式の場合、該要素として少なくとも反応器を含むものである。
また、本発明の装置は、移送管内の過飽和母液に剪断応力を与える手段を該移送管に備える。
本発明において、好適な剪断応力の付与手段としては、特に制限されないが、ポンプを用いて過飽和母液に剪断応力を付与することが挙げられ、移送管にポンプを設けるとともに移送管に連通させる。ポンプは、移送管に複数設けてもよい。
ここで、移送管の構造は、上述のように任意であるが、該ループにポンプが備えられる構造が好ましい。ポンプは、同一又は異なるループに複数設けてもよい。
例えば、移送管として、図とともに後述されるような下降管と、ポンプ管とを少なくとも含む構成とし、母液が下降管から出る出口、及び母液がポンプから下降管へ入る入口を下降管に設け、該出口及び入口にポンプ管を設けて該ループを構成することが挙げられ、ポンプは該ポンプ管に設けられる。この微結晶発生を担うポンプを以下、微結晶発生ポンプともいう。
該出口及び入口の設置位置としては、どちらが上側でどちらが下側(重力方向、以下同様)であってもよく、任意に切り替えてもよい。
また、該下降管は、上述のように移送管の少なくとも一部であり、その移送管(ポンプ管を含む)の設置方向は、任意であるから、水平方向、斜め方向等に設けることもでき、該出口及び入口の設置位置もどちらが育晶器に近い側であってもよく、任意に切り替えてもよい。
また、該出口及び入口の距離(各々の中心間の距離)は、適宜選定される。また、下降管の径(d1)とポンプ管の径(d2)、ループの長さ等も、適宜選定される。これらの因子は、剪断応力、微結晶発生数に関与するものと考えられ、所望の製品の種類、サイズ等により適宜、変更し得る。
また、微結晶発生ポンプの、分級層型晶析装置にて処理される全母液に対する過飽和母液の単位時間(min)当たりの放出割合量は、結晶や母液の種類、分級層型晶析装置が蒸発式か冷却式かなど、さらに、求められる結晶品質(純度、粒径、結晶の硬さなど)などにより異なり、適宜選定される。
また、前記微結晶発生ポンプの前記循環ポンプに対する攪拌率(Ragit)(微結晶発生ポンプ流量[L/min]/循環ポンプ流量[L/min])は、本発明の装置の種類、結晶の種類等により適宜設定されるが、例えば、塩化ナトリウム結晶等の場合は、1以下であることが好ましく、0.5程度であることが更に好ましい。この範囲に調整すると結晶成長速度を効果的に向上させることができる。
微結晶発生ポンプとしては、上記剪断応力を過飽和母液に付与できるものであれば、特に限定されないが、遠心タイプ、ギヤタイプ等が挙げられる。
本発明において、該過飽和母液に剪断応力を与える手段としては、上記微結晶発生ポンプに制限されず、任意の手段を用いることができる。該手段としては、邪魔板、多孔板、等を移送管内(上記ループを含む)に設置し、循環ポンプにより過飽和母液を該邪魔板と移送管から形成される空間に過飽和母液を通過させることにより、又は多孔板の孔に過飽和母液を通過させることにより過飽和母液に剪断応力を与えることができる。この場合、多孔板は、孔のみに過飽和母液を通過させるようにしてもよいし、邪魔板のように該空間を形成してもよい。
上記微結晶発生ポンプ以外の手段を用いる場合、剪断応力の変更は、循環ポンプの出力を適宜変更する等により行うことができ、微結晶発生数、結晶成長速度などの調整に寄与することができる。
また、本発明は、上記微結晶発生ポンプ以外の手段と微結晶発生ポンプを併用してもよい。
本発明において、結晶成長速度が向上するのは、後述の実施例にて説明されるように種晶に上述の新規方法により発生させた微結晶が付着する現象が増強されるためと考えられる。種晶は、系(母液)に種晶として本発明の分級層型晶析装置の運転開始時に添加されることが、製品の効率的な回収から好ましいが、種晶を該運転開始時に添加されることなく、本発明の方法により種晶を形成することもできる。種晶を用いて本発明の装置を運転するメリットは、種晶が成長する間にその成長に用いられなかった微結晶が成長し、種晶に成長するからである。種晶は、本発明の装置の運転の初期のみでなく、適宜、補足することができる。
種晶のサイズは、所望の製品サイズより小さいのであれば特に制限はなく、運転条件等により適宜選定される。
また、回収された結晶は、そのまま出荷しても適宜、更にサイズを分級してもよい。
また、該運転初期の母液は、蒸発式の場合、所望の結晶の高温飽和溶液であることが、冷却式の場合、所望の結晶の低温飽和溶液であることが、各々効率的であるが、特に制限はない。また、前者の場合、運転により蒸発器から系外に除かれた水等の溶媒は、該除かれた容量分の溶媒を含む結晶の溶液(原料液)として、後者の場合、運転により結晶化した溶質分を含む結晶の溶液(原料液)として、原材料用ポンプ等により母液に補完され、循環ポンプにより循環され、結晶の製品化に寄与する。その溶液(原料液)の濃度についても特に制限はなく、適宜選定して用いることができる。例えば、食塩を製造するには、原料液として、塩化ナトリウム濃度20%のもの(かん水)が、イオン交換膜法との関連で好ましい。
本発明において、食塩とは、純粋な塩化ナトリウムに限定されず、少なくとも塩化ナトリウムを質量基準で40%以上含む固形物であれば、他の任意の成分(無機乃至有機物質)を包含することを意味する。無機物質としては、海水成分、有機物質としては、グルタミン酸ナトリウム等の旨味成分を挙げることができる。
母液は、蒸発式の場合、該高温飽和溶液の温度に維持されるが、その維持手段として、熱交換器に循環される。熱交換器に用いられる熱媒として、廃熱を利用することができる。また、蒸発器から蒸発した媒体は、冷媒にて冷却され、液体として貯留される。この蒸発は、減圧と併用してもよく、真空ポンプが蒸発器と連通されてもよい。
本発明の方法が適用される結晶は、特に限定されず、微結晶の付着より結晶成長速度が向上する全ての結晶の生産に有効である。
結晶の例としては、上記食塩以外に、カリミョウバン等の複塩(出典:鎌田豊広ほか、化学工学会年会研究発表講演要旨集、59th、Pt1、p230)、カルボキシメチルシステイン(出典:豊倉賢 著、晶析工学の進歩、pp.248−253)、クロロニトロベンゼン(出典:松岡正邦ほか、化学工学会年会研究発表講演要旨集、57th、Pt3、p55)等が挙げられる。
本発明の方法が適用される装置としては、例えば、図1に示す構成を少なくとも備えた分級層型晶析装置が挙げられる。矢印は、母液の流れ方向を示している。
本発明の分級層型晶析装置100は、過飽和生成部(不図示)と、育晶器3と、過飽和生成部から育晶器3へ母液を移送する移送管2とを備える。この移送管2は、下降管2Aとポンプ管2Bを少なくとも備え、下降管2Aにループ2C(点線で示す)を形成し、該ポンプ管2Bには微結晶発生ポンプ4が備えられている。このループ2Cは、下降管2Aに設けた入口2b、ポンプ管2B、微結晶発生ポンプ4、ポンプ管2B、下降管2Aに設けた出口2c、上記入口2bの流路を1サイクルとしている。
そして、本発明の方法は、ループ2Cを1サイクルとして、母液を循環させつつ過飽和母液2aに微結晶発生ポンプ4にて剪断応力を印加することにより、該母液2a中の微結晶数を向上させた該母液を、育晶器への導入口2dから育晶器3内に導入し、育晶器3内に存在する種晶に微結晶を付着させ、結晶3aの成長速度を向上させる構成を少なくとも含むものである。育晶器の下側から上側方向に結晶のサイズが小さくなるように分級、堆積される。
また、下降管2Aから育晶器3に導入された母液は、導出口3bから過飽和生成部(不図示)、更に移送管へと循環ポンプ(不図示)により循環することができる。循環ポンプの設置位置は、特に制限されるべきではないが、通常、導出口3bと過飽和生成部の間の管路に備えられる。
なお、本発明の分級層型晶析装置の過飽和生成部が、反応器である場合、循環ポンプを用いない、一過流で母液を排出する構成としてもよい。
上記図1に示した分級層型晶析装置における、ポンプを備えたループ2Cを有する構成は、流動層型晶析装置である、図2(a)〜(c)に示す各クリスタル−オスロ型晶析装置の下降管に適用することができる。
図2(a)は、蒸発式(通常結晶用)の一例であり、分級層型晶析装置100は、熱交換器6と、蒸発器1と、下降管2Aと、育晶器3と、循環ポンプ5とから概略構成される。
該熱交換器6には、点線矢印で示すように熱媒6aが通され、母液を加熱している。
蒸発器1は、適宜減圧され、母液の溶媒の一部を蒸発蒸気1aとすることにより母液を過飽和化させるとともに結晶の生成原料の供給を促す機能を有する。蒸発蒸気1aは、凝縮器などにより凝集させ、液体にされる。
母液は、熱交換器6、管路6b、導入口1b、蒸発器1、導出口1c、下降管2A、導入口2d、育晶器3、導出口3b、管路6c、循環ポンプ5、管路6c、そして初めの熱交換器6へと循環される。この構成で、下降管2Aに図1の該本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成を適用し、微結晶数を向上させた該母液を、育晶器3への導入口2dから育晶器3内に導入し、育晶器3内に存在する種晶に付着させ、結晶3aの成長速度を向上させる。この場合、図1に示した微結晶発生ポンプ4の設置位置は、育晶器3内でも育晶器3外でもよく、前者の場合には、電源を供給するための穴、後者の場合には、ポンプ管4aを通すための穴を、育晶器3の壁面に設ける。また、図2(a)において、下降管2Aを後述の実施例(図4)に記載のように大気に露出させる構成とすると上記本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成が容易に設置できる。
図2(b)は、蒸発式(逆溶解性結晶用)の一例であり、分級層型晶析装置100は、熱交換器6と、下降管2Aと、蒸発部1Aと育晶部3Aを有する容器7と、下降管2Aと、循環ポンプ5とから概略構成される。下降管2Aは、管路6bと連続し、その延在する鉛直部分である。
該熱交換器6の構成、機能は、図2(a)のものと同様である。
容器7の蒸発部1Aは、図2(a)の蒸発器1と同様の機能を有する。
この方式の本発明装置において、少なくとも下降管2Aに導入するときには母液は過飽和化されている。この母液の過飽和化は、容器7内の過飽和母液の過飽和度を更に増すものであり、熱交換器6、管路6b、及び育晶部3Aの温度環境等に依存する。
母液は、熱交換器6、管路6b、下降管2A、導入口2d、育晶部3A、導出口3b、管路6c、循環ポンプ5、管路6c、そして初めの熱交換器6へと循環される。この構成で、下降管2Aに図1の該本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成を適用し、微結晶数を向上させた該母液を、導入口2dから育晶部3A内に導入し、育晶部3A内に存在する種晶に付着させ、結晶3aの成長速度を向上させる。この場合、図1に示した微結晶発生ポンプ4の設置位置は、図2(a)と同様であり、容器7内でも容器7外でもよく、前者の場合には、電源を供給するための穴、後者の場合には、ポンプ管4aを通すための穴を、容器7の壁面に設ける。
また、図1の該本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成は、下降管2A以外に過飽和母液が存在する管路6b、あるいは6cに単独、または併用して、上記とは独立に又は併用して設けることもできる。
図2(c)は、冷却式の一例であり、分級層型晶析装置100は、熱交換器6と、下降管2Aと、育晶器3と、循環ポンプ5とから概略構成される。下降管2Aは、管路6bと連続し、その延在する鉛直部分である。
該熱交換器6には、点線矢印で示すように冷媒6bが通され、母液を冷却させている。
母液を過飽和化させる機能は、熱交換器6、管路6c、及び育晶器3の温度環境等に依存し、少なくとも下降管2Aに導入するときには母液は過飽和化されている。
母液は、熱交換器6、管路6b、下降管2A、導入口2d、育晶器3、導出口3b、管路6c、循環ポンプ5、管路6c、そして初めの熱交換器6へと循環される。この構成で、下降管2Aに図1の該本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成を適用し、微結晶数を向上させた該母液を、育晶器3への導入口2dから育晶器3内に導入し、育晶器3内に存在する種晶に付着させ、結晶3aの成長速度を向上させる。この場合、図1に示した微結晶発生ポンプ4の設置位置は、図2(a)と同様であり、育晶器3内でも育晶器3外でもよく、前者の場合には、電源を供給するための穴、後者の場合には、ポンプ管4aを通すための穴を、育晶器3の壁面に設ける。
また、図1の該本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成は、下降管2A以外に過飽和母液が存在する管路6bに上記とは独立に又は併用して設けることもできる。
図3に示す分級層型晶析装置100は、図2(a)に示す、流動層型晶析装置である、クリスタル−オスロ型晶析装置の育晶器3を、逆円錐型の育晶器3とした以外は、同様の構成であり、同様に図1に示した分級層型晶析装置における、本発明のポンプを備えたループ2Cを有する構成を下降管2Aに適用することができる。この逆円錐型分級層型晶析装置は、クリスタル−オスロ型晶析装置より結晶の分級性がより改善される。
図4に示す分級層型晶析装置は、図3に示す同装置の下降管2Aを大気に露出させる構成としたものである。
本態様の分級層型晶析装置100は、熱交換器6と、蒸発器1と、下降管2Aと、下降管2Aに備えた微結晶発生ポンプ4と、育晶器3と、循環ポンプ5とから概略構成される。
12は、原料タンクであり、塩化ナトリウム水溶液等の原料が供給ポンプ13により、管路6cを介して系(母液)に供給される。
該熱交換器6には、矢印で示すように熱媒6aが通され、母液を加熱している。
蒸発器1は、凝縮器8、真空ポンプ11に連通されることにより、減圧され、母液の溶媒の一部を蒸発蒸気1aとすることにより母液を過飽和化させる。蒸発蒸気1aは、凝縮器8により凝集させ、ドレンタンク10に収容させる。
母液は、熱交換器6、管路6b、導入口1b、蒸発器1、導出口1c、下降管2A、微結晶発生ポンプ4、導入口2d、育晶器3、導出口3b、管路6c、循環ポンプ5、管路6c、そして初めの熱交換器6へと循環される。微結晶発生ポンプ4により、過飽和母液2aを入口2b、ポンプ管4a、微結晶発生ポンプ4、ポンプ管4a、出口2c、及び該出口2cから該入口2bに至るポンプを備えたループを有するサイクルを循環させつつ過飽和母液2aに剪断応力を印加することにより、該母液2a中の微結晶数を向上させた該母液を、育晶器への導入口2dから育晶器3内に導入し、育晶器3内に存在する種晶に付着させ、結晶3aの成長速度を向上させる。結晶は、サンプリング弁を備えた採取口dから採取される。
なお、a〜cは、サンプリング弁を供えた採取口である。
更に、上述した図2〜4に示した本発明の分級層型晶析装置において、その過飽和生成部を適宜、反応器に置換し、反応により微結晶を生成する母液である、少なくとも2種の反応物質の接触が、該反応器にて可能なように反応物質の供給手段等を反応器に連絡させ、この反応器と上記下降管を連絡させ、この下降管に上記ポンプを備えたループ2Cを有する構成を具備させて、本発明の分級層型晶析装置を構成することもできる。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、本発明はこの実施例により何等制限されるものではない。
実施例1
1)実験装置および方法
実験装置(以下、装置と略す)として、図4に示した分級層型晶析装置(蒸発式逆円錐型)を含む構成を用いた。装置は容量10L(リットル)で、育晶器3の容量3.2Lである。
まず、70℃の塩化ナトリウム飽和水溶液を装置に満たし、循環ポンプ5を循環流量が3L/minとなるように作動させた。次に育晶器に重量基準粒径分布の50%径が450μmの種晶530gを投入して、1時間の回分晶析実験を実施した。その間、塩化ナトリウム濃度20%の原料液を蒸発量に応じて供給することで、蒸発器1の液面を一定に保持した。
2)微結晶発生ポンプが母液中の微結晶数に与える影響
微結晶発生ポンプ(遠心タイプ)を設置するか、設置せず、前者の場合はインバータ制御(インバータ周波数:60Hz)により回転数を制御し、前記攪拌率を3に制御した。
採取口a,b,cから母液を採取し、既報(非特許文献3に記載)に従い微結晶数を計測した。結果を図5に示した。
図5から、以下のことが理解される。
微結晶発生ポンプを設置しない場合(ポンプ無し)、採取口cの微結晶数は、約10個/kg(溶液)であり、採取口a,bと比較して僅かに多くなる傾向を示した。何れの採取口においても微結晶数は、蒸発速度の増加とともに僅かに減少した。
一方、微結晶発生ポンプを作動させた場合、採取口bの微結晶数がa,cと比較して多かった。また、蒸発速度の増加とともに増加して、最大で10個/kg(溶液)となった。このことから、撹拌ポンプを用いることにより、育晶器に供給される母液の微結晶数を増加できることが示された。
3)微結晶発生ポンプの結晶成長速度に与える影響
上記微結晶発生ポンプを用いて、種々の異なる攪拌率(Ragit)にて装置を蒸発速度0.2h−1にて稼動し、育晶器底部の採取口dから種晶(結晶)を回収し、ふるい分け法により粒径分布(重量基準粒径分布の50%径)を計測し、初期の種晶の同サイズ(450μm)からの結晶成長速度を算出した。結果を図6に示す。
図6から、以下のことが理解される。
微結晶発生ポンプにより、ポンプ無しに比べて撹拌率(Ragit)が1以下の範囲で結晶成長速度を3倍程度向上させることができた。
このことは、撹拌率1以上では微結晶の発生数が多すぎるため、バインダーの役割を果たす過飽和度の低下が著しくなり、上記結晶成長速度の向上はできなかったものと考えられるが、上記条件の見直しにより改善の可能性はあると考えられる。
以上のことから、分級層型晶析装置の下降管内の過飽和母液に剪断応力を与えると、該母液中の微結晶数が向上し、かつ結晶成長速度を向上させることができることが分かる。
1…蒸発器、1A…蒸発部、1a…蒸発蒸気、1b…導入口、1c…導出口、2…移送管、2A…下降管、2B…ポンプ管、2C…ループ、2a…過飽和母液、2b…入口、2c…出口、2d…導入口、3…育晶器、3A…育晶部、3a…結晶、3b…導出口、4…微結晶発生ポンプ、4a…ポンプ管、5…循環ポンプ、6…熱交換器、6a…熱媒、6b…管路、6c…管路、6d…冷媒、7…容器、8…凝縮器、9…冷媒、10…ドレンタンク、11…真空ポンプ、12…原料タンク、13…供給ポンプ、a〜d…サンプリング弁を備えた採取口。

Claims (7)

  1. 過飽和母液を生成する過飽和生成部と、育晶器と、過飽和生成部から育晶器へ過飽和母液を含む母液を移送する移送管と、を少なくとも備えた分級層型晶析装置において、前記移送管内の過飽和母液に剪断応力を与えて、該過飽和母液中に微結晶を発生させることにより、育晶器に存在する種晶に該微結晶を付着させ、結晶成長速度を向上させることを含む、結晶製品の製造方法。
  2. 前記微結晶の粒子サイズが0.1〜10μmである、請求項1記載の結晶製品の製造方法。
  3. 前記剪断応力は、ポンプによるものである、請求項1又は2記載の結晶製品の製造方法。
  4. 前記ポンプの循環ポンプに対する攪拌率(ポンプ流量[L/min]/循環ポンプ流量[L/min])が、1以下である、請求項3記載の結晶製品の製造方法。
  5. 前記結晶は、食塩である、請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶製品の製造方法。
  6. 前記分級層型晶析装置は、逆円錐型晶析装置である、請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶製品の製造方法。
  7. 前記移送管内の過飽和母液に剪断応力を与える手段を該移送管に備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法に用いられる、分級層型晶析装置。
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