JP5727927B2 - フルオロキノロンの肺送達 - Google Patents

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Description

本出願は、開示が全体として参照により本明細書に援用される、その優先権が主張される2008年5月15日に申請された米国特許仮出願第61/127,780号に関連する。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシン等の1つまたは複数のフルオロキノロンを含む医薬組成物を含む。本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等の1つまたは複数のフルオロキノロンのベタイン体を含有する粉末を含む。本発明の1つまたは複数の実施形態は、かかる医薬組成物、その投薬形態を製造、使用、および/または投与するための方法、およびデバイス、システム、およびかかる組成物を肺送達するための方法を含む。
本発明は、バクテリアによる感染症を治療するための組成物、および方法に関連し、また嚢胞性線維症(CF)、非CF気管支拡張症、および慢性閉塞性肺疾患における急性増悪の治療に、特別な関係を有する。
嚢胞性線維症は、米国及び北欧において最も一般的な、短命化をもたらす遺伝子疾患であり、米国では約30,000人、また西欧でも同様の人数の患者を苛んでいる。かかる常染色体劣性疾患に見出される遺伝子異常とは、クロライドチャンネルタンパク質をコードするCF膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子の突然変異である。CFを有する患者は、一般的に、慢性気管支内感染症、副鼻腔炎、ならびに膵臓機能不全、発汗による塩分喪失の増加、閉塞性肝胆汁性疾患、および受精能低下に起因した吸収不良を患っている。呼吸器疾患が疾病の主原因で、CF患者の死亡率の90%を占めている。肺機能(1秒努力呼気量(予測FEV1%)として測定される)は、CFにおける生存率の重要な予測因子である。CF患者の特定母集団に関する2年生存率は、予測FEV1%が10%低下するごとに2倍低下し、予測FEV1が30%未満の患者の2年生存率は50%未満である(Kerem、E.ら、「Prediction of Mortality in Patients with Cystic Fibrosis」、N Engl J Med 第326巻:1187〜1191ページ(1992))。肺機能の喪失速度は個人によって異なり、また特定の個人についても経時的に異なる。後ろ向き縦断分析により、低下速度は、予測FEV1%として2%未満/年〜9%超/年であり、全体的な低下速度は死亡年齢と強く関係していることが明らかとなった。
CF患者は、肺の宿主防衛を損なう不安定な上皮イオン輸送に原因すると考えられている粘液の粘稠化をきたすようになり、その結果、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)による初期気管支内感染症にさらに感染しやすくなる。青年期までに、CF患者の大半は、その痰中に緑膿菌を有する。慢性気管支内感染症、特に緑膿菌による同感染症は、気道内に持続性の炎症反応を引き起こし、びまん性気管支拡張症により特徴づけられる、進行性の閉塞性疾患を加速させる;Winnie、G.B.ら、「Respiratory Tract Colonization with Pseudomonas aeruginosa in Cystic Fibrosis:Correlations Between AxAi−Pseudomonas aeruginosa Antibody Levels And Pulmonary Function」、Pediatr Pulmonol、第10巻:92〜100ページ(1991)。慢性気管支内緑膿菌感染症への罹患から、肺の炎症、肺の機能喪失、そして最終的な死に至る、これらの間の関連性は、慢性緑膿菌感染症に関連して生存率が顕著に低減することにより(Henry、R.L.ら、「Mucoid Pseudomonas aeruginosa is a Marker of Poor Survival in Cystic Fibrosis」、Pediatr Pulmonol、第12巻(3):158〜161ページ(1992))、および慢性緑膿菌感染症への早期罹患と小児期の死亡率とが顕著に関連することにより(Demko、CA.ら、「Gender Differences in Cystic Fibrosis:Pseudomonas aeruginosa Infection」、J Clin Epidemiol、第48巻:1041〜1049ページ(1995))、示唆される。
CF患者の緑膿菌を治療するために、様々な療法が試みられてきた。かかる療法は、肺内の細菌負荷の抑制、またはその結果生じた炎症の抑制のいずれかを目的としている。かかる療法は、感染患者の肺機能の低下速度を低減することが立証されているが、欠点も有する。
歴史的には、緑膿菌による気管支内感染症を治療するための標準的な療法は、抗緑膿菌抗生物質、一般的にはアミノグリコシドを含む抗生物質を、14〜21日間非経口投与することであった。しかし、かかる薬剤は、血流から肺組織に効率的に通過できないので、気道からの分泌は、治療効果を上げるに不十分な濃度しか標的部位にもたらされない。その結果、非経口によるアミノグリコシドに繰り返し暴露されることとなり、より多くの粘液および様々な毒性因子の産生に関連した耐性分離株の発生を引き起こした。感染部位において、非経口投与により適切な薬物濃度を得るためには、腎毒性、前庭毒性、および聴器毒性に関係した濃度に迫る血清レベルが必要であった(「American Academy of Otolaryngology.Guide for the evaluation of hearing handicap」、JAMA、第241巻(19):2055〜9ページ(1979);Brummett、R.E.、「Drug−induced ototoxicity」、Drugs、第19巻:412〜28ページ(1980))。
抗生物質、例えばアミノグリコシドを吸引投与することにより、全身的生物学的利用性を最小限に抑えつつ、高濃度の抗生物質を気管支内スペースの感染部位に直接送達する興味深い代替法がもたらされた。
例えば、アミノグリコシドのトブラマイシン(Tobramycin)を含むTOBI(登録商標)が、CF患者の気管支内感染症を治療するための吸入療法として承認されている[NDA50−753]。この承認以降、TOBI(登録商標)(スイス国、バーゼルのNovartis社製)は、緑膿菌が慢性的にコロニー形成しているCF患者の標準的治療法となった。患者は、300mgの名目用量を、標準的なジェット噴霧器を用いて1日2回投与される。患者は、耐性菌種が発生するおそれを低減させるために、28日間の治療「実施」を受けた後に、28日間の「休止」期間が設けられる。しかし、300mgの用量のうち、約10%、すなわち30mgが肺に送達されるにすぎない。TOBI(登録商標)による臨床試験では、吸引投与されたトブラマイシンは、全身的な副作用を劇的に低減することが明らかとなった。患者の気管支内スペースに存在する緑膿菌を抑制するために、1/4規定の生理食塩水中にトブラマイシン300mgを含む製剤を、5mlの用量でエアゾール投与することが、開示が全体として参照により本明細書に援用される米国特許第5,508,269号に開示されている。
CF患者でトブラマイシンを使用するに当たり、いくつか制限がある。静脈注射によりトブラマイシンを全身的に投与すると、腎臓毒性および聴器毒性を含む重篤な副作用がもたらされるおそれがある。噴霧型液剤は、その調製および投与、並びに緑膿菌に関する治療中の耐性増強発現(すなわち最低抑制濃度値、MICの増大)に関連した問題を有する。肺機能が低下するリスクがあるにもかかわらず、易感染性病原体の再増殖を可能にする耐性発現を防止するために、1ヶ月間実施し、1ヶ月間休止する療法に基づく治療計画を維持しなければならない。吸引によるアミノグリコシドが腎機能に与える長期的影響は、十分には理解されていない。5mlの用量では、投与するのに約15〜20分を要し、さらに準備および噴霧機の洗浄に時間がかかる。噴霧方式はその他の欠点、例えばコスト、効率および再現性、バクテリアによる汚染のリスク、および携帯性の欠如(大型のコンプレッサーまたはガスシリンダー、および電源を必要とする)を有し得る。
吸入式の抗生物質、例えば市販されているTOBI製品に加えて、CFの肺における閉塞、感染、および炎症の破壊サイクルを軽減するために、様々なその他の長期治療が、日常的に処方されている。積極的な気道クリアランス療法、吸入式気管支拡張剤、およびリコンビナントヒトドルナーゼアルファ等の粘液溶解薬は、すべて長期的に処方されるので、CF患者に多大な治療負荷を負わせてしまうおそれがある。多くのCF患者は、治療を受けるのに1日4時間以上を費やす。CF患者にとって治療法の順守は大きな問題であり、コンプライアンスの怠慢は、個々の治療によって異なり得ることが明らかになったが、それは驚くに当たらない。治療時間が長いことを考慮すれば、投与時間を顕著に短縮し得るあらゆる療法、および投与に関連した利便性(例えば、デバイスの携帯性および使いやすさ)は有利に働き、患者のコンプライアンスおよび転帰を改善し得る。さらに、TOBI休薬期間中に投与可能な別の吸入式抗生物質製剤を開発すれば、易感染性病原体の再増殖および肺機能の喪失をもたらさない治療代替法を提供することができる。
シプロフロキサシンは、幅広い活性スペクトルを有するフッ素化された合成カルボキシキノロンである。シプロフロキサシンは、DNAギラーゼおよびトポイソメラーゼIVに働いて、バクテリアのデオキシリボ核酸(DNA)合成を選択的に阻害する。かかる必須酵素は、DNAトポロジーを制御し、DNA複製、修復、および転写を支援している。シプロフロキサシンは、呼吸器感染症を引き起こすいくつかの病原体に対して優れたin−vitro殺菌活性を有することが明らかにされたが、かかる病原体として、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、鳥型結核菌(Mycobacterium avium−M.intracellulare)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、インフルエンザ菌(Hemophilus influenzae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が挙げられる。シプロフロキサシンは、緑膿菌に対して最も活性なフルオロキノロンでないとしても、その中の1つとして現在みなされており、殺菌性が高い。経口および経静脈形態のシプロフロキサシンが、呼吸器感染症を治療するために臨床的に用いられている。
シプロフロキサシンを用いて奏効したにもかかわらず、当該薬物について、肺感染症を治療するための臨床的実用性を制限するいくつかの要因、例えば、生理的pHでは難溶性で、溶液状態では苦味があり、また腎クリアランスが速いこと等が存在する。例えば、経静脈により500mgを投与するには、当該薬物を最初に<2mg/mlまで希釈し、注射部位で析出しないように徐々に点滴しなければならない。経静脈的または経口的に投与されたシプロフロキサシンは、下気道において好ましからざる薬物動態プロファイルも有し、これには排出半減期が1.0〜1.6時間と比較的短いこと、および濃度−時間曲線下面積が43〜113mgh/Lと小さいことが含まれる。
シプロフロキサシンを、これを必要とする患者、例えばCF患者、COPD患者、および炭疽病患者等に吸引させれば、気道に高い殺菌濃度がもたらされると期待されよう。抑制するのに不十分な濃度のシプロフロキサシンでさえも、緑膿菌の毒性に影響を及ぼし(菌体密度感知機構)、CF患者の慢性気道感染症の発生率を低減する可能性がある。気道の細菌負荷が低減し、再感染を抑制する可能性があるということは、肺機能を改善し、長期予後の改善に寄与するものと解釈される。さらに、シプロフロキサシンを吸入することにより、アミノグリコシドによる治療後に指摘される腎不全の可能性を克服し得る。
しかし、シプロフロキサシンを効果的に肺に送達するのは、困難なことが立証されている。シプロフロキサシン等の抗感染症薬を肺に送達することに関連した課題として、下記を経由して薬物が急速に排除されてしまう可能性が挙げられる:(a)気道を経由する粘膜毛様体クリアランス;(b)体循環への薬物の吸収;(c)肺マクロファージを経由するクリアランス。気管内投与後に、溶解性のシプロフロキサシン塩酸塩は、肺から体循環中にわずか0.2時間の半減期で急速に吸収されてしまう(Wong JP、Cherwonogroszky JW、DiNinno VLら:Liopsome−encapsulated ciprofloxacin for the prevention and treatment of infectious disease caused by intracellular pathogens.In:「Liposomes in Biomedical Applications」(Florence AT、Gregoriadis G、eds)Harwood Academic Press、Amsterdam、1995、105〜120ページ)。気管支内緑膿菌感染症の効果的な治療を実現するには、これでは短すぎ、処方開発上重大な制約を露呈している。
シプロフロキサシン塩酸塩が肺から急速に排除されるのを克服するために、研究者らは、制御型の放出担体、例えばリポソーム等の中に封じ込めることを検討した。例えば、Wongおよび共同研究者らは、リポソームシプロフロキサシンを用いると、肺滞留時間が顕著に増加することを明らかにし、これは、げっ歯類モデルにおいて、野兎病菌(Francicella tularensis)感染症を効果的に治療すると解釈された。リポソームを用いたシプロフロキサシンの噴霧方式による送達の限界として下記事項が挙げられる:(a)低薬物負荷、および噴霧方式に許容される分散濃度の制限(粘度の制約)に起因して投与時間が延長される;(b)放出動力学の制御に限界がある。Wongの研究では、標準的なジェット噴霧器が用いられた。かかる噴霧器は、一般的に0.1〜0.2ml/分の流速をもたらす。薬物含量が10〜40μg/mlでは、流速は1〜8μg/分であった。約10%として送達効率を仮定すれば、わずか0.1〜0.8μg/分が肺に送達されるにすぎない。したがって、かかるモデルを用いたのでは、10mgより多くの用量を肺に送達するのに実用的ではない。
シプロフロキサシン塩酸塩を肺により長い時間滞留させる手段として、ポリマー担体を利用することは、臨床実践にまだ活かされていない。ポリマー担体が、肺から排除されるのに時間がかかることに関して懸念が残る。
pK(6.0)未満、かつpK(8.8)超のpH値では、シプロフロキサシンは、正味荷電を有し、極めて溶けやすい。6.0〜8.8のpH範囲では、当該化合物は両イオン性で、極めて溶けにくい(pH7における溶解度は、60μg/mlである)。両性イオン形態のシプロフロキサシンベタインでは、肺における滞留時間が延長されていることが複数の研究により実証された(Endermann R、Labischinski H、Ladel Cら:Treatment of bacterial diseases of the respiratory organs.米国特許出願第2004/0254194A1)。しかし、Endermannらは、患者に対して、簡便、効果的に、かつ再現性を有して送達可能な形態で、シプロフロキサシンベタインを投与する方法を教示してはいない。
さらに、抗感染症薬を肺に送達する際に直面する主要な課題の一つとしては、必要とされる肺への治療用量(>10mg)の規模が挙げられる。喘息治療薬(例えば、気管支拡張剤、およびコルチコステロイド)が、エアゾール送達市場を席巻している。図1に示すように、喘息薬は高い効力を有し、肺に送達される用量は、約100マイクログラム(μg)未満である。Weers J、Clark A、Challoner P:High dose inhaled powder delivery:challenges and techniques.In:「Respiratory Drug Delivery IX」(RN Dalby、PR Byron、J Peart、JD Suman、SJ Farr、Eds)Davis Healthcare Intl Publishing、River Grove、IL、2004、281〜288ページも参照。
したがって、既存の療法はいくつかの欠陥を有する。抗生物質のエアゾールを投与するための既存のシステムについて、高効率でより便利なシステムに対するニーズがなおも存在する。本発明の1つまたは複数の実施形態は、これらニーズの1つまたは複数を満たす。
本発明はかかる既存のニーズを満たす。
本発明の1つの態様では、フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、またはレボフロキサシン等を含む肺送達用の医薬処方が、肺に効率的に送達され得る形態で提供される。
本発明の別の態様では、肺に投与するための粉末組成物は、フルオロキノロンおよび添加剤を含有する粒子を含む。当該粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径を有する。フルオロキノロンは、肺中半減期として少なくとも1.5時間を有する。
本発明の別の態様では、肺に投与するための粉末組成物は、フルオロキノロンおよび添加剤を含有する粒子を含む。当該粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、および約0.6g/cm未満のかさ密度、および約3〜約10の皺度を有する。フルオロキノロンは、肺中半減期として少なくとも1.5時間を有する。
本発明の別の態様では、肺に投与するための組成物は、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含有する粒子を含む。
本発明の別の態様では、肺に投与するための組成物は、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含有する粒子を含み、当該粒子は約3〜約10の皺度を有する粉末粒子である。
本発明の別の態様では、肺に投与するための組成物は、シプロフロキサシンベタインを含み、当該シプロフロキサシンベタインは、本質的にシプロフロキサシンベタイン3.5水和物からなる。
本発明の別の態様では、肺に投与するための単位投与剤形は、粉末状態の組成物を収納する容器を備え、当該組成物はフルオロキノロンベタインを含む。
本発明の別の態様では、肺に投与するための単位投与剤形は、粉末状態の組成物を収納する容器を備え、当該組成物はフルオロキノロンベタインを含む。当該粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、および約0.6g/cm未満のかさ密度、および約3〜約10の皺度を有する。
本発明の別の態様では、送達システムは、粉末状態の組成物を収納する容器を備えた単位投与剤形を含み、当該組成物はフルオロキノロンベタインを含む。当該送達システムは、カプセルを受容するように構成されたチャンバーを備えた乾燥粉末吸入装置をさらに含む。
本発明の別の態様では、肺に送達するための粒子を製造する方法は、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含む液体原料を提供するステップを含む。当該液体は、当該原料から取り除かれて、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含有する粒子を生成する。得られた粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径を有する。
本発明の別の態様では、肺に送達するための粒子を製造する方法は、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含有する液体原料を提供するステップを含む。当該液体は、当該原料から取り除かれて、フルオロキノロンベタインおよび添加剤を含む粒子を生成する。得られた粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、約0.6g/cm未満のかさ密度、および約3〜約10の皺度を有する。
本発明の別の態様では、気管支内感染症を治療するための方法は、組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、フルオロキノロンベタインと、少なくとも1種類の添加剤とを含有する粒子を含み、および当該粒子は約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径を有する。
本発明の別の態様では、気管支内感染症を治療するための方法は、組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、フルオロキノロンベタインと、少なくとも1種類の添加剤とを含有する粒子を含み、ならびに当該粒子は約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、約0.6g/cm未満のかさ密度、および約3〜約10の皺度を有する。
本発明の別の態様では、気管支内感染症を治療するための方法は、組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、フルオロキノロンベタインと、少なくとも1種類の添加剤とを含有する粒子を含み、および当該粒子は約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径を有し、および当該有効量は4回以下、好ましくは3回、より好ましくは1回の吸引で投与される。
本発明の別の態様では、気管支内感染症を治療するための方法は、組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、フルオロキノロンベタインと、少なくとも1種類の添加剤を含有する粉末粒子を含み、および当該粒子は約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径を有し、およびに当該フルオロキノロンは、少なくとも1.5時間の肺中半減期を有する。
本発明の別の態様では、気管支内感染症を治療するための方法は、組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、フルオロキノロンベタインと、少なくとも1種類の添加剤とを含有する粉末粒子を含み、ならびに当該粒子は約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、約0.6g/cm未満のかさ密度、および約3〜約10の皺度を有し、ならびに当該フルオロキノロンは、少なくとも1.5時間の肺中半減期を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの粉末組成物を含み、当該組成物は、サイズNo.2カプセル(またはこれより小さい容積)に積載可能で、肺投与により1回の吸引で少なくとも約10mgの肺用量を送達する。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの粉末組成物を含み、当該組成物は、サイズNo.2カプセル(またはこれより小さい容積)に積載可能で、肺投与により3回または4回以下の吸引で治療肺用量を送達する。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの粉末組成物を含み、当該組成物は、サイズNo.2カプセル(またはこれより小さい容積)に積載可能で、肺投与により2回以下の吸引で治療肺用量を送達する。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの粉末組成物を含み、当該組成物は、サイズNo.2カプセル(またはこれより小さい容積)に積載可能で、肺投与により1回の吸引で治療肺用量を送達する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、粉末組成物は、長鎖飽和ホスファチジルコリンからなる多孔質層でコーティングされたシプロフロキサシンベタインの結晶を50%〜70%w/wで含有する粒子を含み、当該粒子は1〜5ミクロンの間の質量中央径、1〜5ミクロンの間の空気動力学的質量中央径、および3〜10の間の皺度(Sv)を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、粉末組成物は、残留水分含量が10%〜15%w/wの間で、再溶解したときのpHが6.0〜8.8の間である、シプロフロキサシンベタイン3.5水和物の結晶を含有する粒子を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、粉末組成物は、シプロフロキサシンベタイン3.5水和物の結晶および添加剤を含有する粒子を含み、当該粒子の比表面積は8〜20m/gの間、当該粒子の空隙率は5〜20cm/gの間、および皺度(S)は3〜10の間である。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、粉末組成物は、添加剤の多孔質層でコーティングされたシプロフロキサシンベタイン3.5水和物の結晶を含有する粒子を含み、当該粒子の比表面積は8〜20m/gの間、当該粒子の空隙率は5〜20cm/gの間、および皺度(S)は3〜10の間である。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、フルオロキノロンを含む粉末は、カプセル等の容器中に充填され、当該粉末は、0.1〜0.6g/cmの範囲の、単軸圧縮法により求めたかさ密度を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、フルオロキノロンを含む粉末は、カプセル等の容器中に充填され、当該粉末は、0.6g/cm未満の、より好ましくは0.2〜0.5g/cmの範囲の、単軸圧縮法により求めたかさ密度を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、医薬組成物は、シプロフロキサシンベタインの治療上有効な量、および医薬として許容される添加剤を含有する粉末を含み、当該粉末は、シプロフロキサシンベタインの結晶を50%〜70%w/w、および塩化カルシウム二水和物に対するジステアロイルホスファチジルコリンのモル:モルの比として2:1でこれらを30%〜50%w/w含有する粒子を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、単位投与剤形は、シプロフロキサシンベタインの治療上有効な量、および医薬として許容される添加剤を含む粉末を含有する医薬組成物を収納する容器を備え、当該粉末は、シプロフロキサシンベタインの結晶を50%〜70%w/w、および塩化カルシウム二水和物に対するジステアロイルホスファチジルコリンのモル:モルの比として2:1でこれらを30%〜50%w/w含有する粒子を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、送達システムは、乾燥粉末吸入装置、およびシプロフロキサシンベタインの治療上有効な量と、医薬として許容される添加剤を含有する粉末とを含む医薬組成物を備え、当該粉末は、シプロフロキサシンベタインの結晶を50%〜70%w/w、および塩化カルシウム二水和物に対するジステアロイルホスファチジルコリンのモル:モルの比として2:1でこれらを30%〜50%w/w含有する粒子を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、スプレー乾燥された粒子を製造する方法は、シプロフロキサシンベタインの結晶を、医薬として許容される添加剤で安定化された、サブミクロンの大きさのエマルジョン滴を含む液体中に懸濁して原料を形成するステップと、当該原料をスプレー乾燥してスプレー乾燥された粒子を製造するステップとを含み、当該粒子は、医薬として許容される添加剤からなる多孔質層でコーティングされたシプロフロキサシンベタインを含み、当該粒子は1〜5ミクロンの間の質量中央径、1〜5ミクロンの間の空気動力学的質量中央径、および3〜10の間の皺度(Sv)を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、スプレー乾燥された粒子を製造する方法は、シプロフロキサシンベタインの結晶を、医薬として許容される添加剤で安定化された、サブミクロンの大きさのエマルジョン滴を含む液体中に懸濁して原料を形成するステップと、当該原料をスプレー乾燥てスプレー乾燥された粒子を製造するステップとを含み、当該粒子は、医薬として許容される添加剤からなる多孔質層でコーティングされたシプロフロキサシンベタイン3.5水和体の結晶を含み、当該粒子は1〜5ミクロンの間の質量中央径、1〜5ミクロンの間の空気動力学的質量中央径、および3〜10の間の皺度(Sv)を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、肺感染症を治療するための方法は、シプロフロキサシンベタインを含む組成物の有効量を、これを必要とする患者に吸引により投与するステップを含み、当該組成物は、シプロフロキサシンベタインを50%〜70%w/w含有し、ならびに1〜5ミクロンの間の質量中央径、1〜5ミクロンの間の空気動力学的質量中央径、および3〜10の間の皺度(Sv)を有する粒子を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、肺送達用の粉末は、入口側温度が125〜145℃、および出口側温度が60℃〜80℃の間であるニロモービルマイナー(Niro Mobile Minor)スケールドライヤー上で、エマルジョンベースの原料からスプレー乾燥法により調製される。得られた粒子は、原薬からなる板状の形状を有し、添加剤の多孔質層でコーティングされており、当該粒子の皺度(Sv)は3〜10の間である。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、フルオロキノロンを含有する粒子を含む粉末が、No.2ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルに、充填質量として20〜60mgの範囲で積載されている。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、本発明の粉末は、原薬としてシプロフロキサシンベタインを含み、肺半減期として3時間超を実現すると同時に、緑膿菌に対する効果が改善している。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンを含む粉末は、TOBI(登録商標)トブラマイシン吸引による治療実施月間に続く休薬月間において、CF患者の緑膿菌感染症を治療する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンを含む粉末は、COPD患者の感染症を治療する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンを含む粉末は、炭疽病感染症を治療する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、スプレー乾燥法により乾燥されたシプロフロキサシン粉末は、携帯型吸入装置を用いて、投与時間を例えば5分未満等と短縮しつつ、長期肺機能(FEV)を改善することにより、CF患者の生活の質に有益な影響を及ぼす。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタインが肺を標的として効果的にターゲティングすることによりもたらされるAUCsputum/AUCplasmaの比が、50より大きく、好ましくは100より大きく、およびさらに好ましくは250よりも大きい。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、本発明は、優れた粉末流動化および懸濁液を提供するように、ラクトースの担体粗粒子と混合する必要がない、シプロフロキサシンベタインを含む粒子を提供する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、フルオロキノロンベタインを含む組成物、例えばシプロフロキサシンベタイン等は、携帯型、受動式乾燥粉末吸入装置から得られる肺送達効率として、30%、40%、50%、60%、またはこれらよりも大きい割合を有する。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、薬物/デバイスの組み合わせは、1回の吸引で目標肺用量(>10mg)を送達可能な、フルオロキノロンベタイン、例えばシプロフロキサシンベタイン等を含有する組成物を含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、本発明は嚢胞性線維症、CFによらない気管支拡張症、院内感染性肺炎、慢性気管支炎の急性憎悪、または炭疽病を治療するためのシプロフロキサシンベタインからなる治療製剤を提供する。
さらなる実施形態は、上記特徴、態様、特定形態、または実施形態のいずれかの、任意の2つ以上を含む。
さらなる実施形態および特徴を、以下に記載する説明において部分的に示すが、また部分的には、仕様を試験することにより、当技術分野の熟練者に明らかになり、または本発明の実践により習得し得るであろう。本発明の特徴および利点は、本仕様に記載されている手段、組み合わせ、および方法により、実現および達成され得る。
本発明の実施形態を、数多くの非限定的な図面を参照しながら、以下の「発明を実施するための形態」にさらに記載する。
肺経由で送達される様々な治療薬に必要な肺用量の概数をプロットした図である。携帯型エアゾールデバイスから1回の吸引で送達可能な最大肺用量も示している。アミノグリコシドおよびフルオロキノロン等の抗感染症薬は、多量の肺用量(10〜100mg)を必要とし、噴霧器およびカプセルベースの乾燥粉末吸入装置の剤形/デバイスオプションの可能性を制限している。 0.15M KCl中のシプロフロキサシンの水に対する溶解度を、pHの関数としてプロットした図である。両イオン性シプロフロキサシンベタインが、6.0〜8.8のpH値において存在する。中性pHでは、シプロフロキサシンベタインの水に対する溶解度は非常に低く(70μg/ml)、これは、疎水性リン脂質からなる多孔質層でコーティングされた結晶を生成する、懸濁液ベースのエマルジョン製造プロセスを用いて製剤する場合に適したものにしている。 シプロフロキサシンベタイン原薬(黒丸)、本発明に基づくシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末CIP(黒四角)、およびプラセボ粉末(黒三角)の、等温(T=25℃)平衡水蒸気吸収量をプロットした図である。カール・フィッシャー滴定法により、RH=60%でCIPを測定した単一の測定点(逆三角形)も示す。 倍率がそれぞれ10,000×および20,000×のときの、微粉化したシプロフロキサシンベタイン(図4B、4D)、および本発明に基づくシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末である、CIPのバルク粉末(図4A、4C)の走査型電子顕微鏡写真の図である。 数種類のスプレー乾燥されたシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末であるCIP、すなわち異なる薬物含量を含む剤形の走査型電子顕微鏡写真の図である。図5A:50%、ロット番号020239;図5B:50%、ロット番号020242;図5C:60%、ロット番号020240;図5D:60%、ロット番号020243;図5E:70%、ロット番号020241;および図5F:70%、ロット番号020244。 微粉化されたシプロフロキサシンベタイン、および本発明に基づくスプレー乾燥法により乾燥されたシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末、CIPの分散性を比較した図である。粉末の分散性は、Sympatecレーザー回折式分粒装置に取り付けられたRODOS分散装置内の駆動圧の関数として、粒子中央径を測定することにより定量化される。CIPは、粉末化された薬物よりもかなり低い駆動圧で一次粒子に分散するが、これは、リン脂質からなる多孔性コーティング物により粒子間凝集力が低下したことを反映している。 本発明に基づくシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末を吸引することにより可能となった、肺を標的とするターゲティングの改善を実証するプロットの図である。左側のパネルは、Ciproの経口投与(PO)による500mg、1日2回の投与と、本発明に基づくシプロフロキサシンベタイン吸引用粉末、CIPの吸引(IH)による32.5mg、1日1回投与について、血漿中のCmaxの差異を比較した図である。中央のパネルは、対応する痰中のレベルを示す図である。最後に、右側のパネルは、血漿AUCに対する痰AUCの比として表わした、吸引によりもたらされたターゲティングの改善を示す図である。シプロフロキサシンを吸引することにより、薬物の痰濃度は顕著に高められる一方で、薬物の全身レベルはこれに対応して低い。肺のターゲティングは、吸入方式を用いた肺では250倍改善する。 本発明に基づく製剤処方をエアゾール化するのに用いることができる、乾燥粉末吸入装置の働きを示す側断面の概略図である。
定義
別途表示しないかぎり、本発明は特定の処方成分、薬物送達システム、製造技術、投与ステップ等に限定されず、したがって変化し得ると理解されるべきである。別途明記しないかぎり、化合物または成分を引用する場合、これには、化合物または成分そのものの他、その他の化合物または成分と組み合わせた化合物、例えば、化合物の混合物も含まれる。
さらに議論する前に、下記用語の定義は、本発明の実施形態を理解するのに役立つであろう。
本明細書で用いる場合、単数形(「a」、「an」、および「the」)には、文脈より別途明確に指示がある場合を除き、複数形が含まれる。したがって、例えば、「a phospholipid(リン脂質)」と引用する場合、これには、文脈より別途明確に指示がある場合を除き、1種類のリン脂質のほか、併用物または混合物として2種類以上のリン脂質が含まれる。
ある範囲の値が提示される場合には、文脈より別途明確に指示がある場合を除き、当該範囲の上限と下限との間にある、下限の単位の1/10まで、各中間の値についても、厳密には開示されると理解される。明記された範囲内にある任意の明記された値、または中間の値の間のより狭い各範囲、およびかかる明記された範囲内の任意のその他の明記された、または中間の値も含まれる。かかるより狭い範囲の上限および下限は、独立に、当該範囲に含まれ、または除外される場合があり、上下限のいずれか一方、両方とも当該より狭い範囲に含まれない、または両方とも含まれる場合において、各範囲も本発明の範囲内に含まれ、当該明記された範囲内で特別に除外された限度の対象となる。当該明記された範囲に、一方または両方の限界が含まれる場合には、かかる含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も含まれる。
本明細書で引用する、「1つの実施形態」、「1つの特定形態」、または「1つの態様」には、文脈より別途明確でないかぎり、1つまたは複数のかかる実施形態、特定形態、または態様が含まれなければならない。
本明細書で用いる場合、用語「治療する」、および「治療」とは、症状の重症度および/または頻度の軽減、症状および/または根本原因の除去、症状および/または根本原因が発現する可能性の低減、および損傷の改善または修復を指す。したがって、本明細書で規定する活性薬剤を用いて患者を「治療する」ことには、罹患しやすい個人の具体的な病状、疾患、または障害の予防の他、臨床的に症状を有する個人の治療が含まれる。
本明細書で用いる場合、「治療上有効な量」とは、所望の治療成果を実現するのに有効な量を指す。特定の活性薬剤の治療上有効な量は、治療の対象となる障害または疾患の種類や重症度、および患者の年齢、性別、および体重等の要因に関して、一般的に変化する。
本明細書で用いる場合、用語「呼吸器感染症」には、気管支拡張症等の下気道感染症(嚢胞性線維症および非嚢胞性線維症の兆候の両方)、気管支炎(急性気管支炎および慢性気管支炎の急性憎悪の両方)、および肺炎(院内感染症および地域感染型感染症を含む、ウィルスやバクテリアによる感染症に起因する合併症の様々な種類を含む)が含まれ、ただし、これらに限定されない。
本明細書で用いる場合、「かさ密度」とは、約100,000psiの圧力で、単軸圧縮法により測定されるかさ密度を指す。かかる圧力は、カプセル等の容器内に粉末を自動充填する際に用いられる圧力に関連する。
本明細書で用いる場合、「質量中央径」または「MMD」とは、一般的には、多分散粒子母集団中の、すなわち、ある範囲の粒子サイズからなる複数の粒子の中央径を指す。本明細書で報告されるMMD値は、文脈より別途指示される場合を除き、レーザー回折(Sympatec Helos、Clausthal−Zellerfeld、Germany)により求められた。一般的には、粉末サンプルをSympatec RODOS乾燥粉末分散ユニットのフィーダーファネルに直接添加する。これは、手動により、またはVIBRIバイブレーターフィーダーエレメントの端部から機械的に攪拌することにより、達成され得る。サンプルは、与圧エアー(2〜4bar)を負荷することにより、一次粒子に分散されるが、その際、真空減圧(吸引)は、所定の分散圧力が得られるように最大化される。分散された粒子は、当該分散された粒子の軌道を直角に横断する632.8nmレーザービームを用いて検査される。粒子の集合により散乱されたレーザー光は、逆フーリエレンズアセンブリを用いた、同心配置の光電子増倍管検出器エレメント上に画像化される。散乱光は、5msの時間断片で取得される。粒子サイズ分布は、専用アルゴリズムを用いて、散乱光の空間的分布/強度分布から逆算される。
本明細書で用いる場合、スプレー乾燥法により乾燥された粉末の相対的分散性とは、Sympatec(レーザー回折)を用いて、RODOS分散ユニットの分散圧力を約0.2barから4.0barまで変化させることにより求めたものである。本明細書で用いる場合、分散性インデックス、δ(デルタ)は、分散圧力が4.0barのときに求められたx50に対する、分散圧力が0.2barのときに求められたx50の比として定義される。δ=1の値は、低分散圧力で容易に分散する粉末を示唆し、一方1未満の値の場合、低分散圧力では、粉末分散は不完全となることを示唆する。
本明細書で用いる場合、比表面積(SSA)とは、Brunauer、Emmett、およびTeller(J Amer Chem Soc 1938、第60巻:309ページ)により開発された理論で、一般的にはBET法と呼ばれている理論に基づき、ガス吸着データから計算されたSSAを指す。
本明細書で用いる場合、粒子空隙率とは、窒素ガス吸着データから計算された、%表示の全細孔容積を指す。窒素吸着では、細孔は、Kelvin毛管凝縮方程式に基づき、充填状態(および空の状態)となる。窒素分圧が増加するにつれ、小さい細孔でガス凝縮が開始し、バルク凝縮が起きるまで小さい順に細孔が徐々に充填される。この技法を用いると、窒素は、窒素分圧を飽和に近い値に設定することにより、細孔にまず凝縮する。次に、窒素は、その蒸気圧を低下させることにより段階的に徐々に脱着する。細孔サイズ分布は、細孔中に凝縮した窒素量(円筒状の細孔形状を仮定する)を求めるKelvin方程式を用いて、窒素脱着等温線を解析することにより算出され、各段階における吸着損失が、かかる段階における空状態の細孔のコア容積を表わしている。計算は自動的に行われ、Barrettらが提案したアルゴリズムに従う(Barrett EP、Joyner LG、Halenda PP:The determination of pore volume and area distributions in porous substances I.computations from nitrogen isotherms.J Amer Chem Soc、1951、第73巻:373〜380ページ)。このアプローチは、約2nmほどに小さい細孔径、すなわち微小孔領域に至るまで適用できる。
皺度(Sv)は、工学的に作り出された粉末の表面粗さの指標である。本発明のために、BET測定から得られた比表面積、ヘリウムピクノメトリーにより得られた真の密度、およびレーザー回折(Sympatec)により得られた粒子の表面積/容積比から、皺度が算出される。すなわち、
本明細書で用いる場合、「空気動力学的質量中央径」、または「MMAD」とは、複数の粒子の、一般的には多分散母集団中の、空気動力学的中央径を指す。「空気動力学的直径」とは、一般的には、空気中において、粉末として同一の沈降速度を有する単位密度球体の直径であり、したがって、沈降挙動の観点から、エアゾール化した粉末、またはその他の分散した粒子、または粒子製剤を特徴付けるのに有用な手段である。空気動力学的直径には、粒子または粒子の形状、密度、および粒子の物理的サイズ、または粒子が含まれる。本明細書では、文脈より別途指示されない限り、MMADは、カスケードインパクション法により求められる。
本明細書で用いる場合、「放出された用量」または「ED」とは、粉末ユニットまたはリザーバーに由来する作動事象または分散事象が生じた後に、吸入デバイスから乾燥粉末が送達される現象を指す。EDは、名目用量に対する、吸入デバイスにより送達された用量の比として定義される(すなわち、発射の前の、適当な吸入デバイス内に配置された単位用量当たりの粉末の質量に対する、送達された粉末の質量、放出された質量)。EDは実験的に求められる量であり、患者への投与を模倣したin vitroのデバイス一式を用いて求めることができる。ED値を求めるためには、本明細書で用いるように、名目用量の乾燥粉末(本明細書で規定する通り)が、適当な吸入デバイス、例えば、米国特許第4,069,819号、および同第4,995,385号に記載されているTurbospin(登録商標)DPIデバイス(PH&T、Italy)に配置され、これら特許をそのまま、本明細書に参考として援用する。吸入デバイスが作動すると、粉末は分散される。次に、得られたエアゾールクラウドは、作動後2秒間、真空(60L/分)によって当該デバイスから引き出され、当該デバイスのマウスピースに取り付けられた風袋消去済みのグラスファイバーフィルター(Gelman、直径47mm)上に捕獲される。フィルターに到達した粉末の量が、送達された用量となる。例えば、吸入デバイス内に配置された、5mgの乾燥粉末を収納するカプセルの場合、粉末の分散物が、上記風袋消去済みのフィルター上に、4mgの粉末として回収されれば、乾燥粉末組成物のEDは80%となる[4mg(送達用量)/5mg(名目用量)]。
本明細書で用いる場合、「有効量」とは治療上有効な量、および予防上有効な量の両方を対象とした量を指す。
本明細書で用いる場合、「受動的乾燥粉末吸入装置」とは吸入デバイスであって、当該デバイス内に収納されている医薬組成物を、リザーバーまたは単位剤形内で流動化、分散するのに、患者の吸気努力に依存する吸入デバイスを指す。
本明細書で用いる場合、「能動的乾燥粉末吸入装置」とは吸入デバイスであって、薬物組成物を流動化し、分散するためのエネルギーを提供する手段、例えば、加圧ガス、および/または振動要素もしくは回転要素等を含む吸入デバイスを指す。
ありとあらゆる米国およびPCT(または米国を除く)の特許、ならびに米国およびPCT(または米国を除く)の特許出願公表を含む、本明細書で参照する各参考資料のすべての内容および開示が、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
発明の説明
本発明は、肺感染症を治療するための、肺に活性薬剤の有効用量を肺送達することに関連する。
本明細書の1つまたは複数の実施形態では、活性薬剤の原薬は、キノロンならびにキノロン様薬物(フルオロキノロンを含む)、例えば数例挙げるとすれば、ナラジキシン酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキシシン(ofloxicin)、エノキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、およびペフロキサシン等からなるファミリーから選択される。1つの具体的な特定形態では、緑膿菌に対する際立った活性により、処方および組成物はシプロフロキサシンを含む。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、肺滞留時間は、担体系(例えば、リポソームまたはポリマー担体)内に被包することによって制御されるのではなく、むしろ肺滞留時間(ならびに該当する部位への肺送達)は、本明細書に記載するように、吸引に適したフルオロキノロンベタインを含む処方により調節される。したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインを吸引用に含み、その結果、肺での半減期は3時間を超えるとともに、シプロフロキサシン塩酸塩等の可溶形態のフルオロキノロンに比較して、緑膿菌に対する有効性が同時に改善する。
一般的に、気管支炎、慢性気管支炎の急性憎悪(AECB)、およびCF等の、バクテリアに起因する呼吸器感染症(RTI)は、気道管腔内、粘膜細胞表面、および気管支粘膜組織内に存在する。肺炎では、バクテリアは、主に肺胞部位に見出される。かかる標的、すなわち、原因病原体に到達するためには、経口的または経静脈的に投与された抗菌剤は、肺胞腔を貫通しなければならない。すなわち、当該薬剤は、比較的不透過性の肺胞膜を通過しなければならず、また粘膜細胞表面を覆う上皮内層液(ELF)に分布しなければならない。したがって、ELF/痰中の抗菌剤の濃度は、標的部位の濃度に関連する臨床的に重要な指標とみなし得る。したがって、できる限り数パフ(例えば、1回の吸引)で10〜30mgの吸引肺用量を供給する吸引用処方を提供することが本発明の目的である。1つまたは複数の実施形態では、肺送達効率が20%〜60%w/wの間である処方/デバイスの組み合わせが含まれ、これは15mg〜150mgの範囲の名目用量、または50kgの若年成人について0.3mg/kg〜3.0mg/kgに対応する。
本発明に基づく処方の1つまたは複数の実施形態は、感染部位に高濃度をもたらして高いMIC値の緑膿菌を克服することができる。したがって、緑膿菌の増殖に影響を及ぼし、緑膿菌の毒性を低減する前提条件となる薬物動態は、薬力学と相関するFEVに影響を及ぼすはずである。さらに、本発明の処方は、急性憎悪の発生率および重症度を低減し、薬物の投与時間を劇的に短縮することにより、CF患者の生活の質を改善することができる。
本発明はさらなる利点を提供する。例えば、上記のように、その他のほとんどのエアゾール化された治療薬は、局所的な肺疾患のために送達されるか、または全身的適用のために送達されるかを問わず、極めて高い肺用量を必要とする。大量の肺用量(>10mg)を送達する場合、それは標準処方として、ジェット噴霧器により達成されてきたが、喘息治療で用いられるデバイス技術(例えば、定量吸入装置、および複数用量の乾燥粉末吸入装置)は、かかる規模の用量を送達するには効率的でない。すでに議論したように、嚢胞性線維症(CF)患者における緑膿菌感染症(肺用量≒30mg)は、現在、PARI LC Plus(登録商標)噴霧器を用いて、アミノグリコシドであるトブラマイシン(TOBI(登録商法)、Novartis、Emeryville、CA)の水溶液をジェット噴霧することにより治療されている。長時間投与、およびジェット噴霧器の携帯性の欠如、および多数回に及ぶ吸入治療は、CF患者の生活の質に悪影響を及ぼしているものと察せられる。その結果、医師は治療コンプライアンスという課題に直面している。治療プログラムの要求の厳しさから、治療時間の節約は、いずれにせよ、患者のコンプライアンスおよび生活の質を改善するための大いなる推進力とみなされる。シャツのポケットや財布に入れて持ち運び可能な携帯型の吸入装置が利用可能なことも、患者はもはや電力を必要とするかさばったコンプレッサーに拘束されることはないので、やはり大きな利点となる。したがって、患者は、医薬品の投与が可能でありながら、ハイキングに行ったり、その他のいくつかのアウトドア活動を楽しんだりすることができる。
すでに議論したように、シプロフロキサシン塩酸塩等の水溶性のフルオロキノロンの肺内滞留時間はきわめて短い(半減期は約0.2時間)(Wongら:In:「Liposomes in biomedical applications(AT Florence、G Gregoriadis、eds)Harwood Academic Press、Amsterdam、1995、105〜120ページ)。したがって、本発明の1つの特定形態では、シプロフロキサシン等のフルオロキノロンが、少なくとも0.3時間の半減期を有するものとして肺に送達されるように、組成物が処方される。より好ましくは、半減期はかなり長く、例えば少なくとも1.5時間、より好ましくは少なくとも3時間、およびより好ましくは少なくとも6時間である。
溶解性シプロフロキサシンの半減期が短いのとは対照的に、中性pH付近に見出される両イオン性形態であるシプロフロキサシンベタインの半減期はかなり長い(Endermann R、Labischinski H、Ladel C et al:treatment of bacterial diseases of the respiratory organs.米国特許出願第2004/0254194号A1)。
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、吸引用のシプロフロキサシンベタインの乾燥粉末処方を含む。シプロフロキサシンベタイン(および、その他のフルオロキノロン類)の実施形態、およびかかる化合物を用いた治療方法が、全開示が参照により本明細書に援用される米国特許出願公表第2004/0254194号に記載されている。その他のフルオロキノロン類のベタイン形態(例えば、レボフロキサシン、モキシフロキサシン)を含む処方を、シプロフロキサシンベタインの替わりに、またはこれに加えて、本発明において使用できる。シプロフロキサシンベタインは、水溶性が極めて低い(図2を参照)。したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、疎水性添加剤からなる多孔質層、好ましくはリン脂質からなる多孔質層でコーティングされた、微粉化結晶として処方されたシプロフロキサシンベタインを含む。シプロフロキサシンベタインは、6.0〜8.8の範囲にあるpH値において形成される。中性付近のpH値が好ましい。
1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタイン結晶性微粒子の少なくとも50%は、約5ミクロン未満、より好ましくは約3ミクロン未満、およびさらに好ましくは約2ミクロン未満の質量中央径(x50)を有する。1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタイン結晶性微粒子の少なくとも90%は、約10ミクロン未満、より好ましくは約7ミクロン未満、およびさらに好ましくは約5ミクロン未満の質量中央径(x90)を有する。得られる粉末粒子のMMADは、シプロフロキサシンベタイン結晶の出発粒子サイズに依存する。結晶のMMDが小さいほど、得られるシプロフロキサシンベタイン含有粉末粒子のMMADは小さくなる。
1つまたは複数の実施形態では、より大きなシプロフロキサシンベタイン結晶は、標準的なトップダウン方式により所望のサイズに微粉化することができ、同方式には、ジェット粉砕および湿式粉砕(高圧ホモジナイゼーション)が含まれ、ただし、これらに限定されない。
微粉化は、薬物を溶液状態に溶解し、次いで析出させるボトムアップ・プロセッシング方式により、別法として、または追加的に実現可能である。かかる方式には、スプレー乾燥法およびスプレーフリーズドライ法等の方法が含まれる。その他の適する粉砕処理法は、当技術分野で公知であり、これには、超臨界流体処理法、例えば、国際特許出願第95/01221号、同第96/00610号、および同第98/36825号に開示されている方法等、低温粉砕、湿式粉砕、超音波、高圧ホモジナイゼーション、微少溶液操作、結晶化処理、ならびに米国特許第5,858,410号に開示されている処理法が非限定的に含まれ、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。
シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインを含む、本発明の組成物は、様々な量の活性薬剤を含み得る。例えば、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの量は、少なくとも約30%w/w、40%w/w、50%w/w、60%w/w、70%w/w、80%w/w、または90%w/wを含み得る。いくつかの実施形態では、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインが、約50%w/w〜70%で組成物中に存在すると、所望の粉末の流動化および分散性が得られる。
本発明の1つまたは複数の実施形態は、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタイン、および、任意選択的に、1つまたは複数の医薬として許容される添加剤を含有する医薬組成物、または処方を含む。
1つまたは複数の実施形態では、医薬として許容される添加剤は、1つまたは複数の少なくとも部分的に疎水性の添加剤を含む。例えば、疎水性の添加剤は、1つまたは複数の脂質、長鎖脂肪酸石鹸(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム)、疎水性アミノ酸またはペプチド(例えば、ロイシン、トリロイシン)、およびコレステロールを含み得る。
1つまたは複数の実施形態では、医薬として許容される添加剤は、リン脂質等の脂質を含む。1つの特定形態では、リン脂質マトリックスが形成される。リン脂質マトリックスの例は、国際特許出願第99/16419号、同第99/16420号、同第99/16422号、同第01/85136号、および同第01/85137、ならびに、米国特許第5,874,064号、同第5,855,913号、同第5,985,309号、および同第6,503,480号、ならびに、2003年12月31日に申請された同時係属および共同出願の米国特許出願第10/750,934号に記載されており、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。
1つまたは複数の実施形態では、添加剤は、活性薬剤上の多孔質で皺のあるコーティング物として存在する。そのように選択され、処方されると、当該添加剤は、空隙率または皺度が低い「なめらかな」コーティング物と比較して、粉末の流動化および分散性に改善をもたらす。
天然起源および合成起源の両方に由来するリン脂質を、様々な量で使用することができる。リン脂質が存在する場合、当該量は、一般的には、活性薬剤(複数可)をコーティングするのに十分であって、リン脂質の多孔質コーティング物を提供するのに十分な量である。存在する場合、当該リン脂質の含有量は、一般的に、約10wt%〜約70wt%の範囲、例えば、約30wt%〜約50wt%の範囲である。
一般的に、適合性を有するリン脂質は、約40℃超、例えば、約60℃超、または約80℃超のゲルから液晶への相転移温度を有する物を含む。組み込まれるリン脂質は、比較的長鎖(例えば、C16〜C22)の飽和した脂質である。開示された安定化調製物で有用な例示的なリン脂質として、ホスファチジルコリン、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリン、および水素添加された卵または大豆のホスファチジルコリン(例えば、ドイツのルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)にあるLipoid KGより入手可能な、E−100−3、S−100−3)が挙げられるが、ただし、これらに限定されない。天然のリン脂質は、低いヨウ素化が低く(<10)なるように水素添加されるのが好ましい。
リン脂質は、任意選択的に2価の金属イオンと結合することができる。かかる2価の金属イオンは、リン脂質の頭部基の水和を低下させるように作用し、これにより、リン脂質のゲルから液晶への相転移が増加し、肺被覆液上での粉末の濡れ性が向上する。
金属イオンの例として、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等を含む2価の陽イオンが挙げられるが、ただし、これらに限定されない。例えば、リン脂質を用いる場合、医薬組成物は、全体として参照により本明細書に援用される、国際特許出願第01/85136号および同第01/85137号に開示されているように、多価陽イオンも含むことができる。多価陽イオンは、医薬組成物が、約60℃超、好ましくは約80℃超、または約100℃超である融点(T)を示すように、リン脂質のTを上昇させるのに有効な量で存在し得る。リン脂質に対する多価陽イオンのモル比は、少なくとも約0.05:1、例えば約0.05:1〜約0.5:1であり得る。1つまたは複数の実施形態では、多価陽イオン:リン脂質のモル比は、約0.5:1である。2価の金属イオンは、両イオン性のホスファチジルコリン頭部基上のリン酸基に結合し、プロセス中の水分子と置換すると考えられている。リン脂質に対する金属イオンのモル比が0.5と過剰な場合には、リン酸基に結合しないフリーの金属イオンが生じ得る。これは、得られた乾燥粉末の吸湿性を、顕著に高めることができる。多価陽イオンがカルシウムの場合、塩化カルシウムの形態であり得る。カルシウム等の金属イオンは、リン脂質と共に含まれることが多く、何も必要としないが、処方中に他のイオンが存在すると問題となり得る(例えば、リン酸で、これはリン酸カルシウムとしてカルシウムイオンを析出させる可能性がある)。
本発明に基づく組成物の1つまたは複数の実施形態では、添加剤は、処方の安定性または生体適合性をさらに強化するための添加物を追加的にまたは別法として含み得る。例えば、様々な塩、バッファー、キレート剤、および味マスキング剤が検討される。かかる添加物の使用は、当技術分野の通常の技量を有する者には理解されるであろうし、薬剤の具体的な量、比、および種類は、過度の実験をしなくても、実験的に求めることができる。
本発明に基づく組成物の1つまたは複数の実施形態では、添加剤は、同様のおよび/または代替的な機能を果たす添加剤を追加的にまたは別法として含み得る。例えば、当該組成物は、特定の細胞(例えば、肺マクロファージ)を標的とする粒子のターゲティングを強化するターゲティング添加剤を含み得る。本発明の1つの特定形態では、医薬処方は、1つまたは複数のターゲティング剤を含み得る。例えば、医薬処方は、粒子および/または活性薬剤の狙いを、肺マクロファージ等の細胞標的に定めるターゲティング剤を含み得る。病原体が肺マクロファージに取り込まれるような感染性疾患を治療するために、医薬処方が投与される場合には、この薬剤は特に有用である。かかる感染性疾患は、抗感染症活性薬剤を用いた従来の全身治療では治療するのが困難である。しかし、ターゲティング剤を組み込むことにより、粒子はより速やかに肺マクロファージに取り込まれ、感染部位により効率的に送達され得る。この治療法は、結核、炭疽病等の大兵器剤(big−warfare agents)、およびある種の癌の治療に特に効果的である。当該ターゲティング剤は、例えば、ホスファチジルセリン、hlgG、およびムラミールジペプチドの1つまたは複数を含み得るが、これらは、国際特許出願公表第99/06855号、同第01/64254号、同第02/09674号、および同第02/87542号、ならびに米国特許第6,630,169号に記載されており、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。活性薬剤が長期間、肺に残留すれば、ターゲティングプロセスはより効果的となり得る。したがって、1つの特定形態では、医薬処方は、ターゲティング剤および十分量の脂質成分を含み、病原体が肺マクロファージに取り込まれる場合には、活性薬剤が、感染性疾患を治療するのに有用な事前決定された期間、肺に維持されることを保証する。特に、当該医薬処方がかかるターゲティング剤を含む場合には、より大型の粒子は肺マクロファージに速やかに取り込まれないので、粒子サイズは6ミクロン未満であるのが好ましい。
本発明に基づく組成物の1つまたは複数の実施形態では、マクロファージにより排除されるのを防いで肺滞留時間をさらに延長し、および/または組成物粒子が、肺上皮を被覆する粘液層または痰層を貫通するのを促進するために、添加剤は、ペグ化されたホスファチジルエタノールアミン、例えば、PEG2000−PE、および/またはPEG5000−PE(数値はPEGユニットの分子量を表す)を追加的に、または別法として含み得る。幾何的サイズが1μm未満の粒子の場合、かかる粒子は、緑膿菌のバイオフィルムを貫通することも可能である。
シプロフロキサシンベタインは、様々な多形体および/または水和物として処方され得る。1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタインは、3.5水和物を含み、これは本発明で用いられる条件下で、すぐれた化学的および物理的安定性を有することが見出された。1つまたは複数の実施形態では、組成物中のシプロフロキサシンベタインは、本質的に3.5水和体からなる。図3に示すように、3.5水和物では、スプレー乾燥法により乾燥された粉末中の含水量は、約10%w/w〜15%w/wの間であることが分かる。シプロフロキサシンベタインのその他の多形体または水和物または混合物も、別法として、または追加的に用いることができるが、本発明の条件下では3.5水和物が好ましい。本明細書に記載するエマルジョンベースのスプレー乾燥プロセスを用いてスプレー乾燥すると、多形シプロフロキサシンベタインは、単一の多形体として3.5水和物に変換されることが見出された。製造プロセス全体を通じて、結晶は不溶状態のままであるという事実にもかかわらず、かかる現象は起きる。他の処理法は、一般的に水和物の混合物を生成する。
1つまたは複数の特定形態では、肺投与用の組成物は、それぞれがフルオロキノロンおよび添加剤を含む独立した粒子を含む。フルオロキノロンは、その肺中半減期が少なくとも1.5時間であるような形体にある。例えば、当該フルオロキノロンは、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインを含み得る。本特定形態に基づけば、当該粒子は、約1μm〜約5μmの空気動力学的質量中央径、ならびに約1.0g/cm未満、より好ましくは約0.6g/cm未満、およびより好ましくは約0.2g/cm〜0.5g/cmの範囲であるかさ密度を有する。
1つまたは複数の特定形態では、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインは、独立した粒子を形成する添加剤マトリクスに含まれ、また医薬組成物は、複数の独立した粒子を含む。独立した粒子は、これが効率的に投与されるように、および/または必要な時に利用可能なように、サイズ調節することができる。例えば、エアゾール化可能な医薬組成物の場合、当該粒子は、これが、ユーザーの吸引中にエアゾール化され、ユーザーの気管に送達可能となるようなサイズである。
いくつかの特定形態では、医薬組成物は、約10μm未満、例えば、約5μm未満、約3μm未満、または約1μm未満等の質量中央径を有し、および1μm〜10μm、例えば約1μm〜5μm等であり得る粒子を含む。1つまたは複数の実施形態では、粉末の質量中央径は、約1〜3μmの間にある。
1つまたは複数の実施形態では、スプレー乾燥された粉末のかさ密度は、約1.0g/cmであり、およびより好ましくは約0.6g/cm未満であり、およびより好ましくは0.2g/cm〜0.6g/cmである。
1つまたは複数の実施形態では、溶いた時の粉末のpHは、6.0〜8.8の間である。1つまたは複数の実施形態では、pHは、溶いた際に結晶性シプロフロキサシンベタインを生成するような値である。
1つまたは複数の実施形態では、粉末の水分含量は、約10%〜15%w/wの間にある。1つまたは複数の実施形態では、スプレー乾燥法により乾燥された粉末の水分含量は、結晶性シプロフロキサシンベタイン3.5水和物多形体を生成するような値である。
1つまたは複数の実施形態では、粉末の比表面積は、8m/g〜20m/gの間にある。1つまたは複数の実施形態では、空隙率は、約5%〜20%の間にある。1つまたは複数の実施形態では、皺度(S)は、3〜10の間にある。1つまたは複数の実施形態では、本発明の粉末は、本明細書で規定する比表面積、空隙率、および皺度の測定値のうち、少なくとも2つを含む。1つまたは複数の実施形態では、本発明の粉末は、本明細書で規定する比表面積、空隙率、および皺度の測定値のうち、少なくとも3つを含む。
1つまたは複数の実施形態では、本発明の粉末は、約1μm〜約5μm、例えば、約1.5μm〜約4μm、または約2μm〜約4μmの空気動力学的質量中央径を含む。一般的に、粒子が大きすぎると、肺深部に到達する粒子数はより少なくなる。粒子が小さすぎると、消散する粒子の割合(%)がより多くなり得る。所望の吸引回数で、10mgを超える所望の肺用量を実現するためには、4.7μm未満の微粒子の用量は、10mg超、より好ましくは16mg超、およびより好ましくは20mg超であることが好ましい。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、エマルジョンベースのスプレー乾燥プロセスは、疎水性添加剤の多孔質層でコーティングされたフルオロキノロンベタイン結晶を作製するために用いられる。得られた粒子は、これを必要とするCF患者に、最低の吸引回数、例えば4回未満、好ましくは3回未満、より好ましくは2回未満、および最も好ましくは1回で、高用量投与され得る。
1つまたは複数の実施形態では、本発明の組成物は、独立した粒子を含む粉末である。1つまたは複数の実施形態では、粉末は溶媒除去プロセスにより調製される。いくつかの手順は、一般的に本発明に対して適合性を有するが、特に好ましい実施形態は、一般的に、スプレー乾燥法またはフリーズドライ法により形成される、有孔微細構造または多孔性粒子を含む。周知の通り、スプレー乾燥法とは、液体原料を乾燥粉末粒子に変換するプロセスである。医薬用途の場合、吸引を含む様々な投与経路のための粉末化材料を提供するのに、スプレー乾燥法が用いられてきたことが理解されよう。
1つまたは複数の実施形態では、本発明の粉末組成物は、スプレー乾燥法により調製される。典型的な実施形態では、原料はフルオロキノロンベタインを含む。例えば、1つの特定形態では、原料は、水中油型エマルジョンからなる連続相中に分散した、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインの微細化結晶を含む。原料はリン脂質等の疎水性添加剤も含み得る。サブミクロンのエマルジョン滴中の分散相も、フルオロカーボンを含んでも含まなくてもよい。1つまたは複数の実施形態では、フルオロカーボンは、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクチルエタン、およびこれらの混合物からなる群より選択される。1つまたは複数の実施形態では、フルオロカーボンは、リン脂質添加剤の単分子層により安定化される。スプレー乾燥法により乾燥する際には、エマルジョン滴は、べタイン結晶表面上にリン脂質からなる多孔質のコーティング物を形成するのに役立つ。活性薬剤および任意選択的な活性薬剤の濃度は、最終粉末中で必要な薬剤量、および使用される吸入装置の種類に依存する。1つまたは複数の実施形態では、かかる濃度は、すでに記載した通りであり得る。用いる場合には、原料中のフルオロカーボンの容積率は、3%〜50%w/vの範囲、好ましくは約5%〜30%w/vの範囲であり得る。脂質でコーティングされた結晶を含むスプレードライ粒子の例も、国際特許出願第2004/060351号、米国特許第7,326,691号、および米国特許出願第2006/0165606号に見出されるが、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。
1つまたは複数の実施形態では、原料は発泡剤を含むことができる。発泡剤は、スプレー乾燥プロセス中に蒸発して、空気動力学的に軽量である多孔質DSPCコーティング物を備えたベタイン結晶等の、一般的に多孔性の粒子を生成するフッ素化化合物(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロデカリン、パーフルオロブチルエタン)が好ましい。以下でさらに詳細に考察するように、その他の適する発泡剤として、非フッ素化オイル、クロロホルム、フレオン、酢酸エチル、アルコール類、および炭化水素類が挙げられる。窒素および二酸化炭素ガスも、適する発泡剤として検討される。
有孔微細構造は、上記のように発泡剤を用いて好適に形成され得るが、場合によっては、追加の発泡剤をまったく必要とせず、薬物および/または添加剤、および界面活性剤(複数可)からなる水性分散物がスプレー乾燥法により、直接乾燥されることが好まれるであろう。そのような場合には、当該処方は、比較的多孔性の微粒子形成を引き起こし得るプロセス条件(例えば、高い温度)に左右されやすくなる可能性がある。
発泡剤があるとしてどのような発泡剤が最終的に選択されるかによらず、適合性のある有孔微細構造は、Buchi miniスプレードライヤー(モデルB−191、スイス)を用いて、特に効率的に製造され得ることが見出された。当技術分野の熟練者により理解されているように、スプレードライヤーの入口側の温度、および出口側の温度は、所望の粒子サイズを与え、所望の薬剤活性を有する生成物をもたらすようなレベルに選択される。こうしたことから、入口側および出口側の温度は、処方成分の融解特性および原料組成に依存して調節される。市販のスプレードライヤーは当技術分野の技術者に周知であり、任意の具体的な分散物に関する適する条件は、以下の実施例をしかるべく参照しながら、標準的な実証試験を行うことにより容易に決定され得る。
本発明の特に好ましい実施形態は、リン脂質、およびシプロフロキサシンベタイン活性薬剤等の界面活性剤を含むスプレードライ用調製物を含む。別の実施形態では、スプレードライ用調製物は、任意の選択された界面活性剤に加えて、例えば、炭化水素(すなわち、グルコース、ラクトース、またはデンプン)等の親水性部分を含む添加剤をさらに含み得る。この点で、様々なデンプンおよび誘導体化されたデンプンが、本発明で用いるのに適している。その他の任意選択的な組成物には、従来型の粘度調整剤、リン酸バッファーもしくはその他の従来型の生体適合性のバッファー等のバッファー、または、酸もしくは塩基等のpH調整剤、および浸透圧性薬剤(等張性、高浸透圧、または低浸透圧を生み出すための)が含まれ得る。適する塩の例として、リン酸ナトリウム(一塩基型および二塩基型の両方)、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、およびその他の生理的に許容される塩が挙げられる。
全体が参照により本明細書に援用される、国際特許出願第01/85136号および同第01/85137号に開示されているように、マトリックス材料としてリン脂質が用いられる場合には、原料内に多価陽イオンをさらに含むのが好ましい。適する多価陽イオンは、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等を含む二価の陽イオンが好ましい。多価陽イオンは、リン脂質のTを上昇させるのに有効な量、例えば、微粒子組成物が、その貯蔵温度Tよりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃高いTを示すような量で存在する。
どのような組成物が選択されたとしても、微粒子製造の最初のステップは、一般的には原料の調製が含まれる。好ましくは、選択された薬物は、水に溶解されて濃縮溶液を生成する。不溶性の結晶性活性薬剤の場合、典型的には本発明の場合があろうが、薬物はエマルジョン中に直接分散される。用いられる活性薬剤または生物活性薬剤の濃度は、最終的な粉末に必要とされる薬剤の量、および使用される送達デバイスの性能に依存する(例えば、MDIまたはDPIで用いられる微粒子用量)。必要に応じて、上記のような追加の添加剤も原料に添加することができる。
選択された実施形態では、次に、水中油型エマルジョンは別の容器内で形成される。使用する油は、長鎖飽和リン脂質等の界面活性剤を用いてエマルジョン化されるフルオロカーボン(例えば、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロデカリン)が好ましい。例えば、リン脂質1グラムは、適する高せん断力の機械式ミキサー(例えばUltra−Turrax、モデルT−25ミキサー)を8000rpmで2〜5分間用いて、加熱された蒸留水(例えば、60℃)、150g中で均一化され得る。一般的には、5〜25gのフルオロカーボンが、分散済みの界面活性剤の溶液に、混合しながら滴下される。次に、得られた水性エマルジョン中のパーフルオロカーボンは、粒子サイズを小さくするために高圧ホモジナイザーを用いて処理される。一般的には、エマルジョンは、12,000〜18,000psiで、個別に5回パスさせて処理され、50〜80℃に保たれる。
いずれにしても、入口側および出口側の温度、フィード速度、噴霧化圧力、乾燥空気の流速、およびノズル形状等の操作条件は、必要な粒子サイズ、および得られる乾燥微細構造の製造収率を実現するための製造業者のガイドラインに従って調節され得る。典型的な設定条件は下記の通り:空気流入口温度は60℃〜170℃の間;空気排出口は、40℃〜120℃の間;フィード速度は3ml〜約15ml/分の間;および吸引気流は300L/分;および噴霧化気流速度は25〜50L/分の間である。本明細書の教示を考慮すれば、適する用具および処理条件の選択は、熟練者には熟知されており、また過度の実験を行わなくても実現可能である。いずれにせよ、かかる方法および実質的に同様な方法を利用すれば、肺にエアゾールを沈着させるのに適した粒子径を有する、多孔質の空気動力学的に軽量な微細球体で、外観がほとんどハニカム状または泡状の多孔性の微細構造が形成される。特に好ましい実施形態では、有孔微細構造は、スプレー乾燥法により乾燥された多孔性粒子を含む。スプレー乾燥した原料中の固形分は、一般的に,0.5wt%〜10wt%の範囲、例えば1.0wt%〜5.0wt%等であろう。もちろん、条件は用いる機器の種類に依存する。いずれにせよ、かかる方法および同様の方法を用いれば、肺にエアゾールを沈着させるのに適した直径を有する、コーティングされた結晶を形成することができる。1つの重要な態様として、ドライヤー上の出口温度およびコレクターの温度は、得られる製剤のTよりも低い温度に維持されなければならないことが挙げられる。
エマルジョンベースの原料は、適する高せん断力の機械式ミキサー(例えば、Ultra−Turrax モデルT−25ミキサー)を用いて、加熱した蒸留水(例えば70℃)中で、多価陽イオンおよびリン脂質を、最初に分散することにより調製され得る。典型的なプロセス条件は、8000rpmで2〜5分間の攪拌であろう。次に、混合しながら、フルオロカーボンを、分散済みの界面活性剤の溶液中に滴下する。次に、得られた水中フルオロカーボン型エマルジョンは、粒子サイズを小さくするように高圧ホモジナイザーを用いて処理され得る。一般的には、エマルジョンは、中央径が600nm未満の液滴を生成するように、8,000〜20,000psiで、5回の独立したパスを行って処理される。次に、微粒子化されたシプロフロキサシンベタインは、エマルジョンの連続相中に添加され、混合および/または均一化される。
1つの特定形態では、製剤処方は、かさ密度が1.0g/cm未満、より好ましくは0.5g/cm未満、より好ましくは0.3g/cm未満、場合によっては0.1g/cm未満である多孔質の微細構造からなる。1つの具体的な特定形態では、粉末のかさ密度は0.2g/cm〜0.6g/cmである。かさ密度が非常に低い粒子を供給することにより、単位用量容器に充填され得る粉末の最低質量は低減し、これにより、担体粒子の必要性が低減し、またしばしば除去される。すなわち、本発明の比較的低密度の粉末は、比較的低用量の医薬組成物について再現性のある投与を実現する。さらに、一般的に当技術分野で用いられる大型のラクトース担体粒子は、そのサイズ故に咽喉部および上気道に影響を及ぼすので、担体粒子を不要とすれば、咽喉部での沈着、および「窒息」効果を最低限に抑える可能性がある。本発明を用いれば、かかる大型粒子の必要性を回避することができる。
1つまたは複数の実施形態では、本発明に基づく粉末処方は、フルオロキノロン等の活性薬剤を約50%〜約70%、より好ましくは約65%w/w、リン脂質等の疎水性添加剤を約15%〜約35%、より好ましくは約20%w/w、金属陽イオン含有材料を約1%〜約3%、より好ましくは約2%w/w、水を約10%〜約15%、より好ましくは約12%w/w含む。1つの具体的な特定形態では、本発明の粉末処方は、シプロフロキサシンベタインを約50%〜約70%、より好ましくは約65%、好ましくは3.5水和体で、ジステアロイルホスファチジルコリンを約15%〜約35%、より好ましくは約20%w/w、および塩化カルシム二水和物を約1%〜約3%、より好ましくは約2%w/w、水を約10%〜約15%、より好ましくは約12%w/w、および残留パーフルオロオクチルブロミドを1%w/w未満含む。
粉末製剤処方は、エアゾール生成デバイスを用いて投与され得る。好ましい特定形態では、当該処方は粉末形態で、2001年6月22日に申請された米国特許出願シリアル番号第09/888,311号、国際特許出願第02/83220号、米国特許第6,546,929号、および2003年7月8日に申請された米国特許出願シリアル番号第10/616,448号に記載されているような乾燥粉末吸入装置を用いて投与される。あるいは、エアゾール生成デバイスは、国際特許出願第99/16420号に記載されているような噴霧器であり得る。かかる特許および特許出願のすべてが全体として参照により本明細書に援用される。
1つの特定形態では、粉末組成物は乾燥粉末形態であり、これは、当該組成物の単位用量をエアゾール化するように、エアゾール生成デバイス内、またはその近傍に挿入され得る単位用量容器内に収納される。乾燥粉末形態は、その単位用量容器内に長期間安定的に貯蔵され得ることから、かかる特定形態は有用である。さらに、エアゾール生成には冷却機能または外部電源が必要とされないことから、かかる特定形態は便利である。
いくつかの例では、単位用量、例えば5mg以上、より好ましくは10mg以上、およびより好ましくは16mg以上等の単位用量の活性薬剤を、1回の吸引で肺に送達するのが好ましい。上記のリン脂質多孔性乾燥粉末粒子は、5mg以上、10mg以上、16mg以上、25mg以上、および32mg以上の用量を、1回の吸引で、かつ有利な方法で送達することを可能にする。あるいは、当該用量は、2回、3回、または4回の吸引で送達され得る。これを実現するには、粉末のかさ密度は、好ましくは、1.0g/cm未満、より好ましくは0.6g/cm未満である。一般的に、薬物負荷は、5%超、より好ましくは10%超、より好ましくは20%超、より好ましくは30%を超えるが望ましく、および必要な肺用量が5mgを超える場合には、最も好ましくは薬物負荷が40%を超えるのもまた望ましい。かかる単位用量製剤処方は、エアゾール生成デバイス内に挿入され得るカプセル内に収納され得る。当該カプセルは、製剤処方を収納し、また当該製剤処方を利用可能な状態で提供するのに適した形状、サイズ、および材料からなり得る。例えば、当該カプセルは、当該製剤処方と有害な反応を起こさない材料を含む壁を含み得る。さらに、当該壁は、製剤処方のエアゾール化が可能となるように、当該カプセルの開放を可能にする材料を含み得る。1つの特定形態では、当該壁は1つまたは複数の種類のゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコールと混合されたHPMC、ヒドロキシプロプリセルロース、寒天等を含む。1つの特定形態では、例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第4,247,066号に記載されているように、当該カプセルは、入れ子状態で伸縮自在に隣接するセクションを含み得る。当該カプセルのサイズは、製剤処方用量を適切に収納するように選択され得る。
カプセルのサイズは、表1に示すように、それぞれ、外径が約4.91mm〜9.97mmの範囲、高さが約11.10mm〜約26.14mmの範囲、および容積が約0.13ml〜約1.37mlの範囲の、一般的にサイズ5〜サイズ000の範囲内にある。適するカプセルは、例えば、日本国、奈良県にある塩野義Qualicaps社、およびサウスカロライナ、グリーンウッド(Greenwood)にあるCapsugelから市販されている。充填後、カプセル形状を形成し、カプセル内に粉末を収納するように、下の部分の上に上の部分が配置され得るが、これは米国特許第4,846,876号、同第6,357,490号、および2000年2月17日に公表された国際特許出願第00/07572号に記載されており、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。1つの特定形態では、粉末はサイズ2以下のカプセルに収納される。小児CF患者が、1回の吸引で空にし得る粉末の容量または質量を上回らないで、送達可能用量を最大にするように、カプセルサイズ2および3が好適に採用される。
充填後、カプセル形状を形成し、カプセル内に粉末を収納するように、下の部分の上に上の部分が配置され得るが、これは米国特許第4,846,876号、および同第6,357,490号、ならびに国際特許出願第00/07572号に記載されており、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。下の部分の上に上の部分を配置した後に、カプセルは、任意選択的に緊結される。
本発明に基づく製剤処方100をエアゾール化するのに特に有用な乾燥粉末エアゾール生成装置の例を、図8Aに概略的に示す。エアゾール生成装置200は、1つまたは複数の空気流入口215および1つまたは複数の空気排出口220を有するチャンバー210を規定する筺体205を備える。当該チャンバー210は、エアゾール化可能な製剤処方を収納するカプセル225を受容するように、サイズが決められている。例えば、当該カプセルは、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインを含有する粒子を含む組成物を収納し得る。穿孔機構230は、チャンバー210内で移動可能な穿孔メンバー235を備える。排出口220の近傍に、またはこれに隣接して末端セクション240があるが、同末端セクションは、ユーザーが、排出口220と流通する当該末端セクション240内の開口部245を通して吸引し得るように、ユーザーの口または鼻に収まる大きさまたは形状であり得る。
乾燥粉末エアゾール生成装置200は、チャンバー210を経由する気流を利用して、カプセル225中の製剤処方をエアゾール化する。例えば、図8A〜8Eは、エアゾール生成装置200の特定形態の働きを示しており、ここでは、流入口215を経由した気流が、製剤処方をエアゾール化するために用いられ、またエアゾール化した製剤処方は、末端セクション240の開口部245を通じてユーザーに送達され得るように、排出口220を通って流れる。乾燥粉末エアゾール生成装置200が、図8Aにその最初の状態で示されている。カプセル225が、チャンバー210内に配置され、製剤処方は当該カプセル225内に収納されている。
エアゾール生成装置200を使用するために、カプセル225内の製剤処方は、エアゾール化が可能となるように露出される。図8A〜8Eの特定形態では、穿孔機構230に力250を付加することにより、チャンバー210内で穿孔機構230は前進する。例えば、図8Bに示す通り、穿孔機構230を筺体205内でスライドさせて、穿孔メンバー235がチャンバー210内のカプセル225と接触するように、ユーザーは穿孔機構230の表面255を押すことができる。
図8Cに示すように、力250をかけ続けることにより、穿孔メンバー235はカプセル225の壁に進入し、これを貫通する。穿孔メンバーは、カプセル225の壁に進入しやすくするように、1つまたは複数の鋭利なチップ252を備えることができる。次に、穿孔機構230は、カプセル225の壁を貫通する開口部260を残しながら図8Dに示す位置まで後退して、カプセル225内の製剤処方を露出する。次に、図8E中の矢印265で示すように、空気または他のガスが、流入口215を経由して流れ込む。気流は製剤処方のエアゾール化を引き起こす。
ユーザーが、末端セクション240を通じて吸引270を行うと、エアゾール化した製剤処方はユーザーの気道に送達される。1つの特定形態では、気流265は、ユーザーの吸引270により引き起こされる。別の特定形態では、圧縮空気またはその他のガスが、流入口215に押し込まれてエアゾール化気流265を引き起こす。
乾燥粉末エアゾール生成装置200の具体的な特定形態が、米国特許第4,069,819号、同第4,995,385号、米国特許出願第10/298,177号、同第10/295,783号、同第10/821,652号、同第10/821,624号、同第10/822,850号、同第10/704,160号、同第10/714,511号、および同第10/313,419号に記載されており、これらすべてが全体として参照により本明細書に援用される。かかる配置において、チャンバー210は、一般的に吸引方向に沿った長軸を備え、またカプセル225は、カプセルの長軸がチャンバー210の長軸と平行となり得るように、縦方向でチャンバー210内に挿入可能である。チャンバー210は、製剤処方を収納するカプセル225を、当該カプセルがチャンバー210内で動けるような状態で受容するようにサイズが決定される。流入口215は、複数の接線方向に向いたスロットを備える。ユーザーがエンドピースを経由して吸引すると、外気は接線方向のスロットを通って流れるようになる。かかる気流はチャンバー210内で旋回気流を生み出す。
旋回気流は、カプセル225を隔壁と接触させ、次に製剤処方がカプセル225から流出し、これが旋回気流中で混ざり合うように、チャンバー210内を移動させる。かかる特定形態は、製剤処方の高用量を定常的にエアゾール化するのに特に有効である。1つの特定形態では、カプセル225は、カプセルの長軸が、チャンバーの長軸からある角度よりも小さい角度、好ましくは45°未満にとどまるように、チャンバー210内で回転する。チャンバー210内でのカプセル225の動きは、カプセル225の長さよりも短いチャンバー210の幅に起因し得る。1つの具体的な特定形態では、チャンバー210は、末端部で終了する先細りのセクションを備える。チャンバー210内を旋回気流が流れている間、カプセル225の先端部は隔壁と接触し、その上にとどまり、そしてカプセル225の側壁は末端部と接触し、そして当該末端部に沿って滑る、および/または回転する。カプセルのかかる動きは、カプセル225後部にある1つまたは複数の開口部260を経由して、多量の製剤処方を押し出すのに特に効果的である。
別の特定形態では、乾燥粉末エアゾール生成装置200は、図8A〜8Eに示すものとは異なって構成され得る。例えば、チャンバー210は、参照により本明細書に援用される米国特許第3,991,761号に記載されている通り、カプセル225が吸引方向に対して直行するようにカプセル225を受容するようにサイズおよび形状が決定され得る。米国特許第3,991,761号にやはり記載されているように、穿孔機構230は、カプセル225の両端を穿孔し得る。別の特定形態では、チャンバーは、例えば米国特許第4,338,931号、および米国特許第5,619,9S5号に記載されているように、空気がカプセル225を貫通して流れるようにカプセル225を受容し得る。別の特定形態では、製剤処方のエアゾール化は、例えば、米国特許第5,458,135号、同第5,785,049号、および同第6,257,233号に記載されているように、流入口を通る加圧気流により、または国際特許出願公表第00/72904号、および米国特許第4,114,615号に記載されているように高圧ガスにより実現可能である。上記参照文献のすべてが全体として参照により本明細書に援用される。
1つの特定形態では、粉末粒子はカプセルタイプの容器に積載され、吸引装置、例えば図8A〜8Eに示す吸引装置等で用いられる。1つまたは複数の実施形態では、カプセルから放出される質量は、約50%w/wを超え、より好ましくは約60%w/w超、より好ましくは約70%超、およびなおもより好ましくは約80%w/w超または約90%w/w超である。放出された用量に関する相対標準偏差は、好ましくは7%未満、および好ましくは4%未満であり得る。これは、優れた用量含量の均一性をもたらし、益々厳しくなる規制標準に適合可能にする。本発明に基づき処方されない組成物は、かかる基準を満たすことができない。
その他の受動的または能動的乾燥粉末吸入装置を、別法として用いることができる。1つの特定形態では、受動的乾燥粉末吸入装置が、利用に便利であり、またエアゾール化に再現性があるが故に好ましい。適する受動的乾燥粉末吸入装置には、カプセルベースの吸入装置およびブリスターベースの吸入装置の両方が含まれる。カプセルベースの受動的吸入装置は、それが1パフ当たりの肺投与量を高めるのに役立つ、より大きな単位用量容積(現行のブリスターデバイスと比較して)を有することから、特に好ましい。
下記商標名、および/または登録商標で販売または市販されているデバイスも適し得る:Handihaler(Boehringer Ingelheim)、Eclipse(Aventis)、AIR inhaler(Alkermes)、Cyclohaler(Plastiape)、Concept1(Novartis)、Flowcaps(Hovione)、Turbospin(PH&T)、Monohaler(Pfizer)、Spinhaler(Aventis)、Rotahaler(GSK)。適するブリスターベースの吸引装置として、DiskusおよびGemini(GSK)、参照により本明細書に援用される国際特許出願第US2007/022830号に記載され、Nektar Therapeuticsのデバイス、Gyrohaler(Vectura)、E−Flex、Microdrug、Diskhaler(GSK)が挙げられる。やはり、本発明の範囲内にあるものとして、能動的乾燥粉末吸入装置が挙げられ、これには、参照により本明細書に援用される米国特許第6,257,233号に記載されており、Exubera(登録商)吸入デバイス、Aspirair(Vectura)、およびMicrodose inhaler(Microdose)が含まれる。
本発明の粉末と併用する受動的デバイスは、若干分散性が高められた粉末を作製することによって、最大吸気流量(PIFR)の増大に伴って慣性沈着に生じる差異を打ち消すことにより、流速に依存しない肺沈着を可能にする。これとは対照的に、能動的デバイスは、粉末の分散性が一定である場合、流速に対して逆の依存性をもたらす可能性があるが、PIFRの増大に伴い慣性衝突が増大するので、高PIFRでは、沈着が低減する可能性がある。
本発明に基づく1つまたは複数の実施形態の医薬組成物は、一般的に、被放出用量効率が改善している。したがって、高用量の医薬組成物が、本明細書に記載するエアゾール生成デバイスおよび技法を用いて送達され得る。
本発明の1つまたは複数の特定形態では、シプロフロキサシンベタインを含む医薬組成物は、患者が吸引している最中に、これが患者の肺に送達され得るように、エアゾール化可能である。このように、医薬組成物中のシプロフロキサシンは、感染部位に直接送達される。これは、全身投与法に対して有利である。活性薬剤(複数可)は腎臓毒性またはその他の毒性を有するが故に、全身的暴露を最小限に抑えようとすると、用量が制限される場合が多い。したがって、全身投与等の肺を経由しない経路で肺に送達され得る活性薬剤(複数可)量は、最低限度の薬理学的に有効な用量に制限される。吸引によって活性薬剤(複数可)を肺に直接投与すれば、全身的暴露を顕著に低減しつつ、より多くの量が治療を必要とする部位に送達され得る。
したがって、本発明に基づく医薬組成物の1つまたは複数の実施形態は、補助療法を含む嚢胞性線維症の治療に有効である。
本発明の1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインを含む医薬組成物が、これを必要とする患者の肺に投与される。例えば、当該患者は、嚢胞性線維症、非CF気管支拡張症、COPD、または院内感染肺炎と診断されている可能性がある。
したがって、本発明に基づく1つまたは複数の実施形態の医薬組成物は、幅広い患者のために治療に用いることができ、および/または予防処置を提供することができる。本明細書に記載されているような治療および/または予防処置を受けるのに適する患者として、これを必要とする任意の哺乳動物患者、特にヒトまたは動物患者が挙げられる。患者の例として、小児患者、成人患者、および高齢患者が挙げられるが、ただし、これらに限定されない。
1つまたは複数の特定形態では、シプロフロキサシンベタインを含むエアゾール化可能な医薬組成物は、肺内、特に深部肺および/または上気道において効果的なシプロフロキサシン濃度を実現するような方法で患者の肺に投与される。1つまたは複数の実施形態では、肺に到達するシプロフロキサシンおよび/またはシプロフロキサシンベタインの量または濃度は、治療上有効な量、例えばCFを治療するのに有効な量等である。1つまたは複数の実施形態では、肺に到達する、シプロフロキサシンベタインの1用量当たりの量は、約10mg〜約50mg、例えば約30mg〜約40mg等である。
1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタインの治療用量は、3回または4回以下の吸引、例えば2回の吸引、または1回の吸引等で、これを必要とする患者に送達される。好ましい実施形態では、シプロフロキサシンベタインの治療用量は、3回以下の吸引、例えば2回の吸引、または1回の吸引等で、これを必要とする患者に送達される。1つまたは複数の実施形態では、シプロフロキサシンベタインの治療用量は、約3分未満、好ましくは約2分未満、または約1分未満で送達される。
1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載する組成物およびデバイスに基づき、シプロフロキサシンベタインの吸引可能な処方を、嚢胞性線維症の患者に投与すると、生活の質の顕著な改善、または治療コンプライアンスの改善、またはその両方がもたらされる。
本発明に基づくシプロフロキサシンベタイン治療計画は、単独で、または気管支内感染症、特に緑膿菌による感染症を治療するための薬剤と併用して用いることができる。本発明のかかる態様において、気管支内感染症を治療するための1つまたは複数の薬剤は、抗生物質でありえ、またシプロフロキサシンベタイン(または他のフルオロキノロンベタイン)治療の第1の治療期間中、シプロフロキサシンベタインが患者の気管支内系に投与されない第2の非治療期間中、または第1および第2の治療の両方の期間中に投与され得る。本発明に基づくかかる態様の1つの実施形態では、シプロフロキサシンベタインが患者の気管支内系に投与されない第2の非治療期間中に、気管支内感染症を治療するための1つまたは複数の薬剤が投与される。気管支内感染症を治療するのに適する薬剤として、例えば、トブラマイシン等のアミノグリコシド、モノバクタム、β−ラクタム、マクロライド等の非アミノグリコシド系抗感染症薬、および/または糖ペプチド系抗生物質化合物が挙げられる。例えば、非アミノグリコシド抗感染症薬は、アズトレオナムであり得る。
本発明の具体的な治療計画では、シプロフロキサシンベタイン等のフルオロキノロンベタインは、トブラマイシン治療の休薬期間中に投与される。例えば、トブラマイシンは、治療期間(例えば、約1ヶ月間)において投与され、次に休薬期間(例えば、約1ヶ月間)中は投与されない。かかる特定形態では、本発明に基づく粉末は、休薬期間中に投与される。本発明の粉末は、別法として、または追加的に、治療期間中に投与され得る。治療期間および休薬期間は、1日、数日間、1週間、数週間、28日間、1ヶ月間、または数カ月間、またはこれらを組み合わせたものであり得る。
別の特定形態では、組成物は、上記フルオロキノロン類以外の1つまたは複数の活性薬剤を含み得る。例えば、本発明に基づき、任意の不溶性および/または結晶性の活性薬剤を処方することができる。
これまでの説明は、下記実施例を参照すればより完全に理解することができる。ただし、かかる実施例は、本発明の1つまたは複数を実践する方法の単なる代表例にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
pHの関数としてのシプロフロキサシンの水溶解度
プロフロキサシンの水溶解度は、溶液のpHに依存する(図2)。カルボン酸のpK(pK=6.0)よりも低いと、当該薬物は塩酸塩として存在し、きわめて水溶性である。当該薬物は、アミン基のpK(pK=8.8)より上でも可溶性である。中性付近のpHでは、両イオン性のシプロフロキサシンベタインの溶解度は、約70μg/mlまで急激に低下する。
シプロフロキサシン粉末の動的蒸気収着
1つの特定形態では、粉末処方は、約12%w/wの水と共に、約65%w/wのシプロフロキサシンベタイン3.5水和物、約20%w/wのジステアロイルホスファチジルコリン、および約2%w/wの塩化カルシウム無水物、ならびに1%未満の残留パーフルオロオクチルブロミドを含む。かかる処方は、以後CIP(シプロフロキサシン吸引用粉末(ciprofloxacin inhalation powder))と呼ぶ。
CIP、原薬、およびプラセボ粉末の平衡吸湿等温線(25℃)を図3に示す。すべての等温線は、重量法に基づく水蒸気収着法を用いて測定された。CIPの等温線の正確性を評価するために、粉末サンプルを25℃/60%RHで平衡化し、そしてその水分含量を、カール・フィッシャー滴定法を用いて測定した。測定された水分含量と、重量法に基づく水蒸気吸着法との間に良好な一致性が認められ、これは後者の方法は等温線について正確な測定をもたらすことを示している。シプロフロキサシン原薬の等温線に認められる変曲点は、化学量論的水和物を形成する結晶性物質の特徴である。約5%、17%、および65%RHにおいて等温線のスロープに不連続性が認められるが、これは水和物から水和物への変換による。試験したRH値の範囲全域で、最も安定な固体組成物は、20%〜60%RHの間の幅の広いなだらかな領域にある。かかる領域内の組成は、理論的な含水量が16.0%HO(w/w)であるシプロフロキサシン・3.5HO(またはシプロフロキサシン・7HO)の組成と一致している。結晶性3.5水和物の同一性は、ラマン分光法により確認された(データは示さない)。CIPの吸湿等温線は、その成分であるシプロフロキサシン原薬およびスプレー乾燥法により乾燥されたプラセボ(DSPCおよびCaClを含む偽成分)の等温線と定性的および定量的に関連している。定性的には、CIPの等温線は、その成分の等温線の特徴を有する。CIPの等温線は、シプロフロキサシン原薬に特徴的な複数のステップ、およびDSPC/CaClが存在することによる、各点において若干大きめ(原薬の等温線と比較して)のスロープを示す。定量的には、CIPの等温線は、シプロフロキサシン原薬、およびプラセボの等温線をほぼ線形的に重ね合わせたものに該当する。すなわち、CIP等温線は、CIPの薬物含量(名目的には70%)から推定されるように、その主成分の等温線間の約69%の距離にある。これは予期せぬことではない。その理由は、CIP中の薬物とリン脂質は、大部分は分離した相中に存在しており、製剤化された材料の等温線は、その構成成分の等温線を加重和したものにほぼ等しいためである。
およそ20%RH〜65%RHの範囲では、シプロフロキサシンベタインは、3.5水和物として存在する。これは、スプレー乾燥法により乾燥された粉末中の水分含量である、約10%〜15%w/wに対応している。スプレー乾燥法により乾燥された粉末に関する3.5水和体の同一性は、ラマン分光法により確認された。3.5水和体には貯蔵安定性が認められた。
シプロフロキサシン吸引用粉末の調製
シプロフロキサシン吸引用粉末(CIP)は、経口投与および非経口投与と比較して、気道を標的としたシプロフロキサシンのターゲティングを改善し、また一方では、現行の噴霧式抗生物質と比較して、患者の利便性も向上させる(すなわち、携帯性の向上、および投与時間の短縮)ことを具体的な目標として開発された。
CIPは、下記の表2に示す量で、パーフルブロン(パーフルオロオクチルブロミド、PFOB)、および1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、塩化カルシウムを含む洗浄用水(WFIr)、および懸濁されたシプロフロキサシンベタインからなる、均一化されたサブミクロン水中油エマルジョンをスプレー乾燥することにより生成される。微粉化されたシプロフロキサシンベタイン粒子は、標準ジェットミルプロセスにより、または高圧ホモジナイゼーションにより調製される。1kgのバッチサイズを目標とする懸濁液ベースの原料組成を、表2に詳記する。分散化されたPFOBの体積分率は約0.1であり、PFOB/DSPCの比は、約20/1(w/w)である。
原料は、高速ミキサー(例えば、Ultra Turrax)を補助的に用いて、まず加温したWFIrに、DSPCおよびCaClを分散して多重膜リポソームを形成することにより調製された。次に、粗粒エマルジョンを形成するように混合しながらPFOBを徐々に添加する。次に、ピストン−ギャップホモジナイザーまたはマイクロフルイダイザー(Microfluidizer)を用いた高圧ホモジナイゼーションにより、得られたエマルジョンの液滴サイズを小さくする。次に、微粉化された薬物をエマルジョンに添加して、所望の懸濁液ベースの原料を作製する。PFOB、および薬物含有エマルジョン/懸濁液からなる原料の水相を、ニロモービルマイナー・スプレードライヤー上でスプレー乾燥法によりエバポレーションして、乾燥粒子形態のシプロフロキサシンベタイン、DSPC、および塩化カルシウムを得る。スプレー乾燥法により乾燥された粒子は、表4に示すように、残留水および残留PFOBを含む。
製剤化されたバルク粉末は、吸引グレード、透明、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)製、サイズ2の個別カプセルに充填され、名目上CIPを50mg含む(CIPは、約65%のシプロフロキサシンベタインを含み、したがって、各カプセルは、32.5mg、または少なくとも約32mgのシプロフロキサシンベタインを含む)。
CIPバルク粉末の物理化学特性
実施例3で得られたCIPバルク粉末の4ロットの物理化学特性を、表4に示す。UV検出器を備えた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により、シプロフロキサシンの同一性、含量、および純度を求めた(シプロフロキサシンに関するPh.Eur.モノグラフに基づく)。CIPの同一性試験は、リテンションタイム基準(シプロフロキサシンサンプルのピークリテンションタイムは、標準品のピークリテンションタイムから0.5分以内でなければならない)、およびUVスペクトル基準(シプロフロキサシンサンプルのUVスペクトルは、278±2nmの吸収ピークを有する)から構成された。シプロフロキサシン含量は、標準品を対照に求め、また純度は面積正規化法により計算した。シプロフロキサシン含量は、1カプセル当たりのシプロフロキサシンについて、その目標平均含量(目標値=32.5mg)の90〜110%とする許容基準を有する。EPに規定する、シプロフロキサシンの不純物B、C、およびDについて定量化され、各不純物に関する許容基準として≦0.50%が適用された。
CIPの水分含量を、カール・フィッシャー電量滴定法を用いて測定した。カール・フィッシャー・システムは、Metrohmモデル831カール・フィッシャー・クーロメーター、モデル800Dosino、およびモデル774オーブン・サンプル・プロセッサーから構成される。サンプルを分析するために、オートサンプラーは、サンプルバイアルを140℃のオーブンに挿入する。乾燥窒素(60±5mL/分)は加熱サンプル上を流れて、蒸発した水分を滴定セルに運び、ここで水分は乾燥したカール・フィッシャー試薬と反応する。相対的停止ドリフトが5μg/分に達すると、滴定は終了する。システムの性能は、水分含量が未知のサンプルの測定前後に、標準サンプルであるクエン酸カリウム一水和物(Hydranal(登録商標)−水分標準KFオーブン、Riedel de Haen、34748)の水分含量を測定することによりチェックされた。各サンプルについて、CIP粉末、10〜70mgを秤量してガラスバイアルに入れ、これをクリンプしてオートサンプラー上に配置した。サンプルは、3回分調製された。KFシステムおよび環境に由来する水分を評価するために、3つの空の「ブランク」バイアルを、粉末サンプルの調製に使用したときと同一の条件(RHおよび温度)で調製した。ブランクの平均水分含量を、各サンプルについて得られた滴定水分から差し引いた。
フレームイオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより、バルク粉末中の残留パーフルブロンを測定した。CIPバルク粉末中の残留パーフルブロンの割合(%)を、パーフルブロンのUSP標準品に対して求めた。定量限界は0.05%w/wであった。
カプセルと共に粉末の微生物含量が、FDAガイダンス案要求事項および欧州薬局方に適合することを確認するために、微生物限度試験(Microbial Limit Test)(MLT)を実施した。好気性微生物総数、ならびに酵母菌およびカビ類の総数の許容限界を、薬局方フォーラム(Pharmacopeial Forum)第29巻(5)、1733ページで提案されている吸入製剤に関する限度に基づき選択した。Ph.Eur.5.1.4に記載されている気道用途の製剤に関する要求事項に適合するように、グラム陰性菌および腸内細菌(enterobacteriaceae)の許容限界を選択した。USP<61>に基づき、具体的な病原菌に対する許容限界を選択した。
シプロフロキサシン含量は、許容基準内に十分管理されている。全4ロットの純度は、>99.93%に維持され、1つの不純物も0.1%を上回らなかったので、スプレードライプロセスが、原薬の純度に与える影響は無視することができる。シプロフロキサシンの不純物プロファイルは、十分に特徴が把握され、USPおよびEPモノグラフに基づく原薬仕様によって管理されている。不純物B、C、およびDのみが原薬中で検出可能な不純物であり、不純物Cは、シプロフロキサシンの分解物でもある唯一の関連物質である。別の既知のシプロフロキサシン不純物(EおよびF)は、EP<1089>に掲載されているが、シプロフロキサシン原材料または製剤化製品のいずれにおいても存在しなかった。個々の不純物のいずれもが、CIP中に0.1%w/wを超えたレベルで存在しなかった。
工学的粒子は、薬物の水性懸濁液から調製されるので、一次粒子サイズは、ほとんどが原薬の粒子サイズ分布によって制御される。表4に詳記する4ロットの場合、x50は2.4μm〜2.5μmの間であった(分散圧力、2bar)。
パーフルブロンの残留レベルは、試験した3ロットについて定量限界以下(LOQ=0.05%)であり、第4ロットについてLOQのわずか上(0.07%)にある。残留レベルが低いことから、プロセス助剤は、製造プロセスにおいて効果的に除去されていることが示唆される(表4を参照)。
微生物限度試験、酵母菌およびカビ類および特定の病原菌の総数は、すべて乾燥粉末吸引製剤について規定された許容基準の範囲内であった。
CIP−001のエアゾール特性
実施例3に基づき作製されたCIP、3ロットのエアゾール特性は、携帯型受動式乾燥粉末吸入装置(すなわち、図8A〜8Eに示す吸入装置)から得られ、同特性を表5に示す。
放出粉末の平均質量は、一般的に90%w/wよりも大きく、RSD値は一般的に5%未満であった。空気動力学的質量中央径は、約3.6μmで、4.7μm未満のFPFは、名目用量の約60%w/wであった。シプロフロキサシンベタインを32.5mgの用量で吸引した後の、得られた4.7μm未満のFPDは、3回未満のパフ、または2回未満のパフ、例えば1回のパフで、治療用量をもたらすと予想された。
CIP処方の保存安定性
実施例3で得られたCIP処方の、25℃/60%RH(表6)、および40℃/75%RH(表7)における保存安定性を以下に詳記する。CIPは、25℃/60%RHで30ヶ月間、および40℃/75%RHでは6ヶ月間以上、優れた物理的、化学的安定性、およびエアゾール安定性を示す。
シプロフロキサシン含量、シプロフロキサシン純度、水分含量、放出粉末平均質量および%RSD、 空気動力学的質量中央径、ならびに4.7μm未満の微粒子用量について、いずれの保管条件下においても顕著な変化は認められなかった。
処方組成物が粉末特性に与える影響
処方の変化がCIP粉末特性に与える影響を表8に示す。実施例3に記載するように粉末は調製された。これらのロットはBuchiスプレードライヤーを用いて製造された。スプレー乾燥法により乾燥された粒子の形態を定性的に評価するために、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた(図5A〜5F)。そのために、サンプルをシリコンウェハー上に取り付け、次にこれをアルミニウム製SEMスタブ上の両面接着カーボンテープ上に取り付けた。取り付けられた粉末は、Denton sputter−coater内で、金−パラジウムを用いて60〜90秒間、75mTorrおよび42mAでスパッターコーティングされた。これにより、コーティング厚さ、約150Åが得られた。画像は、画像合成用の二次電子を捕捉するためのEverhart−Thomley検出器を用いながら、高真空モードで稼働するLaB源を利用したPhilips XL30 ESEMにより撮影された。加速電圧は20kVに設定され、ビーム電流は33mAにセットされた。作動距離は5〜6mmの間であった。微粉化されたシプロフロキサシンベタインは、扁平な、板状結晶として特徴づけられ、数十ナノメーターから数ミクロンまで幅広いサイズ分布を有する(図4B、4D)。ナノ結晶薬物は、より大きな結晶と共に凝集物として存在する。板状結晶では接触面積が大きいので、粒子間凝集力が強くなる。これとは対照的に、スプレー乾燥法により乾燥されたCIPバルク粉末は、より球状の外観を呈し、ナノサイズの粒子はより少ない。PulmoSphereプロセスを用いて製造された粒子は、多孔性表面モルホロジーの特徴を有することが、明確に裏付けられる(図4A、4C、5A〜5F)。薬物の積載量が50%〜70%w/w変化しても、バルク粉末の特性(MMS、純度、水分含量)は変化しない。
上記処方のエアゾール特性を、表9に詳記する。薬物積載量が変化しても(最大70%の薬物含量を含む)、ED、MMAD、およびFPFの望ましいエアゾール特性に影響はなかった。したがって、50または60または70%w/wの薬物積載量は、本発明の好適範囲内にある。
微粉化されたシプロフロキサシンベタインおよびCIPの物理化学特性
微粉化シプロフロキサシンベタインを、水中油型エマルジョンの連続相中に分散し、これを含む複合原料を、スプレー乾燥することによって調製されたCIP粉末の表面特性を、表10に示す。微粉化した薬物と比較して、リン脂質でコーティングされた粒子では、比表面積、空隙率、および皺度Svの顕著な増加が認められた。表面粗さおよび/または空隙率が増大すれば、工学的粒子の粒子間凝集力は低減するはずであり、これによって粉末の流動化および分散性が改善する。これは、最終的には、優れたエアゾール性能(高放出質量、低RSD)をさらに顕著なものとし、肺を標的とするエアゾールのターゲティングをさらに改善する。
表面粗さが粉末分散に与える影響
粉末処方の相対分散性は、レーザー回折法を用いて、RODOS分散装置内の分散圧力を変化させることにより試験可能である。微粉化シプロフロキサシンベタイン、およびCIPバルク粉末の比較を図6に示す。両曲線は、分散圧力が約4barのとき、2.3〜2.4μmのx50に収束するが、低めの分散圧力では、両曲線は顕著に乖離する。分散圧力が0.2barの時の微粉化シプロフロキサシンベタインのx50は、3.5μmであるが、一方、スプレー乾燥法により乾燥されたCIP粉末のx50は、2.9μmである。低分散圧力および高分散圧力の時に測定された各中央粒子サイズの比は、粉末の分散性を表わす指標である。本試験では、分散性インデックス、δは、スプレー乾燥法により乾燥された粉末について0.78であるのに対して、微粉化薬物については0.67に等しい。したがって、スプレー乾燥法により乾燥されたCIP粉末は、微粉化薬物が分散する時よりもかなり低いエネルギーで分散する。
PFOB体積分率がCIP粉末特性に与える影響
PFOB体積分率がCIP粉末特性に与える影響を、表12および表13に示す。粉末は、実施例3に記載されている通りに、100gのバッチサイズで調製され、スプレードライ原料組成は、表11に記載されている。これらのロットは、実施例3に記載されているニロモービルマイナー・スプレードライヤー上で製造され、実施例4および5と同様の方法で試験された。
シプロフロキサシンベタインのスプレー乾燥法により乾燥された原料中で、PFOB体積分率が、4.5%〜9%w/v変化しても、一次粒子サイズ(x10、x50、およびx90)(表12)、およびシプロフロキサシン含量、またはEM、MMAD、およびFPFの望ましいエアゾール特性に変化はなかった(表13)。ただし、PFOBが存在しない場合には、PFOBは、シプロフロキサシンベタインスプレー乾燥された粒子上に、多孔性のDSPCコーティング物を形成しないので、一次粒子サイズ特性はより小型の粒子へとシフトする(表12)。さらに、スプレードライ原料中にPFOBが存在しないと、充填されたカプセルから粒子が流動化および分散する効率が低下する(表13)。粉末の流動性が低下すると、そのような低下は、細孔形成剤を含むかかる処方と比較して、放出平均質量の低下(93〜94%に対して82%)、および放出質量変動の増大(RSD≦1.0%に対して、RSD=9.4%)を反映する。細孔形成剤を含まない処方では、粉末の分散性が低下するが、これはMMADの増大、およびFPFの低下を反映する。用いた試験条件下(Q=60LPM、V=2L)では、かかる相違は比較的小さくみえるが、一部のCF患者について予想される低流速、低吸引容積の場合には、処方間の相違の程度はさらに助長される。したがって、本発明の範囲内では、PFOB体積分率が4.5%w/vより大きいCIPスプレードライ原料が好ましい。
シプロフロキサシンベタイン結晶サイズが、スプレー乾燥法により乾燥されたCIPのエアゾール特性に与える影響
微粉化シプロフロキサシンベタインの粒子サイズの分布が、スプレー乾燥法による乾燥で得られたCIP粉末のエアゾール特性に与える影響を表14に示す。
シプロフロキサシン薬物結晶サイズが増加すると共に、顕著なMMADの増加、ならびにFPFおよびFPDの減少が認められる。特筆すべきこととして、粉末の流動性は、薬物の結晶を被覆するリン脂質のコーティング物が有する多孔性によって促進されるが、かかる流動性は、結晶サイズによらず維持されていることが認められる。
吸引されたCIPの薬物動態
シプロフロキサシンの薬物動態は、健常志願者およびCF患者を対象として、CIPの単回用量を吸引した後に試験された。血漿および痰の薬物動態を、表15および表16にそれぞれ示す。ラットにおける肺半減期が1時間未満であるシプロフロキサシンHClを吸引した場合と比較して、CIPでは肺滞留時間が延長している(痰半減期=5.5時間〜9.0時間、ただし、用量に依存する)。全身的には、きわめて低いシプロフロキサシンレベルが認められた。
経口的に投与されたシプロフロキサシンと比較して、吸引によるCIPでは、肺を標的とするターゲティングが改善していることを図7に示す。肺のターゲティングは、痰AUC/血漿AUCの比として表現されるが、かかるターゲティングは、吸引CIPでは250倍以上高い。
本発明は、その具体的な好ましい特定形態について極めて詳細に記載されてきたが、他の特定形態も可能であり、提示したかかる特定形態の代替物、置換物、および等価物は、仕様を理解し、図面を研究すれば、当技術分野の熟練者には明白となるであろう。また、本明細書の特定形態の様々な特徴は、本発明のさらなる特定形態を提供するために、様々な方法で併用可能である。さらに、記載内容を明確にする目的で、具体的な用語が用いられているが、本発明を制限するものではない。したがって、添付された特許請求の範囲のすべては、本明細書に含まれる好ましい特定形態の説明に限定されるべきではなく、本発明の真の精神および範囲に収まるような、かかる代替物、置換物、および等価物のすべてを含むべきである。

Claims (5)

  1. 肺に投与するための単位用量容器内にある粉末組成物であって、
    前記粉末組成物は50%w/w〜70%w/wのシプロフロキサシンベタイン3.5水和物および添加剤を含む粒子を含み、ここで、前記添加剤は、リン脂質を含み、該リン脂質は、前記粒子中に30wt%〜50wt%の量で存在し、
    前記粒子が1μm〜5μmの空気動力学的質量中央径を有し、
    前記シプロフロキサシンベタイン3.5水和物は少なくとも1.5時間の肺中半減期を有し、
    前記組成物は、8m /g〜20m /gの間の比表面積、5%〜20%の間の空隙率及び3〜10の皺度を有し、かつ、
    前記単位用量容器内の前記組成物の質量が、少なくとも10mgの用量を肺に提供するのに十分な量である、
    粉末組成物。
  2. 受動的乾燥粉末吸入装置内で、少なくとも50%の放出用量を提供する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記単位用量容器内の組成物が、少なくとも16mgのシプロフロキサシンベタインを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記添加剤が、金属イオンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記粒子が0.6g/cm未満のかさ密度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
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