以下に添付図面を参照して、この発明にかかる、ぱちんこ遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、この発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、ぱちんこ遊技機の一例を示す正面図である。図1に示すように、ぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。
遊技領域103には、複数の釘が設けられており、この釘によって遊技球は不特定な方向に向けて落下する。また、遊技領域103において遊技球の落下途中となる位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や各種入賞口(始動口や大入賞口など)が配設されている。
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD)などが用いられる。画像表示部104の下方には、第1始動口105が配設されており、画像表示部104の下方には第2始動口106が配設されている。第1始動口105および第2始動口106は、始動入賞させるための入賞口である。
第2始動口106の近傍には、電動チューリップ107が設けられている。電動チューリップ107は、遊技球を第2始動口106へ入賞しにくくさせる閉状態(閉口された状態)と、閉状態よりも入賞しやすくさせる開状態(開口された状態)とを取る。電動チューリップ107は、画像表示部104の左側領域に配置された左ゲート108aまたは画像表示部104の右下領域に配設された右ゲート108bを遊技球が通過したことによりおこなわれる普通図柄抽選の抽選結果に基づいて開口する。
電動チューリップ107は、電動チューリップ107が開放しやすくなる時短付き遊技状態では、開放時間が長くなり、第2始動口106に遊技球をより導きやすくする。時短付き遊技状態は、所定の大当たり終了後に設定される遊技状態である。本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100は、通常遊技状態において遊技者は左打ちをして第1始動口105を狙って遊技する一方、時短付き遊技状態や大当たり遊技状態において遊技者は右打ちをして第2始動口106を狙って遊技するタイプの遊技機である。
具体的には、遊技者が左打ちをすると、打ち出された遊技球は、矢印130に示すように遊技領域103の左側を流下する。一方、遊技者が右打ちをすると、打ち出された遊技球は、矢印140に示すように遊技領域103の右側を流下する。右打ちによって打ち出された遊技球は、第1始動口105の側方に設けられている固定役物141や、不図示の釘の配置により、第1始動口105にはほとんど入賞しないようになっている。
右ゲート108bの下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり遊技状態となったときに間欠的に開放され、遊技球の入賞により所定個数(例えば15個)の賞球を払い出すための入賞口である。画像表示部104の側部や下方には普通入賞口110が配設されている。普通入賞口110は、遊技球の入賞により所定個数(例えば10個)の賞球を払い出すための入賞口である。遊技領域103の最下部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口111が設けられている。
遊技盤101の右下部分には、特別図柄が表示される特別図柄表示部112が配置されている。特別図柄表示部112は、第1特別図柄(以下「特図1」という)が表示される特図1表示部と、第2特別図柄(以下「特図2」という)が表示される特図2表示部とを有する。
遊技球が第1始動口105へ入賞すると第1当たり抽選がおこなわれる。特図1表示部は、特図1を変動表示するとともに、第1当たり抽選の抽選結果を表す図柄で停止表示する。遊技球が第2始動口106へ入賞すると第2当たり抽選がおこなわれる。特図2表示部は、特図2を変動表示するとともに、第2当たり抽選の抽選結果を表す図柄で停止表示する。
また、遊技盤101の右下部分には、普通図柄が表示される普通図柄表示部113が配置されている。ここで、普通図柄は、普通図柄抽選の抽選結果を表す図柄である。普通図柄抽選は、電動チューリップ107を開状態とするか否かの抽選である。特別図柄表示部112および普通図柄表示部113の左側には、特別図柄または普通図柄に対する保留球数を表示する保留球表示部114が配置されている。保留球は、特別図柄または普通図柄の変動中に入賞した遊技球を保留状態として保持したものである。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材115が設けられている。枠部材115において遊技領域103の上側および下側となる2辺には、複数のランプからなる演出ライト部(枠ランプ)116が設けられている。枠部材115の下部位置には、操作ハンドル117が配置されている。操作ハンドル117は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材118を備えている。発射指示部材118は、操作ハンドル117の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられており、遊技者によって操作されている場合に、発射部に遊技球を発射させる。
枠部材115において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付ける演出ボタン119が設けられている。また、枠部材115において、演出ボタン119のとなりには、十字キー120が設けられている。さらに、枠部材115には、音声を出力するスピーカが組み込まれている。
また、図示を省略するが、例えば画像表示部104の周囲などの所定位置には、演出役物が設けられている。この演出役物は、ソレノイドやモータに接続されており、ソレノイドやモータの駆動によって駆動される。
なお、ぱちんこ遊技機100において、第1始動口105および第2始動口106の配置位置は、上述した配置位置に限らない。例えば、第1始動口105を右側領域に配置し、第2始動口106および電動チューリップ107を左打ちによって入賞可能な領域に配置するようにしてもよい。また、第1始動口105、第2始動口106および大入賞口109をそれぞれ画像表示部104の下部領域に近接配置するようにし、遊技状態に応じて打ち方が異なるようにせず、すなわち、常時左打ちによって遊技がおこなわれるようにしてもよい。
(ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成)
次に、図2を用いて、ぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成について説明する。図2は、ぱちんこ遊技機100の制御部の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、ぱちんこ遊技機100の制御部200は、遊技の進行を制御する主制御部201と、演出内容を制御する演出制御部202と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部203とを備えている。以下にそれぞれの制御部の構成について詳細に説明する。
(1.主制御部)
主制御部201は、CPU(Central Processing Unit)211と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random Access Memory)213と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
主制御部201は、CPU211がRAM213をワークエリアとして使用しながら、ROM212に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。具体的には、主制御部201は、当たり抽選や普通図柄抽選などのほか、遊技状態の設定などをおこない、遊技の進行を制御する。主制御部201は、主制御基板によって実現される。
CPU211は、予めROM212に記憶された各種プログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM212には、普通図柄判定プログラム、普通図柄変動プログラム、大当たり判定プログラム、特別図柄変動プログラム、遊技状態設定プログラム、などが記憶されている。
普通図柄判定プログラムは、ゲートSW223によって、遊技球が左ゲート108aまたは右ゲート108bを通過したことが検出された場合、電動チューリップ107を開放させるか否かの普通図柄抽選をおこなう。普通図柄変動プログラムは、普通図柄抽選の抽選結果を普通図柄として変動/停止させるプログラムである。
大当たり判定プログラムは、第1始動口SW221または第2始動口SW222によって遊技球の入賞が検出された場合に、大当たり判定をおこなうプログラムである。大当たりには、大入賞口109の開放時間が長く獲得出玉の見込める長当たりや、大入賞口109の開放時間が短く獲得出玉の見込めない短当たりがある。第2始動口106への入賞球に対する大当たりは、第1始動口105への入賞球に対する大当たりよりも、遊技者にとって有利な当たり(長当たり)に当選しやすくなっている。
特別図柄変動プログラムは、当たり判定の判定結果を特別図柄として変動停止させるプログラムである。特1保留球に対する当たり判定および当たり図柄判定の判定結果は、特図1表示部112aの特図1として変動停止される一方、特2保留球に対する当たり判定および当たり図柄判定の判定結果は、特図2表示部112bの特図2として変動停止される。特2保留球に対する特別図柄の変動は、特1保留球よりも優先しておこなわれるようになっている。
遊技状態設定プログラムは、当たり図柄に応じて、当たり終了後の遊技状態を、低確率遊技状態または高確率遊技状態に設定するとともに、電チューサポートを付加する時短付き遊技状態または電チューサポートを付加しない時短無し遊技状態を設定するプログラムである。電チューサポートは、普通図柄の当選確率を高くして普通図柄の変動時間を短くするとともに、電動チューリップ107の開放時間を長くする機能である。時短付き遊技状態では右打ちによって遊技がおこなわれ、時短無し遊技状態では左打ちによって遊技がおこなわれる。
低確率遊技状態は、大当たりに当選しにくい遊技状態である。高確率遊技状態は、低確率遊技状態に比べて、10倍程度大当たりに当選しやすくなっている。ここで、大当たり、および大当たり後の遊技状態について、具体例を挙げて説明しておく。大当たりには、確変長当たり、通常長当たり、確変短当たり(突確短当たり)がある。
確変長当たりの場合、大入賞口109の開放時間が長い大当たり終了後に、時短遊技が付加される高確率遊技状態(確変遊技状態)に移行する。通常長当たりの場合、大入賞口109の開放時間が長い大当たり終了後に、時短遊技が付加される低確率遊技状態(時短遊技状態)に移行する。突確短当たりの場合、大入賞口109の開放時間が短い大当たり終了後に、時短遊技が付加される高確率遊技状態(確変遊技状態)に移行する。
主制御部201には、遊技球を検出する各種スイッチ(SW)、大入賞口109などの電動役物を開閉動作させるためのソレノイド、上記の特図1表示部112a、特図2表示部112b、普通図柄表示部113、保留球表示部114などが接続される。
具体的に、上記の各種SWとしては、第1始動口105へ入賞した遊技球を検出する第1始動口SW221と、第2始動口106へ入賞した遊技球を検出する第2始動口SW222と、ゲート108を通過した遊技球を検出するゲートSW223と、大入賞口109へ入賞した遊技球を検出する大入賞口SW224と、普通入賞口110へ入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW225とが主制御部201に接続される。
それぞれのSW(221〜225)によって検出された検出結果は主制御部201へ入力される。これらのSWには、近接スイッチなどが用いられる。なお、普通入賞口SW225は、普通入賞口110の配置位置別に複数個設けてもよい。
また、上記のソレノイドとしては、電動チューリップ107を開閉動作させる電動チューリップソレノイド231と、大入賞口109を開閉動作させる大入賞口ソレノイド232とが主制御部201に接続される。主制御部201は、それぞれのソレノイド(231,232)に対する駆動を制御する。
さらに、主制御部201は、演出制御部202および賞球制御部203にも接続され、それぞれの制御部に対して各種コマンドを出力する。例えば、主制御部201は、演出制御部202に対しては変動開始コマンド、変動停止コマンドなどのコマンドを出力する。また、主制御部201は、賞球制御部203に対しては賞球コマンドを出力する。賞球コマンドには、払い出させる賞球の個数を示す情報などが含まれている。
(2.演出制御部)
演出制御部202は、演出統括部202aと、画像・音声制御部202bと、ランプ制御部202cとによって構成され、ぱちんこ遊技機100の演出内容を制御する機能を有する。演出統括部202aは、主制御部201から受信した各種コマンドに基づいて演出制御部202全体を統括する機能を有している。画像・音声制御部202bは、演出統括部202aからの指示内容に基づいて画像および音声の制御をおこなう機能を有している。また、ランプ制御部202cは、遊技盤101および枠部材115などに設けられたランプの点灯を制御する機能を有している。
(2−1.演出統括部)
まず、演出統括部202aの構成について説明する。演出統括部202aは、CPU241と、ROM242と、RAM243と、リアルタイムクロック(以下「RTC」という)244と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU241は、予めROM242に記憶された各種プログラムに基づき、演出内容を決定する処理を実行する。ROM242には、CPU241が上記の処理を実行するために必要となる各種プログラムが記憶されている。RAM243は、CPU241のワークエリアとして機能する。CPU241が各種プログラムを実行することによりRAM243にセットされたデータは、所定のタイミングにて画像・音声制御部202bおよびランプ制御部202cに対して出力される。
RTC244は、実時間を計時出力する。RTC244は、ぱちんこ遊技機100の電源が遮断されているときもバックアップ電源(不図示)により計時動作を継続する。また、演出統括部202aには、演出ボタン119や十字キー120が接続されており、遊技者から操作されたデータまたは選択されたキーに対応するデータが入力される。
(2−2.画像・音声制御部)
次に、画像・音声制御部202bの構成について説明する。画像・音声制御部202bは、CPU251と、ROM252と、RAM253と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。
CPU251は、画像や音声の生成および出力処理を実行する。ROM252には、画像や音声の生成および出力処理のためのプログラム、当該処理に必要となる背景画像・演出図柄画像・キャラクタ画像など各種画像データや各種音声データなどが記憶されている。RAM253は、CPU251のワークエリアとして機能し、画像表示部104に表示させる画像データやスピーカ254から出力させる音声データが一時的に格納される。
すなわち、画像・音声制御部202bは、CPU251がRAM253をワークエリアとして使用しながら、ROM252に記憶された各種プログラムを実行することによって、演出統括部202aからの指示に基づいて画像および音声の制御をおこなうように機能する。
(2−3.ランプ制御部)
次に、ランプ制御部202cの構成について説明する。ランプ制御部202cは、CPU261と、ROM262と、RAM263と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU261は、ランプを点灯させる処理などを実行する。ROM262には、上記の処理を実行するために必要となる各種プログラム、当該処理に必要となるランプ点灯に用いる制御データなどが記憶されている。RAM263は、CPU261のワークエリアとして機能する。ランプ制御部202cは、演出ライト部(枠ランプ)116と、盤ランプ264と演出役物265とに接続され、点灯制御するデータや動作制御するデータを出力する。
(3.賞球制御部)
次に、賞球制御部203の構成について説明する。賞球制御部203は、CPU281と、ROM282と、RAM283と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される。CPU281は、払い出す賞球を制御する賞球制御処理を実行する。ROM282には、当該処理に必要となるプログラムなどが記憶されている。RAM283は、CPU281のワークエリアとして機能する。
また、賞球制御部203は、払出部(払出駆動モータ)291と、発射部292と、定位置検出SW293と、払出球検出SW294と、球有り検出SW295と、満タン検出SW296と接続される。
賞球制御部203は、払出部291に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータからなる。具体的には、賞球制御部203は、払出部291に対して各入賞口(第1始動口105、第2始動口106、大入賞口109、普通入賞口110)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
また、賞球制御部203は、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出して遊技球の発射を制御する。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイド等を備える。賞球制御部203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
また、この賞球制御部203には、払い出す遊技球の状態を検出する各所の検出部が接続され、賞球のための払い出し状態を検出する。これらの検出部としては、定位置検出SW293、払出球検出SW294、球有り検出SW295、満タン検出SW296等がある。例えば、賞球制御部203は、賞球制御基板によってその機能を実現する。
また、主制御部201には、盤用外部情報端子基板297が接続されており、主制御部201が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。賞球制御部203についても、枠用外部情報端子基板298が接続されており、賞球制御部203が実行処理した各種情報を外部に出力することができる。
上記構成の主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出制御基板、賞球制御基板)に設けられるが、これに限らず、例えば、賞球制御部203は、主制御部201と同一のプリント基板上に設けることもできる。
(ぱちんこ遊技機の主制御部がおこなう処理)
次に、図3および図4を用いて、ぱちんこ遊技機100の主制御部201がおこなう処理について説明する。図3は、ぱちんこ遊技機100の主制御部201がおこなう普通図柄処理を示すフローチャートである。
図3において、主制御部201のCPU211は、遊技球が左ゲート108aまたは右ゲート108bを通過することによりゲートSW223がONになったか否かを判定する(ステップS301)。ゲートSW223がOFFの場合(ステップS301:No)、そのまま処理を終了する。ゲートSW223がONの場合(ステップS301:Yes)、普通図柄抽選をおこなう(ステップS302)。
そして、普通図柄の変動を開始し(ステップS303)、変動停止となったか否かを判定する(ステップS304)。変動停止となるまで待機し(ステップS304:Noのループ)、変動が停止すると(ステップS304:Yes)、当選したか否かを判定する(ステップS305)。ハズレである場合(ステップS305:No)、そのまま処理を終了する。
当たりである場合(ステップS305:Yes)、現在の遊技状態が時短付き遊技状態であるか否かを判定する(ステップS306)。時短付き遊技状態である場合(ステップS306:Yes)、電動チューリップ107を長開放し(ステップS307)、処理を終了する。長開放は、例えば1.2秒の開放時間である。ステップS306において、現在の遊技状態が時短付き遊技状態ではない場合(ステップS306:No)、すなわち、通常遊技状態である場合、長開放当たりであるか否かを判定する(ステップS308)。
長開放当たりである場合(ステップS308:Yes)、ステップS307に移行する。長開放当たりではない場合(ステップS308:No)、電動チューリップ107を短開放し(ステップS309)、処理を終了する。短開放は、例えば0.1秒の開放時間である。
本実施の形態においては、ステップS308の処理をおこなうようにし、すなわち、通常遊技状態における当たりに長開放当たりまたは短開放当たりを取り得るようにして、通常遊技状態においても第2始動口106への入賞による遊技者にとって有利な大当たり判定をおこなうことを可能にすることにより、遊技の興趣を高めているが、このような構成とせずに、通常遊技状態における当たりを全て短開放当たりとすることも可能である。通常遊技状態における当たりを全て短開放当たりとする場合には、ステップS308の処理をおこなわないようにすればよい。
また、本フローチャートでは、時短付き遊技状態において電動チューリップ107が開放されやすくなる点について、電動チューリップ107を長開放させる処理(ステップS307)のみを示しているが、この処理のほかにも、時短付き遊技状態では、普通図柄の変動時間を短くしたり、普通図柄の当選確率を高めたりする。
図4は、ぱちんこ遊技機100の主制御部201がおこなう特別図柄処理を示すフローチャートである。図4において、主制御部201のCPU211は、遊技球が第1始動口105または第2始動口106に入賞することにより、始動口SW221,222がONになったか否かを判定する(ステップS401)。始動口SW221,222がOFFの場合(ステップS401:No)、そのまま処理を終了する。始動口SW221,222がONの場合(ステップS401:Yes)、第2始動口106への入賞であるか否かを判定する(ステップS402)。すなわち、第2始動口SW222がONであるか否かを判定する。
第2始動口106への入賞である場合(ステップS402:Yes)、第2始動口用の大当たり判定をおこなう(ステップS403)。第2始動口106への入賞ではない場合(ステップS402:No)、第1始動口用の大当たり判定をおこなう(ステップS404)。第2始動口用の大当たり判定は、第1始動口用の大当たり判定に比べて遊技者にとって有利な大当たりに当選しやすくなっている。
そして、特別図柄の変動を開始し(ステップS405)、変動停止となったか否かを判定する(ステップS406)。変動停止となるまで待機し(ステップS406:Noのループ)、変動が停止すると(ステップS406:Yes)、大当たりであるか否かを判定する(ステップS407)。ハズレである場合(ステップS407:No)、そのまま処理を終了する。大当たりである場合(ステップS407:Yes)、大入賞口109を開放し(ステップS408)、処理を終了する。
図3および図4に示したように、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100は、時短付き遊技状態においては、第2始動口106への入賞による遊技者にとって有利な大当たり判定がおこなわれるものである。時短付き遊技状態においては、遊技球がゲート108(特に右ゲート108b)を通過しないことには、第2始動口106への入賞が見込めず、遊技の興趣が低下することとなる。
例えば、確変遊技状態(高確率の時短付き遊技状態)において第2始動口106への入賞による特2保留球がなくなり、第1始動口105への入賞による特1保留球がある場合、特1保留球による大当たり判定によって大当たりに当選して遊技者にとって不利な大当たりに当選しやすくなる。特に、大当たり当選確率の低い、いわゆるアマデジと呼ばれる機種では、大当たりに当選しやすいため、確変遊技状態において特1保留球によって大当たり判定がおこなわれた場合、遊技者にとって不利な大当たりに当選しやすくなっている。
このように、右ゲート108bを通過しないことには、第2始動口106への入賞が見込めず、遊技の興趣が低下することとなる。本実施の形態では、遊技球が右ゲート108bを期待通りの割合で通過するように、命釘の近傍に規制部材が設けられている。以下に、規制部材およびゲート108a,108b(以下、単にゲート108という)の詳細について説明する。
(規制部材およびゲートの詳細)
次に、図5−1〜図7−2を用いて、規制部材およびゲートの詳細について説明する。図5−1は、ゲート108の詳細を示す斜視図である。図5−2は、ゲート108および規制部材の詳細を示す正面図である。図6は、ゲート108および規制部材の詳細を示す斜視図である。図7−1は、図6のA方向から見た上面図である。図7−2は、図6のB方向から見た側面図である。
図5−1において、ゲート108は、基部521の表面に対して直行する方向に設けられた第1突設部522内に遊技球が通過する通過孔523を設けている。基部521から第1突設部522とは逆方向に伸びる第2突設部524は、遊技盤101に埋め込まれる。基部521に設けられている留付け孔525には、ゲート108を遊技盤101に保持させるための留付け部材が挿入される。
図5−2〜図7−2において、ゲート108の直上には、遊技球に干渉することにより遊技球をゲートに導く一対の命釘500が設けられている。ここで直上とは、遊技球がゲート108を通過する直前に遊技球に対して干渉する位置であり、ゲート108への通過に最も大きく影響を与える位置である。
命釘500の間には、命釘500の水平方向の傾倒を規制する水平規制部510が設けられている。また、命釘500の下方には、本発明の規制部材に相当する垂直規制部530が設けられている。命釘500は、少なくとも水平規制部510の幅以上の間隔をもって、配置される。水平規制部510は、各命釘500の根元部分に近接し、命釘500に対して、各命釘500同士が対向する方向への傾倒のみを規制している。水平規制部510は、所定の厚みを有するとともに一対の命釘500の間に配置されている。
水平規制部510は、ゲート108と一体化された板状部材からなり、一方の側部および他方の側部がそれぞれ各命釘500に近接し、各命釘500の対向する方向(水平方向)への傾倒を規制する。水平規制部510は、具体的には、ゲート108の基部521の側面に、上方向に向けて突設されている。なお、水平規制部510は、ゲート108と一体化したものでなく、遊技盤101上に取り付けるようにしてもよい。
水平規制部510は、金属製、木製、樹脂製など、いずれであってもよいが、命釘500の傾倒を規制するという観点から、一定の強度のあるものとしている。所定の厚みとは、命釘500に対して一定量以上の傾倒を規制できる程度の厚みであるとともに、流下する遊技球の妨げにならない程度の厚みである。水平規制部510には、矢印の装飾が施され、遊技球のゲート108への通過を指し示している。水平規制部510に対する装飾は、遊技盤101に対する装飾と同様の装飾としてもよい。
図6および図7−1に示すように、水平規制部510は、各命釘500間の遊技球が導かれる方向から見た断面の厚みが側部よりも中央部の方が薄い湾曲形状を有している。側部の厚みを確保することにより、命釘500の根元部分に当接可能な領域を大きくし、命釘500の傾倒に対する規制をより安定させている。また、中央部を薄くすることにより、流下する遊技球の妨げになることを最小限にしている。なお、このような湾曲形状とせずに、所定の厚みであれば、断面を平にした形状であってもよい。
さらに、図7−1に示すように、水平規制部510は、命釘500と所定量の間隙αをもって近接している。ここで、一般的に釘を調整する際の釘の傾倒について補足する。釘の角度を変更させる場合、釘には元に戻ろうとする力が作用するため、設定しようとする所望の角度よりもさらに釘を傾倒させなければならない。具体的には、例えば、遊技盤101の鉛直方向に対する釘の角度を例えば3°に設定しようとする場合、3°よりもさらに大きい5°まで一旦傾倒させなければならない。すなわち、命釘500と水平規制部510との間に間隙αを設けたからといって、釘調整時に命釘500を水平規制部510に当接させたとしても、当接した状態を保持することはない。
本実施の形態において、間隙αは、遊技の興趣を損なわない程度に、すなわち、ゲート108近傍を流下する遊技球が一定の割合でゲート108を通過することが見込める程度に、命釘500に対して若干の命釘500が狭まる方向への傾倒を許容するものである。これにより、遊技店側での微量な釘調整を可能にしている。なお、これに限らず、釘調整によって命釘500が狭まる方向への傾倒を許容しない量の間隙としたり、また、間隙αを取らずに、命釘500と水平規制部510とを当接させたりしてもよい。すなわち、命釘500の間隔を狭くさせる釘締めをおこなうことができないように命釘500と水平規制部510とを近接させてもよい。
次に、本発明の規制部材に相当する垂直規制部530について説明する。図5−2に示すように、一方の命釘(以下「第1釘500a」という)の近傍であり且つ上方に設けられ、遊技球をゲート108またはゲート108を除く領域に導く寄せ釘540が設けられている。垂直規制部530は、ゲート108と一体化して設けられている。垂直規制部530は、具体的には、ゲート108の第1突設部522上に、上方向に向けて突設されている。なお、これに限らず、垂直規制部530は、ゲート108と一体化したものでなく、遊技盤101上に取り付けるようにしてもよい。
また、垂直規制部530は、命釘500(第1釘500aおよび第2釘500b)が下方向へ傾倒することを規制する。垂直規制部530は、少なくとも第1釘500aに対して第1釘500aの下方から近接配置されて、第1釘500aが寄せ釘540から離れる下方向へ傾倒することを規制するものであればよい。
垂直規制部530は、命釘500の側に配置される一方の上端側が下端側に比べて断面の領域が狭くなる形状となっており、流下する遊技球の妨げとならないようにしている。また、下端側が上端側よりも断面の領域が大きい形状であるため、垂直規制部530を高強度に保つことができるようになっている。垂直規制部530は、図示した形状他に限らず、一方の上端側が下端側に比べて断面の領域が狭くなるものであればよく、例えば、凸形状のものやや台形状のものであってもよい。
命釘500同士の間隔は、通常、内寸で11.4mmであるが、本実施の形態では、より安定してゲート108への通過を可能にするため、内寸で12.25mmとしている。垂直規制部530は、金属製、木製、樹脂製など、いずれであってもよいが、命釘500の傾倒を規制するという観点から、一定の強度のあるものとしている。
さらに、図7−2に示すように、垂直規制部530は、命釘500と所定量の間隙βをもって近接している。上述したように、釘の角度を変更させる場合、釘には元に戻ろうとする力が作用するため、設定しようとする所望の傾倒よりもさらに釘を傾倒させなければならない。本実施の形態において、間隙βは、遊技の興趣を損なわない程度に、すなわち、ゲート108近傍を流下する遊技球が一定の割合でゲート108を通過することが見込める程度に、命釘500に対して若干の下方向への傾倒を許容するものである。
これにより、遊技店側での微量な釘調整を可能にしている。なお、これに限らず、釘調整によって命釘500の下方向への傾倒を許容しない量の間隙としたり、また、間隙βを取らずに、命釘500と垂直規制部530とを当接させたりしてもよい。すなわち、命釘500に対する下方向への傾倒をおこなうことができないように命釘500と垂直規制部530とを近接させてもよい。
以上説明したように、本実施の形態では、寄せ釘540の近傍に設けられた第1釘500aに近接配置され、第1釘500aが寄せ釘540から離れる方向へ傾倒することを規制する垂直規制部530を設けたので、第1釘500aの下方向への傾倒を規制することができる。したがって、命釘500に対する視認性を確保し、美観を損ねることなく、遊技者にとって極端に不利になることを抑止することができる。したがって、遊技の興趣が低下することを抑止することができるという効果を奏する。
また、命釘500の下方に垂直規制部530を配置するだけの簡易な構成であるため、低廉化を図ることができるだけでなく、普通入賞口110の直上などにも転用することができる。このように本実施の形態では、命釘500の下方向への傾倒を抑止することができるので、遊技者にとって極端に不利になることを抑止することができ、遊技者は、本来の遊技性を享受することができる。
さらに、垂直規制部530は、命釘500の側に配置される一方の上端側が下端側に比べて断面の領域が狭くなる形状としたので、垂直規制部530の強度を向上させることができ、第1釘500aの傾倒を抑止することができるとともに、流下する遊技球の妨げとなることを抑止することができる。
また、本実施の形態では、垂直規制部530は、ゲート108と一体化されて形成されているので、垂直規制部530や命釘500が通過孔523に対して水平方向にずれることがなく、よって、通過孔523へ遊技球を適正に導くことができる。
本実施の形態において、垂直規制部530は、一定の強度を有するものとして説明したが、ある強度で破壊されるようなものであってもよい。ある強度とは、釘調整時に命釘500が垂直規制部530に当接する際に作用する力である。このように、下方向に命釘500を傾倒させようとすると垂直規制部530が破壊される構成とすることにより、釘調整時における命釘500の下方向への極端な傾倒を抑止することができる。
本実施の形態では、水平規制部510および垂直規制部530を、ゲート108の近傍に設けた場合について説明したが、ゲート108に限らず、第1始動口105、第2始動口106または普通入賞口110などの近傍に設けることも可能である。
特に、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機100は、時短付き遊技状態においては、第2始動口106への入賞による遊技者にとって有利な大当たり判定がおこなわれるものであり、時短遊技状態において獲得出球を増やすタイプのものである。時短付き遊技状態においては、遊技球がゲート108(特に右ゲート108b)を通過しないことには、第2始動口106への入賞が見込めず、遊技の興趣が著しく低下することとなる。
すなわち、第1釘500aが下方へ傾倒したりしていると、第2始動口106への入賞が見込めず、遊技の興趣が著しく低下することとなる。本実施の形態では、期待通りの割合で遊技球を右ゲート108bに通過させることができるため、時短遊技状態における遊技性が損なわれることを抑止することができる。
(垂直規制部の他の一例)
次に、図8および図9を用いて、ゲート108の近傍に設けられる垂直規制部の他の一例について説明する。図8は、ゲート108の近傍に設けられる垂直規制部の他の一例を示す説明図(その1)である。図9は、ゲート108の近傍に設けられる垂直規制部の他の一例を示す説明図(その2)である。ここで説明する一例は、垂直規制部の命釘500に近接する領域のみが上述した図5−1〜図7−2に示した垂直規制部530と異なる。図8に示す垂直規制部800は、命釘500の根元部分のみに近接配置されている。また、図9に示す垂直規制部900は、命釘500の頭部付近に近接配置されている。
このような垂直規制部800または垂直規制部900を用いたとしても、上述した垂直規制部530(図5−2参照)を用いた場合と同様の効果を得ることができる。また、遊技球に干渉するおそれのある面積を少なくすることができ、遊技球の挙動を、垂直規制部800または垂直規制部900を用いない場合と同等の挙動とすることができる。
本実施の形態においては、一対の命釘500が横方向に並んで配置されている場合について説明したが、ゲート108などの導入部の上方に一対の命釘が縦方向に並んで配置されている場合であっても、本発明を適用することができる。具体的には、垂直規制部530、800,900を、少なくとも第1釘500aに近接配置させ、第1釘500aが寄せ釘から離れる方向へ傾倒することを規制するようにすればよい。