JP5725215B2 - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、特定構造のカルボン酸エステルを含有した非水系電解液を有し、上限充電電圧が4.20Vを超えた非水系電解液二次電池が開示されており、カルボン酸エステルの含有量が非水系電解液に対して、0.5重量%〜30重量%であることが好ましいと記載されている。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、充電終了時の電池端子間開路電圧を高めることができ、且つ、充放電サイクルに対しても容量劣化の少ないリチウム二次電池を提供することを目的とする。
さらに、該環状エステルが、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項3)。
また該鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項4)。
また、該炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、1,2−ジフルオロビニレンカーボネート、1−フルオロ−2−メチルビニレンカーボネート、1−フルオロ−2−フェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,1−ジビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−フェニル−2−ビニルエチレンカーボネート、及び1−フルオロ−2−ビニルエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項5)。
更に、該鎖状カーボネートの含有割合が50重量%以上65重量%未満であることが好ましい(請求項6)。
このとき、該電池端子間開路電圧が、4.3V以上であることが好ましい(請求項8)。
また、該正極がリチウムニッケル含有遷移金属酸化物を活物質として含有した正極であることが好ましい(請求項9)。
本発明のリチウム二次電池に使用される非水系電解液(以下適宜、「本発明における非水系電解液」ともいう。)は、電解質及び溶媒を含有し、該溶媒として炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネート、環状エステル、及び鎖状カーボネートを含有する。また、該電解質を除いた成分中に占める該環状カーボネートの含有割合が1重量%以上28重量%以下であり、該環状エステルの含有割合が1重量%以上40重量%以下であり、該鎖状カーボネートの含有割合が50重量%以上95重量%以下であることを特徴とする。
[1−1.炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネート]
本発明にかかる炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルエチレンカーボネート、ジエチルエチレンカーボネート、モノプロピルエチレンカーボネート、ジプロピルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジフェニルエチレンカーボネート、カテコールカーボネートなどのカーボネート類;モノフルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、トリクロロエチレンカーボネート、テトラクロロエチレンカーボネート、モノクロロメチルエチレンカーボネート、トリクロロメチルエチレンカーボネートなどのハロゲン置換カーボネート類;が挙げられる。
さらにはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びモノフルオロエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが、サイクル特性が向上するために特に好ましい。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
本発明にかかる環状エステルとしては、エステル基を有する環状化合物である限り任意であるが、炭素−炭素不飽和結合を有しない環状エステルが好ましい。例えば、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、α−プロピル−γ−ブチロラクトン、α−フェニル−γ−ブチロラクトン、α−フルオロ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、β−エチル−γ−ブチロラクトン、β−プロピル−γ−ブチロラクトン、β−フェニル−γ−ブチロラクトン、β−フルオロ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−ブチロラクトン、γ−プロピル−γ−ブチロラクトン、γ−フェニル−γ−ブチロラクトン、γ−フルオロ−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン誘導体;δ−バレロラクトン、α−メチル−δ−バレロラクトン、α−エチル−δ−バレロラクトン、α−フェニル−δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−エチル−δ−バレロラクトン、β−フェニル−δ−バレロラクトン、γ−メチル−δ−バレロラクトン、γ−エチル−δ−バレロラクトン、γ−フェニル−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−バレロラクトン、δ−フェニル−δ−バレロラクトン等のδ−バレロラクトン誘導体;が挙げられる。
これらの中でもγ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらにはγ−ブチロラクトンであることが、サイクル特性が向上するために特に好ましい。
環状エステルは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
本発明にかかる鎖状カーボネートとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のカーボネート類;ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、メチルトリフルオロメチルカーボネート、ビス(モノフルオロエチル)カーボネート、メチルモノフルオロエチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート等のハロゲン置換カーボネート類;が挙げられる。
これらの中でもジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
鎖状カーボネートは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
本発明における非水系電解液においては、電解質を除いた成分中に占める炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートの含有割合が通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは8重量%以上であり、また通常28重量%以下、好ましくは26重量%以下、さらに好ましくは24重量%以下、特に好ましくは22重量%以下である。
本発明における非水系電解液は、負極上に被膜を形成させ、電池特性を改善させる目的で、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有することが好ましい。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有することによりサイクル特性が向上する。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしては特に制限は無く、任意のものを用いることができる。
なお、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
またさらに、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの分子量は通常80以上であり、また通常250以下、好ましくは150以下である。分子量が大きすぎると非水系電解液に対する溶解性が低下する傾向があり、効果を十分に発現できない可能性がある。
本発明における非水系電解液は前述の炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、及び炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート以外の公知の溶媒を任意に含有することもできる。これらを例示すると、鎖状エステル類、鎖状エーテル類、環状エーテル類、環状アミド類、鎖状アミド類、含硫黄有機溶媒等が挙げられる。中でも高いイオン導電性及び浸透性を発現させる溶媒として、鎖状エステル類、鎖状エーテル類、環状アミド類、含硫黄有機溶媒が好ましい。
また鎖状エーテル類の具体例を挙げると、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
また、環状エーテル類の具体例を挙げると、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
環状アミド類の具体例を挙げると、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
鎖状アミド類の具体例を挙げると、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
さらに、含硫黄有機溶媒の具体例を挙げると、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
本発明における非水系電解液に用いられる電解質について特に制限は無く、リチウム二次電池の電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に用いることができる。通常は、リチウム塩を用いる。
電解質に用いるリチウム塩としては、無機リチウム塩及び有機リチウム塩のいずれを用いても良い。
また、有機リチウム塩の例を挙げると、CF3SO3Li、C4F9SO3Li等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;CF3COOLi等のパーフルオロアルカンカルボン酸塩;(CF3CO)2NLi等のパーフルオロアルカンカルボンイミド塩;(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLi等のパーフルオロアルカンスルホンイミド塩;等の含フッ素有機リチウム塩等が挙げられる。
なお、電解質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、特にLiPF6とLiBF4との併用、あるいは、LiPF6と(CF3SO2)2NLiとの併用は、連続充電特性の改善に効果があるので好ましい。
本発明における非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、非水系電解液の濡れ性、過充電特性等を改善する目的で他の助剤を含有させても良い。
助剤の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸等の酸無水物;酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、酢酸アリル等のカルボン酸エステル;ジフェニルジスルフィド、1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトン、ジメチルスルホン、ジビニルスルホン、ジメチルサルファイト、エチレンサルファイト、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネート、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸−2−プロピニル等のイオウ含有化合物;t−ブチルベンゼン、ビフェニル、o−ターフェニル、4−フルオロビフェニル、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、2,4−ジフルオロアニソール、トリフルオロメチルベンゼン等の芳香族化合物;及びこの芳香族化合物をフッ素原子で置換したもの等が挙げられる。
また、助剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明における非水系電解液は、本発明のリチウム二次電池に用いる際、通常は液体状態で存在するが、例えば、これを高分子によってゲル化して、半固体状電解質にしてもよい。ゲル化に用いる高分子は任意であるが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等が挙げられる。なお、ゲル化に用いる高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明における非水系電解液は、炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネート、環状エステル、及び鎖状カーボネートを少なくとも含有する溶媒に、電解質、及び必要に応じて他の助剤を溶解することにより調製することができる。
脱水の手段としては特に制限はないが、例えば、脱水する対象が非水溶媒などの液体の場合は、モレキュラーシーブ等を用いることができる。また脱水する対象が電解質などの固体の場合は、分解が起きる温度以下で乾燥させる方法を用いることができる。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明における非水系電解液と、正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成を備えていても良い。例えば、リチウム二次電池は、通常、スペーサを備えている。また、本発明のリチウム二次電池の充電終了時の25℃における電池端子間開路電圧が4.25V以上である。
正極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極として、集電体上に正極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極は適宜その他の層を備えていてもよい。
正極活物質層は、正極活物質を含んで構成される。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。例えば、Fe、Co、Ni、Mnなどの遷移金属の酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、遷移金属の硫化物などが挙げられる。
なお、これらの正極活物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
以下、スラリーを正極集電体に塗布・乾燥する場合について説明する。
これらの中で好ましい結着剤は、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーである。
なお、結着剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
導電性材料の具体例としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等の炭素粉末や、各種の金属のファイバー、箔等が挙げられる。
なお、これらの助剤等は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
水系溶媒の例としては水、アルコール等が挙げられる。一方、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
また、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるため、ローラープレス等により圧密するのが好ましい。
集電体の素材としては、公知のものを任意に使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極の集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS(ステンレス)等が挙げられる。中でも、正極の集電体としてはアルミニウムが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
負極は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
通常は、正極の場合と同様に、負極も集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極と同様に、負極も適宜その他の層を備えていてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えばコークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金;等を使用することが好ましい。
なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
さらに、正極同様、集電体の形状も任意であり、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。また、集電体として薄膜を使用する場合の好ましい厚さも、正極の場合と同様である。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はスペーサを介在させる。スペーサの材質や形状は特に制限されないが、上述の非水系電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。
また、スペーサの形状としては多孔性のものが好ましい。この場合、非水系電解液は、多孔性のスペーサに含浸させて用いる。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明における非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるスペーサとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。さらに、本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、コイン型電池、円筒型電池、角型電池等が挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
本発明における非水系電解液を、本発明のリチウム二次電池に使用することで、充電終了時の25℃における電池端子間開路電圧が通常4.25V以上、好ましくは4.30V以上、さらに好ましくは4.40V以上となるまで充電しても、電解液の反応を抑制でき、ガスの発生を大幅に抑制して、サイクル特性を大幅に向上させることが可能となる。
[6−1.充電終了時の電池端子間開路電圧について]
本明細書において電池端子間開路電圧とは、回路に電流が流れていない状態での電池電圧のことである。その測定方法は任意であるが、例えば、通常の充放電装置で測定が可能である。
リチウム二次電池を充電する場合、一般に、抵抗の電圧降下分が加えられた状態で充電される。即ち、充電電圧は電池端子間開路電圧に充電電流と抵抗との積を加えたものとなっている。したがって、充電電流が大きいほど、また、リチウム二次電池の内部抵抗もしくは保護開路の抵抗が大きいほど、充電電圧と電池端子間開路電圧との差は大きくなる。
また、充電終了については、所定時間(例えば、充電完了に計算上必要とされる時間より長い時間)充電することによってもよく、充電電流値が規定値以下になったことを検知してもよく、電圧値が規定値に到達したことを検知してもよい。
本発明の効果が得られるメカニズムは定かではないが、以下のように考えられる。
上記のように、従来、充電終了時の電池端子間開路電圧を高めることができるリチウム二次電池の開発が望まれていたが、従来の技術では、4.25V以上の高電圧条件下においては、主として正極上での電解液の酸化反応が顕著に発生するため、サイクル特性が悪い場合があり、実用的な二次電池は得られなかった。
[正極の製造]
正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)94重量部とポリフッ化ビニリデン(以下適宜、「PVdF」という)3重量部とアセチレンブラック3重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にしたものを、アルミニウムからなる集電体の両面に塗布・乾燥して正極を得た。
負極活物質であるグラファイト粉末92重量部とPVdF8重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.2Cで所定電圧まで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。充電時のカットオフ電流は0.01Cとした。100サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。この数値が大きいほど電池のサイクル劣化が少ないことを示している。また1回目の充電終了時に電池端子間開路電圧を測定した。
なお、1Cとは電池の全容量を1時間で放電させる場合の電流値のことである。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)及びモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(混合重量比11.7:10.6:10.0:66.5)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(混合重量比17.6:5.0:76.2)に、電解質であるLiPF6を1.5mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。
得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有するカーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比17.6:5.0:76.2:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.8:10.1:76.9:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比23.1:9.9:65.8:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.7:20.1:67.0:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.7:30.0:57.1:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.6:35.1:52.1:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比23.3:10.0:47.5:18.0:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるエチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比20.0:7.2:60.6:11.0:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)及びプロピレンカーボネート(PC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.7:10.6:10.0:66.5:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)及びビニルエチレンカーボネート(VEC)との混合溶媒(混合重量比11.8:10.1:76.9:0.6:0.6)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比31.1:8.9:59.0:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.6:49.5:37.7:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と鎖状エステルである酪酸メチルと鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)と炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(混合重量比11.7:30.0:57.1:1.2)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法にしたがってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.35Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
参考例A4で用いた非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.20Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
<参考例2>
比較例1で用いた非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、所定電圧を4.20Vとしてサイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
また電池端子間回路電圧が4.25V未満の場合に、本願の電解液と同じ組成の電解液を用いても効果が少ないことがわかる(参考例1及び2)。
Claims (9)
- 正極と、負極と、非水系電解液とを備え、充電終了時の25℃における電池端子間開路電圧が4.25V以上であるリチウム二次電池用の非水系電解液であって、
電解質及び溶媒を含有し、該溶媒として炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート、炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネート、環状エステル、及び鎖状カーボネートを含有し、
該電解質を除いた成分中に占める該炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの含有割合が0.01重量%以上3重量%以下であり、
該炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートの含有割合が1重量%以上28重量%以下であり、
該環状エステルの含有割合が1重量%以上7.2重量%以下であり、
該鎖状カーボネートの含有割合が50重量%以上95重量%以下である
ことを特徴とする、非水系電解液。 - 該炭素−炭素二重結合を有しない環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネート、及びジフルオロエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である
こと特徴とする、請求項1に記載の非水系電解液。 - 該環状エステルが、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、及びδ−バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系電解液。 - 該鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系電解液。 - 該炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、1,2−ジフルオロビニレンカーボネート、1−フルオロ−2−メチルビニレンカーボネート、1−フルオロ−2−フェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,1−ジビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−フェニル−2−ビニルエチレンカーボネート、及び1−フルオロ−2−ビニルエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系電解液。
- 該鎖状カーボネートの含有割合が50重量%以上65重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系電解液。
- 正極と、負極と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水系電解液とを備え、
充電終了時の25℃における電池端子間開路電圧が4.25V以上である
ことを特徴とする、リチウム二次電池。 - 該電池端子間開路電圧が、4.3V以上である
ことを特徴とする、請求項7に記載のリチウム二次電池。 - 該正極がリチウムニッケル含有遷移金属酸化物を活物質として含有した正極である
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のリチウム二次電池。
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