JP5724937B2 - 腎臓集積性を示すペプチド、製剤 - Google Patents

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本発明は、腎臓に対して特異的に集積性を示すペプチドに関する。また、本発明は、そのようなペプチドと薬物とが結合した製剤に関する。
多くの薬物は、血液循環を介して標的となる臓器又は組織へと送達される。しかし、殆どの場合、薬物は、疾患のある臓器又は組織だけを標的とするのではなく、体内の他の臓器及び組織へも取り込まれる。その結果、患者に望ましくない副作用が発生する場合がある。このため、特定の臓器又は組織を選択的に標的化して薬物を送達することが望ましい。
ドラッグデリバリーシステム(DDS:drug delivery system)とは、薬物投与の最適化のために、生体内で予め設定された薬物放出及び組織到達性を示すようデザインされた薬物投与システムをいい、既に商品化されているものある。DDSの薬物担体としては、蛋白質又はペプチドがファージディスプレイ法を利用して模索されているが、腎臓への薬物移行性に対する低い選択性が問題視されている(特許文献1、非特許文献1〜2)。
薬物の担体(例えば、ウイルスベクター又はアルブミン)を標的化分子とカップリングさせることにより、薬物の化学的及び物理的性質に影響を与えず、標的臓器又は組織への薬物の取込みを向上させることができると考えられる。標的化分子としてペプチドを使用する場合、分子量が小さいために担体のコンフォメーションが変化しにくく、分子量の大きな蛋白質と比較して担体又は薬物へカップリングさせ易い。
特許文献2は、内皮細胞に特異的に結合するペプチドを開示している。該ペプチドは、遺伝子運搬ビークルに取り込まれ、(成長因子及びサイトカインのような)蛋白質及び(薬剤、及び他の治療剤のような)小分子を含む治療剤を導くことができるとされている。特許文献1に開示される標的ベクター、ペプチド、又は小分子は、癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、関節リューマチ、乾癬、血小板破壊、再狭窄、虚血性血管障害、創傷治癒、鬱血性心不全、心筋虚血、再灌流傷害、末梢動脈疾患、肥満、並びに、虚血性心臓病、末梢四肢疾患、静脈移植狭窄、及び再狭窄のような心疾患等の様々な疾患の治療に使用することができるとされている。
特許文献3は、子宮内膜症細胞に選択的に結合するターゲティングペプチドを含む組成物を開示している。特許文献2に開示されるターゲティングペプチドは、薬学的に受容可能なキャリアにおいてin vivoで投与され得る。また、提供される組成物は、さらに薬学的に受容可能なキャリアを含み得ることが開示されている。
一方、高齢化社会を背景とした慢性腎臓病の増加に伴い、新たな薬物療法の開発が切望されているものの、薬物の腎臓に対する選択性が低いことが問題視されている。このため、腎臓へと薬物を能動的に輸送するための標的化素子が必要不可欠である。
非特許文献1は、Cys-Leu-Pro-Val-Ala-Ser-Cysというアミノ酸配列を有する腎集積型ペプチドを開示している。非特許文献2は、His-Thr-Thr-His-Arg-Glu-Proというアミノ酸配列を有する腎集積型ペプチドを開示している。非特許文献3及び4は、ファージディスプレイライブラリーの作成方法及びin vitroスクリーニング法を開示している。
国際公開第2008/084899A1パンフレット 特表2006−510360号公報 特表2009−521512号公報
Renata. Pasquailini, E. Ruoslahti, Nature, Vol.380, 364-366, (1996) Laura Denby, Lorraine M. Work, Delyth Graham, Catherine Hsu, Dan J. Von Seggern, Stuart A. Nicklin, and Dr. Andrew H. Baker, Human Gene Therapy. November 2004, Vol.15, No.11: 1054-1064 Scott,J.M.and Smith,G.P., Science,249,386-390(1990) Smith,G.P.and Scott,J.K., Methods in Enzymology,217,228-257(1993)
非特許文献1に開示されているペプチドは、他臓器への集積性が評価されていないので、腎臓に特異的に集積するかは不明である。また、非特許文献2に開示されているペプチドは、担体に3つのペプチドを導入して約5倍の集積性が示されるが、ペプチド1つあたりでは約1.7倍であり、集積性が高いとはいえない。このため、腎臓に対して特異的に集積するペプチドの探索が必要である。
本発明は、腎臓に対して特異的に集積性を示すペプチド、及びそのようなペプチドと薬物とが結合した製剤の提供を目的とする。
本発明者等は、in vivoファージディスプレイ法によって、ファージライブラリーから腎臓に特異的に集積するペプチドを探索した結果、腎臓に対して特異的に集積性を示すペプチド3種類を見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、配列番号:2,3又は5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドに関する。
本発明のペプチドは、いずれも両末端がCysである9個のアミノ酸から構成される環状ペプチドである。
本発明のペプチドは、担体又は薬物に導入されれば、担体又は薬物を腎臓にのみ特異的に集積させ得る。
配列番号:1〜5に示されるペプチドを含むファージの腎臓1gあたりの回収量を示す。 配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの心臓1gあたりの回収量を示す。 配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの肝臓1gあたりの回収量を示す。 配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの肺1gあたりの回収量を示す。 腎尿細管の蛍光顕微鏡写真であり、(a)は配列番号:2のペプチド投与後、(b)はコントロールペプチド投与後の蛍光顕微鏡写真を示す。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
(薬物担体)
本発明で使用される薬物担体の具体例は、ウイルスベクター(レトロウイルスベクター、AAVベクター及びそれらの改変体又は化学修飾体)、アルブミン、天然高分子、合成高分子、リポソーム、エマルション、ミセル、マイクロスフェア、又はナノスフェアであるが、薬物の化学的及び物理的性質に影響を与えないものであって、薬物の輸送手段として適用できるものであれば特に限定されない。
腎臓に送達されるべき薬物の具体例は、医薬化合物である抗癌薬、インターフェロン、抗体、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、利尿薬、ステロイド薬、免疫抑制薬、抗血小板薬又は抗血栓薬であるが、腎臓疾患に治療効果を有する薬物であれば特に限定されない。本発明のペプチド(配列番号:2,3又は5に示されるいずれかのペプチド)と薬物とを、例えば、化学的に結合することにより、医薬組成物を製造することができる。また、薬物が蛋白質である場合には、薬物と本発明のペプチドとを融合蛋白質とすることにより、医薬組成物を製造することができる。
抗癌薬の具体例は、ソラフェニブ、スニチニブ、シクロホスファミド、メルファラン、ラニムスチン、イホスファミド、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、6−メルカプトプリン、リボシド、エノシタビン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスフェホート、テガフール、5-FU、ドキシフルウリジン、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、アクチノマイシンD、塩酸アクラルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸プレオマイシン、ジノスタチンスチマラマー、硫酸ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルチノスタチン、硫酸ペプロマイシン、エトポシド、塩酸イリノテカン、ドセタキセル水和物、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、硫酸ビンブラスチン、パクリタキセル、アセグラトン、ウベニメクス、シスプラチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、クレスチン、クエン酸トレミフェン、酢酸メドロキシプロゲステロン、クエン酸タモキシフェン、カルボプラチン、塩酸ファドロゾール水和物、塩酸プロカルバジン、塩酸ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、トレチノイン、ネダブラチン、ピシバニール、フルタミド、ペントスタチン、ポルフィマーナトリウム、又はレシチンナンである。
腎臓に対して特異的に集積性を示すペプチドの同定には、ファージディスプレイ法を採用することが好ましい。ファージディスプレイ法は、標的とする分子又は細胞に特異的に結合するペプチドを同定するために、特定の標的分子又は細胞を用いてin vitroでスクリーニングされ得る多数のペプチドを発現するのに利用される。ファージディスプレイライブラリーの作成方法及びin vitroスクリーニング法については、非特許文献3及び4に開示されている方法を使用し得る。
<Cys-Xaa-Cysのランダムなペプチド配列を提示するファージライブラリーの構築>
表面にCys-Xaa-Cysのランダムなペプチド配列を提示するファージは、当該ランダム配列をfUSE5ベクターに挿入することによって作製された。Xaaは、19種類の通常のアミノ酸を意味する。
<in vivoファージディスプレイ法による腎臓集積性ファージのスクリーニング>
Wistar雄性ラット(6週齢、体重170g〜200g)にペントバルビタール麻酔下、Cys-Xaa-Cysファージ1010TUを尾静注した。15分後、心臓からPBSを還流させることで全身を脱血し、その後腎臓を摘出した。摘出された腎臓は、Lysis buffer中で腎皮膜を剥離された後、重量を測定された。その後、腎皮膜を剥離された腎臓をホモジナイズし、得られた腎ホモジネート液を遠心した(2000rpm、4℃、10分間)。さらに、その上清を超遠心分離機にかけた(55000rpm,4℃,13分間)。得られたペレットを、腎臓集積性ファージとした。
超遠心により得られたペレットを、PBS500μLを用いて懸濁させた。大腸菌2mL(OD600=0.18〜0.2)を加え、室温で1時間インキュベートし、ペレット内のファージを大腸菌に感染させた。その後、LB培地(カナマイシンとテトラサイクリンを含有する)を加え、全量を10mLとし、この一部から回収したファージ量(TU)を測定し、残りをインキュベートして(230rpm、37℃、16時間)、ファージを増殖させた。
インキュベート終了後、遠心分離し(8000rpm、4℃、20分間)、その上清にPEG1.5mLを加えた。氷上で1時間冷却することによりファージを塩析させ、遠心分離(8000rpm、4℃、20分間)によりファージペレットを得た。ファージの精製度向上のため、再度PBS1.5mlでペレットを懸濁後遠心(10000rpm、4℃、5min)した。上清にPEG225μL加え、氷上で10分間冷却した後、遠心分離(10000rpm、4℃、5分間)によりファージペレットを得た。この得られたペレットを、PBS500μLを用いて懸濁させ、候補ファージ溶液を得た。このファージ投与からファージ溶液までの操作を3回繰り返すことにより、腎臓集積性ファージをスクリーニングした。
上記操作によりスクリーニングされた腎臓集積性ファージを大腸菌に感染させ、コロニーを形成させた。形成されたコロニーを、それぞれ10%グリセリン水溶液に溶解させ、コロニー溶液を作製した。その後、BigDye(登録商標)Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit 及びfUse5 Reverse Primer(1.6pmol/μL)を用いてPCR(1:96℃、5分間(1cycle)、2:96℃、10秒間/50℃、5秒間/60℃、4分間(25cycle)、3:4℃、一晩)によって、ファージDNAを増殖させた。
PCR産物であるファージDNAに3M酢酸ナトリウム1μL及び99.5%エタノール25μLを添加し、氷上で10分間冷却した。その後、遠心分離(15000rpm、20℃、20分間)し、得られたペレットに70%エタノールを70μL添加した。その溶液を、さらに遠心(15000rpm、20℃、5分間)し、得られたペレットを真空乾燥した。乾燥終了後、Hi-Diホルムアミド試薬(Applied Biosystems社)12μLを添加した。95℃で2分間インキュベート後、さらに氷上で2分間冷却した。こうして得られたサンプル溶液4μL及びHi-Di ホルムアミド試薬8μLをキャピラリー電気泳動専用チューブに入れ混合した。この混合液をキャピラリー電気泳動することにより、腎臓集積性ファージが有するペプチドのアミノ酸配列を解析した。
<回収されたファージのペプチド配列解析>
回収されたファージのペプチド配列は、ABI310 genetic analyzerを用いて解析された。
表1は、回収されたファージのペプチド配列解析を示す。表1において、「Number」は得られたクローンの数を意味し、「%」は全クローン数に占める割合(%)を意味する。
表1より、配列番号:1〜5のペプチドには各々複数のクローンが確認されたため、これら5種類のペプチドの腎臓集積性について、さらにマウスを用いたin vivoの実験を行った。
<5種類のファージの腎臓集積性評価>
(1)コロニー数による評価試験
Wistar雄性ラット(6週齢、170g〜200g)にペントバルビタール麻酔下、ファージディスプレイ法によるスクリーニングで絞られた5種類のペプチド(アミノ酸1文字表記でC-ILASGVT-C、C-HGVQARL-C、C-RIGGMSN-C、C-SSYSSVT-C及びC-VMATGGV-C/すなわち、配列番号:1〜5に示されるペプチド)を提示した各々のファージを、PBSに溶解させ、1010TUを尾静注した。15分後、ペリスタポンプを用いて42℃のPBS-tween0.05%を還流させることにより全身脱血し、各臓器を摘出した。摘出された臓器を、Lysis buffer中で洗浄した後、重量を測定した。その後、ホモジナイズにより各臓器のホモジネート液を得ることにより、各臓器に集積したファージを回収した。
その後、各臓器のホモジネート液に大腸菌(OD600=0.18〜0.2)2mLを添加し、室温で1時間インキュベートした。その後、LB培地(カナマイシン及びテトラサイクリンを含有する)を5mL添加した。得られた溶液を100μLのLB培地(カナマイシン及びテトラサイクリンを含有する)にまき、形成されたコロニー数と臓器重量を基に、各臓器1gあたりに集積したファージ量を算出し、集積性を評価した。コントロールファージとしては、Fd-tet(ペプチドインサートレスファージ)を用いた。
図1は、配列番号:1〜5に示されるペプチドを含むファージの腎臓1gあたりの回収量を示す。グラフ横軸の数字は、配列番号を示す。図1より、コントロールファージの回収量と比較して、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージは、有意に高い回収量を示し、腎臓に対して高い集積性を示すことが確認された。特に、配列番号:2に示されるペプチドは、コントロールファージと比較して腎臓への集積量が約20倍であった。
図2は、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの心臓1gあたりの回収量を示す。グラフ横軸の数字は、配列番号を示す。コントロールファージの回収量と比較して、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージは、心臓に対する特異的な集積性は認められなかった。
図3は、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの肝臓1gあたりの回収量を示す。グラフ横軸の数字は、配列番号を示す。コントロールファージの回収量と比較して、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージは、肝臓に対する特異的な集積性は認められなかった。
図4は、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージの肺1gあたりの回収量を示す。グラフ横軸の数字は、配列番号を示す。コントロールファージの回収量と比較して、配列番号:2,3及び5に示されるペプチドを含むファージは、肺に対する特異的な集積性は認められなかった。
(2)蛍光顕微鏡観察による評価試験
上記(1)の評価試験により、最も腎臓に対する集積性が認められたC-HGVQARL-C(配列番号:2に示されるペプチド)と、腎臓への集積性が認められなかったC-SSYSSVT-C(配列番号:4に示されるペプチド)の両ペプチドのN末端にFITCを結合させたペプチド(FITC標識ペプチド、純度90%)をべックス社に委託して合成した。配列番号:2及び4のペプチドは、ペプチド合成機(島津製作所、PSSM-8)を用いて合成された。
2種類のFITC標識ペプチドは、DMSOに溶解させ、20mMの濃度に調整された。その後、Wistar雄性ラット(6週齢、170g〜200g)にペントバルビタール麻酔下で、PBSを用いて20倍希釈したペプチド溶解液を、それぞれ200μL尾静注した。5分後、ペリスタポンプを用いて42℃のPBSを還流させることにより全身脱血した。その後、各臓器を摘出した。摘出された臓器は、Lysis buffer中で洗浄された後、4%のパラホルムアルデヒド液に12時間浸漬されることによって固定された。固定された臓器は、組織標本作製システム(マイルストーン社製)によりパラフィン包埋された。その後、包埋させた各臓器から4μmの切片を切り出した。
作製された切片は、100%エタノールに浸し、パラフィンを除去された後、マリノールを用いて封入した。そして、蛍光顕微鏡(励起光470nm)を用いて各組織を観察した。
図5は、腎尿細管の蛍光顕微鏡写真であり、(a)はFITC標識された配列番号:2のペプチド投与後、(b)はFITC標識された配列番号:4のペプチド投与後の蛍光顕微鏡写真をそれぞれ示す。図5(a)に示されるように、FITC標識された配列番号:2のペプチド投与後の腎尿細管には蛍光が観察された。しかし、図5(b)に示されるように、FITC標識された配列番号:4のペプチド投与後の腎尿細管には、蛍光が認められなかった。このことから、配列番号:2のペプチドは、腎臓の細胞内へと特異的に取り込まれていることが確認された。
一方、心臓、肝臓及び肺の細胞については、2種類のFITC標識ペプチドいずれを投与した場合にも、蛍光が認められなかった。
このように、配列番号:2,3及び5のペプチドは、他臓器に対しては集積性を示さず、腎臓に対してのみ特異的に集積性を示すことが確認された。これらのペプチドをウイルスベクター又はアルブミンのような薬物担体に結合させたり、塩酸ドキソルビシン又硫酸ビンクリスチンのような薬物分子に結合させたりすることにより、薬物を腎臓細胞へと特異的に取り込ませることが可能になると推察された。
本発明は、医薬品分野において特に有用である。

Claims (2)

  1. 配列番号:2,3又は5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチド薬物とが化学的に結合した製剤。
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