JPWO2008084652A1 - 血管内皮細胞結合性ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明の配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド、これらアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド、あるいは前記ペプチドを部分配列として含有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチドは、新生血管内皮細胞に特異的に結合する新規なペプチドリガンドであり、このようなリガンドは、固形腫瘍などの血管新生を伴う疾患の治療、診断のために有効に使用できる。

Description

本発明は、血管内皮細胞に親和性を有するペプチドに関する。特に、活性化した血管内皮細胞に対して特異的結合性を有するペプチドに関する。
血管は、酸素をはじめとして種々の養分、細胞を全身の組織に運搬する重要な役目を持つことは周知のとおりである。血管新生は、新しい血管を形成する基礎的な過程であり、この過程は、個体発生、組織の成長、創傷治癒など多くの正常な生理的現象に不可欠である。また、血管新生はいくつかの病態発現においても重要であり、特に固形腫瘍の増殖および転移における役割は高い注目を集めている。腫瘍以外にも、関節炎、乾癬および糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症などの種々疾患との関わりが知られている。
固形腫瘍において、癌細胞が自身の増殖に必要な酸素、栄養分等の供給を得るために、腫瘍組織内に新たな血管を形成する現象は広く知られており、この血管新生に必要な各種の血管新生促進因子が腫瘍細胞によって産生されていることが明らかになっている。このような血管新生を誘導する因子のひとつである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する中和抗体を用いて腫瘍組織における血管新生を抑制する試みは、抗体医薬として実用化され、近年臨床での使用が開始されて期待通りの抗腫瘍効果を示すことが報告されている(非特許文献1)。
腫瘍組織における新生血管をターゲットとした腫瘍の治療としては、上述のような血管内皮増殖因子を阻害する方法の他に、新生血管内皮細胞に特異的に薬物を送達し、この内皮細胞の障害または増殖抑制を引き起こす方法が考えられる。また新生内皮細胞の周囲の抗癌剤濃度を高めることで、癌細胞に作用する薬物濃度を高めて抗癌作用を得ることも期待できる。このようなアプローチにおいては、新生血管内皮細胞に特異的に結合するリガンドを得ることが重要なポイントとなる。この新生血管内皮細胞特異的リガンドとしては、新生血管内皮細胞において発現上昇が報告されているVEGF受容体あるいはαvインテグリンなどと結合するペプチドがいくつか報告されている(非特許文献2)が、in vivoにおいて十分な有効性が確認されているものは少なく、研究の初期段階にあるのが実状である。新生血管内皮細胞においては、上述のような分子以外にも発現が上昇している未知の分子が複数あると考えられ、このような未知の分子に対するリガンドを探索することで、さらに有効性の高いリガンドを取得できる期待がある。
ハーバート ハーヴィッツ(Herbert Hurwitz)、他14名、「転移性大腸癌に対するベバシズマブ+イリノテカン、フルオロウラシル、ロイコボリン(Bevacizumab plus Irinotecan, Fluorouracil, and Leucovorin for Metastatic Colorectal Cancer)」、ニューイングランドジャーナルオブメディスン (New Engl J Med)、2004年、第350巻、ページ2335〜2342 アラップ ワディ(Arap Wadih)、他2名、「マウスモデルにおける腫瘍血管への選択的薬物送達による癌の治療(Cancer Treatment of Targeted Drug Delivery to Tumor Vasculature in a Mouse Model)」、サイエンス (Science)、1998年、第279巻、ページ377〜380
本発明の目的は、新生血管内皮細胞に特異的に結合する新規なペプチドリガンドを提供することにある。
上記課題を克服するために、本発明者らは、腫瘍細胞株の培養上清を添加して培養した活性化ヒト血管内皮細胞、すなわち腫瘍新生血管内皮のモデル細胞に結合するが、腫瘍細胞株の培養上清を添加せずに培養したヒト血管内皮細胞、すなわち正常血管内皮のモデル細胞には結合しないペプチド配列を、ランダムライブラリーからスクリーニングする検討を行い、目的の性質を有するペプチドを取得した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)(A)、(B)または(C)のいずれかのペプチド。
(A)配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(B)配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
(C)前記(A)または(B)のペプチドを部分配列として含有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
(2)(1)に記載のペプチドをコードする核酸。
(3)(1)に記載のペプチドが親水性高分子と結合していることを特徴とする、ペプチド結合体。
(4)(1)に記載のペプチドを含有することを特徴とする医薬組成物。
(5)(1)に記載のペプチドを用いて、新生血管に薬物を集積させる方法。
本発明のペプチドは、固形腫瘍などの病変組織に存在する新生血管に特異的に集積することが期待でき、この性質を用いて血管新生を伴う各種疾患の治療、診断に使用できる。
各ファージクローンの活性化HUVECおよび非活性化HUVECへの結合性をELISA法で測定した結果を示す図である。 クローン6の共焦点蛍光顕微鏡での観察結果を示す写真代用図面である。 蛍光標識ペプチド−BSA複合体のHUVECおよびHeLa細胞への取り込みを共焦点レーザー顕微鏡で観察した写真代用図面である。 蛍光標識したマルチアームPEG−ペプチド複合体を担癌マウスに投与して24時間後の腫瘍組織切片を免疫染色したのち蛍光顕微鏡で観察した写真代用図面である。 ドキソルビシンを内封したペプチド修飾リポソームをHUVECに作用させ、そのときの細胞内取り込み量をドキソルビシンで定量した結果を示す図である。
本発明のペプチドは、配列番号1〜76に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、または配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチドである。
ここで、置換、挿入または付加されるアミノ酸は、自然界での存在の有無に関わらずカルボキシル基とアミノ基を持つ分子であればよく、ヒドロキシル化、リン酸化、あるいはグリコシル化等の生体内で通常見られる翻訳後修飾をされたアミノ酸であっても良い。好ましくは、哺乳類細胞内に通常存在する天然アミノ酸およびその光学異性体からなるアミノ酸配列であり、例を挙げるとアルギニン(Arg)、リジン(Lys)、アスパラギン酸(Asp)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、フェニルアラニン(Phe)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)などからなるアミノ酸配列である。
置換、欠失、挿入または付加されるアミノ酸の数は、1〜7個であることが好ましく、1〜5個であることがさらに好ましく、1〜3個であることがさらに好ましい。置換、欠失または挿入により変異した配列において、配列番号1〜76のいずれかで表されるもとのアミノ酸配列の4つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されていることが好ましく、6つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されていることがより好ましい。
また、本発明は、上述のペプチド、すなわち配列番号1〜76に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、または配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されたアミノ酸配列を有し、かつ活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチドを、部分アミノ酸配列として含有し、かつ活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチドを含む。
なお、本発明でいうペプチドとは、2つ以上のアミノ酸がアミド結合で連結された物質を広く意味しており、数十から数百あるいは数千のアミノ酸が連結したような通常タンパク質と呼ばれる物質を含む。
本発明でいう血管内皮細胞とは、血管の内表面を構成する細胞であり、ヒト内皮細胞または他の哺乳動物内皮細胞の使用が好ましい。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)、ヒト皮膚微小血管内皮細胞あるいはヒト肺微小血管内皮細胞(HMVEC)などが含まれるが、これらに限定されない。
本発明でいう活性化した血管内皮細胞とは、血管新生を促進することが知られている種々の因子、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチンなど、あるいはこれら因子の混合物の存在化で培養した内皮細胞をいう。あるいは、腫瘍細胞が産生する任意の因子の存在下で培養した内皮細胞をいう。腫瘍細胞が産生する因子の存在化で培養を行った内皮細胞、例えば腫瘍細胞の培養上清を培地に添加して培養した内皮細胞は、固形腫瘍組織で誘導される新生血管を構成する内皮細胞の性質を高く模倣しうることが期待でき、特に好ましく用いられる。ここで用いる腫瘍細胞としては、ヒトあるいは他の哺乳動物由来の各種臓器腫瘍細胞が広く用いられうる。例えば、肝臓癌由来のHuH−7細胞、乳癌由来のMCF−7細胞、卵巣癌由来のOVCAR−3細胞、カポシ肉腫由来のKSIMM細胞、大腸癌由来のLOVO細胞、胃癌由来のMKN−45細胞、前立腺癌由来のDU145細胞、肺癌由来のA549細胞、脳腫瘍由来のU−87MG細胞、皮膚癌由来のSK−MEL−5細胞、膀胱癌由来のT24細胞、膵臓癌由来のPANC−1細胞、腎臓癌由来のGRC−1細胞などが挙げられる。
これらの血管新生促進因子あるいは腫瘍細胞が産生する因子の存在化で内皮細胞を培養する時間は特に限定されないが、十分な作用を受けかつ細胞が過剰に増殖しない条件として2時間以上72時間以内であることが好ましく、8時間以上48時間以内であることがさらに好ましい。
腫瘍細胞が産生する任意の因子の存在化で培養を行う方法としては、腫瘍細胞単独で培養を行って培養上清を回収しこれを内皮細胞の培地に添加する方法、あるいは細胞は透過しないが各種蛋白、低分子などは透過しうるフィルターを用いて、一方に血管内皮細胞を他方に腫瘍細胞を入れて培養を行う方法などがある。活性化内皮細胞として一定の性質を有するものを再現性良く得るためには、腫瘍細胞単独で培養を行って培養上清を回収し、これを内皮細胞の培地に添加する方法が好ましい。
本発明でいう血管内皮細胞への結合能を有するペプチドとは、血管内皮細胞の表面に存在する分子(細胞表面分子)と化学的もしくは物理的に相互作用することで該細胞表面上に留まることができるペプチドを意味し、血管内皮細胞結合性ペプチドともいう。ここでいう細胞表面分子としては、例えば、脂質、タンパク質、多糖類などが挙げられるが、これらに限定されるのではない。また、その相互作用は単一の細胞表面分子または複数の細胞表面分子のどちらであってもよい。
本発明でいう血管内皮細胞への取込能を有するペプチドとは、ペプチドが該細胞と接触した後に細胞膜を通過して細胞内部へと侵入することができる性質をもつペプチドのことを意味する。通過の手段としては、例えば、エンドサイトーシスが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明においては、血管内皮細胞への取込能を有するペプチドも血管内皮細胞結合性ペプチドに含まれる。
本発明のペプチドの血管内皮細胞への結合能または取込能は、例えば、共焦点レーザー顕微鏡観察、フローサイトメトリー、蛍光強度計などを用いて評価することができる。例えば、共焦点レーザー顕微鏡を用いた評価方法について以下に一例を記すが、これに限定されるものではない。まず、96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプレート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回洗浄後、1×10個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下で2日間培養を行う。使用時に、細胞を150μlの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ培地50μlと、蛍光標識したペプチドまたは蛍光標識したペプチド−高分子複合体を培地で希釈してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行う(細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応後の細胞を共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社FV1000)を用いて観察し、ペプチド由来の蛍光が細胞表面もしくは細胞内部に存在するかを調べることで血管内皮細胞への結合または取込能を評価できる。
本発明のペプチドは、一般的な化学合成法により製造することが出来る。製造する方法には、通常の液相法及び固相法によるペプチド合成法が含まれる。かかるペプチド合成法には、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とが含まれる。本発明のペプチドの合成は、これらのいずれによることもできる。
上記ペプチド合成に採用される縮合法も、公知の各種方法に従うことができる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCCに1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド等を添加する方法、ウッドワード法等を例示できる。これら各方法に利用できる溶媒もこの種ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている一般的なものから適宜選択することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等の溶媒またはこれらの溶媒の混合溶媒等を挙げることができる。
上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸やペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メトキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル等のアラルキルエステル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばTyrの水酸基は、必要に応じてアセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第三級ブチル基等で保護されてもよい。更に、例えばArgのグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、2−メトキシベンゼンスルホニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基等の適当な保護基により保護することができる。上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及び最終的に得られる本発明のペプチドにおけるこれら保護基の脱保護反応も、慣用される方法、例えば接触還元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸等を用いる方法等に従って、実施することができる。
また、本発明のペプチドは、遺伝子工学的手法を用いて常法により調製することもできる。このようにして得られる本発明のペプチドは、通常の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って、適宜その精製を行うことができる。
また、本発明のペプチドは、他の物質と結合された状態で用いることもできる。結合は化学的でも物理的でもよく、本発明のペプチドと他の物質との間にリンカーを挟んでいてもよい。結合される他の物質としては、具体的には、高分子、脂質、糖、低分子化合物が挙げられ、その中でも血中滞留性の向上や高密度修飾によるクラスター効果を期待できる点などから親水性高分子が好ましい。ここでいう親水性高分子とは、化学的に合成された合成高分子や多糖類、核酸、タンパク質といった生体(天然)高分子が挙げられ、なかでも合成高分子、その中でもポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルアルコール(PVA)等がより好ましく用いられ、その中でも特に、PEGは血中滞留性が良いという点から好適に用いられる。
ペプチドと親水性高分子とを結合させる方法として、親水性高分子に導入した反応性基を利用して行う方法が挙げられる。導入される反応性基としては、ペプチド中に存在するSH基、OH基、COOH基、NH2基のいずれかと反応するものが好ましく、例えば、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、ジチオピリジン基、NH2基、COOH基、OH基、SH基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般的に、PEGはペプチド中に存在する−NH2基、−COOH基、−OH基、−SH基のような官能基と反応させるために適した反応性基を含むように機能化できることが知られており、例えば末端にマレイミド基を導入したPEG(例えば、日本油脂製マルチアームPEG、SUNBRIGHT PTE−200MA)を用いると、ペプチドに存在する-SH基と反応させることでペプチド−PEG修飾体を得ることが出来る。
また、本発明のペプチドは、生物学的に活性な薬物と本発明のペプチド双方を含有した医薬組成物として用いることが出来る。医薬組成物内の本発明のペプチドと薬物はコンジュゲートを形成していることが好ましい。ここでいうコンジュゲートとは、2つ以上の物質が同時に動きうる状態を表し、その物質間が共有結合により結合しているもの、イオン結合により静電的に結合しているもの、また結合が存在しない場合であっても立体構造により他方がもう他方の動きを制限し共に動きうる状態にしたものも含まれる。例えば本発明のペプチドを表面に修飾したミセル、リポソーム、高分子などの微粒子の中に生物学的に活性な薬物が封入されているものなどもコンジュゲートを形成していることに含まれる。
薬物の種類としては、細胞の増殖を抑制または促進する活性を有する各種の薬物の使用が考えられる。腫瘍新生血管をターゲットとした治療においては、抗癌剤として使用されているドキソルビシン、パクリタキセル、シスプラチン、オキザリプラチン、5FU、CPT−11、マイトマイシンC、などの種々薬物が使用されうる。
また、抗体などのタンパク薬、siRNA、アプタマーなど核酸医薬などのいわゆるバイオ医薬品も好ましく用いられる。薬物としてタンパク質を用いる場合には、本発明のペプチドとタンパク質のコンジュゲートとして、融合タンパク質を作成して用いることもできる。この場合、本発明のペプチドを結合させる位置は特に限定されないが、ペプチドがタンパク質の外側に提示されており、かつ融合させたタンパク質の活性、機能への影響が低いことが好ましく、望ましくはアミノ末端またはカルボキシル末端である。
当発明のペプチドとの融合タンパク質を製造する場合は、一般的な化学合成法により行うことが出来る。例を示すと、本発明のペプチドと蛋白薬物を混合し縮合剤を添加して結合させる方法や、ペプチド合成装置(例えばApplied Biosystems Medel 433)を用いる方法である。また塩基配列情報に基づいて遺伝子工学的手法を用いて常法により製造することも出来る。例を挙げると、タンパク発現プロモーターを有する遺伝子発現ベクターに本発明のペプチドおよび融合させるタンパク質をコードする塩基配列を組み込み製造する方法である。
本発明の医薬組成物としては、本発明のペプチドと薬物に加えて、薬学的に許容される添加剤からなる粉末形態、あるいは、水等の媒体および該媒体以外の薬学的に許容される基剤との混合物等からなる液状形態、さらには、薬学的に許容される基剤との組み合わせにより固形化または半固形化した形態等が挙げられる。前記基剤としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機物質が挙げられ、例えば賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、吸収促進剤等が挙げられる。
本発明で得られたペプチドは、固形腫瘍などの病変組織に存在する新生血管に特異的に集積することが期待でき、この性質を用いて各種疾患の治療、診断に使用できる。例えば、新生血管を阻害すべき癌種としては、乳癌、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、肝臓癌、脳腫瘍、食道癌、膀胱癌、子宮頸癌、脂肪肉腫、上皮癌、腎細胞癌、胆嚢腺癌、耳下腺癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜腫、多剤耐性癌等が挙げられる。また、癌以外の疾患としては、慢性関節性リウマチ、乾癬、変形性関節症などの慢性炎症または加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障などの網膜症、などの疾患をあげることができるが、これらの疾患には限定されない。
生物学的に活性な薬物と本発明のペプチド双方を含有した医薬組成物を、生体に投与することで、薬物を病変組織の新生血管に集積させることが可能となる。医薬組成物の投与方法は特に限定されないが、例えば注射による方法、経口投与、経肺投与、経鼻投与、点眼投与などがあげられる。注射による投与が好ましく、特に静脈あるいは動脈などの血管内への投与が、新生血管病変部位に効率よく薬物を到達させることができるために好ましい方法である。
本発明の医薬組成物を生体に投与する際の投与量や投与回数は、前記ペプチドと組み合わせる薬物、投与形態、患者の年齢、体重、症状の重篤度によってによって適宜選択されうるが、通常成人男性1日あたり0.1μg〜10g、好ましくは1μg〜1000mgの範囲で投与されうる。
以下、本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 活性化血管内皮細胞結合ファージのスクリーニング
<方法>
1.腫瘍細胞培養上清の調製
ヒト肝癌細胞株HuH−7を、5%ウシ胎児血清を含むDMEM培地7mlに希釈し、25cm2培養フラスコに入れて37℃、5%CO2存在下で24時間培養を行った。細胞密度は、約70%コンフルエントの状態で培養を行った。培養液を回収し、1000rpm、5分間遠心して上清を回収した。回収した培養上清は使用時まで−30℃で保存した。
2.活性化正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の調製
ファージライブラリースクリーニングに用いる正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Cambrex Bio Science社)は、あらかじめ2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)中で1x104/ml、1ml/ウェルの密度で12ウェルプレートに播種し、48時間培養を行った。PBSで3回洗浄し、一方のウェルには上記で調製したHuH−7肝癌細胞培養上清0.5mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.5mlを、他方のウェルには5%FCSを含むDMEM培地0.5mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.5mlを添加して、24時間培養を行った。HuH−7肝癌細胞培養上清を添加して培養した細胞を「HuH−7上清培養HUVEC」、DMEM培地を添加して培養した細胞を「DMEM培養HUVEC」として以下のスクリーニングに使用した。
3.ファージライブラリーからのスクリーニング
ファージペプチドライブラリーとしては、15merまたは12merのランダムアミノ酸配列をファージpIII蛋白の融合蛋白として呈示するM13系ファージライブラリーを使用した。上記2で調製したDMEM培養HUVECをPBSで3回洗浄し、1.2x1010TU(transformingunit)のファージを含む0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)/リン酸生理緩衝液(PBS)1mlを添加して室温で30分間反応を行った。反応液(結合しなかったファージ)を回収し、今度は上記2で調製したHuH−7上清培養HUVEC(あらかじめPBSで3回洗浄)に添加して、室温で30分間反応を行った。反応後の細胞はPBSで3回洗浄後、0.5mlの酸性の溶離液(0.1%BSAを含有する0.1Mグリシン塩酸pH2.4)を添加して1分間反応を行い、結合したファージを解離させた。溶離液を回収し1200rpm5分間遠心を行って上清を回収し、125μlの1Mトリス塩酸(pH8.0)を添加して中和した。この溶液を、DMEM培養HUVEC(あらかじめPBSで3回洗浄)に添加し、室温で30分間反応後上清を回収することで、HuH−7上清培養HUVECに選択的に結合するファージを得た。
得られたファージ溶液を対数増殖期の大腸菌に感染し、培養を行うことでファージの増幅を行った。培養液中に産生されたファージをPEG/NaCl溶液(2.5M塩化ナトリウムを含有する20%PEG8000)添加により沈殿させて遠心回収することで、ファージの精製を行った。
上述の一連の操作によるHuH−7上清培養HUVEC結合性ファージの単離および大腸菌感染による増幅を1サイクルとして、計3サイクルのスクリーニングを行った。3サイクル後のファージ回収液を、LB−agarプレートにまき、37℃終夜培養後に得られたコロニー(シングルクローン)から数十個をランダムに選んで個別に培養し、上清のファージを上述のPEG/NaCl沈殿法で精製することで、精製ファージクローンを得た。
4.Cell ELISA法によるファージクローンの細胞結合性の解析
HUVECを2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地中96ウェルプラスチックプレートに3x10/mlの密度で0.1ml播種し、37℃で24時間培養し、150μlPBSで洗浄後、活性化HUVEC調製ウェルにはHuH−7肝癌細胞培養上清0.05mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.05mlを、非活性化HUVEC調製ウェルには5%FCSを含むDMEM培地0.05mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.05mlを添加して37℃で24時間培養を行った。細胞をPBSで洗浄後、0.1%BSAを含むPBSで50倍に希釈したファージクローンを添加し、室温で30分間反応を行った。反応後の細胞を150μlのPBSで3回洗浄し、0.5%パラホルムアルデヒドを含むPBS50μlを添加して室温で30分間固定化反応を行った。0.05%Tween20を含むPBSで3回洗浄した後、0.1%BSAを含むPBSで5000倍に希釈したHRP標識抗M13ファージ抗体(アマシャム社)50μlを添加し、室温で60分間反応させた。0.05%Tween20を含むPBSで3回洗浄した後、HRP酵素基質(0.2μl/ml過酸化水素水および0.08mg/mlテトラメチルベンジジンを含む酢酸クエン酸緩衝液pH4.5)100μlを添加し、室温で3〜5分間反応させた後、1N硫酸50μlを添加して反応を停止させた。マイクロプレートリーダーを用いて450nm(対象波長595nm)の吸光度を測定した
<結果>
各ファージクローンの吸光度測定結果を図1に示す。吸光度が大きいほど、HUVECへの結合性が高いことを示す。50クローンのうちの半数以上のクローンが、非活性化HUVEC(図中、DMEM培地添加)に対する結合と比較して、活性化HUVEC(図中、HuH−7培養上清添加)への結合性が高いことが認められた。
5.ファージクローンの配列解析
実施例1−1〜4のスクリーニングを数回繰り返して実施し活性化HUVECへの高い結合性が認められた計68種のクローンを選択し、大腸菌に感染増幅させた後に、ファージpIII蛋白のランダムペプチド配列を含む領域の塩基配列を解析することで、呈示するペプチド配列を決定した。
<結果>
配列番号1〜14および22〜75に示す計68種類のペプチド配列が得られた(表1)。
Figure 2008084652
Figure 2008084652
Figure 2008084652
実施例2 共焦点蛍光顕微鏡によるHUVECへのファージ結合の確認
<方法>
HUVECを2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地中96ウェルガラスボトムプレート(あらかじめコラーゲン溶液を添加、洗浄してコーティングを行ったプレート)に3x10/mlの密度で0.1ml播種し、37℃で24時間培養し、150μlPBS洗浄後、活性化HUVEC調製ウェルにはHuH−7肝癌細胞培養上清0.05mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.05mlを、非活性化HUVEC調製ウェルには5%FCSを含むDMEM培地0.05mlおよびEBM−2培地(増殖因子不含)0.05mlを添加して37℃で24時間培養を行った。使用する細胞をPBSで洗浄後、0.1%BSAを含むPBSで希釈したファージクローン(ファージ数約2x10TU/ml)を添加し、室温で30分間反応を行った。反応後の細胞を150μlのPBSで3回洗浄後、4%パラホルムアルデヒドを含むPBS100μlを添加して37℃で10分間固定化反応を行った。PBSで3回洗浄した後、0.2%TritonX−100を含有するPBS100μlを添加して室温30分間反応させ、さらにPBSで3回洗浄後、0.1%BSAを含むPBS100μlを添加して10分間ブロッキング反応を行った。PBSで3回洗浄後、0.1%BSA/PBSで1000倍希釈した抗M13ファージ抗体(アマシャム社、マウスモノクローナル抗体)100μl、0.1%BSA/PBSで2000倍希釈したフルオレセイン標識抗マウスIgG抗体(ザイメッド社)100μl、0.1%BSA/PBSで1000倍希釈したAlexa488標識抗フルオレセイン抗体(モレキュラープローブ社)50μlを、順次室温でそれぞれ30分間、30分間、15分間反応させた。各反応後は、細胞を150μlPBSで3回洗浄した。最終反応後の細胞を共焦点レーザー蛍光顕微鏡(オリンパスFV1000)で観察し、活性化HUVEC、非活性化HUVECそれぞれに結合したファージに由来する輝点の数を比較することで、細胞結合性を評価した。
<結果>
活性化HUVEC、非活性化HUVECに結合したファージを蛍光標識抗体で染色し、共焦点蛍光顕微鏡で観察することにより、各ファージクローンのそれぞれの細胞への結合性をスコアリングした結果を表2に示す。また代表的な結果として、クローン6の共焦点蛍光顕微鏡写真を図2に示す。多くのクローンにおいて、活性化HUVECに特異的な結合が観察された。
Figure 2008084652
実施例3 ペプチドの合成と高分子複合体の調製
実施例1で決定した塩基配列を持つペプチドを、Fmoc固相合成法により化学合成した。細胞への結合取込評価の指標となるよう、各ペプチドのアミノ末端には蛍光色素フルオレセインを結合した。また、各ペプチドのカルボキシル末端には、下記の高分子複合体を作製するための官能基としてチオール基を導入する目的でシステイン残基を付加した配列で合成した。
各ペプチドは、薬物キャリアとしての細胞への結合取込機能を評価するため、以下の(1)、(2)の方法により、蛍光標識ペプチド−高分子複合体を作製した。
(1)ペプチド−マルチアームPEG複合体の作製
1分子あたり4個のマレイミド基を有するPEG(日本油脂製マルチアームPEG、SUNBRIGHT PTE−200MA)を2mMの濃度でDMSOに溶解し、この溶液20μlと等量(20μl)の10mMフルオレセイン標識ペプチドDMSO溶液を混合して、室温で2時間反応させた。PBS60μlを添加して総量を100μlに希釈した後、あらかじめ500μlのPBSで3回洗浄して平衡化したスピンカラム(バイオラッド社マイクロバイオスピンカラム30)を用いて脱塩処理し、未結合のペプチドを分離除去し、ペプチド−マルチアームPEG複合体を得た。
(2)ペプチド−ウシ血清アルブミン(BSA)複合体の作製
20mgのBSAを1mlの50mM炭酸水素ナトリウム溶液に溶解して、0.3mM溶液を作製した。この溶液全量(1ml)に、PEG鎖スペーサーを有する2価性架橋試薬であるNHS−PEO12−マレイミド(ピアス社製カタログNo.22112)の250mM溶液20μl(最終濃度5mM)を加えて室温で1時間反応させた。反応後の溶液100μlを、あらかじめ500μlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で3回線乗して平衡化したスピンカラム(バイオラッド社マイクロバイオスピンカラム30)を用いて脱塩処理し、未反応の架橋試薬を分離除去した。脱塩後の溶液50μlを等量の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)と混合して希釈し、得られた溶液100μlに、フルオレセイン標識ペプチドDMSO溶液10μlを添加して室温で1時間反応させた。反応後の溶液全量を、あらかじめ500μlのPBSで3回洗浄して平衡化したスピンカラム(バイオラッド社マイクロバイオスピンカラム30)を用いて脱塩処理することで、未結合のペプチドを分離除去し、ペプチド−BSA複合体溶液を得た。
実施例4 蛍光標識ペプチド−PEG複合体の内皮細胞への取込(定量解析)
<方法>
96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプレート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回洗浄後、1x10個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μlの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ培地50μlと、実施例3(1)で調製したペプチド−マルチアームPEG複合体(配列番号12、13、16(配列番号14の部分配列)、77)を培地で希釈してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを順次添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行った。(細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)培養後の細胞をHBSS(+)緩衝液150μlで3回洗浄して未結合のペプチド−マルチアームPEG複合体を除去した後、1%SDSを含有するHBSS(+)100μlを加えて細胞に結合または取り込まれたペプチドを抽出した。抽出液を別の96ウェルマイクロプレート(黒色プレート)に写し、蛍光光度計を用いて励起波長490nm、検出波長530nmでの蛍光を測定した。添加したそれぞれのペプチド−マルチアームPEG複合体の蛍光強度を100%として、細胞から回収された蛍光量から細胞へのペプチド取込量(%)を計算した。
<結果>
各ペプチド−マルチアームPEG複合体の回収率を表3に示す。ネガティブコントロールであるランダム配列ペプチド(配列番号77)と比較して、本発明の3種のペプチド(配列番号12、13、16)はいずれも高い回収率を示した。
Figure 2008084652
実施例5 蛍光標識したペプチド−BSA複合体の内皮細胞への取込(定量解析)
<方法>
96ウェルマイクロプレート(Corning社No.3595)に1x10個/mlのHUVEC細胞100μlを播種し、37℃5%CO2条件下で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μlの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ培地50μlと、実施例3(2)で調製したペプチド−BSA複合体(配列番号12、13、16、77)を培地で希釈してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを順次添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行った(細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応後の細胞に結合または取り込まれたペプチド−BSA複合体の回収および蛍光定量を、実施例3と同じ方法で行った。
<結果>
各ペプチド−BSA複合体の回収率を表4に示す。ネガティブコントロールのランダム配列ペプチド(配列番号77)と比較して、本発明の3種のペプチド(配列番号12、13、16)はいずれも高い回収率を示した。
Figure 2008084652
実施例6 蛍光標識したペプチド−BSA複合体の内皮細胞(HUVEC)およびHeLa細胞への取込(画像解析)
<方法>
96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプレート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回洗浄後、1x10個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μlの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ培地50μlと、実施例3(2)で調製したペプチド−BSA複合体(配列番号12、13、16、77)を培地で希釈してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを順次添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行った(細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応後の細胞を、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社FV1000)を用いて観察した。
<結果>
各ペプチド−BSA複合体を反応させた細胞の共焦点レーザー顕微鏡画像を図3に示す。HUVEC細胞については、本発明の3種のペプチド(配列番号12,13,16)はいずれも細胞内に明るい輝点が多数観察され、細胞内にペプチドが取り込まれていることが示された。ネガティブコントロールのランダム配列ペプチド(配列番号77)は、細胞内のペプチドは全く観察されなかった。
一方、内皮細胞以外の比較細胞として用いたHeLaの場合には、配列番号12,13,16で表される本発明のペプチドとともに、HUVECへの取り込みと比較してごく少量のペプチドしか細胞内に観察されず、取り込みが内皮細胞特異的であることが示された。
実施例7 蛍光標識したペプチド−マルチアームPEG複合体の内皮細胞への取込(画像解析スコアリング)
<方法>
96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプレート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回洗浄後、1x10個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μlの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM−2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ培地50μlと、実施例3(1)で調製したマルチアームPEG−ペプチド複合体(配列番号12のペプチドとその部分ペプチド(配列番号17、18、19)、配列番号13のペプチドとその部分ペプチド(配列番号15、20、21)、ランダム配列ペプチド(配列番号77))を培地で希釈してペプチド濃度32μMとした溶液50μlを順次添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行った(細胞と反応時のペプチド濃度16μM。)。反応後の細胞を、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社FV1000)を用いて観察した。細胞内に認められるペプチド由来の蛍光輝点の量を以下の通りスコアリングした。
スコア0: 細胞内の蛍光輝点は認められない
スコア1: 細胞内に、かすかな蛍光輝点が認められる
スコア2: 細胞内に、スコア1よりも明瞭な蛍光輝点が認められる
スコア3: 細胞内に、スコア2よりもさらに明るい蛍光輝点が多数見られる。
<結果>
スコアリングの結果を表5に示す。配列番号12のペプチド由来の部分ペプチド(配列番号17,18,19)は、もとの配列番号12のペプチドよりも弱いながらもいずれも細胞内の蛍光が認められ、細胞内への取り込みが確認された。配列番号13のペプチド由来の部分ペプチド(配列番号15、20、21)もいずれも細胞内の蛍光が認められ、細胞内への取り込みが確認された。特に配列番号13のペプチドの12merペプチドの5−12アミノ酸残基に相当するペプチド(配列番号15)は、配列番号13のペプチドと同等の蛍光が認められた。
一方、ネガティブコントロールのランダム配列ペプチド(配列番号77)は、細胞内の蛍光は全く観察されなかった。
Figure 2008084652
実施例8 蛍光標識したペプチド−マルチアームPEG複合体の腫瘍への集積評価
<方法>
8週齢のBALB/cマウス(雄)(日本SLCより購入)に、PBSに懸濁したマウス大腸癌細胞(colon26細胞)を1.5×10個/匹で皮下移植した。1ヵ月後、腫瘍直径が約1.5cmになった状態で、実施例3(1)で調製したマルチアームPEG−ペプチド(配列番号12および13)複合体のPBS懸濁液200uLを尾静脈投与した。投与24時間後、マウスを安楽死させ、腫瘍塊を摘出した。摘出した腫瘍隗はOCTコンパウンド(サクラファインテック社)を用いて包埋し凍結ブロックを作製した。この凍結ブロックからクリオスタット(ブライト社製)を用いて腫瘍組織の凍結切片を作製した。得られた組織切片は冷風で1時間風乾した。この組織切片をPBSで洗浄しOCTコンパウンドを除去した後、アセトンに5分間浸漬することで固定処理を行った。固定処理後、10%牛胎児血清を含むPBSを室温で30分間作用させることでブロッキング処理を行った。ここにペプチドに修飾されている蛍光色素フルオレセインに対する抗体(anti−fluorescein/Oregon Green rabbit IgG fraction Alexa Fluor 488 conjugate、Molecular Probes社)と血管内皮細胞に発現していることが知られている表面抗原CD31に対する抗体(Biotinanti−mouse CD31、BD Pharmingen社)を100倍の希釈率で作用させ室温で2時間インキュベーションすることで1次抗体反応を行った。反応終了後、PBSで洗浄を行い、続いてそれぞれの1次抗体に対する蛍光標識抗体(Alexa Fluor 488 conjugate goat anti−rabbitIgG、Molecular Probes社と、Streptavidin Alexa Fluor 594 conjugate、Invitrogen社)を作用させることで2次抗体反応を行った。2次抗体反応終了後、PBSで十分に洗浄を行いカバーガラスにて封入し、蛍光顕微鏡(IX−70、オリンパス社製)を用いて観察を行いペプチドの腫瘍組織への集積を評価した。
<結果>
蛍光顕微鏡による観察像を図4に示す。観察の結果、腫瘍組織内にペプチドに由来する蛍光が観察され、静脈内投与した蛍光標識ペプチド−PEG複合体が腫瘍部に集積することが示された。また、ペプチド由来の蛍光の位置とCD31で染色される位置が一致したことより、蛍光標識したペプチド−マルチアームPEG複合体は腫瘍組織内の血管部位に局在していることが示された。
実施例9 ドキソルビシンを内封したペプチド修飾リポソームの調製
<方法>
水素化大豆ホスファチジルコリン(10mg)、コレステロール(3.4mg)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール5000(3.5mg)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール5000−マレイミド(3.1mg)をクロロフォルムに溶解させ、エバポレータを用いてフラスコ内で溶媒を除去し薄膜を形成させた。このものに、250mMアンモニウム硫酸水溶液1.7mLを添加し、65℃で過熱した。得られたベシクルを、ポアサイズ1.0μm、0.4μm、0.2μmの多孔膜を順次用いてエクストルーダーで整粒した。調製した粒径約200nmのリポソームに、リモートローディング法によりドキソルビシンを封入した。カラムにより未封入ドキソルビシンを除いた後、マレイミドに対して1/5量にあたるペプチド(配列番号12、13、76(配列番号7の部分配列)、78)をそれぞれ添加し、各種ペプチドが導入されたリポソームを調製した。未反応のマレイミドは、3倍量の2-メルカプトエタノール添加し不活化した。
実施例10 ドキソルビシンを内封したペプチド修飾リポソームのHUVECへの取り込み(定量解析)
<方法>
24ウェルプレートで培養した50−60%コンフルエントの正常ヒト臍帯静脈内皮細胞について、培地を交換後、培地の半量のドキソルビシン内封ペプチド修飾リポソーム分散液を添加した。6時間後リン酸緩衝液で洗浄後、トリプシン処理し、遠心操作で細胞を回収した。細胞ペレットに10%Triton X−100を50μL添加し、細胞及びドキソルビシン内封ペプチドリポソームを溶解させた後、0.75MHClを10%加えたイソプロパノールを350μL添加し、一晩−20℃で静置した。遠心操作後上澄みをODSカラムで分析し細胞に取り込まれたドキソルビシンを定量した。
<結果>
結果を図5に示す。配列番号12、13、76を導入したリポソームでは、ランダム配列(配列番号78)のペプチドを導入したリポソームおよびペプチドを導入していないリポソームと比較して、ドキソルビシンの取り込み量が顕著に上昇した。特に、配列番号13を導入したリポソームでのドキソルビシン取り込み量は、配列番号12、76を導入した場合よりも高く、ペプチド導入していないものの約3倍であった。
本発明のペプチドは、固形腫瘍などの病変組織に存在する新生血管に特異的に集積することが期待でき、この性質を用いて血管新生を伴う各種疾患の治療、診断に使用できる。

Claims (5)

  1. 以下の(A)、(B)または(C)いずれかのペプチド。
    (A)配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (B)配列番号1〜76のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
    (C)前記(A)または(B)のペプチドを部分配列として含有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドをコードする核酸。
  3. 請求項1に記載のペプチドが親水性高分子と結合していることを特徴とする、ペプチド結合体。
  4. 請求項1に記載のペプチドを含有することを特徴とする医薬組成物。
  5. 請求項1に記載のペプチドを用いて、新生血管に薬物を集積させる方法。
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