JP5724369B2 - 鋳片の切断装置及び鋳片の切断方法 - Google Patents

鋳片の切断装置及び鋳片の切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鋼等の鋳片をトーチ切断しスラブとする鋳片の切断技術に関する。特に、鋳片を搬送する搬送ロールの退避動作に伴う切断後のスラブの落下防止に有効な技術を提供する。
トーチ下に位置した搬送ロールのトーチ火炎による溶損、熱影響による劣化を防止するために、トーチ火炎接近時には、ロール昇降装置によって搬送ロールを下げて退避する方法、又は、ロールスイング機構により、搬送ロールを高速でトーチ火炎の下を通過させて退避する方法(特許文献1を参照)などによって、適宜搬送ロールをトーチ火炎から退避させている。
特公昭53−6184号公報 特許第3794888号公報
ここで、鋳片を搬送する搬送ロールのピッチDは、一般に、製造対象とするスラブ長さの下限を考慮して設計される。すなわち、ロール中心よりL(m)手前で搬送ロールの退避動作を開始するように設定した場合、「スラブ長さの下限 ≧(D十L)x2十α(余裕代)」を満足するように上記ピッチDを設計する。
このとき、厚板向けなどの鋳片については、加熱炉に装入する際のスラブ長さが短いものが存在し、その指定された短い長さのスラブを上記搬送ロールで搬送中に切断できない場合には、複数枚をあわせた長さ(連尺)で一旦切断しておき、別設備で指定された長さとなるように切断するなどの処置が必要となるケースが多い。従って、スラブ長さの下限の制約を緩和するニーズは高い。一方、搬送ロールのピッチDを短くすることは、設備コストの増加につながり、新規設備であればまだしも、既存設備の改造となると、多大なコストが発生する。
また、退避式搬送ロールは、過酷な条件下での使用を余儀なくされるため、動作不良を起こす場合がある。退避式搬送ロールが動作不良を起こすと、下降退避の動きが遅くなったり、わずかに動いただけで搬送ロールが引っかかって止まったり、全く動かなくなってしまうことがある。
ここで、特許文献2には、トーチの直下に相当する位置の搬送ロールが、退避位置への退避が不可能又は不十分な場合には、該搬送ロール上をトーチが通過する間、鋳片の切断を一時中断し、該搬送ロール上をトーチが通過した後は鋳片の切断を再開する方法、及び、前記退避位置への退避が不可能又は不十分な搬送ロールの存在があらかじめ明らかである場合には当該搬送ロールを搬送位置に固定する方法が提案されている。この特許文献2の技術は、退避動作の不良にともなうトーチ火炎による搬送ロールの損傷回避、並びに、動作不良の搬送ロールがあらかじめ明らかな場合に搬送ロールを搬送位置で固定して操業するものであるが、一度下降退避させたロールの復帰動作が異常となったケースについて発生するスラブ落下のトラブルに対する解決策を示せていなかった。
本発明は、上記のような点に着目したもので、より確実に切断したスラブの落下を防止することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、鋳片の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロールによって鋳片を搬送しながら、上記搬送される鋳片と同期して移動する切断機によって、搬送中の上記鋳片を幅方向に切断して上記搬送ロールのロールピッチの2倍以上の長さのスラブとする鋳片の切断装置において、
鋳片移動方向において上記切断機による切断位置に対し一番近い搬送ロールを直近搬送ロールと定義し、上記スラブの重心位置から上記切断位置までの距離をY、上記直近搬送ロールのロール中心位置から上記切断位置までの距離をXとした場合に、
上記切断完了する際に、「距離Y<距離X」と判定すると、「距離Y≧距離X」と判定するまで、上記切断機による切断動作を一時停止させることを特徴とする。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
上記切断位置が上記退避手段によって退避させる搬送ロールに対し予め設定した距離以下まで接近している場合には、上記退避させる搬送ロールを上記直近搬送ロールの対象から外すことを特徴とする。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
上記切断完了位置が、上記退避手段によって退避させる搬送ロールに対し予め設定した距離以下まで接近する位置から当該退避させる搬送ロールから予め設定した距離だけ離れた位置の範囲内にあると判定すると、上記退避させる搬送ロールの退避を禁止し、
上記退避動作を禁止した搬送ロール上を切断位置が通過する際に上記切断動作を一時中断することを特徴とする。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
上記退避手段によって退避動作を実施した搬送ロールが搬送位置まで復帰していない場合には、その復帰していない搬送ロールを、上記直近搬送ロールの対象から外すことを特徴とする。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
上記退避手段によって退避した搬送ロールが搬送位置まで復帰していない場合には、その復帰していない搬送ロールに続く1又は2以上の搬送ロールについて上記退避手段による退避動作を禁止し、
上記退避動作を禁止した搬送ロール上を切断位置が通過する際に上記切断動作を一時中断することを特徴とする。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の鋳片の切断装置によって、搬送中の鋳片を幅方向に切断してスラブとする鋳片の切断方法を提供するものである。
本発明によれば、連続鋳造によって製造した鋳片を切断してスラブとする際に、より確実にスラブの落下を防止することが可能となる。
連続鋳造設備を示す模式図である。 本発明に基づく実施形態に係る鋳片の切断装置を説明するための図である。 本発明に基づく実施形態に係るコントローラの構成を説明する図である。 搬送ロールの退避時の状態を説明する模式図である。 切断ロール制御部の処理を説明する図である。 直近搬送ロールが次に退避する搬送ロールの状態を示す図である。 直近搬送ロールを退避した状態を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、鉄鋼の製鋼プロセスにおける連続鋳造設備について説明する。転炉その他の精錬設備において精錬された溶鋼1は、レードル2を経てタンディッシュ3からモールド4に鋳込まれる。そして、溶鋼1はモールド4で表面層のシェル部が凝固した状態で下方に引き抜かれ、鋳片5となる。その引き抜かれた鋳片5は、モールド4の直下では、シェル部のみが凝固した状態で、内部は溶鋼1のままであり、モールド4の下方では、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6により引き抜かれていく。そして、冷却水でスプレー冷却されながら内部まで凝固していく。さらに上記鋳片5は、矯正装置7で矯正された後、搬送装置10で搬送されている間に、切断手段8で目的の長さに切断されて、順次、スラブ9となる。
上記搬送装置(ローラテーブル)10は、図2に示すように、複数の搬送ロール11、各搬送ロール11を回転駆動する回転駆動装置12、各搬送ロール11を搬送位置Tから退避位置Rに移動するロール移動機構を有する。
上記複数の搬送ロール11は、鋳片5の搬送方向に並ぶことで、パスラインに沿って鋳片5及び切断後のスラブ9を搬送可能となっている。
また、回転駆動装置12は、例えば電動モータや油圧モータなどから構成されて、上記搬送ロール11の軸に回転トルクを伝達可能となっている。そして、上記搬送ロール11に回転トルクを付与することで、鋳片5及び上記スラブ9を搬送方向に沿って送ることが可能となっている。
また、上記ロール移動機構は、各搬送ロール11を、上記鋳片5の下面を支持可能な搬送位置Tと、上記鋳片5から離れた退避位置Rとの間を移動させるための機構である。本実施形態では、ロール移動機構をシリンダ装置13から構成する。この場合、各搬送ロール11を回転可能に支持する支持部に対し、軸を上下に向けたシリンダ装置13のピストンロッド13aの先端部が接続して構成する。これによって、シリンダ装置13を作動することで、対応する搬送ロール11は、上記搬送位置Tと、その搬送位置Tの下方である退避位置Rとの間を昇降することが可能となっている。ここで、ロール移動機構は、搬送ロール11を昇降するシリンダ装置13に限定されず、上述の特許文献に記載等のように、搬送ロール11をスイングすることで上記搬送位置Tと退避位置Rとの間を移動可能に構成しても良い。ロール移動機構は、搬送位置Tと退避位置Rとの間の移動が可能であれば、ロール移動機構の機構は特に限定されない。また、搬送位置Tから退避位置Rへの移動の軌道と、退避位置Rから搬送位置Tへの移動の軌道が異なっていても良い。
ここで、搬送ロール11が搬送位置Tにあるか、又は退避位置Rにあるかは、位置検出ができる方法であれば何れでも良いが、具体的には不図示の近接スイッチ、リミットスイッチ、光電スイッチ等のセンサによって検出可能な構造とすることが可能である。
また、上記ロール移動機構は、初期位置として、対応する搬送ロール11の位置を搬送位置T(上昇位置)としておく。
また、上記切断手段8は、図2に示すように、レール20と、台車21と、台車21に支持されたトーチ22とを備える。トーチ22が切断機を構成する。
レール20は、上記複数の搬送ロール11の上方に位置し、当該複数の搬送ロール11の配列方向に沿って延在するようにして配置されている。
上記台車21は、不図示の駆動装置によって駆動され、上記レール20上を、鋳片5の移動と同期して走行可能となっている。本実施形態の台車21は、不図示のクランプ機構を備え、そのクランプ機構によって鋳片5をクランプすることで、鋳片5と同期して走行可能となっている。もちろん、台車21を、モータなどの駆動源を備えた自走式として構成して、鋳片5の移動速度情報に基づき上記駆動源を駆動することで、鋳片5の移動と同期して走行するように構成しても良い。
トーチ22は、噴射するガスが着火してなる火炎によってスラブ9の切断を行う。トーチ22には、図示しない配管系からプロパン等の燃料ガスと酸素が供給されており、その燃料ガスと酸素との混合ガスを、下方に向いた火口から噴射し、噴射した混合ガスが着火してなる火炎で鋳片5の溶断を行う。
ここで、トーチ22は、燃料ガスと酸素の圧力、流量等を最低限に絞り込んだ種火状態と、燃料ガスと酸素の圧力、流量等をある程度絞り込み、鋳片5の溶断はできないものの、いつでも溶断に移行できる状態である予熱状態と、燃料ガスと酸素を充分に供給し、鋳片5を溶断することが可能な切断状態との3つの状態を適宜切り換えることが可能である。
また、上記トーチ22を、台車21に対し、下方に位置する鋳片5の幅方向に変位可能な横変位機構(不図示)を備える。この横変位機構によって、トーチ22は、台車21が台車移動範囲内を移動する間に、鋳片5を幅方向に横断することでスラブ9の溶断を行うことが可能となっている。
上記台車21は、連続鋳造材(鋳片5)の切断が完了する毎に、初期位置の方向に戻るようになっている。鋳造ピッチが速い場合には、上記台車21は、初期位置(原点)まで戻ることなく初期位置側の最上流で待機する場合もある。
また、鋳片5の移動量を計測するメジャーリングロール23を備える。
また、各搬送ロール11の退避位置Rの近傍には、当該搬送ロール11に冷却水を吹き付け可能な吹き付けノズル24を備える(図4参照)。吹き付けノズル24は、供給された冷却水を搬送ロール11に吹き付ける。ここで、吹き付けノズル24は、搬送ロール11と同調して移動することが好ましい。または、搬送位置Tの近傍から退避位置Rまでの広範囲に渡って吹き付け可能なように設置位置と向きを調整することが好ましい。
また、上記搬送装置10及び切断手段8の作動は、切断用コントローラ30によって制御される。その切断用コントローラ30の構成の一例を次に説明する。切断用コントローラ30の構成は、以下に説明する構成に限定されない。
切断用コントローラ30は、図3に示すように、走行制御部30A、切断制御部30B、退避制御部30C、ロール位置判定部30D、切断完了直前判定部30E、及び切断ロール制御部30Fを備える。
走行制御部30Aは、上位のコントローラからスラブ9の長さを取得し、メジャーリングロール23の計測によって、取得した長さのスラブ9とするための鋳片5の切断位置Sを検出すると、クランプ機構を作動させて、台車21を鋳片5にクランプさせる。これによって、台車21は、鋳片5と同期をとって移動する。走行制御部30Aは、切断完了を検出すると、クランプを解除して、退避位置Rに台車21を走行させて待機状態に戻す。
切断制御部30Bは、クランプ機構による上記クランプが完了したと判定すると、トーチ22を着火して切断を開始すると共に、横変位機構を作動して予め設定した横変位速度で、トーチ22を鋳片5の幅方向に移動する。これによって、鋳片5を切断する。また切断制御部30Bは、切断が完了したら、トーチ22を初期位置に横変位させる。但し切断制御部30Bは、切断一時中断信号を入力しているときは、トーチ22の火炎を切断状態から予熱状態に変更すると共にトーチ22の幅方向の移動も一時停止させる。
また、退避制御部30Cは、メジャーリングロール23の計測に基づき上記切断位置Sを判定し、各搬送ロール11に対し、対象とする搬送ロール11上を上記切断位置Sが通過する間、ロール移動機構を作動させて、当該搬送ロール11を搬送位置Tから退避位置Rに一時的に移動させる。具体的には、図4のように、対象とする搬送ロール11のロール中心位置に対して予め設定した接近距離L1まで上記切断位置Sが近づくと、ロール移動機構を構成するシリンダ装置13を作動させて、対象とする搬送ロール11を降下させて下方位置(退避位置R)に退避させる。続けて、退避制御部30Cは、対象とする搬送ロール11の搬送位置Tを切断位置Sが通過し、更にロール中心位置から予め設定した離隔距離L2まで上記切断位置Sが離隔したと判定すると、ロール移動機構を構成するシリンダ装置13を作動させ、対象とする搬送ロール11を上昇させて、搬送位置Tに復帰する。この動作を各搬送ロール11に対して実施する。
ただし、退避制御部30Cは、退避中断指令を入力すると、退避中断指令を入力した搬送ロール11については、搬送位置Tから退避位置Rへの退避動作処理を中止する。また、退避制御部30Cは、退避中断指令を入力すると、退避中断指令に対応する搬送ロール11上を上記切断位置Sが通過する間、つまり対象とする搬送ロール11に対して予め設定した接近距離L1まで上記切断位置Sが近づいたときから、対象とする搬送ロール11の搬送位置Tを切断位置Sが通過し、更に予め設定した離隔距離L2まで上記切断位置Sが離れたと判定するまで、上記切断制御部30Bに対して切断一時中断信号を出力する。
ロール位置判定部30Dは、各搬送ロール11について、搬送位置Tに復帰しているか否かを判定する。搬送ロール11の位置は、例えば、シリンダ装置13のピストンロッド13aのストローク位置に基づき判定したり、リミットスイッチで判定したりする。搬送位置Tに復帰か否かは、搬送位置Tに存在する場合かで判定しても良いし、退避位置Rよりも搬送位置Tに近く且つ、搬送位置Tから予め設定した高さ分だけ低い状態を復帰した状態と判定しても良い。上記高さ分は、スラブ9が傾いても当該スラブ9を支持可能な高さが維持出来る高さである。
切断完了直前判定部30Eは、スラブ9の切断完了直前か否かを判定する。例えば、幅方向の切断の残りが予め設定した残存量(例えば100mm)以下となった場合に、切断完了直前と判定する。
切断ロール制御部30Fは、切断の一時停止及び搬送ロール11の退避動作禁止を制御する。
その切断ロール制御部30Fの処理の一例を図5を参照して説明する。
まずステップS10にて、上記切断完了直前判定部30Eが切断完了直前と判定するまで待機し、切断完了直前と判定するとステップS20に移行する。
ステップS20ではメジャーリングロール23によって取得する切断位置Sの位置と、各搬送ロール11の設置位置情報に基づき、鋳片移動方向において上記切断位置Sに対し一番近い搬送ロール11を直近搬送ロールを判定する。
このとき、ロール位置判定部30Dの判定に基づき、搬送位置Tに復帰していない搬送ロール11が存在すると判定した場合には、その復帰していない搬送ロール11を直近搬送ロールの対象から外して、直近搬送ロールを決定する。これによって、鋳片移動方向において、切断位置Sに一番近い搬送ロール11が上記復帰していない搬送ロール11の場合には、その次に近い搬送ロール11を直近搬送ロールと判定することになる。
また、切断位置Sが、次に退避対象となる搬送ロール11のロール中心位置に対して予め設定した距離(接近距離L1+ΔL1)と退避対象となる搬送ロール11のロール中心位置との間に位置している場合には、上記次に退避対象となる搬送ロール11を直近搬送ロールの対象から外して、直近搬送ロールを決定する。ΔL1は予め設定した余裕代である。これによって、次に退避対象となる搬送ロール11が退避してもスラブ9の落下を防止出来る。
ここで、切断完了時の切断位置Sの位置を推定して、その切断完了時の切断位置Sが、次に退避対象となる搬送ロール11のロール中心位置に対して予め設定した距離(接近距離L1+ΔL1)だけ接近した位置から、次に退避対象となる搬送ロール11のロール中心位置に対して予め設定した距離(離隔距離L2+ΔL2)だけ離れた位置の範囲内にある場合に、当該次に退避対象となる搬送ロール11を直近搬送ロールの対象から外すように処理しても良い。ΔL1、ΔL2は予め設定した余裕代である。
次に、ステップS30では、判定した直近搬送ロールの位置情報と切断位置Sの情報から、上記直近搬送ロールのロール中心位置から上記切断位置Sまでの距離Xを演算する。
次にステップS40では、切断するスラブ長から、スラブ9の重心位置から上記切断位置Sまでの距離Yを演算する。通常は、スラブ長の半分を距離Yとすればよいが、幅変更部に発生するテーパ付きのスラブについては、テーパ形状を基に重心位置を求めることが望ましい。
次に、ステップS50では、「距離Y<距離X」を満足するか否かを判定する。上記条件を満足する場合には、ステップS60に移行する。一方、上記条件を満足しない場合には、切断が完了するまでステップS50の処理を所定サンプリング時間毎に繰り返して実施する。
ステップS60では、「距離Y≧距離X」を満足するまで、切断一時中断信号を切断制御部30Bに出力する。「距離Y≧距離X」を満足した場合には、ステップS50に移行する。
(動作その他)
鋳片5の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロール11によって鋳片5を搬送しながら、上記搬送される鋳片5に同期して移動するトーチ22の火炎によって、搬送中の上記鋳片5を幅方向に切断して、スラブ9とする。
このとき、切断位置S、すなわちトーチ22の火炎が予め設定した接近距離L1まで接近した搬送ロール11を順次、搬送位置Tから退避位置Rに一時的に退避させて、トーチ22の火炎から各搬送ロール11を保護する。
また、上記切断完了する際に、「距離Y<距離X」と判定すると、つまり直近搬送ロールのロール中心位置から上記切断位置Sまでの距離Xが、スラブ9の重心位置から上記切断位置Sまでの距離Yよりも短い状態の場合には、一時的に切断を停止(縁切り完了を中断)し、距離Y≧距離Xとなってから切断を完了する。これによって、短尺のスラブ9であっても、従来の搬送ロールのピッチのままで、スラブ9の落下を防止、つまり短尺のスラブ9の切断が可能となる。すなわち、設備の大掛かりな改造などが不要となる。
また、このとき、図6に示すように、直近搬送ロールが、次に退避する搬送ロール11aであっても、切断完了が次に退避する搬送ロール11aの前後位置にある場合には、当該次に退避する搬送ロール11aを直近搬送ロールの対象から外す。これによって、当該次に退避する搬送ロールを退避させても、切断完了によってスラブ9が落下することが防止される。ここで、図6の場合には、搬送ロール11bが直近搬送ロールとなる。
また、図7のように、上昇不良などによって、搬送位置Tに復帰していない搬送ロール11cが、直近搬送ロールとなる場合もある。この場合、復帰していない搬送ロール11cを直近搬送ロールの対象としないので、当該復帰していない搬送ロール11cでスラブ9を支持できなくても、スラブ9の落下を防止することができる。すなわち、図7の状態では、スラブ9重心点Gが、直近搬送ロールと判定された搬送ロール11bのロール中心位置を超える迄は、切断完了のための切断が一時中断することとなる。
ここで、上記復帰していない搬送ロール11cを検出した場合には、その復帰していない搬送ロール11cに続く予め設定した数の搬送ロール11b、11dについて退避動作を禁止し、且つ上記退避動作を禁止した搬送ロール11b、11d上を切断位置Sが通過する際に上記切断動作を一時中断するようにすると良い。
このように制御することで、上昇不良などで復帰していない搬送ロール11cが存在しても、それに続く1又は2以上の搬送ロール11b、11dがスラブ9を確実に支持することとなるので、安定的にスラブ搬送を行うことが可能となる。
ここで、上記実施形態では、図6のように、次に退避させる搬送ロール11aの近傍に切断完了直前の切断位置Sが来ることがあっても、切断位置Sが接近すると当該搬送ロール11aを退避する場合の例で説明した。
これに代えて、上記切断完了位置が、次に退避させる搬送ロール11aに対し予め設定した距離(L1+ΔL1)以下まで接近する位置から当該退避させる搬送ロールから予め設定した距離(L2+ΔL2)だけ離れた位置の範囲内と判定すると、上記退避させる搬送ロール11aの退避を禁止してもよい。また、上記退避動作を禁止した搬送ロール11a上を切断位置Sが通過する際に上記切断動作を一時中断する。この場合には、次に退避させる搬送ロールも直近搬送ロールの対象として構わない。
以上のような構成によって、本実施形態は次の効果を奏する。
(1)従来短尺スラブを切断出来ず、次工程を追加した上で切断する必要があったり、スラブ9の落下を懸念しながら操業する必要があった。これに対し、本実施形態を採用することで、短尺スラブを切断する際には、適宜、切断動作の一時停止、ロールの退避動作を禁止することなどで、設備の大掛かりな改造などをすることなく、短尺スラブの切断も搬送装置で搬送中に可能となった。
また、短尺スラブに対しては、落下が懸念される位置で切断完了させないようにしたので、操業が安定するとともに、次工程追加の省略も可能となった。
(2)退避したロールの復帰動作が異常な場合を考慮して、切断動作の一時停止、ロールの退避動作を禁止することなどで、設備トラブル時もスラブ9の落下を防止できた。
(3)復帰動作が異常なロールに隣接するロールについては下降対象外とすることで、安定的なスラブ搬送が可能となった。
5 鋳片
8 切断手段
9 スラブ
9 従来短尺スラブ
9 スラブ
10 搬送装置
11 搬送ロール
13 シリンダ装置
20 レール
21 台車
22 トーチ
23 メジャーリングロール
24 吹き付けノズル
30 切断用コントローラ
30A 走行制御部
30B 切断制御部
30C 退避制御部
30D ロール位置判定部
30E 切断完了直前判定部
30F 切断ロール制御部
S 切断位置

Claims (6)

  1. 鋳片の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロールによって鋳片を搬送しながら、上記搬送される鋳片と同期して移動する切断機によって、搬送中の上記鋳片を幅方向に切断して上記搬送ロールのロールピッチの2倍以上の長さのスラブとする鋳片の切断装置において、
    鋳片移動方向において上記切断機による切断位置に対し一番近い搬送ロールを直近搬送ロールと定義し、上記スラブの重心位置から上記切断位置までの距離をY、上記直近搬送ロールのロール中心位置から上記切断位置までの距離をXとした場合に、
    上記切断完了する際に、「距離Y<距離X」と判定すると、「距離Y≧距離X」と判定するまで、上記切断機による切断動作を一時停止させることを特徴とする鋳片の切断装置。
  2. 上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
    上記切断位置が上記退避手段によって退避させる搬送ロールに対し予め設定した距離以下まで接近している場合には、上記退避させる搬送ロールを上記直近搬送ロールの対象から外すことを特徴とする請求項1に記載した鋳片の切断装置。
  3. 上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
    上記切断完了位置が、上記退避手段によって退避させる搬送ロールに対し予め設定した距離以下まで接近する位置から当該退避させる搬送ロールから予め設定した距離だけ離れた位置の範囲内にあると判定すると、上記退避させる搬送ロールの退避を禁止し、
    上記退避動作を禁止した搬送ロール上を切断位置が通過する際に上記切断動作を一時中断することを特徴とする請求項1に記載した鋳片の切断装置。
  4. 上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
    上記退避手段によって退避動作を実施した搬送ロールが搬送位置まで復帰していない場合には、その復帰していない搬送ロールを、上記直近搬送ロールの対象から外すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した鋳片の切断装置。
  5. 上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記鋳片の下面を支持可能な搬送位置から、上記鋳片から離れた退避位置に退避させる退避手段を備え、
    上記退避手段によって退避した搬送ロールが搬送位置まで復帰していない場合には、その復帰していない搬送ロールに続く1又は2以上の搬送ロールについて上記退避手段による退避動作を禁止し、
    上記退避動作を禁止した搬送ロール上を切断位置が通過する際に上記切断動作を一時中断することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した鋳片の切断装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の鋳片の切断装置によって、搬送中の鋳片を幅方向に切断してスラブとする鋳片の切断方法。




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