JP5741294B2 - 連続鋳造材の切断装置及び切断方法 - Google Patents
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搬送ロールの外周面でノロ地金塊が所定以上の大きさまで成長すると、そのノロ地金塊によって、搬送ロールで搬送される高温の連続鋳造材の下面に圧痕が発生したり、ノロ地金塊が鋳片下面に転写したりする。このようなことは、鋳片の表面品質が低下することになるから、ノロ地金が所定以上成長する都度、ノロ地金の除去作業を実施しなければならない。しかしこのような作業は、多大な労力を要するのに加えて、生産性が低下するという問題があった。
上記のような課題に鑑み、ノロ地金が搬送ロールに付着することを防止する従来技術として、特許文献1〜3の技術がある。
特許文献1には、切断機による連続鋳造材の切断位置が通過する搬送ロールを、搬送方向に沿った方向に旋回(スイング)させることで退避することが開示されている。
また、特許文献2や特許文献3には、切断機による連続鋳造材の切断位置を通過する搬送ロールを、連続鋳造材の幅方向外方にスライドして退避させることが開示されている。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、搬送ロールへのノロ地金の付着を防止し、ノロ地金塊の成長を回避することを目的としている。
上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材の下面を支持可能な搬送位置から、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避させる退避手段と、
搬送ロールの回転を検知する回転検知手段と、
上記回転検知手段の検知に基づき回転不良とされた搬送ロールの上を上記切断位置が通過する間、上記切断機による切断動作を一時停止する一時停止手段と、
を備え、
上記回転検知手段の検知に基づき回転不良とされた搬送ロールの上を上記切断位置が通過する際、その搬送ロールの位置を退避位置若しくは搬送位置と退避位置との中間位置に制御することを特徴とする。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記退避手段が退避した搬送ロール表面に水を吹き付ける水吹き付け手段を備えることを特徴とする。
上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避させる退避手段と、搬送ロールの回転を検知する回転検知手段とを備え、
上記切断位置が通過する搬送ロールが回転不良と判定した場合には、その回転不良とされた搬送ロールの上を切断位置が通過する間、上記切断機による切断動作を一時停止し、上記切断機による切断動作中に、搬送ロールの上を切断位置が通過する間、上記切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避する、ことを特徴とする。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項4又は請求項5に記載した構成に対し、上記退避手段が退避した搬送ロール表面に水を吹き付けて当該搬送ロールを冷却することを特徴とする。
まず、図1を参照して、鉄鋼の製鋼プロセスにおける連続鋳造設備について説明する。転炉その他の精錬設備において精錬された溶鋼1は、レードル2を経てタンディッシュ3からモールド4に鋳込まれる。そして、溶鋼1はモールド4で表面層のシェル部が凝固した状態で下方に引き抜かれ、連続鋳造材5となる。その引き抜かれた連続鋳造材5は、モールド4直下では、シェル部のみが凝固した状態で、内部は溶鋼1のままであり、モールド4の下方では、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6により引き抜かれていく。そして、冷却水でスプレー冷却されながら内部まで凝固していく。さらに上記連続鋳造材5は、搬送装置10で搬送されている間に、切断手段8で目的の長さに切断されて、順次、鋳片9となる。
ここで、各搬送ロール11の全部若しくは一部が、フリーロールである無駆動ロールであっても良い。すなわち、後述のようにロール回転速度を増大する場合には、搬送ロール11は駆動ロールであることが好ましいが、その他の場合には必ずしも駆動ロールである必要は無い。後述のようにロール回転速度を増大する場合であっても、搬送時は無駆動とし、退避位置に別途、ロールを回転する装置を設けるようにしても良い。
また、回転駆動装置12は、例えば電動モータや油圧モータなどから構成されて、上記搬送ロール11の軸に回転トルクを伝達可能となっている。そして、上記搬送ロール11に回転トルクを付与することで、連続鋳造材5及び上記鋳片9を搬送方向に沿って送ることが可能となっている。
また、上記ロール移動機構は、初期位置として、対応する搬送ロール11の位置を搬送位置T(上昇位置)としておく。
また、上記切断手段8は、図2に示すように、レール20と、台車21と、台車21に支持されたトーチ22とを備える。トーチ22が切断機を構成する。
上記台車21は、不図示の駆動装置によって駆動され、上記レール20上を、連続鋳造材5の移動と同期して走行可能となっている。本実施形態の台車21は、不図示のクランプ機構を備え、そのクランプ機構によって連続鋳造材5をクランプすることで、連続鋳造材5と同期して走行可能となっている。もちろん、台車21を、モータなどの駆動源を備えた自走式として構成して、連続鋳造材5の移動速度情報に基づき上記駆動源を駆動することで、連続鋳造材5の移動と同期して走行するように構成しても良い。
ここで、トーチ22は、燃料ガスと酸素の圧力、流量等を最低限に絞り込んだ種火状態と、燃料ガスと酸素の圧力、流量等をある程度絞り込み、連続鋳造材5の溶断はできないものの、いつでも溶断に移行できる状態である予熱状態と、燃料ガスと酸素を充分に供給し、連続鋳造材5を溶断することが可能な切断状態との3つの状態を適宜切り換えることが可能である。
上記台車21は、連続鋳造材5の切断が完了する毎に、初期位置の方向に戻るようになっている。
また、各搬送ロール11の退避位置R近傍には、当該搬送ロール11に冷却水を吹き付け可能な吹き付けノズル24を備える。吹き付けノズル24は、供給された冷却水を搬送ロール11に吹き付ける。
ここで、吹き付けノズル24は、搬送ロール11と同調して移動することが好ましい。または、搬送位置Tの近傍から退避位置Rまでの広範囲に渡って吹き付け可能なように、設置位置と向きを調整することが好ましい。
切断用コントローラ30は、走行制御部30A、切断制御部30B、退避制御部30C、回転不良検知部30D、回転駆動制御部30E、及び水吹き付け部30Fを備える。
回転不良検知部30Dは、例えば次の場合に回転不良と判定する。
・回転駆動装置12の制御機器(例えば、インバータなど)の異常を検出した場合
・回転駆動装置12の制御する回転速度で搬送ロール11が回転しない場合
・回転駆動装置12から回転トルクが伝達されても、その回転トルクに応じた回転力が搬送ロール11で発生しない。
この検出は、例えば、回転駆動装置12からの回転速度及び回転トルクと、対応する搬送ロール11の回転速度や回転トルクを計測して比較することで検知可能である。
ここで、上記退避制御部30C、ロール移動機構は、退避手段を構成し、水吹き付け部30Fは水吹き付け手段を構成する。
連続鋳造材5の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロール11によって連続鋳造材5を搬送しながら、上記搬送される連続鋳造材5に同期して移動するトーチ22の火炎によって、搬送中の上記連続鋳造材5を幅方向に切断して、鋳片9とする。
このとき、切断位置S、すなわちトーチ22の火炎が予め設定した接近距離L1まで接近した搬送ロール11を順次、搬送位置Tから退避位置Rに一時的に退避させて、トーチ22の火炎から各搬送ロール11を保護する。
このとき、退避中の搬送ロール11の回転速度を増大する。すなわち、上記切断によって発生して飛散したノロ地金の一部が搬送ロール11表面に接触したとしても、搬送位置Tでの回転速度よりも増大した回転速度に搬送ロール11を高速回転することで、当該接触したノロ地金が吹き飛ばされやすくなる。この結果、搬送ロール11表面へのノロ地金の付着を抑えるか減らすことが出来る。
このように、切断位置が回転不良となった搬送ロール11上を通過する際に切断動作を一時停止するので、回転不良となった搬送ロール11に対するノロ地金の付着を防止出来る。
上述のように退避した搬送ロールのロール回転速度と、ノロ地金の付着との関係について確認したところ、図5に示す結果を得た。なお、図5では、ノロ付着の程度を3段階のレベルに指数化して表示している。後述の図6においても同様である。
この図5から分かるように、退避時の搬送ロールの回転の周速を16m/分以上に設定することで、ノロ地金の付着が軽度にすることが可能となり、且つノロの成長も無いことを確認した。
次に、上述のように退避した搬送ロールへの冷却水の吹付け量と、ノロ地金の付着との関係について確認したところ、図6に示す結果を得た。
図6から分かるように、退避した搬送ロールへの冷却水の吹付け量を40L/分以上に設定すると、搬送ロールの回転速度が低くても、ノロ地金の付着が軽度にすることが可能となり、且つノロの成長も無いことを確認した。
8 切断手段
9 鋳片
10 搬送装置
11 搬送ロール
12 回転駆動装置
13 シリンダ装置
21 台車
22 トーチ
23 メジャーリングロール
30 切断用コントローラ
30A 走行制御部
30B 切断制御部
30C 退避制御部
30D 回転不良検知部
30E 回転駆動制御部
30F 水吹き付け部
L1 接近距離
L2 離隔距離
R 退避位置
S 切断位置
T 搬送位置
Claims (6)
- 連続鋳造材の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロールによって連続鋳造材を搬送しながら、上記搬送される連続鋳造材と同期して移動する切断機によって、搬送中の上記連続鋳造材を幅方向に切断する連続鋳造材の切断装置において、
上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材の下面を支持可能な搬送位置から、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避させる退避手段と、
搬送ロールの回転を検知する回転検知手段と、
上記回転検知手段の検知に基づき回転不良とされた搬送ロールの上を上記切断位置が通過する間、上記切断機による切断動作を一時停止する一時停止手段と、
を備え、
上記回転検知手段の検知に基づき回転不良とされた搬送ロールの上を上記切断位置が通過する際、その搬送ロールの位置を退避位置若しくは搬送位置と退避位置との中間位置に制御することを特徴とする連続鋳造材の切断装置。 - 上記退避手段が退避した搬送ロールの回転速度を、上記搬送位置での回転速度よりも増大する回転増大手段を備えることを特徴とする請求項1に記載した連続鋳造材の切断装置。
- 上記退避手段が退避した搬送ロール表面に水を吹き付ける水吹き付け手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した連続鋳造材の切断装置。
- 連続鋳造材の搬送方向に沿って配列した複数の搬送ロールによって連続鋳造材を搬送しながら、上記搬送される連続鋳造材と同期して移動する切断機によって、搬送中の上記連続鋳造材を幅方向に切断する連続鋳造材の切断方法において、
上記切断機による切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避させる退避手段と、搬送ロールの回転を検知する回転検知手段と、を備え、
上記切断位置が通過する搬送ロールが回転不良と判定した場合には、その回転不良とされた搬送ロールの上を切断位置が通過する間、上記切断機による切断動作を一時停止し、
上記切断機による切断動作中に、搬送ロールの上を切断位置が通過する間、上記切断位置が通過する搬送ロールを、上記連続鋳造材から離れた退避位置に退避することを特徴とする連続鋳造材の切断方法。 - 上記退避手段が退避した搬送ロールの回転速度を、上記連続鋳造材の搬送可能な位置での回転速度よりも大きくすることを特徴とする請求項4に記載した連続鋳造材の切断方法。
- 上記退避手段が退避した搬送ロール表面に水を吹き付けて当該搬送ロールを冷却することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した連続鋳造材の切断方法。
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- 2011-07-28 JP JP2011165871A patent/JP5741294B2/ja active Active
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