JP5723214B2 - 連続鋳造設備のガイドロールセグメント - Google Patents
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Description
また、バックアップロールを設けた場合、鋳片表面に生じる酸化スケールが鋳片支持ロールとバックアップロールとの間に侵入して引っ掛かり、鋳片支持ロールの回転が停止してしまう恐れがある。特許文献1では、この酸化スケールへの対策は検討されていない。
また、特許文献1に記載の装置では、ロールの軸受部がセグメントフレームと一体となった構造である。したがって、摩耗したロールの交換およびロールの位置調整は、整備工場にガイドロールセグメントが搬入されて初めて行うことが可能となり、メンテナンスに長時間を要する。通常、ガイドロールセグメントには、本機と予備機があり、本機をメンテナンスしている間、予備機にて操業を行う。予備機にて操業中、予備機に不具合が生じた場合、本機と交換することになるが、上述した本機のメンテナンスに長時間を要すると、このガイドロールセグメントの交換が行えず、連続鋳造設備を長時間停止させることとなり、稼働率の低下を招くという問題を生じる。
また、この発明によれば、鋳片支持ロールは、その回転軸が前記鋳片の厚み方向にスライド可能な軸受に保持されているので、鋳片の厚み方向の軸位置は、バックアップロールの鋳片の厚み方向の転動面により決定される。したがって、鋳片支持ロールまたはバックアップロールが摩耗した場合の前記ロールの当たり(隙間)調整のためのメンテナンスは、バックアップロールをシム調整するだけでよく、これにより鋳片支持ロールの軸位置を簡単に決定できる。
図1に本発明のガイドロールセグメントを用いた連続鋳造設備の全体の構成を示し、図2に本発明の連続鋳造設備のガイドロールセグメントを示す。
ガイドロールセグメント106は、図示しないベースに着脱可能に取り付けられるセグメント本体10を備え、セグメント本体10は、鋳片Cの厚み方向上下に鋳片Cを挟んで対向する上側フレーム1および下側フレーム2と、上側フレーム1と下側フレーム2とを4隅で連結する油圧シリンダー3を備えている。
そして、上側フレーム1および下側フレーム2には、それぞれ、1本の鋳片支持ロール5と、この鋳片支持ロール5を転動するバックアップロール6とを備えるユニット4が鋳片Cの移動方向に沿って5つずつ設けられている。
そして、油圧シリンダー3により、上側フレーム1が下側フレーム2に向かって圧下されると、上側フレーム1に取り付けられたユニット4の鋳片支持ロール5がバックアップロール6でサポートされつつ圧下される。これにより、上下で対となっている鋳片支持ロール5間に鋳片Cが挟まれ、未凝固状態ではバルジングが抑制され、凝固末期ではバルジングを抑制しつつ軽圧下されるようになっている。
また、鋳片支持ロール5は、鋳造中のバルジング反力あるいは軽圧下反力により、鋳片Cの厚み方向外側に力を受ける。鋳片支持ロール5の回転軸51は、嵌合部421に嵌合し、かつ鋳片支持ロール5はバックアップロール6に押し当てられているため、鋳片支持ロール5は鋳造方向および鋳片Cの厚さ方向の両方向に対して位置が規制され、バルジングを抑制しつつ安定した転動を維持できる。
バックアップロール6の外周面62は、転動方向に沿ってリング状に形成された幅寸法Wgの複数の凹部621を備えている。この凹部621は、バックアップロール6の軸方向に等間隔で設けられており、その幅寸法をWg、凹部621の数をn(ただし、n≧1)、外周面62の幅寸法をWbとすると、Wb>nWgの関係を有している。
図5は、ガイドロールセグメント106が連続鋳造設備100の水平帯111に配置されている場合の鋳片C、鋳片支持ロール5およびバックアップロール6を模式的に示した模式図である。水平帯111において、鋳片Cの表面に生じた酸化スケールSは特に鋳片Cの下部に堆積する。この酸化スケールSは、鋳片支持ロール5が鋳片C表面を転動することで剥離し、その後鋳片支持ロール5に付着する。バックアップロール6は、表面に酸化スケールSが付着した鋳片支持ロール5を転動することとなるが、鋳片支持ロール5に付着した酸化スケールSはバックアップロール6の外周面62に形成された凹部621に流れ込んで収容され、バックアップロール6の回転(転動)に伴い、外部に排出される。したがって、酸化スケールSは、鋳片支持ロール5とバックアップロール6の外周面62との間に侵入して引っ掛かることなく、鋳片支持ロール5およびバックアップロール6の安定した回転稼動が可能になり、その結果、鋳造停止することなく安定した操業が可能となる。また、これらのロールの回転不良が起こると、鋳片Cと鋳片支持ロール5間の摩擦により鋳片Cに引っかき傷が生じるが、このような傷の発生も防止できる。
なお、鋳片支持ロール5に凹部621を形成すると、鋳片C表面に凹部621が模様として転写されるため、凹部621はバックアップロール6に形成する必要がある。
鋳片支持ロール5が摩耗した場合、鋳片Cの厚み方向における鋳片支持ロール5間の寸法が初期設定寸法より大きくなり、バルジングを防止できなくなる、あるいは所定の軽圧下が実施できなくなる。この場合には、鋳片支持ロール5およびバックアップロール6、あるいはバックアップロール6の位置を鋳片Cの厚さ方向に調整する必要がある。この場合、まず、調整の必要がある鋳片支持ロール5およびバックアップロール6が設けられたユニット4をガイドロールセグメント106から取り外す。次いで、第1軸受部42ごと鋳片支持ロール5をユニットフレーム41から取り外す。そして、鋳片支持ロール5に当接するバックアップロール6を高さが同じになるよう第2軸受部43でシム調整する。シム調整完了後、第1軸受部42が取り付けられた状態の鋳片支持ロール5をバックアップロール6上へ配置し、第1軸受部42をユニットフレーム41に、ボルト等で固定する。軸受箱422はスライド可能なため、鋳片支持ロール5の第1軸受部42でのシム調整は必要なく、鋳片支持ロール5とバックアップロール6はすき間を生じることなく当接する。
これらの作業においては、まずガイドロールセグメント106をオフラインに移動して、その後該当するユニット4を取り外すが、ガイドロールセグメント106から該当ユニット4を取り外して作業を行えるため、地上での作業が可能となる。したがって、ガイドロールセグメント106上よりも効率よく作業を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、凹部621をリング状としたが、これに限らず、転動方向に沿って形成される凹部621であれば、螺旋状や格子状としてもよいし、ディンプルであってもよい。また、凹部621は、外周面62を切削して形成するものに限らず、外周面62に凹凸が形成されるものであれば足りる。すなわち、外周面62に凸状部を形成したものであってもよい。さらに、凹部621は、すべてのバックアップロール6に設けなくてもよい。例えば、酸化スケールSの堆積しにくい鋳片Cの上側に設けられるバックアップロール6には、凹部621のないものを用いてもよい。
さらに、上側フレーム1および下側フレーム2は、それぞれユニット4を5個備えるものとしたが、1個以上であれば、これに限らない。例えば、より少ない数のユニット4を備え鋳片Cの送り方向の長さを短くしたガイドロールセグメントであってもよい。
そして、連続鋳造設備100としては、円弧状に沿って湾曲した湾曲帯110と水平帯111が形成された円弧型のものを用いたが、これに限らず、垂直型や垂直・曲げ型のものでもよい。
また、ガイドロールセグメント106は、凝固末期に限らず、バルジングを抑制する目的で凝固末期より上流の任意の位置に配置して用いることができる。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (2)
- 連続鋳造設備の鋳型から引出される鋳片を支持する連続鋳造設備のガイドロールセグメントであって、
セグメント本体と、
このセグメント本体に着脱可能なユニットと、を備え、
前記ユニットは、
ユニットフレームと、
このユニットフレームに着脱可能に設けられるとともに、前記鋳片の幅方向に回転軸を有する複数の鋳片支持ロールと、
前記鋳片支持ロールを転動するバックアップロールと、を備え、
前記ユニットフレームは、前記鋳片支持ロールの回転軸を支持する第1軸受部と、前記バックアップロールの回転軸を支持する第2軸受部とを備え、
前記第1軸受部は、箱状に形成され、その内部には、前記鋳片の厚さ方向に延びる嵌合部と、前記嵌合部に嵌合し、前記バックアップロールに転動される鋳片支持ロールの位置調整のために前記鋳片の厚さ方向にスライド可能な軸受箱と、前記軸受箱に装着されて前記鋳片支持ロールの回転軸を支持する軸受とを備え、
前記第2軸受部は、前記バックアップロールを前記鋳片の厚さ方向に調整可能に構成される
ことを特徴とする連続鋳造設備のガイドロールセグメント。 - 請求項1に記載の連続鋳造設備のガイドロールセグメントにおいて、
前記バックアップロールは、その外周面の鋳片と接触する領域に凹部を備える
ことを特徴とする連続鋳造設備のガイドロールセグメント。
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