JPH11291007A - 連続鋳造鋳片支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造鋳片のバルジングを防止でき、設備
補修の少ない鋳片支持装置を提供する。 【解決手段】 鋳片支持ロールに太径のバッィアップロ
ールを配設し、鋳片支持ロールの撓み量を小さく抑え
る。バックアップロールには、加圧手段を儲け、鋳片支
持ロールの撓み量を調節可能とするのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造設備に係
わり、とくに鋳型下方に配設され、鋳造された鋳片を連
続的に支持する鋳片支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続鋳造設備は、レードルあるいはタン
ディッシュからノズルを介し注湯された溶湯を冷却し、
所定の寸法の鋳片とする鋳型と、表面が凝固した鋳片を
支持し、連続して鋳型から引き抜く鋳片支持装置を有し
ている。従来から、この鋳片支持装置は、連続的に配設
された複数のロールからなり、鋳片に沿ってロールを連
続して配置している。

【０００３】内部が未凝固の位置に設けられた鋳片支持
ロールには、鋳型からロールまでの位置の差に応じた溶
湯による静圧が作用する。このため、鋳型から離れた位
置に設けられる鋳片支持ロールほど、鋳片から大きな圧
力を受けることになり、強度を高めるため太径のロール
とされている。したがって、鋳型から離れた下部の鋳片
支持ロールほど鋳片支持ロール間の間隔が大きくなって
いる。

【０００４】鋳片の長さ方向に沿って配設される鋳片支
持ロールのロール間隔が長くなると、支持ロール間で鋳
片中心に残存する溶湯が鋳片凝固シェルを押拡げ、鋳片
のバルジングが生じる。このバルジングにより鋳片凝固
シェルが変形し、内部割れや、含有元素が濃縮された溶
湯が流入し中心偏析が発生するなどの問題がある。

【０００５】さらに、このバルジングにより、鋳片の引
抜き抵抗が増加し、引抜き不可能となる問題があった。
また、鋳片支持ロールの強度を高める他の方法として、
分割型鋳片支持ロールが考えられている。この分割型鋳
片支持ロールは、支持する鋳片の幅方向中間にロール支
持のための中間軸受を１個以上設け、これにより、実質
的にロール長さが短くなりロール強度が高くなる。しか
し、このような分割型鋳片支持ロールとしても、ロール
径は小さくならず、引抜き方向における支持ロールのロ
ール間隔は 300mm程度は必要とされていた。

【０００６】また、分割型鋳片支持ロールでは、中間軸
受を必要として構造上複雑となるうえ、中間軸受の破損
など設備保全上の点検および部品の交換等の工数が増加
するという問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題に鑑み、連続鋳造鋳片のバルジングを防止でき、部品
補修の少ない鋳片支持装置を提案することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した課
題を達成するため、鋭意検討し、その結果、鋳片支持ロ
ールを従来より小径にし、支持ロール間隔を短くし、し
かもロール撓み量を小さく抑えることが鋳片のバルジン
グを防止するために重要であるとの結論を得た。

【０００９】本発明は、上記結論に基づいて構成された
ものである。すなわち、本発明は、連続鋳造設備におけ
る鋳片支持装置であって、鋳込まれた鋳片を支持する鋳
片支持ロールと、該鋳片支持ロールを転動可能に支持す
るバックアップロールとからなる鋳片支持手段を、連続
鋳造鋳型の下方に複数配設したことを特徴とする連続鋳
造鋳片支持装置であり、前記バックアップロールは、加
圧手段を有することが好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の鋳片支持装置は、ロール
とバックアップロールからなる鋳片支持手段を鋳型の下
方で鋳片鋳込み方向に連続して複数配設した構造を有す
る。本発明の１実施例を図１に示す。鋳片支持ロール１
は、ロール長手方向を鋳片幅方向に一致させ、鋳込まれ
た鋳片Ｃに接し、鋳片Ｃを支持するように配設されてい
る。本発明では、鋳片支持ロール１は鋳片幅を超える長
さを有し、両端を軸受3a、3aを介し回転可能に支持さ
れ、軸受3aはフレーム５に固設され、鋳片Ｃの引抜きを
容易にする構造とされる。またこれら鋳片支持ロール１
には、外部からの水冷、あるいは内部水冷等の冷却手段
を有していることはいうまでもない。

【００１１】さらに本発明の鋳片支持手段では、鋳片Ｃ
と反対側にこれら鋳片支持ロールに接し、ロール１の撓
みを防止するバックアップロール２が、鋳片支持ロール
１の中央部付近に少なくとも１個配設される。バックア
ップロール２は、鋳片支持ロール１の撓みを防止できる
構造であれば特に限定はないが、前記鋳片支持ロール１
より太径とするのが鋳片支持ロール１の撓み防止という
観点から好ましい。

【００１２】バックアップロール２は、鋳片支持ロール
１に転動可能に接し、両端を軸受4a、4aを介しフレーム
５に固設され、鋳片支持ロール１の撓みを防止できる構
造とされるのが好ましい。バックアップロール２の長さ
は鋳片支持ロール１の胴部より短くてよい。バックアッ
プロール２は鋳片支持ロール１の中央部の撓みを抑制す
るために、鋳片支持ロール１の中央部付近に設置される
のが好ましい。

【００１３】バックアップロール２の径が鋳片支持ロー
ル１の径より大きい場合には、図２に示すようにバック
アップロール２は鋳片支持ロール１の中央から必要な距
離だけ、どちらか一方の端部に寄せた位置に設置するの
が好ましい。そして、このような場合には、バックアッ
プロール２は、鋳片の進行方向に鋳片支持ロール１の中
央をはさんで千鳥状に配置とすることにより、バックア
ップロール同士の干渉を回避することができる。図３、
図４に鋳片進行方向と平行する断面における鋳片支持ロ
ール1a、1b、1cとバックアップロール2a、2b、2cの関係
を示す。鋳片支持ロール1bに接するバクアップロール2b
は、上流の鋳片支持ロール1aに接するバックアップロー
ル2aとは鋳片支持ロール1a、1bの中央をはさんで反対側
に等しい距離離れて配置されている。これにより、狭い
ロールピッチで鋳片支持ロール1a、1b、1cを配すること
が可能となり、バルジングの発生も少なくなる。

【００１４】さらにバックアップロールによる鋳片支持
ロールの支持圧力を高め、鋳片支持ロールの撓みを少な
くするために、バックアップロールの支持軸受を介し、
加圧手段６を配設するのが好ましい。加圧手段６は、加
圧力が調整可能な油圧シリンダ、油圧ジャッキ等とする
のがよい。加圧手段６の加圧力を調整することにより、
バックアップロール２を介して鋳片支持ロール１の撓み
を防止し、あるいはとくに最終凝固位置近傍で積極的に
鋳片が変形するまで押圧し、これにより、鋳片厚さ中央
部での割れ、中心偏析等の軽減、防止が可能となる。

【００１５】本発明の鋳片支持装置は、とくに最終凝固
位置近傍に設けるのがバルジング防止の点から好適であ
る。

【００１６】

【実施例】図２〜図４に示す構造の鋳片支持装置を連続
鋳造装置の最終凝固位置付近（メニスカスから15〜18
ｍ）に設置した。鋳片支持ロール１、1a、2b、1cのロー
ル径をφ250mm 、バックアップロール２、2a、2b、2cの
ロール径をφ300mm とし、バックアップロールは鋳片支
持ロールの幅中央部より 500mmだけづらし、千鳥状に配
置した。

【００１７】これにより、バックアップロールなしの場
合に比べ、ロール撓み量は約 1/4に低下し、ロールに作
用する応力は約 1/2に低減できた。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、鋳片支持ロールの撓み
を防止し、連続鋳造鋳片の内部品質欠陥の発生を低減す
ることができ、さらに、軸受故障等の設備補修頻度の低
減ができ、連続鋳造の生産効率が著しく向上するという
産業上格別の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を模式的に示す断面図であ
る。

【図２】本発明の１実施例を模式的に示す断面図であ
る。

【図３】鋳片と鋳片支持ロール、バックアップロールと
の位置関係を模式的に示す断面図である。

【図４】図３の一部拡大側面図である。

【図５】本発明の１実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１、1a、1b、1c：鋳片支持ロール ２、2a、2b、2c：バックアップロール 3a：鋳片支持ロール用軸受 4a：バックアップロール用軸受 ５：フレーム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続鋳造設備における鋳片支持装置であ
   って、鋳込まれた鋳片を支持する鋳片支持ロールと、該
   鋳片支持ロールを転動可能に支持するバックアップロー
   ルとからなる鋳片支持手段を、連続鋳造鋳型の下方に複
   数配設したことを特徴とする連続鋳造鋳片支持装置。
2. 【請求項２】 前記バックアップロールは、加圧手段を
   有することを特徴とする請求項１に記載の連続鋳造鋳片
   支持装置。