JP5719847B2 - 金属微粒子複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミド樹脂で構成されるマトリックス中に金属微粒子が分散した金属微粒子複合体の製造方法に関する。
局在型表面プラズモン共鳴(Local Surface Plasmon Resonance; LSPR)は、数nm〜100nm程度のサイズの金属微粒子や金属微細構造中の電子が、特定の波長の光と相互作用を生じて共鳴する現象である。局在型表面プラズモン共鳴は、ガラスの内部に金属微粒子を混合することによって鮮やかな発色を呈するステンドガラスに古くから利用されている。近年では、例えば光強度を増強させる効果を利用した高出力な発光レーザの開発や、分子が結合すると共鳴状態が変化する性質を利用したバイオセンサーなどへの応用が研究されている。
このような金属微粒子の局在型表面プラズモン共鳴をセンサーなどに応用するためには、合成樹脂などのマトリックス中に金属微粒子を安定的に固定することが必要である。しかし、金属微粒子は、ナノメートルサイズになると凝集分散特性が変化し、例えば、静電反発作用による分散安定化が困難になって凝集が生じやすくなる。従って、局在型表面プラズモン共鳴を利用するプラズモニックデバイスでは、マトリックス中の金属微粒子をいかに均一な状態で分散させ得るか、が重要になる。
樹脂などのマトリックス中に金属微粒子を固定した金属微粒子複合体の製造方法に関する技術として、例えば以下の特許文献1〜4が提案されている。特許文献1では、粒子が小さく、粒子の分散性及び粒子とマトリックスの接着性が良く、そのために高弾性率となる高分子複合材料として、熱可塑性又は熱硬化性重合体マトリックスに対して、粒子径10〜20オングストロームの金属粒子を体積分率0.005〜0.01%で均一に分散、充填してなる、弾性率の向上した高分子−金属クラスター複合体が開示されている。しかし、特許文献1の製造方法では、粒子径が数十ナノメートルレベル以上の金属微粒子の複合体とすることは困難であった。
特許文献2では、無電解めっき法に代わり得る新規な導電性皮膜の形成や、グラニュラー磁性薄膜への利用が可能な金属微粒子の分散体を得る目的で、イオン交換基を含む樹脂基材を、金属イオンを含有する溶液に接触させた後、気相中において還元を行う微粒子分散体の製造方法が開示されている。この方法では、水素還元の際に、金属イオンが樹脂の内部に拡散しながら反応が進行するために、樹脂基材の表面から数十ナノメートル(特許文献2の実施例では80nm)までの深さには、金属微粒子が存在しない。また、特許文献2が開示する製造方法では、イオン交換基を含む樹脂基材を、金属イオンを含有する溶液に接触させることによって、マトリックス樹脂中に含まれるイオン交換基に吸着乃至結合させるものであるので、金属イオンの含有量が制限されるとともに、イオン交換基によって金属イオンが固定化されているため、十分な大きさの粒子径を有する金属微粒子とすることも困難であった。
特許文献3では、アルカリ水溶液で処理してカルボキシル基を導入したポリイミド樹脂膜を金属イオン含有液と接触させて樹脂膜中に金属イオンをドープした後に、還元性ガス中で金属イオンの還元温度以上で1回目の熱処理を行ってポリイミド樹脂中に金属ナノ粒子が分散した層を形成させ、さらに1回目の熱処理温度とは異なる温度で2回目の熱処理を行う方法が開示されている。特許文献3では、2回目の熱処理により、金属ナノ粒子分散層の厚さを調整して、コンポジット膜中の金属ナノ粒子の体積充填率を制御できると記載されている。しかしながら、特許文献2と同様に、粒子径については、マトリックス樹脂中に含まれるイオン交換基に吸着乃至結合させた金属イオンを還元して金属微粒子を形成する方式であるため、金属イオンの含有量が制限されるとともに、イオン交換基によって金属イオンが固定化されているため、十分な大きさの粒子径を有する金属微粒子とすることが困難であった。
特許文献4は、金属粒子を高分子マトリックス内に分散させる過程において、高分子マトリックスとの相溶性、界面欠陥、粒子間の凝集性などの問題を解決するため、金属前駆体を高分子物質のマトリックスに分子水準で分散させた後、紫外線を照射して金属前駆体を光還元する方法が開示されている。しかし、特許文献4の方法は、紫外線還元によって金属微粒子を析出させているため、紫外線照射面の影響を受けるので、マトリックスの表層部と深部で金属微粒子の析出密度に勾配が生じる。すなわち、マトリックスの表層部から深部へ進む程、金属微粒子の粒子径及び充填割合が連続的に減少する傾向となる。また、光還元によって得られる金属微粒子の粒子径は、紫外線照射面であるマトリックスの表層部で最大となるが、せいぜい十数ナノメートル程度であり、しかもこの粒子径と同等又はそれ以上の粒子径を有する金属微粒子を深部に亘って分散させることは困難であった。
特公平8−16177号公報 特許第3846331号公報 特許第4280221号公報 特開2002−179931号公報
マトリックス内に金属微粒子が分散した金属微粒子複合体を、局在型表面プラズモン共鳴によるセンサー等の用途に利用する場合、少なくとも、吸収スペクトルの強度が大きいことが重要である。また、一般に吸収スペクトルがシャープである程、高感度な検出が可能になる。強度が大きくシャープな吸収スペクトルを得るには、例えば、
1)金属微粒子の大きさが所定の範囲内に制御されていること、
2)金属微粒子の形状が均一であること、
3)金属微粒子が隣り合う金属微粒子とある一定以上の粒子間隔を保った状態でお互いが離れていること、
4)金属微粒子複合体に対する金属微粒子の体積充填割合がある一定の範囲で制御されていること、
5)金属微粒子がマトリックスの表層部から存在するとともに、その厚さ方向にも所定の粒子間距離を保ちながら偏りなく分散していること、
などの構造的特性を金属微粒子複合体が備えていることが必要である。
本発明は、従来技術では解決できなかった前記課題に対し案出されたものであり、所定の範囲内にある粒子径を有する金属微粒子が互いに凝集することなく独立して分散してなる金属微粒子複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリイミド樹脂中に含有する金属量及びポリイミド樹脂マトリックスの厚みを制御し、特定の範囲内の温度で熱処理を行うことによって得られる金属微粒子複合体は、上記要求を満たすものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造するものである。この金属微粒子複合体の製造方法は、以下の工程a及びb;
a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程、
b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程、
を備えている。
本発明の金属微粒子複合体の製造方法の第1の好ましい態様において、前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上25nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.05%以上1%以下の範囲内であってもよい。この場合、前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が0.5μg/cm以上10μg/cm以下の範囲内で、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内であってもよい。さらに、前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが300nm以上1μm以下の範囲内であってもよい。
本発明の金属微粒子複合体の製造方法の第2の好ましい態様において、前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上30nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.2%以上5%以下の範囲内であってもよい。この場合、前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が10μg/cm以上50μg/cm以下の範囲内で、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内であってもよい。さらに、前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが300nm以上1μm以下の範囲内、かつ、その弾性率が3GPa以上10GPa以下の範囲内であってもよい。
本発明の金属微粒子複合体の製造方法の第3の好ましい態様において、前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上30nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.5%以上5%以下の範囲内であってもよい。この場合、前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が5μg/cm以上10μg/cm以下の範囲内で、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが150nm以上500nm以下の範囲内であってもよい。さらに、前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが100nm以上300nm以下の範囲内、かつ、その弾性率が5MPa以上10GPa以下の範囲内であってもよい。
本発明の金属微粒子複合体の製造方法の第4の好ましい態様において、前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が5nm以上35nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が、金属微粒子複合体に対して1%以上15%以下の範囲内にあってもよい。この場合、前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が10μg/cm以上30μg/cm以下の範囲内で、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが150nm以上500nm以下の範囲内であってもよい。さらに、前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが100nm以上300nm以下の範囲内、かつ、その弾性率が0.5GPa以上10GPa以下の範囲内であってもよい。
また、本発明の金属微粒子複合体の製造方法において、前記工程bが、不活性ガス雰囲気中で行われるものであってもよい。
また、本発明の金属微粒子複合体の製造方法において、前記金属化合物が、Auの前駆体であってもよい。
本発明の金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド前駆体樹脂の内部で金属イオン(又は金属塩)の状態から還元して金属微粒子を析出させるため、ポリイミド前駆体樹脂中での金属化合物の含有量の調整が容易であり、ポリイミド樹脂中に分散させる金属微粒子の含有量を調整しやすい。従って、比較的容易に、ポリイミド樹脂中に平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造することができる。しかも、その還元処理が加熱によるものなので、析出した金属微粒子の熱拡散を利用して金属微粒子をマトリックス樹脂内で一定以上の粒子間距離を保った状態で分散させることが可能であり、かつ、一定以上の粒子間距離で分散した金属微粒子がマトリックス樹脂の表層部から存在するようになる。
また、本発明の金属微粒子複合体の製造方法では、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、生産工程を簡略化できる。
本発明方法により製造される金属微粒子複合体は、上記の構造的特性を備えているため、局在型表面プラズモン効果を利用する圧力センサー等の分野をはじめ、例えば電磁波シールド材や磁気ノイズ吸収材、高熱伝導樹脂材など、様々な産業分野に応用できるものである。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の実施の形態にかかる金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造する金属微粒子複合体の製造方法である。この方法は、以下の工程a及びbを備えている。
a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程。
b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程。
以下、金属微粒子の平均粒子径と体積分率を基準にして、好ましい実施の形態に分けて本発明方法を説明する。なお、「体積分率」とは、金属微粒子複合体の一定体積あたりに占める金属微粒子の合計の体積を百分率で示した値である。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm〜25nmの範囲内にある金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して(好ましくは完全に独立して)分散してなり、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.05%以上1%以下の範囲内にある金属微粒子複合体を製造するものであり、以下の工程a及び工程bを備えている。ここで、ポリイミド樹脂は、ポリイミド前駆体樹脂を加熱して脱水・環化反応させてイミド化したポリイミド樹脂を主体とするものである。ポリイミド樹脂は、他の合成樹脂例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂に比べて、耐熱性および寸法安定性に優れた性質を有しているため好ましく用いられる。また、ポリイミド樹脂は、金属微粒子を形成する過程で熱処理を行うために、少なくとも160℃の温度での耐熱性を有する点でも有利である。
[工程a;塗布膜形成工程]
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、基材上に塗布し、乾燥することによって、塗布膜を形成する。
工程aで用いる基材としては、特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂のフィルム(シート)であってもよいし、それ以外に金属箔、ガラス板、樹脂フィルム、セラミックス等を挙げることができる。本実施の形態の製造方法によって製造される金属微粒子複合体は基材から剥離してもよいし、基材を付けたままの状態でもよい。例えば、本実施の形態で製造される金属微粒子複合体を基材が付いたままの状態で光透過系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する場合は、基材は、光透過性であることが好ましく、例えばガラス基板、透明な合成樹脂製基板等を用いることができる。透明な合成樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、PET樹脂、アクリル樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリイミド前駆体樹脂としては、公知の酸無水物とジアミンから得られる公知のポリイミド前駆体樹脂を使用できる。ポリイミド前駆体樹脂は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンをほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることで得られる。反応にあたっては、得られるポリイミド前駆体樹脂が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解することがよい。重合反応に用いる有機溶媒については、極性を有するものを使用することがよく、有機極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の一部使用も可能である。
合成されたポリイミド前駆体樹脂は溶液とされて使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。このように調製した溶液は、金属化合物を添加することにより、塗布液として利用することができる。
ポリイミド前駆体樹脂は、イミド化後のポリイミド樹脂が熱可塑性又は低熱膨張性のポリイミド樹脂を含むように選定することが好ましい。なお、ポリイミド樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂を挙げることができる。
ポリイミド前駆体樹脂の調製に好適に用いられるジアミンとしては、例えば、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。また、ジアミンとしては、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等が好ましく例示される。
その他のジアミンとして、例えば、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。
特に好ましいジアミン成分としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)から選ばれる1種以上のジアミンが挙げられる。
ポリイミド前駆体樹脂の調製に好適に用いられる酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。また、酸無水物として、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等も好ましく例示される。さらに、酸無水物として、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物等も好ましく例示される。
特に好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物 (ODPA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる1種以上の酸無水物が挙げられる。
ジアミン、酸無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記以外のジアミン及び酸無水物を併用することもできる。
本実施の形態では、ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製するために、ポリイミド前駆体樹脂を含有する溶液として市販品も好適に使用可能である。熱可塑性のポリイミド前駆体樹脂溶液としては、例えば、新日鐵化学株式会社製の熱可塑性ポリイミド前駆体樹脂ワニスSPI−200N(商品名)、同SPI−300N(商品名)、同SPI−1000G(商品名)、東レ株式会社製のトレニース#3000(商品名)等が挙げられる。また、非熱可塑性のポリイミド前駆体樹脂溶液としては、例えば宇部興産株式会社製の非熱可塑性ポリイミド前駆体樹脂ワニスであるU−ワニス−A(商品名)、同U−ワニス−S(商品名)等が挙げられる。
本実施の形態で製造される金属微粒子複合体が、例えば光透過系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する用途に適用される場合には、透明または無色を呈するポリイミド樹脂として、分子内、分子間の電荷移動(CT)錯体を形成しにくいもの、例えば嵩高い立体構造の置換基を有する芳香族ポリイミド樹脂、脂環式ポリイミド樹脂、フッ素系ポリイミド樹脂、ケイ素系ポリイミド樹脂等を用いることが好ましい。
上記の嵩高い立体構造の置換基としては、例えばフルオレン骨格やアダマンタン骨格などが挙げられる。このような嵩高い立体構造の置換基は、芳香族ポリイミド樹脂における酸無水物の残基又はジアミン残基のいずれか一方に置換しているか、あるいは酸無水物の残基及びジアミンの残基の両方に置換していてもよい。嵩高い立体構造の置換基を有するジアミンとしては、例えば9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。
脂環式ポリイミド樹脂とは、脂環式酸無水物および脂環式ジアミンを重合して形成される樹脂である。また、脂環式ポリイミド樹脂は、芳香族ポリイミド樹脂を水素化することによっても得られる。
フッ素系ポリイミド樹脂は、例えばアルキル基、フェニル基等の炭素に結合する一価元素をフッ素、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアリール基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロフェノキシ基等に置換した酸無水物および/またはジアミンを重合して形成される樹脂である。フッ素原子は、一価元素全部もしくは一部が置換したものいずれも用いることができるが、20%以上の一価元素がフッ素原子に置換したものが好ましい。
ケイ素系ポリイミド樹脂とは、ケイ素系ジアミンと酸無水物を重合してから得られる樹脂である。
このような透明ポリイミド樹脂は、例えば10μmの厚さにおいて、波長400nmでの光透過率が80%以上であり、可視光平均透過率が90%以上であることが好ましい。
上記ポリイミド樹脂の中でも、特に透明性に優れたフッ素系ポリイミド樹脂が好ましい。フッ素系ポリイミド樹脂としては、一般式(1)で現される構造単位を有するポリイミド樹脂を用いることができる。ここで、一般式(1)中、Arは式(2)、式(3)または式(4)で表される4価の芳香族基を示し、Arは式(5)、式(6)、式(7)または式(8)で表される2価の芳香族基を示し、pは構成単位の繰り返し数を意味する。
Figure 0005719847
また、Rは、独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を示し、Yは下記構造式で表される2価の基を示し、Rはパーフルオロアルキレン基を示し、nは1〜19の数を意味する。
Figure 0005719847
上記一般式(1)において、Arはジアミンの残基ということができ、Arは酸無水物の残基ということができるので、好ましいフッ素系ポリイミド樹脂を、ジアミンと、酸無水物若しくはこれと同等に利用可能なテトラカルボン酸、酸塩化物、エステル化物等(以下、「酸無水物等」と記す)とを挙げて説明する。但し、フッ素系ポリイミド樹脂は、ここで説明するジアミンと酸無水物等とから得られるものに限定されることはない。
Arとなる原料のジアミンとしては、分子内のアミノ基を除くアルキル基、フェニル環等の炭素に結合するすべての1価元素をフッ素またはパーフルオロアルキル基としたものであれば、どのようなものでもよく、例えば、3,4,5,6,−テトラフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)スルフォン、ヘキサフルオロ−2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル等を挙げることができる。
Arとなる原料の酸無水物等としては、例えば1,4−ジフルオロピロメリット酸、1−トリフルオロメチル−4−フルオロピロメリット酸、1,4−ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3,4’−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−オキシビスフタル酸、4,4’―(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸等が挙げられる。
ポリイミド前駆体樹脂とともに塗布液中に含有される金属化合物としては、ポリイミド前駆体樹脂中に含まれる金属イオン(又は金属塩)を加熱還元して粒子状金属を析出できるものであればその材質に特に制限はないが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等の前駆体を含む金属化合物が挙げられる。また、これらの金属化合物は1種又は2種以上を併用して用いることもできる。例えば、局在型表面プラズモン共鳴を奏する金属種として好適に利用できるものは、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)が挙げられ、特に本実施の形態の製造方法に好適に使用される金属化合物は、金(Au)又は銀(Ag)の化合物である。金属化合物としては、前記金属の塩や有機カルボニル錯体などを用いることができる。金属の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。また、上記金属種と有機カルボニル錯体を形成し得る有機カルボニル化合物としては、例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン類、アセト酢酸エチル等のβ−ケトカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
金属化合物の好ましい具体例としては、H[AuCl]、Na[AuCl]、AuI、AuCl、AuCl、AuBr、NH[AuCl]・n2HO、Ag(CHCOO)、AgCl、AgClO、AgCO、AgI、AgSO、AgNO、Ni(CHCOO)、Cu(CHCOO)、CuSO、CuSO、CuSO、CuCl、CuSO、CuBr、Cu(NH)Cl、CuI、Cu(NO)、Cu(CHCOCHCOCH)、CoCl、CoCO、CoSO、Co(NO)、NiSO、NiCO、NiCl、NiBr、Ni(NO)、NiC、Ni(HPO)、Ni(CHCOCHCOCH)、Pd(CHCOO)、PdSO、PdCO、PdCl、PdBr、Pd(NO)、Pd(CHCOCHCOCH)、SnCl、IrCl、RhClなどを挙げることができる。
金属種によっては、金属化合物が解離して生じた金属イオンが、ポリイミド前駆体樹脂との間で3次元の架橋形成反応が生じることがある。このため、時間の経過とともに塗布液の増粘・ゲル化が進行し、塗布液としての使用が困難となる場合がある。このような増粘、ゲル化を防ぐため、塗布液中に安定剤として粘度調整剤を添加することが好ましい。粘度調整剤の添加によって、塗布液中の金属イオンがポリイミド前駆体樹脂とキレート錯体を形成する代わりに、粘度調整剤と金属イオンがキレート錯体を形成する。このように、粘度調整剤によってポリイミド前駆体樹脂と金属イオンとの3次元の架橋形成がブロックされ、増粘・ゲル化が抑制される。
粘度調整剤としては、金属イオンと反応性の高い(つまり、金属錯体を形成しうる)低分子有機化合物を選定することが好ましい。低分子有機化合物の分子量は50〜300の範囲内が好ましい。このような粘度調整剤の具体例としては、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ピリジン、イミダゾール、ピコリンなどを挙げることができる。また、粘度調整剤の添加量は、形成しうるキレート錯体化合物1モルに対して1〜50モルの範囲内、好ましくは2〜20モルの範囲内で添加することが好ましい。
塗布液中の金属化合物の配合量は、ポリイミド前駆体樹脂の固形分および金属化合物の合計の重量部100に対して、3〜80重量部の範囲内、好ましくは10〜60重量部の範囲内となるようにする。この場合、金属化合物が3重量部未満では、金属微粒子の平均粒子径を3nm以上とすることが困難となる。80重量部を超えると塗布液中に溶解できない金属塩が沈殿したり、金属微粒子が凝集しやすくなることがある。ここで平均粒子径とは、金属微粒子の直径の平均値(メディアン径)を意味し、任意100粒の金属微粒子を測定したときの面積平均径とする。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により金属微粒子を観察することにより確認できる。
なお、塗布液には、上記成分以外の任意成分として、例えばレベリング剤、消泡剤、密着性付与剤、架橋剤などを配合することができる。
金属化合物を含有する塗布液を塗布する方法は、特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能であるが、これらの中でも、塗布膜を均一に形成することが可能で、塗布膜の厚みを高精度に制御しやすいスピンコーター、グラビアコーター、バーコーターを用いることが好ましい。塗布液は、金属化合物に由来する金属分(以下、「金属分」と略することもある。)の含有量が0.5μg/cm〜10μg/cmの範囲内、好ましくは3μg/cm〜10μg/cmの範囲内、より好ましくは6μg/cm〜10μg/cmの範囲内となるように基材上に塗布される。塗布して得られる塗布膜の単位面積あたりの金属量は、予め塗布液中の金属分の含有量を決定しておき、塗布膜の膜厚で制御する方法や、予め塗布膜の膜厚を決定しておき、塗布液中の金属分の含有量で制御する方法がある。塗布膜の膜厚は、乾燥後の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内、好ましくは1μm以上1.7μmの範囲内となるようにし、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが300nm〜1μmの範囲内、好ましくは600nm〜1μmの範囲内となるようにする。イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが300nm未満では金属微粒子同士の凝集が生じやすい傾向になり、一方、1μmを超えるとポリイミド樹脂層中に形成される金属微粒子が小さくなる傾向になり、またポリイミド樹脂層の表層部と深部とでの金属微粒子の平均粒子径がばらつく傾向になる。
また、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離を制御するためには、上記塗布膜中の金属分の含有量の範囲(0.5μg/cm〜10μg/cm)とイミド化後のポリイミド樹脂層の厚みの範囲(300nm〜1μm)の条件を満たした上で、さらに、塗布膜中の金属分の含有量A[μg/cm]と、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みB[nm]との関係が下式を満たすようにすることがより好ましい。
0.1≦(A/B)×100≦2.0 ・・・(i)
金属化合物を含有する塗布液を塗布した後は、乾燥させて塗布膜を形成する。乾燥においては、ポリイミド前駆体樹脂の脱水閉環の進行によるイミド化を完結させないように温度を制御することが好ましい。乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば、60〜200℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間をかけて行うことがよいが、好ましくは、60〜150℃の範囲内の温度条件で乾燥を行うことがよい。乾燥後の塗布膜はポリイミド前駆体樹脂の構造の一部がイミド化していても差し支えないが、イミド化率は50%以下、より好ましくは20%以下としてポリイミド前駆体樹脂の構造を50%以上残すことがよい。なお、ポリイミド前駆体樹脂のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品として、例えば日本分光製FT/IR620)を用い、透過法にて膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,710cm−1のイミド基由来の吸光度から算出される。
塗布膜は、単層でもよく、また複数の塗布膜から形成される積層構造のものでもよい。複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリイミド前駆体樹脂の層の上に他のポリイミド前駆体樹脂を順次塗布して形成することができる。ポリイミド前駆体樹脂の層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリイミド前駆体樹脂を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層又は単層、特に単層は、工業的に有利に得ることができる。
また、シート状支持部材の上に、単層又は複数層のポリイミド前駆体樹脂の層を積層し、一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド樹脂層とした後に、更にその上に塗布膜を形成することも可能である。この場合、ポリイミド樹脂層と塗布膜の層との密着性を向上させるため、ポリイミド樹脂層の表面をプラズマにより表面処理することが好ましい。このプラズマによる表面処理によって、ポリイミド樹脂層の表面を粗化させるか、又は表面の化学構造を変化させることができる。これによって、ポリイミド樹脂層の表面の濡れ性が向上し、ポリイミド前駆体樹脂の溶液との親和性が高まり、該表面上に塗布膜を安定的に保持できるようになる。
[工程b;熱処理工程]
工程bでは、上記のようにして得られた塗布膜を、160〜450℃の範囲内、好ましくは200〜400℃の範囲内、より好ましくは300〜400℃の範囲内で熱処理することにより金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる。熱処理温度が160℃未満では、金属イオン(又は金属塩)を還元して得られる金属微粒子の平均粒子径を前述の下限以上にすることが困難となる場合がある。一方、熱処理温度が450℃を超えると、ポリイミド樹脂層が熱により分解し、金属微粒子同士の粒子間隔を制御しにくい。熱処理温度を160℃以上とすることによって、還元によって析出した金属微粒子のポリイミド樹脂層(又はポリイミド前駆体樹脂層)の内部での熱拡散を十分に行うことができ、さらに、ポリイミド前駆体樹脂のイミド化を行うことができ、再度加熱によるイミド化の工程を省略できる。
加熱時間は、後述するように、目標とする粒子間距離に応じて、さらに加熱温度や、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量に応じて決定することができるが、例えば加熱温度が160℃では10〜180分の範囲内、加熱温度が450℃では1〜60分の範囲内に設定することができる。
また、この熱処理によって塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して、金属微粒子の含有量が0.5μg/cm〜10μg/cmの範囲内、好ましくは3μg/cm〜10μg/cmの範囲内、より好ましくは6μg/cm〜10μg/cmの範囲内にあり、且つ厚みが300nm〜1μmの範囲内、好ましくは600nm〜1μmの範囲内にあるポリイミド樹脂層を形成する。
上記のように、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離は、i)熱処理工程における熱処理温度、ii)塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量、及びiii)最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚み、によって制御できる。本発明者らは、熱処理温度が一定であって、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が異なる場合や、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が一定でも塗布膜の厚みが異なる場合には、析出する金属微粒子の粒子径が異なるという知見を得ていた。また、熱処理温度、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量及び最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚みの制御なしに熱処理を行った場合には、粒子間距離が小さくなることがあることや、ポリイミド樹脂層の表面に金属微粒子が凝集して島状となることがあるという知見も得ていた。
以上のような知見を生かし、上記のi)〜iii)の条件を制御することによって金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離が制御できることを見出した。すなわち、i)〜iii)の条件の制御によって、金属微粒子の平均粒子径を3nm〜25nmの範囲内に制御するとともに、このように制御された金属微粒子が、それぞれの粒子間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子における大きい方の金属微粒子の粒子径(D)以上、すなわち、L≧Dの関係で存在するようになる。本実施の形態の金属微粒子複合体は、工程a及び工程bの要件を備えていることにより、析出した金属微粒子の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子における大きい方の粒子径D以上の粒子間距離Lでポリイミド樹脂内に分散した状態となる。粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子の粒子径Dと金属微粒子の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。
本実施の形態では、金属微粒子の体積分率を、金属微粒子複合体に対して0.05〜1%の範囲内、好ましくは0.1〜1%の範囲内とする。体積分率を上記範囲内とすることによって、金属微粒子の粒子間距離Lを制御することができる。金属微粒子の体積分率は、主として、工程aにおける塗布液中の金属分の含有量により調整できる。
また、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の硬さは、金属微粒子の熱拡散性に影響を与える。つまり、熱処理温度におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が柔らかいほど、金属微粒子の熱拡散が進行しやすく、逆にポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が硬いほど、金属微粒子の熱拡散が進行しにくい。このような観点から、L≧Dの関係を満たすように制御された金属微粒子複合体を形成するためには、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率(つまり、温度160〜450℃の範囲内に加熱されたときの弾性率)を調整することが好ましい。なお、後記実施例では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を示しているが、該弾性率は工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を反映する指標となる。すなわち、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が高いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は高く、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が低いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は低くなるため、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を制御することで、金属微粒子の熱拡散を制御することができる。硬化後のポリイミド樹脂の弾性率は、例えば1×10以上1×1010Pa以下の範囲内に調節しておくことが好ましい。
本実施の形態の製造方法の特長は、ラボスケールから生産スケールに至るまで特に制限なく簡便な設備で対応でき、また枚葉式のみならず連続式にも特段の工夫なくとも対応できることなど、工業的に有利な点が挙げられることにある。また、工程bでは、例えば、Ar、Nなどの不活性ガス雰囲気中、1〜5KPaの真空中、又は大気中で行うことができる。粒子状金属を析出させる方法(還元処理方法)として、水素などの還元性ガスを用いる気相還元や光(紫外線)還元は不適である。気相還元では、ポリイミド樹脂層の表面付近に金属微粒子が形成されず、還元性ガスによってポリイミド樹脂の熱分解が促進され、金属微粒子の粒子間隔を制御することが困難となる。また、光還元では、ポリイミド樹脂層に由来する光透過度によって表面付近と深部での金属微粒子の密度のバラつきが生じやすく、金属微粒子の粒子径D及び粒子間距離Lを制御することが困難である上に還元効率も低い。また、工程bの過程で析出する粒子状金属がAu(金)やNi(ニッケル)など、粒子状金属そのものが高温雰囲気下でポリイミド樹脂(又はポリイミド前駆体樹脂)の分解を促進するような(いわゆる触媒機能を有する)金属種である場合には、Ar、Nなどの不活性ガス雰囲気中、1〜5KPaの真空中で行うことが好ましい。
工程bでは、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、金属微粒子の析出からイミド化までの工程をワンポットで行うことができ、生産工程を簡略化できる。
また、熱処理による還元では、塗布膜中に存在する金属イオン(又は金属塩)を還元し、熱拡散によって個々の金属微粒子が独立した状態で析出させることができる。このように形成された金属微粒子は、一定以上の粒子間距離Lを保った状態でしかも形状が略均一であり、ポリイミド樹脂層中で金属微粒子がポリイミド樹脂の表層部から三次元的に偏りなく分散するようになる。また、ポリイミド樹脂を構成する樹脂の構造単位を制御することや、金属イオン(又は金属塩)の絶対量及び金属微粒子の体積分率を制御することで、金属微粒子の平均粒子径とポリイミド樹脂層中での金属微粒子の分布状態を制御することもできる。
さらに、ポリイミド樹脂層中の金属微粒子の含有量が6μg/cm〜10μg/cmの範囲内となるようにし、またポリイミド樹脂層の厚みが600nm〜870nmの範囲内になるように塗布膜を形成することによって、平均粒子径が13nm以上の金属微粒子が分散した金属微粒子層を形成することができる。
なお、本実施の製造方法においては、上記工程a及び工程b以外に、例えばエッチング工程などの任意工程を行うこともできる。
以上のように、本発明の金属微粒子複合体の製造方法によれば、ポリイミド前駆体樹脂の内部で金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子を析出させるため、ポリイミド前駆体樹脂中での金属化合物の含有量の調整が容易であり、ポリイミド樹脂中に分散させる金属微粒子の含有量を調整しやすい。従って、比較的容易に、平均粒子径が3nm〜25nmの範囲内の金属微粒子を含み、金属微粒子の体積分率が0.05〜1%の範囲内であり、厚みが300nm〜1μmの範囲内の金属微粒子複合体を製造することができる。しかも、その還元処理が加熱によるものなので、析出した金属微粒子の熱拡散を利用して金属微粒子をマトリックス樹脂内で一定以上の粒子間距離を保った状態で分散させることができる。また、一定以上の粒子間距離で分散した金属微粒子がマトリックス樹脂の表層部から存在するようになる。
また、本発明の金属微粒子複合体の製造方法では、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、生産工程を簡略化できる。
本発明方法により製造される金属微粒子複合体は、上記の構造的特性を備えているため、圧力センサーなどの局在型表面プラズモン効果を利用する分野をはじめ、例えば電磁波シールド材や磁気ノイズ吸収材、高熱伝導樹脂材など、様々な産業分野に応用できる。特に、本発明方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層が300nm〜1μmの充分な膜厚を有する一方で、金属微粒子の平均粒子径が3nm〜25nmと前記膜厚に比べて相対的に小さく、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.05〜1%であるため、局在型表面プラズモン共鳴を利用する圧力センサーの用途に好ましく適用できる。つまり、ポリイミド樹脂層の厚みが金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離に対して充分に大きいため、加圧時の弾性変形の幅を大きくとることが可能であり、弾性変形時に内部の金属微粒子の移動距離も大きくすることができる。従って、圧力センサーとしての検出マージンを広くとることができるとともに、検出精度を高めることができる。しかも、金属微粒子の平均粒子径の範囲が3nm〜25nmと狭いために粒子径のばらつきが小さく、加圧時には局在型表面プラズモン共鳴によってシャープな吸収が得られるため高感度の検出が可能になる。従って、圧力センサーとしての利用圧力範囲が広く、かつ高い検出感度と測定精度を得ることが期待される。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。本発明の第2の実施の形態に係る金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm〜30nmの範囲内にある金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して(好ましくは完全に独立して)分散してなり、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.2%以上5%以下の範囲内にある金属微粒子複合体を製造するものであり、以下の工程a及び工程bを備えている。本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法におけるポリイミド樹脂、及びポリイミド前駆体樹脂は、第1の実施の形態で説明したものを使用できる。
[工程a;塗布膜形成工程]
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、基材上に塗布し、乾燥することによって、塗布膜を形成する。本実施の形態における工程aは、塗布膜を形成するための塗布液中の金属分の含有量が異なる点を除き、第1の実施の形態の工程aと同様に実施できる。
本実施の形態の工程aで用いる塗布液は、金属化合物に由来する金属分の含有量が10μg/cm〜50μg/cmの範囲内、好ましくは10μg/cm〜40μg/cmの範囲内、より好ましくは10μg/cm〜30μg/cmの範囲内となるように基材上に塗布される。塗布して得られる塗布膜の単位面積あたりの金属量は、予め塗布液中の金属分の含有量を決定しておき、塗布膜の膜厚で制御する方法や、予め塗布膜の膜厚を決定しておき、塗布液中の金属分の含有量で制御する方法がある。塗布膜の膜厚は、乾燥後の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内、好ましくは1μm以上1.7μm以下の範囲内となるようにし、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが300nm〜1μmの範囲内、好ましくは600nm〜1μmの範囲内となるようにする。イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが300nm未満では金属微粒子同士の凝集が生じやすい傾向になり、一方、1μmを超えるとポリイミド樹脂層中に形成される金属微粒子が小さくなる傾向になり、またポリイミド樹脂層の表層部と深部とでの金属微粒子の平均粒子径がばらつく傾向になる。
また、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離を制御するためには、上記塗布膜中の金属分の含有量の範囲(10μg/cm〜50μg/cm)とイミド化後のポリイミド樹脂層の厚みの範囲(300nm〜1μm)の条件を満たした上で、さらに、塗布膜中の金属分の含有量A[μg/cm]と、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みB[nm]との関係が下式を満たすようにすることがより好ましい。
2≦(A/B)×100≦12・・・(ii)
[工程b;熱処理工程]
工程bでは、上記のようにして得られた塗布膜を、160〜450℃の範囲内、好ましくは200〜400℃の範囲内、より好ましくは300〜400℃の範囲内で熱処理することにより金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させる。また、この熱処理により、塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが300nm〜1μmの範囲内にあり、かつ弾性率が3GPa〜10GPaの範囲内のポリイミド樹脂層を形成する。本実施の形態における工程bは、以下に説明する点を除き、第1の実施の形態の工程bと同様に実施できる。
加熱時間は、後述するように、目標とする粒子間距離に応じて、さらに加熱温度や、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量に応じて決定することができるが、例えば加熱温度が160℃では10〜180分の範囲内、加熱温度が450℃では1〜60分の範囲内に設定することができる。
工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率(つまり、温度160〜450℃の範囲内に加熱されたときの弾性率)は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与えるので、金属微粒子の熱拡散を適度に進行させる目的で熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。本実施の形態の方法では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が、例えば3GPa以上10GPa以下の範囲内、好ましくは4GPa以上10GPa以下の範囲内になるようにポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が3GPa未満では、工程bにおける熱処理の際に、金属微粒子の分散を制御することが困難となり、金属微粒子の凝集が生じる傾向となる。一方、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が10GPaを超えると、金属微粒子の分散が著しく抑制されるため、生成する金属微粒子が過度に小さくなり、例えば局在型表面プラズモン共鳴によるセンサー等の用途に利用する場合の感度が低下する傾向になり、また、マトリックスであるポリイミド樹脂の靭性が低下し、著しく脆い材料となる傾向になる。
なお、本実施の形態では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を規定しているが、該弾性率は工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率と関係があり、熱処理過程での弾性率を反映する指標となるためである。すなわち、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が高いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は高く、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が低いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は低くなる。そのため、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を制御することで、金属微粒子の熱拡散を制御することができる。
また、この熱処理によって塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して、金属微粒子の含有量が10μg/cm〜50μg/cmの範囲内、好ましくは10μg/cm〜40μg/cmの範囲内、より好ましくは10μg/cm〜30μg/cmの範囲内にあり、且つ厚みが300nm〜1μmの範囲内、好ましくは600nm〜1μmの範囲内にあるポリイミド樹脂層を形成する。
金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離は、i)熱処理工程における熱処理温度、ii)塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量、iii)最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚み、及び、iv)熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率、によって制御できる。本発明者らは、熱処理温度が一定であって、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が異なる場合や、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が一定でも塗布膜の厚みが異なる場合には、析出する金属微粒子の粒子径が異なるという知見を得ていた。また、熱処理温度、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量及び最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚みの制御なしに熱処理を行った場合には、粒子間距離が小さくなることがあることや、ポリイミド樹脂層の表面に金属微粒子が凝集して島状となることがあるという知見も得ていた。さらに、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与え、熱処理温度においてポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が柔らかいほど、金属微粒子の熱拡散が進行しやすく、逆にポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が硬いほど、金属微粒子の熱拡散が進行しにくい、という知見も得ていた。
以上のような知見を生かし、上記のi)〜iv)の条件を制御することによって金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離が制御できることを見出した。すなわち、i)〜iv)の条件の制御によって、金属微粒子の平均粒子径を3nm〜30nmの範囲内に制御するとともに、このように制御された金属微粒子が、それぞれの粒子間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子における大きい方の金属微粒子の粒子径(D)以上、すなわち、L≧Dの関係で存在するようになる。本実施の形態の金属微粒子複合体は、工程a及び工程bの要件を備えていることにより、析出した金属微粒子の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子における大きい方の粒子径D以上の粒子間距離Lでポリイミド樹脂内に分散した状態となる。粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子の粒子径Dと金属微粒子の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。
本実施の形態では、金属微粒子の体積分率を、金属微粒子複合体に対して0.2〜5%の範囲内、好ましくは0.5〜3%の範囲内とする。体積分率を上記範囲内とすることによって、金属微粒子の粒子間距離Lを制御することができる。金属微粒子の体積分率は、主として、工程aにおける塗布液中の金属分の含有量により調整できる。
なお、本実施の形態の製造方法においては、上記工程a及び工程b以外に、例えばエッチング工程などの任意工程を行うこともできる。
以上のように、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法によれば、ポリイミド前駆体樹脂の内部で金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子を析出させるため、ポリイミド前駆体樹脂中での金属化合物の含有量の調整が容易であり、ポリイミド樹脂中に分散させる金属微粒子の含有量を調整しやすい。従って、比較的容易に、平均粒子径が3nm〜30nmの範囲内の金属微粒子を含み、金属微粒子の体積分率が0.2%以上5%以下の範囲内であり、厚みが300nm〜1μmの範囲内の金属微粒子複合体を製造することができる。しかも、その還元処理が加熱によるものなので、析出した金属微粒子の熱拡散を利用して金属微粒子をマトリックス樹脂内で一定以上の粒子間距離を保った状態で分散させることができる。また、一定以上の粒子間距離で分散した金属微粒子がマトリックス樹脂の表層部から存在するようになる。
また、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、生産工程を簡略化できる。
本実施の形態方法により製造される金属微粒子複合体は、上記の構造的特性を備えているため、圧力センサーなどの局在型表面プラズモン効果を利用する分野をはじめ、例えば電磁波シールド材や磁気ノイズ吸収材、高熱伝導樹脂材など、様々な産業分野に応用できる。特に、本実施の形態の方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層が300nm〜1μmの充分な膜厚を有する一方で、金属微粒子の平均粒子径が3nm〜30nmと前記膜厚に比べて相対的に小さく、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.2%以上5%以下であるため、局在型表面プラズモン共鳴を利用する圧力センサーの用途に好ましく適用できる。つまり、ポリイミド樹脂層の厚みが金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離に対して充分に大きいため、加圧時の弾性変形の幅を大きくとることが可能であり、弾性変形時に内部の金属微粒子の移動距離も大きくすることができる。従って、圧力センサーとしての検出マージンを広くとることができるとともに、検出精度を高めることができる。しかも、金属微粒子の平均粒子径の範囲が3nm〜30nmと狭いために粒子径のばらつきが小さく、加圧時には局在型表面プラズモン共鳴によってシャープな吸収が得られるため高感度の検出が可能になる。従って、圧力センサーとしての利用圧力範囲が広く、かつ高い検出感度と測定精度を得ることが期待される。
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法における他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。本発明の第3の実施の形態に係る金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm〜30nmの範囲内にある金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して(好ましくは完全に独立して)分散してなり、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.5%以上5%以下の範囲内にある金属微粒子複合体を製造するものであり、以下の工程a及び工程bを備えている。本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法におけるポリイミド樹脂、及びポリイミド前駆体樹脂は、第1の実施の形態で説明したものを使用できる。
[工程a;塗布膜形成工程]
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、基材上に塗布し、乾燥することによって、塗布膜を形成する。本実施の形態における工程aは、塗布膜を形成するための塗布液中の金属分の含有量が異なる点を除き、第1の実施の形態の工程aと同様に実施できる。
本実施の形態の工程aで用いる塗布液は、金属化合物に由来する金属分の含有量が5μg/cm〜10μg/cmの範囲内、好ましくは5μg/cm〜9μg/cmの範囲内、より好ましくは5μg/cm〜8μg/cmの範囲内となるように基材上に塗布される。塗布して得られる塗布膜の単位面積あたりの金属量は、予め塗布液中の金属分の含有量を決定しておき、塗布膜の膜厚で制御する方法や、予め塗布膜の膜厚を決定しておき、塗布液中の金属分の含有量で制御する方法がある。塗布膜の膜厚は、乾燥後の厚さが150nm〜500nmの範囲内、好ましくは200nm〜500nmの範囲内となるようにし、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが100nm〜300nmの範囲内、好ましくは150nm〜300nmの範囲内となるようにする。イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが100nm未満では金属微粒子同士の凝集が生じやすい傾向になり、一方、300nmを超えるとポリイミド樹脂層中に形成される金属微粒子が小さくなる傾向になり、またポリイミド樹脂層の表層部と深部とでの金属微粒子の平均粒子径がばらつく傾向になる。
また、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離を制御するためには、上記塗布膜中の金属分の含有量の範囲(5μg/cm〜10μg/cm)とイミド化後のポリイミド樹脂層の厚みの範囲(100nm〜300nm)の条件を満たした上で、さらに、塗布膜中の金属分の含有量A[μg/cm]と、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みB[nm]との関係が下式を満たすようにすることがより好ましい。
2≦(A/B)×100≦8・・・(iii)
[工程b;熱処理工程]
工程bでは、上記のようにして得られた塗布膜を、160〜450℃の範囲内、好ましくは200〜400℃の範囲内、より好ましくは300〜400℃の範囲内で熱処理することにより金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させる。また、この熱処理により、塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが100nm〜300nmの範囲内にあり、かつ弾性率が5MPa〜10GPaの範囲内のポリイミド樹脂層を形成する。本実施の形態における工程bは、以下に説明する点を除き、第1の実施の形態の工程bと同様に実施できる。
加熱時間は、後述するように、目標とする粒子間距離に応じて、さらに加熱温度や、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量に応じて決定することができるが、例えば加熱温度が160℃では10〜180分の範囲内、加熱温度が450℃では1〜60分の範囲内に設定することができる。
工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率(つまり、温度160〜450℃の範囲内に加熱されたときの弾性率)は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与えるので、金属微粒子の熱拡散を適度に進行させる目的で、熱処理時のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。本実施の形態の方法では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が、例えば5MPa以上10GPa以下の範囲内、好ましくは8MPa以上10GPa以下の範囲内になるようにポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が5MPa未満では、工程bにおける熱処理の際に、金属微粒子の分散を制御することが困難となり、金属微粒子の凝集が生じる傾向となる。一方、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が10GPaを超えると、金属微粒子の分散が著しく抑制されるため、生成する金属微粒子が過度に小さくなり、例えば局在型表面プラズモン共鳴によるセンサー等の用途に利用する場合の感度が低下する傾向になり、また、マトリックスであるポリイミド樹脂の靭性が低下し、著しく脆い材料となる傾向になる。
なお、本実施の形態では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を規定しているが、該弾性率は工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率と関係があり、熱処理過程での弾性率を反映する指標となるためである。すなわち、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が高いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は高く、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が低いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は低くなる。そのため、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を制御することで、金属微粒子の熱拡散を制御することができる。
また、この熱処理によって塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して、金属微粒子の含有量が5μg/cm〜10μg/cmの範囲内、好ましくは5μg/cm〜9μg/cmの範囲内、より好ましくは5μg/cm〜8μg/cmの範囲内にあり、且つ厚みが100nm〜300nmの範囲内、好ましくは150nm〜300nmの範囲内にあるポリイミド樹脂層を形成する。
金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離は、i)熱処理工程における熱処理温度、ii)塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量、iii)最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚み、及び、iv)熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率によって制御できる。本発明者らは、熱処理温度が一定であって、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が異なる場合や、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が一定でも塗布膜の厚みが異なる場合には、析出する金属微粒子の粒子径が異なるという知見を得ていた。また、熱処理温度、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量及び最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚みの制御なしに熱処理を行った場合には、粒子間距離が小さくなることがあることや、ポリイミド樹脂層の表面に金属微粒子が凝集して島状となることがあるという知見も得ていた。さらに、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与え、熱処理温度においてポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が柔らかいほど、金属微粒子の熱拡散が進行しやすく、逆にポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が硬いほど、金属微粒子の熱拡散が進行しにくい、という知見も得ていた。
以上のような知見を生かし、上記のi)〜iv)の条件を制御することによって金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離が制御できることを見出した。すなわち、i)〜iv)の条件の制御によって、金属微粒子の平均粒子径を3nm〜30nmの範囲内に制御するとともに、このように制御された金属微粒子が、それぞれの粒子間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子における大きい方の金属微粒子の粒子径(D)以上、すなわち、L≧Dの関係で存在するようになる。本実施の形態の金属微粒子複合体は、工程a及び工程bの要件を備えていることにより、析出した金属微粒子の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子における大きい方の粒子径D以上の粒子間距離Lでポリイミド樹脂内に分散した状態となる。粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子の粒子径Dと金属微粒子の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。
本実施の形態では、金属微粒子の体積分率を、金属微粒子複合体に対して0.5〜5%の範囲内、好ましくは1〜3%の範囲内とする。体積分率を上記範囲内とすることによって、金属微粒子の粒子間距離Lを制御することができる。金属微粒子の体積分率は、主として、工程aにおける塗布液中の金属分の含有量により調整できる。
なお、本実施の形態の製造方法においては、上記工程a及び工程b以外に、例えばエッチング工程などの任意工程を行うこともできる。
以上のように、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法によれば、ポリイミド前駆体樹脂の内部で金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子を析出させるため、ポリイミド前駆体樹脂中での金属化合物の含有量の調整が容易であり、ポリイミド樹脂中に分散させる金属微粒子の含有量を調整しやすい。従って、比較的容易に、平均粒子径が3nm〜30nmの範囲内の金属微粒子を含み、金属微粒子の体積分率が0.5〜5%の範囲内であり、厚みが100nm〜300nmの範囲内の金属微粒子複合体を製造することができる。しかも、その還元処理が加熱によるものなので、析出した金属微粒子の熱拡散を利用して金属微粒子をマトリックス樹脂内で一定以上の粒子間距離を保った状態で分散させることができる。また、一定以上の粒子間距離で分散した金属微粒子がマトリックス樹脂の表層部から存在するようになる。
また、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、生産工程を簡略化できる。
本実施の形態の方法により製造される金属微粒子複合体は、上記の構造的特性を備えているため、圧力センサーなどの局在型表面プラズモン効果を利用する分野をはじめ、例えば電磁波シールド材や磁気ノイズ吸収材、高熱伝導樹脂材など、様々な産業分野に応用できる。特に、本実施の形態の方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層が100nm〜300nmの充分な膜厚を有する一方で、金属微粒子の平均粒子径が3nm〜30nmと前記膜厚に比べて相対的に小さく、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して0.5〜5%であるため、局在型表面プラズモン共鳴を利用する圧力センサーの用途に好ましく適用できる。つまり、ポリイミド樹脂層の厚みが金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離に対して充分に大きいため、加圧時の弾性変形の幅を大きくとることが可能であり、弾性変形時に内部の金属微粒子の移動距離も大きくすることができる。従って、圧力センサーとしての検出マージンを広くとることができるとともに、検出精度を高めることができる。しかも、金属微粒子の平均粒子径の範囲が3nm〜30nmと狭いために粒子径のばらつきが小さく、加圧時には局在型表面プラズモン共鳴によってシャープな吸収が得られるため高感度の検出が可能になる。従って、圧力センサーとしての利用圧力範囲が広く、かつ高い検出感度と測定精度を得ることが期待される。また、本実施の形態の方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層を100nm〜300nmと薄膜化できるため、金属微粒子複合体の表層部の微妙な変化をセンシングする用途に適している。このような性質を利用し、例えば、金属微粒子複合体の表層部をエッチング加工し、該複合体の表層部にある金属微粒子の一部をマトリックスから表面に露出させることにより、外部環境の変化をセンシングするセンサー基板として有利に利用できることなど、その応用が期待できる。
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法における他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。本発明の一実施の形態に係る金属微粒子複合体の製造方法は、ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が5nm〜35nmの範囲内にある金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して(好ましくは完全に独立して)分散してなり、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して1%以上15%以下の範囲内にある金属微粒子複合体を製造するものであり、以下の工程a及び工程bを備えている。本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法におけるポリイミド樹脂、及びポリイミド前駆体樹脂は、第1の実施の形態で説明したものを使用できる。
[工程a;塗布膜形成工程]
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、基材上に塗布し、乾燥することによって、塗布膜を形成する。本実施の形態における工程aは、塗布膜を形成するための塗布液中の金属分の含有量が異なる点を除き、第1の実施の形態の工程aと同様に実施できる。
本実施の形態の工程aで用いる塗布液は、金属化合物に由来する金属分の含有量が10μg/cm〜30μg/cmの範囲内、好ましくは10μg/cm〜27μg/cmの範囲内、より好ましくは10μg/cm〜25μg/cmの範囲内となるように基材上に塗布される。塗布して得られる塗布膜の単位面積あたりの金属量は、予め塗布液中の金属分の含有量を決定しておき、塗布膜の膜厚で制御する方法や、予め塗布膜の膜厚を決定しておき、塗布液中の金属分の含有量で制御する方法がある。塗布膜の膜厚は、乾燥後の厚さが150nm〜500nmの範囲内、好ましくは200nm〜500nmの範囲内となるようにし、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが100nm〜300nmの範囲内、好ましくは150nm〜300nmの範囲内となるようにする。イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みが100nm未満では金属微粒子同士の凝集が生じやすい傾向になり、一方、300nmを超えるとポリイミド樹脂層中に形成される金属微粒子が小さくなる傾向になり、またポリイミド樹脂層の表層部と深部とでの金属微粒子の平均粒子径がばらつく傾向になる。
また、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離を制御するためには、上記塗布膜中の金属分の含有量の範囲(10μg/cm〜30μg/cm)とイミド化後のポリイミド樹脂層の厚みの範囲(100nm〜300nm)の条件を満たした上で、さらに、塗布膜中の金属分の含有量A[μg/cm]と、イミド化後のポリイミド樹脂層の厚みB[nm]との関係が下式を満たすようにすることがより好ましい。
5≦(A/B)×100≦25・・・(iv)
[工程b;熱処理工程]
工程bでは、上記のようにして得られた塗布膜を、160〜450℃の範囲内、好ましくは200〜400℃の範囲内、より好ましくは300〜400℃の範囲内で熱処理することにより金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させる。また、この熱処理により、塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが100nm〜300nmの範囲内にあり、かつ弾性率が0.5GPa〜10GPaの範囲内のポリイミド樹脂層を形成する。本実施の形態における工程bは、以下に説明する点を除き、第1の実施の形態の工程bと同様に実施できる。
加熱時間は、後述するように、目標とする粒子間距離に応じて、さらに加熱温度や、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量に応じて決定することができるが、例えば加熱温度が160℃では10〜180分の範囲内、加熱温度が450℃では1〜60分の範囲内に設定することができる。
また、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率(つまり、温度160〜450℃の範囲内に加熱されたときの弾性率)は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与えるので、金属微粒子の熱拡散を適度に進行させる目的で、熱処理時のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。本実施の形態の方法では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が、例えば0.5GPa以上10GPa以下の範囲内、好ましくは0.6GPa以上10GPa以下の範囲内になるようにポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率を調節する。硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が0.5GPa未満では、工程bにおける熱処理の際に、金属微粒子の分散を制御することが困難となり、金属微粒子の凝集が生じる傾向となる。一方、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が10GPaを超えると、金属微粒子の分散が著しく抑制されるため、生成する金属微粒子が過度に小さくなり、例えば局在型表面プラズモン共鳴によるセンサー等の用途に利用する場合の感度が低下する傾向になり、また、マトリックスであるポリイミド樹脂の靭性が低下し、著しく脆い材料となる傾向になる。
なお、本実施の形態では、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を規定しているが、該弾性率は工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率と関係があり、熱処理過程での弾性率を反映する指標となるためである。すなわち、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が高いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は高く、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率が低いほど工程bの熱処理過程におけるポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は低くなる。そのため、硬化後のポリイミド樹脂の弾性率を制御することで、金属微粒子の熱拡散を制御することができる。
また、この熱処理によって塗布膜中のポリイミド前駆体樹脂をイミド化して、金属微粒子の含有量が10μg/cm〜30μg/cmの範囲内、好ましくは10μg/cm〜27μg/cmの範囲内、より好ましくは10μg/cm〜25μg/cmの範囲内にあり、且つ厚みが100nm〜300nmの範囲内、好ましくは150nm〜300nmの範囲内にあるポリイミド樹脂層を形成する。
上記のように、金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離は、i)熱処理工程における熱処理温度、ii)塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量、iii)最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚み、及び、iv)熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の硬さ、によって制御できる。本発明者らは、熱処理温度が一定であって、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が異なる場合や、塗布膜に含有する金属イオン(又は金属塩)の絶対量が一定でも塗布膜の厚みが異なる場合には、析出する金属微粒子の粒子径が異なるという知見を得ていた。また、熱処理温度、塗布膜に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量及び最終的に形成されるポリイミド樹脂層の厚みの制御なしに熱処理を行った場合には、粒子間距離が小さくなることがあることや、ポリイミド樹脂層の表面に金属微粒子が凝集して島状となることがあるという知見も得ていた。さらに、工程bの熱処理を行う際のポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂の弾性率は、金属微粒子の熱拡散性に影響を与え、熱処理温度においてポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が柔らかいほど、金属微粒子の熱拡散が進行しやすく、逆にポリイミド前駆体樹脂/ポリイミド樹脂が硬いほど、金属微粒子の熱拡散が進行しにくい、という知見も得ていた。
以上のような知見を生かし、上記のi)〜iv)の条件を制御することによって金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離が制御できることを見出した。すなわち、i)〜iv)の条件の制御によって、金属微粒子の平均粒子径を5nm〜35nmの範囲内に制御するとともに、このように制御された金属微粒子が、それぞれの粒子間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子における大きい方の金属微粒子の粒子径(D)以上、すなわち、L≧Dの関係で存在するようになる。本実施の形態の金属微粒子複合体は、工程a及び工程bの要件を備えていることにより、析出した金属微粒子の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子における大きい方の粒子径D以上の粒子間距離Lでポリイミド樹脂内に分散した状態となる。粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子の粒子径Dと後述する金属微粒子の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。
本実施の形態では、金属微粒子の体積分率を、金属微粒子複合体に対して1〜15%の範囲内、好ましくは2〜10%の範囲内とする。体積分率を上記範囲内とすることによって、金属微粒子の粒子間距離Lを制御することができる。金属微粒子の体積分率は、主として、工程aにおける塗布液中の金属分の含有量により調整できる。
なお、本実施の形態の製造方法においては、上記工程a及び工程b以外に、例えばエッチング工程などの任意工程を行うこともできる。
以上のように、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法によれば、ポリイミド前駆体樹脂の内部で金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子を析出させるため、ポリイミド前駆体樹脂中での金属化合物の含有量の調整が容易であり、ポリイミド樹脂中に分散させる金属微粒子の含有量を調整しやすい。従って、比較的容易に、平均粒子径が5nm〜35nmの範囲内の金属微粒子を含み、金属微粒子の体積分率が1〜15%の範囲内であり、厚みが100nm〜300nmの範囲内の金属微粒子複合体を製造することができる。しかも、その還元処理が加熱によるものなので、析出した金属微粒子の熱拡散を利用して金属微粒子をマトリックス樹脂内で一定以上の粒子間距離を保った状態で分散させることができる。また、一定以上の粒子間距離で分散した金属微粒子がマトリックス樹脂の表層部から存在するようになる。
また、本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法では、還元処理で使用する熱を利用してポリイミド前駆体樹脂のイミド化も完結させることができるので、生産工程を簡略化できる。
本実施の形態の方法により製造される金属微粒子複合体は、上記の構造的特性を備えているため、圧力センサーなどの局在型表面プラズモン効果を利用する分野をはじめ、例えば電磁波シールド材や磁気ノイズ吸収材、高熱伝導樹脂材など、様々な産業分野に応用できる。特に、本実施の形態の方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層が100nm〜300nmの充分な膜厚を有する一方で、金属微粒子の平均粒子径が5nm〜35nmと前記膜厚に比べて相対的に小さく、かつ金属微粒子の体積分率が金属微粒子複合体に対して1〜15%であるため、局在型表面プラズモン共鳴を利用する圧力センサーの用途に好ましく適用できる。つまり、ポリイミド樹脂層の厚みが金属微粒子の平均粒子径及び粒子間距離に対して充分に大きいため、加圧時の弾性変形の幅を大きくとることが可能であり、弾性変形時に内部の金属微粒子の移動距離も大きくすることができる。従って、圧力センサーとしての検出マージンを広くとることができるとともに、検出精度を高めることができる。しかも、金属微粒子の平均粒子径の範囲が5nm〜35nmと狭いために粒子径のばらつきが小さく、加圧時には局在型表面プラズモン共鳴によってシャープな吸収が得られるため高感度の検出が可能になる。従って、圧力センサーとしての利用圧力範囲が広く、かつ高い検出感度と測定精度を得ることが期待される。また、本実施の形態の方法により得られる金属微粒子複合体は、ポリイミド樹脂層を100nm〜300nmと薄膜化できるため、金属微粒子複合体の表層部の微妙な変化をセンシングする用途に適している。このような性質を利用し、例えば、金属微粒子複合体の表層部をエッチング加工し、該複合体の表層部にある金属微粒子の一部をマトリックスから表面に露出させることにより、外部環境の変化をセンシングするセンサー基板として有利に利用できることなど、その応用が期待できる。
本実施の形態の金属微粒子複合体の製造方法における他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[金属微粒子の平均粒子径の測定]
金属微粒子の平均粒子径の測定は、試料の断面をミクロトーム(ライカ社製、ウルトラカットUTCウルトラミクロトーム)を用いて超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、JEM−2000EX)により観測した。尚、ガラス基板上に作製した試料を上記の方法で観測することは困難であるため、ポリイミドフィルム上に同条件で作製したものを用い観測した。また、金属微粒子の平均粒子径は面積平均径とした。
[試料の吸収スペクトル測定]
作製した試料の吸収スペクトルは、紫外・可視・近赤外分光法(日本分光社製、UV−vis U−4000)により観測した。
[光透過率の測定]
光透過率は、紫外・可視分光分析(日本分光社製、UV−vis V−550)を用いて測定した。
[弾性率の測定]
レオメトリックス社製のRSA IIを用いて、昇温速度10℃/min、温度範囲40℃から450℃、周波数1Hz、歪み0.001の条件で、5×33mmのサイズにカットしたポリイミドフィルムについて動的粘弾性特性を測定し、各温度におけるポリイミドの弾性率を求めた。
合成例1
1000mlのセパラブルフラスコ内において、425gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に、31.8gの2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m−TB)及び4.9gの1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)を室温で30分撹拌した。その後、28.6gのピロメリット酸二無水物(PMDA)及び9.6gの3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘調なポリイミド前駆体樹脂溶液Sを得た。得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sの粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II +Pro CP型)により測定した結果、28,000センチポイズ(25℃)であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sを、ステンレス基材の上に塗布し、130℃で3分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをステンレス基材から剥離し、25μmの厚みのポリイミドフィルムPを得た。このフィルムの波長400nm、500nm及び600nmでの光透過率は、それぞれ0%、70.5%、及び82%であった。また、このフィルムについて、温度200℃、300℃、及び400℃における弾性率を測定した結果、それぞれ3GPa、2GPa、及び0.6GPaであった。
合成例2
500mlのセパラブルフラスコ内において、撹拌しながら、15.24gの2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)47.6mmolを170gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液に窒素気流下で14.76gの4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)47.6mmolを加え、室温で4時間攪拌を続けて重合反応を行い、無色の粘調なポリイミド前駆体樹脂溶液Sを得た。得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sの粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II +Pro CP型)により測定した結果、3251センチポイズ (25℃)であった。重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)により測定し、Mw=163,900であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sを、ステンレス基材の上に塗布し、130℃で3分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをステンレス基材から剥離し、10μmの厚みのポリイミドフィルムPを得た。このフィルムの波長400nmでの光透過率は95%、可視光平均透過率は96%であった。また、このフィルムについて、温度200℃、300℃、及び400℃における弾性率を測定した結果、それぞれ0.2GPa、0.01GPa、及び0.001GPaであった。
合成例3
1000mlのセパラブルフラスコ内において、425gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に、36.4gの1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)を室温で30分撹拌した。その後、11.1gのピロメリット酸二無水物(PMDA)及び27.4gの3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、粘調なポリイミド前駆体樹脂溶液Sを得た。得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sの粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II +Pro CP型)により測定した結果、2,500センチポイズ(25℃)であった。
得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Sを、ステンレス基材の上に塗布し、130℃で3分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをステンレス基材から剥離し、25μmの厚みのポリイミドフィルムPを得た。このフィルムの波長400nm、500nm及び600nmでの光透過率は、それぞれ0%、60%、及び72%であった。また、このフィルムについて、温度200℃、300℃、及び400℃における弾性率を測定した結果、それぞれ1GPa、0.08GPa、及び0.008GPaであった。
作製例1
無アルカリガラス(旭硝子株式会社製、AN−100)の試験片10cm×10cm(厚み0.7mm)を50℃の5N水酸化ナトリウム水溶液により5分間処理した。次に、試験片のガラス基板を、純水で洗浄し、乾燥した後、1重量%の3−アミノプロピルトリメトキシシラン(以下、「γ−APS」と略す)水溶液に浸漬させた。このガラス基板を、γ−APS水溶液から取り出した後乾燥し、110℃で5分間加熱して、ガラス基板G1を作製した。
[実施例1−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1380nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−1を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−1は、金の単位面積当たりの含有量が8.19μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−1を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−1(厚さ828nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−1中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;10.6nm、最大粒子径;18.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−1における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;39.4nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが560nm、半値幅が72nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1473nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−2を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−2は、金の単位面積当たりの含有量が8.74μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−2を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−2(厚さ884nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−2中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;12.2nm、最大粒子径;29.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−2における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;45.3nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−2の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが564nm、半値幅が92nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−3]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1440nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−3を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−3は、金の単位面積当たりの含有量が8.55μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−3を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−3(厚さ865nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−3中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;15.0nm、最大粒子径;29.0nm、最小粒子径;6.0nm、ナノコンポジットフィルム1−3における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;55.7nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−3の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nm、半値幅が76nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−4]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1370nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−4を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−4は、金の単位面積当たりの含有量が7.98μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−4を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−4(厚さ827nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−4中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;13.3nm、最大粒子径;22.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−4における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;49.4nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−4の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが560nm、半値幅が80nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−5]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1260nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−5を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−5は、金の単位面積当たりの含有量が7.29μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−5を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−5(厚さ755nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−5中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;17.4nm、最大粒子径;26.0nm、最小粒子径;7.0nm、ナノコンポジットフィルム1−5における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;64.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−5の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが574nm、半値幅が69nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−6]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.191gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1220nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−6を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−6は、金の単位面積当たりの含有量が7.06μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−6を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−6(厚さ730nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−6中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;19.8nm、最大粒子径;35.0nm、最小粒子径;10.0nm、ナノコンポジットフィルム1−6における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;73.5nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−6の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが576nm、半値幅が72nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−7]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約750nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−7を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−7は、金の単位面積当たりの含有量が4.45μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−7を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−7(厚さ450nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−7中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;8.5nm、最大粒子径;11.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−7における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;31.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−7の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが546nm、半値幅が83nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−8]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約770nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−8を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−8は、金の単位面積当たりの含有量が4.55μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−8を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−8(厚さ460nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−8中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;9.6nm、最大粒子径;17.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム1−8における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;35.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−8の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが560nm、半値幅が77nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−9]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約760nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−9を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−9は、金の単位面積当たりの含有量が4.53μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−9を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−9(厚さ458nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−9中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;9.8nm、最大粒子径;19.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム1−9における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;36.4nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−9の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが560nm、半値幅が69nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−10]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約732nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−10を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−10は、金の単位面積当たりの含有量が4.24μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−10を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−10(厚さ439nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−10中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;9.1nm、最大粒子径;14.0nm、最小粒子径;7.0nm、ナノコンポジットフィルム1−10における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;33.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−10の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが542nm、半値幅が71nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−11]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約730nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−11を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−11は、金の単位面積当たりの含有量が4.23μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−11を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−11(厚さ438nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−11中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;12.3nm、最大粒子径;22.0nm、最小粒子径;6.0nm、ナノコンポジットフィルム1−11における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;45.7nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−11の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが550nm、半値幅が65nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−12]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.127gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約592nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−12を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−12は、金の単位面積当たりの含有量が3.43μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−12を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−12(厚さ355nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−12中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;12.4nm、最大粒子径;22.0nm、最小粒子径;8.0nm、ナノコンポジットフィルム1−12における金の体積分率;0.5%、粒子間距離の平均値;46.0nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−12の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが552nm、半値幅が69nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−13]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1430nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−13を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−13は、金の単位面積当たりの含有量が1.69μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−13を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−13(厚さ857nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−13中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;4.9nm、最大粒子径;8.0nm、最小粒子径;3.0nm、ナノコンポジットフィルム1−13における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;34.6nm。
[実施例1−14]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1455nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−14を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−14は、金の単位面積当たりの含有量が1.73μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−14を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−14(厚さ873nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−14中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;6.1nm、最大粒子径;9.0nm、最小粒子径;3.0nm、ナノコンポジットフィルム1−14における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;43.1nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−14の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが558nm、半値幅が60nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−15]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1430nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−15を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−15は、金の単位面積当たりの含有量が1.69μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−15を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−15(厚さ857nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−15中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;6.9nm、最大粒子径;9.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム1−15における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;48.7nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−15の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが552nm、半値幅が68nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−16]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約780nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−16を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−16は、金の単位面積当たりの含有量が0.93μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−16を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−16(厚さ470nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−16中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;4.8nm、最大粒子径;6.0nm、最小粒子径;3.0nm、ナノコンポジットフィルム1−16における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;33.9nm。
[実施例1−17]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約705nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−17を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−17は、金の単位面積当たりの含有量が0.84μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−17を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−17(厚さ423nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−17中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;5.5nm、最大粒子径;7.0nm、最小粒子径;3.0nm、ナノコンポジットフィルム1−17における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;38.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−17の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが544nm、半値幅が57nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−18]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約690nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−18を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−18は、金の単位面積当たりの含有量が0.82μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−18を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−18(厚さ414nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−18中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;6.6nm、最大粒子径;8.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−18における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;46.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−18の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが546nm、半値幅が63nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−19]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1510nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−19を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−19は、金の単位面積当たりの含有量が1.75μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−19を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−19(厚さ905nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−19中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;5.6nm、最大粒子径;7.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−19における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;39.5nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−19の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが544nm、半値幅が56nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−20]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1180nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−20を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−20は、金の単位面積当たりの含有量が1.37μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−20を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−20(厚さ708nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−20中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;6.2nm、最大粒子径;8.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−20における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;43.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−20の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが530nm、半値幅が72nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−21]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.038gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1310nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−21を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂1−21は、金の単位面積当たりの含有量が1.52μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−21を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−21(厚さ788nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−21中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;7.2nm、最大粒子径;10.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−21における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;50.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−21の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが538nm、半値幅が72nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−22]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約680nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−22を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂1−22は、金の単位面積当たりの含有量が0.79μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−22を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−22(厚さ410nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−22中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;5.2nm、最大粒子径;7.0nm、最小粒子径;3.0nm、ナノコンポジットフィルム1−22における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;36.7nm。
[実施例1−23]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約680nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−23を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂1−23は、金の単位面積当たりの含有量が0.78μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−23を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−23(厚さ406nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−23中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;5.8nm、最大粒子径;8.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−23における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;40.9nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−23の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが542nm、半値幅が77nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−24]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.025gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約580nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−24を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂1−24は、金の単位面積当たりの含有量が0.68μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−24を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−24(厚さ350nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−24中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;6.6nm、最大粒子径;9.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム1−24における金の体積分率;0.1%、粒子間距離の平均値;46.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−24の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが538nm、半値幅が84nmの吸収ピークが観測された。
[実施例1−25]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S6.67gに、13.33gのDMAcに溶解した0.118gの硝酸銀を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、銀錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた銀錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約667nmの銀錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−25を形成した。銀錯体含有ポリイミド前駆体樹脂1−25は、銀の単位面積当たりの含有量が3.78μg/cmであった。この銀錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−25を真空下において300℃、10分間加熱処理することによって黄色に呈色した金属銀微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−25(厚さ402nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−25中に形成した金属銀微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属銀微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属銀微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属銀微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球状、平均粒子径;7.9nm、最大粒子径;10.5nm、最小粒子径;5.2nm、ナノコンポジットフィルム1−25における銀の体積分率;0.9%、粒子間距離の平均値;18.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム1−25の金属銀微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが442nm、半値幅が76nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1275nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−25を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−25は、金の単位面積当たりの含有量が20.48μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−25を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−25(厚さ765nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−25中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−25の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約11.5nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約28.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−25の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約23.0nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約84.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−25における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−25の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが576nmおよび690nm、半値幅が133nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1260nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−26を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−26は、金の単位面積当たりの含有量が20.29μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−26を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−26(厚さ758nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−26中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−26の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約12.6nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約28.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−26の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約25.5nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約85.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−26における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−26の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが580nmおよび682nm、半値幅が147nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−3]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1137nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−27を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−27は、金の単位面積当たりの含有量が17.83μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−27を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−27(厚さ682nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−27中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−27の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約17.0nm、最小粒子径;約12.0nm、最大粒子径;約27.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−27の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約66.8nm、最小粒子径;約49.0nm、最大粒子径;約83.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−27における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−27の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが572nmおよび688nm、半値幅が189nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−4]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1150nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−28を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−28は、金の単位面積当たりの含有量が18.04μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−28を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−28(厚さ690nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−28中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−28の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約20.2nm、最小粒子径;約13.0nm、最大粒子径;約29.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−28の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約65.1nm、最小粒子径;約50.0nm、最大粒子径;約87.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−28における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−28の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが620nmおよび698nm、半値幅が216nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−5]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1117nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−29を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−29は、金の単位面積当たりの含有量が17.52μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−29を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−29(厚さ670nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−29中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−29の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約23.0nm、最小粒子径;約15.0nm、最大粒子径;約30.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−29の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約70.0nm、最小粒子径;約52.0nm、最大粒子径;約90.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−29における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−29の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが630nmおよび698nm、半値幅が200nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−6]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約750nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−30を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−30は、金の単位面積当たりの含有量が12.05μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−30を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−30(厚さ450nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−30中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−30の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約7.1nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約13.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−30の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約17.6nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約36.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−30における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−30の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが592nmおよび650nm、半値幅が120nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−7]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約640nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−31を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−31は、金の単位面積当たりの含有量が10.28μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−31を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−31(厚さ384nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−31中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−31の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約10.0nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約16.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−31の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約20.8nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約48.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−31における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−31の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが590nmおよび650nm、半値幅が102nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−8]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約798nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−32を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−32は、金の単位面積当たりの含有量が12.52μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−32を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−32(厚さ479nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−32に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−32の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約9.0nm、最小粒子径;約7.0nm、最大粒子径;約12.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−32の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約26.0nm、最小粒子径;約12.0nm、最大粒子径;約39.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−32における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−32の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが574nmおよび642nm、半値幅が102nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−9]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約675nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−33を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−33は、金の単位面積当たりの含有量が10.59μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−33を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−33(厚さ405nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−33中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−33の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約13.6nm、最小粒子径;約10.0nm、最大粒子径;約21.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−33の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約34.6nm、最小粒子径;約25.0nm、最大粒子径;約50.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−33における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−33の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが588nmおよび652nm、半値幅が107nmの吸収ピークが観測された。
[比較例1−10]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約650nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−34を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−34は、金の単位面積当たりの含有量が10.20μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜1−34を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1−34(厚さ390nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1−34中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム1−34の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約16.4nm、最小粒子径;約14.0nm、最大粒子径;約26.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム1−34の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約41.1nm、最小粒子径;約35.0nm、最大粒子径;約47.6nm。
なお、ナノコンポジットフィルム1−34における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム1−34の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが592nmおよび654nm、半値幅が134nmの吸収ピークが観測された。
[実施例2−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1270nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−1を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−1は、金の単位面積当たりの含有量が20.40μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−1を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−1(厚さ762nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−1中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−1の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約10.2nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約38.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−1の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約20.7nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約51.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−1における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nm、半値幅が115nmの吸収ピークが観測された。
[実施例2−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、8.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約725nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−2を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−2は、金の単位面積当たりの含有量が11.64μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−2を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−2(厚さ435nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−2中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−2の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約6.5nm、最小粒子径;約3.0nm、最大粒子径;約12.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−2の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域(ただし、厚さが600nm未満の場合は、膜厚を上限とする):
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約11.6nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約25.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−2における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−2の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが568nm、半値幅が89nmの吸収ピークが観測された。
[比較例2−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1275nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−3を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−3は、金の単位面積当たりの含有量が20.48μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−3を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−3(厚さ765nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−3中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−3の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約11.5nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約28.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−3の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約23.0nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約84.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−3における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−3の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが576nmおよび690nm、半値幅が133nmの吸収ピークが観測された。
[比較例2−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S7.50gに、7.50gのDMAcに溶解した0.489gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約1260nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−4を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−4は、金の単位面積当たりの含有量が20.29μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−4を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−4(厚さ758nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−4中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−4の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約12.6nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約28.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−4の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約25.5nm、最小粒子径;約8.0nm、最大粒子径;約85.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−4における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−4の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが580nmおよび682nm、半値幅が147nmの吸収ピークが観測された。
[比較例2−3]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約750nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−5を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−5は、金の単位面積当たりの含有量が12.05μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−5を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−5(厚さ450nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−5中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−5の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約7.1nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約13.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−5の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域(ただし、厚さが600nm未満の場合は、膜厚を上限とする):
形状;多面体状、平均粒子径;約17.6nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約36.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−5における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−5の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが592nmおよび650nm、半値幅が120nmの吸収ピークが観測された。
[比較例2−4]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約640nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−6を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−6は、金の単位面積当たりの含有量が10.28μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜2−6を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム2−6(厚さ384nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム2−6中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム2−6の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約10.0nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約16.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム2−6の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域(ただし、厚さが600nm未満の場合は、膜厚を上限とする):
形状;多面体状、平均粒子径;約20.8nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約48.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム2−6における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム2−6の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが590nmおよび650nm、半値幅が102nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約377nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−1を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−1は、金の単位面積当たりの含有量が6.05μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−1を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−1(厚さ226nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−1中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;8.7nm、最大粒子径;20.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム3−1における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;20.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが550nm、半値幅が80nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約315nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−2を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−2は、金の単位面積当たりの含有量が5.06μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−2を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−2(厚さ189nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−2中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;10.2nm、最大粒子径;21.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム3−2における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;24.3nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−2の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが564nm、半値幅が76nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−3]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約367nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−3を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−3は、金の単位面積当たりの含有量が5.89μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−3を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−3(厚さ220nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−3中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;13.8nm、最大粒子径;21.0nm、最小粒子径;4.0nm、ナノコンポジットフィルム3−3における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;32.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−3の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが564nm、半値幅が87nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−4]
合成例3で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約338nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−4を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−4は、金の単位面積当たりの含有量が5.33μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−4を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−4(厚さ203nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−4中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;12.4nm、最大粒子径;30.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム3−4における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;29.6nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−4の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが556nm、半値幅が112nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−5]
合成例3で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約332nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−5を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−5は、金の単位面積当たりの含有量が5.22μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−5を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−5(厚さ199nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−5中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;14.2nm、最大粒子径;30.0nm、最小粒子径;6.0nm、ナノコンポジットフィルム3−5における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;33.8nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−5の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが564nm、半値幅が111nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−6]
合成例3で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約413nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−6を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−6は、金の単位面積当たりの含有量が6.51μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−6を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−6(厚さ248nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−6中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;19.4nm、最大粒子径;49.0nm、最小粒子径;6.0nm、ナノコンポジットフィルム3−6における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;46.2nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−6の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nm、半値幅が94nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−7]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約337nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−7を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−7は、金の単位面積当たりの含有量が5.28μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−7を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−7(厚さ202nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−7中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;12.3nm、最大粒子径;16.0nm、最小粒子径;7.0nm、ナノコンポジットフィルム3−7における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;29.2nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−7の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが548nm、半値幅が78nmの吸収ピークが観測された。
[実施例3−8]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約348nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−8を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−8は、金の単位面積当たりの含有量が5.46μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−8を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−8(厚さ209nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−8中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;16.5nm、最大粒子径;23.0nm、最小粒子径;11.0nm、ナノコンポジットフィルム3−8における金の体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;39.4nm。
また、ナノコンポジットフィルム3−8の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが562nm、半値幅が76nmの吸収ピークが観測された。
[比較例3−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約750nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−9を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−9は、金の単位面積当たりの含有量が12.05μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−9を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−9(厚さ450nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−9中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム3−9の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約7.1nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約13.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム3−9の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約17.6nm、最小粒子径;約4.0nm、最大粒子径;約36.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム3−9における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム3−9の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが592nmおよび650nm、半値幅が120nmの吸収ピークが観測された。
[比較例3−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.348gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約640nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−10を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−10は、金の単位面積当たりの含有量が10.28μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−10を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−10(厚さ384nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−10中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジットフィルム3−10の表面側の面から0nm〜100nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;約10.0nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約16.0nm。
2)ナノコンポジットフィルム3−10の表面側の面から100nm〜600nmの厚さ範囲内の領域:
形状;多面体状、平均粒子径;約20.8nm、最小粒子径;約5.0nm、最大粒子径;約48.0nm。
なお、ナノコンポジットフィルム3−10における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム3−10の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが590nmおよび650nm、半値幅が102nmの吸収ピークが観測された。
[比較例3−3]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した1.566gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約362nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−11を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−11は、金の単位面積当たりの含有量が16.58μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−11を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−11(厚さ217nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−11中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;41.7nm、最大粒子径;68.0nm、最小粒子径;22.0nm。なお、ナノコンポジットフィルム3−11における金の体積分率は、3.96%であった。
また、ナノコンポジットフィルム3−11の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nmおよび640nm、半値幅が171nmの吸収ピークが観測された。
[比較例3−4]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した0.522gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約328nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−12を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−12は、金の単位面積当たりの含有量が5.15μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−12を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−12(厚さ197nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−12中に形成した金属金微粒子は、ごく僅かな部分で凝集している箇所が確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;23.5nm、最大粒子径;34.0nm、最小粒子径;16.0nm。なお、ナノコンポジットフィルム3−12における金の体積分率は、1.35%であった。
また、ナノコンポジットフィルム3−12の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが574nmおよび620nm、半値幅が92nmの吸収ピークが観測された。
[比較例3−5]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、52.00gのDMAcに溶解した1.566gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約118nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−13を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−13は、金の単位面積当たりの含有量が5.42μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜3−13を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム3−13(厚さ71nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム3−13中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;32.0nm、最大粒子径;56.0nm、最小粒子径;12.0nm。なお、ナノコンポジットフィルム3−13における金の体積分率は、3.96%であった。
また、ナノコンポジットフィルム3−13の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが554nmおよび640nm、半値幅が158nmの吸収ピークが観測された。
[実施例4−1]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S2.67gに、7.33gのDMAcに溶解した0.726gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約298nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−1を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−1は、金の単位面積当たりの含有量が19.15μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−1を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム4−1(厚さ179nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム4−1中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;17.0nm、最大粒子径;54.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム4−1における金の体積分率;5.54%、粒子間距離の平均値;18.9nm。
また、ナノコンポジットフィルム4−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが572nm、半値幅が103nmの吸収ピークが観測された。
[実施例4−2]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S2.67gに、7.33gのDMAcに溶解した0.726gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約337nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−2を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−2は、金の単位面積当たりの含有量が21.61μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−2を大気下において300℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム4−2(厚さ202nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム4−2中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;22.4nm、最大粒子径;68.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム4−2における金の体積分率;5.54%、粒子間距離の平均値;24.9nm。
また、ナノコンポジットフィルム4−2の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nm、半値幅が103nmの吸収ピークが観測された。
[実施例4−3]
合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S2.67gに、7.33gのDMAcに溶解した0.726gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約282nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−3を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−3は、金の単位面積当たりの含有量が18.01μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−3を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム4−3(厚さ169nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム4−3中に形成した金属金微粒子は、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、金属金微粒子はマトリックス樹脂の表層部から存在していた。
また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;24.5nm、最大粒子径;71.0nm、最小粒子径;5.0nm、ナノコンポジットフィルム4−3における金の体積分率;5.54%、粒子間距離の平均値;27.3nm。
また、ナノコンポジットフィルム4−3の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが576nm、半値幅が101nmの吸収ピークが観測された。
[比較例4−1]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S5.33gに、10.67gのDMAcに溶解した0.696gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約325nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−4を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−4は、金の単位面積当たりの含有量が10.07μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−4を大気下において200℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム4−4(厚さ195nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム4−4中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;19.8nm、最大粒子径;30.0nm、最小粒子径;11.0nm。なお、ナノコンポジットフィルム4−4における金の体積分率は、2.67%であった。
また、ナノコンポジットフィルム4−4の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが554nmおよび622nm、半値幅が109nmの吸収ピークが観測された。
[比較例4−2]
合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液S8.00gに、16.00gのDMAcに溶解した1.566gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のガラス基板G1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、ガラス基板G1上に、膜厚が約362nmの金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−5を形成した。金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−5は、金の単位面積当たりの含有量が16.58μg/cmであった。この金錯体含有ポリイミド前駆体樹脂膜4−5を大気下において400℃、10分間加熱処理することによって紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム4−5(厚さ217nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム4−5中に形成した金属金微粒子は、部分的に凝集していることが確認された。また、該フィルム中に形成した金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;多面体状および球状粒子が混在、平均粒子径;41.7nm、最大粒子径;68.0nm、最小粒子径;22.0nm。なお、ナノコンポジットフィルム4−5における金の体積分率は、3.96%であった。
また、ナノコンポジットフィルム4−5の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが570nmおよび640nm、半値幅が171nmの吸収ピークが観測された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。なお、本国際出願は、2010年8月9日に出願された日本国特許出願2010−178634号、並びに、2010年9月28日に出願された日本国特許出願2010−217173号、同2010−217174号及び同2010−217175号、に基づく優先権を主張するものであり、その全内容をここに援用する。


Claims (6)

  1. ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造する金属微粒子複合体の製造方法であって、
    以下の工程a及びb;
    a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm 以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程、
    b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程、
    を備え、
    前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上25nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.05%以上1%以下の範囲内であり、
    前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が0.5μg/cm以上10μg/cm以下の範囲内であり、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内であり、
    前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが300nm以上1μm以下の範囲内であることを特徴とする金属微粒子複合体の製造方法。
  2. ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造する金属微粒子複合体の製造方法であって、
    以下の工程a及びb;
    a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm 以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程、
    b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程、
    を備え、
    前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上30nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.2%以上5%以下の範囲内であり、
    前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が10μg/cm以上50μg/cm以下の範囲内であり、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが500nm以上1.7μm以下の範囲内であり、
    前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが300nm以上1μm以下の範囲内、かつ、その弾性率が3GPa以上10GPa以下の範囲内であることを特徴とする金属微粒子複合体の製造方法。
  3. ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造する金属微粒子複合体の製造方法であって、
    以下の工程a及びb;
    a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm 以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程、
    b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程、
    を備え、
    前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が3nm以上30nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が金属微粒子複合体に対して0.5%以上5%以下の範囲内であり、
    前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が5μg/cm以上10μg/cm以下の範囲内であり、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが150nm以上500nm以下の範囲内であり、
    前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが100nm以上300nm以下の範囲内、かつ、その弾性率が5MPa以上10GPa以下の範囲内であることを特徴とする金属微粒子複合体の製造方法。
  4. ポリイミド樹脂中に、平均粒子径が3nm以上の金属微粒子が互いに接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径の大きい方の金属微粒子の粒子径以上の間隔で互いに独立して分散してなる金属微粒子複合体を製造する金属微粒子複合体の製造方法であって、
    以下の工程a及びb;
    a)ポリイミド前駆体樹脂と、金属化合物とを含有する塗布液を、金属分の含有量として50μg/cm 以下となるように基材上に塗布し、乾燥して、乾燥後の厚さが1.7μm以下の塗布膜を形成する工程、
    b)前記塗布膜を、160℃以上450℃以下の範囲内の温度で熱処理することにより、前記塗布膜中の金属イオン(又は金属塩)を還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させ、塗布膜中に分散させるとともに、前記塗布膜中の前記ポリイミド前駆体樹脂をイミド化して厚みが1μm以下であり、かつ弾性率が10GPa以下のポリイミド樹脂層を形成する工程、
    を備え、
    前記金属微粒子複合体は、前記金属微粒子の平均粒子径が5nm以上35nm以下の範囲内、かつ、その体積分率が、金属微粒子複合体に対して1%以上15%以下の範囲内にあり、
    前記工程aにおける前記塗布液中の金属分の含有量が10μg/cm以上30μg/cm以下の範囲内であり、かつ、乾燥後の前記塗布膜の厚さが150nm以上500nm以下の範囲内であり、
    前記工程bにおける前記ポリイミド樹脂層の厚みが100nm以上300nm以下の範囲内、かつ、その弾性率が0.5GPa以上10GPa以下の範囲内であることを特徴とする金属微粒子複合体の製造方法。
  5. 前記工程bが、不活性ガス雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の金属微粒子複合体の製造方法。
  6. 前記金属化合物が、Auの前駆体であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の金属微粒子複合体の製造方法。
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