JP2014072219A - フォトダイオード及びその製造方法 - Google Patents

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洋 猪川
Atsushi Ono
篤史 小野
Hiroaki Sato
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Abstract

【課題】受光面に付着させる金属微粒子の凝集を抑制し、光吸収効率を向上させたフォトダイオーを提供する。
【解決手段】フォトダイオード100は、基板101と、基板101上に形成された埋め込み絶縁層(BOX層)103と、埋め込み絶縁層103の少なくとも一部分の領域上に形成された半導体層105と、半導体層105に電気的に接続して設けられたアノード電極107a及びカソード電極107bと、半導体層105の少なくとも一部分の領域上に形成された表面絶縁層109と、光を受光する受光面Sを覆うように設けられた固定化材料層111と、固定化材料層111に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子113と、を備えている。埋め込み絶縁層103の面と平行な方向に、半導体層105のp型半導体領域105a、n型半導体領域105b及び空乏領域(p)105cが形成された横型pn接合構造を有す。
【選択図】図2

Description

本発明は、フォトダイオード及びその製造方法に関する。
フォトダイオードは、光起電力効果を利用した受光素子であり、例えばセンサーや撮像素子などの電子部品に利用されている。フォトダイオードとして、pn接合型フォトダイオード、pin接合型フォトダイオード、ショットキー型フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオードなどが知られている。pn接合型フォトダイオードでは、入射する光を光電変換に寄与させるために空乏領域を大きくすると、pn接合面積が大きくなり、接合容量が増大して動作速度が低下する。この場合、レンズを利用して実効受光面積を拡大することも可能であるが、機構が複雑になり、製造工程も増加してしまう。一方、空乏領域を小さくすると、動作速度は向上するが、光検出効率が低下してしまう。
小さな空乏領域のフォトダイオードにおいても十分な光検出効率が得られるようにするため、金属微粒子を利用する試みがなされている。例えば、非特許文献1では、SOI(silicon-on-insulator)構造のフォトダイオードの受光面に、粒子径20nmの金ナノ粒子を付着させることで、フォトダイオードの光吸収効率が向上し、検出感度が高まることが提案されている。この非特許文献1では、金ナノ粒子をフォトダイオードの表面に固定化するため、該表面をシランカップリング剤(メルカプトメチルトリメトキシシラン)で処理後、金コロイド溶液に2時間浸漬する方法が採られている。
非特許文献1では、フォトダイオードの受光面に付着させる金属微粒子として、粒子径20nm程度の金ナノ粒子を用いている。金属微粒子による光吸収効率の向上効果をさらに大きく引き出すためには、より粒子径の大きな金属微粒子を用いることが有効であると考えられる。しかしながら、シランカップリング剤による固定化では、金属微粒子の粒子径が大きくなるほど、粒子同士が凝集しやすくなる傾向がある。例えば、SOI構造のフォトダイオードにおいて光吸収効率の向上効果が大きく現れる80nm以上の粒子径の金属微粒子を用いる場合、金属微粒子の付着密度を大きくすると多くの金属微粒子に凝集が生じてしまうため、光吸収効率の向上効果が得られにくい、という問題があった。
本発明は、受光面に金属微粒子を付着させたフォトダイオードにおいて、金属微粒子の凝集を抑制し、光吸収効率の向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、フォトダイオードの受光面に金属微粒子を付着させるための固定化手段として、金属微粒子分散複合体と結合化学種とを有する固定化材料層を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の第1の観点のpn接合型フォトダイオードは、pn接合により形成された空乏領域内に発生した光キャリアにより光検出を行うものである。このpn接合型フォトダイオードは、光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、
前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、
を備えており、
前記固定化材料層が、
マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、
前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、
を有していることを特徴とする。
本発明の第2の観点のpn接合型フォトダイオードは、
基板と、
前記基板上に形成された埋め込み絶縁層と、
前記埋め込み絶縁層の少なくとも一部分の領域上に形成された、p型半導体領域、n型半導体領域及び空乏領域を有する半導体層と、
前記半導体層に電気的に接続して設けられたアノード電極及びカソード電極と、
前記半導体層の少なくとも一部分の領域上に形成された表面絶縁層と、
光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、
前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、
を備えている。このpn接合型フォトダイオードは、前記固定化材料層が、
マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、
前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、
を有している。
本発明の第1及び第2の観点のpn接合型フォトダイオードにおいて、前記第1の金属微粒子の平均粒子径は、50〜400nmの範囲内であってもよい。この場合、前記第1の金属微粒子は、前記受光面の一部分又は全部において均等に分散して固定化されており、互いに隣り合う前記第1の金属微粒子どうしの付着周期が120〜600nmの範囲内であってもよい。
本発明の第1及び第2の観点のpn接合型フォトダイオードは、前記第1の金属微粒子が、金属コロイド由来の微粒子であってもよい。
本発明の第1及び第2の観点のpn接合型フォトダイオードにおいて、前記第2の金属微粒子は、各々が接することなく、独立して存在しており、少なくとも一部分の第2の金属微粒子は、前記マトリックス樹脂に埋包された部位と、前記マトリックス樹脂の外部に露出した部位とを備えており、該露出した部位に固定された前記結合化学種を介して前記第1の金属微粒子が固定されていてもよい。
本発明の第1及び第2の観点のpn接合型フォトダイオードにおいて、前記第2の金属微粒子の平均粒子径は3nm〜30nmの範囲内であってもよい。
本発明の第1及び第2の観点のpn接合型フォトダイオードにおいて、前記第2の金属微粒子は、互いに隣り合う2つの粒子の大きい方の粒子径以上の間隔で存在していてもよい。
本発明のpn接合型フォトダイオードの製造方法は、pn接合により形成された空乏領域内に発生した光キャリアにより光検出を行うpn接合型フォトダイオードを製造する方法である。本発明のpn接合型フォトダイオードの製造方法において、前記pn接合型フォトダイオードは、光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、を備えており、前記固定化材料層が、マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、を有するものである。そして、本発明のpn接合型フォトダイオードの製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程;
(1)pn接合型フォトダイオードにおける光を受光する受光面に、金属イオン又は金属塩を含有する樹脂膜を形成する工程と、
(2)前記樹脂膜中の金属イオン又は金属塩を加熱還元して前記マトリックス樹脂中に複数の前記第2の金属微粒子を析出させる工程と、
(3)前記マトリックス樹脂の表面をエッチングすることにより、少なくとも一部分の前記第2の金属微粒子の表面を部分的に露出させる工程と、
(4)前記結合化学種を含む処理液を20℃以下の温度条件で接触させることにより、前記第2の金属微粒子の露出した部位の表面に選択的に結合化学種を結合させて固定する工程と、
(5)固定された前記結合化学種を介して前記第1の金属微粒子を固定する工程と、
を備えていることを特徴とする。
本発明のpn接合型フォトダイオードの製造方法は、前記(5)の工程で、前記第1の金属微粒子を金属コロイドの状態で含有する金属コロイド溶液を用いていてもよい。
本発明のpn接合型フォトダイオードでは、局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子が、マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、第2の金属微粒子に結合している結合化学種とを有する固定化材料層によって受光面に固定化されている。そのため、シランカップリング剤などの従来の固定化方法では固定化が困難であった粒子径が80nm以上の比較的大型の第1の金属微粒子についても、凝集を抑制しながら適度な粒子間隔で安定的に固定化できる。従って、本発明のフォトダイオードは、従来のフォトダイオードに比べて、光吸収効率が大幅に向上しており、検出感度に優れている。
本発明の一実施の形態に係るフォトダイオードの平面図である。 図1におけるII−II線矢視の断面図である。 図1におけるIII−III線矢視の断面図である。 固定化材料層として用いる金属微粒子分散複合体の厚み方向における断面構造と第1の金属微粒子の固定化の状態を模式的に示す図面である。 第2の金属微粒子の構造を説明する図面である。 本発明の実施の形態に係るフォトダイオードの作用効果の説明に供する模式図である。 比較例のフォトダイオードの説明に供する模式図である。 3D−FDTD法(有限差分時間領域法)による半導体層(SOI層)内部の吸収効率の計算に用いたモデルを示す図面である。 図8のモデルに基づいて、付着周期を180〜310nmの範囲で10nmずつ変化させた場合の光吸収スペクトルの計算結果を示す図面である。 図8のモデルに基づいて、付着周期を320〜350nmの範囲で10nmずつ変化させた場合の光吸収スペクトルの計算結果を示す図面である。 金ナノ粒子が付着していない比較例のフォトダイオードの光吸収スペクトルの計算結果を示す図面である。 図8のモデルに基づいて、付着周期を180〜350nmの範囲で10nmずつ変化させた場合の平均の光吸収スペクトル及び光吸収効率向上度の計算結果を示す図面である。 金ナノコンポジット膜付着前後のSOIフォトダイオードの(a)量子効率及び(b)金ナノコンポジット膜による光吸収効率向上度の測定結果、並びに、(c)FDTD計算により予測された量子効率及び(d)光吸収効率向上度のスペクトルを示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るフォトダイオード100の光を受光する受光面の平面図であり、図2は図1におけるII−II線矢視の断面図、図3は図1におけるIII−III線矢視の断面図である。フォトダイオード100は、pn接合により形成された空乏領域内に発生した光キャリアにより光検出を行うpn接合型フォトダイオードである。図1〜3に示したように、フォトダイオード100は、基板101と、この基板101上に形成された埋め込み絶縁層(BOX層)103と、埋め込み絶縁層103の少なくとも一部分の領域上に形成された半導体層105と、半導体層105に電気的に接続して設けられたアノード電極107a及びカソード電極107bと、半導体層105の少なくとも一部分の領域上に形成された表面絶縁層109と、光を受光する受光面Sの一部分又は全部(図1〜3では全部)を覆うように設けられた固定化材料層111と、固定化材料層111に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子113と、を備えている。フォトダイオード100は、SOI構造における埋め込み絶縁層103の面と平行な方向に、半導体層105のp型半導体領域105a、n型半導体領域105b及び空乏領域(p)105cが形成された横型pn接合構造を有している。なお、フォトダイオード100において、受光面Sは、少なくとも表面絶縁層109の全部の領域を意味し、好ましくは、埋め込み絶縁層103、半導体層105、アノード電極107a、カソード電極107b及び表面絶縁層109を合計した表面である。
基板101としては、例えばシリコンウエハなどの半導体基板を利用できる。
埋め込み絶縁層103は、いわゆるBOX層(Buried Oxide)と呼ばれるもので、例えば酸化珪素(SiO)などの絶縁材料により形成されている。埋め込み絶縁層103は、基板101と半導体層105との間の絶縁性を確保する観点から、厚みが200nm以上であることが好ましい。埋め込み絶縁層103の厚みの上限は特になく、基板101上に形成可能であればよい。
半導体層105は、埋め込み絶縁層103の上に形成されてSOI構造をなしている。SOI構造により、半導体層105内に形成される導波路モードが第1の金属微粒子113の局在型表面プラズモン共鳴による散乱光とカップリングし、フォトダイオード100の光吸収率を向上させることができる。半導体層105は、p型半導体領域105a、n型半導体領域105b及びこれらの間に形成された空乏領域(p)105cを有している。
半導体層105は、低濃度でボロン等のp型不純物又はリン等のn型不純物がドープされている(図1〜3ではp型の場合を示している)。このような低濃度の不純物の添加によって、半導体層105に空乏領域(p)105cが形成され、受光層として機能する。
空乏領域(p)105cが形成される半導体層105のp型不純物濃度Nは、半導体層105の厚さt、半導体層105の比誘電率ε、真空の誘電率ε、電子の電荷単位q、半導体層105のフェルミレベルと真性フェルミレベルとの差φとすると、下式;
<4εε|/(qt
となるように設定される。ここで、フェルミレベルの差φは、次の式;
φ=(kT/q)ln(N/n
(ここで、kはボルツマン定数、nは真正キャリア濃度である)
で求めることができる。なお、空乏領域(p)105cが形成される半導体層105をn型とする場合でも、その濃度は上記と同様にして求めることができる。
半導体層105のp型半導体領域105a及びn型半導体領域105bは、シリコンに高濃度(例えば1019cm−3以上)でボロン等のp型不純物及びリン等のn型不純物がドープされることによって形成されている。半導体層105の厚みは、第1の金属微粒子113による散乱回折光とカップリング可能な導波路モードを生じ得る厚さ以上の厚みとすることが好ましく、例えば50〜300nmの範囲内、より好ましくは80〜200nmの範囲内とすることができる。なお、半導体層105の厚みの上限は特になく、基板101上に形成可能な範囲であればよい。
アノード電極107a及びカソード電極107bは、導電性材料、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、これらの合金や、ZnO(酸化亜鉛)、ITO(酸化インジウム・スズ)等により形成することができる。これらの中でも、ZnO(酸化亜鉛)、ITO(酸化インジウム・スズ)等の光透過性を有する透明導電性材料が好ましい。アノード電極107a及びカソード電極107bは、所定形状にパターニングされており、受光面Sの平面視において、これらアノード電極107aとカソード電極107bとの間に、半導体層105における空乏領域(p)105cが配置されている。
表面絶縁層109は、パッシベーション膜として機能するものであり、例えば、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiON)などの絶縁材料によって形成されている。表面絶縁層109は、2層以上の絶縁膜が積層された構造でもよい。表面絶縁層109の厚みは、例えば50nm以下が好ましい。表面絶縁層109の厚みが50nmを超えると、半導体層105と第1の金属微粒子113との距離が離れてしまうため、半導体層105内での導波路モードの形成と第1の金属微粒子113による散乱回折光のカップリングが困難になってしまう。表面絶縁層109の厚みの下限は、特に制限は無いが、パッシベーション膜として表面保護の機能を担保できる厚みであることが好ましい。
固定化材料層111は、金属微粒子分散複合体を有している。上記のとおり、第1の金属微粒子113は、固定化材料層111に固定化されている。固定化材料層111を介在させることによって、第1の金属微粒子113をフォトダイオード100の表面において、凝集を生じさせることなく、等間隔で均等に(つまり、周期的に)固定することが可能になる。図4は、本実施の形態に係るフォトダイオード100において、固定化材料層111として用いる金属微粒子分散複合体(以下、単に「ナノコンポジット」ともいう)10の厚み方向の断面構造を拡大して説明する模式図である。図4に示すように、固定化材料層111は、マトリックス樹脂1及び該マトリックス樹脂1中に分散した複数の第2の金属微粒子3を有するナノコンポジット10と、第2の金属微粒子3と第1の金属微粒子113とを結合する結合化学種7と、を有している。固定化材料層111の詳細については後述する。
第1の金属微粒子113は、その材質に特に制限はないが、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、これらの合金(例えば白金−コバルト合金など)等の金属材料により形成することができる。これらの中でも、局在型表面プラズモン共鳴を奏する金属種として好適に利用できるものとして、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)が挙げられるが、金(Au)又は銀(Ag)が特に好ましい。また、第1の金属微粒子113は、例えば上記金属を用いた金属コロイドに由来する微粒子であることが好ましい。金属コロイドが、例えば金属金コロイドである場合、金属金コロイドの表面はクエン酸等の保護基によって被覆されている場合がある。すなわち、金属金微粒子の表面にクエン酸が被覆されている場合がある。結合化学種7の官能基Y1(後述)が、例えばアミノ基である場合は、クエン酸と置換することが可能であり、アミノ基は金属金微粒子と直接化学結合できるものと考えられる。
第1の金属微粒子113の形状は、例えば球体、長球体、立方体、切頭四面体、双角錐、正八面体、正十面体、正二十面体等の種々の形状であってよいが、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルがシャープになる球体(球形)が最も好ましい。ここで、第1の金属微粒子113の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することにより確認できる。また、球体の第1の金属微粒子113とは、形状が球及び球に近い金属微粒子で、平均長径と平均短径の比が1又は1に近いもの(好ましくは0.8以上)をいう。さらに、それぞれの第1の金属微粒子113における長径と短径との関係が、好ましくは長径<短径×1.35の範囲内、より好ましくは長径≦短径×1.25の範囲内がよい。なお、第1の金属微粒子113が球体でない場合(例えば正八面体など)は、その第1の金属微粒子113におけるエッジ長さが最大となる長さを第1の金属微粒子113の長径とし、エッジ長さが最小となる長さを第1の金属微粒子113の短径として、さらに前記長径をその第1の金属微粒子113の粒子径Dと見做すこととする。
第1の金属微粒子113の粒子径Dは、50nm〜400nmの範囲内が好ましく、80nm〜250nmの範囲内がより好ましく、140nm〜200nmの範囲内が最も好ましい。第1の金属微粒子113の粒子径Dが400nmを超えると、第1の金属微粒子113の付着量(付着個数)が減少し、付着周期Pが大きくなるので、SOI中の導波路モードの伝播波長が長くなることで、SOIの感度波長領域よりも長波長になり、光吸収効率の向上効果が得られなくなる。また、第1の金属微粒子113の粒子径Dが50nm未満では、局在型表面プラズモン共鳴による散乱光が弱く、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られなくなる。
また、第1の金属微粒子113の平均粒子径D1Aは50nm〜400nmの範囲内が好ましく、より好ましくは80nm〜250nmの範囲内、更に好ましくは140nm〜200nmの範囲内がよい。第1の金属微粒子113の平均粒子径D1Aが50nm未満では、第1の金属微粒子113による散乱回折光が生じにくく、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られない。一方、第1の金属微粒子113の平均粒子径D1Aが400nmを超えると、第1の金属微粒子113の付着量(付着個数)が減少し、付着周期Pが大きくなるので、SOI中の導波路モードの伝播波長が長くなることで、SOIの感度波長領域よりも長波長になり、光吸収効率の向上効果が得られなくなる。ここで、第1の金属微粒子113の平均粒子径D1Aは、任意100粒の第1の金属微粒子113を測定したときの面積平均径を意味する。また、第1の金属微粒子113の全体の90〜100%の粒子径Dが50nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
第1の金属微粒子113は、受光面Sの一部分又は全部においてほぼ等間隔で均等に分散して存在している。互いに隣り合う第1の金属微粒子113どうしの好ましい間隔(粒子間距離L)は、粒子径Dによって異なるが、40〜400nmの範囲内であることが好ましく、80nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。粒子間距離Lが40nm未満もしくは400nmを超える場合では、半導体層105内に形成される導波路モードが第1の金属微粒子113の局在型表面プラズモン共鳴による散乱光とカップリングしにくく、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られない。
また、互いに隣り合う第1の金属微粒子113どうしの中心間の距離である付着周期Pは、120〜600nmの範囲内であることが好ましく、160〜400nmの範囲内であることがより好ましい。付着周期Pが120nm未満又は600nmを超える場合では、半導体層105内に形成される導波路モードが第1の金属微粒子113の局在型表面プラズモン共鳴による散乱光とカップリングしにくく、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られない。
また、第1の金属微粒子113の平均粒子径D1Aと第1の金属微粒子113の付着周期Pとの関係は、付着周期P/平均粒子径D1Aの比が1.5〜3.0の範囲内であることが好ましく、1.8〜2.5の範囲内であることがより好ましい。比P/D1Aが1.5未満もしくは3.0を超える場合では、半導体層105内に形成される導波路モードが第1の金属微粒子113の局在型表面プラズモン共鳴による散乱光とカップリングしにくく、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られない。
第1の金属微粒子113は、フォトダイオード100の光を受光する受光面Sの全体に均等に付着して存在していてもよいし、受光面Sの一部分の領域に偏在して付着していてもよい。
[固定化材料層による第1の金属微粒子の固定化]
以下、固定化材料層111と、固定化材料層111によって固定化された第1の金属微粒子113の存在状態について詳細に説明する。図4に示したように、固定化材料層111として用いるナノコンポジット10は、マトリックス樹脂1と、該マトリックス樹脂1に固定された複数の第2の金属微粒子3と、一部もしくは全部の第2の金属微粒子3に固定された結合化学種7と、を備えている。そして、第1の金属微粒子113は、結合化学種7によって第2の金属微粒子3に固定化されている。図5は、第2の金属微粒子3(ただし、結合化学種7が固定されていない状態)を拡大して説明する図面である。なお、図5では、隣り合う第2の金属微粒子3における大きい方の第2の金属微粒子3の粒子径をD2L、小さい方の第2の金属微粒子3の粒子径をD2Sと表しているが、両者を区別しない場合は単に粒子径Dと表記する。
<マトリックス樹脂>
マトリックス樹脂1を構成する樹脂は、フォトダイオード100の受光面Sに入射する光を遮蔽しないように光透過性を有することが好ましく、特に、380nm以上の波長の光を透過する材質であることが好ましい。
マトリックス樹脂1に使用可能な樹脂材料としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、カルド樹脂(フルオレン樹脂)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)のようなポリシロキサン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂等や、イオン交換樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、金属イオンとの相互作用によって、金属イオンと錯体を形成したり、金属イオンを吸着したりできる官能基を有している樹脂は、金属イオンを均一な分散状態で吸着できるので好ましい。そのような官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、1〜2級アミノ基、フェノール性水酸基などを挙げることができる。このような観点から、例えば、ポリアミド酸樹脂、イオン交換樹脂などが好ましい。また、第2の金属微粒子3を析出させる過程で熱処理を適用しやすいという観点から、少なくとも140℃の温度での耐熱性を有する材質であることが好ましい。このような観点から、ポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸樹脂が金属イオンと錯体を形成可能なカルボキシル基を有しており、前駆体の段階で金属イオンを吸着することが可能であり、更に熱処理における耐熱性を有するため、マトリックス樹脂1の材料として特に好ましく用いることができる。ポリイミド樹脂及びポリアミド酸樹脂の詳細については後述する。なお、上記の樹脂材料は単独の樹脂からなるものであっても、複数の樹脂を混合して用いたものでも良い。
マトリックス樹脂1の厚さは、フォトダイオード100の受光面Sに入射する光を減衰させないように、好ましくは10nm〜200nmの範囲内、より好ましくは20nm〜100nmの範囲内がよい。なお、固定化材料層111の厚みは、マトリックス樹脂1の厚みに、第2の金属微粒子3の露出部分の高さと結合化学種7の長さを加えたものである。
<第2の金属微粒子>
第2の金属微粒子3は、その材質に特に制限はないが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等の金属種を用いることができる。また、これらの金属種の合金(例えば白金−コバルト合金など)を用いることもできる。これらの中でも、金(Au)又は銀(Ag)が特に好ましい。なお、第2の金属微粒子3は、第1の金属微粒子113と同じ材質の金属種であってもよいし、異なる材質の金属種でもよい。
第2の金属微粒子3の形状は、例えば球体、長球体、立方体、切頭四面体、双角錘、正八面体、正十面体、正二十面体等の種々の形状であってよいが、第1の金属微粒子113同士の凝集を抑制し、ほぼ均等に近い付着周期Pで第1の金属微粒子113を間接的に固定させるために、球体(球形)が最も好ましい。ここで、第2の金属微粒子3の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することにより確認できる。また、球体の第2の金属微粒子3とは、形状が球及び球に近い金属微粒子で、平均長径と平均短径の比が1又は1に近いもの(好ましくは0.8以上)をいう。さらに、それぞれの第2の金属微粒子3における長径と短径との関係が、好ましくは長径<短径×1.35の範囲内、より好ましくは長径≦短径×1.25の範囲内がよい。なお、第2の金属微粒子3が球体でない場合(例えば正八面体など)は、その第2の金属微粒子3におけるエッジ長さが最大となる長さを第2の金属微粒子3の長径とし、エッジ長さが最小となる長さを第2の金属微粒子3の短径として、さらに前記長径をその第2の金属微粒子3の粒子径Dと見做すこととする。
第2の金属微粒子3は、各々の金属微粒子同士が接することなく、独立して存在している。特に、隣り合う金属微粒子における粒子径が大きい方の粒子径以上の間隔で存在することが好ましい。例えば、隣り合う第2の金属微粒子3の間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う第2の金属微粒子3における大きい方の第2の金属微粒子3の粒子径D2L以上(L≧D2L)であることが好ましい。このような範囲とすることで、第1の金属微粒子113を固定化する際に、第1の金属微粒子113同士の凝集を抑制することが容易となる。一方、粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、例えば熱拡散を利用して分散状態になる第2の金属微粒子3における各々の粒子間距離Lは、第2の金属微粒子3の粒子径D及び、後述する第2の金属微粒子3の体積分率と密接な関係がある。従って、粒子間距離Lの上限は、第2の金属微粒子3の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。粒子間距離Lが大きい場合、言い換えるとナノコンポジット10に対する第2の金属微粒子3の体積分率が低い場合は、第2の金属微粒子3に固定化される第1の金属微粒子113の数も減少するため、第1の金属微粒子113の付着周期Pが大きくなり過ぎてしまうので好ましくない。
少なくとも一部分の第2の金属微粒子3は、マトリックス樹脂1に埋包された部位と、マトリックス樹脂1の外部に露出した部位(露出部位3a)とを備えており、該露出した部位に結合化学種7が固定されている。第2の金属微粒子3は、マトリックス樹脂1に埋包された部位を備えることにより、アンカー効果によって第2の金属微粒子3がマトリックス樹脂1に強固に固定される。また、第2の金属微粒子3は、露出部位3aを備えることにより、そこに結合化学種7を固定することが可能となる。従って、マトリックス樹脂1に固定されたすべての第2の金属微粒子3が露出部位3aを有しており、そこに固定された結合化学種7を有するものであることが好ましいが、マトリックス樹脂1中に完全に埋包され、結合化学種7が固定されていない第2の金属微粒子3が存在していてもよい。露出部位3aを有する第2の金属微粒子3の割合は、例えば、マトリックス樹脂1の表面積(但し、露出部位3aの表面積を含む)に対して露出部位3aの合計の面積比率(以下、「面積分率」ともいう。)が、好ましくは0.1〜18%の範囲内、より好ましくは0.2〜10%の範囲内となるようにすることがよい。なお、第2の金属微粒子3の露出部位3aの表面積は、マトリックス樹脂1の表面を、例えば電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したときに得られる2次元の画像から算出することができる。また、マトリックス樹脂1の表面積に対する露出部位3aの合計の面積比率は、第2の金属微粒子3の体積分率と密接な関係があるので、後述する第2の金属微粒子3の体積分率の好ましい範囲内で制御することが好ましい。
また、第2の金属微粒子3の粒子径Dは、例えば3nm〜30nmの範囲内であり、3nm〜20nmの範囲内であることが好ましい。第2の金属微粒子3の粒子径Dが30nmを超えると、第2の金属微粒子3に由来する散乱光が強くなり、半導体層105内に形成される導波路モードと第1の金属微粒子113の局在型表面プラズモン共鳴による散乱光とのカップリングを妨げてしまうため、フォトダイオード100において光吸収効率の向上効果が得られにくくなる。一方、第2の金属微粒子3の粒子径Dが3nmより小さくなると、100nmより大きな第1の金属微粒子113を固定しにくくなってしまう。
第1の金属微粒子113同士の凝集を抑制し、ほぼ均一に近い状態で、第1の金属微粒子113を間接的に固定させるためには、第2の金属微粒子3の平均粒子径D2Aは3nm以上とし、好ましくは3nm以上30nm以下、より好ましくは3nm以上20nm以下がよい。ここで、第2の金属微粒子3の平均粒子径D2Aは、任意100粒の第2の金属微粒子3を測定したときの面積平均径を意味する。
また、第2の金属微粒子3は、マトリックス樹脂1の内部に三次元的に分散していてもよい。つまり、ナノコンポジット10においてフィルム状のマトリックス樹脂1の厚み方向の断面を観察すると、図示は省略するが、多数の第2の金属微粒子3が上記粒子径D2L以上の粒子間距離Lをあけて縦方向及び横方向に点在した状態になる。また、ナノコンポジット10においてマトリックス樹脂1の表面に平行な断面を観察すると、図示は省略するが、マトリックス樹脂1の内部に多数の第2の金属微粒子3が上記粒子径D2L以上の粒子間距離Lをあけて点在し、拡散した状態が観察される。
さらに、第2の金属微粒子3の90%以上が、上記粒子径D2L以上の粒子間距離Lをあけて点在する単一粒子であることが好ましい。ここで、「単一粒子」とは、マトリックス樹脂1中の各第2の金属微粒子3が独立して存在していることを意味し、複数の粒子が凝集したもの(凝集粒子)は含まない。
本実施の形態のナノコンポジット10において、第2の金属微粒子としての第2の金属微粒子3は、マトリックス樹脂1又はその前駆体の樹脂に含まれる金属イオン又は金属塩を還元することによって得られるものであることが好ましい。還元方法としては、光還元や加熱還元等が挙げられるが、第2の金属微粒子3における粒子間隔の制御のしやすさの観点から、加熱還元によって得られるものが好ましい。この還元方法の具体的内容については後述する。
また、マトリックス樹脂1中の第2の金属微粒子3の体積分率は、ナノコンポジット10に対して、0.1〜4%とすることが好ましく、より好ましくは0.4〜2%がよい。ここで、「体積分率」とは、ナノコンポジット10の一定体積あたりに占める第2の金属微粒子3の合計の体積を百分率で示した値である。第2の金属微粒子3の体積分率が、0.1%未満であると、第2の金属微粒子3の数が少なくなるため、第2の金属微粒子3に固定化できる第1の金属微粒子113の数も少なくなり、発明の効果が得られにくくなる。一方、体積分率が4%を超えると、隣り合う第2の金属微粒子3の間隔(粒子間距離L)が、隣り合う第2の金属微粒子3における大きい方の第2の金属微粒子3の粒子径D2Lより狭くなるため、第1の金属微粒子113の均一な固定を制御しにくくなる。
<結合化学種>
本実施の形態において、結合化学種7は、例えば第2の金属微粒子3と結合可能な官能基X1と、第1の金属微粒子113と相互作用する官能基Y1と、を有する物質と定義できる。結合化学種7は、単一の分子に限らず、例えば二以上の構成成分からなる複合体等の物質も含む。結合化学種7は、第2の金属微粒子3の露出部位3aにおいて、官能基X1によって第2の金属微粒子3との結合により固定される。この場合、官能基X1と第2の金属微粒子3との結合は、例えば化学結合、吸着等の物理的結合等を意味する。
結合化学種7が有する官能基X1は、第2の金属微粒子3の表面に固定され得る官能基であり、第2の金属微粒子3の表面と化学結合により固定される官能基であってもよいし、吸着により固定され得る官能基であってもよい。このような官能基X1としては、例えば−SH、−NH、−NHX(但し、Xはハロゲン原子)、―COOH、−Si(OCH、−Si(OC、−SiCl、−SCOCH等の1価の基、−S−、−S−等の2価の基が挙げられる。このなかでもメルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基などのような硫黄原子を含有するものが好ましい。
また、結合化学種7が有する官能基Y1は、例えば金属又は金属酸化物などの無機化合物との結合を可能とする置換基等が挙げられる。このような相互作用が可能な官能基Y1としては、例えば−SH、−NH、−NRX(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子)、―COOR(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基)、−Si(OR)(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基)、−SiX(但し、Xはハロゲン原子)、−SCOR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基)、−OH、−CONH、−N、−CR=CHR’(但し、R、R’は独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基)、−C≡CR(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基)、−PO(OH)、−COR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基)、イミダゾリル基、ヒドロキノリル基等が挙げられる。
結合化学種7の具体例としては、HS−(CH−OH(但し、n=11、16)、HS−(CH−COOH(但し、n=10、11、15)、HS−(CH−NH・HCl(但し、n=10、11、16)、HS−(CH11−N(CH Cl、HS−(CH11−PO(OH)、HS−(CH10−CH(OH)−CH、HS−(CH10−COCH、HS−(CH−N(但し、n=10、11、12、16、17)、HS−(CH−CH=CH(但し、n=9、15)、HS−(CH−C≡CH、HS−(CH−CONH(但し、n=10、15)、HS−(CH11−(OCHCH−OCH−CONH(但し、n=3、6)、HO−(CH11−S−S−(CH11−OH、CH−CO−S−(CH11−(OCHCH−OH(但し、n=3、6)等が挙げられる。
結合化学種7の他の例として、2−アミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール、2−アミノ−5−トリフルオロメチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンズイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−アミノ−4−メトキシベンゾチアゾール、2−アミノ−4−フェニル−5−テトラデシルチアゾール、2−アミノ−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−4−フェニルチアゾール、4−アミノ−5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、2−アミノ−6−(メチルスルフォニル)ベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルチアゾール、2−アミノ−5−(メチルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メチルチオ−1H−1,2,4チアゾール、6−アミノ−1−メチルウラシル、3−アミノ−5−ニトロベンズイソチアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2−アミノチアゾール、2−アミノ−4−チアゾールアセチックアシッド、2−アミノ−2−チアゾリン、2−アミノ−6−チオシアネートベンゾチアゾール、DL−α−アミノ−2−チオフェンアセチックアシッド、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−6−プリンチオール、4−アミノ−5−(4−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、N−(2−アミノ−4−ピリミジニル)スルファニルアミド、3−アミノロダニン、5−アミノ−3−メチルイソチアゾール、2−アミノ−α−(メトキシイミノ)−4−チアゾールアセチックアシッド、チオグアニン、5−アミノテトラゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール、2−アミノプリン、アミノピラジン、3−アミノ−2−ピラジンカルボン酸、3−アミノピラゾール、3−アミノピラゾール−4−カルボニトリル、3−アミノ−4−ピラゾールカルボン酸、4−アミノピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、5−アミノ−2−ピリジンカルボニトリル、2−アミノ−3−ピリジンカルボキサルデヒド、2−アミノ−5−(4−ピリジニル)−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、4−アミノ−5−ピリミジンカルボニトリル等のアミノ基又はメルカプト基を有する複素環化合物や、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−2−(メルカプトエチル)−3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−2−(メルカプトエチル)−3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルメルカプト及びN−フェニル−3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。なお、これらは特に限定されるものではなく、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結合化学種7の分子骨格としては、官能基X1及び官能基Y1の間が、炭素原子、酸素原子及び窒素原子からなる群より選択される原子からなり、例えば直鎖部分が炭素の原子数が2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10である直鎖状又は分岐状、あるいは環状の化学構造を有するものであってもよく、単一の分子種であっても、2種以上の分子種を用いて設計されるものであってもよい。好適に利用できる形態の一例を挙げると、例えば検出対象分子などを有効に検出する場合、結合化学種7によって形成される単分子膜(又は単分子層)の厚みは、約1.3nm〜3nmの範囲内にあることが好ましい。このような観点から、分子骨格として炭素数11〜20のアルカン鎖を有する結合化学種7が好ましい。この場合、官能基X1によって第2の金属微粒子3の表面に固定され、長いアルカン鎖が該表面からほぼ垂直に伸びるようにして単分子膜(又は単分子層)を形成するので、その形成された単分子膜(又は単分子層)の表面を官能基Y1で充填させることができるものと考えられる。このような結合化学種7としては、自己組織化単分子膜(SAM)の形成試薬として適用されている公知のチオール化合物が好適に利用可能である。
固定化材料層111は、マトリックス樹脂1に固定され、かつ、マトリックス樹脂1の外部に露出する部位が点在した第2の金属微粒子3に結合化学種7を介して間接的に第1の金属微粒子113を結合させているので、平均粒子径が80nm以上の比較的大きな第1の金属微粒子113がナノコンポジット10の面方向に2次元的にほぼ均一に分散した状態を形成できる。その結果、フォトダイオード100において、光吸収効率を向上させることができる。このような観点から、露出部位3aを有する第2の金属微粒子3と第1の金属微粒子113との存在比率は、露出部位3aを有する第2の金属微粒子3の数が、結合化学種7を介して第2の金属微粒子3に間接的に固定されている第1の金属微粒子113の数よりも多いことが好ましい。フォトダイオード100において、光吸収効率を十分に向上させるためには、露出部位3aを有する第2の金属微粒子3と第1の金属微粒子113との存在比率(第1の金属微粒子113の個数/露出部位3aを有する第2の金属微粒子3の個数)は、例えば0.01〜1.0の範囲内が好ましく、0.02〜1.0の範囲内がより好ましい。
<フォトダイオードの製造方法>
次に、フォトダイオード100の製造方法について説明する。フォトダイオード100は、pn接合型フォトダイオードの受光面Sに、固定化材料層111としてナノコンポジット10を形成した後、第2の金属微粒子3に結合化学種7を介して第1の金属微粒子113を固定化することによって製造することができる。ここで、pn接合型フォトダイオードとしては、図1〜3に例示したSOI構造を有するものが好ましく用いられる。SOI構造を有するpn接合型フォトダイオードは、例えば成膜、エッチング、フォトリソグラフィー技術などを組み合わせた既知の半導体プロセスにより製造できるため、詳細は省略する。pn接合型フォトダイオードに固定化材料層111及び第1の金属微粒子113を形成する手順は、例えば以下の(1)〜(5)の工程を含むことができる。
(1)pn接合型フォトダイオードにおける光を受光する受光面Sに、金属イオン又は金属塩を含有する樹脂膜を形成する工程。
(2)樹脂膜中の金属イオン又は金属塩を加熱還元してマトリックス樹脂1中に複数の第2の金属微粒子3を析出させる工程。
(3)マトリックス樹脂1の表面をエッチングすることにより、少なくとも一部分の第2の金属微粒子3の表面を部分的に露出させる工程。
(4)結合化学種7を含む処理液を20℃以下の温度条件で接触させることにより、第2の金属微粒子3の露出した部位の表面に選択的に結合化学種7を結合させて固定する工程。
(5)固定された結合化学種7を介して第1の金属微粒子113を固定する工程。
上記の工程(1)は金属イオン(又は金属塩)含有樹脂膜の形成工程、工程(2)は還元工程、工程(3)はエッチング工程、工程(4)は結合化学種7の固定化工程、工程(5)は第1の金属微粒子113の固定化工程である。以下、各工程について、マトリックス樹脂1がポリイミド樹脂により構成される場合を代表的に例示して説明を行う。
(1)金属イオン(又は金属塩)含有樹脂膜の形成工程:
まず、金属イオン(又は金属塩)を含有するポリアミド酸樹脂膜(又はポリアミド酸樹脂層)を準備する。金属イオン(又は金属塩)を含有するポリアミド酸樹脂膜(又はポリアミド酸樹脂層)は、例えば以下に挙げるキャスト法や、ポリイミド層の表面をアルカリ改質してポリアミド酸樹脂層を形成した後に、該ポリアミド酸樹脂層に金属イオン溶液を含浸させるアルカリ改質法などの方法で形成できるが、キャスト法が好ましい。
キャスト法は、ポリアミド酸樹脂を含有するポリアミド酸樹脂溶液をpn接合型フォトダイオードの受光面S上にキャストすることによりポリアミド酸樹脂膜を形成する方法である。以下の(I)〜(III)のいずれかの方法によって、金属イオン(又は金属塩)を含有するポリアミド酸樹脂膜を形成することができる。
(I)ポリアミド酸樹脂と金属化合物とを含有する塗布液を任意の基材上にキャストすることにより金属イオン(又は金属塩)を含有するポリアミド酸樹脂膜を形成する方法。
(II)金属イオン(又は金属塩)を含有しないポリアミド酸樹脂溶液を任意の基材上にキャストしてポリアミド酸樹脂膜を形成した後に、該ポリアミド酸樹脂膜に金属イオン(又は金属塩)を含有する溶液(以下、「金属イオン溶液」とも記す)を含浸させる方法。
(III)上記の(I)の方法によって形成した、金属イオン(又は金属塩)を含有するポリアミド酸樹脂膜に、更に金属イオン(又は金属塩)を含有する溶液を含浸させる方法。
キャスト法は、マトリックス樹脂1の厚みの制御が容易であり、ポリイミド樹脂の化学構造に特に制限されず適用が容易であるなどの利点を有している。また、上記(I)の方法の有利な点としては、ポリアミド酸樹脂溶液中での金属化合物としての含有量を調整しやすいので、ナノコンポジット10に含有する金属量の調整が容易にできることなどが挙げられる。すなわち、上記(I)の方法では、例えば、第2の金属微粒子3の粒子径Dを3nm〜30nmの範囲内に制御できる。また、上記(II)の方法の有利な点としては、金属イオン(又は金属塩)が均一に溶解した状態でポリアミド酸樹脂膜中に含浸し、金属イオン(又は金属塩)の状態からポリアミド酸樹脂膜中でバラツキが少なく均一に分散された状態になるので、粒子径分布が比較的小さい第2の金属微粒子3を含有するナノコンポジット10を作製できることなどが挙げられる。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸樹脂(以下、「前駆体」と記すことがある)としては、公知の酸無水物とジアミンから得られる公知のポリアミド酸樹脂を使用できる。ポリアミド酸樹脂は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンをほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることで得られる。反応にあたっては、得られるポリアミド酸樹脂が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解することがよい。重合反応に用いる有機溶媒については、極性を有するものを使用することがよく、有機極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスルホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の一部使用も可能である。
合成されたポリアミド酸樹脂は溶液の形態で使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。このように調製した溶液は、金属化合物を添加することにより、塗布液として利用することができる。
ポリアミド酸樹脂は、イミド化後のポリイミド樹脂が熱可塑性又は低熱膨張性のポリイミド樹脂を含むように選定することが好ましい。なお、ポリイミド樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂を挙げることができる。
ポリアミド酸樹脂の調製に好適に用いられるジアミンとしては、例えば、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。また、ジアミンとしては、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等が好ましく例示される。
その他のジアミンとして、例えば、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。
特に好ましいジアミン成分としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)から選ばれる1種以上のジアミンが挙げられる。
ポリアミド酸樹脂の調製に好適に用いられる酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。また、酸無水物として、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等も好ましく例示される。さらに、酸無水物として、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物等も好ましく例示される。
特に好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる1種以上の酸無水物が挙げられる。
ジアミン、酸無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記以外のジアミン及び酸無水物を併用することもできる。
本実施の形態では、金属化合物を含有する塗布液あるいは金属イオン(又は金属塩)を含有しないポリアミド酸樹脂溶液を調製するために、ポリアミド酸樹脂を含有する溶液として市販品も好適に使用可能である。熱可塑性のポリイミド樹脂の前駆体となるポリアミド酸溶液としては、例えば、新日鐵化学株式会社製の熱可塑性ポリアミド酸樹脂ワニスSPI−200N(商品名)、同SPI−300N(商品名)、同SPI−1000G(商品名)、東レ株式会社製のトレニース#3000(商品名)等が挙げられる。また、非熱可塑性のポリイミド樹脂の前駆体となるポリアミド酸樹脂溶液としては、例えば宇部興産株式会社製の非熱可塑性ポリアミド酸樹脂ワニスであるU−ワニス−A(商品名)、同U−ワニス−S(商品名)等が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、透明または無色を呈するものが好ましく、分子内、分子間の電荷移動(CT)錯体を形成しにくいもの、例えば嵩高い立体構造の置換基を有する芳香族ポリイミド樹脂、脂環式ポリイミド樹脂、フッ素系ポリイミド樹脂、ケイ素系ポリイミド樹脂等を用いることが好ましい。
上記の嵩高い立体構造の置換基としては、例えばフルオレン骨格やアダマンタン骨格などが挙げられる。このような嵩高い立体構造の置換基は、芳香族ポリイミド樹脂における酸無水物の残基又はジアミン残基のいずれか一方に置換しているか、あるいは酸無水物の残基及びジアミンの残基の両方に置換していてもよい。嵩高い立体構造の置換基を有するジアミンとしては、例えば9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。
脂環式ポリイミド樹脂とは、脂環式酸無水物および脂環式ジアミンを重合して形成される樹脂である。また、脂環式ポリイミド樹脂は、芳香族ポリイミド樹脂を水素化することによっても得られる。
フッ素系ポリイミド樹脂は、例えばアルキル基、フェニル基等の炭素に結合する一価元素をフッ素、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアリール基、パーフルオロアルコキシ基、パーフルオロフェノキシ基等に置換した酸無水物および/またはジアミンを重合して形成される樹脂である。フッ素原子は、一価元素全部もしくは一部が置換したものいずれも用いることができるが、50%以上の一価元素がフッ素原子に置換したものが好ましい。
ケイ素系ポリイミド樹脂とは、ケイ素系ジアミンと酸無水物を重合してから得られる樹脂である。
このような透明ポリイミド樹脂は、例えば10μmの厚さにおいて、波長400nmでの光透過率が80%以上であり、可視光平均透過率が90%以上であることが好ましい。
上記ポリイミド樹脂の中でも、特に透明性に優れたフッ素系ポリイミド樹脂が好ましい。フッ素系ポリイミド樹脂としては、一般式(1)で現される構造単位を有するポリイミド樹脂を用いることができる。ここで、一般式(1)中、Arは式(2)、式(3)または式(4)で表される4価の芳香族基を示し、Arは式(5)、式(6)、式(7)または式(8)で表される2価の芳香族基を示し、pは構成単位の繰り返し数を意味する。
Figure 2014072219
また、Rは、独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を示し、Yは下記構造式で表される2価の基を示し、Rはパーフルオロアルキレン基を示し、nは1〜19の数を意味する。
Figure 2014072219
上記一般式(1)において、Arはジアミンの残基ということができ、Arは酸無水物の残基ということができるので、好ましいフッ素系ポリイミド樹脂を、ジアミンと、酸無水物若しくはこれと同等に利用可能なテトラカルボン酸、酸塩化物、エステル化物等(以下、「酸無水物等」と記す)とを挙げて説明する。但し、フッ素系ポリイミド樹脂は、ここで説明するジアミンと酸無水物等とから得られるものに限定されることはない。
Arとなる原料のジアミンとしては、分子内のアミノ基を除くアルキル基、フェニル環等の炭素に結合するすべての1価元素をフッ素またはパーフルオロアルキル基としたものであれば、どのようなものでもよく、例えば、3,4,5,6,−テトラフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)スルフォン、ヘキサフルオロ−2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル等を挙げることができる。
Arとなる原料の酸無水物等としては、例えば1,4−ジフルオロピロメリット酸、1−トリフルオロメチル−4−フルオロピロメリット酸、1,4−ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4−ジ(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3,4’−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−オキシビスフタル酸、4,4’―(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸等が挙げられる。
上記の(I)の方法で用意されるポリアミド酸樹脂とともに塗布液中に含有される金属化合物、あるいは上記の(II)、(III)の方法で用意される金属イオン(又は金属塩)を含有する溶液中に含有される金属化合物としては、第2の金属微粒子3を構成する上述の金属種を含む化合物を特に制限無く用いることができる。金属化合物としては、前記金属の塩や有機カルボニル錯体などを用いることができる。金属の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。また、上記金属種と有機カルボニル錯体を形成し得る有機カルボニル化合物としては、例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン類、アセト酢酸エチル等のβ−ケトカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
金属化合物の好ましい具体例としては、H[AuCl]、Na[AuCl]、AuI、AuCl、AuCl、AuBr、NH[AuCl]・n2HO、Ag(CHCOO)、AgCl、AgClO、AgCO、AgI、AgSO、AgNO、Ni(CHCOO)、Cu(CHCOO)、CuCl、CuSO、CuBr、Cu(NH)Cl、CuI、Cu(NO)、Cu(CHCOCHCOCH)、CoCl、CoCO、CoSO、Co(NO)、NiSO、NiCO、NiCl、NiBr、Ni(NO)、NiC、Ni(HPO)、Ni(CHCOCHCOCH)、Pd(CHCOO)、PdSO、PdCO、PdCl、PdBr、Pd(NO)、Pd(CHCOCHCOCH)、SnCl、IrCl、RhClなどを挙げることができる。
上記の(I)の方法で用意されるポリアミド酸樹脂と金属化合物とを含有する塗布液において、金属種によって、金属化合物が解離して生じた金属イオンが、ポリアミド酸樹脂との間で3次元の架橋形成反応が生じることがある。このため、時間の経過とともに塗布液の増粘・ゲル化が進行し、塗布液としての使用が困難となる場合がある。このような増粘、ゲル化を防ぐため、塗布液中に安定剤として粘度調整剤を添加することが好ましい。粘度調整剤の添加によって、塗布液中の金属イオンがポリアミド酸樹脂とキレート錯体を形成する代わりに、粘度調整剤と金属イオンがキレート錯体を形成する。このように、粘度調整剤によってポリアミド酸樹脂と金属イオンとの3次元の架橋形成がブロックされ、増粘・ゲル化が抑制される。
粘度調整剤としては、金属イオンと反応性の高い(つまり、金属錯体を形成しうる)低分子有機化合物を選定することが好ましい。低分子有機化合物の分子量は50〜300の範囲内が好ましい。このような粘度調整剤の具体例としては、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ピリジン、イミダゾール、ピコリンなどを挙げることができる。また、粘度調整剤の添加量は、形成しうるキレート錯体化合物1モルに対して1〜50モルの範囲内が好ましく、2〜20モルの範囲内で添加することがより好ましい。
塗布液中の金属化合物の配合量は、ポリアミド酸樹脂、金属化合物及び粘度調整剤の合計の重量部100に対して、3〜80重量部の範囲内、好ましくは20〜60重量部の範囲内となるようにする。この場合、金属化合物が3重量部未満では、第2の金属微粒子3の析出が不十分となり、80重量部を超えると塗布液中に溶解できない金属塩が沈殿したり、第2の金属微粒子3が凝集しやすくなることがある。
なお、塗布液には、上記成分以外の任意成分として、例えばレベリング剤、消泡剤、密着性付与剤、架橋剤などを配合することができる。
金属化合物を含有する塗布液あるいは金属イオン(又は金属塩)を含有しないポリアミド酸樹脂溶液を塗布する方法は、特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能であるが、これらの中でも、塗布膜(又はポリアミド酸樹脂膜)を均一に形成することが可能でマトリックス樹脂1の厚みを高精度に制御しやすいスピンコーター、グラビアコーター、バーコーター等を用いることが好ましい。
金属化合物を含有する塗布液あるいは金属イオン(又は金属塩)を含有しないポリアミド酸樹脂溶液を塗布した後は、乾燥させてポリアミド酸樹脂膜を形成する。乾燥においては、ポリアミド酸樹脂の脱水閉環の進行によるイミド化を完結させないように温度を制御する。乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば、60〜200℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間をかけて行うことがよいが、好ましくは、60〜150℃の範囲内の温度条件で乾燥を行うことがよい。乾燥後のポリアミド酸樹脂膜はポリアミド酸樹脂の構造の一部がイミド化していても差し支えないが、イミド化率は50%以下、より好ましくは20%以下としてポリアミド酸樹脂の構造を50%以上残すことがよい。なお、ポリアミド酸樹脂のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品として、例えば日本分光製FT/IR620)を用い、透過法にて膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,710cm−1のイミド基由来の吸光度から算出される。
ポリアミド酸樹脂膜は、単層でもよく、また複数のポリアミド酸樹脂膜から形成される積層構造のものでもよい。複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸樹脂の層の上に他のポリアミド酸樹脂を順次塗布して形成することができる。ポリアミド酸樹脂の層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリアミド酸樹脂を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層又は単層、特に単層は、工業的に有利に得ることができる。
上記の(II)又は(III)の方法で用いる金属イオン溶液中には、金属化合物を30〜300mMの範囲内で含有することが好ましく、50〜100mMの範囲内で含有することがより好ましい。金属化合物の濃度が30mM未満では、金属イオン溶液をポリアミド酸樹脂膜中に含浸させるための時間がかかり過ぎるので好ましくなく、300mM超では、ポリアミド酸樹脂膜の表面が腐食(溶解)する懸念がある。
金属イオン溶液は、金属化合物のほかに、例えば緩衝液などのpH調整を目的とする成分を含有することができる。
含浸方法は、ポリアミド酸樹脂膜の表面に金属イオン溶液が接触することができる方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。含浸の温度は0〜100℃、好ましくは20〜40℃付近の常温でよい。また、含浸時間は、浸漬法を適用する場合、例えば1分〜5時間が好ましく、5分〜2時間がより好ましい。浸漬時間が1分より短い場合には、ポリアミド酸樹脂膜への金属イオン溶液の含浸が不十分になる。一方、浸漬時間が5時間を越えても、金属イオン溶液のポリアミド酸樹脂膜への含浸の程度は、ほぼ横ばいになっていく傾向になる。
以上のキャスト法によって形成された「金属イオン若しくは金属塩を含有するポリアミド酸樹脂膜又はポリアミド酸樹脂層」(以下、「金属イオン含有ポリアミド酸樹脂層」とも記す)中で、金属イオンとポリアミド酸樹脂のカルボキシル基との相互作用によってカルボキシル基に吸着したり、錯体を形成したりすることがある。このような現象は、金属イオン含有ポリアミド酸樹脂層中における金属イオンの濃度分布を均質化するように作用するため、マトリックス樹脂1中に析出する第2の金属微粒子3の偏在や凝集を防ぎ、均一な形状の第2の金属微粒子3を均一な分布で析出させる効果がある。
(2)還元工程:
還元工程では、上記のようにして得られた金属イオン含有ポリアミド酸樹脂層を、好ましくは140℃以上、より好ましくは160〜250℃の範囲内、更に好ましくは160〜200℃の範囲内で熱処理することにより金属イオン(又は金属塩)を還元して第2の金属微粒子3を析出させる。熱処理温度が140℃未満では、金属イオン(又は金属塩)の還元が十分に行われず、第2の金属微粒子3の平均粒子径D2Aを前述の下限(3nm)以上にすることが困難となる場合がある。また、熱処理温度が140℃未満では、還元によって析出した第2の金属微粒子3のマトリックス樹脂1中での熱拡散が十分に起こらない場合がある。さらに、熱処理温度が140℃未満では、マトリックス樹脂1としてポリイミド樹脂を適用した場合に、ポリイミド樹脂の前駆体のイミド化が不十分となり、再度加熱によるイミド化の工程が必要となる場合がある。一方、熱処理温度が250℃を超えると、サーマルバジェットの増加を招くことや、不純物の熱による拡散を生じたり、マトリックス樹脂1が熱により分解し、局在型表面プラズモン共鳴に由来する吸収以外のマトリックス樹脂1の分解に伴う新たな吸収が生じやすくなることや、隣り合う第2の金属微粒子3の間隔が小さくなることによって、隣り合う第2の金属微粒子3同士での相互作用を生じやすくなるなど、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルがブロードになる原因となる。また、熱処理時間は、目標とする粒子間距離Lに応じて、さらに熱処理温度や、金属イオン含有ポリアミド酸層中に含まれる金属イオン(又は金属塩)の含有量に応じて決定することができるが、例えば熱処理温度が200℃では10〜180分の範囲内に設定することができる。
還元方法として加熱還元を採用する理由は、還元の処理条件(特に加熱温度と加熱時間)の制御によって比較的簡便に粒子径D及び粒子間距離Lを制御できることや、ラボスケールから生産スケールに至るまで特に制限なく簡便な設備で対応できること、また枚葉式のみならず連続式にも特段の工夫なくとも対応できることなど、工業的に有利な点が挙げられることにある。加熱還元は、例えば、Ar、Nなどの不活性ガス雰囲気中、1〜5kPaの真空中、又は大気中で行うことができる。還元方法として、水素などの還元性ガスを用いる気相還元や光(紫外線)還元は不適である。気相還元では、マトリックス樹脂1の表面付近に第2の金属微粒子3が存在せず、還元性ガスによってマトリックス樹脂1の熱分解が促進され、第2の金属微粒子3の粒子間隔を制御することが困難となる。また、光還元では、マトリックス樹脂1に由来する光透過度によって表面付近と深部での第2の金属微粒子3の密度のバラつきが生じやすく、第2の金属微粒子3の粒子径D及び粒子間距離Lを制御することが困難である上に還元効率も低い。
還元工程では、還元処理で使用する熱を利用してポリアミド酸樹脂のイミド化も完結させることができるので、第2の金属微粒子3の析出からイミド化までの工程をワンポットで行うことができ、生産工程を簡略化できる。
加熱還元では、マトリックス樹脂1(又はその前駆体)中に存在する金属イオン(又は金属塩)を還元し、熱拡散によって個々の第2の金属微粒子3が独立した状態で析出させることができる。このように形成された第2の金属微粒子3は、一定以上の粒子間距離Lを保った状態でしかも形状が略均一であり、マトリックス樹脂1中で第2の金属微粒子3が偏りなく分散している。特に、金属イオン含有ポリアミド酸樹脂層中の金属イオン(又は金属塩)がポリアミド酸樹脂のカルボキシル基に吸着したり、錯体を形成したりしている場合には、第2の金属微粒子3の形や粒子径Dが均質化され、最終的にマトリックス樹脂1中に第2の金属微粒子3が略均一な粒子間距離Lで均等に析出、分散したナノコンポジットの中間体を得ることができる。また、マトリックス樹脂1を構成する樹脂の構造単位を制御することや、金属イオン(又は金属塩)の絶対量及び第2の金属微粒子3の体積分率を制御することで、第2の金属微粒子3の粒子径Dとマトリックス樹脂1中での第2の金属微粒子3の分布状態を制御することもできる。
(3)エッチング工程:
エッチング工程では、マトリックス樹脂1中に存在する第2の金属微粒子3の一部をマトリックス樹脂1の表面から露出させる。例えばナノコンポジットの中間体において、第2の金属微粒子3を露出させたい面側のマトリックス樹脂1の表層をエッチングによって除去することによって行う。エッチング方法としては、例えばヒドラジド系溶液やアルカリ溶液を用いた湿式のエッチング方法や、プラズマ処理を用いた乾式のエッチング方法が挙げられる。
湿式のエッチング方法において、例えばアルカリ溶液によるエッチングが好適に利用できるマトリックス樹脂1としては、エッチング溶液の浸透のしやすさの観点から、吸水率が高いものを選択することが望ましく、吸水率は好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上であることがよい。
乾式のエッチング方法において、例えばプラズマによるエッチングが好適に利用できるマトリックス樹脂1としては、プラズマ状態のガスとの反応性の高さの観点から、例えばハロゲン原子、−OH、−SH、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、−CN、−P=O、−PO−、−SO−、−CONH−、−SOHなどの極性基を有するものを選択することが望ましい。また、別の観点から、アルカリ溶液によるエッチングの場合と同様に、吸水率が高いマトリックス樹脂1を選択することが望ましく、吸水率は好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上であることがよい。
(4)結合化学種の固定化工程:
結合化学種7の固定化工程では、結合化学種7を、マトリックス樹脂1の外部に露出した第2の金属微粒子3の露出部位3aの表面に固定させる。結合化学種7の固定化工程は、結合化学種7を第2の金属微粒子3の露出部位3aの表面に接触させることにより行うことができる。例えば結合化学種7を溶剤に溶解した処理液で、第2の金属微粒子3の表面処理を行うことが好ましい。結合化学種7を溶解する溶剤としては、水、炭素数1〜8の炭化水素系アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等、炭素数3〜6の炭化水素系ケトン類、例えば、アセトン、プロパノン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、炭素数4〜12の炭化水素系エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等、炭素数3〜7の炭化水素系エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、マロン酸ジエチル等、炭素数3〜6のアミド類、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド等、炭素数2のスルホキシド化合物、例えば、ジメチルスルホキシド等、炭素数1〜6の含ハロゲン化合物、例えば、クロロメタン、ブロモメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、1、2−ジクロロエタン、1、4−ジクロロブタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等、炭素数4〜8の炭化水素化合物、例えば、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
処理液中の結合化学種7の濃度は、例えば0.0001〜1M(mol/L)とすることが好ましく、低濃度である方が第2の金属微粒子3の表面への余分な結合化学種7の付着が少ない点で有利と考えられるが、結合化学種7による十分な膜形成の効果を得たい場合には、より好ましくは0.005〜0.05Mである。
上記処理液で第2の金属微粒子3の表面を処理する場合、処理液と第2の金属微粒子3の露出部位3aの表面が接触すればよく、その方法は限定されないが、均一に接触させることが好ましい。例えば、露出部位3aを有する第2の金属微粒子3をマトリックス樹脂1ごと処理液に浸漬してもよいし、また、スプレー等でマトリックス樹脂1における第2の金属微粒子3の露出部位3aに吹き付けてもよく、適当な工具で塗布してもよい。また、この際の処理液の温度は、特に限定されるものではないが、20℃以下が好ましく、−20〜20℃の範囲内がより好ましく、−10〜20℃の範囲内が望ましい。処理液の温度を20℃以下にすることにより、マトリックス樹脂1に結合化学種7が直接結合することが抑制され、第2の金属微粒子3の露出部位3aに選択的に結合化学種7を結合させることができる。従って、処理液の温度を20℃以下にすることにより、第1の金属微粒子113が結合化学種7を介してマトリックス樹脂1の表面に固定されてしまい、第1の金属微粒子113の凝集が生じて局在型表面プラズモン共鳴の効果が損なわれることを防止できる。また、例えば、表面処理に浸漬法を採用した場合には、浸漬時間を1分〜24時間とすることが好ましい。
表面処理を終了後、第2の金属微粒子3の表面に余分に付着した結合化学種7を有機溶剤で溶解除去する洗浄工程を行うことが好ましい。この洗浄工程で使用する有機溶剤には、結合化学種7を溶解することができる有機溶媒を使用することができる。その例としては、結合化学種7を溶解する際に用いる上記例示の溶剤を用いることができる。
洗浄工程で第2の金属微粒子3の表面を有機溶剤で洗浄する方法は限定されない。有機溶剤に浸漬してもよく、また、スプレー等で吹き付けて洗い流しても、適当な基材にしみ込ませてふき取ってもよい。この洗浄では、第2の金属微粒子3の表面に余分に付着した結合化学種7を溶解除去するが、結合化学種7の全部を除去してはならない。有利には、結合化学種7の膜が第2の金属微粒子3の表面に単分子膜程度の厚みとなるように結合化学種7を洗浄除去する。この方法としては、まず水で洗浄する工程を上記洗浄工程の前に設け、次に上記洗浄工程を行い、その後、更に水で洗浄する工程を設ける方法がある。この際の上記洗浄工程における有機溶剤の温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは5〜50℃の範囲である。また、洗浄時間は、好ましくは1〜1000秒間、より好ましくは3〜600秒間の範囲である。有機溶剤の使用量は、好ましくはナノコンポジット10の表面積1m2あたり1〜500L、より好ましくは3〜50Lの範囲である。
また、必要に応じて、マトリックス樹脂1の表面に付着した結合化学種7をアルカリ水溶液で除去することが好ましい。このとき使用するアルカリ水溶液は、濃度が10〜500mM(mmol/L)、温度が0〜50℃であることが好ましい。例えば、アルカリ水溶液の浸漬による場合には、浸漬時間を5秒間〜3分間とすることが好ましい。
(5)第1の金属微粒子113の固定化工程:
第1の金属微粒子113の固定化工程では、第1の金属微粒子113を結合化学種7に連結させ、結合化学種7を介して第1の金属微粒子113を間接的に第2の金属微粒子3に固定させる。第1の金属微粒子113の固定化工程は、第2の金属微粒子3に固定された状態の結合化学種7と第1の金属微粒子113とを接触させることにより行うことができる。結合化学種7と第1の金属微粒子113とを接触させる方法は限定されない。例えば、第2の金属微粒子3に結合化学種7が結合した固定化材料層111(ナノコンポジット10)に対し、スプレー等で第1の金属微粒子113を含む処理液を吹き付けてもよく、スピンコーター等の適当な工具で塗布してもよく、第1の金属微粒子113を含む処理液に浸漬してもよい。ここで、第1の金属微粒子113を含む処理液としては、例えば金属コロイド溶液を好ましく利用できる。第1の金属微粒子113を固定した後は、必要に応じて純水等による洗浄工程を設けてもよい。
以上のようにして、固定化材料層111(ナノコンポジット10)とナノコンポジット10に固定化された第1の金属微粒子113とを有するフォトダイオード100を製造することができる。なお、マトリックス樹脂1として、ポリイミド樹脂(ポリアミド酸樹脂)以外の樹脂を用いる場合についても、上記製造方法に準じて製造することができる。
なお、ナノコンポジット10による第1の金属微粒子113の固定化においては、上記(1)〜(5)の工程以外に、任意の工程を行うこともできる。
<作用>
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施の形態に係るフォトダイオード100の作用について説明する。図6は、本実施の形態のフォトダイオード100の受光面Sに光を照射した状態を説明する模式図である。図7は、固定化材料層111を用いずに固定化された金属微粒子113’を有する比較例のフォトダイオードの受光面Sに光を照射した状態を説明する模式図である。図6に示したように、本実施の形態のフォトダイオード100では、受光面Sに光200を照射すると、固定化材料層111に固定化された多数の第1の金属微粒子113における局在型表面プラズモン共鳴によって散乱光201が発生する。生成した散乱光201は、その一部分が空乏領域105cの周囲から空乏領域105c内に入射する。特に、SOI構造のフォトダイオード100では、半導体層105内で散乱光201の多重反射が生じることによって、半導体層105内に導波路モードが形成され、周期的に固定化された第1の金属微粒子113における散乱光201とのカップリングが生じる。その結果、光トラッピング効果によって光吸収感度をよりいっそう向上させることができる。一方、比較例のフォトダイオードでは、図7に示したように、受光面Sに照射された光200は、受光面Sに付着させた金属微粒子113’により散乱光を生じるが、金属微粒子113’の大部分が凝集しており周期的に固定化されていないため、散乱光201と半導体層105の導波路モードがカップリングを生じない。そのため、比較例のフォトダイオードでは、受光面Sに金属微粒子を付着させない場合と比較して、光吸収効率を大きく向上させる効果は得られにくい。
図6と図7との比較から、本実施の形態に係るフォトダイオード100では、受光面Sにおいて、半導体層105の空乏領域105cの直上部位やその周囲に存在する多数の第1の金属微粒子113によって、空乏領域105cに入射する光の絶対量を増加させることが可能であることから、比較例のフォトダイオードに比べて、光吸収効率を大幅に高めることが可能となる。また、本実施の形態のフォトダイオード100では、固定化材料層111として図4に示したような特殊な構造のナノコンポジット10を用いることによって、シランカップリング剤などの従来の固定化方法では受光面Sに固定化することが困難であった粒子径が80nm以上の比較的大型の第1の金属微粒子113についても、凝集を生じさせずに安定的に固定化することが可能である。そのため、可視光領域でフォトダイオードの光吸収効率の向上効果が大きくなると考えられる平均粒子径が80〜250nmの範囲内の大型の第1の金属微粒子113についても利用可能になり、比較例のフォトダイオードに比べて、光吸収効率を大幅に高めることが可能となる。
なお、図6に示したように、本実施の形態に係るフォトダイオード100では、受光面Sに存在する第1の金属微粒子113による散乱光201を利用するため、受光面Sにおける空乏領域105cの直上部位に第1の金属微粒子113が存在していなくても、その周囲からの散乱光201を空乏領域105cに入射させることが可能である。従って、第1の金属微粒子113は、受光面Sにおける空乏領域105cの直上部位にのみ付着させてもよいし、受光面Sにおける空乏領域105cの直上部位を除く領域にのみ付着させてもよい。もちろん、フォトダイオードの光吸収効率の向上効果を最大化するためには、第1の金属微粒子113を、受光面Sの全体に所定の間隔で分散させた状態で付着させることが最も好ましい。
なお、図1〜3では、SOI構造の横型pn接合構造のフォトダイオード100を例に挙げて説明したが、SOI構造の縦型pn接合構造でも適用可能である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[量子効率の測定方法]
フォトダイオードに光照射し、逆バイアス印加時(カソード電圧〜1V)の量子効率を調べた。感度が最大となるように基板電圧を調整した。可視光を対象として波長400〜800nmの範囲内で分光した光を照射することにより、量子効率のスペクトルを計測した。向上度は、金ナノ粒子付着前の特性と比較して求めた。測定装置として、半導体パラメータアナライザーを用い、プローバーを各電極に接続し、電流電圧特性を計測した。光源としてハロゲンランプを用い、モノクロメータにより分光した。
[光吸収効率の計算方法]
図8に示すモデルを設計し、FDTD法(有限差分時間領域法)により半導体層(SOI層)内部の光吸収効率を計算した。具体的には、図8の上方から下方に向けて、インパルス平面波を入射し、SOI層上面、下面それぞれのパワースペクトルをFFT(電界効果トランジスタ)により取得した。上面、下面のパワースペクトルの差がSOI層内の吸収効率に相当する。上記モデルに対し、金ナノ粒子がない場合についても同様に計算を行い、金ナノ粒子の有無による吸収効率の比を、光吸収効率向上度(Enhancement factor)とした。
[金属微粒子の平均粒子径の測定]
金属微粒子の平均粒子径の測定は、試料の断面をミクロトーム(ライカ社製、ウルトラカットUTCウルトラミクロトーム)を用いて超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、JEM−2000EX)により観測した。尚、Si基板上に作製した試料を上記の方法で観測することは困難であるため、ポリイミドフィルム上に同条件で作製したものを用い観測した。また、金属微粒子の平均粒子径は面積平均径とした。
[金属微粒子の露出面積径の測定]
金属微粒子の露出面積径の測定は、試料の表面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM;日立ハイテクノロジーズ社製)により観測して行った。
[樹脂フィルムの光透過率の測定および算出]
樹脂フィルム単体の光透過率は、紫外・可視分光分析(日本分光社製、UV−vis V−550)を用いて測定した。フォトダイオード上に形成した樹脂フィルム(膜厚L)の光透過率は、樹脂フィルム単体を測定して求めた吸光係数αから、次に示すランベルト・ベールの法則の公式を用いて算出した。
−log(I/I)=αL
[ここで、I/Iは透過率を示す]
[第1の金属微粒子の付着密度および被覆率の測定]
第1の金属微粒子の付着密度および被覆率は、試料の表面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM;日立ハイテクノロジーズ社製)により観測し、観察視野における面積当たりの付着粒子の個数を計測し算出した。
[独立した第1の金属微粒子の割合の測定]
独立した第1の金属微粒子の割合は、観察視野における全ての付着粒子の個数のうち独立した粒子の個数を計測し算出した。なお、独立した粒子とは、周囲にある他の粒子に対して粒子の中心間距離が粒子の半径の和より大きく、粒子同士が接触していない状態を指す。
[第1の金属金微粒子の付着周期の算出]
独立した第1の金属微粒子の割合が50%以上の場合、第1の金属金微粒子の付着周期(Pとする)、下記の計算式を用いて、被覆率(Cとする)と平均粒子径(Dとする)から算出した。
√3×C×P=2π×(D/2)
合成例1
500mlのセパラブルフラスコ内において、撹拌しながら、22.86gの2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル (TFMB)71.4mmolを255gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液に窒素気流下で22.14gの4,4’−オキシジフタル酸無水物 (ODPA)71.4mmolを加え、室温で5時間攪拌を続けて重合反応を行い、無色の粘調なポリアミド酸樹脂溶液Sを得た。得られたポリアミド酸溶液Sの粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、DV−II +Pro CP型)により測定した結果、52985cP (25℃)であった。
得られたポリアミド酸樹脂溶液Sを、ステンレス基材の上に塗布し、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥した後、160℃、30分間熱処理を行い、ステンレス基材に積層されたポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムをステンレス基材から剥離し、10μmの厚みのポリイミドフィルムPを得た。このフィルムの400nmでの光透過率は95%、可視光平均透過率は96%であった。またこのフィルムの400nmでの吸光係数は22.3/cm−1であった。
作製例1
図2と同様の構造を有するpn接合型フォトダイオード1を作製した。ここで、基板101としては、シリコン基板を用いた。このシリコン基板上に、埋め込み絶縁層(BOX層)103として、厚さ400nmの二酸化ケイ素膜を形成し、その上に、半導体層105として、厚さ100nmのシリコン層(SOI層)を形成した。このシリコン層(SOI層)に、図2と同様に、p型半導体領域105a、n型半導体領域105b及び空乏領域(p)105cを形成した。また、シリコン層(SOI層)の上に、表面絶縁層109として、5nmの二酸化ケイ素(SiO)膜と5nmの窒化珪素(SiN)膜を順次成膜した。また、シリコン層(SOI層)のp型半導体領域105aにはアノード電極107aを接続し、n型半導体領域105bにはカソード電極107bを接続した。そして、アノード電極107a、カソード電極107b及び表面絶縁層109の全部を覆うように固定化材料層111を形成し、固定化材料層111に複数の第1の金属微粒子113を固定化した。
[実施例1]
<第2の金属微粒子が分散したナノコンポジットフィルムの作製>
合成例1で得られたポリアミド酸樹脂溶液Sの8.95gに、80.55gのDMAcに溶解した0.78gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリアミド酸樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリアミド酸樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のフォトダイオード1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、フォトダイオード1上に金錯体含有ポリアミド酸樹脂膜を形成した。この金錯体含有ポリアミド酸樹脂膜を160℃、30分間加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム1a(厚さ45nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム1aの樹脂による光吸収は無視できるほど小さく、金属金微粒子が無い場合を仮定した樹脂フィルムについて算出した波長400nmにおける透過率は99.9%であった。ナノコンポジットフィルム1a中に形成した第2の金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、該フィルム中に形成した第2の金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球形、平均粒子径;約4.2nm、最小粒子径;約3.0nm、最大粒子径;約9.8nm、ナノコンポジットフィルム1aに対する体積分率;1.35%、粒子間距離の平均値;約17.4nm。
<ナノコンポジットのエッチング工程>
真空プラズマ装置(モリエンジニアリング社製、プラズマクリーナー VE−1500II)を用いて、フォトダイオード1の上に形成したナノコンポジットフィルム1aの表面側の面から7nmの厚さ範囲内に至るまでの領域をプラズマエッチングによって除去して、ナノコンポジットフィルム1bを得た。このフィルムの表面側の面には、第2の金属金微粒子の一部が露出しており、該金属金微粒子の露出面積径の平均値は約3.8nmであることが確認された。このときのナノコンポジットフィルム1bの表面積に対する第2の金属金微粒子における露出部位の合計の面積分率は、1.08%であった。
<結合化学種の固定化工程>
次に、フォトダイオード1の上に形成したナノコンポジットフィルム1bを、結合化学種であるアミノウンデカンチオール塩酸塩の0.1mM(0.1ミリモル/L)のエタノール溶液に浸漬し、−6℃で2時間処理した後、エタノールにて洗浄した。続いて、100mMの水酸化カリウム水溶液に浸漬し、23℃にて30秒間処理した後、純水にて洗浄し乾燥させることで、アミノウンデカンチオール塩酸塩におけるアンモニウム基をアミノ基に変換し、ナノコンポジットフィルム1cを調製した。
<結合化学種による第1の金属微粒子の固定化工程>
上記のようにして得られたナノコンポジットフィルム1c付きのフォトダイオード1を、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理した後、純水にて洗浄し乾燥させて、ナノコンポジットフィルム1cの第2の金属金微粒子に、金属金コロイド粒子由来の第1の金属金微粒子を固定させて、第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム1d付きのフォトダイオード1を得た。ナノコンポジットフィルム1dに固定化された第1の金属金微粒子は、各々が重なり合うこともなく、平面的にほぼ均一に分散した状態であり、分散ムラも認められなかった。また、フォトダイオード1上に形成したナノコンポジットフィルム1d表面の第1の金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
付着密度:2.6×10個/cm
互いに接することなく独立した第1の金属金微粒子の割合:78%
第1の金属金微粒子によるナノコンポジットフィルム表面の被覆率:20%
第1の金属金微粒子の付着周期:213nm
第1の金属金微粒子の付着周期と平均粒子径の比:2.13
これらの特長から、フォトダイオード1上に形成したナノコンポジットフィルム1d表面の第1の金属金微粒子は、フォトダイオードの吸収効率を向上させる上で好ましい構造となっていると考えられる。
[実施例2]
実施例1において、ナノコンポジットフィルム1c付きのフォトダイオード1を、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理したことに代えて、金属金コロイド溶液Aに浸漬し、23℃にて2時間処理した以外は実施例1と同様にして第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード2を得た。
[実施例3]
実施例1において、ナノコンポジットフィルム1c付きのフォトダイオード1を、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理したことに代えて、金属金コロイド溶液B(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.0067重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約150nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理した以外は実施例1と同様にして第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード3を得た。
[実施例4]
実施例1において、ナノコンポジットフィルム1c付きのフォトダイオード1を、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理したことに代えて、金属金コロイド溶液B(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.0067重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約150nm)に浸漬し、23℃にて2時間処理した以外は実施例1と同様にして第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード4を得た。
[実施例5]
実施例1において、ナノコンポジットフィルム1c付きのフォトダイオード1を、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理したことに代えて、金属金コロイド溶液C(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約80nm)に浸漬し、23℃にて2時間処理した以外は実施例1と同様にして第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード5を得た。
[実施例6]
<第2の金属微粒子が分散したナノコンポジットフィルムの作製>
合成例1で得られたポリアミド酸樹脂溶液Sの8.95gに、80.55gのDMAcに溶解した0.39gの塩化金酸・四水和物を加え、窒素雰囲気下、室温で15分間攪拌することにより、金錯体含有ポリアミド酸樹脂溶液を調製した。得られた金錯体含有ポリアミド酸樹脂溶液をスピンコーター(ミカサ株式会社製、SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、作製例1のフォトダイオード1の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥して、フォトダイオード1上に金錯体含有ポリアミド酸樹脂膜を形成した。この金錯体含有ポリアミド酸樹脂膜を160℃、30分間加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム6a(厚さ30nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム6aの樹脂による光吸収は無視できるほど小さく、金属金微粒子が無い場合を仮定した樹脂フィルムについて算出した波長400nmにおける透過率は99.9%であった。ナノコンポジットフィルム6a中に形成した第2の金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、該フィルム中に形成した第2の金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球形、平均粒子径;約3.8nm、最小粒子径;約2.8nm、最大粒子径;約9.5nm、ナノコンポジットフィルム6aに対する体積分率;0.68%、粒子間距離の平均値;約12.4nm。
得られたナノコンポジットフィルム6aに対し、実施例1と同様の条件で、エッチング工程、及び、結合化学種の固定化工程を実施し、ナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード6を得た。このナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード6を、実施例5と同様にして金属金コロイド溶液C(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約80nm)に浸漬し、23℃にて2時間処理することにより、第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード6を得た。
[実施例7]
実施例6において、0.39gの塩化金酸・四水和物の代わりに、0.26gの塩化金酸・四水和物を用いた以外は実施例6と同様にして、金属金微粒子分散ナノコンポジットフィルム7a(厚さ30nm)を作製した。ナノコンポジットフィルム7aの樹脂による光吸収は無視できるほど小さく、金属金微粒子が無い場合を仮定した樹脂フィルムについて算出した波長400nmにおける透過率は99.9%であった。ナノコンポジットフィルム7a中に形成した第2の金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。また、該フィルム中に形成した第2の金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
形状;ほぼ球形、平均粒子径;約3.7nm、最小粒子径;約2.8nm、最大粒子径;約9.1nm、ナノコンポジットフィルム7aに対する体積分率;0.46%、粒子間距離の平均値;約14.3nm。
得られたナノコンポジットフィルム7aに対し、実施例1と同様の条件で、エッチング工程、及び、結合化学種の固定化工程を実施し、ナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード7を得た。このナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード7を、実施例5と同様にして金属金コロイド溶液C(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約80nm)に浸漬し、23℃にて2時間処理することにより、第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード7を得た。
(比較例1)
作製例1のフォトダイオード1を1重量%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「γ−APS」と略す)水溶液に浸漬し、23℃にて2分間処理した後、純水にて洗浄し120℃で5分間加熱処理した。続いて、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理した後、純水にて洗浄し乾燥させて、フォトダイオード1の表面に金属金コロイド粒子を固定させて、金属金微粒子付きの比較フォトダイオードC1を得た。
比較フォトダイオードC1表面に固定させた金属金微粒子は、多くの粒子同士が接触し、凝集した状態であった。また、比較フォトダイオードC1における金属金微粒子の特徴は、次のとおりであった。
付着密度:2.92×10個/cm
互いに接することなく独立した金属金微粒子の割合:19%
金属金微粒子によるナノコンポジットフィルム表面の被覆率:22.9%
金属金微粒子の付着周期:独立した金属金微粒子の割合が低いため計算不可
これらの特長から、比較フォトダイオードC1に固定化されている金属金微粒子は、フォトダイオードの吸収効率を向上させる上で好ましい構造となっていないと考えられる。
[比較例2]
比較例1において、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に代えて、金属金コロイド溶液B(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.0067重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約150nm)を使用した以外は比較例1と同様にして、金属金微粒子付きの比較フォトダイオードC2を得た。
[比較例3]
比較例1において、金属金コロイド溶液A(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約100nm)に浸漬し、23℃にて24時間処理したことに代えて、金属金コロイド溶液C(田中貴金属株式会社製、金属金含有量;0.007重量%、金属金コロイド粒子の平均粒子径;約80nm)に浸漬し、23℃にて2時間処理した以外は比較例1と同様にして、金属金微粒子付きの比較フォトダイオードC3を得た。
上記実施例1〜7、比較例1〜3のフォトダイオードの作製条件を表1に、実施例1〜7の各フォトダイオードに使用したナノコンポジットの樹脂フィルムの光吸収特性を表2に、実施例1〜7、比較例1〜3で作製したフォトダイオードの構造的特徴を表3にそれぞれ示した。
Figure 2014072219
Figure 2014072219
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[試験例1]
3D−FDTD計算により、金ナノ粒子の付着周期Pに分布がある場合(つまり、周期的でない場合)の光吸収効率を予測することを試みた。具体的には、まず、図8のモデルに基づいて、粒子径140nmの金ナノ粒子の付着周期Pを180〜350nmの範囲で10nmずつ変化させた場合の光吸収スペクトルを計算した。その結果を図9A,図9Bに示した。また、比較のために金ナノ粒子が付着していない場合のスペクトルも計算し、図10に示した。
次に、金ナノ粒子の付着周期Pに分布がある場合(つまり、周期的でない場合)の光吸収効率を予測するために,図9A,9Bに示す付着周期P=180〜350nmの10nm毎の光吸収スペクトルの計算結果を全て足し合わせ、総数の18で割ることにより平均を算出した。この平均により得られた光吸収効率と金ナノ粒子の付与による光吸収効率向上度の結果を図11に示した。なお、図11では、平均算出したスペクトルのグラフを、滑らかにつながるように補正している。本計算の平均粒子密度は1.6×10個/cmであった。図10と図11との比較から、金ナノ粒子をフォトダイオードの表面に付着させることにより、光吸収効率が可視光域において約2倍向上することが期待できる。
[試験例2]
実施例3で作製した第1の金属金微粒子を固定化したナノコンポジットフィルム付きのフォトダイオード3について、金ナノコンポジット膜付着前後のSOIフォトダイオードの感度スペクトルを計測し、金ナノコンポジット膜による光吸収効率向上度を評価した。図12(a)は、金ナノ粒子付着前後の外部量子効率のスペクトルを示す。実線が粒径150nmの金ナノ粒子付着後のスペクトルを示し、破線が金ナノ粒子付着前のスペクトルを示している。図12(a)より、波長500〜700nmにかけて広帯域に感度が向上していることが分かる。図12(b)は、図12(a)で得られた金ナノ粒子付着前後の外部量子効率の比率から算出した光吸収効率向上度のスペクトルを示している。図12(b)より、波長620nm前後をピークに約2倍の向上度が得られたことがわかる。
図12(c)と図12(d)は、それぞれFDTD計算により予測された外部量子効率と光吸収効率向上度のスペクトルを示している。図12(a)、図12(b)の計測結果と図12(c)、図12(d)の計算結果とがほぼ一致していることが確認できた。
以上の試験結果から、フォトダイオードの受光面にランダム配列した金ナノ粒子により、FDTD計算結果とよく一致した感度スペクトルが得られた。図12(c)、図12(d)のFDTD計算結果は、周期性のある金ナノ粒子配列時の光吸収効率スペクトルを基に、ランダム配列時に期待される光吸収効率と光吸収効率向上度のスペクトルを予測した結果である。この金ナノ粒子の配列周期は、各周期の光吸収効率スペクトルのピーク波長におけるSOI−半導体層中の導波路モードの伝播波長と一致する。これらの結果から、金ナノ粒子による散乱光がSOI半導体層中の導波路モードとカップルすることにより感度が向上する、という理論予測が実証された。
以上詳述したように、本発明のpn接合型フォトダイオードでは、局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子が、マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、第2の金属微粒子に結合している結合化学種とを有する固定化材料層によって受光面に固定化されている。そのため、シランカップリング剤などの従来の固定化方法では固定化が困難であった粒子径が80nm以上の比較的大型の第1の金属微粒子についても、凝集を抑制しながら適度な粒子間隔で安定的に固定化できる。従って、本発明のフォトダイオードは、従来のフォトダイオードに比べて、光吸収効率が大幅に向上して検出感度に優れており、例えば微弱光の高感度・高速検出や冷却素子を用いない高感度フォトダイオード、イメージセンサーなどの用途に利用可能である。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
1…マトリックス樹脂、3…第2の金属微粒子、7…結合化学種、10…ナノコンポジット、100…フォトダイオード、101…基板、103…埋め込み絶縁層(BOX層)、105…半導体層、105a…p型半導体領域、105b…n型半導体領域、105c…空乏領域(p)、107a…アノード電極、107b…カソード電極、109…表面絶縁層、111…固定化材料層、113…第1の金属微粒子、S…受光面

Claims (10)

  1. pn接合により形成された空乏領域内に発生した光キャリアにより光検出を行うpn接合型フォトダイオードにおいて、
    光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、
    前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、
    を備えており、
    前記固定化材料層が、
    マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、
    前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、
    を有していることを特徴とするpn接合型フォトダイオード。
  2. 基板と、
    前記基板上に形成された埋め込み絶縁層と、
    前記埋め込み絶縁層の少なくとも一部分の領域上に形成された、p型半導体領域、n型半導体領域及び空乏領域を有する半導体層と、
    前記半導体層に電気的に接続して設けられたアノード電極及びカソード電極と、
    前記半導体層の少なくとも一部分の領域上に形成された表面絶縁層と、
    光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、
    前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、
    を備えており、
    前記固定化材料層が、
    マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、
    前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、
    を有していることを特徴とするpn接合型フォトダイオード。
  3. 前記第1の金属微粒子の平均粒子径は、50〜400nmの範囲内である請求項1又は2に記載のpn接合型フォトダイオード。
  4. 前記第1の金属微粒子は、前記受光面の一部分又は全部において均等に分散して固定化されており、互いに隣り合う前記第1の金属微粒子どうしの付着周期が120〜600nmの範囲内である請求項3に記載のpn接合型フォトダイオード。
  5. 前記第1の金属微粒子が、金属コロイド由来の微粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載のpn接合型フォトダイオード。
  6. 前記第2の金属微粒子は、各々が接することなく、独立して存在しており、少なくとも一部分の第2の金属微粒子は、前記マトリックス樹脂に埋包された部位と、前記マトリックス樹脂の外部に露出した部位とを備えており、該露出した部位に固定された前記結合化学種を介して前記第1の金属微粒子が固定されている請求項1から5のいずれか1項に記載のpn接合型フォトダイオード。
  7. 前記第2の金属微粒子の平均粒子径は3nm〜30nmの範囲内である請求項1から6のいずれか1項に記載のpn接合型フォトダイオード。
  8. 前記第2の金属微粒子は、互いに隣り合う2つの粒子の大きい方の粒子径以上の間隔で存在している請求項1から7のいずれか1項に記載のpn接合型フォトダイオード。
  9. pn接合により形成された空乏領域内に発生した光キャリアにより光検出を行うpn接合型フォトダイオードの製造方法であって、
    前記pn接合型フォトダイオードは、光を受光する受光面の一部分又は全部に設けられた固定化材料層と、前記固定化材料層に固定化された局在型表面プラズモン共鳴を生じる複数の第1の金属微粒子と、を備えており、前記固定化材料層が、マトリックス樹脂及び該マトリックス樹脂中に分散した複数の第2の金属微粒子を有する金属微粒子分散複合体と、前記第2の金属微粒子と前記第1の金属微粒子とを結合する結合化学種と、を有するものであり、以下の(1)〜(5)の工程;
    (1)pn接合型フォトダイオードにおける光を受光する受光面に、金属イオン又は金属塩を含有する樹脂膜を形成する工程と、
    (2)前記樹脂膜中の金属イオン又は金属塩を加熱還元して前記マトリックス樹脂中に複数の前記第2の金属微粒子を析出させる工程と、
    (3)前記マトリックス樹脂の表面をエッチングすることにより、少なくとも一部分の前記第2の金属微粒子の表面を部分的に露出させる工程と、
    (4)前記結合化学種を含む処理液を20℃以下の温度条件で接触させることにより、前記第2の金属微粒子の露出した部位の表面に選択的に結合化学種を結合させて固定する工程と、
    (5)固定された前記結合化学種を介して前記第1の金属微粒子を固定する工程と、
    を備えていることを特徴とするpn接合型フォトダイオードの製造方法。
  10. 前記(5)の工程で、前記第1の金属微粒子を金属コロイドの状態で含有する金属コロイド溶液を用いる請求項9に記載のpn接合型フォトダイオードの製造方法。

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