JP5717658B2 - 副腎皮質刺激ホルモンの検出方法および吸着剤 - Google Patents

副腎皮質刺激ホルモンの検出方法および吸着剤 Download PDF

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Description

本発明は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の検出方法およびACTHの吸着剤に関する。
血液中には様々なペプチドが含まれているが、その中には、特定の病態にある生体において健常時とは異なる血中濃度を示すペプチドも存在する。そのようなペプチドは、臨床検査の分野において疾患のマーカーとして注目されている。例えば、下垂体ホルモンの分泌低下により生じるシモンズ病、シーハン症候群などは、ACTHをマーカーペプチドとして検出することで臨床検査を行なうことができる。しかし、臨床検査で用いられる生体試料に含まれる夾雑物が、ACTHの検出に影響を及ぼす場合がある。そのため、生体試料中の夾雑物の影響を抑制できるACTHの検出方法が望まれていた。
本発明は、ACTHを選択的に吸着可能な新規材料を提供することを目的とする。また、本発明は、この新規材料を用いて液体試料中のACTHを検出する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、驚くべきことに、カゼインから得たゲルがACTHを選択的に吸着できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、ACTHを含む液体試料と、ゲル化カゼインとを接触させて、ACTHをゲル化カゼインに吸着させる工程と、該ゲル化カゼインに吸着されたACTHを検出する工程とを含む、ACTHの検出方法が提供される。
また、本発明によれば、ゲル化カゼインを含む、ACTHの吸着剤が提供される。
本発明のACTHの吸着剤に含まれるゲル化カゼインは液体試料中のACTHを選択的に吸着することができる。そのため、本発明のACTHの検出方法は、液体試料中のACTHをゲル化カゼインに選択的に吸着することで、ACTHを他の夾雑物の影響を抑制した状態で検出することができる。
各種の材料から作製されたゲル担体のACTHに対する吸着能を示すグラフである。 ゲル化カゼインの各種ペプチドに対する吸着能を示すグラフである。 ゲル化カゼインが、テトラメチルローダミン(TMR)で標識されたACTHにおけるペプチド部分と吸着することを示すグラフである。 ゲル化カゼインに吸着されたACTHをSDS-PAGE法とそれに続く銀染色法により検出したときの写真である。 ゲル化カゼインに吸着された、アルブミンと複合体を形成しているACTHをSDS-PAGE法とそれに続く蛍光イメージング法により検出したときの写真である。 ゲル化カゼインがアルブミンを吸着しないことをSDS-PAGE法とそれに続く銀染色法により確認したときの写真である。 ゲル化カゼインとACTHとの親和性がpHにより変化することを示すグラフである。 本発明のACTHの検出方法により、血清中のACTHを検出できたことを、SDS-PAGE法とそれに続く銀染色法および蛍光イメージング法により示した写真である。 本発明のACTHの検出方法により、尿中のACTHを検出できたことを、SDS-PAGE法とそれに続く銀染色法および蛍光イメージング法により示した写真である。
[1]ACTHの検出方法
本発明のACTHの検出方法(以下、「検出方法」ともいう)では、まず、ACTHを含む液体試料と、ゲル化カゼインとを接触させて、ACTHをゲル化カゼインに吸着させる工程が行われる。
ACTHは、39アミノ酸からなるホルモンであり、脳の下垂体から分泌され、副腎皮質に作用して副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。
本発明の実施形態において、検出対象となるACTHは、生体内で産生される天然のACTHのほか、ACTHをコードする遺伝子が導入された哺乳動物細胞、昆虫細胞、大腸菌などの細胞により産生されたペプチドであってもよいし、化学合成によって製造されたペプチドであってもよい。また、ACTHは生物種の間でアミノ酸配列の相同性が高いので、ACTHの由来は、ACTHを産生する生物種であれば特に限定されず、哺乳類(例えば、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ウサギ)、鳥類(例えばダチョウ)、魚類(例えばホシザメ)などが挙げられる。
本発明の実施形態において、液体試料は、ACTHを含む可能性のある液体試料であれば特に限定されず、例えば生体試料であってもよい。そのような生体試料としては、体液が挙げられる。体液としては、例えば、血液、血漿、血清、尿などが好ましい。液体試料が上記の生体試料である場合、当該試料には、生体に由来する、ACTHと結合できる物質が含まれていることがあるが、本発明の実施形態においては、液体試料中のACTHは、そのようなACTHと結合できる物質と複合体を形成していてもよい。ACTH結合できる物質としては、例えばアルブミンなどが挙げられる。
また、液体試料に含まれるACTHは、全長のポリペプチドであってもよいし、その断片であってもよい。ACTHの断片としては、少なくともACTHの1〜24位のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましい。
本発明の検出方法において、ACTHを吸着するために用いられるゲル化カゼインは、カゼインをゲル化することにより得ることができる。ここで、カゼインとは、乳タンパク質の主成分として知られているリン酸タンパク質である。また、カゼインは、大きく分けてαs、βおよびκの3種類のカゼイン成分から構成されていることが知られている。
本発明の実施形態においては、ゲル化カゼインの原料となるカゼインの種類は特に限定されず、例えば、酸カゼイン、カゼインナトリウム、αs−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインなどが挙げられる。また、カゼインの由来は特に限定されず、例えば、ウシ、ヤギなどの哺乳動物の乳から得られたカゼインを用い得る。
ゲル化カゼインを得る方法は、カゼインをゲル化することができる方法であれば特に限定されないが、例えば、カゼインの溶液と架橋剤とを反応させることによりゲル化カゼインを得る方法が挙げられる。そのような架橋剤としては、水溶性カルボジイミド(WSC、化学名:1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)が望ましい。
WSCを用いる場合、ゲル化カゼインは、例えば次のようにして得ることができる。まず、0.1〜20 %(w/v)のカゼイン溶液と、0.1〜50 %(w/v)のWSC溶液とを、体積比で表して1:0.2〜50の割合で混合する。得られた混合液を65〜200℃で5〜120分間加熱し、室温に戻すことにより、該混合液中にゲル化カゼインが形成される。そして、ゲル化カゼインを遠心分離などにより混合液から回収し、水または適切な緩衝液で洗浄して、ゲル化カゼインを得ることができる。
本発明の実施形態においては、ゲル化カゼインの形状は特に限定されないので、上記のようにして得られたゲル化カゼインを、粒子状、膜状などの形状に適宜加工してもよい。
本発明の実施形態において、ゲル化カゼインと液体試料とを接触させる操作は特に限定されない。例えば、液体試料にゲル化カゼインを添加して接触させてもよいし、上記の粒子状のゲル化カゼインの分散液と液体試料とを混合して接触させてもよい。
ゲル化カゼインと液体試料との接触における条件については、ACTHの吸着効率を向上させる観点から、ゲル化カゼインと液体試料との混合物におけるpHが6.5以上、好ましくは6.5〜10となる条件下で、両者を接触させることが望ましい。これは、ゲル化カゼインとACTHとの親和性がpHにより変化することを本発明者が見出したことに基づいている。なお、pHを調整する手段は特に限定されず、当該技術において公知の方法から適宜選択できる。例えば、pHが6.5以上で緩衝作用を有する緩衝剤を、ゲル化カゼインおよび/または液体試料にあらかじめ添加しておくか、あるいはゲル化カゼインと液体試料との混合物に添加することによりpHを調整できる。
ゲル化カゼインと液体試料との接触におけるpH以外の条件は特に限定されないが、例えば、ゲル化カゼインと液体試料との量の比は、体積比で表して1:2〜1000、好ましくは1: 10〜200である。また、周囲温度は4〜60℃、好ましくは4℃〜室温であり、接触時間は5秒〜60分、好ましくは30秒〜1分である。
本発明の検出方法においては、上記のようにしてゲル化カゼインと液体試料とを接触させた後、ゲル化カゼインに吸着されたACTHを検出する工程が行われる。
当該工程において、ゲル化カゼインに吸着されたACTHを検出する手段は特に限定されない。例えば、ACTHを吸着したゲル化カゼインを回収し、回収されたゲル化カゼインに吸着されているACTHを直接検出することができる。また、ACTHを吸着したゲル化カゼインを回収し、回収されたゲル化カゼインからACTHを遊離させて、遊離したACTHを検出することもできる。すなわち、本発明の検出方法は、液体試料と接触させたゲル化カゼインを回収する工程と、回収されたゲル化カゼインに吸着されたACTHを遊離させる工程とをさらに含むこともできる。
ゲル化カゼインを回収する手段は、用いたゲル化カゼインの形状に応じて、当該技術において公知の手段から適宜選択すればよい。例えば、ゲル化カゼインと液体試料との混合物を遠心分離した後、上清を除くことによりゲル化カゼインを回収することができる。
ゲル化カゼインからACTHを遊離させる手段は特に限定されないが、例えば、当該技術において公知のタンパク質変性剤を、回収したゲル化カゼインに添加することにより、該ゲル化カゼインからACTHを溶出させることができる。そのようなタンパク質変性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤、尿素、グアニジンなどが挙げられる。
また、上述のとおり、ゲル化カゼインとACTHとの親和性はpHにより変化することが本発明者により明らかにされている。すなわち、本発明の実施形態においては、回収されたゲル化カゼインと、水系媒体とをpH5.5以下で接触させることにより、ゲル化カゼインに吸着されたACTHを該水系媒体中に遊離させることができる。なお、pHを調整する手段は、後に行われるACTHの検出を妨げない手段であれば特に限定されず、当該技術において公知の方法から適宜選択できる。また、水系媒体は特に限定されないが、操作をより簡便にする観点から、ゲル化カゼインと水系媒体との混合物におけるpHを5.5以下にすることができる水系媒体が好ましい。そのような水系媒体としては、当該技術において公知の無機酸(例えば、希塩酸、希硫酸など)、有機酸(例えば、酢酸水溶液など)およびpHが5.5以下で緩衝作用を有する緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、グッド緩衝液など)が好適に用いられる。
遊離したACTHを検出する手段は、ACTHを他の物質と区別して検出可能な手段であれば特に限定されず、当該技術において公知のペプチド検出方法から適宜選択できる。そのような検出手段としては、例えば、SDS-PAGE法とそれに続くゲル染色法またはウェスタンブロット法、ELISA法、クロマトグラフィー法、質量分析法などが挙げられる。
上述のとおり、本発明の実施形態においては、液体試料に含まれるACTHをゲル化カゼインによって選択的に吸着させた後、適切な水系溶媒中に遊離させることが可能である。すなわち、本発明の検出方法は、液体試料からACTHを選択的に回収したい場合、および/または液体試料からACTHを精製したい場合にも利用可能である。したがって、本発明の範囲には、液体試料からACTHを選択的に回収する方法、および液体試料からACTHを精製する方法も含まれる。
[2]ACTHの吸着剤
本発明のACTHの吸着剤(以下、「吸着剤」ともいう)は、上記のゲル化カゼインを含むことを特徴とし、上述した本発明の検出方法に好適に用いることができる。すなわち、本発明の吸着剤は、本発明の検出方法において述べたゲル化カゼインと同様に用いることにより、液体試料中のACTHを選択的に吸着することができる。なお、吸着されるACTHは、少なくともACTHの1〜24位のアミノ酸配列を有するポリペプチドであればよい。また、ACTHはアルブミンなどのACTHと結合できる物質と複合体を形成していてもよい。
本発明の吸着剤に含まれるゲル化カゼイン自体は、本発明の検出方法において述べたことと同様にして製造することができる。すなわち、カゼインの溶液と架橋剤とを反応させることによりゲル化カゼインを得ることができる。そのような架橋剤としては、水溶性カルボジイミド(WSC、化学名:1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)が望ましい。
本発明の吸着剤に含まれるゲル化カゼインの形状は特に限定されないが、取り扱いを容易にする観点から粒子状が好ましい。この場合、本発明の吸着剤は、水または適当な緩衝液に分散されてなる分散液の形態とすることができる。あるいは、本発明の吸着剤は、凍結乾燥法などの公知の方法により乾燥させたゲル化カゼイン粒子と、これを用時に分散させるための水または適当な緩衝液とを含む、2試薬系の形態としてもよい。なお、分散液中のゲル化カゼイン粒子の濃度は、当業者が適宜設定できるが、通常1〜100 mg/ml、好ましくは5〜50 mg/mlである。
本発明の吸着剤は、ゲル化カゼインのほか、当該技術において公知の添加物を含むことができる。そのような添加物としては、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、グッド緩衝液など)、タンパク質安定化剤(例えば、BSAなど)および防腐剤(例えば、アジ化ナトリウムなど)が挙げられる。本発明においては、上述のとおり、ゲル化カゼインとACTHとの親和性がpHにより変化するので、pH6.5以上で緩衝作用を有する緩衝液を含むことが好ましい。
本発明の吸着剤に含まれるゲル化カゼインの保存方法は特に限定されないが、例えば4℃〜室温にて保存すればよい。
本発明の吸着剤は、本発明の検出方法において述べたことと同様にして製造したゲル化カゼインを含む限り、ACTHを選択的に吸着する性能を有するが、その性能の確認は、上述した本発明の検出方法により行うことができる。あるいは、ACTHの吸着能は、次のようにして確認してもよい。まず、濃度既知の合成ACTHペプチドの溶液と、製造した吸着剤とを混合する。得られた混合液から、吸着剤に含まれるゲル化カゼインを回収する。そして、残りの液に含まれる合成ACTHペプチドの濃度を測定し、混合前の濃度と比較する。比較の結果、混合後の濃度の方が十分に低ければ、製造した吸着剤は本発明の吸着剤としての性能を有すると判断される。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1: ゲル化カゼインのACTH(1-24)に対する吸着能の評価
(1)各種のゲル担体の分散液の調製
<ゲル化カゼイン担体分散液の調製>
カゼインナトリウム(和光純薬株式会社製)を、MilliQ(登録商標)水(以下、単に「超純水」という;Millipore社)に溶解して、50 g/L(5%)のカゼインナトリウム溶液を調製した。このカゼインナトリウム溶液(1mL)に、5%水溶性カルボジイミド(WSC (株)同仁化学研究所製)溶液(1mL)と超純水(3mL)とを添加して、カゼインナトリウムの終濃度が1%であり、WSCの終濃度が1%であるカゼインナトリウム−WSC混合溶液(5mL)を調製した。この混合溶液を80℃で10分間加熱した後、室温に戻すことで、該混合溶液中にゲルを形成させた。ゲルを含む液から、上清をピペットで除去して、ゲル化カゼインを取得した。取得したゲル化カゼインに超純水を加え、遠心分離装置(日立工機製 CF15RXII)を用いて22200 Gで10分間遠心することにより、上清とゲル化カゼインとに分離し、上清をピペットで除去した。この操作を2回繰り返して、ゲル化カゼインを洗浄した。洗浄後のゲル化カゼインをボルテックスおよびピペッティングにより細かいゲル担体にして、超純水(5mL)中に分散させた。得られた分散液を1%ゲル化カゼイン担体分散液とした。
<アルブミンゲル担体分散液の調製>
カゼインナトリウムに代えて、ウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という:シグマ−アルドリッチ社製)を用いて、上記のゲル化カゼイン担体分散液の調製と同様の操作を行うことにより、1%アルブミンゲル担体分散液を調製した。
<ゼラチンゲル担体分散液の調製>
ゼラチン(和光純薬株式会社製)を超純水に溶解させ、80℃に加熱することにより、10%ゼラチン水溶液(0.5 mL)を調製した。この溶液を4℃で2時間冷却して、ゼラチンゲルを得た。得られたゼラチンゲルに4℃の超純水(4.5 mL)を加え、ピペッティングにより細かいゼラチンゲル担体にして、1%ゼラチンゲル担体分散液を調製した。
(2)各種のゲル担体のACTH(1-24)に対する吸着能の評価
上記(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)と、テトラメチルローダミン(TMR)で標識した、ACTHの1〜24位のアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、「ACTH(1-24)」という)の水溶液(300μM、5μL、バイオロジカ株式会社製)を混合し、1MのBicine/NaOH緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(35μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、TMR標識ACTH(1-24)の終濃度は15μMに調整されている。同様に、1%ゲル化カゼイン担体分散液に代えて1%アルブミンゲル担体分散液、および1%ゼラチンゲル担体分散液を用い、それぞれの混合液を調整した。なお、ゼラチンゲル担体の操作はゼラチンゲルが液中に溶解しないように、冷却しながら行った。
これらの混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心することにより、上清と沈殿物とに分離した。遠心分離後、分光蛍光光度計(日立ハイテク製 F-7000)により、励起波長540 nm蛍光波長580 nmにおける上清の蛍光強度を測定し、各ゲル担体に吸着しなかった上清中に残っているTMR量、つまりACTH(1-24)量を算出した。なお、ゲル担体を含まない15μMのTMR標識ACTH(1-24)の溶液をリファレンスとした。その結果を図1に示す。
図1から、ゲル化カゼイン担体は、アルブミンゲル担体及びゼラチンゲル担体に比べ、TMR標識ACTH (1-24)に対し高い吸着能を有することが明らかとなった。
実施例2: ゲル化カゼイン担体のACTH(1-24)に対する吸着能の選択性の評価1
(1)ゲル化カゼイン担体と試料との混合液の調製
1000μMのACTH(1-24)(バイオロジカ株式会社製)水溶液、1000μMのITIH4フラグメント(バイオロジカ株式会社製)水溶液、1000μMのFibrinogen αフラグメント(バイオロジカ株式会社製)水溶液、1000μMのFactorXIIIフラグメント(バイオロジカ株式会社製)水溶液をそれぞれ10μLずつ混合し、実施例1(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)と、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(3μL)および超純水(7μL)を加えて、ペプチド混合液(100μL)を調製した。このペプチド混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、各ペプチドの終濃度は100μMに調整されている。調製したペプチド混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心し、上清と沈殿物とに分離して、上清を取得した。取得した上清(1μL)に超純水(99μL)を添加して100倍希釈の上清を調製した。この上清に対し、MSの濃度換算するための指標サンプルとして1μMのTMR標識ACTH(1-24)水溶液(1μL)を添加し、ペプチド吸着能測定用試料を調製した。なお、ペプチド吸着能測定用試料の比較対象として、1%ゲル化カゼイン担体分散液の代わりに超純水を用い、上記と同じ操作によりコントロール試料を調製した。
(2)混合液のMALDI−TOF/MS測定によるACTH(1-24)に対する吸着能選択性の評価
あらかじめ、マトリックス溶液として10 mg/mLのαCHCA溶液を調整した。なお、溶媒として0.1%トリフルオロ酢酸/50%アセトニトリル水溶液を使用した。MSの試料台に、上記(1)で調整したペプチド吸着能測定用試料(1μL)を滴下し、減圧下で乾燥させた後、マトリックス溶液(1μL)を滴下して自然乾燥させ、マトリックスの結晶ができていることを確認した。そして、m/zが800〜5000の領域のMALDI−TOF/MS測定(Applied Biosystems社製 Voyager-DE(商標)PRO)を行なった。また、ペプチド吸着能測定用試料のMALDI-MSと同様の操作で、ペプチド吸着能測定用試料の代わりにコントロール試料を用いることにより、コントロール試料のMALDI−TOF/MS測定を行なった。これらの測定結果を、指標サンプルの強度で調整し、各ペプチドの上清中に含まれるペプチド濃度を算出した。ゲル化カゼイン担体のACTH(1-24)、ITIH4フラグメント、Fibrinogen αフラグメント及びFactor XIIIフラグメントに対する吸着能の結果を図2に示す。また、各ペプチドの性質を表1に示す。なお、図2において、100μMの実線は、ゲル化カゼイン担体を混合しなかった場合のペプチド溶液に存在するペプチド濃度を示す。
図2から明らかなように、ゲル化カゼイン担体のACTH(1-24)に対する吸着能は、ITIH4、Fibrinogen αおよびFactor XIIIに対する吸着能に比べ、顕著に高いことが明らかとなった。このことから、ゲル化カゼイン担体は、酸性、中性、塩基性ペプチドという等電点に依存して吸着するのではなく、ACTH(1-24)を選択的に吸着することが示された。
実施例3: ゲル化カゼイン担体のACTH(1-24)に対する吸着能の選択性の評価2
(1)ゲル化カゼイン担体分散液の調製
実施例1(1)のゲル化カゼイン担体分散液の調製と同様に、1%ゲル化カゼイン担体分散液を調製した。
(2)ゲル化カゼイン担体と試料との混合液の調製
<ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液の調製>
上記(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)と300μMのTMR標識ACTH(1-24)の水溶液(10μL)を混合し、さらに1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(30μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、TMR標識ACTH(1-24)の終濃度は30μMに調整されている。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清と沈殿物とを分離した。なお、ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液の比較対象、具体的にはゲル化カゼイン担体を含まない混合液として、1%ゲル化カゼイン担体分散液の代わりに超純水を用いて、上記と同じ操作により比較対象の混合液も調製した。
<ゲル化カゼイン担体とTMRの混合液の調製>
TMR標識ACTH(1-24)に代えて、TMRを用い、上述のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の調製と同様の操作を行うことで、ゲル化カゼイン担体とTMRの混合液を調製した。なお、ゲル化カゼイン担体とTMRの混合液の比較対象、具体的にはゲル化カゼイン担体を含まない混合液として、1%ゲル化カゼイン担体分散液の代わりに超純水を用いて上記と同じ操作により比較対象の混合液も調製した。
(3)混合液の蛍光強度測定によるACTH(1-24)に対する吸着能選択性の評価
<ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液の蛍光強度測定によるACTH(1-24)に対する吸着能選択性の評価>
上記(2)で調製したゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液の、励起波長540 nm蛍光波長580 nmにおける上清の蛍光強度を分光蛍光光度計(日立ハイテク製 F-7000)により測定した。また、その比較対象として上記(1)で調製したゲル化カゼイン担体を含まない混合液の蛍光強度を測定した。比較対象の蛍光強度を30μMのTMR標識ACTH(1-24)として換算することによって、ゲル化カゼイン担体に吸着されず上清に残ったTMR標識ACTH(1-24)量を算出した。
<ゲル化カゼイン担体とTMRの混合液の蛍光強度測定によるACTH(1-24)に対する吸着能選択性の評価>
上記(2)で調製したゲル化カゼイン担体とTMRの混合液の、励起波長540 nm蛍光波長580 nmにおける上清の蛍光強度を分光蛍光光度計(日立ハイテク製 F-7000)により測定した。また、その比較対象として上記(1)で調製したゲル化カゼイン担体を含まない混合液の蛍光強度を測定した。比較対象の蛍光強度を30μMのTMRとして換算することによって、ゲル化カゼイン担体に吸着されず上清に残ったTMR量を算出した。それらの結果を図3に示す。
<結果>
図3から明らかなように、ゲル化カゼイン担体はTMRをほとんど吸着しないことがわかる。このことから、TMR標識ACTH(1-24)におけるACTH(1-24)の部分とゲル化カゼイン担体が選択的に吸着することが示された。
実施例4: ゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)の検出
(1)サンプルの調製
<サンプルAの調製>
300μM TMR標識ACTH(1-24)の水溶液(10μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(80μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。調製された混合液をサンプルAとして取得した。
<サンプルBの調製>
実施例1で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)に1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(40μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清と沈殿物に分離し、得られた沈殿物をサンプルBとして取得した。
<サンプルCおよびD>
実施例1で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)と300μM TMR標識ACTH(1-24)の水溶液(10μL)とを混合し、さらに1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(30μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、ACTH(1-24)の終濃度は30μMに調整されている。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清と沈殿物とを分離した。なお、この上清をサンプルCとして取得した。次に、その沈殿物に超純水(100μL)添加し、ボルテックスにて沈殿物と超純水を撹拌し、この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清と沈殿物とを分離した。この沈殿物を、図4に示されるSDS-PAGEにおけるサンプルDとして取得した。
(2)SDS-PAGEによるACTH(1-24)の検出
あらかじめ、ニューページLDSサンプルバッファー(4×)(インビトロジェン社製)(50μL)、ニューページサンプル還元試薬(10×)(インビトロジェン社製)(20μL)、超純水(30μL)を混合して、2倍濃縮サンプルバッファー(100μL)を調整した。上記(1)で取得したサンプルDに超純水(20μL)および2倍濃縮サンプルバッファー(20μL)を加え、70℃で10分間加熱した。加熱後、得られた試料を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清と沈殿物とを分離した。遠心分離により得られた上清(10μL)に対しSDS-PAGEを行なった。上記(1)で取得したサンプルBも、上記のサンプルDと同様の操作を行い、SDS-PAGEを行なった。また、上記(1)で取得したサンプルAについては、5μLに対して2倍濃縮サンプルバッファー(5μL)を加え、70℃で10分間加熱した。その10μLに対してSDS-PAGEを行なった。上記(1)で取得したサンプルCは、上記のサンプルAと同様の操作を行い、SDS-PAGEを行なった。
なお、SDS-PAGEの泳動装置として、垂直型ミニ電気泳動システム(インビトロジェン社製)を、泳動ゲルとしてNuPAGE 4-12% Bis-Tris Gels, 1.0mm, 10ウェル(インビトロジェン社製)を用い、ランニングバッファーとしてNuPAGE MES SDSランニングバッファー(20×)(インビトロジェン社製)を20倍希釈した溶液を用いた。泳動時の電圧は200Vで一定とした。SDS-PAGE後は、EzStain Silver(ATTO社)を用いてゲルの銀染色を行った。その結果を図4に示す。
図4の結果から、ACTH(1-24)はゲル化カゼイン担体にほとんど吸着して、上清にはほぼ存在しておらず、またゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)はそのままSDS-PAGEすることにより検出することができた。なお、一般的に、塩基性存在下ではACTHは重合体となることが知られているので、TMR-ACTHの上に存在しているバンドは、ACTHの重合体であると予想される。ゲル化カゼイン担体はACTH(1-24)の重合体も吸着することがわかった。
実施例5: アルブミンとACTH(1-24)が結合した複合体(以下、「BSA-ACTH(1-24)複合体」という)を対象としたアルブミン除去およびACTH(1-24)の回収
(1)ゲル化カゼイン担体分散液の調製
カゼインナトリウムを、超純水に溶解して、カゼインナトリウム溶液50 g/L (5%)を調製した。このカゼインナトリウム溶液(1mL)に5%水溶性カルボジイミド(WSC)溶液(1mL)と超純水(3mL)を添加して、カゼインナトリウムの終濃度が1%であり、且つWSCの終濃度が1%であるカゼインナトリウム−WSC混合溶液(5mL)を調製した。この混合溶液を80℃で10分加熱し室温に戻すことで、混合溶液中にゲルを形成した。ゲルを含む混合溶液から、液体部分をピペットで除去してゲル沈殿をゲル化カゼイン担体として取得した。取得したゲル化カゼイン担体に、超純水を加え、遠心分離装置にて22200 Gで10分間遠心して、上清とゲル担体とを分離し、上清をピペットで分離した。この操作を繰り返し2回行うことで、ゲル化カゼイン担体を洗浄した。洗浄後のゲル担体をボルテックスおよびピペッティングで細かいゲル担体にして、超純水(3mL)に分散させた。この分散液を1.6%のゲル化カゼイン担体の分散液とした。
(2)BSA-ACTH(1-24)複合体の調製
2400μMのBSA溶液(40μL)と、200μMのTMR標識ACTH(1-24)(8μL)と超純水(32μL)を混合して、BSA-ACTH(1-24)複合体溶液(80μL)を調製した。なお、この溶液のBSA濃度は1200μMであり、TMR標識ACTH(1-24)濃度は20μMに調整されている。また、BSAと、TMR標識ACTH(1-24)との間の平衡の解離定数(Kd)を蛍光滴定法により計測したところ、Kd値は12μMであった。すなわち、調製された複合体溶液を2倍希釈する場合、つまりBSA濃度は600μMであり、TMR標識ACTH(1-24)濃度は10μMの場合は、98.0%のTMR標識ACTH(1-24)が、BSAと複合体を形成している。
(3)ゲル化カゼイン担体と試料との混合液の調整
<ゲル化カゼイン担体とBSA-ACTH(1-24)複合体との混合液の調製>
上記(2)で調製した溶液(80μL)と上記(1)で調製した1.6 %のゲル化カゼイン担体分散液(50μL)とを混合した後、1MのBicine /NaOH緩衝溶液(pH 9)(16μL)および超純水(14μL)を加えて、混合液(160μL)を調製した。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。なお、このゲル化カゼイン担体は下記(4)の操作に付し、また上清はBSA有りのサンプル「上清A」とした。また、比較対象として、ゲル化カゼイン担体を含まない混合液、BSA-ACTH(1-24)複合体の溶液(80μL)、1MのBicine/NaOH緩衝溶液(pH9)(16μL)および超純水(64μL)を加えて混合液(160μL)を調製した。この溶液をBSA有りのリファレンス(REF.)サンプルとした。
<ゲル化カゼイン担体とACTH(1-24)との混合液の調製>
BSA-ACTH(1-24)複合体の溶液の代わりに、20μM TMR標識ACTH(1-24)溶液を用いて、上述のゲル化カゼイン担体とBSA-ACTH(1-24)複合体との混合液の調製と同様に混合液を調製した。なお、得られたゲル化カゼイン担体は下記(4)の操作に付し、また上清はBSAなしのサンプル「上清A」とした。また、比較対象として、ゲル化カゼイン担体を含まない混合液、20 mM TMR標識ACTH(1-24)(80μL)、1MのBicine/NaOH緩衝溶液(pH9、16μL)および超純水(64μL)を加えて混合液(160μL)を調製した。この溶液をBSAなしのREF.サンプルとした。
(4)ゲル化カゼイン担体の洗浄
<BSA-ACTH(1-24)複合体と混合させたゲル化カゼイン担体の洗浄>
上記(3)ゲル化カゼイン担体とBSA-ACTH(1-24)複合体との混合液の調製にて分離したゲル化カゼイン担体に、20 mM Bicine /NaOH緩衝溶液(160μL)を添加した後、ゲル化カゼイン担体が溶液中で均一に分散するように、ピペッティングした。ピペッティング後、遠心分離装置にて22200 Gで5分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。なお、このゲル化カゼイン担体は下記(5)の操作に付し、上清はBSA有りのサンプル「上清B」とした。
<ACTH(1-24)と混合させたゲル化カゼイン担体の洗浄>
上記の(3)ゲル化カゼイン担体とACTH(1-24)との混合液の調製にて分離したゲル化カゼイン担体に20 mM Bicine /NaOH緩衝溶液(160μL)を添加した後、ゲル化カゼイン担体が溶液中で均一に分散するように、ピペッティングした。ピペッティング後、遠心分離装置にて22200 Gで5分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。なお、このゲル化カゼイン担体は下記(5)の操作に付し、上清はBSAなしのサンプル「上清B」とした。
(5)ゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)の遊離
<BSA-ACTH(1-24)複合体と接触させたゲル化カゼイン担体からのACTH(1-24)の遊離>
上記(4)BSA-ACTH(1-24)複合体と混合させたゲル化カゼイン担体の洗浄の洗浄後ゲル化カゼイン担体に100 mM MES/NaOH緩衝溶液(pH5)(160μL)を添加した後、ゲル化カゼイン担体が溶液中で均一に分散するように、ピペッティングを行った。ピペッティング後、混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。この上清をBSA有りのサンプル「上清C」とした。
<ACTH(1-24)と混合させたゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)の遊離>
上記(4)ACTH(1-24)と混合させたゲル化カゼイン担体の洗浄の洗浄後ゲル化カゼイン担体に100 mM MES/NaOH緩衝溶液(pH5)(160μL)を添加した後、ゲル化カゼイン担体が溶液中で均一に分散するように、ピペッティングを行った。ピペッティング後、混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。この上清をBSAなしのサンプル「上清C」とした。
(6)ゲル化カゼイン担体によるACTH(1-24)の回収の様子をSDS-PAGEにより確認
あらかじめ、10×Loading Buffer(10μL、タカラ社製)、60%グリセロール水溶液(5μL)および超純水(85 μL)を混合した溶液を調製し、これをサンプルバッファーとした。そして、上記のBSA有りのREF.サンプル、BSA有りのサンプル上清A〜C、BSAなしREF.サンプル、BSAなしサンプル上清A〜Cの各20μLを採取し、サンプルバッファー(2μL)と混合し、SDS-PAGEを行った。なお、SDS-PAGEは泳動装置として垂直型ミニ電気泳動システム(インビトロジェン社製)を、泳動ゲルとしてNuPAGE 4-12% Bis-Tris Gels, 1.0mm, 10ウェル(インビトロジェン社製)を用い、ランニングバッファーとしてNuPAGE MES SDSランニングバッファー(20×)(インビトロジェン社製)を20倍希釈した溶液を用いた。また泳動時の電圧は200Vで一定とした。このように、SDS-PAGEを行った後、蛍光イメージャー(Pharos FX(商標)Molecular Imager : BIO-RAD社)のTAMRA用波長(励起波長 532nm)のHigh Sample Intensityモードで泳動ゲルの画像データ(図5)を取得した後、EzStain Silver(ATTO社)を用いて、手順に沿って泳動ゲルの銀染色を行った(図6)。
<SDS-PAGEの結果>
図5からはTMR標識ACTH(1-24)のバンドを確認することができ、図6からはBSAのバンドを確認することができる。ゲル化カゼイン担体とBSA-ACTH(1-24)複合体を混合した系(BSA有りの系)では、図6のREF.サンプルとサンプル「上清A」の結果より、Bicine/ NaOH緩衝溶液(pH9)存在下においてゲル化カゼイン担体にBSAが吸着しないことがわかる。しかし、図5においてTMR標識ACTH(1-24)のスメアなバンドを確認すると、そのバンドの濃さが薄くなっていることから、一部のTMR-ACTH(1-24)がBSAから脱着して、ゲル化カゼイン担体に吸着していることが考えられる。このゲル化カゼイン担体が、BSAからTMR-ACTH(1-24)を奪う割合は、BSAとACTH(1-24)との平衡反応と、ゲル化カゼイン担体とACTH(1-24)との平衡反応の兼ね合いにより決定すると推察される。つまり、さらに多くのTMR-ACTH(1-24)をBSAから奪いたい場合は、ゲル化カゼイン担体の添加量を増やせばよい。さらに、サンプル「上清B」において、ほとんどTMR標識ACTH(1-24)のバンドが確認できないことから、洗浄工程においてもゲル化カゼイン担体にTMR標識ACTH(1-24)が吸着したままであると予想される。そして、サンプル「上清C」において、TMR標識ACTH(1-24)の濃いバンドが確認できることから、MES/NaOH緩衝溶液(pH5)存在下では、ゲル化カゼイン担体からTMR標識ACTH(1-24)が遊離することが明らかとなった。
以上の結果より、BSAに結合しているACTH(1-24)でも、ゲル化カゼイン担体に吸着させることが可能であることが示された。この結果から、ゲル化カゼインを用い、BSA-ACTH(1-24)複合体から、BSAを除去してACTH(1-24)を回収できることが示唆された。
実施例6: ゲル化カゼイン担体からのACTH(1-24)の解離条件の検討
(1)ゲル化カゼイン担体分散液の調製
実施例1(1)のゲル化カゼイン担体分散液の調製と同様に、1%ゲル化カゼイン担体分散液を調製した。
(2)ゲル化カゼイン担体と試料とのACTH(1-24)との混合液の調製
上記(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(50μL)と300μMのTMR標識ACTH(1-24)の水溶液(10μL)を混合し、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(30μL)を加えて、混合液(100μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、TMR標識ACTH(1-24)の終濃度は30μMに調整されている。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。
(3)ACTH(1-24)と混合させたゲル化カゼイン担体の洗浄
上記(2)で分離したゲル化カゼイン担体に20 mM Bicine /NaOH緩衝溶液(160μL)を添加し、ゲル化カゼイン担体をピペッティングした。ピペッティングした後、遠心分離装置にて22200 Gで5分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。
(4) ゲル化カゼイン担体に結合したACTH(1-24)の解離
上記(3)で洗浄したゲル化カゼイン担体に、表2に示されるpHとなるように各溶液を添加した後、ゲル化カゼイン担体が溶液中で均一になるようにピペッティングを行なった。ピペッティング後、混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。分離した上清に残存するACTH(1-24)の濃度を算出するため、実施例3の(3)に記載の分光蛍光光度計測定と同様の操作により上清の蛍光強度を測定した。また、それらの比較対象として、表2に示されるpHとなるように各溶液を添加したゲル化カゼイン担体を含まない30μMのTMR標識ACTH(1-24)溶液を調整し、その溶液の蛍光強度も同様に算出した。比較対象の蛍光強度をTMR標識ACTH(1-24) 30μMとして換算して、ゲル化カゼイン担体を分離した上清に残存するACTH(1-24)濃度を算出した。その測定結果を表2および図7に示す。
この表2及び図7から、溶液の種類に関わらず、pH5以下の溶液を用いることで、ゲル化カゼイン担体に結合したACTH(1-24)を、ゲル化カゼイン担体から解離できることが明らかとなった。また、pH調整剤として用いた10 mMの酢酸溶液および30 mM重炭素アンモニウム溶液は揮発性であり、HPLC測定やMS測定の際は脱塩工程なしで、直接測定できることが知られている。つまり、この解離後の溶液を測定する手法に応じて、適切な溶媒を選ぶことが可能である。例えば、バイオケミカルな手法でACTH(1-24)を検出するのであれば、グッド緩衝液であるGlycine/NaOH緩衝溶液またはMES/NaOH緩衝溶液を使用すればよい。また、上記の質量分析法のような処理前に脱塩工程が必要な手法の場合は酢酸水溶液のような揮発性のpH調整試薬を用いてACTH(1-24)を解離させることができる。
実施例7: TMR標識ACTH(1-24)を含む血清を対象としたアルブミン除去およびACTH(1-24)の回収
(1)ゲル化カゼイン担体分散液の調製
実施例1(1)のゲル化カゼイン担体分散液の調製と同様に、1%ゲル化カゼイン担体分散液を調製した。
(2)ゲル化カゼイン担体と試料との混合液の調製
<ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む血清との混合液の調製>
あらかじめ、健常な女性(22歳)から得た血清(100μL、PROMEDDX社「Normal Serum Pool」)と300μM TMR標識ACTH(1-24)(10μL)を混合し、TMR標識ACTH(1-24)を含む血清を調製した。別の容器に上記(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体分散液(100μL)を遠心分離して、上清と沈殿に分けた。その上清をピペットで除去し、沈殿のみを取得した。次に、取得した沈殿に、上記で調製したTMR標識ACTH(1-24)を含む血清(110μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(20μL)および超純水(20μL)を加えて、ゲル化カゼイン担体と試料の混合液(150μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.75%、TMR標識ACTH(1-24)の終濃度は20μM、血清の希釈率は1.5倍に調整されている。この混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、上記TMR標識ACTH(1-24)を含む血清(110μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(20μL)および超純水(20μL)を加えて、混合液(150μL)を調製した。
<ゲル化カゼイン担体のみの溶液を調製>
TMR標識ACTH(1-24)を含む血清の代わりに超純水を用いて、上記のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む血清との混合液の調製と同様の操作により、ゲル化カゼイン担体溶液を調製した。なお、この液をコントロール試料Aとした。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(20μL)および超純水(130μL)を加えて、混合液(150μL)を調製した。
<ゲル化カゼイン担体と血清溶液の混合液の調製>
TMR標識ACTH(1-24)の代わりに超純水を用いて、上記のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む血清との混合液の調製と同様の操作により、ゲル化カゼイン担体と血清の混合液を調製した。なお、この液をコントロール試料Bとした。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、血清(100μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(20μL)および超純水(30μL)を加えて、混合液(150μL)を調製した。
(3)ゲル化カゼイン担体の洗浄
上記(2)の混合液の調製にて分離した上清をピペットで除去して、ゲル化カゼイン担体を取得した。このゲル化カゼイン担体に、20 mM Bicine /NaOH緩衝溶液(150μL)を添加し、ゲル化カゼイン担体ピペッティングし、遠心分離装置にて22200 Gで5分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。この作業を2回繰り返し行った。なお、上記(2)で調製したコントロールAおよびBについても、同様の操作を行った。
(4)ゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)の遊離
上記(3)の洗浄後ゲル化カゼイン担体に100 mM MES/NaOH緩衝溶液(pH5)(50μL)を添加し、ピペッティングを行い、混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。この上清をピペットで回収し、これを回収後の試料とした。なお、コントロールAおよびBの試料も同様の操作を行った。
(5)SDS-PAGEによる血清成分の除去およびACTH(1-24)の回収の確認
あらかじめ、ニューページLDSサンプルバッファー(4×)(インビトロジェン社製)(50μL)、ニューページサンプル還元試薬(10×)(インビトロジェン社製)(20 mL)、超純水(30μmL)を混合して、2倍濃縮サンプルバッファー(100μL)を調整した。上記(2)で取得した回収前のリファレンス試料に超純水(5μL)および2倍濃縮サンプルバッファー(5μL)を加え、70℃で10分間加熱した。また、上記(2)で取得したコントロールAおよびB試料の回収前のリファレンス試料、また上記(4)で取得した回収後試料、およびコントロールAおよびB試料の回収後試料についても同様に、2倍濃縮サンプルバッファー(5μL)を加え、70℃で10分間加熱し、各試料を調製した。得られた各試料1μLに対しSDS-PAGEを行なった。なお、SDS-PAGEの泳動装置、泳動ゲル、ランニングバッファーは実施例4(2)と同様である。泳動時の電圧は200Vで一定とした。SDS-PAGE後は、蛍光イメージと銀染色像は実施例5(6)と同様の操作により取得した。その結果を図8に示す。
図8の結果から、ゲル化カゼイン担体に血清中のタンパク質はほとんど吸着しておらず、血清中からACTH(1-24)を選択的に回収できることを確認できた。
実施例8: TMR標識ACTH(1-24)を含む尿を対象としたタンパク質除去およびACTH(1-24)の回収
(1)ゲル化カゼイン担体濃縮液の調製
実施例1(1)のゲル化カゼイン担体濃縮液の調製と同様に、1%ゲル化カゼイン担体濃縮液を調製した。
(2)ゲル化カゼイン担体と試料との混合液の調製
<ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む尿との混合液の調製>
あらかじめ、シングルドナーから得た正常尿(100μL、ProMedDx社)と300μM TMR標識ACTH(1-24)(10μL)とを混合し、TMR標識ACTH(1-24)を含む尿を調製した。別の容器に上記(1)で調製した1%ゲル化カゼイン担体濃縮液(60μL)を遠心分離して、上清と沈殿とに分けた。その上清をピペットで除去し、沈殿のみを取得した。次に、取得した沈殿に、上記で調製したTMR標識ACTH(1-24)を含む尿(110μL)と、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)を加えて、ゲル化カゼイン担体と試料の混合液(120μL)を調製した。この混合液のゲル化カゼイン担体の終濃度は0.5%、TMR標識ACTH(1-24)の終濃度は25μM、尿の希釈率は1.2倍に調整されている。この混合液を遠心分離装置により、22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とを分離した。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、上記TMR標識ACTH(1-24)を含む尿(110μL)と、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)を加えて、混合液(120μL)を調製した。
<ゲル化カゼイン担体のみの液を調製>
TMR標識ACTH(1-24)を含む尿の代わりに超純水を用いて、上記のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む尿との混合液の調製と同様の操作により、ゲル化カゼイン担体溶液を調製した。なお、この液をコントロール試料Aとした。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(110μL)を加えて、混合液(120μL)を調製した。
<ゲル化カゼイン担体と尿の混合液の調製>
TMR標識ACTH(1-24)の代わりに超純水を用いて、上記のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む尿との混合液の調製と同様の操作により、ゲル化カゼイン担体と尿の混合液を調製した。なお、この液をコントロール試料Bとした。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、尿(100μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(10μL)を加えて、混合液(120μL)を調製した。
<ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液の調製>
尿の代わりに超純水を用いて、上記のゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)を含む尿との混合液の調製と同様の操作により、ゲル化カゼイン担体とTMR標識ACTH(1-24)の混合液を調製した。なお、この液をコントロール試料Cとした。また、ゲル化カゼイン担体を含まない回収前のリファレンス試料として、300μM TMR標識ACTH(1-24)(10μL)、1MのBicine緩衝溶液(pH9)(10μL)および超純水(100μL)を加えて、混合液(120μL)を調製した。
(3)ゲル化カゼイン担体の洗浄
上記(2)の混合液の調製にて分離した上清をピペットで除去して、ゲル化カゼイン担体を取得した。このゲル化カゼイン担体に、20 mM Bicine /NaOH緩衝溶液(120μL)を添加し、ゲル化カゼイン担体ピペッティングし、遠心分離装置を用いて22200 Gで5分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とに分離した。この作業を2回繰り返し行った。なお、上記(2)で調製したコントロール試料A〜Cについても、同様の操作を行った。
(4)ゲル化カゼイン担体に吸着したACTH(1-24)の遊離
上記(3)の洗浄後ゲル化カゼイン担体に100 mM Glycine/NaOH緩衝溶液(pH 2.5)(60μL)を添加し、ピペッティングを行い、混合液を遠心分離装置により22200 Gで3分間遠心して、上清とゲル化カゼイン担体とに分離した。この上清をピペットで回収し、これを回収後の試料とした。なお、コントロール試料A〜Cにも同様の操作を行った。
(5)SDS-PAGEによる尿成分の除去およびACTH(1-24)の回収の確認
あらかじめ、ニューページLDSサンプルバッファー(4×)(インビトロジェン社製)(50μL)、ニューページサンプル還元試薬(10×)(インビトロジェン社製)(20μL)、超純水(30μL)を混合して、2倍濃縮サンプルバッファー(100μL)を調整した。上記(2)で取得した回収前のリファレンス試料に超純水(5μL)および2倍濃縮サンプルバッファー(5μL)を加え、70℃で10分間加熱した。また、上記(2)で取得したコントロールA〜Cの試料の回収前のリファレンス試料、また上記(4)で取得した回収後試料、およびコントロールA〜Cの試料の回収後試料についても同様に、2倍濃縮サンプルバッファー(5μL)を加え、70℃で10分間加熱し、各試料を調製した。得られた各試料(10μL)に対しSDS-PAGEを行なった。
なお、SDS-PAGEの泳動装置、泳動ゲル、ランニングバッファーは、実施例4(2)と同様である。泳動時の電圧は200Vで一定とした。SDS-PAGE後、蛍光イメージおよび銀染色像を実施例5(6)と同様の操作により取得した。その結果を図9に示す。図9の結果から、ゲル化カゼイン担体に尿中のタンパク質はほとんど吸着しておらず、尿中からACTH(1-24)を選択的に回収できることを確認できた。

Claims (14)

  1. 副腎皮質刺激ホルモンを含む液体試料と、ゲル化カゼインとを接触させて、副腎皮質刺激ホルモンをゲル化カゼインに吸着させる工程と、
    前記ゲル化カゼインに吸着された副腎皮質刺激ホルモンを検出する工程と
    を含む、副腎皮質刺激ホルモンの検出方法。
  2. 副腎皮質刺激ホルモン吸着工程が、液体試料とゲル化カゼインとをpH6.5以上の条件下で接触させることにより行われる請求項1に記載の方法。
  3. 液体試料と接触させたゲル化カゼインを回収する工程と、
    回収されたゲル化カゼインに吸着された副腎皮質刺激ホルモンを遊離させる工程と
    をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 副腎皮質刺激ホルモンの遊離工程が、回収されたゲル化カゼインと、水系媒体とをpH5.5以下で接触させて、ゲル化カゼインに吸着された副腎皮質刺激ホルモンを前記水系媒体中に遊離させることにより行われる請求項3に記載の方法。
  5. ゲル化カゼインが、架橋剤によりゲル化したカゼインである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 架橋剤が、水溶性カルボジイミドである請求項5に記載の方法。
  7. 副腎皮質刺激ホルモンが、少なくとも副腎皮質刺激ホルモンの1〜24位のアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 副腎皮質刺激ホルモンが、アルブミンと複合体を形成している請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 液体試料が、血液、血漿、血清または尿である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ゲル化カゼインを含む、副腎皮質刺激ホルモンの吸着剤。
  11. ゲル化カゼインが、架橋剤によりゲル化したカゼインである請求項10に記載の吸着剤。
  12. 架橋剤が、水溶性カルボジイミドである請求項11に記載の吸着剤。
  13. 副腎皮質刺激ホルモンが、少なくとも副腎皮質刺激ホルモンの1〜24番目のアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項10〜12のいずれか1項に記載の吸着剤。
  14. 副腎皮質刺激ホルモンが、アルブミンと複合体を形成している請求項10〜13のいずれか1項に記載の吸着剤。
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