JP6675167B2 - ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット - Google Patents

ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット Download PDF

Info

Publication number
JP6675167B2
JP6675167B2 JP2015169198A JP2015169198A JP6675167B2 JP 6675167 B2 JP6675167 B2 JP 6675167B2 JP 2015169198 A JP2015169198 A JP 2015169198A JP 2015169198 A JP2015169198 A JP 2015169198A JP 6675167 B2 JP6675167 B2 JP 6675167B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
albumin
self
aggregate
releasing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015169198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017043578A (ja
Inventor
礼奈 鶴岡
礼奈 鶴岡
早苗 津國
早苗 津國
由貴子 三浦
由貴子 三浦
博幸 加畑
博幸 加畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sysmex Corp
Original Assignee
Sysmex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sysmex Corp filed Critical Sysmex Corp
Priority to JP2015169198A priority Critical patent/JP6675167B2/ja
Priority to US15/245,348 priority patent/US10053488B2/en
Priority to EP16185662.0A priority patent/EP3135683B1/en
Priority to AU2016219698A priority patent/AU2016219698B2/en
Priority to CN201610736725.6A priority patent/CN106478790B/zh
Publication of JP2017043578A publication Critical patent/JP2017043578A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6675167B2 publication Critical patent/JP6675167B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/04General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length on carriers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification
    • C07K1/145Extraction; Separation; Purification by extraction or solubilisation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドの遊離方法及び回収方法に関する。また、本発明は、ペプチド遊離剤及び試薬キットに関する。
血液中には、アルブミンが大量に存在する。血液中のアルブミンは、血液に含まれるペプチドと結合して複合体を形成するので、血液中のペプチドを検出する際には、アルブミンは検出の障害となることが知られている。それゆえ、アルブミンとペプチドとを分離すること、つまり、アルブミンとペプチドとの複合体から該ペプチドを遊離させることが求められている。例えば、特許文献1には、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理して、アルブミンの自己会合体を形成させることにより、該複合体からペプチドを遊離させたことが記載されている。
米国特許出願公開第2012/277407号明細書
特許文献1に示されるように、本発明者らは、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理することにより、アルブミンの自己会合体が形成され、これに伴って該複合体からペプチドが遊離されることを見出している(特許文献1は、参照により本明細書に組み込まれる)。このアルブミンの自己会合体は、熱変性により高次構造が変化して、ペプチドと結合する能力をほとんど失っていると考えられていた。しかし、本発明者らは、一部のペプチドは、加熱処理によっても遊離せずに、自己会合体に取り込まれることを見出した。よって、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させる手段の開発が望まれる。
本発明の第1の態様は、ペプチドの遊離方法である。よって、本発明は、ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有する溶液とを接触させて、上記アルブミンの自己会合体から上記ペプチドを上記溶液中に遊離させる工程を含む、ペプチドの遊離方法を提供する。
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
Rは−H又は−OHである。)
又は
本発明の第2の態様は、上記の遊離方法を利用したペプチドの回収方法である。よって、本発明は、ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、上記の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有する溶液とを接触させて、上記アルブミンの自己会合体から上記ペプチドを上記溶液中に遊離させる工程と、この溶液中に遊離したペプチドを回収する工程とを含む、ペプチドの回収方法を提供する。
本発明の第3の態様は、上記の遊離方法を利用したペプチドの回収方法である。よって、本発明は、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理してアルブミンの不溶性自己会合体を形成させることにより、上記複合体からペプチドを溶液中に遊離させる工程と、上記複合体から遊離したペプチドを含む溶液を回収する工程と、上記加熱処理によって形成された上記アルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有する溶液とを接触させて、上記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを溶液中に遊離させる工程と、上記アルブミンの自己会合体から遊離したペプチドを含む溶液を回収する工程とを含む、ペプチドの回収方法を提供する。
本発明の第4の態様は、上記の遊離方法及び回収方法に用いられるペプチド遊離剤である。よって、本発明は、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理して形成されたアルブミンの自己会合体からペプチドを遊離させるペプチド遊離剤であって、上記の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有することを特徴とする、ペプチド遊離剤を提供する。
本発明の第5の態様は、上記のペプチド遊離剤を調製するための試薬キットである。よって、本発明は、ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体からペプチドを遊離させるペプチド遊離剤を調製するための試薬キットであって、上記の式(I)又は(II)で表される化合物と、この化合物を溶解するための溶媒とを含み、化合物と溶媒とが混合されたときに、化合物の濃度が80 mM以上1000 mM以下になるようにペプチド遊離剤が調製されることを特徴とする、試薬キットを提供する。
本発明によれば、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させることができる。また、本発明によれば、該自己会合体から遊離させたペプチドを回収できる。
CAPSなどの種々の添加剤で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 異なる濃度の添加剤(CAPS)で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 異なるpHの添加剤(CAPS)で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 異なる濃度の添加剤(CHES)で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 異なる濃度の添加剤(CAPSO)で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 異なる濃度の添加剤(CABS)で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 ビシンなどの種々の添加剤で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 N-シクロヘキシルスルファミン酸などの種々の添加剤で不溶性画分をホモジナイズして得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 種々の添加剤と接触させた状態で2日間静置した不溶性画分の写真である。 種々の添加剤と不溶性画分とを接触させた状態で2日間静置して得たサンプルを電気泳動したゲルを蛍光イメージング及び銀染色した写真である。 本実施形態のペプチド遊離剤の一例を示した概略図である。 本実施形態の試薬キットの一例を示した概略図である。
[1.ペプチドの遊離方法]
本実施形態に係るペプチドの遊離方法(以下、単に「遊離方法」ともいう)は、アルブミンと結合して複合体を形成しているペプチドのうち、加熱処理によっても遊離せずに、該加熱処理によって生じたアルブミンの自己会合体に取り込まれたままのペプチドを遊離させる。よって、本実施形態の遊離方法は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させる方法である。なお、本実施形態の遊離方法において行われる各種の工程及び作業は、すべてインビトロで行われる。
本実施形態において、アルブミンの自己会合体は、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理することにより形成される、変性アルブミンの凝集物である。ここで、「アルブミン」とは、生物学の分野において一般に知られている用語と同じ意味を有し、動物及び植物の細胞や体液中に含まれる、一群の可溶性タンパク質の総称である。本実施形態では、上記の「ペプチドとアルブミンとの複合体」を構成するアルブミンは、未変性のアルブミンであれば特に限定されない。動物起源のアルブミンとして、例えば、血清アルブミン、オボアルブミン、ラクトアルブミンなどが挙げられる。植物起源のアルブミンとして、例えば、ロイコシン、レグメリン、リシンなどが挙げられる。
液体試料は、ペプチドとアルブミンとの複合体を含むかぎり特に限定されない。なお、未変性のアルブミンは元来、ペプチドと結合して複合体を形成する傾向にあることが当該技術において知られている。したがって、液体試料中にいずれかのペプチドと未変性のアルブミンとが存在する場合、該液体試料は、本実施形態の遊離方法を適用する対象となりえる。
液体試料は、生体から採取された生体試料であってもよい。そのような生体試料は、アルブミンを含む体液であればよく、例えば、血液、血漿及び血清が挙げられる。好ましい実施形態において、液体試料は、血液、血漿又は血清である。また、適切な溶媒で希釈した血液、血漿又は血清を、液体試料として用いてもよい。そのような溶媒としては、水性溶媒が好ましく、例えば、水、生理食塩水、緩衝液などが挙げられる。
液体試料に存在するペプチドは特に限定されず、天然起源のペプチドであってもよいし、合成ペプチドであってもよい。ペプチドの長さとしては、好ましくは8〜100アミノ酸、より好ましくは8〜60アミノ酸、さらに好ましくは8〜40アミノ酸である。ペプチドの等電点は特に限定されず、ペプチドは塩基性ペプチド、酸性ペプチド及び中性ペプチドのいずれであってもよい。
本発明者らは、加熱処理により形成されたアルブミンの自己会合体には、システイン残基(以下、「Cys」ともいう)を含むペプチド、及び酸性ペプチドが取り込まれやすいことを見出している。よって、本実施形態の遊離方法は、Cysを含むペプチド、及び酸性ペプチドの遊離に適している。
液体試料が、生体から採取された生体試料である場合、アルブミンの自己会合体から遊離させるペプチドは、該生体試料中に存在するペプチドであってもよい。そのようなペプチドとしては、例えば、血液、血漿及び血清などの生体から採取された生体試料に含まれる生体由来のペプチドが挙げられる。
生体から採取された生体試料中に存在するペプチドは、血液中に存在するバイオマーカーが好ましい。そのようなペプチドとしては、例えば、オキシトシン、C-ペプチド、インスリン、ガストリン、グルカゴン、グレリン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ブラジキニン、α−エンドルフィン、C3fやC4 aなどの補体フラグメント、ITIH4フラグメント、βアミロイドペプチド(Aβ)、キニノーゲン、フィブリノーゲン、フィブリノペプチド、ダイノルフィン、カルシトニン、プロラクチン、血液凝固第XIII因子(Factor XIII)などが挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、本実施形態では、アルブミンの自己会合体から遊離させるペプチドは、これまでに同定されていない新規なアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。
上述のように、アルブミンの自己会合体は、上記のペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理することにより形成できる。加熱処理では、通常、140℃以上260℃以下の温度で5分以上19時間以下の間、液体試料を加熱すればよい。加熱温度が140℃以上155℃未満である場合、加熱時間は少なくとも90分が好ましく、少なくとも120分が特に好ましい。また、加熱温度が155℃以上170℃未満である場合、加熱時間は少なくとも20分であることが好ましく、加熱温度が170℃以上である場合、加熱時間は少なくとも5分であることが好ましい。
加熱処理の方法は、液体試料を上記の温度で加熱できる方法であれば特に限定されず、当該技術において公知の方法から選択される。そのような方法としては、例えば、外部からの熱伝導による加熱、マイクロ波による加熱などが挙げられる。加熱処理に用いる装置は、液体試料の温度を調節しながら加熱できる装置であれば特に限定されないが、例えば、水熱反応器、マイクロ波照射装置などが挙げられる。
ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理すると、遊離したペプチドを含む上清と、アルブミンの自己会合体を含む不溶性画分とが生じる。本実施形態では、加熱処理により生じた上清を回収して不溶性画分を容器内に残すか、又は不溶性画分を回収して別の容器に移すことにより、アルブミンの自己会合体を、上清から分離して取得することが好ましい。
本実施形態の遊離方法では、アルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を所定の濃度で含む溶液とを接触させることにより、該アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させる。
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
Rは−H又は−OHである。)
又は
式(I)で表される化合物としては、例えば、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸(CABS)及びN-シクロヘキシルスルファミン酸が挙げられる。以下に、これらの化合物の構造式を示す。
式(II)で表される化合物は、N, N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシンであり、当該技術においては「ビシン」とも呼ばれる。これらの化合物は、当該技術において公知であり、一般に入手可能である。
本実施形態では、上記の化合物の中から1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物の中でも、アルブミンの自己会合体からペプチドを遊離させる効果及び遊離したペプチドの純度の観点から、CAPS及びCHESが好ましい。
溶液中の式(I)又は(II)で表される化合物の濃度の下限は、通常80 mMであり、好ましくは100 mM、より好ましくは500 mMである。該濃度の上限は、通常1000 mMであり、好ましくは800 mMである。濃度が1000 mM以下であれば、化合物の飽和溶液を用いてもよい。なお、CAPS、CHES、CAPSO及びCABSについては、1000 mMより高い濃度の溶液を調製することは困難であるので、1000 mMはこれらの化合物が飽和する濃度に相当しうる。よって、通常は、80 mM以上1000 mM以下の範囲から濃度を決定すればよい。2種以上の化合物を組み合わせて用いる場合、溶液における各化合物の濃度の合計が上記の範囲内であればよい。
本実施形態では、上記の化合物を含む溶液は、該化合物を、上記の濃度となるように適切な溶媒に溶解することにより得ることができる。そのような溶媒は、上記の化合物を溶解できるかぎり特に限定されないが、好ましくは水性溶媒であり、より好ましくは水、生理食塩水又はリン酸緩衝液である。あるいは、上記の化合物を含む溶液は、加熱処理する前の液体試料、又は加熱処理後の液体試料に生じた上清に、該化合物を上記の濃度となるように溶解することによっても得ることができる。
上記化合物の溶液のpHは、特に限定されないが、好ましくはアルカリ性のpHである。例えば、pH 7.7以上11.1以下、より好ましくはpH 8.4以上10.4以下である。溶液のpHは、NaOHなどのアルカリ又はHClなどの酸を添加して調整してもよい。
アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドがCysを含む場合、該ペプチドは、Cysと亜鉛イオンとの間でキレート結合している場合がありえる。よって、上記の化合物の溶液には、必要に応じて、塩化亜鉛(ZnCl2)などの亜鉛イオンを生じる塩を添加してもよい。また、亜鉛イオン以外に、上記のキレート結合を代替可能な金属イオンを生じる金属塩を添加してもよい。そのような金属イオンは、例えば、銅イオン、カドミウムイオン、鉛イオン、銀イオン、水銀イオン、ビスマスイオンなどが挙げられる。また、上記の化合物の溶液には、ジスルフィド結合を還元可能な還元剤を添加してもよい。そのような還元剤としては、ジチオスレイトール(DTT)などが挙げられる。
上記の化合物の溶液とアルブミンの自己会合体との接触は、適切な容器内でアルブミンの自己会合体に該溶液を添加することにより行うことができる。このとき、両者を接触させた状態で静置してもよいし、撹拌してもよい。撹拌には、ホモジナイズ、超音波破砕、吸引撹拌などが例示される。接触時間は特に限定されないが、静置する場合は1時間以上72時間以下であればよく、撹拌する場合は1分以上10分以下であればよい。
上記の化合物の溶液とアルブミンの自己会合体とを接触させる際の温度条件は、特に限定されない。溶液の温度は、アルブミンの自己会合体から遊離したペプチドが検出できる程度の温度であればよく、例えば、0℃以上250℃以下、好ましくは10℃以上100℃以下、より好ましくは15℃以上65℃以下である。また、混合時の周囲温度は、通常15℃以上37℃以下、好ましくは20℃以上28℃以下である。
上記化合物の溶液の量は、特に限定されないが、例えば、アルブミンの自己会合体の体積の等倍以上10倍以下の量であればよい。
本実施形態では、上記化合物の溶液とアルブミンの自己会合体とを混合することにより、該自己会合体に取り込まれていたペプチドが溶液中に遊離する。これらのペプチドが溶液中に遊離していることは、当該技術において公知の方法で解析することにより確認できる。そのような方法としては、例えば、電気泳動法、質量分析法などが挙げられる。
[2.ペプチドの回収方法]
本実施形態の遊離方法では、遊離させたペプチドを回収する工程をさらに含んでもよい。すなわち、本発明の範囲には、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収する方法も含まれる(以下、単に「回収方法」ともいう)。なお、本実施形態の回収方法において行われる各種の工程及び作業は、すべてインビトロで行われる。
また、本発明の範囲には、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理してアルブミンの自己会合体を形成させることにより、該複合体から一部のペプチドを遊離させ、該複合体から遊離したペプチドを含む上清を回収した後、加熱処理によっても遊離せずに自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させ、自己会合体から遊離したペプチドを含む上清を回収する方法も含まれる。たとえば、加熱処理によってはペプチドとアルブミンとの複合体から十分な量のペプチドが回収できなかった場合に、加熱処理によって形成されたアルブミンの自己会合体に上記所定の溶液を接触させて、自己会合体から遊離したペプチドを含む上清を回収してもよい。ペプチドとアルブミンとの複合体から回収したペプチドに対しても、自己会合体から回収したペプチドに対しても、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)などの公知の手法を用いて分析を行い、回収したペプチドの中から特定のペプチドを検出してもよい。なお、ペプチドとアルブミンとの複合体から遊離した一部のペプチドと同じ種類のペプチドが自己会合体から遊離する場合もあれば、異なる種類のペプチドが自己会合体から遊離する場合もある。
本実施形態の回収方法では、まず、アルブミンの自己会合体と、上記の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有する溶液とを接触させて、前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを前記溶液中に遊離させる。
本実施形態の回収方法では、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料、アルブミンの自己会合体の形成、上記の化合物、及びアルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドの遊離などの詳細については、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。
本実施形態の回収方法では、溶液中に遊離したペプチドを回収する。回収の手段は、特に限定されない。例えば、アルブミンの自己会合体は、上記の化合物の溶液と接触した後も不溶性画分として残存するので、この不溶性画分と溶液とを分離して、遊離したペプチドを含む溶液のみを回収してもよい。不溶性画分と溶液との分離は、遠心分離や濾過などの当該技術において公知の方法で行うことができる。また、当該技術において公知のペプチドの精製方法により、遊離したペプチドを含む溶液から該ペプチドを精製してもよい。
[3.ペプチド遊離剤]
本発明の範囲には、上記のペプチドの遊離方法及び回収方法に用いられるペプチド遊離剤も含まれる(以下、「遊離剤」ともいう)。すなわち、本実施形態の遊離剤は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるための遊離剤である。
本実施形態の遊離剤は、上記の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有することを特徴とする。該化合物の詳細については、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。ペプチド遊離剤における化合物の濃度の下限としては、通常80 mMであり、好ましくは100 mM、より好ましくは500 mMである。該濃度の上限としては、通常1000 mM、好ましくは800 mMである。通常は、80 mM以上1000 mM以下の範囲から濃度を決定すればよい。2種以上の化合物を含む場合、遊離剤における各化合物の濃度の合計が、上記の範囲内であればよい。
本実施形態では、遊離剤は、液体の形態にあることが好ましい。この場合、遊離剤は、上記の化合物を適切な溶媒に、上記の濃度となるように溶解して得ることができる。そのような溶媒としては、水性溶媒が好ましく、水、生理食塩水及びリン酸緩衝液が特に好ましい。
あるいは、遊離剤は、粉末又は結晶などの固体の形態にある上記の化合物と、該化合物を溶解するための適切な溶媒とを含む試薬キットを用いて調製することもできる。この場合、固体の形態にある化合物の量及び溶媒の量は、該化合物を溶媒に溶解したときの濃度が上記の範囲内となる量であればよい。
遊離剤は、ZnCl2などの亜鉛イオンを生じる塩、又はペプチド中のCysと亜鉛イオンとの間のキレート結合を代替可能な金属イオンを生じる金属塩をさらに含んでいてもよい。そのような金属イオンについては、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。また、遊離剤は、ジスルフィド結合を還元可能な還元剤(例えばDTTなど)をさらに含んでいてもよい。
本実施形態の遊離剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させる場合、遊離剤と該アルブミンの自己会合体とを接触させればよい。この接触についての詳細は、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。
図10に、本実施形態の遊離剤の外観の一例を示す。図中、11は、溶液の形態にある遊離剤を収容した容器を示す。本実施形態の遊離剤を収容した容器は、箱に収容されてユーザに提供されてもよい。この箱には、遊離剤の使用方法などを記載した添付文書、アルブミンの自己会合体をホモジナイズするためのマイクロペッスルなどが同梱されていてもよい。
本発明の範囲には、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるペプチド遊離剤の使用であって、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有することを特徴とする、ペプチド遊離剤の使用も含まれる。
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
Rは−H又は−OHである。)
又は
[4.試薬キット]
本発明の範囲には、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるペプチド遊離剤を調製するための試薬キットも含まれる(以下、「試薬キット」ともいう)。
本実施形態の試薬キットは、上記の式(I)又は(II)で表される化合物と、該化合物を溶解するための溶媒とを含む。該化合物は、粉末又は結晶などの固体の形態にあることが好ましい。なお、式(I)又は(II)で表される化合物及び該化合物を溶解するための溶媒の詳細については、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。
本実施形態の試薬キットは、上記の化合物と溶媒とが混合されたときに、該化合物の濃度が80 mM以上1000 mM以下になるようにペプチド遊離剤が調製されることを特徴とする。調製されるペプチド遊離剤における化合物の濃度の下限としては、通常80 mMであり、好ましくは100 mM、より好ましくは500 mMである。該濃度の上限としては、通常1000 mMであり、好ましくは800 mMである。通常は、80 mM以上1000 mM以下の範囲から濃度を決定すればよい。2種以上の化合物を含む場合、遊離剤における各化合物の濃度の合計が、上記の範囲内であればよい。
固体の形態にある化合物の量及び溶媒の量は、いずれも特に限定されない。固体の形態にある化合物及び溶媒は、該化合物を溶媒に溶解したときの濃度が上記の範囲内となる量で試薬キットに含まれていればよい。
本実施形態の試薬キットにおいて、化合物と溶媒とは、それぞれ別の容器に収容されているか又は個別に包装されていることが好ましい。図11に、本実施形態の試薬キットの外観の一例を示す。図中、22は、式(I)又は(II)で表される化合物を収容した容器を示し、33は、該化合物を溶解するための溶媒を収容した容器を示す。これらの容器は、箱に収容されてユーザに提供されてもよい。この箱には、遊離剤の調製方法及び使用方法などを記載した添付文書、アルブミンの自己会合体をホモジナイズするためのマイクロペッスルなどが同梱されていてもよい。
試薬キットは、ZnCl2などの亜鉛イオンを生じる塩、又はペプチド中のCysと亜鉛イオンとの間のキレート結合を代替可能な金属イオンを生じる金属塩をさらに含んでいてもよい。そのような金属イオンについては、上記の本実施形態の遊離方法について述べたことと同様である。上記の金属塩は、式(I)又は(II)で表される化合物の収容された容器に含まれていてもよいし、溶媒が収容された容器に含まれてもよいし。あるいは、上記の金属塩は、該化合物及び溶媒とは別の容器に収容されるか又は個別に包装されていてもよい。
試薬キットは、ジスルフィド結合を還元可能な還元剤(例えばDTTなど)をさらに含んでいてもよい。そのような還元剤は、式(I)又は(II)で表される化合物の収容された容器に含まれていてもよいし、溶媒が収容された容器に含まれてもよいし。あるいは、還元剤は、該化合物及び溶媒とは別の容器に収容されるか又は個別に包装されていてもよい。
本発明の範囲には、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるペプチド遊離剤を調製するための試薬キットの使用であって、以下の式(I)又は(II)で表される化合物と、上記化合物を溶解するための溶媒とを含み、上記化合物と上記溶媒とが混合されたときに、上記化合物の濃度が80 mM以上1000 mM以下になるように上記ペプチド遊離剤が調製されることを特徴とする、試薬キットの使用も含まれる。
(式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
Rは−H又は−OHである。)
又は
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:アルブミンの自己会合体からのペプチドの遊離及び回収
実施例1では、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるための遊離剤として用いることができる化合物を探索した。具体的には、種々の化合物を含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。アルブミンの自己会合体に取り込まれやすいペプチドとして、2種類の酸性ペプチドを用いた。
(1.1)材料
・添加剤
添加剤として、100 mM CAPS水溶液(pH 11.0)、超純水(18 MΩ・cm)(以下、「DW」とも呼ぶ)、及びトリス-リン酸混合緩衝液(以下、「TBPB」とも呼ぶ)を用いた。なお、CAPS水溶液は、CAPS(製品No.343-00484:同仁化学研究所製)を最終濃度100 mMとなるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを11.0に調整して得た。DWは、ELGA PURELAB ultra(ORGANO社製)により調製した。TBPBの組成は、Tris・HCl(pH 7.0、最終濃度100 mM)、リン酸ナトリウム(最終濃度0.4 mM)及びNaCl(最終濃度6mM)である。また、CAPS水溶液、DW及びTBPBのそれぞれに、ジチオスレイトール(DTT)を最終濃度0.1 mMとなるように添加して、DTT含有添加剤も調製した。
・ペプチド
ペプチドとして、酸性ペプチドのオキシトシン及びC-ペプチドをテトラメチルローダミン(TMR)で蛍光標識したTMR-オキシトシン(pI=5.51、Cys残基2個:株式会社スクラム)、及びTMR-C-ペプチド(pI=3.45、Cys残基なし:株式会社バイオロジカ)を用いた。なお、オキシトシン及びC-ペプチドのアミノ酸配列は、以下のとおりである。
・オキシトシン:CYIQNCPLG (配列番号1)
・C-ペプチド:EAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQ (配列番号2)
・液体試料
健常者由来の全血(ProMedDx社から購入)0.3 mlを、CAPS水溶液(pH 11.0)で5倍に希釈した。得られた希釈液に、TMR-オキシトシン又はTMR-C-ペプチドを最終濃度が2μMとなるように添加して、ペプチドと血中タンパク質(アルブミン)との複合体を含む液体試料を調製した。
(1.2)アルブミンの自己会合体の生成
上記のペプチドと血中タンパク質との複合体を含む液体試料に、ZnCl2(ナカライテスク株式会社)を最終濃度が100 mMとなるように添加した。得られた混合物の一部を取り、対照サンプルとして保存した。残りの混合物を10 mL容のガラス試験管に移し、次にテフロン(登録商標)製の試験管用耐圧密封ホルダー(マイルストーンゼネラル株式会社)にて封じてから、マイクロ波照射装置(MultiSYNTH型、マイルストーンゼネラル株式会社)を用いて、室温(25℃)から100℃まで30秒間で昇温し、その後100℃から160℃まで1分間で昇温することにより加熱処理を行った。加熱処理後の冷却は、前記のマイクロ波照射装置に接続されたエアコンプレッサー(YC-3R型、株式会社八重崎空圧)から圧縮空気を前記の耐圧密封ホルダーに吹き付けることで行った。加熱処理後の液体試料中には、アルブミンの自己会合体を含む不溶性画分(以下、単に「不溶性画分」ともいう)が生じた。
(1.3)アルブミンの自己会合体からのペプチドの遊離及び回収
加熱処理後の液体試料から上清を回収し、対照サンプルとして保存した。不溶性画分を、スパーテルを用いて2mL容のマイクロチューブ(eppendorf社製)に移した。マイクロチューブに100 mM CAPS水溶液、超純水又はTBPBを添加し、マイクロペッスルを用いて不溶性画分を1分間ホモジナイズした。ホモジナイズした不溶性画分を15,000 rpmで5分間遠心して、上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(1.4)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色によって分析した。具体的な操作は次のとおりである。まず、60%(w/w)グリセロール溶液とサンプルとを混合し、ニューページ4-12%ビス-トリスゲル及びニューページMES SDSランニングバッファー(いずれもライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて200V(定電圧)で30分間、電気泳動を行った。泳動槽にはエクセルシュアロックミニセル(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用い、電源装置にはパワーステーション1000XP(アトー株式会社)を用いた。電気泳動後のゲルを蛍光イメージャ(Pharos FX Molecular Imager型、バイオラッドラボラトリーズ株式会社)により分析して、TMR-オキシトシン及びTMR-C-ペプチドを検出した。次に、蛍光イメージャから取り出したゲルを、Ez Stain silver(製品No.AE-1360、アトー株式会社製)を用いて銀染色し、サンプルに含まれる夾雑タンパクの検出を行った。結果を図1に示す。
(1.5)結果
図1に示されるゲルの写真において、各レーンにアプライしたサンプルは、以下のとおりである。「M」は、サイズマーカーをアプライしたレーンである。
レーン1:加熱処理していない、TMR-オキシトシンとアルブミンとの複合体を含む液体試料を遠心分離して得た上清。
レーン2:TMR-オキシトシンとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理して得た上清。
レーン3:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、CAPS水溶液とを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン4:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有CAPS水溶液とを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン5:加熱処理していない、TMR-C-ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を遠心分離して得た上清。
レーン6:TMR-C-ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理して得た上清。
レーン7:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、CAPS水溶液とを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン8:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有CAPS水溶液とを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン9:TMR-オキシトシン標品。
レーン10:TMR-C-ペプチド標品。
レーン11:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DWとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン12:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有DWとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン13:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、TBPBとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン14:TMR-オキシトシンを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有TBPBとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン15:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DWとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン16:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有DWとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン17:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、TBPBとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン18:TMR-C-ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、DTT含有TBPBとを接触させ、ホモジナイズして得た上清。
レーン19:TMR-オキシトシン標品とTMR-C-ペプチド標品の混合物。
図1中、蛍光イメージングしたゲルのレーン9及び10の「*」が付されたバンドは、それぞれTMR-オキシトシン及びTMR-C-ペプチドのバンドを示す。また、蛍光イメージングしたゲルのレーン19の「*」が付された2つバンドは、TMR-オキシトシン及びTMR-C-ペプチドのバンドを示す。図1において、蛍光イメージングしたゲルの写真は、TMRで標識したペプチドの存在及びその量を示すので、得られたペプチドの収率を評価できる。また、銀染色したゲルの写真は、サンプル中の夾雑物の存在及びその量を示すので、得られたペプチドの純度を評価できる。
図1を参照して、蛍光イメージングしたゲルのレーン1では、TMR-オキシトシンは、ほとんど確認できなかった。よって、加熱処理していない液体試料中には、TMR-オキシトシンは遊離していないことがわかる。レーン2では、蛍光イメージングにより、少量のTMR-オキシトシンが確認できた。よって、加熱処理により、アルブミンなど血中タンパク質に捕捉されたTMR-オキシトシンが、わずかに上清に遊離されたことがわかる。レーン3では、蛍光イメージングによりTMR-オキシトシンが確認された。よって、液体試料の加熱処理により生じた不溶性画分をCAPS水溶液と接触させてホモジナイズすることにより、アルブミンの自己会合体に取り込まれたTMR-オキシトシンがCAPS水溶液中に遊離されたことが示された。すなわち、CAPS水溶液は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるための遊離剤として使用できることがわかった。なお、レーン3では、TMR-オキシトシンよりも高分子量のバンドも確認されたが、これはオキシトシンペプチド中のCys残基に起因するTMR-オキシトシンの多量体のバンドであると考えられる。一方、銀染色したゲルのレーン3では、夾雑物は確認されなかったので、TMR-オキシトシンが選択的に遊離されたことがわかる。また、レーン4でも、レーン3と同様の結果が示されたことから、遊離剤としてのCAPS水溶液に還元剤のDTTを添加してもよいことがわかる。
図1を参照して、蛍光イメージングしたゲルのレーン5及び6では、TMR-C-ペプチドは、ほとんど確認できなかった。よって、加熱処理していない液体試料中には、TMR-C-ペプチドは遊離しておらず、また、該液体試料を加熱処理しても、アルブミンなど血中タンパク質に捕捉されたTMR-C-ペプチドはほとんど遊離しないことがわかる。レーン7では、蛍光イメージングによりTMR-C-ペプチドが確認された。よって、液体試料の加熱処理により生じた不溶性画分をCAPS水溶液と接触させてホモジナイズすることにより、アルブミンの自己会合体に取り込まれたTMR-C-ペプチドがCAPS水溶液中に遊離されたことが示された。一方、銀染色したゲルのレーン7では、夾雑物は確認されなかったので、TMR-C-ペプチドが選択的に遊離されたことがわかる。また、DTT含有CAPS水溶液で処理したサンプルをアプライしたレーン8でも、レーン7と同様の結果が示された。
図1を参照して、蛍光イメージングしたゲルのレーン11〜14に示されるように、不溶性画分をDW又はTBPBと接触させてホモジナイズしても、アルブミンの自己会合体に取り込まれたTMR-オキシトシンは、わずかにしか抽出できなかった。また、レーン15〜18に示されるように、不溶性画分をDW又はTBPBと接触させてホモジナイズしても、アルブミンの自己会合体に取り込まれたTMR-C-ペプチドは抽出できなかった。よって、DW及びTBPBは、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドの遊離には適していないことが示された。
実施例2:遊離剤(CAPS)の濃度
実施例2では、CAPSを種々の濃度で含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討して、遊離剤として適切なCAPS濃度の範囲を決定した。
(2.1)材料
・添加剤
添加剤として、CAPS濃度が0.1、1、10、20、50、80、100、500及び1000 mMのCAPS水溶液(pH 11.0)を用いた。これらのCAPS水溶液は、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(製品No.343-00484:同仁化学研究所製)を上記の濃度となるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを11.0に調整して得た。また、これらのCAPS水溶液に、DTTを最終濃度0.1 mMとなるように添加して、DTT含有CAPS水溶液(pH 11.0)も調製した。さらに、100 mM CAPS水溶液(pH 5.7)を調製した。
・ペプチド
ペプチドとして、合成ペプチドSA21をTMRで標識したTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。SA21は自身のアミノ酸配列内にCys残基を2つ有する酸性ペプチド(pI=4.11)である。なお、SA21は、アルブミンと最も高い親和性で結合して、強固で安定な複合体を形成することが知られている(特許文献1参照)。SA21のアミノ酸配列は、DDEWLCGWRPLCIDEILR (配列番号3)である。
・液体試料
健常者由来の全血(ProMedDx社から購入)0.3 mlを、CAPS水溶液(pH 11.0)で5倍に希釈した。得られた希釈液に、TMR-SA21を最終濃度が2μMとなるように添加して、ペプチドと血中タンパク質(アルブミン)との複合体を含む液体試料を調製した。
(2.2)アルブミンの自己会合体の生成
上記のペプチドと血中タンパク質との複合体を含む液体試料に、ZnCl2(ナカライテスク株式会社)を最終濃度が100 mMとなるように添加した。得られた混合物を10 mL容のガラス試験管に移し、実施例1と同様にして加熱処理及び冷却処理を行った。加熱処理後の液体試料中には、アルブミンの自己会合体である不溶性画分が生じた。
(2.3)アルブミンの自己会合体からのペプチドの遊離及び回収
加熱処理後の液体試料から不溶性画分を、スパーテルを用いて2mL容のマイクロチューブ(eppendorf社製)に移した。マイクロチューブに上記のCAPS水溶液を添加し、マイクロペッスルを用いて不溶性画分を1分間ホモジナイズした。ホモジナイズした不溶性画分を15,000 rpmで5分間遠心して、上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(2.4)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図2及び図3に示す。図2中、蛍光イメージングしたゲルのレーン11及び20の「*」が付されたバンドはTMR-SA21の単量体のバンドを示し、「**」が付されたバンドは、TMR-SA21の多量体のバンドを示す。
蛍光イメージングにおいて、ゲル中の各レーン及び各バンドについて、蛍光イメージャを用いてTMR-SA21を定量した。この蛍光イメージングの結果に基づいて、画像処理ソフトウェアImageJ 1.46r(アメリカ国立衛生研究所製)を用いてペプチド又はタンパク質残渣のバンドの光学的濃淡密度(以下、「デンシトメトリ値」という)を求め、収率の相対値(Y)を下記の式1に従って算出した。このとき、W(幅)=1.0、及びH(高さ)=2.6のスリット幅で、デンシトメトリ値を求めた。
収率の相対値(Y)=[(S3/W3)-(S1/W1)]/[(S2/W2))-(S1/W1)]・・・式1
(式中、S1はバックグラウンドのデンシトメトリ値、
S2はTMR-SA21標品のデンシトメトリ値、
S3は目的レーンのデンシトメトリ値、
W1はバックグラウンドのデンシトメトリ定量時のスリット幅、
W2はTMR-SA21標品のデンシトメトリ定量時のスリット幅、
W3は目的レーンのデンシトメトリ定量時のスリット幅である。)
次に、銀染色したゲルの画像について、画像処理ソフトウェアImageJ 1.46r(NIH)を用いてペプチドあるいはタンパク質残渣のデンシトメトリ値を求め、不純物の相対量の相対値(D)を下記の式2に従って算出した。このとき、収率の算出と同様に、W(幅)=1.0、及びH(高さ)=2.6のスリット幅でデンシトグラムを作成した。得られたデンシトグラムにおける、サイズマーカー(Sharp Pre-stained Protein Standard:Novex社製)の10 kDaのピークから60 kDaのピークの間のデンシトメトリ値を求めた。
不純物の相対量の相対値(D)=[(S3/W3)-(S1/W1)]/[(S2/W2))-(S1/W1)]・・・式2
(式中、S1はバックグラウンドのデンシトメトリ値、
S2はマーカーのデンシトメトリ値、
S3は目的レーンのデンシトメトリ値、
W1はバックグラウンドのデンシトメトリ定量時のスリット幅、
W2はマーカーのデンシトメトリ定量時のスリットの幅、
W3は目的レーンのデンシトメトリ定量時のスリット幅である。)
算出した収率の相対値及び不純物の相対量の相対値より、ペプチドの回収効率を、下記の式3に従って計算した。
回収効率=収率の相対値(Y)/不純物の相対量の相対値(D)・・・式3
算出した回収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)及び回収効率の値を、表1に示す。
(2.5)結果
図2及び表1に示されるように、CAPS濃度が0.1 mM〜50 mMの範囲では、SA21ペプチドは不溶性画分から遊離されなかった。また、図2に示されるように、CAPS濃度が0.1 mM〜50 mMである場合、添加剤に還元剤のDTTをさらに加えても、SA21ペプチドは不溶性画分から遊離されなかった。これに対し、CAPS濃度が80 mM〜1000 mMの範囲では、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離できた。一方、夾雑物はほとんど遊離されなかったので、回収されたSA21ペプチドの純度は高いと考えられる。よって、遊離剤として適切なCAPS濃度の範囲は、80 mM〜1000 mMであることが示された。また、図2に示されるように、CAPS濃度が80 mM〜1000 mMである場合、添加剤にDTTをさらに加えても、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。一方、図3に示されるように、CAPS水溶液のpHが5.7であるとき、CAPS濃度が100 mMであっても、不溶性画分からはSA21ペプチドはほとんど遊離させることができなかった。pHが中性よりも低い場合、ペプチドの回収効率が低下することが示唆された。
実施例3:CHESによるペプチドの遊離及び回収
CAPSに類似する構造を有するCHESを種々の濃度で含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。また、遊離剤として適切なCHES濃度の範囲を決定した。
(3.1)材料
・添加剤
添加剤として、CHES濃度が0.1、1、10、50、80、100、500及び1000 mMのCHES水溶液(pH 10.0)を用いた。これらのCHES水溶液は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(製品No.340-08331:同仁化学研究所製)を上記の濃度となるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを10.0に調整して得た。また、これらのCHES水溶液に、DTTを最終濃度0.1 mMとなるように添加して、DTT含有CHES水溶液(pH 10.0)も調製した。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(3.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。そして、添加剤として上記のCHES水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、不溶性画分をホモジナイズして上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(3.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図4に示す。図4中、蛍光イメージングしたゲルのレーン11及び18の「*」が付されたバンドはTMR-SA21の単量体のバンドを示し、「**」が付されたバンドは、TMR-SA21の多量体のバンドを示す。また、実施例2と同様にして、蛍光イメージング及び銀染色の結果から、収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)、及び回収効率を算出した。算出した値を、表2に示す。
(3.4)結果
図4及び表2に示されるように、CHES濃度が0.1 mM〜50 mMの範囲では、SA21ペプチドは不溶性画分から遊離されていないことがわかる。また、図4に示されるように、CHES濃度が0.1 mM〜50 mMである場合、添加剤に還元剤のDTTをさらに加えても、SA21ペプチドは不溶性画分から遊離されなかった。これに対し、CHES濃度が80 mM〜1000 mMの範囲では、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。よって、遊離剤として適切なCHES濃度の範囲は、80 mM〜1000 mMであることが示された。また、図4に示されるように、CHES濃度が80 mM〜1000 mMである場合、添加剤にDTTをさらに加えても、不溶性画分からSA21ペプチドを効率よく遊離及び回収できた。
実施例4:CAPSOによるペプチドの遊離及び回収
CAPSに類似する構造を有するCAPSOを種々の濃度で含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。また、遊離剤として適切なCAPSO濃度の範囲を決定した。
(4.1)材料
・添加剤
添加剤として、CAPSO濃度が50、80、100、500及び1000 mMのCAPSO水溶液(pH 10.2)を用いた。これらのCAPSO水溶液は、3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(製品No.C2278-100G、シグマアルドリッチ社製)を上記の濃度となるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを10.2に調整して得た。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(4.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。そして、添加剤として上記のCAPSO水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、不溶性画分をホモジナイズして上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(4.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図5に示す。図5中、蛍光イメージングしたゲルのレーン5の「*」が付されたバンドはTMR-SA21の単量体のバンドを示し、「**」が付されたバンドは、TMR-SA21の多量体のバンドを示す。また、実施例2と同様にして、蛍光イメージング及び銀染色の結果から、収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)、及び回収効率を算出した。算出した値を、表3に示す。
(4.4)結果
図5及び表3に示されるように、CAPSO濃度が50 mMの場合では、SA21ペプチドは不溶性画分からほとんど遊離されなかった。これに対し、CAPSO濃度が80 mM〜1000 mMの範囲では、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。よって、遊離剤として適切なCAPSO濃度の範囲は、80 mM〜1000 mMであることが示された。
実施例5:CABSによるペプチドの遊離及び回収
CAPSに類似する構造を有するCABSを種々の濃度で含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。また、遊離剤として適切なCABS濃度の範囲を決定した。
(5.1)材料
・添加剤
添加剤として、CABS濃度が10、80、100、500及び1000 mMのCABS水溶液(pH 11.5)を用いた。これらのCABS水溶液は、4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸(製品No.C5580-25G、シグマアルドリッチ社製)を上記の濃度となるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを11.5に調整して得た。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(5.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。そして、添加剤として上記のCABS水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、不溶性画分をホモジナイズして上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(5.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図6に示す。図6中、蛍光イメージングしたゲルのレーン7の「*」が付されたバンドはTMR-SA21のバンドを示す。なお、レーン1には、加熱処理していない液体試料を遠心分離して得た上清をアプライし、レーン2には、液体試料を加熱処理して得た上清をアプライした。実施例2と同様にして、蛍光イメージング及び銀染色の結果から、収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)、及び回収効率を算出した。算出した値を、表4に示す。
(5.4)結果
図6及び表4に示されるように、CABS濃度が10 mMの場合では、SA21ペプチドは不溶性画分から遊離されなかった。これに対し、CABS濃度が80 mM〜1000 mMの範囲では、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。よって、遊離剤として適切なCABS濃度の範囲は、80 mM〜1000 mMであることが示された。
実施例6:遊離剤の種類(1)
実施例6では、CAPSとは異なる構造を有する化合物を含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。
(6.1)材料
・添加剤
添加剤として、100 mM CHAPS水溶液(pH 7.6又は10.8)、DW(18 MΩ・cm)、TBPB(pH 7.0又は11.2)、100 mM ADA水溶液(pH 7.4又は10.5)、100 mM ビシン水溶液(pH 9.0又は10.3)及び5mM水酸化ナトリウム水溶液を用いた。また、対照として、100 mM CAPS水溶液(pH 11.0)及び100 mM CHES水溶液(pH 10.0)を用いた。なお、CHAPS水溶液は、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(製品No.C008、同仁化学研究所製)を最終濃度100 mMとなるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを7.6又は10.8に調整して得た。ADA水溶液は、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(製品No.349-08281、同仁化学研究所製)を最終濃度100 mMとなるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを7.4又は10.5に調整して得た。ビシン水溶液は、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(製品No.349-08301、同仁化学研究所製)を最終濃度100 mMとなるように水に溶解し、NaOHを用いてpHを9.0又は10.3に調整して得た。また、上記の各添加剤に、DTTを最終濃度0.1 mMとなるように添加して、DTT含有添加剤も調製した。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(6.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。そして、上記の添加剤を用いたこと以外は実施例2と同様にして、不溶性画分をホモジナイズして上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(6.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図7に示す。なお、図7は、100 mM CHAPS水溶液(pH 7.6)、DW、TBPB(pH 7.0)、100 mM ADA水溶液(pH 7.4)、100 mM ビシン水溶液(pH 9.0)、100 mM CAPS水溶液(pH 11.0)及び100 mM CHES水溶液(pH 10.0)を用いて処理したサンプルを泳動したゲルの写真である。図7中、蛍光イメージングしたゲルのレーン7及び16の「*」が付されたバンドはTMR-SA21の単量体のバンドを示し、「**」が付されたバンドは、TMR-SA21の多量体のバンドを示す。実施例2と同様にして、蛍光イメージング及び銀染色の結果から、収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)、及び回収効率を算出した。算出した値を、表5に示す。
(6.4)結果
図7及び表5より、添加剤としてCHAPS、TBPB及びDWを用いた場合、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離できなかった。また、水酸化ナトリウム水溶液、並びにpHを10以上に調製したCHAPS及びTBPBを用いてもSA21ペプチドを遊離できなかった。よって、不溶性画分からのペプチドの遊離には、pHではなく遊離剤の構造が重要であることが示唆された。添加剤としてADAを用いた場合、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離できたが、夾雑物も多量に遊離されていた。よって、ADA水溶液により遊離されたペプチドは、純度が低いと考えられる。一方、添加剤としてビシン水溶液を用いた場合、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。また、ビシン水溶液はpHが高いほうが、夾雑物の遊離が少なく、SA21ペプチドの回収効率がより向上していた。よって、100 mMビシン水溶液(pH 9.0又は10.3)は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるための遊離剤として使用できることがわかった。
実施例7:遊離剤の種類(2)
実施例7では、CAPSに類似する構造を有するN-シクロヘキシルスルファミン酸、及び、CAPSと同様にアミノ基及びスルホン酸基を有するタウリンを含む添加剤を用いて、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させて回収可能であるかを検討した。
(7.1)材料
・添加剤
添加剤として、100 mM N-シクロヘキシルスルファミン酸水溶液(pH 12.5)及び100 mMタウリン水溶液(pH 9.5)を用いた。また、対照として、100 mM CAPS水溶液(pH 11.0)及び100 mM ADA水溶液(pH 7.4)を用いた。なお、N-シクロヘキシルスルファミン酸水溶液は、N-シクロヘキシルスルファミン酸を最終濃度100 mMとなるように水に溶解して、NaOHでpHを12.5に調整して得た。タウリン水溶液は、2-アミノエタンスルファミン酸(製品No.A12403、Alfa Aesar社製)を最終濃度100 mMとなるように水に溶解して、NaOHでpHを9.5に調整して得た。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(7.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。そして、上記の添加剤を用いたこと以外は実施例2と同様にして、不溶性画分をホモジナイズして上清を得た。得られた上清をサンプルとして保存した。
(7.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図8に示す。図8中、蛍光イメージングしたゲルのレーン7の「*」が付されたバンドはTMR-SA21のバンドを示す。なお、レーン1には、加熱処理していない液体試料を遠心分離して得た上清をアプライし、レーン2には、液体試料を加熱処理して得た上清をアプライした。実施例2と同様にして、蛍光イメージング及び銀染色の結果から、収率の相対値(Y)、不純物の相対量の相対値(D)、及び回収効率を算出した。算出した値を、表6に示す。
(7.4)結果
図8及び表6より、添加剤としてタウリンを用いた場合、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離できなかった。一方、添加剤としてN-シクロヘキシルスルファミン酸を用いた場合、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離及び回収できた。よって、100 mM N-シクロヘキシルスルファミン酸水溶液(pH 12.5)は、アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させるための遊離剤として使用できることがわかった。
実施例8:物理的処理を伴わないペプチドの遊離
実施例8では、ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と遊離剤との接触においてホモジナイズを行わずに、該自己会合体からのペプチドの遊離及び回収を試みた。
(8.1)材料
・添加剤
添加剤として、100 mM CAPS水溶液(pH 11.0)、100 mM ADA水溶液(pH 7.4)、100 mM ビシン水溶液(pH 9.0)及びTBPB(pH 7.0)を用いた。
・ペプチド
実施例2と同じTMR-SA21(株式会社バイオロジカ)を用いた。
・液体試料
実施例2と同様にして、健常者由来の全血の希釈液にTMR-SA21を最終濃度2μMで含むように添加して、液体試料を調製した。
(8.2)アルブミンの自己会合体の生成とペプチドの遊離及び回収
実施例2と同様にして、液体試料の加熱処理及び冷却処理を行い、液体試料中にアルブミンの自己会合体である不溶性画分を生成させた。加熱処理後の液体試料から不溶性画分を、スパーテルを用いて2mL容のマイクロチューブ(eppendorf社製)に移した。マイクロチューブに上記の添加剤を加え、室温にて2日間静置した。2日後、不溶性画分を15,000 rpmで5分間遠心し、分離された沈殿物及び上清を撮影した。写真を図9Aに示す。そして、得られた上清をサンプルとして保存した。
(8.3)ペプチドの検出
上記の各サンプルを、実施例1と同様にして、SDS-PAGEとそれに続く蛍光イメージング及び銀染色を行った。電気泳動後のゲルの蛍光イメージング及び銀染色の結果を、図9Bに示す。図9B中、「FL」は蛍光イメージングを示し、「Ag」は銀染色を示す。また、「*」が付されたバンドはTMR-SA21のバンドを示す。
(8.4)結果
図9Aに示されるように、CAPS、ビシン又はTBPBと不溶性画分とを接触させた場合、得られた上清は清澄であった。一方、図9Aに示されるように、ADAを用いた場合、得られた上清はかなり濁っていた。図9Bを参照すると、CAPSを用いた場合、上清には、SA21が遊離していたが、夾雑物はほとんど見られなかった(レーン1及び2参照)。ADAを用いた場合、上清には、SA21が遊離していたが、夾雑物も多量に含まれていた(レーン3及び4参照)。ビシンを用いた場合は、上清には、SA21が遊離していたが、少量の夾雑物も認められた(レーン5及び6参照)。TBPBを用いた場合、上清には、SA21も夾雑物も見られなかった(レーン7及び8参照)。これらのことから、遊離剤としてCAPS又はビシンを用いる場合、ホモジナイズや撹拌などの物理的処理を行わなくても、アルブミンの自己会合体からペプチドを遊離できることが示された。一方、TBPBは、不溶性画分からSA21ペプチドを遊離させることができず、また、ADAは、不溶性画分を溶解していることが示された。
11:ペプチド遊離剤を収容した容器
22:式(I)又は(II)で表される化合物を収容した容器
33:式(I)又は(II)で表される化合物を溶解するための溶媒を収容した容器

Claims (15)

  1. ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有し、且つpHがアルカリ性である溶液とを接触させて、前記アルブミンの自己会合体から前記ペプチドを前記溶液中に遊離させる工程を含み、
    前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、システイン残基を含むペプチド、又は酸性ペプチドである、ペプチドの遊離方法。
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
    Rは−H又は−OHである。)
    又は
  2. ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有し、且つpHがアルカリ性である溶液とを接触させて、前記アルブミンの自己会合体から前記ペプチドを前記溶液中に遊離させる工程と、
    前記溶液中に遊離した前記ペプチドを回収する工程と
    を含み、
    前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、システイン残基を含むペプチド、又は酸性ペプチドである、ペプチドの回収方法。
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
    Rは−H又は−OHである。)
    又は
  3. 前記アルブミンの自己会合体が、ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理して形成されたものである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記式(I)で表される化合物が、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸(CABS)及びN-シクロヘキシルスルファミン酸から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記化合物が、CAPS又はCHESである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを遊離させる工程が、前記アルブミンの自己会合体と、前記化合物を含む溶液とを撹拌する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、生体から採取された生体試料中に存在するペプチドである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記生体から採取された生体試料が、血液、血漿又は血清である請求項に記載の方法。
  9. 前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、血液中に存在するバイオマーカーを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. ペプチドとアルブミンとの複合体を含む液体試料を加熱処理してアルブミンの不溶性自己会合体を形成させることにより、前記複合体からペプチドを溶液中に遊離させる工程と、
    前記複合体から遊離したペプチドを含む溶液を回収する工程と、
    前記加熱処理によって形成された前記アルブミンの自己会合体と、以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有し、且つpHがアルカリ性である溶液とを接触させて、前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドを溶液中に遊離させる工程と、
    前記アルブミンの自己会合体から遊離したペプチドを含む溶液を回収する工程と
    を含み、
    前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、システイン残基を含むペプチド、又は酸性ペプチドである、ペプチドの回収方法。
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
    Rは−H又は−OHである。)
    又は
  11. 前記式(I)又は(II)で表される化合物を含有する溶液のpHが、7.7以上11.1以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体から前記ペプチドを遊離させるペプチド遊離剤であって、前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、システイン残基を含むペプチド、又は酸性ペプチドであり、
    以下の式(I)又は(II)で表される化合物を80 mM以上1000 mM以下の濃度で含有し、且つpHがアルカリ性であることを特徴とする、ペプチド遊離剤。
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
    Rは−H又は−OHである。)
    又は
  13. pHが7.7以上11.1以下である請求項12に記載のペプチド遊離剤。
  14. ペプチドを取り込んだアルブミンの自己会合体から前記ペプチドを遊離させるペプチド遊離剤を調製するための試薬キットであって、
    以下の式(I)又は(II)で表される化合物と、
    前記化合物を溶解するための溶媒と
    を含み、
    前記化合物と前記溶媒とが混合されたときに、前記化合物の濃度が80 mM以上1000 mM以下であり、且つpHがアルカリ性になるように前記ペプチド遊離剤が調製されることを特徴とし、前記アルブミンの自己会合体に取り込まれたペプチドが、システイン残基を含むペプチド、又は酸性ペプチドである、試薬キット。
    (式中、mは0〜4の整数であり、nは0〜4の整数であり、ただし、m+n≦4であり;
    Rは−H又は−OHである。)
    又は
  15. 前記ペプチド遊離剤のpHが、7.7以上11.1以下である請求項14に記載の試薬キット。
JP2015169198A 2015-08-28 2015-08-28 ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット Expired - Fee Related JP6675167B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169198A JP6675167B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット
US15/245,348 US10053488B2 (en) 2015-08-28 2016-08-24 Method of liberating peptide and method of recovering peptide
EP16185662.0A EP3135683B1 (en) 2015-08-28 2016-08-25 Method of liberating peptide, method of recovering peptide, using a peptide liberating agent
AU2016219698A AU2016219698B2 (en) 2015-08-28 2016-08-26 Method of liberating peptide, method of recovering peptide, and peptide liberating agent
CN201610736725.6A CN106478790B (zh) 2015-08-28 2016-08-26 肽的游离方法及回收方法、以及肽游离剂及试剂盒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169198A JP6675167B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017043578A JP2017043578A (ja) 2017-03-02
JP6675167B2 true JP6675167B2 (ja) 2020-04-01

Family

ID=56842658

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015169198A Expired - Fee Related JP6675167B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット

Country Status (5)

Country Link
US (1) US10053488B2 (ja)
EP (1) EP3135683B1 (ja)
JP (1) JP6675167B2 (ja)
CN (1) CN106478790B (ja)
AU (1) AU2016219698B2 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6914137B2 (en) 1997-12-06 2005-07-05 Dna Research Innovations Limited Isolation of nucleic acids
CN100528840C (zh) * 2003-06-23 2009-08-19 贝卢斯健康(国际)有限公司 改进的候选药物及其制备方法
BRPI0411743A (pt) 2003-06-23 2006-08-08 Neurochem Int Ltd método e composições para tratar doenças relacionadas a amilóides
US7906630B2 (en) 2004-04-27 2011-03-15 PerkinElmer Heath Sciences, Inc. Method for identifying peptides in a biological sample
CN102667487B (zh) 2009-12-10 2014-10-29 希森美康株式会社 碱性肽的检测方法及碱性肽检测用试剂
JP5636331B2 (ja) 2011-04-28 2014-12-03 シスメックス株式会社 ペプチドの遊離方法および回収方法
CN102586257A (zh) * 2012-01-20 2012-07-18 吉林农业大学 梅花鹿igf-1多肽及其制备方法
JP6161548B2 (ja) 2014-01-23 2017-07-12 シスメックス株式会社 ペプチドの回収方法
JP6182465B2 (ja) 2014-01-29 2017-08-16 シスメックス株式会社 ペプチドの回収方法
JP6385185B2 (ja) 2014-07-29 2018-09-05 シスメックス株式会社 標的ペプチドの種類の判定装置、判定プログラムおよび判定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017043578A (ja) 2017-03-02
AU2016219698B2 (en) 2021-12-23
US20170057991A1 (en) 2017-03-02
US10053488B2 (en) 2018-08-21
AU2016219698A1 (en) 2017-03-16
EP3135683B1 (en) 2018-10-17
CN106478790B (zh) 2019-11-05
EP3135683A1 (en) 2017-03-01
CN106478790A (zh) 2017-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Crowell et al. Maximizing recovery of water-soluble proteins through acetone precipitation
JPH0660198B2 (ja) タンパク質の採取方法
US20130236984A1 (en) Method for concentration of low-molecular-weight proteins and peptides in body fluid sample
CN105315362B (zh) 用于制备具有降低的溶解氧的水平的人白蛋白的方法
JP6675167B2 (ja) ペプチドの遊離方法及び回収方法、並びにペプチド遊離剤及び試薬キット
Golinelli et al. Proteomic analysis of whey from bovine colostrum and mature milk
TW201400814A (zh) 抗體檢測用試劑之製造方法,及其用途
JP5632391B2 (ja) 塩基性ペプチドの検出方法および塩基性ペプチド検出用試薬
Elgin [11] Methods for isolation and characterization of nonhistone chromosomal proteins
CN104807691B (zh) 肽的回收方法、肽的检测方法及试剂
CN104807692B (zh) 肽的回收方法、肽的检测方法及试剂
WO2006121064A1 (ja) 肺サーファクタント蛋白質の安定化法
JP5717658B2 (ja) 副腎皮質刺激ホルモンの検出方法および吸着剤
KR101892481B1 (ko) 생체시료 내 특정단백질의 추출법
SE447339B (sv) Forfarande for separation av erytrocytstroma
US20030047455A1 (en) Separation of components from milk sources
Ganesh et al. Influence of Hydrogen Ion Concentrations on the Protein Mobility in Native-PAGE Buffers
Herbert 7 Some practices and pitfalls of sample preparation for isoelectric focusing in proteomics
HERBERT SOME PRACTICES AND PITFALLS
WO2015051431A1 (pt) Processo para a produção de somatotropina bovina recombinante ativa e produto obtido

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200310

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6675167

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees