JP2021522530A - タンパク質の定性分析 - Google Patents

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Abstract

本発明は、試料タンパク質の定性分析をするための方法であって、結合したプロテアーゼを含む水膨潤ゲルカラム層と、液体バッファー中の試料タンパク質とを提供する工程と、ゲル層と接触させることによって試料タンパク質を消化してポリペプチドにする工程と、ポリペプチドを質量分析(MS)に供する工程とを含む、方法に関する。当該方法は、有利には、試料タンパク質の往復流(2回以上の繰り返しを含む)を用いて行なわれ、約30℃未満の温度などの、約37℃未満の温度において行なわれてよい。本発明はまた、当該プロテアーゼにとって許容される条件を維持しながら、先行技術よりも高速でタンパク質についての質量に基づく分析を行なうための、自動式の方法、ならびにデバイスおよびキットをも含む。

Description

発明の分野
本発明は、タンパク質の特徴づけおよび分析、特に、プロテアーゼを使用して試料タンパク質を酵素切断して複合ペプチドにすることに関する。本発明に係る方法は、使用する試薬に許容される条件下においてタンパク質の同定を効率よく提供する。さらに、本発明はまた、本明細書中において記載される酵素切断に基づく、かつこれを利用する、自動式の方法、デバイス、およびキットをも含む。
背景
質量分析によるタンパク質の特徴づけ、同定、および分析は、タンパク質を酵素切断して複合ペプチドまたはポリペプチドにすることによって実施できる。こうしたポリペプチドは、イオン対クロマトグラフィーによって分離でき、質量分析機器中に移すことができる。コンピュータに基づくソフトウェアの使用により、ポリペプチド断片についての質量情報を使用して元のタンパク質を「再度組み立」て、このタンパク質を同定する。場合によってはタンパク質を直接、質量分析によって分析できるが、多くの場合にはタンパク質が大き過ぎるため、同定するためには、各成分に分解しなければならない。この目的のために、プロテアーゼがよく使用される。プロテアーゼは、タンパク質および(ポリ)ペプチドのペプチド結合を切断することによってタンパク質を分解する酵素である。
タンパク質の切断に使用される最も一般的なプロテアーゼの1つであるトリプシンは、多くの脊椎動物の消化器系において見つかるセリンプロテアーゼである。トリプシンは、ペプチド鎖を、アミノ酸リシンまたはアルギニンの主にカルボキシ側で切断する(ただし、これらの後にアミノ酸プロリンが続く場合を除く)。タンパク質を切断する他のプロテアーゼ酵素には、Glu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、Arg−C、およびキモトリプシンが含まれる。
酵素の重要な部分は、活性部位とよばれる。これは、特定のタンパク質分子と酵素とが相互作用して鎖切断反応が生じる部位である。酵素は、特定の配向性およびバッファー条件下のみにおいて作用して、結合および反応し得る。高温(時には60℃)では、プロテアーゼ酵素の消化能力が増大する。
典型的には、タンパク質とプロテアーゼ酵素とをバイアルまたはチャンバー中で一緒にし、この混合物を数時間または一晩加熱および混合することによって、タンパク質試料がプロテアーゼ酵素によって消化される。
試料中のタンパク質を酵素切断により高度に消化することが、特にポリペプチドなどの消化産物を分析および定量する場合に、望まれ得る、または必要であり得る。タンパク質の消化の程度を表現するもうひとつの方法として、高カバー度の消化が望ましいということが言える。カバー度は、消化されたタンパク質の質量分析において同定されるポリペプチドの種類の数を指す。質量分析では、典型的には、任意の特定の消化対象タンパク質のペプチドの40〜60%が同定されるが、70%、80%、および90%といったカバー度が望ましく、これは、比較的高い反応条件(40℃以上の反応温度を含む)を用いて達成できる。
トリプシンまたは他のプロテアーゼ酵素を用いて40℃未満の温度でタンパク質を消化するのは、困難である。消化を速めることが望まれる場合、消化には常に高温が用いられる。ひとつの理由として、哺乳動物の臓器から得られるトリプシンおよび他の酵素が、37℃で作用するように進化しているということがあり、これが、多くの場合、こうしたプロテアーゼを使用する際の至適温度であると考えられる。実際面では、当技術分野において熟練した作業者は、簡便に40℃を使用する。高温が有効であるひとつの要因は、タンパク質が比較的高温で変性する傾向を有し得ることである。これによって、タンパク質の構造または配列が露出して酵素の付着が促され得る。もうひとつの理由として、酵素の反応速度が一般的に温度に伴って増大するということがある。酵素の最低作用温度は40℃であることが多く、確かに、ほとんどの酵素消化は高温で行なわれる。注目すべきことに、酵素は、最高作用温度を有し得る。試料温度を上げると消化速度が増大するが、プロテアーゼもそれ自体タンパク質であるため、(過度に高い温度では)自己変性によってプロテアーゼの活性が停止し得る。
完全な消化は、酵素がそのタンパク質を切断し得るすべての部位で、そのタンパク質が切断されていることとして定義される。しかしながら、これは、慣例的な操作においてはあまり生じない。タンパク質内部に存在するタンパク質配列は、恐らくは立体障害により、困難な酵素に酵素が到達しにくいために、反応速度が遅い。配列部位のすべてが消化されない限り、タンパク質の質量分析カバー度が完全になることはない。タンパク質/酵素試料を振とうまたは撹拌することが必要である。こうした誘導を行なっても、多くの場合、消化は一部しか完了しない。
幸運にも、特定タンパク質を同定するための質量分析には、完全な消化は必要ではない。多くの場合、タンパク質は、質量分析において、ポリペプチド断片の40〜50%のカバー度で同定される。多くのタンパク質にはこのカバー度で十分であるが、慣例的には50〜60%が望ましい。場合によっては、70%および80%またはそれ以上が達成される。本願の目的のためには、十分な消化は、質量分析によるタンパク質の同定に十分なポリペプチドが生成される50%のカバー度として定義される。
プロテアーゼの反応温度を低くすることが望ましい場合があるが、反応時間が非常に長くなる。場合によっては、37℃未満の温度での消化が、酵素で試料を圧倒することによって(すなわち、必要量または所望量よりも大幅に多量の酵素を添加することによって)達成できる。場合によっては、酵素を繰り返し追加することによって試料を「新しく」して、消化が停止しないよう継続させてもよい。場合によっては、非常に長い時間をかけて消化を行なうこともできる。こうした条件下においてタンパク質が部分的に消化され得る場合もあるが、反応時間が長くなり、産物は不完全かつ予測不可能である。いくつかのタンパク質について十分な消化カバー度が達成され得たとしても、長い時間がかかり、結果はやはり予測不可能である。特定のタンパク質が、低い反応温度において、質量分析で同定できるほど十分に消化され得るか否かということは、分かっていない。
試料中の消化対象タンパク質の量は大幅にかつ予測不可能に変動し得るため、既知の時間内でタンパク質消化を十分に完了するために必要な条件を予測することは困難である。好適な質量分析カバー度を得るのに必要な消化時間は、消化対象のタンパク質の質量が増加するにつれて、長くなり得る。
タンパク質のすべてを確実に消化して、得られるポリペプチドの濃度を増大させるためには、十分な消化カバー度が望まれる。タンパク質の同定には、存在し得る全種類のポリペプチドが消化産物中に現れていることが必要である。また、再現可能かつ予測可能な消化も望まれる。
酵素消化の速度を増大させることが必要である。試料の酵素消化の完了に要する時間を短縮することが必要である。許容できるカバー度を得るために消化を確実かつ予測可能に進行させることが必要である。1回の反応に使用するプロテアーゼの量を減らすことが必要である。妥当かつ予測できる時間で迅速かつ完全に消化が行なわれ得る温度を低くすることが必要である。分析のためには、具体的にどのようなタンパク質(時には未知)であるかにかかわらず、試料を比較的低い温度で並行して消化して、全試料が短時間(たとえば、4時間未満、3時間未満、2時間未満、または1時間未満)で完全に消化されることが必要である。
加えて、消化プロセスを自動化することが必要である。しかしながら、消化は、異なる化学的プロセスを連続して行なって試料を調製するような多工程試料調製の一部であり得る。たとえば、消化後に脱塩が必要であり得る。脱塩された試料が質量分析で分析され得る。この際には、各工程の完了にかかる時間が予測可能である必要がある。各工程の完了にかかる時間が予測可能である必要性は、自動式ロボット型システムでプロシージャを実行する場合にもあてはまるが、この場合には、任意の特定のプロセスの完了が温度または試料に依存し、完了時間が未知である。
発明の概要
本発明の一態様は、試料タンパク質の定性分析をするための方法であって、
a)少なくとも1種の結合したプロテアーゼを含む水膨潤ゲルカラム層を提供する工程と、
b)液体バッファー中の少なくとも1種の試料タンパク質を提供する工程と、
c)工程a)のゲル層と接触させて試料タンパク質を切断してポリペプチドにすることによって、試料タンパク質を消化する工程と、
d)工程c)から得られるポリペプチドを質量分析(MS)に供して、ポリペプチドに関する質量情報を得る工程とを含み、
工程c)は、約37℃未満の温度における往復流を含む、方法である。
本発明の別の一態様は、タンパク質を切断してポリペプチドにし、ポリペプチド産物を回収するための自動式の方法であって、
a)トリプシン;Glu−C;Lys−N;Lys−C;Asp−N;Arg−C;およびキモトリプシンからなる群より選択される少なくとも1種の結合したプロテアーゼを各々含む複数の水膨潤ゲルカラム層を備えるロボット型液体取扱器を提供する工程と、
b)液体バッファー中の、少なくとも1種の任意に変性させたタンパク質を提供する工程と、
c)タンパク質を工程a)のゲル層と接触させる工程であって、各ゲル層は、溶媒をゲル層と接触した状態で保持して、溶媒が層を通る往復サイクルの間、溶媒が層を通って流れるように構成される、工程と、
d)タンパク質を往復流によって4時間未満で切断してポリペプチドにすることによってタンパク質を消化し、任意に、試料を希釈する工程と、
e)試料にイオン対試薬を添加する工程と、
f)逆相ピペットチップカラムを提供し、任意に、カラムを条件付けする工程と、
g)往復流によってポリペプチドをピペットチップカラムに吸着させ、任意に、カラムから混入物を洗浄する工程と、
h)ポリペプチドを溶出させる工程とを含む、方法である。
本発明のさらなる一態様は、タンパク質を切断するためのデバイスであって、デバイスはゲル層を備えるピペットチップを備え、ピペットチップは、試料タンパク質を往復試料流によって切断するように構成され、ピペットチップは、BSA−トリプシン切断性能係数が2〜100の範囲である、デバイスである。
本発明の追加的な一態様は、プロテアーゼの入ったピペットチップカラムと、1種以上の変性試薬と、1種以上のバッファーと、試料タンパク質の断片についての質量に基づく分析を行なうための説明とを含む、試料タンパク質の定性分析のためのキットである。
本発明のさらなる詳細、利点、および実施形態が、従属請求項から、ならびに、本発明の詳細な開示と付属の実験セクションおよび図面とから明らかとなる。本出願において、ひとつの態様について記載または説明される任意の詳細または技術的特徴が、他の態様のうち任意の1つにおいても同等に有用であることが理解される。
タンパク質の変性および消化が本発明に従ってどのように達成され得るかを例証する。 本発明に係るタンパク質の消化およびペプチドの脱塩のための具体的な作業の流れを例証する。
発明の詳細な説明
よって、本発明は、酵素とタンパク質とを一緒にインキュベートすることなしに、試料タンパク質を迅速かつ低温で酵素消化するための、カラム方法および装置を含む。本発明のひとつの利点は、未消化または一部消化された試料を、水膨潤したビーズ樹脂(水中で膨潤し得るアガロース、セファロース、セルロース、またはデキストラン基材など)を含むゲルカラム層に固定または結合した酵素に、繰り返し接触させることであって、ここで、酵素分子は、ゲルカラム層の全体または実質的に全体にわたって提供されている。試料タンパク質、およびポリペプチドの形態であるその切断産物が、樹脂ビーズ基材中に入ったり出たりする移動は、迅速であり、タンパク質の捕獲は生じない。基材に結合した酵素は、ビーズ表面およびビーズ内側に位置する。以下にさらに詳細に説明されるように、酵素は、トリプシン、キモトリプシン、Glu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、またはArg−Cであってよい。
樹脂基材は水膨潤しており、水系バッファーで動作するように設計される。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態において、アセトニトリルおよび他の水混和性有機溶媒を含むバッファーに、変性試薬が添加される。本発明のいくつかの実施形態において、変性試薬は、尿素、グアニジンHCl、および類似する試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態において、変性試薬は酸を含む。ピペットまたはシリンジ型ポンプなどを用いて低圧力で圧送することによっても、カラム層を通る流れを生じさせることができる。
本発明のひとつの利点は、1つ以上のピペットカラム中における往復流を含むカラムおよび方法を使用することである。カラムに入れる樹脂ビーズは、任意の試料タンパク質を捕獲できないものであり、試料およびバッファーがカラム中を往復して流れる際にカラム中に試料タンパク質および反応生成物のポリペプチドが入ったり出たりして拡散するものが選択される。驚くことに、変性試薬は、カラムを通る往復流を妨げない。水膨潤したビーズは、ビーズ同士の間の間隙空間を保ち、流れがカラム層を通って流れることを可能にしている。水膨潤した基材の孔は、流れがビーズ基材の周りを流れる際に、ビーズ基材の中に試薬、反応物、および産物が入ったり出たりして拡散することを可能にしている。
当該消化プロセスは、迅速であり、本発明に係るカラムおよび方法の使用により質量分析ポリペプチドカバー度が約50%よりも大きく、約37℃未満または約30℃未満の温度において実施できる。消化温度は、典型的には約30℃未満であり、一般的には約20℃または約25℃である。
本発明に係る酵素タンパク質消化反応は、室温または周囲温度において実施し得る。当該プロセスは、アセトニトリルを含む変性試薬の存在下において、樹脂基材および拡散特徴を損なったり変化させたりすることなく、かつ、樹脂層中の流れの特徴を損なったり変化させたりすることなく、実施し得る。
当該プロセスは、他のプロセスと並行して実施してよく、自動化してもよい。当該プロセスは、液体クロマトグラフィー、質量分析、および/または他の分析方法で分析される試料を調製するための他の試料調製プロセスと連続して実施してもよい。こうしたプロセスは、自動式往復流カラムを用いたタンパク質の捕獲、タンパク質の溶出および回収を含む。次いで、タンパク質を、プロテアーゼを結合した基材において、往復流による消化によって消化する。得られるペプチド混合物を、ゲルろ過またはイオン対逆相化学に基づく第3のカラムを用いて脱塩し、最後に、試料を質量分析計に導入して分析する。質量分析への導入よりも前の工程は、連続的かつ自動式で行なう。
本発明に係るカラムおよび方法において使用されるようなロボット型液体取扱システムは、複数の特定事象のコンピュータ制御を含み、このシークエンスは、あらかじめ定められた時間およびパラメータにて実行されなければならない。ロボット型ハードウェアは、カラムを扱うまたは液体を移すための単管または多管ピペット頭部からなっていてよい。指定されたデッキ位置にプレートまたは装備品を動かすためのグリッパーを有していてよい。デッキは、カラムまたはピペットチップおよび装備品を有していてよい。多くの場合、ロボットでは、96ウェル構成を使用する。当該ロボット型液体取扱器は、間隔およびサイズのためのSBSプレートフォーマットを組み込んでいてよく、SBSとは、ロボット型プレートの標準定義の創設の先駆けとなった分子生命科学会議(the Society for Biomolecular Sciences)である。
使用するプロテアーゼに関して、トリプシンは、タンパク質消化のための一般的なプロテアーゼであり、プラスに帯電したリシン(Lys)およびアルギニン(Arg)残基のカルボキシ側で切断する(ただし、これらの後にプロリン(Pro)、アスパラギン酸(Asp)、またはグルタミン酸(Glu)が続く場合を除く)ことが知られる。選択性が異なるGlu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、Arg−C、またはキモトリプシンなどの他のプロテアーゼも、タンパク質を消化するために使用してよい。こうしたプロテアーゼによる消化によって、各タンパク質配列カバー度が改善され得る、または、質量分析用途のためのユニークなペプチド配列が生成され得る。複数のプロテアーゼによる消化は、別個に、一緒に、または逐次的に行なってよい。
しかしながら、トリプシンおよび他のプロテアーゼは、予測不可能であり得る。自己分解性の消化が問題となり得る。トリプシンをN−p−トシル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン(TPCK)および/またはホルムアルデヒドと反応させることにより、外来性のポリペプチドを産生し得るトリプシンの自己分解性反応を低減し得る。しかしながら、酵素の溶液は、活性酵素の濃度が未知であったり、冷蔵せずに放置および/または高温下に曝露されていた可能性のある酵素は活性が未知であったりするために、活性が未知である。消化の速度は、任意の具体的なタンパク質および濃度に依存して、変化し得る。
場合によっては、タンパク質の酵素反応の速度は、タンパク質の形状または内部結合によって阻害される、または妨げられる。タンパク質の折り畳みは、水との相互作用によって促される。タンパク質の折り畳みが熱および化学的手段のために解ける現象が、変性である。こうしたタンパク質の消化カバー度を十分なものとするためには、消化の前にタンパク質を変性する必要があり得る。未知のタンパク質の変性が必要であるか否かは、未知である。変性は、消化の速度を改善し得る、または、十分な消化カバー度とするのに必要でさえあり得る。変性によって、タンパク質のポリペプチド鎖が露出し、その結果、酵素が到達して当該タンパク質を切断または消化できるようになる。しかしながら、変性化学物質が存在することにより、消化速度が影響を受け得て、当該速度が不定かつ未知になり得る。アセトニトリル、尿素、およびグアニジン塩酸塩(guanidine chloride)などの変性剤は、変性条件下において、プロテアーゼプロセスを阻害し得る、または消化の速度を変化させ得て、これによって、十分な消化カバー度とするのに必要な時間の予測を困難または不可能にし得る。変性剤は、カラムを通る流れに影響を及ぼし得る。変性剤は、水膨潤したビーズの中に反応物、試薬、および産物が入ったり出たりする拡散に影響を及ぼし得る。変性剤は、水膨潤したビーズの中に反応物、試薬、および産物が入ったり出たりする拡散に影響を及ぼし得る。孔のサイズを小さくすることによって、樹脂基材に担持されたプロテアーゼとタンパク質との反応速度を減速させ得る。これは、水膨潤したビーズが完全に水膨潤したままでいる程度に対して、変性剤が影響を及ぼし得るためである。変性剤は、水膨潤したビーズの層を通る反応物、試薬、および産物の流れに影響を及ぼし得る。変性剤によってビーズが小さくなると、水膨潤した層の背圧が増大し得る。
切断プロセスはいくつかの工程からなるプロセスであり、反応物および/または酵素が拡散、移行、および相互吸着しなければならない。反応物への酵素の吸着は、切断が生じ得るよう適切に配向していなければならない。消化産物は、移行および移動して、酵素から離れなければならない。
試料中におけるタンパク質の濃度またはタンパク質の量は未知である場合があり、そのために、十分な消化カバー度とするのに必要な消化速度または時間の予測が困難または不可能となり得る。タンパク質の濃度を高くするためには、酵素量を多くすること、および/または酵素濃度を高くすることが必要となり得る。タンパク質量を多くするためには、酵素量を多くすること、および/または酵素濃度を高くすることが必要となり得る。
臨床診断用途においては、質量分析および液体クロマトグラフィー質量分析が使用される。質量分析はタンパク質をそのペプチドから同定でき、液体クロマトグラフィーはタンパク質を同定および定量化できる。いずれの手段においても、出発タンパク質が予測可能かつ十分な消化カバー度を有することが必要である。並行型の試料調製および自動化には、好ましくは低温において、迅速かつ予測可能に消化されることが必要である。加えて、タンパク質の消化には、多くの場合、脱塩や、並行型の作動および自動化において障壁および障害物をより多く設けることによって、マトリックス材料を除去することが必要とされ得る。カラム消化およびカラムゲルバッファー交換またはカラム消化およびカラムイオン対逆相脱塩などの試料調製化学を組み合わせることは、困難ではあるが、並行型および自動式の作動にとって必要である。
他のピペットチップアフィニティカラムでは試料由来の物質が捕獲されるが、これとは異なって、酵素ピペットチップカラムは物質を捕獲しない。酵素が、カラム中に入れた樹脂に付着している。タンパク質は、カラムを通って流れて、酵素と接触する。酵素との接触が、十分な時間、適切な配向性、および十分な温度などについて適切である場合には、次いで、酵素がタンパク質を切断し得る。タンパク質反応物、および切断によるポリペプチド産物は、樹脂上の官能基に保持されない。精製のために捕獲されるものは何もない。酵素が溶液中にあるような他の伝統的な酵素相互作用とは異なって、酵素は基材ビーズに結合していて、固相中における動きが厳しく阻害されている。
本発明に係るカラムには、少なくとも部分的に水膨潤した樹脂のビーズが入っている。水膨潤したビーズは酵素の能力を改善し得るが、酵素反応が生じるためには、ビーズ中に反応物が入ったり出たりして拡散または移行しなければならない。しかしながら、樹脂ビーズを通るタンパク質およびポリペプチドの拡散は、基材のない輸送と比べて、遅い。ビーズマトリックスが存在すると、立体障害となり得て、反応物に必要とされる配向性が達成され得る。温度を上げることは、遅い反応速度を補填するひとつの方法である。別の方法として、反応が樹脂媒体の中でなく表面で生じ得るように、タンパク質の量に比べてビーズの数を多くすることができる。反応産物は、水膨潤したビーズ樹脂マトリックスの外へと拡散しなければならない。
本発明の一実施形態において、酵素トリプシンは、頭部の陽圧および陰圧を使用するピペットまたはシリンジポンプまたはポンプにより制御される往復流カラム中に入った樹脂の固相に結合している。本発明の別の一実施形態においては、圧送が、ロボット型液体取扱システムの一部である。1回につき1個、1回につき1〜8個、1回につき1〜12個、1回につき1〜96個、または1回につき1〜384個、またはそれよりも多くの試料が処理されてよい。
いくつかの実施形態において、酵素は、部分的にまたは完全に水膨潤した樹脂マトリックスに含有または結合されている。これらは、水膨潤したアガロース、セルロース、デキストラン、およびセファロースを含む。
結合した固相トリプシンまたはプロテアーゼ酵素を含有するカラムを使用して、タンパク質を含有する溶液を処理し、タンパク質を切断してポリペプチド断片としてもよい。最終サイクルにおいて、トリプシンまたはプロテアーゼがカラムに結合したままの状態で、ポリペプチド断片を回収する。
タンパク質−プロテアーゼ性能係数の説明:プロテアーゼ結合媒体を備えるピペットまたは液体取扱器などの、本明細書中において記載されるような消化デバイスの性能は、「タンパク質−プロテアーゼ性能係数」によって特徴付け得る。この係数は、
タンパク質−プロテアーゼ性能係数=N
として定義され、式中、Nは、定義された条件下において標準タンパク質20μgについて少なくとも50%切断カバー度を達成するために必要な往復サイクルの最小数である。1回の往復流サイクルは、カラム層を通る1回の吸引および放出からなる。試料重量/カラム層体積の比率(μg/μL)は4以上であり、温度は20〜25℃の範囲である。いくつかの実施形態において、タンパク質はBSAであり、プロテアーゼはビーズに結合したトリプシンであり、BSA−トリプシン切断性能係数が決定され得る。いくつかの実施形態において、BSA−トリプシン切断性能係数は、5〜200、10〜100、20〜50、または10〜30である。いくつかの実施形態において、BSA−トリプシン切断性能係数は30である。いくつかの実施形態において、BSA−トリプシン切断性能係数は20である。いくつかの実施形態において、BSA−トリプシン切断性能係数は10である。特定の実施形態において、Nは、40未満、30未満、20未満、10未満、または5未満である。
これを実証するひとつの実験において、BSAタンパク質溶液混合物50μgを、20分間、30分間、または40分間にわたって、トリプシンを含有するカラム層5μLを用いた20回の往復サイクルに供する。別の実験において、BSAタンパク質溶液混合物50μgを、4分間にわたって2回の往復サイクルに供する。次いで、この混合物をカラム上に10分間、20分間、30分間、または1時間放置する。別の実験において、BSAタンパク質溶液混合物50μgを、5分間にわたって5回の往復サイクルに供し、次いで、10分間、20分間、30分間、または1時間のいずれかにわたって、カラム上に放置する。すべての実験は室温で行なう。混合物の測定を行なって、ゲル分離による消化が完了しているかどうかを調べる。20回の往復サイクルを行なった実験のみが、タンパク質の十分な消化カバー度を示した。5回の往復サイクルを行なった実験ではタンパク質の消化量が次に多く、2回の往復サイクルを行なった実験ではタンパク質の消化量が最も少ない。タンパク質溶液をカラム中に放置しても、さらなるタンパク質消化は生じない。
ピペットチップカラム固相結合トリプシンは、広範囲の濃度にわたるタンパク質(トリプシン酵素の量と比べてタンパク質の質量が大きい場合を含む)の50%よりも多くを迅速に消化する方法を提供する(表1および表2を参照)。消化は、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、30分未満、15分未満、または5分未満で完了し得る。消化されているタンパク質の質量が増加するにつれて、流れるタンパク質溶液がカラムと接触している滞留時間が長くなり得る。バルク溶液中におけるタンパク質の消化は、流体がカラムを通って流れている間にのみ生じる。接触時間は、流体がカラム中を往復して動いて流れている時間である。カラム中を通る流体の流れが止まると、消化が止まる。それでも依然として、カラムのビーズ間の間隙にある(ために、カラム層中に入ったり出たりして拡散する)流体中に含有されるタンパク質(試料のごく一部)だけについては、消化が生じる。この、試料のごく一部は、間隙体積を総試料体積で除したものである。本発明に係る方法にとって、間隙体積を総試料体積で除したものは、試料の30%未満、20%未満、10%未満、8%未満、6%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満である。タンパク質の十分な消化カバー度は、試料をカラム中で樹脂と共にインキュベートすることでは達成されない。むしろ、消化は、試料が樹脂層を通って流れる際に達成される。振とうまたは水浴は使用しない。酵素活性を増大させるために反応の温度を上げてもよいが、通常、このプロセスは室温で行なう。室温は、18〜28℃、典型的には20〜25℃とみなされる。本発明に係るカラムは、変性試薬の存在下であっても、40℃またはそれ以上で作動され得る。
質量分析でタンパク質を同定する目的では、消化タンパク質カバー度は、出発タンパク質の40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より多く、90%より多く、または95%より多くが消化されてペプチド断片になることであるとみなされる。十分な消化カバー度とするのに必要な時間は、4時間未満、3時間未満、2時間未満、または1時間未満である。分単位では、十分な消化カバー度とするのに必要な時間は、90分未満、80分未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満である。範囲の観点において、十分な消化カバー度とするのに必要な時間は、0.25時間〜4時間、0.5時間〜3時間、0.5時間〜2時間、または0.5〜1時間の範囲であってよい。
消化の程度は、カラムプロセス後に残っている未消化のタンパク質の量を、元の(開始時の)タンパク質の量と比較することによって、判断してよい。しかしながら、消化されたタンパク質の、より大きなペプチド断片は、未消化の配列をも含有し得る。したがって、未消化の元のタンパク質の量が消化または切断されて減少するにつれて、そうしたペプチド配列の少なくともいくつかが最終生成物中に現れる。しかしながら、これは、いくつかの消化配列が最初の配列が消化されるのと同じ温度で消化され得るとみなしたものである。このことは、消化または酵素切断が生じ得る前に変性を必要とし得る配列には当てはまらない。
より低い温度を用いることによって、部分消化の程度を再現性よく制御することができる。こうした場合、消化の程度は、タンパク質がカラムと接触している滞留時間によって制御される。プロテイナーゼKのような汎用プロテアーゼによる部分消化を用いれば、流速、試料サイズ、およびサイクル数を制御することによって切断を制御できる。滞留時間は、試料体積を流速で除して、半サイクルの数を乗ずることによって計算される。産物の分析によって、タンパク質またはタンパク質複合体の構造についての情報が得られ得る。
上述される技術を使用することにより、タンパク質−核酸複合体のタンパク質を消化でき、クロマチン構造を研究できる。
プロセスの工程
1.酵素を固相に付着させる
2.工程1の固相酵素をピペットチップまたは往復流カラム中に詰める
3.バッファーまたは液体中にタンパク質が溶解している試料を提供する
4.任意に、タンパク質試料を変性させる
5.タンパク質を固相酵素と共にインキュベートすることなく、往復流を使用して、タンパク質をカラムに繰り返し流す。
6.消化された試料をバイアルまたはウェル中に取り出す
7.分析または下流の処理を行なう
本発明の結果および利点
試料と固相酵素樹脂とを共にインキュベートすることなしに、タンパク質のポリペプチドへの十分な消化カバー度が室温で達成される。
酵素とタンパク質とが往復流中で効率よく動いて、酵素切断が室温で生じ得るのに適切な配向性および近接性となり、その結果、タンパク質が完全に消化され得る。
酵素とタンパク質との適切な配向性および近接性が往復流中において室温で十分長く維持されることによって、酵素切断が完了し得て、タンパク質が十分に消化されて少なくとも50%のカバー度が達成され得る。
結合した酵素分子は、室温で、逆流に繰り返し露出されかつ新しい試料に繰り返し露出される流れの中で、活性を維持し得る。
水膨潤したビーズにおける往復流中において、変性条件下、高濃度のアセトニトリル、尿素、グアニジン、または他の変性試薬を使用した場合においても、十分な消化カバー度を与える消化が生じ得る。
アセトニトリル変性条件を維持することによって、タンパク質の酵素切断と共にタンパク質の変性を行なってもよく、その後で試薬を希釈できる。これを、添加するイオン対試薬および混合物に必要とされる程度にて実施し、ポリペプチド断片を保持しかつ試料を脱塩する逆相ピペットチップカラムに適用する。アセトニトリル濃度が高過ぎると、断片は、イオン対逆相カラム条件下において、カラム媒体に吸着し得ない。
タンパク質に対する結合酵素の比率は静的な消化の場合よりも低いが、消化プロセスが進むと十分なペプチドカバー度が得られる。
十分な消化カバー度を達成するためには、往復流カラム中の固相中に含有されるトリプシン酵素の質または活性は高くなくてもよい。活性の低い酵素に対しては、往復流サイクル数を増やしてもよい。
部分的に水膨潤した樹脂の背圧は、変性試薬を導入した場合に、低温または高温のいずれにおいても、カラム層を通る流れを変化させない、または制限しない。
ピペット圧送機構は、カラム中に変性試薬が導入されると動作する。
カラム背圧は、水膨潤した樹脂の入ったカラム中に変性試薬を導入した場合に、1mL/分において3psi未満である。
本明細書中において記載される実施形態の例証を提供する図面が参照される。
酵素活性を増大させるために、カラム層体積を調節してもよい。驚くことに、タンパク質試料の十分な消化カバー度を得るためには、樹脂に結合させて小体積のカラム層中に入れる酵素は非常に少量でよい。ピペットチップカラム層の体積は、100μL未満、90μL未満、80μL未満、70μL未満、60μL未満、50μL未満、40μL未満、30μL未満、20μL未満、15μL未満、10μL未満、5μL未満、4μL未満、3μL未満、2μL未満、1μL未満、0.5μL未満、または0.1μL未満であってよい。
カラムによって消化され得るタンパク質の質量は、0.1μg〜5mg、1μg〜2mg、2μg〜1mg、5μg〜500μg、10μg〜500μg、または20μg〜200μgの範囲である。多くの場合、このタンパク質の範囲は10〜500μgである。
タンパク質は、変性、還元、またはアルキル化された後で、ピペットチップ往復流カラムによって消化されてよい。
往復流プロセスにおいて完全に消化されたタンパク質(μg)の、カラム層体積(μL)に対する比率は、2、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100よりも大きい、または200よりも大きい。
別の一態様は当該方法の安定性であり、任意に、未知かつ不定の時間にわたって試料および試薬が機器中またはベンチ上にあるような自動化または他の方法に関連する。試料および試薬およびカラムが不使用のままで機器中またはベンチ上に8時間、7、6、5 4、3、2、1、0.8、0.7 0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1時間おかれた場合も、同じ結果が得られる。
Figure 2021522530
Figure 2021522530
タンパク質の調製は、変性、還元、およびアルキル化を含んでよい。タンパク質を、標準的な研究室プロトコールを使用して変性、還元、またはアルキル化してよい。変性させるためのプロトコールは、個々の試料源またはタンパク質について最適化されている必要がある。酵素消化をより高効率とするために、タンパク質を変性した後で試料を希釈してよい。
いくつかの実施形態において、十分な消化カバー度またはより完全なポリペプチド配列カバー度とするために、タンパク質は、高効率の溶解、変性、およびジスルフィド結合還元を必要とする。プロテアーゼ消化を促すために、以下の任意の工程を使用できる。
ジスルフィド還元:タンパク質溶液に、ジチオトレイトール(DTT)を最終濃度5mMにて、またはTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)を最終濃度5mMにて添加し、50〜60℃において10〜20分間加熱する。
アルキル化:還元されたタンパク質の溶液にヨードアセトアミドを室温で添加して最終濃度15mMとし、暗所において室温で15分間インキュベートする。
溶解/変性:タンパク質を上限50mMの重炭酸アンモニウム(pH7.5)中に溶解させる。溶解が難しい、または高効率で消化するために変性を要するタンパク質は、消化する前に、6〜8Mの尿素または6MのグアニジンHClなどの変性剤中において室温で溶解してもよい、または、37℃まで、1時間まで加熱してもよい。場合によっては、試料を短時間さらに加熱して60℃またはさらには95℃にすることが必要であり得る。
いくつかの実施形態において、酵素消化よりも前に、アセトニトリル(ACN)を使用してタンパク質を変性させる。65、60、50、40、30、または20%の濃度のアセトニトリルまたは他の変性溶媒を使用してもよい。いくつかの実施形態において、40%のアセトニトリルを使用して、タンパク質を変性する、または変性状態で維持する。
消化後、イオン対逆相カラムを使用して、ペプチドを脱塩してもよい。いくつかの実施形態において、ペプチドおよびACNを含有する、消化されたタンパク質を使用して、逆相カラムを条件付けまたは湿潤させてもよい。混合物を、往復流を有するカラム中に導入する。条件付け後、試料を希釈して、ACNの濃度を、多くの場合には10%未満に低減する。トリフルオロ酢酸(TFA)などのイオン対試薬を、希釈した混合物に添加する。一般的にはTFAが使用されるが、ペンタフルオロプロピオン酸(PFPA)およびヘプタフルオロ酪酸(HFBA)および類似する物質も使用されている。逆相カラムを使用して、ポリペプチドを捕獲し、任意の他の物質を除去する。次いで、有機溶媒(多くの場合はACN)の濃度を増大させて、ポリペプチドを含有するイオン対をカラムから除去し、ポリペプチドを溶出して、分析準備を整える。
往復流を有する消化カラムは、室温で使用してもよい。室温は、20〜25℃として定義される。本発明のいくつかの実施形態において、消化は、25〜30℃、または30〜35℃、または35〜40℃の温度範囲内において行なう。往復流カラムの消化温度を上げてそれを維持することは、特にロボット型システムにおいては、困難であり得る。
本発明中に記載されるような脱塩カラムは、2つの型があり得る。一方の型は、一方向の流動ゲルろ過カラムである。もう一方は、ピペットチップ中に入った逆相樹脂に基づくピペットチップ往復流カラムである。逆相カラムは、カラムで捕獲するよりも前にイオン対試薬を試料に添加する必要がある。一般的なイオン対試薬には、トリフルオロ酢酸(TFA)、ペンタフルオロプロピオン酸(PFPA)、およびヘプタフルオロ酪酸(HFBA)が含まれる。捕獲は、有機溶媒濃度の低い水性バッファー条件下において生じる。ポリペプチドは、イオン対試薬と共に非極性イオン対を形成し、この組み合わせが逆相ピペットチップカラムによって捕獲される。本発明に係る自動式のデバイスおよび方法において、カラムの層サイズは1μL〜100μLまたは5μL〜20μLの範囲であり、ピペットチップ体積は50〜2000μLまたは200〜1200μLの範囲である。
キットは、組み立てて、本発明に係るデバイスおよび方法に適用してよい。一例において、キットは、トリプシン−ピペットチップカラム、変性試薬、バッファー、および説明を含む。別の一例において、キットは、トリプシン−ピペットチップカラム、変性試薬、逆相脱塩ピペットチップカラム、イオン対試薬、バッファー、および説明を含む。
図面の詳細な説明
図1は、タンパク質の変性および消化が本発明に従ってピペットチップ往復流カラムの使用によりどのように達成されるかを例証する。より具体的には、図1は、工程1aにおいて、タンパク質試料がどのように提供されるか、工程1bにおいて、変性試薬がどのように任意に添加されるか、および工程1cにおいて、往復流が室温で酵素カラムにどのように適用されて試料をポリペプチド/ペプチドに変換するかを示す。
図2は、タンパク質の消化およびペプチドの脱塩を含む本発明に係る具体的な作業の流れを例証する。より具体的には、図2は、工程2aにおいて、タンパク質試料がどのように提供、および任意に変性されるか、工程2bにおいて、室温などの温度にて往復流がカラムにどのように適用されて試料タンパク質がポリペプチドに変換されるか、工程2cにおいて、どのように試料が任意に希釈され、イオン対試薬が添加されるか、工程2dにおいて、往復流が逆相脱塩カラムにどのように適用され得てペプチドを精製し不純物を洗浄し得るか、ならびに工程2eにおいて、ポリペプチドを含む処理された試料がどのように溶出されるかを示す。こうして、濃縮、脱塩された試料は、分析に供する準備が整う。この作業の流れを、96ウェルフォーマットまたはプレートフォーマットにおいて適用してよく、ロボット条件下においてLC−MSまたはMSに導入してよい。
実験セクション
本出願中において提供されるすべての実施例は、例示目的でのみ提供されるものであり、付属の請求項によって定義される本発明を限定するものとは解釈されない。以下または本出願中の他の箇所において提供されるすべての参考資料は、引用により本明細書に援用して含まれる。
実施例
異なる用途を目的とした作業の流れの例。往復流を有するピペットチップカラムを、当該作業の流れの各工程において使用する。実施例中に記載される工程は、自動式であってもよい。
1.タンパク質分析−生物製剤特徴づけ
2.診断
3.ペプチドマッピング
4.マーカーを発見するための質量バリアント分析
5.疾患マーカーの発見
実施例1.タンパク質分析−生物製剤特徴づけを目的とした例示的な作業の流れ
1.アフィニティクロマトグラフィーによるタンパク質の精製
2.ゲルろ過によるバッファー交換
3.任意の変性、還元、アルキル化、次いで希釈
4.固相酵素によるプロテアーゼ消化、次いで希釈
5.イオン対逆相による脱塩
6.クロマトグラフィーによる質量分析
タンパク質薬およびタンパク質薬の候補は、化学的に合成されたものではないという点で、従来の小分子薬とは異なる。むしろ、生物製剤とよばれるタンパク質薬は、哺乳類生細胞の細胞機構を使用して合成される組換えタンパク質である。よって、生物製剤の製造における主な課題は、翻訳後修飾、タンパク質分子量、電荷均一性、および他の物理的な特質を維持することである。総合的に、こうした分析測定においては、特に質量分析プロファイリングを目的とする場合に、高性能かつ小体積での処理が必要とされる。ハイスループット用途においては、トリプシン消化という基本工程が、迅速で、頑強で、かつ自己消化のないものでなければならない。
生物製剤を、細胞培養に由来する組換えタンパク質として作製する。このタンパク質を、親和性プロセスを用いて精製する。96タイプ(96 at−a−time)ロボットと親和性樹脂を詰めたピペットチップカラムとを使用して、多くの試料を同時に処理できる。高性能精製のための往復流を使用して、96個1セットの試料をプレート中に移して、バッファー交換の準備をする。ゲルろ過媒体を詰めたピペットチップカラムを使用して、タンパク質のプレートについて、96個を1回でバッファー交換する。これにより、バッファー交換された試料が、トリプシン消化にとって最適なバッファー中に入った状態となる。この工程は、タンパク質の折り畳みが解けるのを促してトリプシンが到達できるようにするために、変性剤を含んでもよい。96管ロボットを使用し、トリプシン固定ビーズを詰めたピペットチップカラムを使用して、試料を同時に消化する。液体取扱システムにより、室温において、トリプシン樹脂層を通してタンパク質を連続的に往復圧送する。10〜50回の往復流サイクルによりサイクルを30分間行なった後には、タンパク質が消化されてペプチドになっている。96管ロボットとC18逆相媒体を詰めたピペットチップカラムとを使用して、ペプチドをさらに調製する。そして、脱塩された試料は、イオン抑制を阻害し得るバッファー成分があればこれが除去されることによって、質量分析に供する準備が整う。
実施例2.タンパク質複合体疾患マーカーの発見および診断を目的とした例示的な作業の流れ
1.His標識組換えタンパク質の試料への添加
2.天然タンパク質の、標識組換えタンパク質での交換
3.アフィニティクロマトグラフィーによるタンパク質の精製
4.ゲルろ過によるバッファー交換
5.任意の変性、還元、アルキル化、次いで希釈
6.固相酵素によるプロテアーゼ消化、次いで希釈
7.イオン対逆相による脱塩
8.クロマトグラフィーによる質量分析
機能細胞のコンテクストにおいて、タンパク質がひとつひとつのタンパク質として作用することは稀である。むしろ、タンパク質は、複数の異なるタンパク質と結合してタンパク質複合体を形成している。こうした複合体は、時に一過性で相互に作用するため、検出が非常に困難であり得る。タンパク質複合体は有効な疾患情報源であり、タンパク質複合体の各成分は疾患マーカーである可能性がある。疾患マーカー(market)発見の分野における最近の進展によって、複合体中における特定タンパク質の比率が疾患と相関していることが強調されている。疾患マーカーの発見における課題は、小体積と自動化と質量分析のための高性能試料調製とを組み合わせて使用して、ハイスループットでタンパク質複合体を精製できる作業の流れであり得る。
タンパク質複合体は、いくつかの方策のうちの1つを使用する親和性精製によって、複合生体試料から精製される。特定のタンパク質成分に対して作製された抗体を使用して、複合体をまるごと抜き出すことができる。別の方策として、タンパク質複合体のタンパク質構成要素の動的性質が利用される。標識をつけた組換えタンパク質をインキュベートすることによって、天然タンパク質を当該組換えタンパク質に交換できる場合がある。続いて、このタンパク質複合体を、当該標識を用いて精製し得る。
96タイプロボットと、複合体のタンパク質成分に対する抗体を詰めたピペットチップカラムとを使用して、または、天然タンパク質を置き換えた組換えタンパク質につけた標識を使用することによって、多くの試料を同時に処理できる。高性能精製のための往復流を使用して、96個1セットの試料をプレート中に移し、これらの試料を、トリプシン固定ビーズを詰めたピペットチップカラムを用いて同時に消化する。液体取扱システムにより、室温において、トリプシン樹脂層を通してタンパク質を連続的に往復圧送する。サイクルを20分間行なった後には、タンパク質が完全に消化されてペプチドになっている。96管ロボットとC18逆相媒体を詰めたピペットチップカラムとを使用して、ペプチドをさらに調製する。そして、脱塩された試料は、イオン抑制を阻害し得るバッファー成分があればこれが除去されることによって、質量分析に供する準備が整う。
実施例3.例示的な作業の流れ ペプチドマッピング
1.試料の提供
2.ゲルろ過によるバッファー交換
3.変性、還元、アルキル化
4.バッファーでの希釈
5.固相トリプシン、Glu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、Arg−C、および/またはキモトリプシン消化酵素によるプロテアーゼ消化
6.希釈
7.イオン対試薬の添加、イオン対逆相による脱塩
8.クロマトグラフィーによる質量分析
薬となり得る標的に対するスクリーニングライブラリを用いて、タンパク質薬候補を発見する。正の相互作用が見つかった場合には、その薬候補の結合効果を最適化する。このプロセスでは、まず、薬候補が結合している標的上の特定ペプチドを同定すること、すなわちエピトープマッピングとよばれるプロセスが必要になる。エピトープマッピングにおける主な課題は、頑強で、再現性があり、かつそれ自体で完結している方法を得ることである。
薬標的は、哺乳類生細胞の細胞機構を使用して合成される組換えタンパク質である。このタンパク質を、96タイプロボットと親和性樹脂を詰めたピペットチップカラムとを使用する親和性プロセスを用いて精製する。96タイプロボットと親和性樹脂を詰めたピペットチップカラムとを使用して、多くの試料を同時に処理できる。高性能精製のための往復流を使用して、96個1セットの試料をプレート中に移して、バッファー交換の準備をする。ゲルろ過媒体を詰めたピペットチップカラムを使用して、タンパク質のプレートについて、96個を1回でバッファー交換する。これにより、バッファー交換された試料が、トリプシン消化にとって最適なバッファー中に入った状態となる。これは、タンパク質の折り畳みが解けるのを促してプロテアーゼが到達できるようにするために、変性剤を含んでもよい。試料を3つのアリコートに分け、各アリコートを、96管ロボットを使用して消化する。後者は、トリプシン、キモトリプシン、またはGlu−Cのいずれかを固定したビーズを詰めたピペットチップカラムを用いて試料を消化するために使用する。液体取扱システムにより、室温において、プロテアーゼ樹脂層を通してタンパク質を連続的に往復圧送する。サイクルを20分間行なった後には、タンパク質が完全に消化されてペプチドになっている。96管ロボットとC18逆相媒体を詰めたピペットチップカラムとを使用して、ペプチドをさらに調製する。そして、脱塩された試料は、イオン抑制を阻害し得るバッファー成分があればこれが除去されることによって、質量分析に供する準備が整う。
実施例4.マーカー発見を目的とした質量バリアント分析を目的とした例示的な作業の流れ
1.ストレプトアビジンまたは共有結合性の誘導体化のための活性化された樹脂を入れたピペットチップカラムの提供
2.アフィニティカラムの作製
3.試料の提供
4.ゲルろ過によるバッファー交換
5.任意の変性、還元、アルキル化、次いで希釈
6.固相キモトリプシン、Glu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、Arg−C、キモトリプシンGlu−C、および/またはトリプシンによるプロテアーゼ消化。
7.酵素消化、次いで任意の希釈
8.イオン対逆相による脱塩
9.クロマトグラフィーによる質量分析
最近の研究によって、いくつかのタンパク質のペプチド配列には疾患と相関のある質量バリアントが存在することが示されている。疾患マーカーになり得るので重要であるが、定量するのは非常に難しい。というのは、こうした疾患マーカーは含有量が非常に少ないためである。その解決策は、作業の流れの一部として、質量バリアントを濃縮することであったが、これは、小体積と自動化と質量分析のための高性能試料調製とを組み合わせて使用してハイスループットでバリアントを精製することを含む。
親和性精製は、タンパク質質量バリアントを濃縮するのに有効な解決策を提供する。特定のタンパク質成分に対して作製された抗体を使用して、このタンパク質の異なる形態を抜き出すことができる。この抗体を、架橋を有するカラム樹脂に結合させることができる。親和性樹脂を得るための別の方策は、抗体をビオチンで標識してこの抗体をストレプトアビジンビーズに固定することである。3つめの方策は、活性化された樹脂に抗体を共有結合させることである。どの方策をとった場合にも、こうしたビーズを、上述される樹脂を詰めたピペットチップカラムの形態で使用できる。
高性能精製のための往復流を使用して、96個1セットの試料をプレート中に移し、これらの試料を、トリプシン固定ビーズを詰めたピペットチップカラムを用いて同時に消化する。液体取扱システムにより、室温において、トリプシン樹脂層を通してタンパク質を連続的に往復圧送する。サイクルを20分間行なった後には、タンパク質が完全に消化されてペプチドになっている。96管ロボットとC18逆相媒体を詰めたピペットチップカラムとの使用によって、ペプチドをさらに調製する。そして、脱塩された試料は、イオン抑制を阻害し得るバッファー成分があればこれが除去されることによって、質量分析に供する準備が整う。
実施例5.組み合わせ型の標的および疾患マーカーの発見を目的とした例示的な作業の流れ
1.疾患細胞株の作製
2.マウスへの接種
3.タンパク質Aまたはタンパク質Gピペットチップカラムを用いる抗体精製
4.膜プレップの破壊
5.ゲルろ過によるバッファー交換
6.任意の変性、還元、アルキル化、次いで希釈
7.固相Glu−C、Lys−N、Lys−C、Asp−N、Arg−C、キモトリプシン、および/またはトリプシンによるプロテアーゼ消化。酵素消化、次いで任意の希釈
8.イオン対逆相による脱塩
9.クロマトグラフィーによる質量分析
がん細胞株モデルは、疾患標的の発見と治療の手がかりの発見とにとって優れた手段である可能性がある。疾患細胞株を作製できれば、これを使用することにより、宿主マウスにおいて免疫応答を誘発できる。マウス由来の抗体は、手がかりとなり得るもののライブラリとしての役割を果たし、また、疾患細胞株の細胞表面タンパク質に対する特異性を与え得る。このようにして、標的の発見と手がかりの発見とを組み合わせることができ、その結果、時間を大幅に短縮できる。
疾患細胞を使用してマウスに接種し、免疫応答を生じさせる。96タイプロボットとタンパク質A樹脂を詰めたピペットチップカラムとを使用して、動物から抗体を精製する。疾患細胞株は、細胞のいくつかを溶解して膜画分を調製することによって処理する。次いで、精製した抗体を、ピペットチップカラムに固定して、膜画分の親和性精製のために使用する。得られた抗体−膜画分複合体をバッファー交換して、トリプシン消化にとって最適なバッファーとする。これは、タンパク質の折り畳みが解けるのを促してプロテアーゼが到達できるようにするために、変性剤を含んでもよい。トリプシンを詰めたピペットチップカラムを用いる96管ロボットを使用して、試料を消化する。液体取扱システムにより、室温において、プロテアーゼ樹脂層を通してタンパク質を連続的に往復圧送する。サイクルを20分間行なった後には、タンパク質が完全に消化されてペプチドになっている。96管ロボットとC18逆相媒体を詰めたピペットチップカラムとを使用して、ペプチドをさらに調製する。そして、脱塩された試料は、イオン抑制を阻害し得るバッファー成分があればこれが除去されることによって、質量分析に供する準備が整う。
実施例6.ウシ血清アルブミン断片分析を目的とした例示的な作業の流れ
1.BSAの変性
2.トリプシンでのBSA消化によるペプチドの生成
3.イオン対C18逆相を使用するペプチドの脱塩
4.MALDI−TOF分析
ウシ血清アルブミン(BSA)は607残基のタンパク質であり、分子量は69kDaである。凍結乾燥させたタンパク質標準をSigma−Aldrichから購入し(P/N A4612)、PBSバッファーを使用して1mg/mL溶液とする。50μgを6M尿素溶液中で変性させて、室温で1時間インキュベートする。ヨードアセトアミドを最終濃度15mMで添加してBSAをアルキル化し、暗所で15分間インキュベートする。ゲルろ過媒体を詰めたピペットチップカラムを使用して、BSAのバッファー交換を行なう。BSAを深さ2mLのウェルプレートに移し、pH7.5の重炭酸アンモニウムを用いて試料の体積を120μLに調整する。100%アセトニトリル80μLをBSAに添加して、最終的に40%アセトニトリル溶液とする。トリプシン固定ビーズ5μLを詰めた200μLのピペットチップカラムを使用する。室温において、流速250μL/分で20分間、樹脂層を通して試料を往復圧送する。試料をウェル中に吹き出して、ピペットチップカラムを廃棄する。1%TFA水溶液600μLをBSAペプチドに添加して、アセトニトリルを最終濃度10%に希釈する。C18逆相樹脂10μLを詰めた1mLのピペットチップカラムを使用して、ペプチドを脱塩する。250μLの80%アセトニトリルでカラムを湿潤させ、続いて1%TFA水溶液を2回使って条件付けする。ペプチドを載せて、流速250μL/分を用いて4サイクル行なう。1mLの1%TFA中で流速500μL/分にて1サイクル行なって、カラムを洗浄する。30μLの40%TFA中で流速500μL/分にて4サイクル行なって、溶出する。そして、脱塩された試料は、MALDI−TOF分析に供する準備が整い、十分な消化カバー度と、疎水性ペプチドを含むすべてのペプチドが存在していることを示す。
実施例7.200μlのピペットチップカラムについてのBSA−トリプシン切断性能係数の決定
BSA:Sigma−Aldrich(P/N A4612)
実施例6の方法を使用してBSAを調製する。
BSAの量:50μg
カラムゲル層体積:5μLトリプシン固定ビーズ
往復サイクル中の媒体の流速:250μL/分
温度:23℃
固定トリプシンの入ったピペットチップカラムに、BSAを適用する。多様な数の往復サイクルを行なった後、実施例6中に記載されるとおりに産物を分析する。BSA−トリプシン切断性能係数を、少なくとも50%の切断を達成するのに必要な最小のサイクル数として決定し、これが20であることが観察される。

Claims (24)

  1. 試料タンパク質の定性分析をするための方法であって、
    a)少なくとも1種の結合したプロテアーゼを含む水膨潤ゲルカラム層を提供する工程と、液体バッファー中の少なくとも1種の試料タンパク質を提供する工程と、
    b)前記工程a)のゲル層と接触させて前記試料タンパク質を切断してポリペプチドにすることによって、前記試料タンパク質を消化する工程と、
    c)前記工程c)から得られるポリペプチドを質量分析(MS)に供して、前記ポリペプチドに関する質量情報を得る工程とを含み、
    前記工程c)は、約37℃未満の温度における往復流を含む、方法。
  2. 少なくとも前記工程c)において、前記温度は約30℃未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程c)において、前記試料タンパク質が、前記ゲル層に、往復で少なくとも2回、たとえば4〜6回通される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程c)の継続時間は約4時間未満である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1種の結合したプロテアーゼは、トリプシン;Glu−C;Lys−N;Lys−C;Asp−N;Arg−C;およびキモトリプシンからなる群より選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記工程d)において、同定されるポリペプチドの種類の数は50%より多い、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記工程d)において、前記質量情報が、コンピュータに基づくソフトウェアによって使用されて、前記工程b)の試料タンパク質が何であるかが判断される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記工程d)において、同定されるポリペプチドの種類の数は50%より多い、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 提供される前記カラムは、約5μL〜約20μLの範囲の層体積を有し、試料タンパク質を上限約150μgまで処理できる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記工程b)において、前記タンパク質は、室温の変性バッファー中にて提供される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記工程b)において、変性試薬は、アセトニトリル;尿素、およびグアニジン塩酸塩からなる群より選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
  12. タンパク質を切断してポリペプチドにし、ポリペプチド産物を回収するための自動式の方法であって、
    a)トリプシン;Glu−C;Lys−N;Lys−C;Asp−N;Arg−C;およびキモトリプシンからなる群より選択される少なくとも1種の結合したプロテアーゼを各々含む複数の水膨潤ゲルカラム層を備えるロボット型液体取扱器を提供する工程と、
    b)液体バッファー中の、少なくとも1種の任意に変性させたタンパク質を提供する工程と、
    c)前記タンパク質を前記工程a)のゲル層と接触させる工程であって、各ゲル層は、溶媒を前記ゲル層と接触した状態で保持して、前記溶媒が前記層を通る往復サイクルの間、前記溶媒が前記層を通って流れるように構成される、工程と、
    d)前記タンパク質を往復流によって4時間未満で切断してポリペプチドにすることによって前記タンパク質を消化し、任意に、前記試料を希釈する工程と、
    e)前記試料にイオン対試薬を添加する工程と、
    f)逆相ピペットチップカラムを提供し、任意に、前記カラムを条件付けする工程と、
    g)往復流によってポリペプチドを前記ピペットチップカラムに吸着させ、任意に、前記カラムから混入物を洗浄する工程と、
    h)ポリペプチドを溶出させる工程とを含む、方法。
  13. 溶出させた前記ポリペプチドが質量分析に供され、ポリペプチドカバー度が50%より大きく、前記タンパク質の定性分析が提供される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ゲル層の体積は約5μL〜約20μLの範囲であり、試料タンパク質を上限約150μgまで処理できる、請求項12または13に記載の方法。
  15. 提供される前記ピペットチップカラムは、固相トリプシンを20μL以下含有する、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記工程d)において、タンパク質消化は、約30℃未満などの、約37℃未満の温度において行なわれる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  17. タンパク質を切断するためのデバイスであって、前記デバイスはゲル層を備えるピペットチップを備え、前記ピペットチップは、試料タンパク質を往復試料流によって切断するように構成され、前記ピペットチップは、BSA−トリプシン切断性能係数が2〜100の範囲である、デバイス。
  18. BSA−トリプシン切断性能係数が20である、請求項17に記載のデバイス。
  19. 試料タンパク質分析のための自動式システムの中に配置されている、請求項17または18に記載のデバイス。
  20. 前記自動式システムは、少なくとも1つの脱塩ピペットチップ脱塩カラムを、少なくとも1つの消化カラムと直列に組み込んでいる、請求項19に記載のデバイス。
  21. プロテアーゼの入ったピペットチップカラムと、1種以上の変性試薬と、1種以上のバッファーと、試料タンパク質の断片についての質量に基づく分析を行なうための説明とを含む、試料タンパク質の定性分析のためのキット。
  22. 前記プロテアーゼは、膨潤ゲル層に結合して提供され、トリプシン;Glu−C;Lys−N;Lys−C;Asp−N;Arg−C;およびキモトリプシンからなる群より選択される、請求項21に記載のキット。
  23. トリプシンの入ったピペットチップと、変性試薬と、逆相脱塩ピペットチップカラムと、イオン対試薬とを含む、請求項21または22に記載のキット。
  24. 前記説明は、請求項12〜17のいずれか1項に記載の自動式の方法に関する、請求項23に記載のキット。
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