JP2019137624A - タンパク質分離方法、タンパク質分析方法、及びタンパク質分離キット - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、疾患プロテオーム解析は、病態と正常で発現しているタンパク質の網羅的解析を行い、疾病特異的に異常な挙動(増加、減少、機能変化)を示すタンパク質を見出そうとするものである。比較の対象となる試料は、臓器、細胞、血液、血清、血漿、尿など多岐にわたっている。
なかでも血液は、体内のあらゆる情報を含んでいるため、有用な解析対象物である。しかし、血清又は血漿中のタンパク質分析は組織、臓器に比べて非常に難しく、世界的にも満足な分析が出来ていない。その主な理由は、血清又は血漿中のアルブミン(Alb)やIgGなどの約20種類の高濃度タンパク質(血清又は血漿中の濃度が数mg/mL以上のタンパク質)が総タンパク量の99%を占めていること。これに対して、解析対象としたい組織由来成分、インターロイキンなどのタンパク質の濃度は非常に小さく(数μg/mL〜数pg/mL)、血清又は血漿中のタンパク質の濃度のダイナミックレンジが1010〜1011と非常に幅広いこと(非特許文献1参照)、さらに、血清又は血漿中のタンパク質の切断や翻訳後修飾は多様であり、非常に多成分で複雑な状態にあることにある。ちなみに、細胞中のタンパク質の濃度のダイナミックレンジは105程度である。このため、現在、血清又は血漿を対象としたほぼ全ての研究において、Alb、AlbとIgG等、Alb,IgG等を含む3〜14種類の高濃度タンパク質を除去する除去カラム(主に抗体カラム)が使用されている。このうち、12〜14種類の高濃度タンパク質を除去する除去カラムでは、血清又は血漿中の全タンパク質の約90%以上を除去可能であることが知られている。
特許文献1には、試料にアミノ酸を添加し、試料中のタンパク質を簡便に分離可能なタンパク質の分離方法が開示されているが、さら分画効率の高いタンパク質の分離方法が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、試料中のタンパク質を簡便に分離可能な、タンパク質分離方法、タンパク質分析方法、及びタンパク質分離キットの提供を課題とする。
前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離することを特徴とするタンパク質分離方法。
(2)前記溶液Iに含まれる前記ホウ酸の濃度が100mmol/L〜飽和濃度である前記(1)に記載のタンパク質分離方法。
(3)前記試料に添加する前記ホウ酸が、前記ホウ酸を含むホウ酸溶液であり、前記ホウ酸溶液の濃度が100mmol/L〜飽和濃度である前記(1)又は(2)に記載のタンパク質分離方法。
(4)前記溶液Iを分離処理することにより、前記第一の沈殿物及び前記第一の上清を分離する前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(5)前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合して溶液IIを得て、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離する前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(6)前記溶液IIを分離処理することにより、前記第二の沈殿物及び前記第二の上清を分離する前記(5)に記載のタンパク質分離方法。
(7)前記第二の上清と還元剤とを混合して溶液IIIを得て、前記溶液IIIから第三の沈殿物及び第三の上清を分離する前記(5)又は(6)に記載のタンパク質分離方法。
(8)前記溶液IIIを分離処理することにより、前記第三の沈殿物及び前記第三の上清を分離する前記(7)に記載のタンパク質分離方法。
(9)前記試料、前記第一の沈殿物、前記第一の上清、前記第二の沈殿物、前記第二の上清、前記第三の沈殿物又は前記第三の上清から、アルブミン、IgG、トランスサイレチン、補体系タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、IgA、サイロキシン結合グロブリン、α2−マクログロブリン、IgM、アンチトリプシン、ハプトグロビン、リポプロテイン、アポリポプロテイン、α1−酸性糖タンパク質、及びそれらの断片からなる群から選ばれる一種以上のタンパク質を除去する工程をさらに含む前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(10)前記第三の上清にタンパク質分離処理を行い、溶液IVを得て、前記溶液IVから第四の沈殿物を分離する前記(7)〜(9)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(11)前記溶液IVを分離処理することにより、前記第四の沈殿物を分離する(10)に記載のタンパク質分離方法。
(12)前記試料が体液である前記(1)〜(11)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(13)前記試料が血清又は血漿である前記(1)〜(12)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法。
(14)前記(1)〜(13)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法で得られた分離物を分析対象に用いることを特徴とするタンパク質分析方法。
(15)前記(1)〜(13)のいずれか一つに記載のタンパク質分離方法に用いられるタンパク質分離キットであって、ホウ酸を備えることを特徴とするタンパク質分離キット。
(16)界面活性剤又はカオトロピック試薬をさらに備える前記(15)に記載のタンパク質分離キット。
(17)還元剤をさらに備える前記(15)又は(16)に記載のタンパク質分離キット。
(18)タンパク質分離用溶液をさらに備える前記(15)〜(17)のいずれか一つに記載のタンパク質分離キット。
本発明のタンパク質分離キットによれば、試料中のタンパク質を分離することができる。
本発明のタンパク質分離方法は、
タンパク質を含有する試料中からタンパク質を分離する方法であって、前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離するものである。
血清及び血漿中のタンパク質分析は、血液中に含まれるタンパク質の濃度のダイナミックレンジが1010〜1011と非常に幅広い。血清中には、アルブミンや免疫グロブリンといった22種類の主要タンパク質が総タンパク質量の99%を占めている。従って、疾患に関与するタンパク質を発見するためには残り1%に含まれる数千種類の微量なタンパク質を比較解析しなければならない。そのため、血液、血清、及び血漿中のタンパク質分析は、組織、臓器中のタンパク質分析に比べて非常に難しいという問題があった。しかし、本発明のタンパク質分離方法によれば、試料として血液並びにその液体成分である血清及び血漿を用いた場合であっても、簡便に該タンパク質の分離が可能である。
溶液Iから分離される第一の上清は、溶液Iにおいて、前記第一の沈殿物以外の部分とすることができる。溶液Iから上記第一の沈殿物を実質的に除いたものを、第一の上清として取得することできるが、このとき溶液Iから完全に第一の沈殿物が除かれている必要はない。また、第一の上清の調製物等(ただし、後述する第二の上清は除く)であっても、第一の上清に由来するものでれば、第一の上清として扱うことができる。
本実施形態のタンパク質分離方法は、タンパク質を含有する試料からタンパク質を分離する方法であって、前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iを分離処理することにより、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離するものである。
試料に添加するホウ酸がホウ酸溶液の形態である場合、前記ホウ酸溶液のホウ酸濃度は、タンパク質を含有する試料中に前記タンパク質の沈殿物を生じさせる程度とすればよい。前記ホウ酸溶液のホウ酸濃度は、100mmol/L〜飽和濃度であることが好ましく、200mmol/L〜飽和濃度であることがより好ましい。その他のホウ酸濃度として、400mmol/L〜飽和濃度、600mmol/L〜飽和濃度、800mmol/L〜飽和濃度が挙げられる。
試料にホウ酸溶液を複数回にわけて添加する場合、添加したホウ酸溶液の合計で、ホウ酸濃度を算出するものとする。
当該ホウ酸溶液において、ホウ酸を溶解する液としては、水、各種緩衝液等が挙げられるが、これらに限定されない。ホウ酸溶液は、実質的に水及びホウ酸からなるホウ酸の水溶液であってもよい。
試料にホウ酸を添加することのみでも、試料中のタンパク質の沈殿物が生じるなどして、タンパク質が分離され得るが、溶液Iを分離処理することで、より効率的にタンパク質を分離できる。
一例として、分離処理として遠心分離を行った場合、第一の沈殿物は第一の画分とすることができ、前記溶液Iから第一の沈殿画分及び第一の上清を分画することとなる。
本実施形態のタンパク質分離方法によれば、アルブミン等の高濃度タンパク質を第一の上清として分離可能である。このことは、第一の沈殿物として、アルブミン等の高濃度タンパク質が除去された画分を取得可能である、と言い換えることができる。
前記除去カラムは抗体カラムであるので、生理的な条件下で使用されることが前提となる。生理的な条件下では、例えば、生理的な条件下でアルブミン等の高濃度タンパク質と結合しているタンパク質は、そのままアルブミン等の高濃度タンパク質と結合した状態であり、アルブミン等の高濃度タンパク質が除去されるとともに除去されてしまう。
一方、本実施形態のタンパク質分離方法では、必ずしも生理的な条件に依存することなく実施することが可能である。そのため、除去対象のタンパク質に結合していたタンパク質を、除去対象のタンパク質とは別の分離物として第一の沈殿物に分離可能である。
本実施形態のタンパク質分離方法は、
タンパク質を含有する試料中からタンパク質を分離する方法であって、
前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iを分離処理することにより、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離し、
前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合して溶液IIを得て、前記溶液IIを分離処理することにより、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離するものである。
溶液IIから分離される第二の上清は、溶液IIにおいて、前記第二の沈殿物以外の部分とすることができる。溶液IIから上記第二の沈殿物を実質的に除いたものを、第二の上清として取得することできるが、このとき溶液IIから完全に第二の沈殿物が除かれている必要はない。また、第二の上清の調製物等であっても、第二の上清に由来するものでれば、第二の上清として扱うことができる。
界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、デオキシコール酸ナトリウム等の陰イオン界面活性化剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、トリトン(登録商標)X−100、n−Octyl−β−D−glucoside等の非イオン界面活性剤等を挙げることができるが、これらに限定されず、好ましい界面活性剤を適宜選択することができる。なかでも、本実施形態のタンパク質分離方法においては、界面活性剤としては、陰イオン界面活性化剤又は非イオン界面活性剤が好ましい。
溶液II中の界面活性化剤の濃度は、0.0001〜1(w/v)%であることが好ましく、0.002〜0.05(w/v)%であることがより好ましく、0.005〜0.5(w/v)%以下であることがさらに好ましい。
界面活性剤が陰イオン界面活性化剤、特にSDSである場合、溶液II中の界面活性化剤の濃度は、0.001〜0.05(w/v)%であることがさらに好ましく、0.005〜0.008(w/v)%であることが特に好ましい。
このように比較的低い濃度の界面活性剤を用いることにより、効果的にタンパク質を分離することができる。
また、前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合することにより、前記第一の上清に含まれるタンパク質間の相互作用が弱められ、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
血液並びにその液体成分である血清及び血漿中では、アルブミンやIgGなどの約20種類の高濃度タンパク質が総タンパク量の99%を占めている。本実施形態のタンパク質分離方法では、試料として、血液、血清、血漿を用いた場合であっても、第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合することで、高濃度タンパク質に結合していたタンパク質と高濃度タンパク質との相互作用が弱められ、分離可能なタンパク質の種類を飛躍的に増加させることができる。
本実施形態のタンパク質分離方法は、
タンパク質を含有する試料中からタンパク質を分離する方法であって、
前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iを分離処理することにより、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離し、
前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合して溶液IIを得て、前記溶液IIを分離処理することにより、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離し、
前記第二の上清と還元剤とを混合して溶液IIIを得て、前記溶液IIIを分離処理することにより、前記溶液IIIから第三の沈殿物及び第三の上清を分離するものである。
溶液IIIから分離される第三の上清は、溶液IIIにおいて、前記第三の沈殿物以外の部分とすることができる。溶液IIIから上記第三の沈殿物を実質的に除いたものを、第三の上清として取得することできるが、このとき溶液IIIから完全に第三の沈殿物が除かれている必要はない。また、第三の上清の調製物等であっても、第三の上清に由来するものでれば、第三の上清として扱うことができる。
還元剤としては、公知のタンパク質用の還元剤が使用でき、例えば、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、システイン、グルタチオン等を挙げることができるが、これらに限定されず、好ましい還元剤を適宜選択することができる。なかでも、本実施形態のタンパク質分離方法においては、還元剤としては、ジチオスレイトール(DTT)が好ましい。
溶液III中の還元剤の濃度は、0.0001〜1(w/v)%であることが好ましく、0.002〜0.05(w/v)%であることがより好ましく、0.005〜0.5(w/v)%以下であることがさらに好ましい。
血液並びにその液体成分である血清及び血漿中では、アルブミンやIgGなどの約20種類の高濃度タンパク質が総タンパク量の99%を占めている。本実施形態のタンパク質分離方法では、試料として、血液、血清、血漿を用いた場合であっても、第二の上清と還元剤とを混合することで、タンパク質間のジスルフィド結合が切断され、高濃度タンパク質が不安定化して沈殿するために、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
また、前記第二の上清と還元剤とを混合することにより、前記第二の上清に含まれるタンパク質間の相互作用が弱められ、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
アポリポプロテインとしては、アポリポプロテインA-I、アポリポプロテインA-II、アポリポプロテインB-100等を例示できる。
しかし、本実施形態のタンパク質分離方法では、第二の上清と還元剤とを混合して得られた溶液IIIから分離された第三の上清をさらに分離するものである。例えば、試料中ではアルブミンと結合していたタンパク質であっても、第三の上清中では、界面活性剤又はカオトロピック試薬の作用より、該タンパク質はアルブミンから解離されている。したがって、第三の上清から、さらに、アルブミン等の高濃度タンパク質を除去する操作を行っても、従来法ではアルブミン除去時にアルブミンと一緒に除去されていたタンパク質を抽出することが可能である。
また、本実施形態においては、第三の上清から、上記アルブミン等の高濃度タンパク質を除去することを例示したが、試料からアルブミン等の高濃度タンパク質を先ず除去してから、本発明のタンパク質分離方法を行うことを妨げるものではない。
本実施形態のタンパク質分離方法は、
タンパク質を含有する試料中からタンパク質を分離する方法であって、
前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iを分離処理することにより、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離し、
前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合して溶液IIを得て、前記溶液IIを分離処理することにより、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離し、
前記第二の上清と還元剤とを混合して溶液IIIを得て、前記溶液IIIを分離処理することにより、前記溶液IIIから第三の沈殿物及び第三の上清を分離し、
前記第三の上清にタンパク質の分離処理を行い、溶液IVを得て、前記溶液IVを分離処理することにより、第四の沈殿物を分離するものである。
タンパク質の分離処理方法としては、第三の上清中のタンパク質を分離できる方法であれば、特に制限はなく、例えば、塩析、硫安沈殿、アルコールによる沈殿、TCA沈殿、アセトン沈殿、TCA/アセトン沈殿、カプリル酸沈殿等を挙げることができる。
溶液IV中のTCA溶液の濃度は、0.0001〜50(w/v)%であることが好ましく、0.002〜20(w/v)%であることがより好ましく、0.005〜10(w/v)%であることがさらに好ましい。
タンパク質の多くは酸性pHに等電点を有することから、例えば、TCA溶液を混合することにより、高い回収率でタンパク質を分離することができる。
本発明のタンパク質分析方法は、本発明のタンパク質分離方法で得られた分離物を分析対象に用いるものである。
本発明のタンパク質分離方法で得られた分離物とは、試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離することにより得られた物、前記第一の上清に界面活性剤又はカオトロピック試薬を混合して溶液IIを得て、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離することにより得られた物、前記第二の上清に還元剤を混合することにより溶液IIIを得て、前記溶液IIIから第三の沈殿物及び第三の上清を分離することにより得られた物、前記第三の上清にタンパク質分離処理を行うことにより得られた物であって、例えば、上述した第一の沈殿物、第一の上清、第二の沈殿物、第二の上清、第三の上清、第三の沈殿物、第四の沈殿物並びに、第二の上清又は第三の上清から、アルブミン、IgG、トランスサイレチン、補体系タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、IgA、サイロキシン結合グロブリン、α2−マクログロブリン、IgM、アンチトリプシン、ハプトグロビン、リポプロテイン、アポリポプロテイン、α1−酸性糖タンパク質、及びそれらの断片からなる群から選ばれる一種以上のタンパク質を除去して得られた物を例示できる。
本発明のタンパク質分離キットは、本発明のタンパク質分離方法に用いられるタンパク質分離キットであって、ホウ酸を備えるものである。
本発明のタンパク質分離キットは、ホウ酸を備えているので、簡便にタンパク質の分離を行うことができる。
本発明のタンパク質分離キットが、さらに界面活性剤を備えることで、タンパク質間の相互作用を低減させるため、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
本発明のタンパク質分離キットが、さらに還元剤を備えることで、タンパク質間のジスルフィド結合が切断され、タンパク質を不安定化させるため、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
さらに、本発明のタンパク質分離キットは、タンパク質分離用溶液をさらに備えていてもよい。タンパク質分離用溶液としては、塩析、硫安沈殿、アルコールによる沈殿、TCA沈殿、アセトン沈殿、TCA/アセトン沈殿、カプリル酸沈殿等に用いる溶液が例示される。タンパク質分離用溶液は、固体状でキットに含まれ、キットの使用時に溶媒に溶解して用いてもよい。溶媒としては、水、緩衝液等を用いることができる。
本発明のタンパク質分離キットが、さらにタンパク質分離用溶液を備えることで、多くのタンパク質を沈殿させることでき、分離可能なタンパク質の種類を増加させることができる。
ヒトから採取した血清25 μLを[溶液1(600 mMのホウ酸の水溶液)]1 mLに滴下し攪拌後、19,000 × g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、沈殿物及び上清を得た。上清は後述のPF2法に使用した。得られた沈殿物に前記[溶液1]500μLを添加し撹拌後、19,000× g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、得られた沈殿物をPF1として回収した。
上記のPF1法で回収した上清全量に[溶液2(0.5 (w/v)% SDSの水溶液)]20 μLを滴下し攪拌後、19,000 × g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、沈殿物及び上清を得た。得られた沈殿物に前記[溶液2]800μLを添加し撹拌後、19,000× g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、得られた沈殿物をPF2として回収した。
上記のPF2法で回収した上清全量に[溶液3(1MのDTT溶液)]40μLを滴下し攪拌後、95℃で10分間加熱し、その後氷温で10分間冷却した後、19,000 × g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、沈殿物及び上清を得た。得られた沈殿物に前記[溶液3]800μLを添加し撹拌後、19,000× g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、得られた沈殿物をPF3として回収した。
上記のPF3法で回収した上清全量に[溶液4(20%のTCA溶液)]1mLを滴下し攪拌後、19,000 × g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、沈殿物及び上清を得た。得られた沈殿物に前記[溶液4]800μLを添加し撹拌後、19,000× g, 15 min, 4 ℃で遠心分離し、得られた沈殿物をPF4として回収した。
レーン1:分子量マーカー
レーン2:未処理血清
レーン3〜6:PF1
レーン7〜10:PF2
レーン11〜14:PF3
レーン15〜18:PF4
レーン19:分子量マーカー
質量分析計:Q−Exactive(Thermo Fisher Scientifec社製)
HPLC:Easy−nLC1000(Thermo Fisher Scientifec社製)
分析カラム:nano−HPLC Capillary C18 analytical column,75μm I.D.×120mm(Nikkyo Technos社製)
溶媒 A:H2O(0.1% FA),B:90% ACN/10%H2O(0.1% FA)
溶媒流速:300nL/min
120分の測定で12回測定
<データベース検索>
SEQEST、PEAKS Studioの2種類の検索方法を使用
Database:SwissProt
その結果を図7に示す。図7に示したように、ホウ酸濃度の変化により、各画分に含まれるタンパク質が変化した。この結果、溶液1中のホウ酸濃度を変化させることによって、PF1及びPF2に含まれるタンパク質を調整することが可能であることが判明した。
Claims (18)
- タンパク質を含有する試料中からタンパク質を分離する方法であって、
前記試料にホウ酸を添加し、前記ホウ酸及びタンパク質を含む溶液Iを得て、前記溶液Iから第一の沈殿物及び第一の上清を分離することを特徴とするタンパク質分離方法。 - 前記溶液Iに含まれる前記ホウ酸の濃度が100mmol/L〜飽和濃度である請求項1に記載のタンパク質分離方法。
- 前記試料に添加する前記ホウ酸が、前記ホウ酸を含むホウ酸溶液であり、前記ホウ酸溶液の濃度が100mmol/L〜飽和濃度である請求項1又は2に記載のタンパク質分離方法。
- 前記溶液Iを分離処理することにより、前記第一の沈殿物及び前記第一の上清を分離する請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 前記第一の上清と界面活性剤又はカオトロピック試薬とを混合して溶液IIを得て、前記溶液IIから第二の沈殿物及び第二の上清を分離する請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 前記溶液IIを分離処理することにより、前記第二の沈殿物及び前記第二の上清を分離する請求項5に記載のタンパク質分離方法。
- 前記第二の上清と還元剤とを混合して溶液IIIを得て、前記溶液IIIから第三の沈殿物及び第三の上清を分離する請求項5又は6に記載のタンパク質分離方法。
- 前記溶液IIIを分離処理することにより、前記第三の沈殿物及び前記第三の上清を分離する請求項7に記載のタンパク質分離方法。
- 前記試料、前記第一の沈殿物、前記第一の上清、前記第二の沈殿物、前記第二の上清、前記第三の沈殿物又は前記第三の上清から、アルブミン、IgG、トランスサイレチン、補体系タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、IgA、サイロキシン結合グロブリン、α2−マクログロブリン、IgM、アンチトリプシン、ハプトグロビン、リポプロテイン、アポリポプロテイン、α1−酸性糖タンパク質、及びそれらの断片からなる群から選ばれる一種以上のタンパク質を除去する工程をさらに含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 前記第三の上清にタンパク質分離処理を行い、溶液IVを得て、前記溶液IVから第四の沈殿物を分離する請求項7〜9のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 前記溶液IVを分離処理することにより、前記第四の沈殿物を分離する請求項10に記載のタンパク質分離方法。
- 前記試料が体液である請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 前記試料が血清又は血漿である請求項1〜12のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法で得られた分離物を分析対象に用いることを特徴とするタンパク質分析方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質分離方法に用いられるタンパク質分離キットであって、ホウ酸を備えることを特徴とするタンパク質分離キット。
- 界面活性剤又はカオトロピック試薬をさらに備える請求項15に記載のタンパク質分離キット。
- 還元剤をさらに備える請求項15又は16に記載のタンパク質分離キット。
- タンパク質分離用溶液をさらに備える請求項15〜17のいずれか一項に記載のタンパク質分離キット。
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JP2016141648A (ja) * | 2015-02-02 | 2016-08-08 | 学校法人北里研究所 | タンパク質分離方法、タンパク質分析方法、及びタンパク質分離キット |
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JP2016141648A (ja) * | 2015-02-02 | 2016-08-08 | 学校法人北里研究所 | タンパク質分離方法、タンパク質分析方法、及びタンパク質分離キット |
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