JP2015505619A - 一回の分析における多数の分析物の選択物質に基づく認識および定量のためのシステムと方法 - Google Patents

一回の分析における多数の分析物の選択物質に基づく認識および定量のためのシステムと方法 Download PDF

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Abstract

サンプル溶液中の多数の分析物を同時に分析するための多次元方法において、測定すべき分析物を含有するサンプル溶液に、そのサンプル溶液中の分析物の1つ以上に親和性を有する親和性選択物質を添加する工程;親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成させる工程;選択的吸着技法を使用して、第1の分離次元で、その形成された免疫複合体を、サンプル溶液中の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程;分割された免疫複合体を解離する工程;選択的吸着技法を使用して、第2の分離次元で、その解離された免疫複合体の分析物および親和性選択物質を互いから分離する工程;および分析物をその質量電荷比にしたがって分割する工程を有してなる方法が提供される。

Description

関連出願の説明
本出願は、2012年2月2日に出願された米国仮特許出願第61/594193号(代理人事件番号PERF−P0006−US)からの優先権を主張するものであり、2010年3月10日に出願された米国特許出願第12/721173号(代理人事件番号PERF−P0004−US)およびこれも2010年3月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2010/026819号(代理人事件番号PERF−P0001−WO)の一部継続出願であり、その開示がここに全て明白に引用される。
本開示は、広く、抗原を分析するための多次元分析方策(multi-dimensional analytical strategy)およびシステムに関し、特に、一回の分析において多数の分析物を分析するための、親和性選択物質(affinity selector)に基づく認識および定量システムおよび方法に関する。
100,000ほどの成分の混合物中で1つの分析物を測定することは、厄介な仕事である。60年以上も昔、分析者は、生物学的抽出物または血液から抗原およびハプテンをそれらの化学構造に基づいて結合させ、精製するために、抗体の構造的選択性を使用できると認識し始めていた。この技法は、1960年にラジオイムノアッセイ(RIA)の研究でロサリン・ヤローがノーベル賞を受賞したほど重要になってきた。酵素結合免疫吸着法(ELISA)と共に、これらの二種類の技法が、抗原をpg/mLレベルまで測定する簡単な方法を世界にもたらした。
RIAおよびELISA両方の基本的構成要素は、アッセイの第1工程においてサンプルから抗原を選択するための固定化された抗体の使用である。これらの手法が開始されてから、分析免疫学者は、表面での抗体の結合により、重大な反応速度的制限が導入されることを理解してきた。例えば、抗原は、分子の寸法の観点から相当な距離を移動して表面に到達しなければならず、それによって、抗原結合が試験管やマイクロタイタウェル中で行われるのに必要な時間の量が増えてしまう。さらに、アッセイに使用される抗体の全ては、アッセイウェルの表面で、または粒子上で一緒に集まるのに対し、抗原は、溶液中に均一に分布している。ELISAをマイクロタイタウェル中で行う場合、抗原が、抗体が結合されているウェルの壁まで拡散する時間を見越して、一日以上のインキュベーション時間が典型的に使用される。RIAの場合に拡散問題を最少にする努力には、抗体が固定化された非常に小さな無機粒子を多数使用することがあった。過去数年の間に、上述した拡散問題を最少にするために、数多くのタイプの混合、流動、加熱、および音波処理の手段さえ使用されてきた。これらの努力にもかかわらず、拡散問題はまだ存在する。
分析化学が発展するにつれて、多数の分析物を同時に測定するときに、サンプルに関与する様々な問題に対して、より良くより完全な解決策が得られることが認識されてきた。このことは、次に、一回の分析の過程でサンプル中において多数の分析物が分析される、「分析多重化(analytical multiplexing)」への関心の増加をもたらした。これは免疫学的検定により行われることが多い。
免疫学的検定における関心は、微小電気機械システム(MEMS)の人気と成功に端を発する。大規模の多重化には、高スループット技法および並列処理技法を含むいくつかのタイプの抗体アッセイが使用されてきたのに対し、他の手法では、総分析時間およびアッセイ当たりの費用の最小化に関心を持つ臨床研究所に必要とされるように、少数のサンプルに関する大規模の多重化に焦点を当ててきた。どの手法が使用されるかにかかわらず、免疫学的検定システムではまだ、抗体の固定化および反応速度論に関する難題に直面している。抗体が、固定化後に、特にそれらが表面に不適切に方向付けられている場合、完全な活性を維持するか否かに関する問題もある。立体構造問題も、特に表面に対する抗体の方向付け、並びにその充填密度に関して、検討しなければならない。最後に、再現性も、特に、表面に置かれたピコリットルの容積の溶液から固定化抗体を再現することは非常に難しいので、要因の1つである。蒸発、並びに無数の他の現象によっても、固定化のタイタプレートレベルで経験したものより再現性が低下してしまう。
表面に到達するまで抗原が拡散しなければならない距離は、マイクロタイタウェル中よりも免疫学的検定におけるほうが小さいが、反応速度的課題がまだ、免疫学的検定に関する重大な制限である。このことは特に、低い抗原濃度で当てはまる。抗原が溶液中の全ての地点からアレイ要素の内の1つに拡散するのに相当な量の時間が必要である。抗原:抗体複合体の形成における分子のドッキングには正確な空間配向性が必要であるので、抗原は一般に、正確な捕獲配向を確立する前に、表面に何回も衝突する。例えば、抗原が、128の要素アレイ上の表面と衝突した後に捕獲されない場合、二回目に表面に衝突する前に、航行する大きな空間がある。
上述したように、粒子に基づくアッセイが、RIAおよびヤロー(Yalow)の手法から始まった。現在、ヤローの手法は、2つのタイプのアッセイシステムに進歩した:1)個々の粒子の蛍光が試験されるフロー・サイトメトリーアッセイに使用される粒子手法(例えば、Luminexシステム);および2)免疫複合体が形成される磁気粒子上に抗体が配置され、次いで、粒子が溶液から取り出され、さらなる測定のために抗原が放出される手法(例えば、Leigh AndersonのSISCAPAシステム)。多重化には、測定されている各抗原に関する異なるセットの免疫吸着ビーズの調製が必要である。これは、サンプル溶液に20〜50の異なるセットの抗体担持ビーズをサンプル溶液に加える必要があり、それによって、適切な抗体粒子の発見に関して、抗原の反応速度論的制限がより大きくなることを意味する。その上、溶液は多くの粒子で混雑するため、抗原は、その抗体を担持していない粒子を避けて拡散しなければならない。これらの制限に対処するために提案された解決策の1つは、多数の抗体を1つの粒子に固定化することである。しかしながら、この解決策は、拡散と化学量論的制御の問題に完全には対処していない。さらに、粒子表面上の抗体濃度の希釈は、抗原は粒子表面に衝突できるが、それらの抗体には接触しないことを意味する。さらに、総表面積、それゆえ、必要な粒子の総数は、まだ多いままであろう。
フロー・サイトメトリー方策(Luminexシステムなどの)に関して、免疫複合体は、フロー・サイトメトリーにより分析できる以前に、粒子表面上に形成されなければならない。このシステムは上述したものに非常に似ているが、各ビーズは、1つの抗原を標的とする1つの抗体を担持している。重ねて、抗原の捕獲において拡散問題がある。
哺乳類の免疫系の機能は、全てが同時ではないが、数千の抗原を取り扱うことであることは興味深い。個々の哺乳類において異物に対する免疫が働くときに、数千の免疫原に対する抗体が産生される。これらの抗体は、血液中を循環する免疫グロブリン内に含まれており、抗原:抗体複合体が形成されるときに、いつでも、数百の抗原が隔絶されている。哺乳類の免疫系を分析する際に、抗体は、免疫複合体を形成するときに、溶液中で機能するように進化すると結論付けられる。溶液中での機能に加え、それらの抗体は、多数の抗原を同時に隔絶し、固定化抗体アッセイ系内で見られる制限がいくつかしかない。
哺乳類の免疫系の上述した観察は、特に、溶液中の免疫複合体の形成が自然に効率的であるのに対し、固定化表面上での複合体の形成はそうではないことを明らかに示唆しているので、極めて重要である。さら、いくつかの免疫複合体は、溶液(血液などの)中で同時に形成し得ることが明白であり、このことは、分析多重化プロセスを実施するときに達成するのに必要な要因である。最後に、免疫学的検定に共通して影響する問題のほとんど(例えば、固定化中の活性の損失、抗体の適切な方向付け、拡散反応速度論および十分な表面積を有すること)は、これらの天然溶液に基づく系内では一般的ではない。
自然に形成される免疫複合体の上述した利点にもかかわらず、そのような免疫学的検定ではまだ、サンプルに抗体を添加する必要があり、このことは懸念であり得る。例えば、多数の抗体を血漿サンプルに添加すると、タンパク質濃度が、分析物の拡散が妨げられるようなレベルまで増加するかもしれない。この問題は、その面に関するように思われるかもしれないが、さらに調べると、この問題はおそらく重要ではないと結論付けられる。より詳しくは、血漿中の血清アルブミンの平均濃度は、約50から約100mg/mLの範囲に存在するのに対し、免疫グロブリンは、約4mg/mLの量で存在し、任意の特定の抗体の濃度は、おそらく、約1から約100μg/mLの範囲にある。分析測定を実施するために必要な抗体の濃度が10μg/mLであると仮定し、100の抗体が血漿サンプルに加えられる場合、タンパク質濃度の総増加は約1mg/mLであろう。同様に、血漿サンプル中のタンパク質濃度が75mg/mLであった場合、タンパク質濃度の増加は約1.3%であろう。それゆえ、100倍の多重化分析を行うために血漿に100の抗体を添加することは、タンパク質濃度、溶液の粘度、および最終的な分析物の拡散にはほとんど影響はないと結論付けられる。さらに、数千の抗体でも、10mg/mLの質量しか加わらない、すなわち、タンパク質濃度の14%の変化しか生じないであろう;このことは、重ねて、分析に影響を与えるほどおそらく十分ではないであろう。
1960年以前は、免疫学的検定は一般に、個々の抗原を標的にし、「沈降反応」と呼ばれるプロセスにより溶液中で行われていた。免疫複合体が形成された後、アッセイに使用されているポリクローナル抗体混合物は、沈殿物を形成するか、炭水化物またはエチレングリコールポリマーの添加によってそのように誘発された。抗原濃度は光散乱により測定された;しかしながら、この手法に関連する感度と線形性の欠如、並びに沈降アッセイでは一度に1つの抗原しか検定できないという事実のために、この方法は終焉し、最終的に、ずっと感度の高いRIA法およびELISA法に移行することとなった。沈降反応法の失敗にもかかわらず、溶液に基づく免疫複合体形成手法は、それでもまだ、選択性および検出感度が大幅に改善されれば、免疫学的検定にとって有用になり得ると推論することができる。
元の沈降手法およびRIA手法は、抗原測定の実施に1つの選択方法(例えば、1つの抗体)に依存していたが、今日では、抗原とサンプル中の他の化学的実体の全てとを識別するには、たった1つの抗体では十分には選択的ではないと認められている。現在の免疫学的検定は、選択および/または識別の多次元で構築されており、これらの次元の各々が直交選択性(orthogonal selectivity)のものであれば、特に理想的である。
本開示は、抗原を分析するための新規の多次元分析方策およびシステムを提供することによって、上述した従来技術の欠点の少なくとも1つを克服するまたは改善する、もしくはそれに対して有用な代替案を提供する。
本開示の1つの形態において、抗原分析のための多次元分析方策を提供する。本開示のこの態様によれば、サンプル溶液中の抗原は、分析の第1次元中に可溶性免疫複合体における抗体により隔絶される。分析プロセスの始めに溶液に加えられる抗体は、多次元プロセスのその後の工程における定性および定量分析のために抗原と結合する特別な目的のためである。交差反応抗原、非特異的に結合した物質、および抗原に二次的に関連する種も、第1次元において免疫複合体に吸着されるかもしれず、分析の後の次元で除去される。次いで、第1次元において形成された免疫複合体の特有な特徴を、分析の第2次元で活用して、隔絶する抗体の特別な特徴を標的とする分子サイジングシステムまたは収着媒体を使用して、溶液中でとっている大きさ(hydrodynamic volume)に基づいて、サンプル中の他の成分からそれらを分割する(resolve)。これら2つの特徴のいずれかに基づく分別はエピトープ:パラトープ認識に対して直交しており、第3および第4次元における識別は、表面(逆相またはイオン交換媒体上のものなど)からの吸着と差別溶出と共に分析物特異的化学修飾(誘導体化またはタンパク質分解など)およびサイズ識別またはサイズ排除および疎水性吸着(制限されたアクセスの媒体に関するような)に及ぶ様式の組合せで行われる。選択される特定の識別機構、およびそれらが組み合わされる順序は、標的とされている分析物の化学的性質および最初の2つの次元に使用される分別機構に依存する。第5次元とそれ移行の分析の次元は、質量分析から蛍光検出器および電気化学検出器までに及ぶ検出システム内で行われる。質量分析検出システムを使用するある実施の形態によれば、分析物は、第5次元においてその質量にしたがって分割され、第6次元において分析物の解離(dissociation)が衝突誘起され、第7次元において結果として生じた断片イオンの質量分析が行われる。
本開示の別の形態によれば、サンプル溶液中の多数の分析物を同時に分析する多次元方法を提供する。本開示のこの態様によれば、本開示の方法は、サンプル溶液に親和性選択物質を添加して、親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成する工程;第1の分離手段を提供して、形成された免疫複合体を、サンプル溶液中の他の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程;第2の分離手段を提供して、サンプル溶液中で分析物を互いからある程度または完全に分割する工程;および質量電荷比にしたがって分析物を分割する工程を有してなる。
本開示さらに他の態様によれば、サンプル溶液中の多数の分析物を同時に分析する多次元方法を提供する。本開示のこの態様によれば、本開示の方法は、測定すべき分析物を含むサンプル溶液に親和性選択物質を添加する工程であって、親和性選択物質が、サンプル溶液中の分析物の1つ以上に親和性を有するものである工程;親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成させる工程;形成された免疫複合体を、サンプル溶液中の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程;分割された免疫複合体を解離させる工程;表面吸着プロセスによって分析物を捕獲することによって、解離した免疫複合体の分析物および親和性選択物質を互いから分離する工程;捕獲された分析物を検出手段に移送する工程;および質量電荷比にしたがって分析物を検出手段により分割する工程を有してなる。
本開示のある態様において、形成された免疫複合体は、分析物または形成された免疫複合体を水中でとっている大きさにしたがって分離すること、親和性選択物質または分析物の特有の構造的特徴を標的にして、分析物または形成された免疫複合体の抗体を捕獲すること、オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションすること、またはビオチン化された親和性選択物質を固定化されたアビジンで吸着し捕獲することによって、完全にまたはある程度分割される。
本開示のさらに他の態様において、サンプル溶液中の分析物および親和性選択物質は、水中でとっている大きさにしたがって分離分析物または形成された免疫複合体を分離すること、疎水性表面から分析物を吸着し、差別溶出すること、親和性選択物質または分析物の特有の構造的特徴を標的にして、分析物または形成された免疫複合体の抗体を捕獲すること、オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションすること、ビオチン化された親和性選択物質を固定化されたアビジンで捕獲すること、分析物を吸着し、帯電表面から差別溶出すること、分析物を吸着し、固定化された金属親和性キレート剤から差別溶出すること、または分析物を吸着し、ボロン酸の豊富な表面から差別溶出することによって、互いから分離される。
本開示の教示にしたがって分析される分析物は、以下に限られないが、分析物断片、分析物誘導体および分析物同位体異性体の少なくとも1つを含むであろう。さらに、本開示の教示の親和性選択物質は、以下に限られないが、抗体、抗体断片、アプタマー、レクチン、ファージディスプレイタンパク質受容体、細菌タンパク質およびオリゴヌクレオチドの少なくとも1つを含むであろう。ある実施の形態によれば、細菌タンパク質は、Gタンパク質、Aタンパク質およびある微生物によって産生される、別の微生物からのタンパク質を標的とするタンパク質の少なくとも1つを含み得るのに対し、オリゴヌクレオチドは、RNA、DNAおよびPNAの少なくとも1つを含み得る。
本開示のある実施の形態によれば、分析物および親和性選択物質は、固定化抗体を有する親和性選択物質の特有の構造的特徴を標的にすることによって、互いから分離される。これらの特定の実施の形態によれば、標的にされている特有の構造的特徴は、以下に限られないが、親和性選択物質の別個の天然の構造的特徴、親和性選択物質に結合した(conjugated)ハプテンおよび親和性選択物質に結合したイムノゲンの少なくとも1つを含むであろう。
本開示のいくつかの態様によれば、分析されている分析物は、質量電荷比にしたがって分離された分析物の親イオンを特異的に検出する質量分析法を使用して検出可能なイオン化された分析物を含む。
本開示のある態様によれば、分析物は、(a)質量電荷比にしたがって分離された分析物をイオン化し;(b)気相断片化プロセスを使用することによって、工程(a)からの親イオンの断片イオンを生成し;(c)質量電荷比にしたがって工程(b)からの生成された断片イオンを分離し;(d)工程(c)からの生成された断片イオンが検出器表面と衝突するときに生じる相対イオン電流を記録する;統合工程を実行するように構成された検出手段を使用することによって、分割される。ある実施の形態によれば、分析物を分割するのに使用される検出手段に関して、分析物は、以下の技法:質量分析、吸光度分析、蛍光分析および電気化学分析の内の1つ以上によって検出される。
本開示のさらに別の実施の形態によれば、同位体標識内部標準を使用して、分析されている分析物の相対的または絶対的定量を行うことができる。さらに、順次付加の競合結合測定法を使用しても、分析物の相対的または絶対的定量を行うことができる。
本開示のさらに他の態様において、抗体濃度を、サンプル溶液から分析物のアリコートを収集するために考えることもできる。本開示のこれらの態様によれば、収集されたアリコートは、分析物を分割するために使用されている装置の最適検出範囲に適合するように構成される。
本開示のさらに別の形態によれば、複数の直交分離次元を使用してサンプル溶液中の多数の分析物を分析する方法を提供する。本開示のこの態様によれば、この方法は、サンプル溶液に親和性選択物質を添加して、親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成し、サンプル溶液中の1種類以上の抗原および干渉物質を独立して隔絶する工程;選択的吸着技法を使用して、第1または第2の直交分離次元で、順序にかかわらず、隔絶された1種類以上の抗原および干渉物質を除去する工程;第1の分離手段を提供して、形成された免疫複合体を、サンプル溶液中の他の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程;第2の分離手段を提供して、サンプル溶液中の分析物を互いからある程度または完全に分割する工程;および分析物を質量電荷比にしたがって分割する工程を有してなる。
本開示のさらに別の態様によれば、サンプル溶液中の分析物を同時に分析する方法であって、サンプル溶液に親和性選択物質を添加して、親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成する工程;第1のクロマトグラフィー用カラムを提供することによって、形成された複合体を、サンプル溶液中の他の非複合体物質から分離する工程;形成された複合体を解離する工程;第2のクロマトグラフィー用カラムの表面吸着により分析物を捕獲することによって、分析物を親和性選択物質から分離する工程;捕獲した分析物を、第2のクロマトグラフィー用カラムに連結された第3のクロマトグラフィー用カラムに移送する工程;および捕獲された抗原またはその断片を、それらが第3のクロマトグラフィー用カラムから溶出するときに分析する工程を有してなる方法を提供する。
本開示のある態様によれば、非複合体物質は、添加された親和性選択物質により標的とされたエピトープを有さない物質を含む。
本開示のさらに他の態様において、形成された複合体を、サンプル溶液中の他の非複合体物質から分離するために使用されるクロマトグラフィー用カラムは、サイズ排除クロマトグラフィー用カラム、吸着剤(sorbent)が充填された制限アクセス媒体カラム(restricted access media column)、一般部類の添加された親和性選択物質を標的とするように構成された抗体カラム、添加された親和性選択物質の全てを標的とするように構成されたタンパク質AまたはGカラム、添加された親和性選択物質の1つ以上に付着したオリゴヌクレオチドに相補的な固定化DNAを有するDNAオリゴヌクレオチドカラム、添加された親和性選択物質の1つ以上に付着したビオチンを標的とするように構成されたアビジンカラム、および添加された親和性選択物質の自然に生じるまたは合成により形成された特徴を選択するように構成されたクロマトグラフィー用カラムの少なくとも1つから選択される。
本開示のさらに他の態様によれば、表面吸着により分析物を捕獲することによって、分析物を親和性選択物質から分離するために使用されるクロマトグラフィー用カラムは、逆相クロマトグラフィー用カラム、制限アクセス媒体カラム、免疫吸着剤、固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー用カラム、イオン交換カラム、およびクロマトグラフ保持機構の少なくとも1つから選択される。
本開示のある態様によれば、親和性選択物質は、以下に限られないが、アプタマー、タンパク質A、タンパク質G、ファージディスプレイタンパク質、天然受容体、レクチン、DNA、RNA、合成親和性試薬、または親和性捕獲剤と分析物との間に複数の分子間複合体を形成するための分析物に対する親和性を示すいくつかの他の種を含む。
本開示のさらに別の態様によれば、サンプル溶液中の多数の分析物を同時に分析するための多次元方法は、測定すべき分析物を含有するサンプル溶液に、そのサンプル溶液中の分析物の1つ以上に親和性を有する親和性選択物質を添加する工程;親和性選択物質と分析物との間で免疫複合体を形成させる工程;選択的吸着技法を使用して、第1の分離次元で、その形成された免疫複合体をサンプル溶液中の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程;分割された免疫複合体を解離させる工程;選択的吸着技法を使用して、第2の分離次元で、その解離された免疫複合体の分析物および親和性選択物質を互いから分離する工程;および分析物をその質量電荷比にしたがって分割する工程を有してなる。
本開示の上述した利点と他の利点、およびそれらを得る様式が、添付の図面と共に本開示の実施の形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、本開示自体がより理解されるであろう。
本開示の教示により複合体を形成するために分析物と複合体を形成する親和性選択物質に基づく多数の分析物の同時分析を示す多次元説明図 本開示の教示による制限アクセス媒体(RAM)粒子の説明図 本開示の教示による半透性表面(SPS)支持体の説明図 本開示の教示による親和性選択物質により複合体サンプルマトリクスから捕獲されたタンパク質の直接質量分析(MS)のための分析プロトコルを示す図 本開示の教示による、内部が親水性ゲルであり、外部が固定化トリプシンにより被覆されている、制限アクセスカラムの説明図 本開示の教示によるトリプシン=RAMカラムに含まれる被覆の合成を示す図 本開示の教示によるさらなる分析の前の、親和性選択物質により複合体サンプルマトリクスから捕獲され、次いで、蛋白分解が施されるタンパク質の質量分析のための分析プロトコルを示す図 本開示の教示による分析の停止されたフローモードにおける固定化酵素カラムに高圧を印加できるようにする例示のバルブシステムを示す図 本開示の教示によるポリクローナル抗体親和性選択物質により捕獲されるハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルを示す図 本開示の教示によるビオチン化された親和性選択物質により捕獲されるハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルを示す図 本開示の教示によるDNA、RNA、またはPNA親和性選択物質により捕獲されるハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルを示す図 本開示の教示による分子サイズに基づいて免疫複合体を断片化するために使用されるプロトコルを示す図 本開示の教示による多数の分析物を同時に分析するプロセスに基づく親和性選択物質の高分解能分析を実施することのできる装置プラットホームの液体クロマトグラフィー構成部材の説明図
以下に記載される本開示の実施の形態は、網羅的であること、または以下の詳細な記載に開示された正確な形態に本開示を制限することを意図したものではない。むしろ、実施の形態は、当業者が、本開示の原理および実施を認識し理解できるように選択され、記載されている。
上述したように、本開示は、広く、抗原を分析するための多次元分析方策およびシステムに関する。以下に詳しく説明するように、本開示の教示のある際立った特徴は、第1次元においてサンプル溶液中で分析物と多数の分子間複合体を形成する能力であり、その後、第2次元におけるあるタイプの分子間複合体の分離、これにより、第3次元におけるさらなる断片化または化学反応のための分画が生成され、その後、第3次元の非常に特異的なタイプの分離または化学反応が続く。本開示の教示のある態様において、次いで、第3次元の後に、特に多次元分析プロセスの終わりに、1)調査されている各物質(分析物)を個々に特定し、定量できる、または2)密接に関連した部類の分析物を一緒に測定できるように、さらに高次の分析を利用しても差し支えない。
ここで、図1に移ると、本開示による複合体(S*:A)を形成するために分析の第1次元で分析物(A)と複合体を形成する親和性選択物質(S*)(抗体、アプタマー、レクチン、タンパク質G、タンパク質A、ファージディスプレイタンパク質、または結合タンパク質などの)に基づいた多数の分析物の同時分析のためのスキームが示されている。本開示のある態様による各分析物に、特定の親和性選択物質が一般に使用されるが、他の態様において、多くの糖蛋白質に結合したルイスx抗原を標的とする抗体に見られるように、多数の分析物と複合体を形成する親和性選択物質もあり得る。
第1次元(すなわち「親和性選択次元」)に関して、この次元におけるプロセスは、親和性選択物質(S*)の分析物との複合体形成に基づく。Sについている記号(*)は、親和性選択物質の特有の構造的特徴、またはより高次において後にそれを選択する際に活用される複合体を示す。
この第1次元の分析物の分析は、以下の式1に記載されるように、溶液中での個々の複合体の形成で始まる:
式中、S*は、IgGまたはIgM抗体、レクチン、結合タンパク質、DNA種、RNA種、または分析物(A)に対して結合親和性を有する任意のタイプの種などの親和性選択物質であり;S*:Aは、親和性選択物質(S*)と特定の分析物(A)の会合により形成される非共有結合複合体である。特定の親和性選択物質S*は、その親和性選択物質の選択性に応じて、単一の分析物または多数の分析物と複合体を形成することができる。分析物は、抗原、ハプテン、またはS*に対して親和性を有する測定されている任意の分析物であっても差し支えない。S*:A複合体は、各分析物について形成される。括弧内にS*またはAを入れることは、リットル当たりのモルで表されたそれらの濃度を表す。
それは一般に:
の場合であり、式中、Kb1は、特定の分析物(A1)に対する特定の親和性選択物質の結合定数である。結合定数は、解離速度で割られた複合体形成速度と等しい。溶液中に形成される各タイプの複合体は、そのような結合定数を有し、一般式:
により表すことができ、式中Anは任意の特定の分析物である。
ここでは要求されないが、ある実施の形態において、分析物に対する高い親和性および大きい結合定数(約106より大きい)を有する親和性選択物質を有することが有益である。さらに、ある実施の形態において、インキュベーション条件を変えることによって複合体を解離させることが、特定の次元における目的ではない限り、複合体S*:Aが、分析のその後の次元中に解離しないほどオフ速度(off-rate)が低い場合が有益である。それに加え、サンプル中の他の非抗原成分からの分離中に複合体をそのままに維持することが、考慮すべき重要な要素である。結合親和性が低い複合体を第2次元で分析できるが、複合体が解離する時間を持つ前に、分離が迅速に行われれば役立つことに留意すべきである。
本開示のある態様によれば、抗体などの親和性選択物質(S*)と分析物(A)との間で形成された複合体が沈殿しないことが望ましい。そのような沈殿を阻止するために、高レベルの架橋を促進しない、またはおそらく架橋を全く促進しない親和性試薬をこれらの実施の形態にしたがって使用することができる。分析物が低分子量のものである場合、特に、親和性選択物質の価数は典型的に、分子量の高い分析物に関して問題になると判断されたので、このことは、一般に問題ではない。抗体の場合、架橋した沈殿物を形成しそうにないので、低分子量の分析物を標的にする場合、ポリクローナルまたはモノクローナルいずれの抗体も使用することができる。タンパク質および他の高分子分析物について、モノクローナル抗体が沈殿物を形成しそうにない。抗体のFab断片が一価であるという事実のために、それらの抗体は、本開示の教示による親和性選択物質のよい候補となる。さらに、イオン強度、pHおよび添加剤も、溶液中に複合体を維持する役割を果たす。
本開示のさらに別の態様によれば、分析が行われるサンプルは、免疫複合体が形成される前、または免疫複合体が固相吸着剤上に親和性捕獲される前に、分別される。この随意的な工程の機能は、抗原がその成分である天然の複合体の間で分化された交差反応種を除去すること、抗原のアイソフォームの間で分化すること、または抗原の断片を認識することである。S*:A複合体(式1に示された)の親和性捕獲の前に交差反応種を除去すると、分析物の分析が大いに向上し、これは2つの様式で行うことができる。第1に、交差反応種がいくつかの顕著な特徴(例えば、特有のエピトープ、電荷特性、または疎水性)を有する場合、それらは、S*:A複合体の形成前、またはS*:A複合体の形成後であるが、その複合体の親和性吸着剤上への捕獲前のいずれかにサンプルから選択することができる。S*と交差反応(CR)種との間の複合体の形成を不可能にすることが1つの場合であるのに対し、別の場合では、S*:A複合体が捕獲される前にS*:CR複合体が除去される。
さらに他の実施の形態において、インタラクトームにおいて一般的なように、または抗原が自己抗体と部分的または完全に複合体を形成している場合、抗原は、S*:A;P1、S*:A:P2、S*:A:P3、およびS*:A:P4などのいくつかの異なる複合体におけるものであり、Pはあと1つの非分析物タンパク質である。これは、血漿中のサイログロブリンの場合である。さらに、これらの形成の内の1つが、疾病に関連した抗原の形態の分析に干渉するであろう。これらの複合体の間の分化は、S*:A複合体の形成前、またはS*:A複合体が捕獲される前に、複合体の1つ以上の形態を除去する免疫吸着剤で、複合体中の非分析物を標的とすることによって行われる。干渉する複合体の除去は、複合体中の非分析物を標的とする免疫吸着剤、またはイオン交換体、固定化金属親和性クロマトグラフィー用吸着剤、疎水性相互作用カラム、もしくは干渉する非分析物と分析物との間を分化するサイズ排除クロマトグラフィー用カラムなどの、いくつかの他のタイプの吸着剤いずれかによって行われる。この工程のさらに別の使用法は、抗原の天然の形態とより低い分子量のものである断片との間で分化することである。それは、抗原の断片または天然の形態のいずれかが、検出のために標的とされている所望の分析物である場合であり得る。重ねて、分化は、免疫吸着剤またはサイズ排除カラムのいずれかによっても行うことができ、抗原は、翻訳後修飾されたアイソフォーム中に存在し得る。それゆえ、この随意的な工程を使用して、干渉するアイソフォームを除去してもよい。
ここで図1に移り、複合体の形成後、全てのS*:A複合体は、分析の第2次元において非分析物から分離される。この分離工程は、親和性選択物質(S*)上のタグ(*)を標的とする高特異的選択プロセスから、静電または疎水性吸着、電気泳動またはさらにはサイズに基づく分離までに及ぶ様々な様式で行うことができ、その全てが以下に記載されている。分析のこの次元において必須の特徴は、複合体が、何らかの方法で、溶液の残りから、ある程度または完全に分割されなければならない。吸着によってこの工程を行うことが、以下の式2に示されており、ここでは、マトリクス(M)表面が、S*:A複合体が通過するときにこの複合体を吸着する。
この工程は多くの様式で行うことができる。理想的には、マトリクスは高比表面積(面積/単位容積)のものであり、溶液中の任意の点での表面までの距離は10μm以下である。マトリクスの表面は、誘導体化剤と容易に反応して、親和性選択物質のタグ(*)を標的とする一種の結合剤などの試薬の共有結合を可能にする官能基が豊富であるべきでもある。これらの結合剤の性質を以下に説明する。マトリクスの例には、固定相を支持するためのクロマトグラフィー用カラムおよびモノリス型クロマトグラフィー用カラムに使用されるシリカおよび有機樹脂粒子がある。所望の性質を有するクロマトグラフィー用粒子は、サイズが<20μmであり、約100から約500nmのサイズの細孔を有し、約40m2/mLを超える表面積を有する。モノリスの材料は、<10μmの貫通孔および約100と約500nmの間の第2組の細孔を有するシリカまたは有機樹脂である。
*の記号(*)は、吸着剤マトリクスに結合させる際に活用される親和性選択物質または複合体いずれかの特有の構造的特徴を示す。その特徴は、S*のみにおける構造要素であっても、またはS*:A複合体形成の結果として生じる新たな特徴であってもよい。この特有の構造的特徴は、Sに自然に生じても、またはタグとしてSに化学的に結合しても差し支えない。自然の特徴の例は、ヒトの免疫グロブリンに見つかるものとは独特に異なるマウス、ラット、ウシ、ブタ、またはウマの抗体におけるアミノ酸配列であろう。マトリクスMに付着した抗マウスIgG免疫吸着剤を使用すると、ヒト血漿からのマウス抗体を、それらが複合体を形成する抗原と共に選択することが可能になるであろう。
ある実施の形態において、半自然のタグを、ポリペプチド親和性選択物質の発現中にアミノ酸配列タグを産生させる遺伝子操作によって加えても差し支えない。本開示のこの態様によるそのような例の1つは、ペプチドテールが加えられた一本鎖抗体である。
本開示の他の態様によれば、親和性選択物質は、単独で、もしくはビオチン、ハプテン、高荷電基、またはオリゴヌクレオチドタグを選択物質(S*)に共有結合させることによって複合体を形成する分析物と共に、サンプルから抽出できる。オリゴヌクレオチドタグに関して、所望であれば、多数の異なる親和性選択物質を個別に標識付けることが可能であることをここでは理解し、認識すべきである。
本開示のさらに別の態様において、親和性選択物質は、以下の非限定的技法の1つ以上によって、分析物から分離することができる:水中でとっている大きさにしたがって分析物または形成された免疫複合体を分離する;分析物を吸着し、疎水性表面から区別をつけて溶出する;親和性選択物質または分析物の特有の構造的特徴を標的として、分析物または形成された免疫複合体の抗体を捕獲する;オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションする;ビオチン化された親和性選択試薬を固定化されたアビジンで捕獲する;分析物を吸着し、帯電表面から区別をつけて溶出する;分析物を吸着し、固定化された金属親和性キレート剤から区別を付けて溶出する;および分析物を吸着し、ホウ酸が豊富な表面から区別をつけて溶出する。
本開示の教示にしたがう別の非限定的例において、ヒト血漿サンプルに添加されたマウスまたはウサギ抗体を捕獲するために、抗抗体免疫吸着剤媒体が使用される。サンプルからのこれらの抗体の再捕獲の過程で、それらと複合体を形成した任意の物質も同様に捕獲される。S*A複合体を捕獲した後、他の弱く結合した成分の全てをサンプルから除去するために、表面に結合した複合体を大々的に洗浄する。この技法は、より一般に、抗親和性選択物質手法と称することもできる。この説明の実施の形態によれば、任意のタイプの親和性選択物質を標的とする抗体を使用して、複合体をサンプルから取り出すことができる。
多量の免疫グロブリン、タンパク質A、タンパク質Gおよび/またはいくつかの他の固定化されたものを含有しないサンプルに関して、S*が免疫グロブリンであるS*:A複合体を単離するために、抗体を標的とするタンパク質を使用することができる。この方法は、上述した抗抗体方策に非常に似ている。
本開示の別の非限定的例によれば、ビオチンで標識された親和性選択物質およびその複合体をサンプルから選択するために、アビジン吸着剤が使用される。重ねて、低い親和性で結合する物質をサンプルから除去するために、大々的な洗浄が使用される。
親和性選択物質は、調製された抗体のハプテンで標識つけられると想定される。この抗体を標的とするハプテンが固定化されると、S*:A複合体の単離に、第2次元の捕獲マトリクスが使用される。さらに、親和性選択物質がアプタマーである場合、第2次元のマトリクス(M)上に固定化されたオリゴヌクレオチド配列を使用することによって、サンプルから選択することができる。固定化された配列により標識付けられたアプタマーの配列は、複合体形成には使用されず、吸着剤表面の相補的配列と自由にハイブリダイゼーションできなければならない。
DNA、RNA、またはペプチド核酸(PNA)オリゴマーで標識付けられた親和性選択物質は、塩基対ハイブリダイゼーションにより、マトリクスM上の相補的DNA、RNA、またはPNA配列に結合できる。各親和性選択物質(抗体などの)は、8〜12塩基の特有のDNA配列で、個別に、またはグループで標識付けられる。その上、相補的オリゴヌクレオチド配列が取り付けられたMに接触する各標識付けられた親和性選択物質はハイブリダイゼーションにより結合するのに対し、吸着剤上に固定化された相補的DNA配列は、それらが溶出される様式に応じて、均一に分布されるか、または空間的にグループ化され得る。複合体を変性させる、または相補的ハイブリッドを解離する、またはその両方により、順次に溶出される場合、相補的オリゴヌクレオチドは、カラム中の異なる位置に配置される。それらが一緒にグループ化された場合、ヒートサイクルを含む、より複雑な連続的放出手法を使用しなければならない。
サイズに関して、マトリクスは、S*:A複合体を吸着する代わりに、S*:A複合体に対して異なる透過性を示す。小さい分析物が高分子の親和性選択物質と複合体を形成した後、この小さい分析物は高分子として挙動し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)用マトリクス、制限アクセス媒体(RAM)、または半透性表面(SPS)媒体、流動場分離(FFF)、ハイドロダイナミッククロマトグラフィー(HDC)、または膜濾過システムなどのサイズ識別分離器によって、溶液中の他の小分子から分離することが可能になる。高分子のS*:A複合体は、サンプル中の低分子量成分よりもずっと大きい分子量を有し、制限アクセス媒体(RAM)および半透性表面(SPS)カラムを含むサイズ分離システムによって容易に区別される。これらの媒体の細孔または半透性表面に入る、低分子量の疎水性物質は、区別をつけて吸着されるであろう。これは、RAMおよびSPSカラムは、サイズおよび疎水性相互作用機構の両方によって分子を分離していることを意味する。
ここで図2に移ると、制限アクセス媒体(RAM)粒子の説明図が示されている。この説明図によれば、RAM支持体は、一般に、マイクロメートル未満のシリカ粒子の集合体であり、こで、支持体の内面はステアリン酸により共有結合で誘導体化されており、支持体の外面は、構造−OCH2−CH(OH)−CH2OHのグリセロールエーテルにより誘導体化されている。マイクロメートル未満の粒子間の平均細孔直径は平均で約6nmであり、これにより、分子量が約20から約40kDを超えるほとんどのタンパク質の進入が不可能になる。反対に、約3kD未満のペプチドおよびハプテンは、RAM支持体の内部に容易に進入し、これらはそこに水から吸着される。
複合体の電気泳動分離は、電気泳動移動度または等電点いずれかの差によって行うことができる。ある例示の実施の形態によれば、親和性選択物質の電気泳動特性は、溶液中の他の種のものとは非常に異なることが望ましい。このことは一般に、溶液中のタンパク質に対するDNAまたはRNAに基づく選択物質に当てはまるが、DNAまたはRNAとの複合体におけるペプチドおよびタンパク質は、同様に、溶液中の他のペプチドおよびタンパク質から容易に分離できる。
流動場分離(FFF)は、拡散係数におけるサイズに関連する差を活用する機構によって、サイズが異なる分子を分離する。HDCは、溶出特性においてサイズに関連する差を生じるわずかに異なる機構によって、高分子を分離する。
図3において、半透性表面(SPS)支持体の説明図が与えられている。この吸着剤は、シリカ支持体の表面に結合したオクチル(C8)シラン基の15個当たりで平均1個に300ダルトンのポリオキシエチレン(POE)オリゴマーを結合させることによって調製される。POEオリゴマーは、吸着剤表面上のC8残基と弱く会合し、タンパク質との接触を遮断する。ハプテンおよびペプチドは、反対に、この被覆を貫通し、疎水性相互作用機構によって、C8基に結合できる。
第2次元の分離プロセスの最後の構成要素では、S*:A複合体または分析物のみのいずれかが、第2次元において吸着剤から放出されおよび/またはさらに別の分析のために第3次元に輸送されることが必要である。SEC、RAM、SPS、またはFFF分離のサイズ選択の場合、分析物を第3次元に直接輸送することができるか、または分析物が第3次元に輸送される前に、複合体が解離される。分子サイズ分け(molecular sizing)分離の場合、分子サイズ分けカラムの出口でのpHを、比較的酸性(pH2.5)または塩基性(pH12)の移動相で調節することによって行うことができる。さらに、免疫吸収剤からの免疫複合体の解離は、比較的酸性(pH2.5)または塩基性(pH12)いずれかの条件で行われる。Ab:Ab複合体を解離することに加え、Ab:Ag複合体も同様に解離される。
ビオチン化親和性選択物質:分析物複合体は、いくつかの様式でモノアビジン(mono-avidin)親和性カラムから放出させられる。様式の1つは、捕獲剤の上の溶液に、またはクロマトグラフィー用カラムの場合には移動相にビオチンを添加することによる。これにより、ビオチン化されたS*:A複合体が放出される。モノアビジンカラムは、この様式で溶出された場合、多くのサイクルで使用できる。代わりの溶出方策は、約2.5のpHを有する酸性溶液を適用することである。これにより、モノアビジンが可逆的に変性され、親和性選択物質が放出され、おそらく親和性選択物質から分析物が放出される。さらに、タンパク質であるS*:A親和性選択物質の他のタイプは、ほとんど同じ様式で(すなわち、pH2から2.5の範囲の酸性溶液により)、S*捕獲選択物質から解離させることができ、分析物は一般に、同時に放出される。
本開示のある態様によれば、親和性選択物質は、ポリヌクレオチドであるか、または共有結合したオリゴヌクレオチドを有し得る。本開示のこの態様によれば、あるタイプの吸着剤マトリクス(上述した式におけるMDNAまたはMRNA)上の相補的オリゴヌクレオチド配列が、サンプルからS*:A複合体を吸着するのに使用される。複合体または複合体の成分のMDNAからの解離および/または放出は、i)低イオン強度のもの、ii)塩基性の強いもの、またはiii)変性剤を含有する、溶離液により行われる。解離および放出は、温度を上昇させて、DNA:DNA、RNA:RNA、DNA:RNA、PNA:DNA、またはPNA:PNAハイブリッドを溶融することによって、行っても差し支えない。さらに別の様式は、親和性選択物質上のタグにおけるものと同じDNA(またはRNA)配列を含有する溶液を解離工程で添加し、次いで、Mの表面に亘る試薬の流れを停止させることであろう。流れを停止させた後、溶液の温度を、DNA:DNA、RNA:RNA、またはDNA:RNAハイブリッドが溶融される点まで上昇させる。その後、温度を、再ハイブリダイゼーションが起こる室温まで戻す。添加された相補的オリゴヌクレオチドの濃度が高い場合、そのオリゴヌクレオチドがS*:A複合体上のオリゴヌクレオチドタグに勝り、それによって、溶液中に残る。次いで、放出された複合体は、さらに別の分析のために第2次元に輸送してもよい。
本開示の教示による第3次元における分析は、分析プロセスの終わりで使用すべき最終的な検出方法、並びに分析物が、i)ハプテンまたはペプチドなどの小分子、ii)タンパク質、糖蛋白質、リポタンパク質、多糖類、ポリヌクレオチド、またはiii)いくつかの他の高分子種、であるか否かに依存する。小分子(すなわち、ハプテンおよびペプチド)に関して、分析物が、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)またはマトリクス支援レーザ脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)により特定され、定量される場合、分析物が約2kD未満の分子量を有すると、検出はより容易に行われる。他方で、より大きい分子は図4に示されるように検出することができる;しかしながら、イオン化効率は、より小さい分子のほうが高いことが多いことに留意すべきである。
図4は、溶液中の分析物の親和性選択物質結合で始まるタンパク質の分析のための多次元「分析オプション系図」(AOT)である。本開示のある実施の形態によれば、親和性複合体形成から続いて、分析のオプション数は、分析の第5次元までに8以上まで増加し得る。AOTは一般に、第1次元における親和性選択で始まり、分析の中間次元における一連のクロマトグラフィーおよび/または化学修飾段階に進み、質量分析手段、蛍光手段、または電気化学手段による分析で終わる。検出されている分析物のタイプ、感度の要件、および利用できる設備により、分析のためにとられる系図の枝が決まる。
あるタイプの親和性選択物質、一般に、抗体、抗体のFab断片、一本鎖抗体、またはファージディスプレイタンパク質により複合体サンプルマトリクスから隔絶されるタンパク質の直接MS分析のAOTが図4に見られる。分子間の親和性選択物質:分析物の複合体が、親和性選択物質を標的とする吸着剤によって第2次元において溶液から捕獲された後、抗選択物質:選択物質:分析物の複合体が解離され、成分が、無傷なタンパク質の直接分析のためにESI−MS/MSまたはMALDI−MS/MSいずれかに送られる前に、次元3および4におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)または逆相クロマトグラフィー(RPC)いずれかによってさらに分別される。この目的のために、タンパク質、糖蛋白質、およびリポタンパク質をペプチドの混合物に転化して、それらを質量分析によって特定し、定量することが役立つ得ることが、ここに理解され、認識されるべきである。この手法を以下に説明する。
図4におけるタンパク質の直接分析に関するAOTの外側の枝は、最終的な選択が、エレクトロスプレーイオン化(ESI)またはマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)いずれかの質量分析(MS)による検出である。これらの2つの間の選択は、大体において、使用できる設備およびサンプルの複雑さに依存する。複雑な混合物について、MALDI−MSは、特に、MALDI−MSは一般に、タンパク質またはペプチドの1つの電荷状態を提供し、それによって、一度に5〜20のポリペプチド(または数千の種さえ)調査することが可能になるので、特に有用なオプションであろう。他方で、ESI−MSは、ポリペプチドの多数の電荷状態をより頻繁に生じ、これには、タンパク質の分子量を認識するためにデコンボリューションアルゴリズムが必要である。混合物中のタンパク質の分子量は異なるが、タンパク質の多数の電荷状態は、MSスペクトルの同じ質量電荷比に入る。前記アルゴリズムは、一般に、2つ以上のタンパク質を同時に取り扱うことができない。タンパク質のESI−MS検出に関する別の問題は、多数の電荷状態に亘るタンパク質の分布のために、検出感度が減少することである。ESI−MSで検出は可能であるが、たいていMALDI−MSにより行うのが最良であることに留意すべきである。
AOTの別の要素は、親和性選択物質(Ab)が、MSに送られるか、サンプル中に残される前に、次元3においてサンプルから除去されるか否かである。図4をさらに参照すると、抗体は、分析経路A、B、C、およびDにおいて除去されるのに対し、抗体は経路E、F、G、およびHのサンプル中に残される。ここで理解され、認識されるように、抗体が分析前にサンプルから除去されるか否かは、いくつかの問題に依存する。例えば、抗体は典型的に、サイズが少なくとも約160kDであるので、分析物の分子量が<100kDである場合、MALDI−MS分析には、二者を区別する上で問題はないであろう。MALDI−MS/MSの非限定的利点は、主に分子イオンのみを特定し、様々な分子量に基づいて、多数のタンパク質種を同時に区別できることである。抗体の総濃度がおそらく抗原濃度より10倍以下しか大きくないであろう、少数の抗原を調査する場合にこのことは特に有用である。多数の抗原について、抗体の総濃度は、抗原濃度よりも100倍超大きいことがある。さらに、多量の抗体は、それほど多くない抗原のイオン化を潜在的に抑制し得る。サンプル中の抗体の存在は、多重帯電により、抗体からのイオンが、抗原からのイオンと重複する、検出のESI−MSモードにおいてより問題となるであろう。単純なサンプルについて、この検出モードは確かに可能である:しかしながら、サンプルの複雑さが増えるにつれて、ESI−MSは、検出オプションとしてそれほど有用ではない。
分子量が160kD以上である抗体について、図4の経路A、B、C、およびDの第3次元において、100〜150オングストロームの細孔径のカラムのSECで、80kD以下の抗原が抗体から容易に分離される。抗体は、排除容積でまたはその近くで溶出し、廃棄に送られる。抗原は、疎水性表面を有するクロマトグラフィー用カラムに直接送られ、そこで、抗原は捕獲され、再濃縮される。抗体が抗原と共にMSに送られることが決定された場合、2つの種は、経路E、F、G、およびHの第3および第4次元において、疎水性クロマトグラフィー用マトリクスによって共に捕獲され、分別される。第4次元におけるオプションは、経路EおよびFにおいて、高分解能の勾配溶離分析カラムが必要であるか否か、または経路GおよびHにおけるように、短い低分解能のカラムで十分であるか否かである。多数の分析物が分画化されている場合、経路EおよびFが選択されるであろう。少数の分析物については、経路GおよびHが使用されると思われる。
プロテオミクスにおける最近の成功は、タンパク質分解酵素による分解によって、タンパク質はより容易に特定できる断片まで小さくされるという事実に基づき、最も一般的なものはトリプシンである(以下の式3を参照のこと)。トリプシン消化は、24時間の期間でタンパク質:トリプシンの50:1の質量比のタンパク質混合物をインキュベーションすることによって、最も広く行われる。タンパク質分解の終わりで、生成されるペプチドは、ペプチド成分で始まるサンプルと類似の、または同一の様式で分析される。タンパク質の質量当たりでより多いトリプシンが使用される場合、トリプシンは自己消化し始め、それによって、サンプルがトリプシン断片で汚染されてしまう。
タンパク質分解は、一般に、高表面積のクロマトグラフィー用粒子または上述したタイプのモノリス媒体上に固定化されたトリプシンを使用することによって加速されると、ここでは理解され、認識すべきである。さらに、タンパク質サンプルは、しばしば、分析物にクロマトグラフィーが行われる様式で固定化トリプシン床に押し通される。この特別な場合、特にトリプシンは固定化されており、それによって、自己消化できないので、タンパク質よりも多くトリプシンを使用することが可能である。
図5に示されるように、固定化されたトリプシンをクロマトグラフィー用カラムにも使用できるが、先に記載した様式とは異なる様式である。本開示のある態様によれば、トリプシンの最適pHは、約7から約9のpH範囲にある。さらに、ほとんどのタンパク質に関する触媒効率は、約2から約3の範囲のpHに進むと、百万分の一に減少する。さらに、タンパク質が、約2.5のpHの移動相で第2次元の捕獲カラムから溶出され、トリプシンカラムに直接入ると、タンパク質は、トリプシンが機能するのに酸性が強すぎる溶液中にある。それゆえ、pHは、トリプシン消化が行われる前に、あるタイプの緩衝液交換によって、約8に調節しなければならない。このことは、タンパク質および酸性溶出緩衝液をクロマトグラフィー用マトリクスに通して輸送し、そこでは、粒子の外面が、共有結合により固定化されたトリプシンにより被覆されており、その細孔は、緩衝液は粒子の細孔マトリクスに自由に入れるが、20kDを超える分子は貫通できないほど小さい。このサイズ排除カラムには、トリプシン消化緩衝液が充填される。タンパク質サンプルはカラムを通じて輸送されるので、タンパク質は、酸性溶出緩衝液より先に、カラム中に容易に移動し、そこで、タンパク質分解が起こり始める。タンパク質分解について、制限アクセスカラムの細孔に進入できるペプチドが形成されるが、それらペプチドとその親であるタンパク質は、酸性溶出緩衝液を越えて移動した。
図5は、内部が親水性ゲルであり、外部が固定化トリプシンで被覆されている、制限アクセスカラムの説明図を示している。これらの粒子の細孔径は6nm以下の範囲にある。このカラムは、同じ動作で緩衝液交換およびタンパク質分解を行う機能を果たす。これらの粒子が充填されたカラムに酸性緩衝液中のサンプルが導入されると、このサンプル中のタンパク質は、細孔に進入できず、粒子の細孔に進入する緩衝液より先に移動する。タンパク質は、タンパク質分解に適した緩衝液が充填されたカラム内の領域に移動する。この地点で、タンパク質分解は、粒子に共有結合したトリプシンに触発される。
トリプシンが、6から30nmに及ぶ多孔質粒子媒体上に固定化されている場合、そのカラムは、サイズ排除カラムとしても機能する。それらの細孔は、多くのタンパク質を、酵素が固定化されたマトリクスにある程度進入できなくするサイズのものである。6nmの細孔径のシリカ粒子から始めると、これらの粒子は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランにより被覆され、付着したオキシランは加水分解してジオールを生成する。アクロレインは、Ce+4の触媒作用によってジオール上で重合されて、図6の工程1に示されるように、ポリ(アルデヒド)マトリクスを生成する。次いで、ポリ(アルデヒド)がシリカ支持体の細孔をある程度満たし、トリプシンが粒子と接触せしめられ、そこで、酵素のリジン残基が、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下でシッフ塩基の形成によって、シリカマトリクスに共有結合する(図6の工程2)。反応混合物に加えられるNaCNBH4は、シッフ塩基をそれらが形成されるときに減少させるが、アルデヒドは減少させない。支持体マトリクスの細孔は、トリプシンが、粒子の外部にあるアルデヒドにアクセスできるだけであるほど小さい。言い換えれば、粒子の細孔中にはトリプシンはない。トリプシンの固定化後、粒子上のアルデヒド残基(−C=O)はNaBH4により還元され(図6の工程3)、それによって、酵素が固定化されたマトリクスの合成に競合する。
粒子の外部にトリプシンを有することに加え、粒子の細孔からのタンパク質(および大体において、ペプチド)の排除は、本発明のマトリクスの特有の特徴である。このことは、酵素が固定化されたカラムに、約8のpHを有する緩衝液を予め充填されており、例えば、Agがタンパク質である選択されたAb:Ag複合体を有する抗マウスAbカラム、またはAgがタンパク質であり、pH2.5の溶出液の脈流により溶出されている選択されたビオチン化されたAb:Agを有するアビジンカラムに直列に接続された場合:1)酸性移動相は、酵素が固定化されたカラムの細孔に進入するのに対し、2)全てのタンパク質は、排除され、その酸よりずっと先に移動し、3)排除プロセスの一部として、pH8の緩衝液中に移動する。酵素が固定化されたカラム中でのタンパク質の滞留時間は、カラムを通る流量によって、またはタンパク質が、酵素が固定化されたカラムに進入した後であって、そこを出る前のある時点でカラムを通る流れを遮断することによって、調節される。このカラムは、一般に、図7に示される分析の第3次元で使用される。
全タンパク質レベルでのタンパク質の選択と分析を示した図4とは対照的に、図7は、混合物からの無傷なタンパク質の捕獲と単離を示し、その後、タンパク質は、質量分析による特定および定量のためにペプチドに転化される。免疫複合体は、再度、サンプルから単離され、抗体を標的とする抗原に特有のエピトープを標的とする免疫吸着剤上、または捕獲抗体上のタグを標的とする親和性吸着剤上で豊富である。低い親和性で複合体に結合した物質を除去するための洗浄後、非共有結合の複合体が、酸性(ほぼpH2.5)移動相により解離され、抗原が、捕獲抗体と共に、トリプシンが固定化されたカラムに輸送される。タンパク質および酸性緩衝液がこのカラムを通過するときに、それらは、タンパク質がトリプシン消化緩衝液中に移動するにつれて、分割される。このプロセス中、タンパク質は、分析の第3次元においてペプチド切断断片に転化される。これらの断片は、第4次元で再濃縮され、あるタイプの疎水性相互作用クロマトグラフィーにより分割され、次いで最後に、ESI−MS/MSまたはMALDI−MS/MSいずれかによって、特定され、定量される。タンパク質は、一般に、30から数百のペプチド断片を生じ、それらの任意の1つを使用して、親のタンパク質を特定し、定量することができる。特定および定量のために選択されたペプチドは、一般に、高いイオン化効率を有し、親のタンパク質に特有の配列を提供し、逆相クロマトグラフィー用カラムによってうまく保持されるものである。
使用する質量分析法のタイプの原理は、図4に示されたタンパク質の場合と、ペプチドについては異なる。この場合、衝突誘起解離(CID)、電子移動解離(ETD)、または気相イオンをMS分析の第1次元から分別するある他の方法いずれかによって、質量分析の第1次元からペプチドを分別することができる。次いで、CIDおよび/またはETD断片イオンは、質量分析の第2次元で分割され、記録される。この3次元プロセスは、各ペプチドに特有の痕跡(signature)を担持する配列を提供する。この手法の極めて魅力的な特徴は、MSデータをDNAデータベース中の配列に直接結びつけることができ、ペプチドが由来した親のタンパク質および遺伝子の特定が可能になることである。ESI−MS/MSおよびMALDI−MS/MSは、この場合、可能性においてより匹敵する。いずれの手法によっても、一回の分析で数百のペプチドを特定することが可能である。MALDI−MS/MSおよびESI−MS/MSにおける異なる機構によりイオン化が抑制されるので、いくつかのペプチドは、他のものよりも、あるタイプのMSによりうまく検出される。
酵素が固定化されたカラムにおけるタンパク質分解の速度は、温度を上昇させることにより、音波処理により、またはカラム内の圧力を約10,000psi(約69MPa)まで増加させることにより、加速させられることがここで理解され、認識されるべきである。この点に関して圧力を増加させるための例示の構成が図8に示されており、この図は、分析の流動が停止されたモードにおいて酵素が固定化されたカラムに高圧を印加することができる弁システムを具体的に示している。この説明図によれば、高圧が、タンパク質の部分変性によってタンパク質分解を容易にすると考えられる。サンプルのタンパク質分解は、免疫吸着剤、トリプシンカラム、およびPRC濃縮器が直列に接続されるような位置に弁を切り換えることにより始まる。この位置において、タンパク質は、Abカラムから脱着され、トリプシンカラムに移送され、そこで、脱着する緩衝液およびタンパク質はサイズ排除機構によって分離される。この時点で、弁は、このカラムを通る移動相の流れを止める位置に切り換えられ、それによって、トリプシンカラムが高圧のインキュベーションモードになる。タンパク質分解後、トリプシンカラムは、元の装填位置に切り換えられ、消化されたタンパク質混合物がRPC濃縮器に輸送される。
図8の固定化酵素カラムは、図7の分析の第3次元にある。図7の第2次元における親和性カラムから放出された抗原と抗体は、図8の固定化トリプシンカラムに直接輸送され、ここで、酸性溶出緩衝液とタンパク質は、タンパク質がトリプシン消化緩衝液中に移動するにつれて、分離される。第2および第3次元のカラムの容積に基づいて、この分離を行うためにシステムにポンプで通さなければならない溶媒の量が計算される。タンパク質がトリプシンカラムに移動する途中で、弁が図8に示された位置に切り換えられる。この弁の位置で、空気ポンプからの非常に高い圧力を、ゼロの流量でトリプシンカラムに印加できる。免疫吸着剤カラムから直接RPC濃縮器への流れは、この弁の位置で継続する。トリプシンカラム中で流れが約1から約10分停止した後、弁は回転させられ、親和性捕獲カラム、固定化トリプシンカラムおよびRPC濃縮器を直列に接続する位置に戻される。次いで、トリプシンカラムからのタンパク質分解消化産物がRPC濃縮器に移送される。
タンパク質分解後、質量分析により特定され検出される、タンパク質からのペプチドは、図7に記載された手法の内の1つにより検査される。この目的を達成するために、第4から第6次元(図7に示されるような)は、ペプチド分析に関する第3から第5次元と同じであり、その理由は、ペプチドは両方の場合で検査されているからである。
本開示のある態様によれば、ハプテンおよびペプチドは、分析プロセスにおける生成後および/または第2次元における非分析物からの分離後に、再濃縮される。このプロセスは、クロマトグラフィー用カラム内で行われる場合、しばしば、分析物がカラムの入口の狭い区域で吸着されるので、再集束と称される。分析物の再濃縮とさらなる分離は、ある形態の親和性選択機構から、イオン交換または親水性相互作用機構までに及ぶ多様な様式で行うことができるが、疎水性相互作用機構が、最も普遍的な吸着方法であり、この段階では、ほとんどの分析物が水中にあるので、特に有用である。さらに、水は、疎水性相互作用機構による吸着にとって最も好ましい溶媒である。疎水性相互作用による分離(逆相クロマトグラフィーおよびRAM)は、第3および第4次元で見られる。
図9、10および11における主な違いは、複合体形成に使用される抗体が第1および第2次元で標識付けられ、選択される様式に関することをここで理解し、認識するべきである。最初の2つの次元の終わりに、分析物は、単一の群、または少数の群における選択物質から放出される。区別され、個々に検出できる前に、さらに分離を経なければならない分析物は、1つの群に10から1000超あり得る。この分離の少なくとも一部分は、逆相クロマトグラフィーにより行われる。
親和性選択物質から放出された分析物の再濃縮は、2タイプの親和性選択物質の一方で行われた。一方はRAM(またはSPS)カラムであった(図2)。このカラムの利点は、親和性選択物質(一般には、抗体)をハプテンおよびペプチドから分離することである。ペプチドおよびハプテンは、RAMカラムの細孔中に移動する、またはSPSカラムの外側被覆を通り、そこで、それらは疎水的に吸着される。抗体は大きいので、細孔や被覆を通ることができず、図9〜11に示されるように、廃棄へと運び去られる。代わりの濃縮器は、長さが約1cmの短い逆相クロマトグラフィー用カラムである。ハプテン、ペプチド、およびタンパク質は全て、選択物質の抗体に加え、カラム上に捕獲される。サンプルはカラムの入口で再集束されているので、サンプルの迅速な少量で個別の注入の必要はない。その上、大きいサンプル容積を連続的に装填できる。
図9は、本開示の教示によるポリクローナル抗体である親和性選択物質により捕獲されたハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルの説明図である。本開示のこの態様によれば、ハプテンおよびペプチドは、第2次元において免疫複合体を捕獲する親和性選択物質から放出され、次いで、ESI−MS/MSまたはMALDI−MS/MSの前に、RAMまたはRPCカラムにより再集束され、さらに分割される。再集束および逆相分離は、分析の第3および第4次元で行われる。第2次元から第4次元に直接進むことが可能であるが、RAMまたはRPC濃縮器は分析カラムを保護する。多くの場合、第1次元に使用されたAbを第3次元において分析物から分離することも可能である。
第2次元における親和性選択物質からの放出は、通常、酸性水性移動相により行われる。この移動相は、第3次元における下流のRAMまたはRPCカラムの吸着にとって理想的である。分析物はRAMまたはRPCカラムにおいて再集束されるので、第4次元においてRAMまたはRPCカラムまたは分割に悪影響を与えずに、大きいサンプル容積が使用されるであろう。図10に関して、第2、第3および第4次元において同じ理論および溶出プロトコルが適用される。
図9に示された分析のオプション系図における決定の1つは、RAMカラムまたはRPC濃縮器を使用するか否かである。RPC濃縮器は、より単純で、より大きい結合能力を有し、RAMカラムほど高くないが、RPCカラムは、ペプチド、ハプテンおよび抗体を不都合なほど捕獲する。その上、全ての抗体種は、勾配溶出の最中に、クロマトグラムにおいてあとでRPCカラムから一緒に溶離する。このことは、抗体のピークが分析物のピークと比べて大きいことを意味する。ペプチドとハプテンは抗体のずっと前に溶出されるので、このことは、ほとんどの場合問題ではない。これが本当であれば、大きい抗体ピークは分析物のピークをマスキングしない。サンプルが、抗体とおおよそ同時にまたは抗体の後に溶出される分析物を含有する場合、RPCカラムは使用できない。この場合、RAMカラムを使用すべきである。抗体は、大きすぎてRAM吸着剤の細孔を通り、吸着されずにカラムを通過することができないのに対し、ペプチドおよびハプテンは、反対に、RAM吸着剤の細孔に入り、粒子の疎水性内部に捕獲される。
ハプテンまたはペプチドの混合物が比較的単純である場合、RAMまたはRPC濃縮器は、ESI−MS中に、またはMALDI−MS分析プレート上に、直接勾配溶出することができる。これらの短いカラムのピーク能力は、50成分以下であることが多い。「分析RPC」カラムなどの高分解能分離カラムの必要はない。このことが、図9〜10の第4次元で行われると示されているが、そこでのカラムは、第3次元でサンプルが装填されたものと同じカラムである。反対に、複雑な分析物混合物には、ずっと長く、より高い分解能のRPCカラムが必要であろう。これらの分析カラムは、長さが10〜50cmであり、オクタデシルシラン(C18)被覆を有する、直径が約1.5から約5μmに及ぶ粒子が装填されている。分析カラムは、移動相の分散速度を向上させるために、ゆっくりと勾配溶出され、加熱された場合、600成分までのピーク能力を有し得る。物質はRPCカラムから質量分析計中に溶出されるので、同時溶出(coeluting)ピークは、質量分析の第1または第2次元いずれかで区別できる。
第5およびそれより高い次元に使用される質量分析のタイプは、最初のサンプルマトリクスの複雑さ、分析されている分析物の数、および分析物の濃度に依存する。サンプルマトリクスが単純であり、10未満の分析物が検査されている場合、MALDIまたはESIいずれかにおいて分子量のみの一次元の質量分析で十分であろう。第6および第7次元における断片イオンのさらなる質量分析が後に続くCIDは、特定時の信頼性のレベルをさらに高くできるが、おそらく必要ないであろう。単純なサンプルに関する質量分析のタイプは主に、サンプル濃度がμg/mLからmg/Lの範囲にある場合、利用できるものに基づいて決定される。選択されたイオンモニタモードで三連四重極(QQQ)または四重極イオントラップ(Q−Trap)装置などの質量分析計を使用することによって、ESIモードにおいてずっと高い感度が得られるであろう。より長い期間に亘り特定のイオンを質量分析し、特定の分析物に関するずっと多い数のイオン計数を蓄積する、これらのような装置は、高速走査装置の100倍の、すなわちそれよりずっと大きい感度を有し得る。
非常に複雑なサンプルについて、ESI−MS/MS装置は、高レベルの識別能を提供するので、図9のプロトコルにとって特に有用である。重ねて、最高の感度が必要な場合、QQQまたはW−Trap型の装置が最良の解決策を提供する。
図9および図10の間の主な差は、選択抗体上に配置されるタグのタイプおよび免疫複合体が捕獲される様式にある。図10における抗体タグは、ビオチンまたはある種のハプテンのいずれかである。図10は、ビオチン化されたまたはハプテンで標識付けられた親和性選択物質によって捕獲されたハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルの説明図を示している。この説明図によれば、ビオチン化種を放出するためにそれほど厳しい条件が必要ないので、第2次元の親和性選択物質にモノアビジンが使用される。ハプテンおよびペプチドは、生物特異的置換または親和性選択物質の変性のいずれかによって、第2次元において放出することができる。最も穏やかなのは、ビオチン置換体(displacer)によるものである。この手法の欠点は、脱着反応速度が遅く、溶出工程中に遅い流動速度を必要とすることである。それに反して、図9に記載されているような、酸性移動相による部分変性はずっと速い。分析オプション系図にそった追加の工程は、図9に記載されたものと同一である。
他方で、図11は、DNA、RNA、またはPNAにより標識付けられた抗体を使用して捕獲されたハプテンおよびペプチドの分析に使用されるプロトコルの説明図である。上述した他の実施例におけるように、サンプル中の免疫複合体の他の物質からの分離は第2次元で行われる。第2次元からの捕獲抗体の溶出は、カラムの温度をオリゴヌクレオチドハイブリッドの融点より高く上昇させることによって行われる。温度サイクルが流動条件下で行われる場合、全ての解離種はカラムから掃引される。競合するオリゴヌクレオチドの存在下で流動が停止された温度サイクルにより、特定の抗体の差別的置換が可能になる。第2次元における溶出条件は、免疫複合体が、第3次元に入って捕獲されるときにもまだ無傷であるほど十分に穏やかである。このことが当てはまる場合、免疫複合体は、RPCまたはRAMカラムが、アセトニトリルを含有する酸性移動相で溶出されるときに、第3次元で解離する。免疫複合体が無傷であるか、または解離されているか否かは、分析の最終的な結果には影響しない。作業の流れの残りは、図9に記載されたようなものである。
図9を参照すると、分析物が、抗体などの親和性選択物質との複合体形成によって、第1次元で選択される。この場合に使用される親和性選択物質の特有の特徴は、それらが、RNA、DNA、PNAの規則正しい塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ONTt)で標識付けられることである。全ての抗体は同じオリゴヌクレオチド配列を有しても差し支えなく、または各抗体種は、異なるオリゴヌクレオチド配列で標識つけられても差し支えない。溶液中で複合体が形成された後、可溶性複合体は、親和性選択物質上の配列に相補的な配列を有する固定化されたオリゴヌクレオチド選択物質(ONTs)を含有する固体支持体の表面上を、または粒子中に溶液のアリコートを通過させることによって、サンプルから捕獲される。抗体上の各ヌクレオチドタグについて、固相表面上に1つの相補的オリゴヌクレオチド配列があるであろう。オリゴヌクレオチド(ONTs)担持表面上に溶液のアリコートを通過させる過程で、分析物:選択物質−ONTt複合体が、ハイブリダイゼーションによって捕獲され、−ONTt:ONTs:選択物質:分析物の複合体が形成される。固体表面上に固定化されたオリゴヌクレオチド(ONTO)は混ざり合っていてもよく、または各々は空間的に異なる部位に配置されていても差し支えない。ある特別な実施の形態によれば、ONTsを固定化するための支持体マトリクスは、HPLCに使用される圧力安定性スチレンジビニルベンゼン樹脂などの有機樹脂であることが特に有用である。Applied BiosystemsからのPOROS支持体マトリクスが、そのような樹脂の理想的な例である。これらの樹脂は、約80〜90℃の温度、並びに以下に記載される分析物溶出に使用されるpHの幅広い両極端に耐えることが都合よい。
第2次元において分析物:選択物質の複合体を捕獲した後、それらの複合体は、第3次元において放出され、溶出されなければならない。溶出段階は、ここの教示にしたがって、いくつかの異なる様式で行うことができる。例示の一方法は、移動相が表面上に流され、第3次元に輸送されている間に、−ONTt:ONTs:選択物質:分析物の複合体を担持する固相吸着剤の温度を、−ONTt:ONTsハイブリッドの融点よりも高く上昇させることによって、そのハイブリッドを解離させることである。−ONTt:ONTsハイブリッドは解離し、ONTs:選択物質:分析物の複合体が第3次元に輸送される。ほとんどの場合、ONTs:選択物質:分析物の複合体は無傷のままであるが、いくつかの場合には、部分的または完全に解離する。どちらの場合も、第4次元で行われる。
溶出の第2の例示の方法は、ハイブリッドを解離させるためのpHまたはイオン強度いずれかに両極端を使用することである。固相吸着剤が蒸留水により溶出される場合、−ONTt:ONTsハイブリッドが一般に解離する。低イオン強度でpH10の緩衝液を使用しても、同じことが行われる。
免疫複合体は、分子サイズにしたがっても分別できる(図12)。免疫複合体は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、この作業の流れにおける第2次元において分別される。SECカラムの細孔径は、約100から約150オングストロームの範囲内にあるのに対し、排除マトリクスの粒径は約3から約5μmであるべきである。免疫複合体は、100オングストロームの細孔径の充填材料の場合、カラムの排除容積近くで溶出され、RPCまたはRAM濃縮に直接輸送されるか、または分析RPCカラムに直接輸送される。この移送の終わりに、SECカラムから溶出されるより低い分子量の種は廃棄へとそらされる。RPCカラムは、0.1%のトリフルオロ酢酸または1%のギ酸から70%のアセトニトリルを含有する同じ濃度の酸に及ぶ移動相により直線勾配で溶出される。移動相は、RPCカラムの入口で捕獲された免疫複合体を解離させるのに十分に酸性である。使用する質量分析計のタイプに関する原理は、他の場合と同じである。
上述したように、タンパク質には、ハプテンおよびペプチドの分析に要求される次元を超えたタンパク質分解次元を加える必要がある。このことは、一般に、第3次元で行われる。図13は、多数の分析物の高スループットの同時分析に必要とされる親和性選択物質の自動化高分解能分離を提供できる装置プラットホームの液体クロマトグラフィー構成要素を示す。サンプルの調製は、分析前にサンプルの微生物増殖を最少にする冷蔵室内に収容されたオートサンプラー内で開始される。サンプルを保持するオートサンプラーバイアルは、サンプル容積を最少にする円錐底部のものである。多数のサンプルに加え、オートサンプラーは、分析に必要な所定の濃度で抗体溶液を保持する。オートサンプラーは、還元、アルキル化、誘導体化、タンパク質分解、内部標準の追加、および希釈に必要な追加の試薬を装填することもでき、それらのいずれも、任意の順序でサンプルバイアルに採取することができる。ロボット式シリンジが、試薬バイアルから1つの抗体、複数の抗体、または試薬のアリコートを取り出し、それらをサンプルに加えると、分析がオートサンプラー内で始まる。分析前にサンプルの還元、アルキル化、およびタンパク質分解に必要な多数の試薬を連続してサンプルバイアルに加えても差し支えない。1つの抗体試薬バイアルが、1つの抗体を収容しても、または特に多数の分析物の分析に必要な抗体の全てを収容してもよい。試薬または抗体をサンプル中に分配した後、シリンジは、試薬を含まない緩衝液を収容する、オートサンプラー内のバイアルに行き、シリンジに緩衝液を多数回十分に装填し、緩衝液を廃棄バイアルに分配することによって、洗浄される。
誘導体および/または免疫複合体を形成するのに適したインキュベーション時間後、オートサンプラーは、溶液のアリコートをサンプルバイアルから抜き取り、サンプル装填位置にある高圧弁の所定の容積のサンプルループに装填する。次いで、弁を回転させて、サンプルループを移動相流路に導入し、それを下流のカラムに接続する。第1の下流カラム(分析の第2次元における)は、一般に、サンプル中の他の成分から免疫複合体をある程度または完全に分割する親和性カラムまたはサイズ排除カラムである。免疫複合体が親和性カラムにより捕獲される場合、低い親和性で免疫複合体またはカラムに結合した物質を除去するために、20以上のカラム容積の移動相をカラムにポンプで送り込むことが望ましい。分析に高結合親和性抗体が使用される場合、全ての他の結合種が非分析物である。それゆえ、この洗浄工程は、非分析物を除去し、分離プロセスの一部である。
分析の第2次元に使用されるカラムは、図13に示されるように、冷蔵室内、または室温で外部に収容しても差し支えない。捕獲カラム、または第2次元におけるSECカラムにおいて高親和性抗体を使用する場合、カラムは室温で動作される。捕獲剤が低親和性のものであり、捕獲剤の結合定数が低温になることによって増加する場合、親和性カラムにより低い温度での動作が使用される。5℃では、結合定数は室温での2倍になり得る。
図13の説明図は、第3および第4次元の分析をオーブン内で行えることを示している。この説明図は、図9、10および11における第4次元における高分解能の分析RPCカラムへの第2次元からの分析物の直接移送を示している。いくつかの実施の形態によれば、第3次元のカラムは、弁Bの前で加えることができる。これらの実施の形態による加熱カラムの機能は、移動相および停滞した移動相の限界として液体クロマトグラフィー分析で公知の限界を減少させることである。移動相の速度を減少させ、分析物の拡散速度を増加させることによって、RPCにおける分割が増加する。これにより、RPCカラムの分解能および分割できる分析物の数が増加する。
図13におけるシステムの第1ポンプ(P1)は、最初の2つの次元の分離のための溶媒を提供する。溶媒の切換えはポンプの低圧側で行われ、このことは、このポンプにより生じる勾配が階段勾配タイプのものであることを意味する。2つのクロマトグラフィーシステムの間のポンプP5は、SECカラムが第2次元で使用され、RAMカラムが第3次元で使用される場合に必要とされるような、免疫複合体の解離のために移動相を導入するために使用される。SECカラムを出る溶出流は、弁BでRAMカラムに到達する前に、複合体を解離するであろう、P5により提供される酸性溶液と合併されるであろう。
検出器からクロマトグラフィー用カラムを切り離し、望ましくない試薬または分析物が検出器に輸送されなくするために、弁Cが使用される。例えば、多量の抗体が、RPCカラム中にサンプルに伴い、全ての分析物後に移動相勾配の終わりに溶出されると上述された。この特別な例示のシナリオによれば、弁Cは、クロマトグラフィーシステムがMSから切り離され、RPCカラムから溶出された抗体が廃棄にそらされる位置に切り換えることができる。UV吸収率モニタが説明図に見られるが、それは必要ではなく、ある実施の形態においては取り除いてもよいことを、ここで理解し、認識すべきである。さらに、様々な様式で分析物を提供して、定量化の精度を確認するために、余分な測定装置を時折使用しても差し支えない。
この時点までの分析最適化系図は、質量分析による検出を強調してきた。分析物が最初の4つの分離次元を純粋な状態で出る、または分析物が、特定の発色団または電気化学的に活性な官能基を担持する溶出液流中の唯一の種であるように出る場合、非MS検出モードと以下に称される、他の様式で分析物を検出することも可能である。そのような非MS検出モードの例としては、以下に限られないが、吸光度、蛍光、または電気化学手段が挙げられる。
親和性選択物質に基づくプロセスについて、直交分析のいくつかの次元による、分析物と非常に多数の非分析物との間を識別するための多数の分析物の同時測定が重要である。抗体により与えられる非常に高レベルの選択性に基づいて、識別の第1次元は、一般に、溶液中での親和性選択物質:分析物の複合体形成である。最も一般的に、親和性選択物質は抗体である。しかしながら、様々な他の選択物質を同様に使用してもよいことを、ここに理解し、認識すべきである。その上、複合体の形成は、多数の選択物質を固定化する必要性およびそれに関連する固有の問題が避けられるので、溶液中で行われる。
先に論じた分析の第2、第3、およびしばしば第4次元は、さらに高レベルの分析物の識別を提供するために、いくつかのクロマトグラフィー方法、およびしばしば化学反応がどのように連結できるかを示してきた。これらの次元の分解能は、捕獲された抗原を数百から数千の個々の成分に分別できるようなものである。しばしば、この程度の分割で十分であり、この時点で、抗原は、蛍光、吸光度、電気化学手段、または全ての分析物が検出のための非常に似た特徴を生じるいつくかの他の手段によって検出できる。これらのタイプの検出は、非常に高い感度のものであり得るが、それでもまだ、分析物の間で識別できる。それゆえ、分析物は、検出器に到達したときに、ある程度または完全に分割されなければならない。
従来の検出方法とは異なり、質量分析は、分析のモードにおいて直交する別の極めて異なる検出方法を提供する。質量分析計には多くのタイプがあり、多数の分析物の親和性選択物質に基づく分析にはそのいくつかを使用して差し支えない。上述したサイズ排除方法では、物質の水中でとっている大きさを調べた。多数の分析物が、RAMまたは分析RPCカラムから一緒に溶出してもよい。MALDIまたはESIプロセスいずれかによるイオン化後、分析物は、質量分析される質量分析計に輸送される。飛行時間(TOF)、四重極(Q)、イオントラップ(IT)、およびこれらの装置のハイブリッド形態が、分析物イオンの質量分析に使用される。名前が暗示するように、質量分析は、しばしば1原子質量単位差未満まで、その質量に基づいて分子を分別する。そのように分析される(分別される)分析物は、分析物を定量するのに使用できるイオン電流と一般に称される電気信号を生じる電子増倍部に輸送される。
同じ質量、またはほぼ同じ質量の分析物イオンが、RAM、RPC、またはMSの前のある種の他のタイプのクロマトグラフィー用カラムから一緒に溶出する場合があり得る。これにより、分析のこの時点まで、その特性が同じである分析物の間で識別することが不可能になる。
さらに高次元の分析として、第1次元からのイオンを分別するあるタイプの気相化学反応を行うことも可能である。衝突誘発解離(CID)および電子移動解離(ETD)は、2つのタイプの気相分解戦略であるが、本開示の教示にしたがって使用できる他のものが同様にあることをここに理解し、認識すべきである。これらの気相反応において、分子がその構造に特有な様式で分解する場合が多い。それゆえ、生成される断片イオンは、質量分析の第2次元において分析されたときに、認識でき(その質量により)、定量できる特有の質量も有する。分析物の定量は、単一の断片イオンまたは分析物に特有な全ての断片イオンの合計から行っても差し支えない。
質量分析の第2次元からの断片イオンは、さらに特異性を得るために質量分析の第3次元において選択され、さらに分解することができるが、関与するイオンの元のものに対する量が少なく、それゆえ、感度が不十分である。
感度に関して最適な質量分析計は、イオンが生成され、クロマトグラフィーピークの溶出中に連続的に収集および/または分析され、次いで、イオン化され、定量のためにMSの第2次元に輸送されるものである。QQQおよびIT−TOF装置が例として挙げられる。これらの装置の大きな利点の1つは、それらが分析のためのイオンをより多く収集することである。
残念ながら、質量分析に基づく検出は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)ほど感度がよくない。例えば、現在の検出限界は、MS分析前に100μmの内径のRPCカラムを使用した場合でさえ、100pg/mLの範囲にある。他方で、最先端のELISAは、1000倍感度が高い。しかしながら、分析の第4、第5および第6次元において質量分析を使用する大きな利点は特異性である。さらに、MS分析は、非常に速い。実際に、タンデム質量波長分析は、一般に、ほとんどの装置で、1秒以下で行うことができる。さらに別の利点は、クロマトグラフィー保持時間が集積されることである。
分析物混合物が単純であるおよび/または非常に高い検出感度が必要である場合、本開示の教示にしたがって、高感度の液体クロマトグラフィー検出器に到達することも可能である。質量分析計よりも通常の液体クロマトグラフィー(LC)検出器を使用することの利点は、それらが、ずっと安価であり、特に約100μmの内径の毛管に使用した場合、ずっと高い感度のものであり得ることである。LC検出器の感度は、カラムの直径の二乗に反比例する。同じ長さの公称で4.6mmの内径のカラムから100μmの内径のカラムにすると、検出感度が2000倍超増加する。100μmの内径のRPCカラムおよびレーザ誘起蛍光検出器を使用すると、70kDのタンパク質に関する検出限界は約1pg/mLである。これは、ELISAの範囲にあり、それでも多数の抗原を定量するものである。
本開示の教示にしたがって使用してもよいさらに他の検出器としては、以下に限られないが、レーザ誘起蛍光検出(LIF)、電気化学検出(EC)、および吸光度検出(AB)が挙げられる。これらの検出器の中で、吸光度検出器がはるかに感度が悪い。他方で、LIFおよびEC検出は、一般に、分析物が、検出を促進する試薬で誘導体化されることを必要とする。LIFの場合、これは、使用されている検出器における検出を受けやすい励起波長と発光波長を示す蛍光団であろう。蛍光タグ付け剤は、分析物と容易に反応して、誘導体化反応を促進しなければならない。
内部標準を公知の濃度で混合物に加え、その内部標準と分析物に対する装置の応答の観察比を使用して、分析物の濃度を決定することが、50年超に亘り慣例となってきた。この手法の大きい利点は、この手法により、サンプルの分析中に生じる確率的誤差が最小になることである。免疫学的測定法に関して、これらの測定は、一般に、競合結合アッセイと称される。免疫学的測定法における内部標準の添加は、定評のあるRIA手法に関し、この手法では、抗原に類似の標識が付けられた合成分子(Ag*)がサンプルに加えられた。タグ(*)の機能は、サンプル中の天然抗原(Ag)が検出できないので、検出を可能にすることであった。2つの抗原AgiおよびAgi *が同時に加えられ、限られた量の抗体から結合部位に競合させられた場合、これは、競合結合アッセイと称され、以下の説明式:
により表すことができ、式中、[Agi]はサンプル抗原の初期濃度であり、[Agi *]は公知の濃度でサンプルに最初に加えられた標識付き抗原の濃度であり、[Age]は平衡後のサンプル抗原の最終濃度であり、[Age *]は最終的な平衡後の標識付き抗原の濃度である。
ここで、本開示は、一般に、百以上の抗原(Ag)と、標識付き合成分子(Ag*)との間での同時の識別に関する。このことは、一回の分析でこれらの種の全てを識別する液体クロマトグラフィー・質量分析により可能になる。上述したように、多数の抗原に関するアッセイを行う特に有用なモードは、連続添加における、抗体飽和に関する競合結合アッセイである。第1の工程は、サンプル中の抗原の量[Agi]を超える公知の量の抗体[Abi](または多数の抗原を有する抗体)を、サンプルに加えることである。そのような工程は、以下の式:
により表すことができ、ここで、[Ab1]−[Agi]≒[Ab3]である。しかしながら、アッセイの異なる時点で、異なる条件下において、Ab1、Ab2、およびAb3は同じ抗体であることに留意することが重要である。
このアッセイの第2の工程は、サンプルに標識付き内部標準[Agi *]を公知の量で加えることである。2つの抗原の合計は、それらを標的とする抗体の総量の濃度を超えなければならない、すなわち、
となるように、[Agi]+[Agi *]≧[Ab]でなければならない。
Age *からAb3:Ag*を分離することによって、[Ab3:Ag*]のみを定量することができる。連続添加アッセイにおける[Ab3:Ag*]の濃度は、濃度[Agi]に反比例する、すなわち、Ab3:Ag*は、Agiがゼロに近づいたときに、最大である。反対に、Agiが大きい値になるにつれて、Ab3:Ag*はゼロに近づく。連続添加アッセイは、競合結合アッセイの他の形態とは対照的に、線形である。
大体において、上述したアッセイにおいて測定されている抗原の濃度が、アッセイを行うために加えなければならない抗体および標識付き抗原の量を調節することは、注目に値する。以下に記載する競合結合Ab飽和アッセイなどの他の実施の形態において、これはそのような場合ではない。それゆえ、本開示の教示は制限されることが意図されないことをここで理解すべきである。第2の注目に値する点は、式3および5に記載された反応の終わりで、Ab2:AgとAb3:Ag*の両方が溶液中に共存することである。さらに、アッセイ溶液からAge *が除去される分離工程の終わりで、このことはまだ当てはまる。このことは、Ab3:Ag*の検出に関して、タグにより、Ab2:AgとAb3:Ag*との間の識別ができる必要があることを意味する。最後に、全ての抗原からのAb3:Ag*の複合体の全ての間での識別は、特に、測定されている各抗原について、異なるタグを使用しなければならないので、上述した多重化プロセスにとって重要であることも注目に値する。しかしながら、吸光度、蛍光、および電気化学に基づく検出の場合、このことはおそらく、5つの抗原の識別に過ぎないであろう。
本開示の競合結合アッセイによれば、アッセイ溶液に加えられる内部標準(例えば、分析物の相対的または絶対的定量を行うための同位体コード化された内部標準)を含む、分析物の全ては、多重化アッセイに関して、検出されるために構造的に異なっているべきである。それゆえ、そのアッセイは、異なるクロマトグラフィー保持時間、または異なる分子量を有するか、もしくは質量分析計において特有な様式で細分化する。上述した抗原によれば、Ag*は、抗原の13C、14N、18O、または2Hで標識付けられたものであるか、またはAgの未標識の天然のものとは特有に異なる質量を内部標準抗原に与えるこれらの同位体のある組合せを担持する。代わりのコード化方策は、それらの抗原性を変えないが、Agとは特有に異なり、溶液中の任意の他の物質とは構造的に異なるある部分で抗原を誘導体化することである。誘導体化の場合における標識は、大抵、安定同位元素でコード化され、ある同位体形態において、全ての抗原(Ag)をコード化するのに使用され、異なる同位体形態において、溶液に加えられる内部標準抗原、すなわち、式5におけるAg*を全体的にコード化するのに使用される一般的なコード化剤であってもよい。式5に記載された最終的なアッセイ混合物にRPC−MS/MS分析を行う場合、同じサンプル中の数千の抗原の間で識別することが可能になる。本開示の教示により、一回の分析で数千の抗原を特定し、識別することが可能になり、それによって、表面に数百から数千の抗体またはある他の結合タンパク質を特定のアレイ要素で固定化させずに、数千の免疫学的測定法を同時に行えることが都合よい。
先の式3に重点を置くと、本開示の教示には、抗体の結合部位に、Agおよび内部標準抗原Ag*が競合する場合が記載されている。この一般的な概念を考慮すると、本開示のあるアッセイの実施の形態によれば、以下に記載される条件も適用される:測定されている全ての抗原について、[Agi]+[Agi *]>[Ab]であり、溶液に加えられる[Agi *]の濃度は[Agi]の5倍以内である。さらに、加えられる内部標準[Agi *]の濃度は正確に公知であり、[Ab:Ag]/[Ab:Ag*]比は、アッセイの終わりに測定される。この実施の形態によれば、多数の抗原、すなわち、Aga、Agb、Agc、・・・Agnが測定され、抗原は、濃度が大幅に、すなわち、数千倍で、変わることができる。いくつかの実施の形態において、全ての抗体にほぼ同じ濃度が使用されるのに対し、他の実施の形態において、抗体の濃度は、正確ではなく大雑把に公知であろう。最後に、AgのAg*に対する比は、上述した様式で決定され、一般に、差異同位体標識化法またはグローバルな内部標準標識化法による。
本開示のいくつかの教示によれば、公知の濃度の内部標準抗原を加えると、アッセイの終わりで抗原の内部標準に対する比を決定することができることを、ここに理解し、認識すべきである。これらの実施の形態によれば、よく知られた内部標準法を使用して、抗原の濃度を決定することが可能になる。さらに、抗体の濃度が、検出システムの最適な感度範囲に適合している場合、抗体をサンプリングツールとして使用することも可能になる。このサンプリングスキームによれば、抗原の濃度を考慮せずに、検出器の感度に適合するサンプルの量を選択できると同時に、初期濃度にかかわらず、抗原を10倍以下で変動する濃度範囲に至らせるために使用できる。これらの実施の形態によれば、抗体濃度は、分析物と内部標準の濃度を、定量に使用される測定装置の選出範囲に至らせるために使用されている。モニタシステムの最適な検出範囲にかかわらず、分析物の濃度を、質量分析計を含む任意の検出器の最適範囲に至らせることが可能であることを、ここで理解し、認識すべきである。最終的に、これらの記載された実施の形態は、抗体濃度を使用して、分析物をサンプリングし、それらの全てを、検出システムに適合する同様の濃度範囲に至らせることができるのに対し、実際の濃度は、分析物の内部標準に対する比によって決定される。
質量分析法から、光学、電気化学、干渉分光法、および表面プラズモン共鳴に及ぶ検出システムが先に記載されてきた。質量分光法以外に、本開示の検出方法による定量プロセスは、当該技術分野に一般に公知であり、したがって、ここでは、より詳しく論じない。しかしながら、質量分析法に関して、イオン化方法に応じて、定量は様々な様式で行うことができる。質量分析後のイオンの検出から生じるイオン電流は、質量分析法における検出に広く使用されるのに対し、そのような方法のイオン化効率は、分析間で幅広く異なる。実際に、イオン化効率は、いくつかの場合には、サンプル中の濃度および他の未知のマトリクス成分より、さらにばらつき得る。質量分析法による定量のより詳しく議論が、以下の雑誌の論文に見つけられる。その開示を、ここに全て引用する:"Primary amine coding as a path to comparative proteomics." Regnier, Fred E.; Julka,Samir. Proteomics (2006), 6(14), 3968-3979。
幸い、分析物の同位体異性体は、質量分析計に一緒に提供されたときに、ほぼ同じ様式でイオン化する。このことは、分析物の重い形態と軽い形態に見られる相対イオン電流が、それらの濃度における相対差を正確に反映することを意味する。同位体異性体の内の1つが、公知の濃度で加えられた分析物の内部標準である場合、未知の濃度の分析物の絶対濃度を計算することができる。このことは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリクス支援レーザ脱着イオン化(MALDI)の両方に関して当てはまる。分析物の同位体異性体の全てが、特にRPCにおいて同位体異性体が分離されるのを防ぐために、同一条件下でイオン化することが重要である。それらの同位体異性体が同時に溶出する場合、それらは、同一のイオン化のマトリクス阻害を経験している。この検出方法に関する、相対的な標準偏差は6〜8%だけ変動する。
本開示のある態様によれば、RPCカラムから溶出している間、長期間に亘り(秒)イオン上に乗ることのできる、同位体異性体比定量のための質量分析計は、RPCから現れるイオンの質量範囲を高速走査し、検出のための多数のイオンを蓄積できない装置に関するよりも、より多くのイオンが蓄積することができるので、特に有用である。そのような装置の非限定的例としては、三連四重極装置および四重極イオントラップ装置が挙げられる。
本開示の教示によれば、特に約20%から約30%の範囲の大きい測定誤差を許容できる場合、イオン電流測定による直接定量も有用である。
質量分析法について、質量分析の第1の次元の前に、気相中でペプチド断片が分離されることが多い。イオン移動度は気相分離方策の1つのタイプであるが、本開示にしたがって使用できる気相分離方策が他にもあることが、ここにおいて理解され認識されるべきである。イオン移動度の場合、ESIまたはMALDIによるイオン化後に、搬送緩衝ガス中でその移動度に基づくイオンの分離が行われる。この分離の出力は、イオン移動度分布の特徴を示す。このタイプの分離は、数ミリ秒で生じることが多く、ペプチド断片を分割する手段として、ここに記載された方策に適用できる。
全タンパク質の40%が、活性が異なり得る複合体として存在するとしばしば主張されている。タンパク質複合体の親和性選択では、関心のある分析物が壊れるだけでなく、非特異的に結合した物質も捕捉されてしまう。これらの物質が下流で行われる分析と干渉することがよくある。それに加え、複合体の形成をもたらすタンパク質:タンパク質の相互作用も、エピトープ:パラトープの認識を阻害することがよくある。変性種を生じる化学的手段によって、これらの複合体を壊すことは、それ自体、しばしば有益である。還元およびアルキル化は、これらの複合体を分裂させる手段の1つである。本開示の教示にしたがって使用できる、熱変性、マイクロ波変性などの改変方策が他にもあることが、ここにおいて理解され認識されるべきである。また、タンパク質複合体の変性種への分解後に、関心のある分析物を親和性精製することがしばしば有益であることに留意することも重要である。
ここに記載された分離方策を実施するのに必要な材料が充填されたカラムが1つの方策であるが、本開示の教示にしたがって使用できるハードウェアの構成は他にもあることが、理解され認識されるべきである。先に記載された分離方策は、必要な充填材料を含有する、カートリッジ、ピペットチップ、フロースルー型プレート、または電磁ビーズにも適用されることがよくある。カートリッジは、適所に嵌め込み、関心のある分析物に応じて、容易に交換することができる。充填材料を含有するフィルタを有するピペットチップとして形成されたマイクロバイオリアクタとしてピペットチップを使用すると、この用途にとって使い捨て式構成が可能になるであろう。フィルタに設けられたフロースルー型プレートを使用すると、並列処理が可能になり、したがって、ここに記載された物質のハイスループット用途が可能になる。充填材料を含有するフィルタを有する管として構成されたマイクロバイオリアクタとしてスピンカラムを使用することは、ここに記載されたプロセスに適用できる別の使い捨て式構成である。フィルタに設けられたフロースルー型プレートの使用により、並列処理が可能になり、したがって、ここに記載された材料のハイスループット用途が可能になる。必要な充填材料を含有する電磁ビーズを使用すると、これらの材料をサンプルに直接適用することが可能になり、移送の必要がなくなる。工程が完了した後、これらの材料をその次に、磁石を使用して除去する。ここに記載された多次元方策の適用は、様々な材料の段階的添加による。
分析物の識別は、分析物特異的化学修飾(誘導体化またはタンパク質分解など)を含む様々な様式の組合せで行われる。
トリプシンを使用した分析物特異的化学修飾(またはタンパク質分解)の適用は1つの方策であるが、本開示の教示にしたがって使用できる修飾が他にもあることが理解され認識されるべきである。他の可能性のある酵素修飾としては、lys c、glu c、ペプシン、パパイン、プロナーゼ、PNGaseF、グルクロニダーゼまたは複数の他の酵素が挙げられる。分析物の識別は、様々な順序での工程を組合せで使用して行われることが多いことに留意することも重要である。
後に化学修飾(誘導体化またはタンパク質分解など)が続く親和性の基づく識別は1つの方策であるが、本開示の教示にしたがって使用できる様々な順序があることが、理解され認識されるべきである。ペプチドの親和性選択は、酵素修飾が第1の分離次元に先行するような様式で行われることがよくある。これにより、親和性選択プロセスを標準化するために合成ペプチドを使用することができる。他の場合では、第1の分離次元に、第2の分離次元の前の酵素消化が続く。これにより、エピトープの外側に存在するタンパク質変種または修飾の検出が可能になる。他の場合には、第2の分離次元に、第3の分離次元の前の酵素消化が続く。ここに記載された材料の1つの用途において、このことは、翻訳後修飾の理解にとって有益である。対応するペプチドからの翻訳後修飾の酵素的除去により、これらの修飾に通常関連する多様性を低減することよって、分析が簡単になる。所定の修飾を含有するペプチドが一旦特定されたら、翻訳後修飾が除去されないその後の分析がしばしば適用される。
他の場合において、2つの酵素修飾が、それら間の分離工程と並行して使用される。一例として、タンパク質が親和性選択によって精製され、その後の工程において、この親和性に基づく識別に、トリプシンを使用して行われるタンパク質分解が続き、関心のある得られたペプチドは、親和性選択によってさらに精製される。その後の工程において、この親和性に基づく識別に、PNGaseFを使用した脱グリコシル化が続く。
本開示の原理を含む例示の実施の形態を先に開示してきたが、本開示は、開示された実施の形態には制限されない。代わりに、本出願では、一般原理を使用した、本開示の任意の変更例、用途、または適用を網羅することが意図されている。さらに、本出願は、本開示が関連し、添付の特許請求の範囲に入る、従来技術の公知のまたは関連的に実施に含まれるものとして本開示からのそのような逸脱を網羅することが意図されている。

Claims (19)

  1. サンプル溶液内の多数の分析物を同時に分析するための多次元方法において、
    測定すべき分析物を含有するサンプル溶液に、該サンプル溶液中の前記分析物の1つ以上に対して親和性を有する親和性選択物質を添加する工程、
    前記親和性選択物質と前記分析物との間で免疫複合体を形成させる工程、
    選択的吸着技法を使用して、第1の分離次元で、形成された前記免疫複合体を前記サンプル溶液内の非分析物物質からある程度または完全に分割する工程、
    分割された前記免疫複合体を解離させる工程、
    選択的吸着技法を使用して、第2の分離次元で、解離された前記免疫複合体の前記分析物と前記親和性選択物質を互いから分離する工程、および
    前記分析物を、それらの質量電荷比にしたがって分割する工程、
    を有してなる方法。
  2. 前記第1の分離次元が、カラム、カートリッジ、ピペットチップ、プレート、またはビーズの構成で行われる、請求項1記載の方法。
  3. 前記第1の分離次元が変性種に行われる、請求項1記載の方法。
  4. 前記変性種が還元およびアルキル化により形成される、請求項3記載の方法。
  5. 前記第1の分離次元に酵素修飾が先行する、請求項1記載の方法。
  6. 前記第1の分離次元に、前記第2の分離次元の前の酵素消化が続く、請求項1記載の方法。
  7. 前記酵素消化が、トリプシン、lys c、glu c、ペプシン、パパイン、プロナーゼ、PNGaseF、グルクロニダーゼまたは複数の他の酵素を使用して行われる、請求項6記載の方法。
  8. 前記第2の分離次元に、第3の分離次元の前の酵素消化が続く、請求項1記載の方法。
  9. 前記酵素消化が、トリプシン、lys c、glu c、ペプシン、パパイン、プロナーゼ、PNGaseF、グルクロニダーゼまたは複数の他の酵素を使用して行われる、請求項8記載の方法。
  10. 2つの酵素修飾が、それら間の分離工程と並行して使用される、請求項1記載の方法。
  11. 搬送ガス中において移動度に基づいて気相中のイオン化された分子を分離するためにイオン移動度分離器の使用をさらに含む、請求項1記載の方法。
  12. 前記第1と第2の分離次元が、水中でとっている大きさにしたがって分離する工程;捕獲抗体により特有の構造的特徴を標的とする工程;固定化されたアビジンでビオチン化された特徴を標的とする工程;吸着し、疎水性表面から区別をつけて溶出する工程;吸着し、荷電表面から区別をつけて溶出する工程;吸着し、固定化された金属親和性キレート剤から区別をつけて溶出する工程;および吸着し、ボロン酸の豊富な表面から区別をつけて溶出する工程の少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
  13. 前記特有の構造的特徴が、前記親和性選択物質の独特の天然の構造的特徴、前記親和性選択物質に結合したハプテン、および前記親和性選択物質に結合したイムノゲンの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
  14. 前記分析物が、分析物断片、分析物の誘導体および分析物の同位体異性体の少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
  15. 前記分析物が、イオン化された分析物を含む、請求項1記載の方法。
  16. 前記親和性選択物質が、抗体および抗体断片の少なくとも一方を含む、請求項1記載の方法。
  17. 前記親和性選択物質が、アプタマー、レクチン、ファージディスプレイタンパク質受容体、細菌タンパク質およびオリゴヌクレオチドの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
  18. 前記細菌タンパク質が、Gタンパク質、Aタンパク質、およびある微生物により産生される、別の微生物からのタンパク質を標的とするタンパク質の少なくとも1つを含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記オリゴヌクレオチドが、RNA、DNAおよびPNAの少なくとも1つを含む、請求項17記載の方法。
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