JP5716831B2 - 圧電バルク波装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、LiTaOを用いた圧電バルク波装置及びその製造方法に関し、より詳細には、バルク波として厚み滑りモードのバルク波を利用した圧電バルク波装置及びその製造方法に関する。
従来、発振子やフィルタなどに、圧電薄膜デバイスが用いられている。例えば、下記の特許文献1には、図24に示す圧電薄膜デバイスが開示されている。圧電薄膜デバイス1001は、圧電薄膜1002を有する。圧電薄膜1002は、水晶、LiTaO、LiNbOなどの圧電単結晶からなることが望ましいと記載されている。また、上記圧電薄膜1002の上面に電極1003,1004が形成されている。圧電薄膜1002の下面には電極1005〜1007が形成されている。これらの電極1003〜1007を用いることにより、圧電薄膜デバイス1001では、厚み滑りモードを利用してなる4個の圧電薄膜共振子が構成されている。
特開2007−228356号公報
特許文献1に記載のように、従来、LiTaOの厚み滑りモードを利用した圧電薄膜デバイスが知られていた。しかしながら、LiTaOからなる圧電薄膜を用いて厚み滑り振動モードを利用した場合、良好な電気的特性を得ることが困難であった。また、LiTaOや電極の膜厚の製造ばらつきにより、電気的特性のばらつきが大きくなりがちであった。
本発明の目的は、LiTaOの厚み滑りモードを利用しており、しかも電極膜厚やLiTaOの厚みのばらつきによる電気的特性のばらつきが少ない、圧電バルク波装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る圧電バルク波装置は、LiTaOからなる圧電薄板の厚み滑りモードを利用している。本発明の圧電バルク波装置は、LiTaOからなる圧電薄板と、前記圧電薄板に接するように設けられた第1,第2の電極とを備える。前記LiTaO のオイラー角(φ,θ,ψ)において、φ=0°、54°≦θ≦107°、ψ=0°である。本発明では、前記第1,第2の電極が、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも大きな固有音響インピーダンスを有する導体からなり、第1及び第2の電極の膜厚の合計を電極厚、LiTaOからなる圧電薄板の厚みをLT厚としたとき、上記電極厚/(電極厚+LT厚)が、5%以上、40%以下の範囲とされている。
本発明に係る圧電バルク波装置のある特定の局面では、前記第1及び第2の電極が、W、Mo、Pt、及びTaからなる群から選択した少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、または、該金属が重量比の過半以上を占める積層体である。
本発明に係る圧電バルク波装置の製造方法は、LiTaOからなる圧電薄板の厚み滑りモードを利用した圧電バルク波装置の製造方法であって、オイラー角(φ,θ,ψ)において、φ=0°、54°≦θ≦107°、ψ=0°であるLiTaO からなる圧電薄板を用意する工程と、前記圧電薄板に接するように、固有音響インピーダンスがLiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも高い導体からな第1及び第2の電極を形成する工程とを備える。前記第1及び第2の電極の膜厚の合計を電極厚、前記LiTaO からなる圧電薄板の厚みをLT厚としたとき、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下となるように第1及び第2の電極を形成する。
本発明の圧電バルク波装置の製造方法のある特定の局面では、前記圧電薄板を用意する工程が、LiTaOからなる圧電基板の一方面からイオン注入し、該一方面側に注入イオン濃度がもっとも高い高濃度イオン注入部分を形成する工程と、前記圧電基板の前記一方面側に支持基板を接合する工程と、前記圧電基板を加熱しつつ、前記高濃度イオン注入部分において前記圧電基板を該圧電基板の前記一方面から前記高濃度イオン注入部分に至る圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する工程とを備える。この場合には、イオン注入条件を制御することにより、高濃度イオン注入部分の位置を容易に制御することができる。一般にイオン注入装置のイオンビームは均質な強度で直線的に基板へ照射され、かつ、基板全体をイオンビームが掃引しながら同一箇所にほぼ同じ照射角で多数回照射される。従って、スパッタやCVD、蒸着などの成膜法による厚みバラツキに比べると、イオン注入では、高濃度イオン注入部分の位置は、基板全面で均等となり、深さバラツキは小さくなる。よって、基板全面で正確な厚みの圧電薄板を容易に得ることができる。
本発明の圧電バルク波装置の製造方法の他の特定の局面では、前記圧電薄板を用意する工程が、LiTaOからなる圧電基板の一方面からイオン注入し、該一方面側に注入イオン濃度がもっとも高い高濃度イオン注入部分を形成する工程と、前記圧電基板の前記一方面側に仮支持部材を貼り合わせる工程と、前記仮支持部材に貼り合わされている圧電基板を加熱しつつ、前記高濃度イオン注入部分において前記圧電基板を該圧電基板の前記一方面から前記高濃度イオン注入部分に至る圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する工程とを有し、前記圧電薄板から前記仮支持部材を剥離する工程とを有する。
この場合には、圧電薄板の分離時に、熱応力によって圧電薄板に不具合が発生するおそれを抑制できる。
本発明に係る圧電バルク波装置の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記圧電薄板から前記仮支持部材を剥離するに先立ち、前記圧電薄板上に第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極を覆うように犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層上に支持基板を積層する工程とを実施する。また、前記圧電薄板から仮支持部材を剥離した後に、前記仮支持部材の剥離により露出した前記圧電薄板の他方面に第2の電極を形成する工程と、前記犠牲層を消失させる工程とをさらに備える。この場合には、圧電薄板の上下に第1,第2の電極が形成されている振動部分が支持基板から浮かされた構造を有する圧電バルク波装置を本発明に従って提供することができる。
本発明に係る圧電バルク波装置では、第1及び第2の電極が、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも大きい固有音響インピーダンスを有する導体からなり、第1及び第2の電極の膜厚の合計を電極厚、LiTaOからなる圧電薄板の厚みをLT厚としたとき、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下の範囲とされているため、電気機械結合係数の変動が生じ難い圧電バルク波装置を構成することができる。従って、特性のばらつきの少ない圧電バルク波装置を提供することができる。
また、本発明に係る圧電バルク波装置の製造方法によれば、第1及び第2の電極が上記のように構成されるため、本発明に従って特性のばらつきの少ない圧電バルク波装置を提供することができる。
図1(a),(b)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の正面断面図及び平面図である。 図2は、本発明の一実施形態において、Wからなる第1及び第2の電極の電極厚/(電極厚+LT厚)と共振周波数との関係を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態において、Wからなる第1及び第2の電極の電極厚/(電極厚+LT厚)と電気機械結合係数kとの関係を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態において、Wからなる第1及び第2の電極の電極厚/(電極厚+LT厚)と制動容量Cとの関係を示す図である。 図5は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を880MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、LiTaOの厚みとの関係を示す図である。 図6は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を880MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、制動容量Cとの関係を示す図である。 図7は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を880MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、電気機械結合係数kとの関係を示す図である。 図8は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を1960MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、LiTaOの厚みとの関係を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を1960MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、制動容量Cとの関係を示す図である。 図10は、本発明の一実施形態において第1及び第2の電極がWからなり、共振周波数を1960MHzとした場合の上部電極厚=下部電極厚と、電気機械結合係数kとの関係を示す図である。 図11は、LiTaOのオイラー角θと固有音響インピーダンスとの関係を示す図である。 図12は、LiTaOのオイラー角のθと、厚み滑りモードの共振周波数Fr及び反共振周波数Faとの関係を示す図である。 図13は、LiTaOのオイラー角のθと、厚み滑りモードの電気機械結合係数kとの関係を示す図である。 図14は、LiTaOのオイラー角のθと、厚み滑りモードの周波数温度係数TCFとの関係を示す図である。 図15は、LiTaOのオイラー角のθと、スプリアスとなる厚み縦振動モードの電気機械結合係数ksp との関係を示す図である。 図16は、LiTaOのオイラー角のθと、厚み縦振動の共振周波数Fr及び反共振周波数Faとの関係を示す図である。 図17は、LiTaOのオイラー角のθと、厚み縦振動の電気機械結合係数kとの関係を示す図である。 図18は、LiTaOのオイラー角のθと、周波数温度係数TCFとの関係を示す図である。 図19は、LiNbOを用いた場合の、厚みすべり振動モードにおけるオイラー角θと周波数温度係数TCFの関係を示す図である。 図20(a)〜(d)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の製造方法を説明するための各模式的正面断面図である。 図21(a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の製造方法を説明するための各模式的正面断面図である。 図22(a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の製造方法を説明するための各模式的正面断面図である。 図23(a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の製造方法を説明するための各模式的正面断面図である。 図24は、従来の圧電薄膜デバイスの一例を示す模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態にかかる圧電バルク波装置の模式的正面断面図及び平面図である。
本実施形態の圧電バルク波装置1は、支持基板2を有する。支持基板2は、適宜の絶縁体あるいは圧電体からなる。本実施形態では、支持基板2は、アルミナからなる。
支持基板2上に、絶縁層3が形成されている。絶縁層3は、本実施形態では、酸化シリコンからなるが、LiTaOやLiNbO、サファイア、ガラスなど適宜の絶縁性材料により形成することができる。アルミナやガラス、LiNbOは、LiTaOやサファイアに比べて材料が安価で製造が容易であるため入手しやすく、望ましい。絶縁層3の上面には、凹部3aが形成されている。凹部3aが設けられている部分の上方において、圧電薄板振動部4が配置されている。圧電薄板振動部4は、圧電薄板5と、圧電薄板5の上面に形成された第1の電極6と、下面に形成された第2の電極7とを有する。
圧電薄板5は、LiTaOからなる。なお、圧電薄板5とは、厚みが2μm以下程度の薄い圧電体をいうものとする。後述する製造方法によれば、イオン注入−分割法を用いることにより、このような厚みの薄いLiTaOからなる圧電薄板を高精度に得ることができる。
圧電薄板5は、上記のような厚みが2μm以下程度の薄い圧電体である。本実施形態では、このような薄いLiTaOからなる圧電薄板を用いた場合において、該LiTaOの厚みがばらついたとしても、電気機械結合係数kのばらつきを低減することができる。これは、本実施形態では、第1及び第2の電極6,7が以下のように構成されていることによる。
すなわち、本願発明の特徴は、LiTaOの厚み滑りモードのバルク波を利用した圧電バルク波装置であって、上記第1及び第2の電極6,7が、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも固有音響インピーダンスが高い導体からなり、第1及び第2の電極6,7の厚みの合計を電極厚、LiTaOの厚みをLT厚としたとき、上記電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下であることを特徴とする。この場合には、電気機械結合係数kの変化を小さくすることができる。すなわち、第1及び第2の電極6,7の厚みやLiTaOの厚みがばらついたとしても、電気機械結合係数kの変化は小さいので、比帯域の変動を抑制することができる。
さらに、上記電極厚/(電極厚+LT厚)は、5%以上の場合には、電気機械結合係数kを10%以上と高めることができる。これらを、図2〜図10を参照してより詳細に説明する。
図2〜図10においては、以下の構成を前提とする。
LiTaOからなる圧電薄板の上面にWからなる第1の電極6、下面に第2の電極7が積層されている構造。LiTaOの厚みすなわちLT厚と、電極厚=(第1の電極6の厚み+第2の電極7の厚み)を1000nmとする。すなわち、電極厚=上部電極厚+下部電極厚である。ここで、電極厚/(電極厚+LT厚)を5〜95%の範囲で変化させた。第1の電極6と第2の電極7が対向している領域は正方形の形状とし、その面積は44.7μm×44.7μm=2000μmとした。また、LiTaOのオイラー角は(0°,73°,0°)とした。
図2は、上記電極厚/(電極厚+LT厚)と共振周波数との関係を示す。図3は、上記電極厚/(電極厚+LT厚)と電気機械結合係数kとの関係を示し、図4は、上記電極厚/(電極厚+LT厚)と制動容量Cとの関係を示す図である。
図3から、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下の範囲では、電気機械結合係数kの変化が小さいことがわかる。電気機械結合係数kはフィルタの帯域幅に比例する。従って、電気機械結合係数kの変化が小さいため、上記電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下の範囲内であれば、帯域幅のばらつきを効果的に小さくし得ることがわかる。従って、周波数ばらつきの少ない圧電バルク波装置を提供することができる。
圧電薄板の厚みは、イオンビームの加速電圧に比例する。一般に、イオン注入装置は、イオンビームのビーム電流と加速電圧にトレードオフの関係がある。ビーム電流×加速電圧であらわされる電力値を大きくすると、単位時間当たりに基板に照射されるエネルギー量が増えるため、局所発熱に伴う熱応力による基板の破壊などの不具合が生じるためである。加速電圧を大きくすると、イオンの打ち込み深さを大きくできるので、圧電薄板の厚みを厚くできるが、ビーム電流が小さくなるため、圧電薄板を分離できる濃度(例えば、8×1016ions/cm)までイオンを注入する時間が長くなる。従って、時間当たりの生産効率を上げるには、ビーム電流を大きくする必要があり、加速電圧を小さくすることが望ましい。加速電圧を小さくするためには、圧電薄板の厚みを薄くして必要な周波数特性を得る必要がある。圧電バルク波装置の共振周波数は、圧電薄板の厚みが薄くなると高周波化してしまうが、本発明は、特に、1.5GHzより低い周波数帯で用いる圧電バルク波装置を、1μm程度の薄い圧電薄板で実現できるので、有利である。
また、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上の場合には、電気機械結合係数kの絶対値も10%より高くすることができる。従って、広帯域のフィルタを提供し得ることがわかる。
ところで、従来のバルク波共振子では、圧電体としてAlNが用いられている。AlNの比誘電率は12程度であるのに対し、LiTaOの比誘電率は40.9〜42.5であり、約3.4倍の大きさである。また、バルク波の横波の音速は、AlNに比べてLiTaOでは0.68倍と低速である。従って、同一周波数、電極厚/(電極厚+LT厚)の比が同一であり、インピーダンスが同一である場合、LiTaOを用いたバルク波共振子の面積は、AlNを用いたバルク波共振子の面積の1/5程度とすることができる。従って、圧電バルク波装置の小型化を図ることができる。
5は、共振子を880MHzとするように上記積層構造を構成した場合の上電極厚=下部電極厚と、LiTaOの厚みとの関係を示し、図6は上部電極厚=下部電極厚と、制動容量Cとの関係を示し、図7は上部電極厚=下部電極厚と電気機械結合係数kとの関係を示す。なお、上部電極厚=下部電極厚は、それぞれ、第1の電極6と第2の電極7の厚みが等しく、かつ図5〜図7では、この片側の電極の厚みと、LiTaOの厚み、制動容量Cまたは電気機械結合係数kの関係を示している。
また、図8は、共振子を1960MHzとなるように構成した場合の上部電極厚=下部電極厚とLiTaOの厚みとの関係を示し、図9は上部電極厚=下部電極厚と制動容量Cとの関係を示し、図10は上部電極厚=下部電極厚と、電気機械結合係数kとの関係を示す。
図5〜図7と、図8〜図10とを対比すれば明らかなように、共振子を880MHz及び1960MHzのいずれに設定した場合においても、上部電極厚=下部電極厚と、LiTaOの厚み、制動容量Cの大きさ及び電気機械結合係数kとの間に同様の変化傾向があることがわかる。
なお、図2〜図10では、LiTaOのオイラー角は(0°,73°,0°)としたが、オイラー角(90°,90°,0°)の場合も同様の結果が得られた。すなわち、LiTaOのc軸が面方向に近接した結晶方位でも同様の効果が得られることがわかる。これまで述べてきたように、本実施形態によれば、帯域幅の変動が小さい、また広帯域の共振子やフィルタを提供することができる。これは、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスに比べ、Wの固有音響インピーダンスが高いため、LiTaOからみた反射係数が正となることに由来する。なお、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスは、図11に示すように、オイラー角のθが変化してもさほど変化せず、24.8kg・s/m〜29.7kg・s/mの値である。他方、Wの固有音響インピーダンスは50.5kg・s/mである。
なお、上記実施形態では、第1及び第2の電極6,7をWで形成したが、Wに限らず、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスに比べ、固有音響インピーダンスが高いMo、Pt、Taなどを用いてもよい。または、該金属を主体とする合金を用いてもよい。
なお、第1及び第2の電極6,7は、複数の金属膜を積層してなる積層金属膜により形成されていてもよい。
上記第1及び第2の電極6,7の形成方法は特に限定されない。電子ビーム蒸着、化学蒸着、スパッタリング、またはCVDなどの適宜の方法を用いることができる。
なお、図1(a)は、図1(b)のA−A線に沿う部分の断面図に相当する。圧電薄板5は、凹部3aのA−A線に沿う方向両側において、スリット5a,5bを有する。従って、図1(a)に示すように、凹部3aの上方において圧電薄板振動部4は、浮かされた状態とされている。スリット5aの外側において、絶縁層3上に配線電極8が形成されている。配線電極8は、図示しない部分において第2の電極7に接続されている。また、スリット5bの外側において、配線電極9が形成されている。配線電極9は圧電薄板5上に形成されており、第1の電極6と図示しない部分において電気的に接続されている。配線電極8,9は、適宜の導電性材料からなる。このような導電性材料としては、Cu、Alまたはこれらの合金などを用いることができる。
配線電極9上に金バンプ10が設けられている。また、配線電極8に電気的に接続されるように、ビアホール電極11が圧電薄板5に設けられている。ビアホール電極11の上端に、金バンプ12が接合されている。従って、金バンプ10,12から交番電界を印加することにより圧電薄板振動部4を振動させることができる。加えて、主電気信号を伝送する配線電極8が、絶縁層3と支持基板2の接合界面から離間しているため、接合界面の拡散や不均一性に伴う半導体的な抵抗劣化や表皮効果の影響を受けず、主電気信号を低損失で伝送できる。
本実施形態の圧電バルク波装置1では、上記圧電薄板振動部4において、LiTaOからなる圧電薄板5の厚み滑り振動モードを利用しており、好ましくは、LiTaOのオイラー角の(φ,θ,ψ)において、φが0°であり、θが54°以上、107°以下の範囲であることが望ましい。それによって、厚み滑り振動モードを利用した良好な共振特性を得ることができる。これを、以下においてより具体的に説明する。
有限要素法により、LiTaOを用いた厚み滑り振動モード及び厚み縦振動モードを利用したバルク波振動子を解析した。LiTaOの厚みは1000nmとした。このLiTaOの上下に100nmの厚みのAlからなる電極を形成した構造をモデルとした。上下の電極の重なり合っている面積は、2000μmとした。
LiTaOのオイラー角(0°,θ,0°)において、θを変化させ、厚み滑り振動モード及び厚み縦振動モードの状態を解析した。結果を図12〜図18に示す。
図12は、オイラー角のθと、厚み滑り振動モードの共振周波数Fr及び反共振周波数Faとの関係を示す図であり、実線が共振周波数、破線が反共振周波数を示す。また、図13は、オイラー角のθと、厚み滑り振動モードの電気機械結合係数kとの関係を示す図である。図13から明らかなように、利用する厚み滑り振動モードの電気機械結合係数kは、θが80°付近で最大となり、14.3%の値となる。ここで、θが54°以上、107°以下の範囲であれば、電気機械結合係数kは、5%を超えており、携帯端末用フィルタの帯域幅を形成するのに必要な電気機械結合係数が得られる。さらに、θが63°以上°、97°以下の範囲であれば、電気機械結合係数kは、上記最大値の2/3である9.5%以上と大きな値を維持する。電気機械結合係数kはフィルタの帯域幅に比例する。従って、オイラー角のθを54°以上、107°以下とすれば、電気機械結合係数kを高めることができ、広帯域のバルク波フィルタを構成し得ることがわかる。
よって、本実施形態では、オイラー角のθを54°以上、107°以下とすることにより、広帯域のバルク波装置を提供し得ることがわかる。もっとも、用途によっては、帯域幅は広ければ広いほどよいというものではない。しかしながら、バルク波共振子に並列にまたは直列に静電容量を付加すれば、帯域幅を狭めることができる。従って、電気機械結合係数kが大きい場合、設計の自由度を高めることができる。よって、オイラー角のθが54°以上、107°以下であり、電気機械結合係数kが大きいため、様々な帯域幅のバルク波装置を容易に提供することができる。
他方、図15から明らかなように、スプリアスとなる厚み縦振動モードの電気機械結合係数ksp は、θが73°でほぼゼロとなる。このことは、図17の結果とも一致する。すなわち、図16〜図18は、スプリアスとなる厚み縦振動モードのオイラー角のθによる変化を説明するための図である。図16は、オイラー角のθと、厚み縦振動の共振周波数Fr及び反共振周波数Faとの関係を示す。実線が共振周波数の結果を、破線が反共振周波数の結果を示す。また、図17は、オイラー角のθと厚み縦振動の電気機械結合係数kとの関係を示し、図18オイラー角のθと周波数温度係数TCFとの関係を示す。図16〜図18からも明らかなように、オイラー角のθが73°において、スプリアスとなる厚み縦振動モードの電気機械結合係数kがほぼゼロとなり、θが55°以上、85°以下の範囲であれば、図15から明らかなように、スプリアスとなる厚み縦振動モードの電気機械結合係数ksp 1.5%以下と非常に小さい。
よって、より好ましくは、オイラー角のθを55°以上、85°以下の範囲とすることが望ましい。それによって、スプリアスとなる厚み縦振動モードの応答を小さくすることができる。よって、上記実施形態の圧電バルク波装置を構成した場合、フィルタの阻止帯域における減衰特性を向上することができる。
他方、図14から明らかなように、厚み滑り振動モードの周波数温度係数TCFは、θ=75°の場合、21.4ppm/℃と小さくなる。また、θが62°以上87°以下の範囲では、TCFは30ppm/℃以下と小さい。従って、さらに好ましくは、θは、62°以上87°以下の範囲とすることが望ましい。それによって、圧電バルク波装置1におけるフィルタの通過帯域や阻止帯域が環境温度の変化によりシフトし難い。すなわち、周波数の変動に対して安定な圧電バルク波装置1を提供することができる。
ここで、LiNbOを用いた場合の、厚みすべり振動モードにおけるオイラー角θと周波数温度係数TCFの関係を図19に示す。LiNbOにおいて、LiTaOの場合と同様に、スプリアスとなる厚み縦振動モードの電気機械結合係数kが小さくなるθ=73°付近のTCFを確認すると、96ppm/℃、と、21.4ppm/℃であるLiTaOに比べて5倍近く大きくなっていることがわかる。よって、圧電薄板としてLiTaOを用いることが好ましいことが言える。
なお、図12〜図18では、LiTaOの上面及び下面に、Alからなる電極を形成した構造をモデルとして検討した。しかしながら、電極材料を他の金属に変更したとしても、電気機械結合係数kの絶対値は変化するにしても、オイラー角のθを上記と同様の範囲内とすることにより、電気機械結合係数kを高め、さらに上記望ましい範囲のθとすることにより、スプリアスを抑制し、あるいはTCFの絶対値を小さくできることが確かめられている。
次に、図20(a)〜図23(c)を参照して、上記圧電バルク波装置1の製造方法の一例を説明する。
図20(a)に示すように、LiTaOからなる圧電基板5Aを用意する。圧電基板5Aの一方面から矢印で示すように水素イオンを注入する。注入されるイオンは水素に限らず、ヘリウムなどを用いてもよい。イオン注入に際してのエネルギーは特に限定されないが、本実施形態では、150KeV、ドーズ量8×1017原子/cm とする。なお、上記イオン注入条件は、目的とする圧電薄板の厚みに応じて選択すればよい。すなわち、注入イオン高濃度部分の位置を、上記イオン注入条件を選択することにより制御することができる。
イオン注入を行うと、圧電基板5A内において、厚み方向にイオン濃度分布が生じる。最もイオン濃度が高い部分を図20(a)において破線で示す。破線で示すイオン濃度が最も高い部分である注入イオン高濃度部分5xでは、加熱すると応力により容易に分離する。このような注入イオン高濃度部分5xにより分離する方法は、特表2002−534886号公報において開示されている。
次に、図20(b)に示すように、圧電基板5Aのイオン注入が行われた側の面に仮接合層21を形成する。仮接合層21は、後述する仮支持部材22を接合するとともに、最終的に得られる圧電薄板5を保護するために設けられている。仮接合層21は、後述するエッチング工程により除去される材料により構成されている。すなわち、エッチングにより除去され、かつエッチング時に圧電薄板5が損傷されない適宜の材料からなる。このような仮接合層21を構成する材料としては、無機材料、あるいは有機材料などの適宜の材料を用いることができる。無機材料としては、ZnO、SiO、AlNなどの絶縁性無機材料や、Cu、Al、Tiなどの金属材料を挙げることができる。有機材料としては、ポリイミドなどを挙げることができる。仮接合層21はこれらの材料からなる複数の膜を積層したものであってもよい。本実施形態では、上記仮接合層21は、SiOからなる。
仮接合層21に、図20(c)に示すように、仮支持部材22を積層し貼り合わせる。仮支持部材22は適宜の剛性材料により形成することができる。このような材料としては、絶縁性セラミックス、圧電性セラミックスなど適宜の材料を用いることができる。ここで、仮支持部材は、圧電基板との界面に作用する熱応力がほとんど存在しない、あるいは、支持基板と圧電基板とを接合したときに、支持基板と圧電基板との界面に作用する熱応力よりも、仮支持部材と圧電基板との界面に作用する熱応力が小さい材料からなる。そのため、圧電薄板の分離時に熱応力によって圧電薄板に不具合が発生するおそれを従来よりも抑制できる。一方、圧電薄板の分割のための加熱の後で支持基板を圧電薄板上に形成するので、支持基板の構成材料としては、支持基板と圧電薄板との界面に作用する熱応力を考慮することなく、任意の線膨張係数のものを選定できる。
そのため、圧電薄板の構成材料と支持基板の構成材料との組み合わせの選択性を高められる。例えば、フィルタ用途のデバイスでは、支持基板の構成材料の線膨張係数を圧電薄板の線膨張係数よりも大幅に小さくすることにより、フィルタの温度−周波数特性を向上させることが可能になる。また、支持基板に熱伝導率性が高い材料を選択することにより、放熱性および耐電力性を向上させることが可能になる。また、安価な構成材料を選択することにより、デバイスの製造コストを低くすることが可能になる。
次に、加熱し、注入イオン高濃度部分5xにおいて圧電基板5Aの分割を容易とする。圧電基板5Aを注入イオン高濃度部分5xにおいて容易に分割するための加熱温度については、本実施形態では、250℃〜400℃程度の温度に維持することにより行う。
その状態で外力を加え、圧電基板5Aを分割する。すなわち、図20(d)に示す圧電薄板5を残すように、注入イオン高濃度部分5xにおいて、圧電薄板5と、残りの圧電基板部分とを分離し、残りの圧電基板部分を除去する。
なお、加熱により分割した後、適宜圧電性を回復させる加熱処理を施すことが望ましい。このような加熱処理としては、400℃〜500℃の温度で3時間程度維持すればよい。
上記圧電性回復に必要な加熱温度は、上記分割を容易とするための加熱温度よりも高くすればよい。それによって、圧電性を効果的に回復させることができる。
次に、図21(a)に示すように、圧電薄板5上に、フォトリソグラフィー法により第2の電極7及び配線電極8を含む電極構造を形成する。さらに、配線電極8を覆うように保護膜8aを形成する。
次に、図21(b)に示すように、第2の電極7を覆うように犠牲層23を形成する。犠牲層23は、エッチングにより除去し得る材料からなる。このような犠牲層形成材料としては、SiO ZnO PSG(フォスフォシリケートガラス)などの絶縁膜や、各種有機膜、下部電極や下部電極を覆うパッシベーション膜との溶解選択度の高い金属などを用いることができる。本実施形態では、Cuを用いている。上記エッチングに際してのエッチャントとしては、第2の電極7をエッチングせずに、該犠牲層23のみをエッチングにより除去し得る適宜の材料を用いることができる。
図21(c)に示すように、犠牲層23、保護膜8aなどを覆うように、全面に絶縁層3を形成する。絶縁層3は、SiO、SiN、Ta2、AlNなどの適宜の絶縁性セラミックスにより形成することができる。また、ガラスや樹脂などの絶縁素材を用いても良い。
しかる後、図22(a)に示すように、上記絶縁層3を研磨し、その上面を平坦化する。
次に、図22(b)に示すように、平坦化された絶縁層3上に、支持基板2を積層する。
次に、エッチングにより前述した仮接合層21を除去し、圧電薄板5から分離する。それによって、圧電薄板5を仮支持部材22から剥離することができる。このようにして、図22(c)に示すように、支持基板2の下面に、絶縁層3を介して、犠牲層23、第2の電極7、圧電薄板5が積層されている構造が得られる。次に、図23(a)に示すように、上下逆転し、圧電薄板5上に、第1の電極6及び配線電極9をフォトリソグラフィー法により形成する。
しかる後、エッチングによりスリット5a,5b及びビアホール形成用電極孔を圧電薄板5に形成する。次に、図23(b)に示すように、ビアホール電極11を形成する。
しかる後、エッチングにより犠牲層23を除去する。このようにして、図23(c)に示すように、凹部3aが形成され、圧電薄板振動部4が浮かされた状態となる。最後に、図1(a)に示すように、ビアホール電極11及び配線電極9上にバンプ12,10を形成する。このようにして、上記実施形態の圧電バルク波装置1を得ることができる。上記製造方法によれば、予め厚みの厚い圧電基板5Aにイオン注入している。そのため、注入イオン高濃度部分5xにおいて分割し、圧電薄板5を容易に得ることができる。この方法によれば、厚みの比較的薄い圧電薄板5を高精度に得ることができる。
なお、以上の実施形態で示した製造方法により本発明の圧電バルク波装置を製造できるが、その他の方法により製造してもよい。
例えば、上記実施形態では、圧電基板の一方面に仮支持部材22を貼り合わせたのち、圧電薄板と、残りの圧電基板部分とを分離していたが、圧電薄板を用意する工程は以下の工程により実施してもよい。すなわち、LiTaOからなる圧電基板の一方面からイオン注入し、前述した高濃度イオン注入部分を形成する工程と、圧電基板の上記一方面側に支持基板を接合する工程と、次に、圧電基板を加熱しつつ、高濃度イオン注入部分において圧電基板を該圧電基板の前記一方面から前記高濃度イオン注入部分に至る圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する工程とを実施することにより、圧電薄板を用意してもよい。より具体的には、図20(a)に示すような、イオン注入により高濃度イオン注入部分5xを有する圧電基板5Aを用意する。次に、圧電基板5Aのイオン注入を行った側の面に第1の電極を形成する。しかる後、圧電基板5Aのイオン注入を行った側の面すなわち第1の電極が形成されている面に支持基板2を接合する。その状態で、圧電基板5Aを加熱しつつ、前述した実施形態と同様にして、圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する。次に、圧電薄板の第1の電極が形成されている面とは反対側の面に第2の電極を形成すればよい。
また、圧電薄板の形成は、LiTaOからなる圧電基板へのイオン注入と分割とにより実現する他、圧電基板の研削、圧電基板のエッチングなどにより実現してもよい。
また、上記圧電バルク波装置1は本発明の圧電バルク波装置の一例にすぎず、本発明の特徴は、該圧電バルク波装置を構成する第1及び第2の電極6,7が、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも固有音響インピーダンスが高い導体からなることであり、さらに、厚み滑り振動モードによる共振特性を有効に利用したことにある。従って、第1,第2の電極の材料及び形状等は特に限定されない。また共振子に限らず、様々な帯域フィルタとして機能する電極構造を有するように圧電バルク波装置を構成してもよい。
1…圧電バルク波装置
2…支持基板
3…絶縁層
3a…凹部
4…圧電薄板振動部
5…圧電薄板
5A…圧電基板
5a,5b…スリット
5x…注入イオン高濃度部分
6…第1の電極
7…第2の電極
8…配線電極
8a…保護膜
9…配線電極
10…バンプ
11…ビアホール電極
12…バンプ
21…仮接合層
22…仮支持部材
23…犠牲層

Claims (6)

  1. LiTaOからなる圧電薄板と、
    前記圧電薄板に接するように設けられた第1,第2の電極とを備え、
    前記LiTaOからなる圧電薄板の厚み滑りモードを利用しており、前記LiTaO のオイラー角(φ,θ,ψ)において、φ=0°、54°≦θ≦107°、ψ=0°であり、
    前記第1,第2の電極が、LiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも大きな固有音響インピーダンスを有する導体からなり、前記第1及び第2の電極の膜厚の合計を電極厚、前記LiTaOからなる圧電薄板の厚みをLT厚としたとき、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下である、圧電バルク波装置。
  2. 前記第1及び第2の電極が、W、Mo、Pt、及びTaからなる群から選択した少なくとも1種の金属または該金属を主体とする合金、または、該金属が重量比の過半以上を占める積層体である、請求項1に記載の圧電バルク波装置。
  3. LiTaOからなる圧電薄板の厚み滑りモードを利用した圧電バルク波装置の製造方法であって、
    オイラー角(φ,θ,ψ)において、φ=0°、54°≦θ≦107°、ψ=0°であるLiTaOからなる圧電薄板を用意する工程と、
    前記圧電薄板に接するように、固有音響インピーダンスがLiTaOを伝搬する横波の固有音響インピーダンスよりも高い導体からな第1及び第2の電極を形成する工程とを備え
    前記第1及び第2の電極の膜厚の合計を電極厚、前記LiTaO からなる圧電薄板の厚みをLT厚としたとき、電極厚/(電極厚+LT厚)が5%以上、40%以下となるように第1及び第2の電極を形成する、圧電バルク波装置の製造方法。
  4. 前記圧電薄板を用意する工程が、
    LiTaOからなる圧電基板の一方面からイオン注入し、該一方面側に注入イオン濃度がもっとも高い高濃度イオン注入部分を形成する工程と、
    前記圧電基板の前記一方面側に支持基板を接合する工程と、
    前記圧電基板を加熱しつつ、前記高濃度イオン注入部分において前記圧電基板を該圧電基板の前記一方面から前記高濃度イオン注入部分に至る圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する工程とを備える、請求項3に記載の圧電バルク波装置の製造方法。
  5. 前記圧電薄板を用意する工程が、
    LiTaOからなる圧電基板の一方面からイオン注入し、該一方面側に注入イオン濃度がもっとも高い高濃度イオン注入部分を形成する工程と、
    前記圧電基板の前記一方面側に仮支持部材を貼り合わせる工程と、
    前記仮支持部材に貼り合わされている圧電基板を加熱しつつ、前記高濃度イオン注入部分において前記圧電基板を該圧電基板の前記一方面から前記高濃度イオン注入部分に至る圧電薄板と、残りの圧電基板部分とに分離する工程とを有し、
    前記圧電薄板から前記仮支持部材を剥離する工程をさらに備える、請求項3に記載の圧電バルク波装置の製造方法。
  6. 前記圧電薄板から前記仮支持部材を剥離するに先立ち、前記圧電薄板上に第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極を覆うように犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層上に支持基板を積層する工程とを実施し、
    前記圧電薄板から仮支持部材を剥離した後に、前記仮支持部材の剥離により露出した前記圧電薄板の他方面に第2の電極を形成する工程と、前記犠牲層を消失させる工程とをさらに備える、請求項5に記載の圧電バルク波装置の製造方法。
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