JP5716449B2 - 化学気相析出プロセス - Google Patents

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本発明は、金属塩化物原料を気化させた後、該気化した金属塩化物原料と、水素を含む還元ガスとを、熱、光又はプラズマ等を用いて反応させ、対象物上にセラミックスを析出させる化学気相析出プロセスに関する。
化学気相析出プロセスは、工具鋼の耐摩耗性を高めるためのセラミックコートや、半導体・液晶パネルの製造、気相からの機能性粉体の作製など、産業界の様々な分野において利用されている。化学気相析出プロセスのメリットとしては、高融点の窒化物や炭化物のセラミック膜が比較的低温で形成できること、物理蒸着のような高真空を必要とせず、膜の種類によっては大気圧下で膜形成を行うことができる結果、設備の小型化に有利なこと、さらに、ステップカバリッジが良好であるため、複雑な形状の対象物についても均一に成膜が行えること等が挙げられる。そのため、所望の効果を発揮できるように、プロセスに用いるガス種や基板の選定、ガスや、反応性を高めるための、熱、光、又はプラズマ等のエネルギーの供給方法などについての開発が現在でも行われている。
ここで、化学気相析出プロセスに用いられる原料のうち、代表的なものとしては、SiCl4、TiCl4、AlCl3などの塩化物、SiH4等の水素化物、Si(OC2H5)4等の有機金属化合物が挙げられる。その中でも、特にSiCl4やTiCl4等は、常温で液体であり、沸点が100℃前後であることから、蒸気圧の制御が比較的容易であり、材料費が抑えられることから、化学気相析出プロセスの原料として多くの分野で用いられている。また、水素化物については、反応性が高いため、半導体等の分野で多く利用されている。また、有機金属化合物については、高価であるものの沸点が低く気化しやすく、炭素、窒素、水素等の原料元素が共に含まれていることから、化合物半導体や、超伝導薄膜の原料として用いられている。
しかしながら、化学気相析出プロセスにおいては、目的とする用途(例えば、表面皮膜、基板改質等)に費やされる原料の比率(原料利用率)が数%程度と極めて低いという問題がある。すなわち、反応容器へ供給した原料の大半は未反応のままか、又は反応副生物として、系外へと排出され、排ガス中に含まれるそれらの原料は、通常は再利用されることなく、中和処理や酸化処理などによって無害化され、廃棄されることが一般的である。
また、化学気相析出プロセスでは、反応性の高い原料が用いられることから、一度使用したガスについては、化学反応によって種々の形態に変化している場合が多く、変化した原料を回収し、再利用することは容易ではない。そのため、原料利用率が数%と低く、残りを廃棄した場合であっても、高付加価値商品の処理コストとして工業的に成立していたが、最近では、処理コストに対する原料コストの高さが、化学気相析出プロセスを採用することの阻害要因の1つとなっている。
さらに、化学気相析出プロセスは、近年、半導体等の高付加価値用途だけではなく、鋼板製品のような比較的安価な素材についても表面処理の手段として用いられていることから、このような分野については、原料費を抑えるための有効利用がより重要視されている。
そのため、化学気相析出プロセスにおいて、原料を回収し、再利用するための種々の技術が開発されている。
例えば、特許文献1では、有機金属化合物を加熱し気化させてソースガスを製造する気化工程と、前記ソースガスを基板上に導入し、基板表面で反応させて金属又は金属酸化物薄膜とする薄膜形成工程と、前記薄膜形成工程で生じる反応生成物と未反応のソースガスとを含む排ガスを冷却することにより、前記未反応のソースガスを凝縮又は凝固させて液体又は固体の有機金属化合物を含む回収分を得る回収工程と、前記回収分中の有機金属化合物を分離し精製する精製工程とを含むCVD薄膜形成プロセスが開示されている。
また、特許文献2では、使用済み原料と、水添触媒又は還元剤とを接触させることにより使用済み原料を改質処理した後に、未反応の有機金属化合物を抽出するMOCVD用有機金属化合物のリサイクル方法が開示されている。
さらに、特許文献3では、反応器からの使用済み原料ガスを冷却するトラップを備え、前記トラップは、使用済み原料が流れる流路にハニカム構造の筒体を備えるLPCVD装置が開示されている。
特開2001−342566号公報 特開2002−53961号公報 特開2003−247075号公報
ただし、金属塩化物原料を用いる場合には、目的とするセラミックスを形成する前に、金属塩化物原料の一部の塩素が水素によって還元され、反応副生物として低級金属塩化物を排ガスと共に排出されるが、これら低級金属塩化物については、大気に触れると酸化したり水分と反応して分解するおそれがあることから、通常は無害化処理がなされた後に廃棄されることが一般的である。そして、特許文献1〜3の技術については、いずれも有機金属化合物を原料として用いる化学気相析出法(MOCVD)に関するものであり、低級金属塩化物を塩素化してもとの金属塩化物原料として再利用するということについては、考慮がなされていなかった。
そのため、主として金属塩化物原料を用いる化学気相析出プロセスについても、原料の有効利用を図ることが望まれていた。
さらに、前記低級金属塩化物を加熱してガス化させた後に、塩素ガスと反応させれば、もとの金属塩化物原料を得ることが可能であるとも考えられるが、塩素は極めて腐食性の高いガスであり、前記低級金属塩化物のガス化温度は非常に高い(例えば、TiCl3の場合、約800℃以上である。)ことから、耐え得る金属容器は存在せず、現実的に、低級金属塩化物を再利用することが困難であった。
本発明は、上記問題に鑑み開発されたものであって、所定の工程を具えることで、金属塩化物原料及び水素を用いる化学気相析出プロセスにおいて、従来副生物として廃棄されていた低級金属塩化物を回収し、これをもとの金属塩化物に戻して再利用できる化学気相析出プロセスを提供することを目的とする。
本発明者らは、金属塩化物原料を気化させた後、該気化した金属塩化物原料と水素を含む還元ガスとを、プラズマ等を用いて反応させて、対象物上にセラミックスを析出させる化学気相析出プロセスついて、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガスから、低級金属塩化物を抽出し、該低級金属塩化物を、一旦、非水溶性の溶媒に溶解させた後、加熱し、塩素ガスを吹き込むことによって、前記低級金属塩化物を800℃以上の高温でガス化させることなく、前記低級金属塩化物を元の金属塩化物に戻して前記金属塩化物原料として再利用することが可能となり、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき開発されたもので、その要旨構成は以下の通りである。
(1)金属塩化物原料を気化させた後、該気化した金属塩化物原料と、水素を含む還元ガスとを反応させて、対象物上にセラミックスを析出させる化学気相析出プロセスであって、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガスから、固体又は液体として低級金属塩化物を抽出する工程と、非水溶性の溶媒であって、前記低級金属塩化物を溶解させる際に、該低級金属塩化物と塩素とを反応可能にし、且つ、加熱により前記低級金属塩化物が前記塩素と反応して生成した元の金属塩化物のみを気化させる溶媒に、前記低級金属塩化物を溶解させる工程と、前記低級金属塩化物が溶解した溶液を、加熱した後、塩素ガスを吹き込み、前記低級金属塩化物を元の金属塩化物に戻して前記金属塩化物原料として再利用する工程とをさらに具えることを特徴とする化学気相析出プロセス。
(2)前記金属塩化物原料の再利用工程は、前記低級金属塩化物が溶解した溶液に対して、加熱及び塩素ガスの吹き込みを行った後、得られた元の金属塩化物と前記塩素ガスとの混合ガスから、元の金属塩化物を分離回収し、再利用することを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
(3)前記非水溶性の溶媒を回収し再利用する工程を、さらに具えることを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
(4)前記溶液に吹き込んだ塩素ガスを回収し再利用する工程を、さらに具えることを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
(5)前記非水溶性の溶媒は、MgCl2の溶融塩であることを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
(6)前記非水溶性の溶媒は、脂肪族アミン系又はピリジウム系のイオン液体であることを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
(7)前記金属塩化物原料の分離回収は、前記塩素ガスと前記気化した金属塩化物原料との混合ガスを冷却し、前記金属塩化物原料を液化又は固化させて行うことを特徴とする上記(2)に記載の化学気相析出プロセス。
(8)前記金属塩化物原料は、四塩化チタンであることを特徴とする上記(1)に記載の化学気相析出プロセス。
本発明によれば、金属塩化物原料及び水素を用いる化学気相析出プロセスにおいて、従来は副生物として廃棄されていた低級金属塩化物を回収し、これをもとの金属塩化物に戻して再利用することが可能となる。
本発明に従う化学気相析出プロセスを説明するためのフロー図である。 従来の化学気相析出プロセスを説明するためのフロー図である。
以下、本発明を、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明に従う化学気相析出プロセスの流れを示したものであり、図2は、従来の化学気相析出プロセスの流れを示したものである。
本発明は、図1に示すように、金属塩化物原料1を気化させた後、該気化した金属塩化物原料2と水素を含む還元ガス3とを、反応容器4中にて反応させ、対象物上にセラミックスを析出させる化学気相析出プロセスである。
ここで、前記金属塩化物原料1とは、化学気相析出プロセスの原料として通常用いられる金属塩化物であれば特に限定はなく、例えば、SiCl4、TiCl4、AlCl3等が挙げられる。特に、四塩化チタン(TiCl4)は、沸点が100℃前後であって、蒸気圧の制御が比較的容易であり、材料費が抑えられることから好適である。
また、本発明では、前記金属塩化物原料1は、蒸発器(図示せず)などによって、気化された状態(気化した金属塩化物原料2)で反応容器4に導入され、セラミックスの析出反応に用いられる。
前記還元ガス3は、前記金属塩化物原料のガス2とともに反応容器4内に供給されて水素還元反応を行うものであり、水素を含むものであれば特に限定はされない。水素以外の還元ガス成分としては、一酸化炭素、炭化水素等が挙げられる。この還元ガス3によって、前記金属塩化物原料1から塩素原子を外して活性化させ、金属塩化物原料からセラミックスの合成を行う。
また、金属塩化物原料1を用いてセラミックスを合成する場合、上記水素還元反応に加えて、熱、光及びプラズマといった物理的なエネルギーの少なくとも1つを付加することにより、塩素原子を活性化させ、セラミックスの合成を行うことができる。
前記セラミックスが形成される対象物については、特に限定する必要はなく、上述したように、半導体基板や、鋼板等を用いることができる。また、形成されるセラミックスについては、前記塩化物原料1の種類によって異なり、例えば、前記塩化物原料1としてSiCl4を用いた場合にはSiCなどを形成でき、前記塩化物原料1としてTiCl4を用いた場合にはTiNなどを形成できる。
そして、本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガス5から、固体又は液体として低級金属塩化物6を抽出する工程と、該低級金属塩化物を非水溶性の溶媒11に溶解させる工程と、前記低級金属塩化物6が溶解した溶液7を、加熱した後、塩素ガス8を吹き込み、前記低級金属塩化物6を元の金属塩化物10に戻して前記金属塩化物原料1として再利用する工程とをさらに具えることに特徴がある。
上記構成を採用することで、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガス5から、抽出した低級金属塩化物6を元の金属塩化物10に戻して前記金属塩化物原料1として再利用することが可能となる。
一方、従来の化学気相析出プロセスでは、図2に示すように、金属塩化物原料1を気化させた後、該気化した金属塩化物原料2と水素を含む還元ガス3とを、反応容器4中で反応させ、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガス5については、除害装置12を通じて廃棄されていた。すなわち、金属塩化物原料1の再利用は行われていなかったのである。
以下、各工程についてさらに具体的に述べる。
(低級金属塩化物抽出工程)
本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガス5から、固体又は液体として低級金属塩化物6を抽出する工程を具える。
前記排ガス5には、目的とするセラミックスの形成処理に用いられなかった原料金属塩化物のガス2が含まれており、従来のプロセスでは、図2に示すように、排ガス5として廃棄処理されていたが、本プロセスでは、排ガスの冷却過程で気相析出する反応副生物(低級塩化物6)を、HClや水素などのガスから分離抽出し、前記原料金属塩化物1の再利用のための材料として用いる。
ここで、前記低級金属塩化物6とは、前記金属塩化物原料1から目的とするセラミックスとなる合成物質を形成する前に、一部の塩素が前記水素還元反応によって還元された金属塩化物のことである。例えば、四塩化チタンと水素及び窒素を反応炉4に供給して、窒化チタンを基板上に成膜した場合、多くの四塩化チタンは三塩化チタン(TiCl3)又は二塩化チタン(TiCl2)等の低級金属塩化物6と、塩化水素に分解する。そして、前記三塩化チタンや前記二塩化チタンは、排ガスの冷却過程において気相析出する。
このように、前記低級塩化物6は、排ガスの冷却過程において固体又は液体として抽出する。そうすることによって、排ガス中の他の成分(HCl、水素等)は気体として存在するため、低級金属塩化物6の分離抽出が容易となるからである。なお、前記低級金属塩化物6の抽出方法については、低級金属塩化物6を確実に抽出できる方法であれば特に限定はしない。
(低級塩化物の溶解工程)
本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、低級金属塩化物6を非水溶性の溶媒11に溶解させ、溶液7を得る工程を具える。
上述したように、前記排ガス5中に含まれる低級塩化物6を再利用するためには、酸素、水分を含まない非酸化性雰囲気で回収し、塩素化する必要がある。しかしながら、塩素は極めて腐食性の高いガスであり、また、前記低級金属塩化物6のガス化温度は非常に高い(例えば、TiCl3の場合、約800℃以上である。)ことから、低級金属塩化物を再利用することが困難である。この問題に対して本発明は、前記低級金属塩6を大気中の酸素や水分と反応させないように、一旦、非水溶性の溶媒11に溶解させ、その後、溶液中において塩素と反応させることによって上記問題を解決することができる。
ここで、前記溶媒11は、前記低級金属塩化物6と水とを反応させない点から、非水溶液である必要があり、また高温に加熱しても溶媒の蒸気圧が極めて低い点から、MgCl2の溶融塩であることが好ましい。
また、前記非水溶性の溶媒11は、脂肪族アミン系又はピリジウム系のイオン液体であることが好ましい。イオン液体は、一般的に、400℃程度に加熱しても蒸気圧はゼロに近い安定な液体であり、電気導電性を有する液体であり、有機溶剤のような可燃性がなく、常温で液体の溶融塩として扱うことができるからである。さらに、前記イオン液体を溶媒11として用いることで、通常の溶融塩のように液体状態を保持するため浴槽を常に400〜500℃程度に加熱しておく必要がなく、作業性が改善されると共に、過熱に必要なエネルギーを削減できることから、環境面での貢献も期待できるためである。さらに、脂肪族アミン系又はピリジウム系のイオン液体としたのは、低級金属塩化物6の吸収能力が高く、分解温度が400℃以上のものもあることから、本発明に用いる溶媒11として適しているからである。
(金属塩化物原料の再利用工程)
本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、前記低級金属塩化物6が溶解した溶液7を、加熱した状態で、塩素ガスを吹き込み、前記低級金属塩化物を元の金属塩化物10に戻して前記金属塩化物原料1として再利用する工程を具える。
前記溶液7中の低級金属塩化物6と塩素ガス8とを反応させることで、前記低級金属塩化物を元の金属塩化物10に戻し、原料として再利用することが可能となる。
ここで、前記溶液7を加熱するのは、前記溶媒11が、溶融塩である場合、常温で固体状態にあることから、液体状態を保持するためである。また、前記低級金属塩化物6が前記塩素ガス8と反応して生成する元の金属塩化物10を気化させることで、分離回収を容易にするためである。例えば、低級金属塩化物6がTiCl3の場合、400〜500℃程度に加熱された溶媒11中では気化せずに留まるが、塩素化してTiCl4になると気化して溶媒から離脱する。なお、前記低級金属塩化物6を溶かす作業と、前記塩素ガス8を吹き込む作業は、同時に行っても、交互に行ってもよく、また、前記溶媒11を充填した2つ以上の容器を用意し、容器を交互に切り離し、オフラインで塩素化を行うこともできる。
また、前記塩素ガス8の吹き込み方法については、確実に前記溶液7中の低級金属塩化物6と塩素ガス8とを反応させることが可能な方法であれば特に限定はされない。例えば、溶媒11中に浸漬したガラス又はセラミックス製のノズル(ランス)に塩素ガスを供給することによって、塩素ガス8の吹込みを行うことができる。
また、前記金属塩化物原料の再利用工程は、前記低級金属塩化物6が溶解した溶液7に対して、加熱及び塩素ガスの吹き込みを行った後、前記元の金属塩化物10を金属塩化物原料1として再利用できるように、得られた元の金属塩化物10と前記塩素ガス8の混合ガス9から、元の金属塩化物10を分離回収することが好ましい。
また、前記金属塩化物10の分離回収方法については、特に限定はしないが、容易かつ確実に分離回収できる点から、前記混合ガス9を常温以下に冷却し、前記元の金属塩化物10を液化又は固化させることで行うことが好ましい。
(溶媒の再利用工程)
さらに、本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、前記金属塩化物10の分離回収を行った後、前記溶媒11を回収し、再び前記低級金属塩化物6を溶解させることができるように、再利用する工程をさらに具えることが好ましい。さらなる資源の有効活用を行い、低環境負荷型の化学気相析出プロセスの実現が可能となるからである。
(塩素ガスの再利用工程)
さらにまた、本発明による化学気相析出プロセスは、図1に示すように、前記金属塩化物10の分離回収を行った後、前記溶液7に吹き込んだ塩素ガス8を回収し、再利用する工程をさらに具えることが好ましい。さらなる資源の有効活用を行い、低環境負荷型の化学気相析出プロセスの実現が可能となるからである。
次に、実施例及び比較例により本発明の効果を説明するが、本実施例はあくまで本発明を説明する一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
図1の示すところに従って、TiCl4からなる常温で液体の金属塩化物原料1を加熱気化して、水素ガス3と窒素ガスとともに、1000℃に加熱した反応容器4内に供給し、該容器4内にセットした鉄基板上に、TiNの成膜を行った。
その際、前記反応容器4から排出された排ガス5を800℃以下まで冷却し、紫色の粉末(低級金属塩化物6)を気相析出させた。この粉末については、非酸化雰囲気中で集め、X線解析を行った結果、TiCl3であることがわかった。
そして、前記排ガス5から抽出されたTiCl3を、MgCl2からなる溶融塩(715℃)に溶解させ、その後、TiCl3を吸収させた溶液7に、塩素ガス8をノズル(ランス)によって吹き込み、発生したガス9を室温(25℃)以下まで冷却し、透明な液体を分離回収した。この液体については、Ti塩化物(元の金属塩化物10)であり、沸点及び比重からTiCl4であることがわかった。
実施例1の結果、本発明による化学気相析出プロセスを採用すれば、排ガスに含まれる低級金属塩化物を用いて、所望の原料金属塩化物が得られることがわかった。
(実施例2)
図1の示すところに従って、TiCl4からなる常温で液体の金属塩化物原料1を加熱気化し、水素ガス3を加えた、TiCl410%、H290%の混合ガスを、1100℃の反応容器4に通し、排出された排ガス5を室温まで冷却したところ、TiCl4の結露は認められず、析出した紫色のTiCl3のみ認められた。
その後、TiCl3を非酸化雰囲気、室温の状態下で、ピリジウム系、脂肪族アミン系及び脂肪族ホスフォニウム系のイオン液体(いずれも溶媒11)に溶解させた後、溶液7の加熱(350℃)を行い、実施例1と同様の条件によって、塩素ガス8の吹き込みを行い、透明な液体であるTiCl4の分離回収を行った。
そして、各イオン液体中のTiCl3の量に対する、塩素吹き込みによって得られたTiCl4の量のモル比率(mol%)を、原料回収率として算出した。
実施例2の結果、原料回収率は、ピリジウム系イオン液体を用いた場合が最も高く83mol%、脂肪族アミン系イオン液体を用いた場合も66mol%と高い値を示す一方、脂肪族ホスフォニウム系イオン液体を用いた場合は30mol%と低いことがわかった。
本発明によれば、従来副生物として廃棄されていた低級金属塩化物を回収し、これをもとの金属塩化物に戻して再利用できる化学気相析出プロセスを提供することが可能となり、資源の有効活用の点において高い産業上の利用可能性を有する。
1 金属塩化物原料
2 気化した金属塩化物原料
3 還元ガス
4 反応容器
5 排ガス
6 低級金属塩化物
7 低級金属塩化物が溶解した溶液
8 塩素ガス
9 混合ガス
10 元の金属塩化物
11 溶媒
12 除害装置

Claims (8)

  1. 金属塩化物原料を気化させた後、該気化した金属塩化物原料と、水素を含む還元ガスとを反応させて、対象物上にセラミックスを析出させる化学気相析出プロセスであって、
    前記セラミックスの析出反応に伴って排出された排ガスから、固体又は液体として低級金属塩化物を抽出する工程と、非水溶性の溶媒であって、前記低級金属塩化物を溶解させる際に、該低級金属塩化物と塩素とを反応可能にし、且つ、加熱により前記低級金属塩化物が前記塩素と反応して生成した元の金属塩化物のみを気化させる溶媒に、前記低級金属塩化物を溶解させる工程と、前記低級金属塩化物が溶解した溶液を、加熱した後、塩素ガスを吹き込み、前記低級金属塩化物を元の金属塩化物に戻して前記金属塩化物原料として再利用する工程とをさらに具えることを特徴とする化学気相析出プロセス。
  2. 前記金属塩化物原料の再利用工程は、前記低級金属塩化物が溶解した溶液に対して、加熱及び塩素ガスの吹き込みを行った後、得られた元の金属塩化物と前記塩素ガスとの混合ガスから、元の金属塩化物を分離回収し、再利用することを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
  3. 前記非水溶性の溶媒を回収し再利用する工程を、さらに具えることを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
  4. 前記溶液に吹き込んだ塩素ガスを回収し再利用する工程を、さらに具えることを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
  5. 前記非水溶性の溶媒は、MgCl2の溶融塩であることを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
  6. 前記非水溶性の溶媒は、脂肪族アミン系又はピリジウム系のイオン液体であることを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
  7. 前記金属塩化物原料の分離回収は、前記塩素ガスと前記気化した金属塩化物原料との混合ガスを冷却し、前記金属塩化物原料を液化又は固化させて行うことを特徴とする請求項2に記載の化学気相析出プロセス。
  8. 前記金属塩化物原料は、四塩化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の化学気相析出プロセス。
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