JP5715725B2 - ジフルオロリン酸塩の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、二次電池用非水電解液の添加剤として極めて有用なジフルオロリン酸塩の精製方法に関する。
近年、イオン液体を、電池や電気二重層キャパシタの電解液として応用する検討や、めっき浴として利用する検討が活発に進められている。従来の電池や電気二重層キャパシタにおいては、電解液として水系電解液または有機系電解液が用いられてきた。しかし、水系電解液では、水の分解電圧に制約を受けるという問題があった。また有機系電解液では、耐熱性や安全面に問題があった。一方、イオン液体は難燃性・不揮発性といった安全上好ましい特徴を有するうえ、電気化学的安定性も高い。そのため、イオン液体は高温環境下で使用する電池や電気二重層キャパシタの電解液に特に好適である。
イオン液体を電池や電気二重層キャパシタの電解液として適用するために、様々な種類の陽イオンと陰イオンとからなるイオン液体の検討が進められている。例えば、非特許文献1では、イオン液体として、ジフルオロホスフェートを陰イオンとする1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロホスフェートの特性が報告されている。また、非特許文献2では、当該1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロホスフェートが、代表的なイオン液体として知られる1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートと同等の電気伝導性・耐電圧性を有しており、電気二重層キャパシタの電解質として好適に使用できると報告されている。
前記1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジフルオロホスフェートの製造方法としては、非特許文献1によると、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドとジフルオロリン酸カリウムとをアセトン中で反応させ、副生する塩化カリウムを濾別したアセトン溶液をアルミナカラムに作用させた後、アセトンを留去させることにより製造可能とされている。電解液中の不純物は電池や電気二重層キャパシタの性能に著しく影響するため、イオン液体を電解液として使用する際には、可能な限り不純物を低減することが好ましい。イオン液体は難揮発性であり、また広い温度範囲に渡って液体状態であるため、蒸留や再結晶といった精製方法により不純物を低減することが困難である。そのため、純度の高いイオン液体を合成するには高純度の原料を用いる必要がある。従って、非特許文献1に開示の製造方法においては、使用するジフルオロリン酸カリウム中に含まれる不純物は可能な限り少ない方が望ましい。
ここで、ジフルオロリン酸カリウム等のジフルオロリン酸塩の製造方法としては、例えば、下記特許文献1〜特許文献8、および非特許文献3〜非特許文献7に開示されている。
非特許文献3及び非特許文献4には、五酸化ニ燐にフッ化アンモニウムや酸性フッ化ナトリウムなどを作用させてジフルオロリン酸塩を得る方法が開示されている。しかし、これらに開示の製造方法では、ジフルオロリン酸塩の他にモノフルオロリン酸塩やリン酸塩、水が多量に副生する。そのため、その後の精製工程の負荷が大きく効率的な製造方法とは言い難い。
非特許文献5には、P(無水ジフルオロリン酸)を、例えばLiO又はLiOHなどの酸化物や水酸化物と作用させてジフルオロリン酸塩を製造する方法が開示されている。しかし、無水ジフルオロリン酸は非常に高価であり、純度が高いものを入手するのは困難であるため、当該製造方法は工業生産には不利である。
特許文献1には、六フッ化リン酸カリウムとメタリン酸カリウムを混合融解させることによりジフルオロリン酸カリウムを得る方法が開示されている。しかし、この製造方法であると、六フッ化リン酸カリウム及びメタリン酸カリウムを溶融する際に用いる坩堝により、ジフルオロリン酸カリウムが汚染されるという問題がある。また、溶融においては、700℃といった高温の環境を実現する必要もある。そのため、特許文献1に開示の製造方法も、製品の純度や生産性の観点から好ましい方法とは言えない。
非特許文献6には、尿素とリン酸ニ水素カリウムとフッ化アンモニウムを融解、反応させることにより、ジフルオロリン酸カリウムを製造する方法が開示されている。この製造方法においては、反応温度を170℃程度に抑制できることから、特許文献1の反応条件と比べて工業的生産が実現可能である。しかし、大量に副生するアンモニアガスを廃棄処理する必要があり、またフッ化アンモニウムも大量に残留するという問題がある。従って、非特許文献6に開示の製造方法も、製造効率や製品の純度の観点から好ましくない。
非特許文献7には、アルカリ金属クロライドと過剰のジフルオロリン酸を反応させ、副生する塩化水素と余剰のジフルオロリン酸を加熱減圧乾燥することによって留去させた後、ジフルオロリン酸塩を得る方法が開示されている。しかしながら、十分に純度が高いジフルオロリン酸を使用したとしても、この方法により得られるジフルオロリン酸塩には、モノフルオロリン酸塩やフッ化物塩が不純物として多量に残存する。従って、非特許文献7に開示の製造方法も、純度の高いジフルオロリン酸塩を得ることは困難である。
特許文献2〜4には、六フッ化リン酸リチウムとホウ酸塩、二酸化ケイ素、炭酸塩とを非水溶媒中で反応させてジフルオロリン酸リチウムを得る方法が開示されている。また、特許文献5には、炭酸塩やホウ酸塩を、五フッ化リン等の気体と接触させてジフルオロリン酸リチウムを得る方法が開示されている。しかし、これらの特許文献に開示の製造方法であると、ジフルオロリン酸塩を得るためには、例えば40〜170時間といった長時間の工程を要する。そのため、工業生産には向かない。
特許文献6には、リンのオキソ酸やオキシハロゲン化物と、六フッ化リン酸塩およびアルカリ金属のハロゲン化物等とをフッ化水素の存在下で反応させ、ジフルオロリン酸塩を得る方法が記載されている。この方法によれば、六フッ化リン酸塩が存在することにより、混入する水分に対して有効に作用し、純度の高いジフルオロリン酸塩が得られるとされている。しかし、高価な六フッ化リン酸塩を比較的大量に使用することに加え、実施例に記載の方法によれば、リン及びフッ素を大量に含んだ排ガスや廃液が生じることから、有用物の分離回収や廃棄処理が煩雑になるという問題がある。
特許文献7には、アルカリ金属等のハロゲン化物とジフルオロリン酸とを、六フッ化リン酸塩の存在下で反応させるジフルオロリン酸塩の製造方法が開示されている。また、特許文献8には、ジフルオロリン酸中でジフルオロリン酸とアルカリ金属のハロゲン化物等とを反応させ、ジフルオロリン酸中でジフルオロリン酸塩を晶析操作により得る方法が開示されている。これらの製造方法では純度の高いジフルオロリン酸を用いる必要があるが、ジフルオロリン酸は腐蝕性が高いため、減圧蒸留等の操作が必要な上に、製造設備も複雑となる。また、ジフルオロリン酸は純度に関わらず工業的に入手するのが困難であるという問題がある。
一方、高純度ジフルオロリン酸塩はイオン液体の原料としてだけでなく、リチウム二次電池用電解液の添加剤としても利用することができる。近年、リチウム二次電池の応用分野は、携帯電話やパソコン、デジタルカメラ等の電子機器から車載への用途拡大に伴い、出力密度やエネルギー密度の向上ならびに容量損失の抑制等、さらなる高性能化が進められている。特に車載用途は民生品用途よりも過酷な環境に晒されるおそれがあることから、サイクル寿命や保存性能の面において高い信頼性が要求されている。リチウム二次電池の電解液には、有機溶媒にリチウム塩を溶解させてなる非水電解液が使用されているが、こうした非水電解液の分解や副反応がリチウム二次電池の性能に影響を及ぼすため、非水電解液に各種添加剤を混合することによって、サイクル寿命や保存性能を向上させる試みがなされてきた。
例えば、特許文献9には、リチウム電池の非水電解液として、有機溶媒にモノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムのうち少なくとも一方が添加剤として含有することが開示されている。当該特許文献9によれば、そのような非水電解液を用いることによって正極及び負極に皮膜を形成させることができ、これにより非水電解液と正極活物質及び負極活物質との接触に起因する電解液の分解を抑制し、自己放電の抑制、保存性能の向上が可能とされている。
ドイツ特許第813848号 特開平2005−53727号 特開平2005−219994号 特開平2005−306619号 特開平2006−143572号 特開2010−155774号 特開2010−155773号 特開2012−51752号 日本国特許第3439085号
K. Matsumoto and R. Hagiwara, Inorganic Chemistry, 2009, 48, 7350-7358 第77回電気化学会予稿集 1I18 Ber. Dtsch. Chem., Ges. B26(1929)786 Zh. Neorgan. Khim., 7(1962)1313-1315 Journal of Fluorine Chemistry, 38(1988)297-302 日本分析化学会第43年会公演要旨集、536(1994) Inorganic Nuclear Chemistry Letters, vol.5(1969)581-585
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ジフルオロリン酸塩を高純度に精製するジフルオロリン酸塩の精製方法を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の課題を解決すべく、ジフルオロリン酸塩の精製方法について検討した。その結果、下記の構成を採用することによりジフルオロリン酸塩の純度を一層向上させることが可能なことを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のジフルオロリン酸塩の精製方法は、前記の課題を解決する為に、不純物を含むジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させた後、当該ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥させ、又は前記不純物を含む前記ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥しながら前記フッ化水素に接触させることにより、前記不純物を除去することを特徴とする。
前記の構成によれば、ジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させることにより、当該ジフルオロリン酸塩に含まれるモノフルオロリン酸イオンやリン酸イオン等のアニオン不純物、遊離酸分および不溶解分といった不純物を除去することができ、純度の向上が図れる。
ジフルオロリン酸塩における不純物のフッ化水素による精製のメカニズムについては定かではないが、以下のような現象が想定される。
すなわち、前記モノフルオロリン酸イオンやリン酸イオンは、ジフルオロリン酸イオンが加水分解することによって生成する。従って、ジフルオロリン酸塩の製造過程において、混入したり副生したりした水分とジフルオロリン酸イオンが反応することでこれらのアニオン不純物が生成してしまう。
一方、前記遊離酸分としては、ジフルオロリン酸塩の製造方法にも依存するが、ジフルオロリン酸やモノフルオロリン酸等のフルオロリン酸やリン酸、あるいは、モノフルオロリン酸水素塩やリン酸水素塩といった塩類に由来していることが想定される。フルオロリン酸については、大気圧下または減圧下で十分に加熱乾燥することによって留去することができるが、リン酸やリン酸水素塩、モノフルオロリン酸水素塩等の塩類に由来する場合は加熱しても除去することが困難である。こうした不純物にフッ化水素が作用すると、例えばリン酸の場合には、より低沸点のフルオロリン酸に変化し、加熱乾燥によって留去することが可能になる。また、リン酸水素塩やモノフルオロリン酸水素塩にフッ化水素が作用すると、ジフルオロリン酸塩に変化するものと想定される。
前記の構成に於いて、前記ジフルオロリン酸塩とフッ化水素との接触は、フッ化水素ガス又は液体状の無水フッ化水素酸を当該ジフルオロリン酸塩に接触させて行うことができる。これにより、ジフルオロリン酸塩に直接フッ化水素ガスを接触させるので、短時間での不純物の除去が可能になる。
また、前記の構成に於いて、前記ジフルオロリン酸塩とフッ化水素との接触は、不活性ガスとフッ化水素ガスとの混合ガスを当該ジフルオロリン酸塩に接触させて行ってもよい。これにより、六フッ化リン酸塩が生成するのを抑制することができる。また、直接フッ化水素ガスを接触させる場合と比べて、フッ化水素の濃度や流量、温度、圧力の制御が容易になり、設備上の負荷も軽減することができる。さらに、ジフルオロリン酸塩との接触時間が短くなり過ぎるのを防止し、接触時間の制御を容易にすることにもつながる。
前記の構成に於いて、前記不純物を含むジフルオロリン酸塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の六フッ化リン酸塩を、フルオロリン酸溶液に添加することにより、当該フルオロリン酸溶液中に前記ジフルオロリン酸塩を生成させた後、前記フルオロリン酸溶液を加熱してフルオロリン酸を留去させる過程におけるものであることが好ましい。
また、前記の構成に於いて、前記不純物を含むジフルオロリン酸塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の六フッ化リン酸塩を、フルオロリン酸溶液に添加することにより、当該フルオロリン酸溶液中に前記ジフルオロリン酸塩を生成させたものであって、晶析により前記フルオロリン酸溶液中にジフルオロリン酸塩を析出させ、当該ジフルオロリン酸塩を固液分離されたものであってもよい。
本発明に於いては、これらの構成のように、製造過程にあるジフルオロリン酸塩に対して、フッ化水素ガスや、フッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガスを接触させることによっても、モノフルオロリン酸イオンやリン酸イオン等のアニオン不純物、遊離酸分および不溶解分といった不純物を除去することができる。
また、前記の構成に於いては、前記フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを通気させながら前記ジフルオロリン酸塩に接触させることにより、当該ジフルオロリン酸塩に含まれる前記不純物とフッ化水素ガスとの反応により生じた副生物を留去させることが好ましい。フッ化水素ガスや、フッ化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを通気させながらジフルオロリン酸塩に接触させることにより、当該接触により生じた副生物を滞留させることなく留去させることが可能になる。
また、前記の構成に於いて、前記フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを接触させる際のジフルオロリン酸塩の温度は、前記フッ化水素ガスが凝縮しない温度であることが好ましい。ジフルオロリン酸塩にフッ化水素が接触する際に、当該ジフルオロリン酸塩の温度が低すぎる状態にあると、フッ化水素が凝縮することがある。前記構成においては、フッ化水素を凝縮させることなくジフルオロリン酸塩に接触させることで、一層効果的に不純物の除去を図ることができ、処理ムラ等の発生も抑制することができる。
さらに、前記構成に於いては、前記ジフルオロリン酸塩がジフルオロリン酸リチウムであることが好ましい。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、ジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させることにより、当該ジフルオロリン酸塩に含まれるモノフルオロリン酸イオンやリン酸イオン等のアニオン不純物、遊離酸分および不溶解分といった不純物を除去することができ、極めて簡便に純度の向上が図れる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本実施の形態に係るジフルオロリン酸塩の精製方法は、ジフルオロリン酸塩に、フッ化水素を接触させる工程と、当該ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥させる工程とを少なくとも含む。
ジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させる方法としては特に限定されないが、例えば、フッ化水素ガスをジフルオロリン酸塩に接触させる方法が挙げられる。この方法の場合、温度と圧力を制御しながらフッ化水素ガスをジフルオロリン酸塩に接触させることができる。また、フッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガスをジフルオロリン酸塩に接触させてもよい。これにより、ジフルオロリン酸塩に接触させるフッ化水素の濃度や流量、圧力の制御が容易になり、設備上の負荷も軽減することができる。また、六フッ化リン酸塩の生成も抑制することができる。更に、混合ガスとジフルオロリン酸塩との接触時間が短くなり過ぎるのを防止し、接触時間の制御も容易になる。また、ジフルオロリン酸塩に、フッ化水素を接触させる別の方法としては、フッ化水素と有機溶媒の混合溶液をジフルオロリン酸塩に接触させる方法も挙げられる。この方法であると、ジフルオロリン酸塩の精製の度合を確認しながらフッ化水素の濃度を適宜調整することができる。
尚、ジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させる方法としては上記方法の他に、液体状の無水フッ化水素酸をジフルオロリン酸塩に接触させる方法も可能である。但し、この方法の場合、ジフルオロリン酸塩とフッ化水素が反応することにより六フッ化リン酸塩が多量に生成する。従って、六フッ化リン酸塩の生成が、その用途において不都合となる場合には、フッ化水素の量や濃度を適宜調整するのが好ましい。但し、六フッ化リン酸塩が生成しても構わない用途に供する場合には、この限りではない。
フッ化水素ガス又はフッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガス(以下、「フッ化水素ガス等」という)のジフルオロリン酸塩に対する接触方法は特に限定されず、例えば、ジフルオロリン酸塩中に通気する方法や、ジフルオロリン酸塩を収めた密閉容器に封入する方法が挙げられる。本実施の形態に係るジフルオロリン酸塩の精製方法は、ジフルオロリン酸塩に含まれる不純物にフッ化水素を反応させることによるものなので、その反応により生成した副生物を滞留させずに留去できるという観点からは、フッ化水素ガス等を通気させることが好ましい。但し、排気ガスの処理やフッ化水素の回収設備の負荷の観点からは、密閉容器内に封入する方法の方が好ましい。いずれの方法を採用してもジフルオロリン酸塩の優れた精製効果が得られるため、設備規模や経済性の観点から適宜選択して実施すればよい。
フッ化水素ガス等とジフルオロリン酸塩との接触時間は、ジフルオロリン酸塩中の不純物量や通気させる不活性ガス中のフッ化水素濃度に応じて適宜調整する必要がある。この場合、フッ化水素ガス単独を直接ジフルオロリン酸塩と接触させる方が接触時間の短縮を図れる。フッ化水素ガス等を通気させる場合、前記フッ化水素ガス等の流量は、精製の処理対象となるジフルオロリン酸塩の量、それに含まれる不純物量、通気させる容器の形状等によっても異なるので精製の度合いを確認しながら適宜調整するのが好ましい。尚、密閉容器内に封入して精製処理を行う場合においても、ジフルオロリン酸塩中の不純物量や、接触時間、不活性ガス中のフッ化水素ガスの濃度に応じて適宜調整すればよい。
フッ化水素ガス等をジフルオロリン酸塩に接触させる際の、当該ジフルオロリン酸塩の温度は、少なくとも当該フッ化水素ガスが凝縮しない温度であることが好ましい。より具体的には、20℃〜200℃の範囲内が好ましく、25℃〜180℃の範囲内がより好ましく、25℃〜150℃の範囲内がさらに好ましく、25℃〜130℃の範囲内が特に好ましい。フッ化水素は20℃が沸点であるため、ジフルオロリン酸塩を20℃以上にすることにより、フッ化水素が凝縮して、不純物の除去効率が低下したり、処理ムラ等が発生するのを防止することができる。その一方、ジフルオロリン酸塩を200℃以下にすることにより、乾燥装置の耐久性の問題を回避することができる。
尚、ジフルオロリン酸塩中の不純物とフッ化水素との反応は、ジフルオロリン酸塩粒子固相とフッ化水素ガスを含んだ気相との界面で生じる。従って、固相と気相との界面の面積を増大させる目的で、本発明の精製方法を実施する前に、ジフルオロリン酸塩を粉砕処理することも効果的である。
また、フッ化水素とジフルオロリン酸塩との接触においては、当該ジフルオロリン酸塩そのものも、本質的にはフッ化水素と徐々に反応して六フッ化リン酸塩が生成される。直接フッ化水素ガスのみを接触させる場合には、六フッ化リン酸塩が生成しやすいため、六フッ化リン酸塩の混入が不適切な場合には、フッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガスを用いるのが好ましい。これにより、六フッ化リン酸塩の生成を制御しやすくできる。六フッ化リン酸塩が生成しても構わない場合にはこの限りではない。前記混合ガスを接触させる場合、ジフルオロリン酸塩中の六フッ化リン酸塩の含有量が大きく増大するということはない。この理由については明らかになっていないが、ジフルオロリン酸塩とフッ化水素との反応性が、ジフルオロリン酸塩中に含まれる不純物とフッ化水素との反応性に比べて相対的に低いことによるものと考えられる。一方で、積極的に六フッ化リン酸塩を生成させ、ジフルオロリン酸塩と六フッ化リン酸塩との混合物とすることも可能である。
前記不活性ガスとしては特に限定されず、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガスや窒素が挙げられる。これらの不活性ガスのうち、経済性の観点からは窒素が好ましい。
混合ガス中のフッ化水素ガスの濃度としては、全量に対し5体積%〜95体積%の範囲内が好ましく、10体積%〜90体積%の範囲内がより好ましく、20体積%〜80体積%の範囲内がさらに好ましく、30体積%〜70体積%の範囲内が特に好ましい。フッ化水素の濃度を5体積%以上にすることにより、不純物を低減させるための接触時間が長時間となり、ジフルオロリン酸塩の精製効率が低下するのを防止することができる。その一方、95体積%以下にすることにより、六フッ化リン酸塩の生成を抑制し、また接触時間が短時間となって制御性が困難になるのを防止することができる。
また、フッ化水素と有機溶媒の混合溶液をジフルオロリン酸塩に接触させる方法においては、精製の度合いを確認しながらフッ化水素の濃度を適宜調整することができる。使用する有機溶媒としては特に限定されないが、フッ化水素及びジフルオロリン酸塩に対する実質的な反応性がなく、また分解により変質を生じさせないものが好ましい。さらに、ジフルオロリン酸塩との接触後に留去しやすい溶媒が好ましい。このような観点からは、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物、アルコール類等が挙げられる。
前記環状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらの環状炭酸エステルのうち、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、前記鎖状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。これらの鎖状炭酸エステルのうち、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。前記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。前記環状エーテルとしては特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。前記鎖状エーテルとしては特に限定されず、例えば、ジメトキシエタン等が挙げられる。前記ラクトン化合物としては特に限定されず、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記鎖状エステルとしては特に限定されず、例えば、メチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルホルメート等が挙げられる。前記ニトリル化合物としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル等が挙げられる。前記アミド化合物としては特に限定されず、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。前記スルホン化合物としては特に限定されず、例えば、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。前記アルコール類としては特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。また、前記有機溶媒分子中に含まれる炭化水素基の水素を少なくとも一部をフッ素で置換したものも好適に用いることができる。
前記有機溶媒中のフッ化水素の濃度としては、全質量に対し0.1質量%〜95質量%の範囲内が好ましく、0.25質量%〜90質量%の範囲内がより好ましく、0.5質量%〜80質量%の範囲内がさらに好ましく、1質量%〜70質量%の範囲内が特に好ましい。フッ化水素の濃度を0.1質量%以上にすることにより、不純物を低減させるための接触時間が長時間となり、ジフルオロリン酸塩の精製効率が低下するのを防止することができる。その一方、95質量%以下にすることにより、六フッ化リン酸塩の生成を抑制し、また接触時間が短時間となって制御性が困難になるのを防止することができる。ただし、0.1質量%未満であっても接触時間を長く取れる場合にあってはこの限りではなく、設備のスケールや工程時間に応じて適宜設定することができる。
本実施の形態に於いては、フッ化水素ガス等をジフルオロリン酸塩に接触させた後、当該ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥する工程を行う。加熱乾燥は常圧下で実施してもよく、減圧下で実施してもよい。また、加熱乾燥の温度は、20℃〜200℃の範囲内が好ましく、40℃〜180℃の範囲内がより好ましく、60℃〜150℃の範囲内がさらに好ましく、70℃〜130℃の範囲内が特に好ましい。加熱温度を20℃以上にすることにより、不純物とフッ化水素との反応によって生じた副生物を十分に留去することが可能になる。その一方、加熱温度を200℃以下にすることにより、乾燥装置の耐久性の問題を回避することができる。また、加熱時間は加熱温度等の条件により適宜必要に応じて設定され得る。具体的には、2時間〜12時間の範囲内が好ましく、3時間〜11時間の範囲内がより好ましく、4時間〜10時間の範囲内が特に好ましい。
尚、ジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させる別の方法として、フッ化水素と有機溶媒の混合溶液をジフルオロリン酸塩に接触させる方法を採用した場合の加熱乾燥の温度は、20℃〜200℃の範囲内が好ましく、40℃〜180℃の範囲内がより好ましく、60℃〜150℃の範囲内がさらに好ましい。加熱温度を20℃以上にすることにより、フルオロリン酸の留去が不十分になるのを防止することができる。その一方、加熱温度を200℃以下にすることにより、乾燥装置の耐久性の問題を回避することができる。一方、加熱時間は加熱温度等の条件により適宜必要に応じて設定され、具体的には、2時間〜35時間の範囲内が好ましく、3時間〜30時間の範囲内がより好ましく、4時間〜25時間の範囲内が特に好ましい。また、加熱乾燥は使用する乾燥装置の観点から常圧が好ましいが、揮発物(フルオロリン酸や有機溶媒)の留去を促進する観点からは減圧乾燥であってもよい。さらに、乾燥効率の観点から、乾燥の際には振動や揺動、攪拌等の機械操作を行ってもよい。
精製処理の対象となるジフルオロリン酸塩は完成品であってもよく、その製造過程におけるものであってもよい。ジフルオロリン酸塩の製造は、例えば、フルオロリン酸を生成する工程と、フルオロリン酸溶液中にジフルオロリン酸塩を生成する工程と、ジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸を加熱乾燥することにより、余剰なフルオロリン酸を留去する工程、又はフルオロリン酸中において晶析操作によって析出した析出物を当該フルオロリン酸中から固液分離し、前記析出物に含まれるフルオロリン酸を留去する工程の何れかとを行うことにより得られる。そのため、本実施の形態に係るジフルオロリン酸塩の精製は、例えば、前記ジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸を加熱乾燥することにより、フルオロリン酸が留去される過程にあるジフルオロリン酸塩に対して行ってもよい。また、晶析により前記フルオロリン酸溶液中にジフルオロリン酸塩を析出させ、固液分離されたジフルオロリン酸塩に対して行ってもよい。以下、各工程について詳述する。
前記フルオロリン酸を生成する工程においては、リンのオキソ酸、オキソ酸無水物及びオキシハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種と、無水フッ化水素酸とを反応させることにより行われる。この工程では、無水フッ化水素酸が有機溶媒と混合して用いられることはない。そのため、有機溶媒に対する防曝対策が不要となり、製造設備における仕様の複雑化を防止することができる。また、有機溶媒を用いた場合、フルオロリン酸の生成後の有機溶媒には、フルオロリン酸やフッ化水素等の酸が副生している。そのため、これらの有用物の分離や廃棄処理が煩雑であるという問題がある。しかし、本実施の形態に於いては、そのような有用物の分離・回収や廃棄処理等の問題もなくすことができる。
前記リンのオキソ酸としては特に限定されず、例えば、リン酸、メタリン酸、リン酸が脱水縮合したピロリン酸、トリポリリン酸等の鎖状のポリリン酸、トリメタリン酸等のような環状のポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記リンのオキソ酸無水物としては特に限定されず、例えば、前記リンのオキソ酸の無水物等が挙げられ、より具体的には五酸化二リン等が挙げられる。例示したリンのオキソ酸無水物は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記リンのオキシハロゲン化物としては特に限定されず、例えば、リン酸トリクロリド、リン酸トリフルオリド、リン酸ジクロリドフルオリド、ジホスホリルクロリド等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態に於いて生成されるフルオロリン酸は、リン(P)、酸素(O)、水素(H)およびフッ素(F)を含む組成である。リンを1としたときの酸素と水素とフッ素のモル比率をa、b、cとすると、(Pのモル数):(Oのモル数):(Hのモル数):(Fのモル数)=1:a:b:cと表され、a、b、cはそれぞれ1≦a≦10、0.8≦b≦10、0.8≦c≦10の範囲が好ましく、より好ましくは2≦a≦5、0.9≦b≦5、0.9≦c≦5であり、さらに好ましくは2.5≦a≦3、1≦b≦3、1≦c≦3である。リンに対する水素やフッ素の下限値は、無水フッ化水素酸の量によって調整することができ、前記bおよびcを0.8以上にすることにより、得られるフルオロリン酸の粘性が高くなりすぎ、操作性に問題が生じるのを防止することができる。その一方、リンに対する酸素、水素およびフッ素の上限値はリンのオキソ酸やリンのオキソ酸無水物の種類や量と、混合する無水フッ化水素酸の量によって調整可能であり、前記a、b、cをそれぞれ10以下にすることにより、最終的に得られるジフルオロリン酸塩にモノフルオロリン酸塩やリン酸塩等の不純物が多く含まれ、製品の品位が低下するのを防止することができる。また、フルオロリン酸中の組成は、蒸留操作等により調整することも可能である。
前記フルオロリン酸の組成の範囲において、リンに対する水素やフッ素の比率が低くなるとフルオロリン酸の粘性が増大する場合がある。従って、操作性に支障がある場合には、リンのオキソ酸等は、上記組成の範囲内において後段の六フッ化リン酸塩を投入する際に回分で加えても構わない。すなわち、フルオロリン酸の合成の際には、所望量のリンのオキソ酸等を少なめに仕込み、所望量に不足する分量は、後段の六フッ化リン酸塩の投入の直前又は同時に加えても構わない。
フルオロリン酸の合成では、リンのオキソ酸等と、無水フッ化水素酸との反応が非常に激しいため、十分に冷却しながら徐々に混合することが好ましい。混合は無水フッ化水素酸に対し、リンのオキソ酸等を添加するのが好ましい。また、冷却温度範囲は−40℃〜10℃の範囲が好ましく、−30℃〜0℃の範囲がより好ましく、−20℃〜−5℃の範囲が特に好ましい。冷却温度を−40℃以上にすることにより、粘性が増大し撹拌効率が低下するのを防止し、経済性も向上させることができる。その一方、冷却温度を10℃以下にすることにより、リンのオキソ酸等と無水フッ化水素酸との反応性の制御を可能にする。反応性が制御できない場合、局所的な発熱等によってその周辺の成分が揮発し、仕込み原料の質量(リンのオキソ酸等と無水フッ化水素酸の総質量)に対して、得られたフルオロリン酸の質量が低下する場合がある。
尚、前記冷却温度とは、例えば、無水フッ化水素酸に対し、リンのオキソ酸等を添加する場合は、リンのオキソ酸等の温度を意味する。また、フルオロリン酸にリンのオキソ酸等と無水フッ化水素酸とを添加する場合は、フルオロリン酸の温度を意味する。
リンのオキソ酸等と無水フッ化水素酸の混合時の反応性は、フルオロリン酸の質量減少率を指標とすることができる。フルオロリン酸の質量減少率が5質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは1.5質量%以下であり、特に好ましいのは1質量%以下である。尚、フルオロリン酸の質量減少率(%)は、((仕込み原料の質量)−(フルオロリン酸の質量))/(仕込み原料の質量)×100(%)により求めることができる。
また、前記フルオロリン酸の合成の際における冷却の時間は、冷却温度との関係で適宜必要に応じて設定されるが、無水フッ化水素酸に対しリンのオキソ酸等の添加が完了するまでの間行われるのが好ましい。より具体的には、例えば、2時間〜10時間の範囲内が好ましく、3時間〜8時間の範囲内がより好ましく、3.5時間〜7.5時間の範囲内が特に好ましい。
前記ジフルオロリン酸塩の生成工程においては、六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸とを反応させることにより行う。この反応は、フルオロリン酸溶液中において行われる。そのため、有機溶媒は用いられず、フルオロリン酸溶液は反応溶媒としての役割を果たす。従来のジフルオロリン酸塩の製造方法においては、有機溶媒を使用しない合成例もあり、例えば、六フッ化リン酸リチウムとフッ化リチウムと五酸化二リンとにフッ化水素を加えて反応させ、ジフルオロリン酸リチウムを製造する方法が行われている。しかし、このような合成では、反応が非常に激しく進行し、得られるジフルオロリン酸リチウムの品位も安定していないという不都合があった。これは、反応が激しいために、局所的な発熱等によって反応容器内における温度分布にムラが生じ、反応条件を安定化させることが難しいためと考えられる。しかしながら、本実施の形態に於いては、予め合成しておいたフルオロリン酸を反応溶媒として、六フッ化リン酸塩と当該フルオロリン酸とを反応させるので、反応容器内における温度分布のムラの発生を低減し、反応条件の安定化を図ることができる。その結果、得られるジフルオロリン酸塩の品位をより安定化させることが可能になる。
また、ジフルオロリン酸塩の生成工程においては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物(以下、「アルカリ金属等のハロゲン化物等」という。)の不存在下で行われる。本実施の形態に於いては、ジフルオロリン酸塩の生成にあたって有機溶媒を用いないので、アルカリ金属等のハロゲン化物等を添加しないことにより、当該ハロゲン化物等に起因する不溶解分が生じるのを防止することができる。また、使用原料の低減により生産性が向上すると共に、新たな不純物(特に水分)が持ち込まれることも防ぐことができる。その結果、高品位のジフルオロリン酸塩の製造を可能にする。
前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csが挙げられる。また、前記アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。また、前記オニウムとしては、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムが挙げられる。さらに、前記アンモニウムとしてはNH 、第2級アンモニウム、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムが挙げられ、第4級アンモニウムとしては、テトラアルキルアンモニウム(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等)、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、トリアゾリウム、ピリダジニウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウムが挙げられる。前記ホスホニウムとしては、テトラアルキルホスホニウム(テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム等)が挙げられる。前記スルホニウムとしては、トリアルキルスルホニウム(トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム等)が挙げられる。
前記ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられる。前記ホウ酸塩としては、オルトホウ酸塩、メタホウ酸塩、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩、八ホウ酸塩が挙げられる。前記リン酸塩としては、オルトリン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、メタリン酸一水素塩、メタリン酸二水素塩、ホスフェン酸塩、メタホスフェン酸塩が挙げられる。
ここで、六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸溶液の混合は、フルオロリン酸溶液に対し六フッ化リン酸塩を添加することにより行うのが好ましい。また、六フッ化リン酸塩の添加は、反応の状況を踏まえて適宜決定することができ、所定量を一度に投入してもよく、複数回に分けて投入してもよい。六フッ化リン酸塩をフルオロリン酸溶液に添加する際のフルオロリン酸溶液の液温は、−40℃〜100℃の範囲内が好ましく、−30℃〜90℃の範囲内がより好ましく、−20℃〜80℃の範囲内が特に好ましい。前記液温を100℃以下にすることにより、六フッ化リン酸塩がフルオロリン酸溶液に接触する際に、当該フルオロリン酸溶液の熱により分解するのを防止することができる。その一方、液温を−40℃以上にすることにより、六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸との反応を促進することができる。
前記六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸の反応条件は、任意に設定することができる。通常、反応温度は0℃〜300℃の範囲内が好ましく、0℃〜200℃の範囲内がより好ましく、0℃〜180℃の範囲内が特に好ましい。反応は、大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。反応時間は、通常0.5時間〜5時間の範囲で行われるが、反応装置や仕込み量によって適宜設定することができる。
また、六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸の反応効率を高めるために、還流を行ってもよい。還流塔の温度は−50℃〜10℃の範囲内が好ましく、−40℃〜8℃の範囲内がより好ましく、−30℃〜5℃の範囲内が特に好ましい。反応後に、反応液中に不溶解成分が生成している場合には、通常のろ過操作によって濾別することができる。ろ過の際に使用するフィルタとしては、反応液の酸性度が高いこと、フッ化水素酸を含有することから、ポリオレフィン製フィルタやフッ素樹脂製フィルタを用いることが好ましく、耐蝕性の観点からフッ素樹脂製のフィルタが特に好ましい。
前記フッ化リン酸塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
前記六フッ化リン酸塩におけるアルカリ金属としては特に限定されず、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。これらのアルカリ金属のうちLi、Na、Kが価格、入手しやすさの観点から好ましい。
前記アルカリ土類金属としては特に限定されず、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。これらのアルカリ土類金属のうちMg、Ca、Ba価格・安全性の面から好ましい。また、同様の理由からAlも好ましい。
前記オニウムとしては特に限定されず、例えば、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
六フッ化リン酸塩とフルオロリン酸溶液の混合比率は、本工程の後に行われるフルオロリン酸を留去する工程に応じて設定され得る。すなわち、ジフルオロリン酸塩の生成工程の後に行われる工程が、加熱乾燥しながら余剰のフルオロリン酸を留去する工程であるか、フルオロリン酸溶液中でジフルオロリン酸塩を晶析した後に固液分離することによりフルオロリン酸を留去する工程であるかによって異なる。
次工程が加熱乾燥しながら余剰のフルオロリン酸を留去する工程である場合、フルオロリン酸中のリンのモル数に対する六フッ化リン酸塩中の六フッ化リン酸イオンのモル数の比率をxとすると、0.3≦x≦0.7が好ましく、0.35≦x≦0.65がより好ましく、0.4≦x≦0.6がさらに好ましい。xを0.3以上にすることにより、得られるジフルオロリン酸塩に対して留去するフルオロリン酸の量が多くなり生産効率が低下するのを防止することができる。その一方、xを0.7以下にすることにより、未反応として残留する原料の六フッ化リン酸塩の低減が図れる。
また、次工程がジフルオロリン酸塩の晶析後に固液分離を行う場合、フルオロリン酸への温度に依存した溶解度差に相当するジフルオロリン酸塩を回収することになる。従って、フルオロリン酸に対するジフルオロリン酸塩の飽和溶解度に相当するモル量の六フッ化リン酸塩をフルオロリン酸と反応させればよい。よって、前記xは0.05≦x≦0.5であることが好ましく、0.1≦x≦0.45であることがより好ましく、0.15≦x≦0.4であることが特に好ましい。
尚、原料の六フッ化リン酸塩を多く仕込むと、過剰な六フッ化リン酸塩は未反応として残り、ジフルオロリン酸塩と六フッ化リン酸塩の混合物が得られる。例えば、前記六フッ化リン酸塩がジフルオロリン酸リチウムの場合、六フッ化リン酸リチウムの仕込み量が多いと、得られる生成物は六フッ化リン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムとの混合物となる。
前記ジフルオロリン酸塩の生成工程の後、残留するフルオロリン酸を留去する工程を行う。本実施の形態に係るジフルオロリン酸塩の精製は、この工程の中で行ってもよい。フルオロリン酸を留去する方法としては、ジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸を加熱乾燥することにより、余剰なフルオロリン酸を留去する方法、又は晶析によりフルオロリン酸溶液中に析出した析出物を当該フルオロリン酸中から固液分離し、前記析出物に含まれるフルオロリン酸を留去する方法の何れかを行う。
前者の方法において、加熱乾燥は、フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガスの雰囲気下で行われる。あるいは、これらのガスの気流中で行われる。これにより、アニオン不純物、遊離酸分および不溶解分を除去すると共に、大気中の水分がフルオロリン酸溶液に溶解して、ジフルオロリン酸イオンが加水分解し、モノフルオロリン酸イオンやリン酸イオン等の不純物が生成して、組成変化が生じることも併せて防止することができる。また、加熱乾燥は使用する乾燥装置の観点から常圧が好ましいが、揮発物(フルオロリン酸)の留去を促進する観点からは減圧乾燥であってもよい。さらに、乾燥効率の観点から、乾燥の際にはジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸を振動や揺動、攪拌等の混合操作を行ってもよい。尚、フッ化水素ガス、又は混合ガス中のフッ化水素ガスの濃度や、流量等の接触条件については、前述の通りである。
加熱温度は20℃〜200℃の範囲内が好ましく、40℃〜180℃の範囲内がより好ましく、60℃〜150℃の範囲内が特に好ましい。加熱温度を20℃以上にすることにより、フルオロリン酸の留去が不十分となるのを防止すると共に、フッ化水素の凝縮も防止することができる。その一方、加熱温度を200℃以下にすることにより、乾燥装置の耐久性の問題を回避することができる。また、加熱時間は加熱温度等の条件により適宜必要に応じて設定され得る。具体的には、2時間〜35時間の範囲内が好ましく、3時間〜30時間の範囲内がより好ましく、4時間〜25時間の範囲内が特に好ましい。
後者の方法においては、先ず、フルオロリン酸中のジフルオロリン酸塩の晶析を行う。晶析は当該フルオロリン酸を加熱し、又は冷却することによりジフルオロリン酸塩を飽和状態または過飽和状態にして行う。これにより、ジフルオロリン酸塩の結晶をフルオロリン酸中に析出させる。晶析温度は適宜必要に応じて設定することができ、具体的には、−100℃〜100℃の範囲内が好ましく、−80℃〜80℃の範囲内がより好ましく、−50℃〜50℃の範囲内が特に好ましい。
ジフルオロリン酸塩の結晶を析出させた後、固液分離を行う。固液分離は、例えば濾過により行われる。これにより得られた析出物には晶析溶媒として用いたフルオロリン酸や不純物が含まれている。そのため、加熱乾燥によって当該フルオロリン酸を取り除く必要がある。本実施の形態に於いては、この加熱乾燥により副生した不純物も析出物から除去することができる。このときの加熱乾燥温度は、20℃〜200℃の範囲内が好ましく、40℃〜180℃の範囲内がより好ましく、60℃〜150℃の範囲内が特に好ましい。加熱温度を20℃以上にすることにより、フルオロリン酸の留去が不十分となるのを防止することができる。その一方、加熱温度を200℃以下にすることにより、乾燥装置の耐久性の問題を回避することができる。また、加熱時間は加熱温度等の条件により適宜必要に応じて設定され得る。具体的には、2時間〜35時間の範囲内が好ましく、3時間〜30時間の範囲内がより好ましく、4時間〜25時間の範囲内が特に好ましい。
さらに、加熱乾燥は、フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスを含む混合ガスの雰囲気下で行われる。あるいは、これらのガスの気流中で行われる。これにより、アニオン不純物、遊離酸分および不溶解分を除去すると共に、フルオロリン酸の除去を行うことができる。また、加熱乾燥は使用する乾燥装置の観点から常圧が好ましいが、揮発物(フルオロリン酸)の留去を促進する観点からは減圧乾燥であってもよい。さらに、乾燥効率の観点から、乾燥の際にはジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸を振動や揺動、攪拌等の混合操作を行ってもよい。これにより、析出物に含まれるフルオロリン酸や不純物を留去することができ、高純度のジフルオロリン酸塩を得ることができる。不活性ガス中のフッ化水素の濃度や当該フッ化水素の流量等の接触条件については、前述の通りである。
尚、前記の固液分離により得られたフルオロリン酸溶液には未析出のジフルオロリン酸塩が溶解している。そのため、固液分離後のフルオロリン酸溶液は再利用することができる。固液分離後のフルオロリン酸溶液の再利用は、当該フルオロリン酸溶液中のジフルオロリン酸塩の濃度が低下していることから、低下分に相当する原料塩(六フッ化リン酸塩)、又は原料塩およびフルオロリン酸を加えることにより行うことができる。これにより、フルオロリン酸と六フッ化リン酸塩を反応させた後、前記と同様に、ジフルオロリン酸塩を含むフルオロリン酸溶液を加熱乾燥して、余剰なフルオロリン酸を留去する工程を繰り返す。あるいは、晶析によりフルオロリン酸溶液中にジフルオロリン酸塩を析出させた後、これを固液分離し、その後、加熱乾燥させることによりフルオロリン酸を留去させる工程を繰り返す。これにより、高純度のジフルオロリン酸塩を効率よく製造することができる。
(その他の事項)
本実施の形態に於いては、有機溶媒を含まない無水フッ化水素酸とリンのオキソ酸等とを反応させてフルオロリン酸溶液を生成させた後、当該フルオロリン酸溶液を反応溶媒として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物の不存在下で、六フッ化リン酸塩の生成を行う態様について説明した。
しかし、本発明はこの態様に限定されるものではなく、例えば、リンのオキソ酸、オキソ酸無水物及びオキシハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種と、六フッ化リン酸塩とを、フッ化水素の存在下で反応させて得られるジフルオロリン酸塩に対しても適用可能である。また、リンのオキソ酸、オキソ酸無水物及びオキシハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種と、六フッ化リン酸塩と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種とを、フッ化水素の存在下で反応させて得られるジフルオロリン酸塩に対しても適用可能である。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(実施例1)
<ジフルオロリン酸リチウムの合成>
五酸化二リン290gを内容積3000mlのPFA容器に量り取り、六フッ化リン酸リチウム340gを加えた。続いて、15質量%(質量基準による濃度)フッ化水素ジメチルカーボネート溶液890gを加え、110℃で、窒素フローしながら1時間還流した。反応液中の不溶解分をろ別した後、130℃で24時間加熱し、余剰な溶媒や反応副生成物を留去させた。その後、室温まで冷却してジフルオロリン酸リチウムの結晶237gを得た。
得られたジフルオロリン酸リチウムの結晶をイオンクロマトグラフィー(ダイオネクス(株)製、ICS−1000、カラムAS−23)でアニオン分析を行い、ジフルオロリン酸イオンの相対面積比をジフルオロリン酸リチウムの純度の指標とした。得られたジフルオロリン酸リチウムの結晶の純度は相対面積で95%であった。
また、得られたジフルオロリン酸リチウムの粉末を氷水200mlに2g溶解し、BTBを指示薬とし0.1規定NaOH水溶液を用いて中和滴定した。中和に要したNaOHの量から、サンプル中に含まれる酸分がHFであると仮定したときの酸分を算出した。その結果、生成したサンプル中に含まれる酸分は4500ppmであった。
次に、ジメトキシエタン96g中に得られたジフルオロリン酸リチウムの結晶4gを添加して、30分間攪拌した。このジメトキシエタン溶液をメンブランフィルターでろ過した。ろ過後のメンブランフィルターを105℃で1時間乾燥し、その質量を測定した。この質量からろ過使用前のメンブランフィルターの質量を差し引いた値をジフルオロリン酸リチウムのサンプル質量で除し、100を乗じた値(%)を不溶解残分とした。その結果、不溶解残分は1.4質量%であった。
<ジフルオロリン酸リチウムの精製>
前記ジフルオロリン酸リチウム100gを内容積1LのPFA製容器に容れ、1L/minで窒素フローさせながら130℃に設定した恒温槽内に1時間保持した。その後、130℃の恒温槽内に保持したまま、通気ガスを窒素のみから40体積%のHFを含む窒素ガスに切り替え、その流量を10L/minとした。HFを含む窒素ガスの通気は1時間行った。さらに、通気ガスを再び流量1L/minの窒素ガスに切り替えた。窒素ガスの通気は130℃に保持したまま10時間行った。その後、室温まで冷却した。これにより白色結晶のジフルオロリン酸リチウム98gを得た。
生成後のジフルオロリン酸リチウムについて、再びアニオン分析、遊離酸分、不溶解分を分析した。その結果、ジフルオロリン酸リチウムの純度は相対面積で99%、遊離酸分は1500ppm、不溶解残分は0.6質量%であった。
(実施例2)
<フルオロリン酸の調製>
HF100gを内容積1LのPFAボトルに分取して攪拌しながら−10℃まで冷却を行い、284gのPを少量ずつゆっくりと添加した。冷却はPの添加が終了するまでの間、1時間行った。さらに、添加したPを完溶させるために、得られた混合溶液を、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃にて5時間加温した。これによりフルオロリン酸溶液380gを得た。
<ジフルオロリン酸リチウムの合成>
前記フルオロリン酸溶液136gを内容積1LのPFA容器に量り取り、これに六フッ化リン酸リチウム106gを窒素雰囲気下で添加した。六フッ化リン酸リチウムの添加時のフルオロリン酸溶液の液温は、30℃とした。その後、1L/minの窒素フローをしながら130℃に設定した恒温槽内に、2時間保持した。続いて、130℃の恒温槽内に保持したまま、通気ガスを窒素から40体積%のHFを含む窒素ガスに切り替え、その流量を10L/minとした。HFを含む窒素ガスの通気は1時間行った。さらに、通気ガスを再び流量1L/minの窒素ガスに切り替えた。窒素ガスの通気は130℃に保持したまま10時間行った。その後、室温まで冷却した。これにより白色結晶のジフルオロリン酸リチウム72gを得た。
生成後のジフルオロリン酸リチウムについて、実施例1と同様にして、アニオン分析、遊離酸分、不溶解分を分析した。その結果、ジフルオロリン酸リチウムの純度は相対面積で99%、遊離酸は1200ppm、不溶解残分は0.5質量%であった。
(比較例1)
<フルオロリン酸の調製>
前記実施例2と同様にしてフルオロリン酸溶液380gを得た。
<ジフルオロリン酸リチウムの合成>
前記フルオロリン酸溶液136gを内容積1LのPFA容器に量り取り、これに六フッ化リン酸リチウム106gを窒素雰囲気下で添加した。六フッ化リン酸リチウムの添加時のフルオロリン酸溶液の液温は、30℃とした。その後、窒素気流下で130℃、20時間の条件で加熱乾燥し、濃縮乾固した。これにより、白色結晶のジフルオロリン酸リチウム74gを得た。
生成後のジフルオロリン酸リチウムについて、実施例1と同様にして、アニオン分析、遊離酸分、不溶解分を分析した。その結果、ジフルオロリン酸リチウムの純度は相対面積で98%、遊離酸は3200pm、不溶解残分は1.3質量%であった。
(実施例3)
<フルオロリン酸の調製>
前記実施例と同様にしてフルオロリン酸溶液380gを得た。
<ジフルオロリン酸リチウムの合成>
前記フルオロリン酸溶液130gを内容積1LのPFA容器に量り取り、これに六フッ化リン酸リチウム52gを窒素雰囲気下で添加した。六フッ化リン酸リチウムの添加時のフルオロリン酸溶液の液温は、50℃とした。さらに、六フッ化リン酸リチウム添加後のフルオロリン酸溶液を−20℃まで冷却し、晶析を行った。これにより、フルオロリン酸溶液と析出物とからなるスラリー溶液を得た。
続いて、得られたスラリー溶液165gを窒素雰囲気下で濾過により固液分離を行い、反応母液を含んだ白色結晶を得た。さらに、反応母液を含む白色結晶をPFAボトルに移し変え、1L/minの窒素フローをしながら130℃に設定した恒温槽内に、2時間保持した。その後、130℃の恒温槽内に保持したまま、通気ガスを窒素から40体積%のHFを含む窒素ガスに切り替え、その流量を10L/minとした。HFを含む窒素ガスの通気は1時間行った。さらに、通気ガスを再び流量1L/minの窒素ガスに切り替えた。窒素ガスの通気は130℃に保持したまま10時間行った。その後、室温まで冷却した。これにより白色結晶のジフルオロリン酸リチウム9gを得た。
生成後のジフルオロリン酸リチウムについて、実施例1と同様にして、アニオン分析、遊離酸分、不溶解分を分析した。その結果、ジフルオロリン酸リチウムの純度は相対面積で99%、遊離酸は1300ppm、不溶解残分は0.7質量%であった。
(比較例2)
<フルオロリン酸の調製>
前記実施例3と同様にしてフルオロリン酸溶液380gを得た。
<ジフルオロリン酸リチウムの合成>
前記フルオロリン酸溶液130gを内容積1LのPFA容器に量り取り、これに六フッ化リン酸リチウム52gを窒素雰囲気下で添加した。六フッ化リン酸リチウムの添加時のフルオロリン酸溶液の液温は、50℃とした。さらに、六フッ化リン酸リチウム添加後のフルオロリン酸溶液を−20℃まで冷却し、晶析を行った。これにより、フルオロリン酸溶液と析出物とからなるスラリー溶液を得た。
続いて、得られたスラリー溶液161gを窒素雰囲気下で濾過により固液分離を行い、反応母液を含んだ白色結晶を得た。さらに、反応母液を含む白色結晶をPFAボトルに移し変え、窒素気流下で130℃にて20時間の加熱乾燥を行い、白色結晶10gを得た。
生成後のジフルオロリン酸リチウムについて、実施例3と同様にして、アニオン分析、遊離酸分、不溶解分を分析した。その結果、ジフルオロリン酸リチウムの純度は相対面積で98%、遊離酸は3700ppm、不溶解残分は1.2質量%であった。

Claims (8)

  1. 不純物を含むジフルオロリン酸塩にフッ化水素を接触させた後、当該ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥させ、又は前記不純物を含む前記ジフルオロリン酸塩を加熱乾燥しながら前記フッ化水素に接触させることにより、前記不純物を除去するジフルオロリン酸塩の精製方法。
  2. 前記ジフルオロリン酸塩とフッ化水素との接触は、フッ化水素ガス又は液体状の無水フッ化水素酸を前記ジフルオロリン酸塩に接触させて行う請求項1に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  3. 前記ジフルオロリン酸塩とフッ化水素との接触は、不活性ガスとフッ化水素ガスとの混合ガスを前記ジフルオロリン酸塩に接触させて行う請求項1に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  4. 前記不純物を含むジフルオロリン酸塩は、
    アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の六フッ化リン酸塩を、フルオロリン酸溶液に添加することにより、当該フルオロリン酸溶液中に前記ジフルオロリン酸塩を生成させた後、
    前記フルオロリン酸溶液を加熱してフルオロリン酸を留去させる過程におけるものである請求項1〜3の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  5. 前記不純物を含むジフルオロリン酸塩は、
    アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の六フッ化リン酸塩を、フルオロリン酸溶液に添加することにより、当該フルオロリン酸溶液中に前記ジフルオロリン酸塩を生成させたものであって、
    晶析により前記フルオロリン酸溶液中にジフルオロリン酸塩を析出させ、当該ジフルオロリン酸塩を固液分離されたものである請求項1〜3の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  6. 前記フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを通気させながら前記ジフルオロリン酸塩に接触させることにより、当該ジフルオロリン酸塩に含まれる前記不純物とフッ化水素ガスとの反応により生じた副生物を留去させる請求項2又は3に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  7. 前記フッ化水素ガス、又はフッ化水素ガスと不活性ガスの混合ガスを接触させる際のジフルオロリン酸塩の温度は、前記フッ化水素ガスが凝縮しない温度である請求項2、3又は6に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。
  8. 前記ジフルオロリン酸塩がジフルオロリン酸リチウムである請求項1〜7の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の精製方法。


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