JP5714841B2 - オオバギ抽出物の製造方法及びオオバギ抽出物の溶液 - Google Patents
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Description
しかしながら、オオバギ抽出物を得るための抽出溶媒として、メタノール、DMSO、エタノール、アセトニトリル、アセトン及び酢酸エチルは、より高濃度で有効性成分を抽出できる点で有利な溶媒であるが、得られた抽出物を口腔衛生品、食品、化粧料等に添加して最終製品とした場合には、該最終製品内にこれらの溶媒が微量ではあっても含有される可能性がある。
そうすると、オオバギ抽出物を人体に適用される用途の組成物に使用した場合には、その組成物中に含有された抽出溶媒が、口腔衛生品、食品、化粧料の他の成分と共に人体に適用されることになる。
上記抽出溶媒のなかでもエタノールは、人体に対して比較的安全であるとしても、エタノールに溶解したオオバギ抽出物は安定性が良好でなく、時間が経過するにつれて分解することによりエタノール溶液中の残存率が思いのほか早く低下することが新たに判明したので、得られたオオバギ抽出物のエタノール溶液はなるべく早期に使い切ることに注意を払う必要がでてきた。
そして、油脂が、ゴマ油、オリーブ油、メドウフォーム油及び/又は馬油でよく、ロウ類が、オレンジラッフィー油及び/又はホホバ種子油でよく、脂肪酸類が、マカデミアナッツ油でよく、エステル類がミリスチン酸オクチドデシルでよく、上記の抽出が加温された状態でなされてもよい方法である。
また、オオバギ抽出物を溶質とし、油脂、ロウ類、脂肪酸類、エステル類、ポリエチレングリコール−16マカデミア油、1,3−ブチレングリコールの1種以上を溶媒としたオオバギ抽出物の溶液や、上記の抽出方法により得られた抽出溶媒の溶液でもよい。
特に抽出溶媒が、油脂、ロウ類、脂肪酸類、エステル類、ポリエチレングリコール−16マカデミア油、1,3−エチレングリコールの1種以上を含む溶媒であり、これらの抽出溶媒中にオオバギ抽出物を溶解すると高濃度で溶解することが可能となる。さらに、一部の油脂からなる混合溶媒は特にニムフェオールの溶解度が高いので、抽出溶媒としては好適なものとして選択が可能となる。
また、これらの溶媒の中でも食品用もしくは化粧料用として使用される溶媒を使用した場合には、抽出されてなるオオバギ抽出物は、口腔衛生品、食品、化粧料等の人体に適用する用途に使用する組成物に配合しても、残留する抽出溶媒がもともと食品用又は化粧料用であることからみて、十分な安全性を有することは明らかである。
さらに、これらの溶媒中のオオバギ抽出物は、エタノール溶媒で保存するオオバギ抽出物よりも分解しにくくなるために、有効成分の長期にわたる残存率が高く保存性に優れるので、得たオオバギ抽出物を特定の溶液中に保存した後、添加する対象の組成物に添加することができるという効果を有する。
例えば、口腔衛生品、飲食品あるいは化粧料に添加することにより、色素の分解防止、抗菌性の付与、酸化性の油脂の酸化防止、香料の変質防止等を図ることができるものである。
本発明のオオバギ抽出物の溶液は、オオバギを本発明中の特定の溶媒により抽出して、直接得られた溶液(抽出溶媒の溶液)を包含するが、そのような溶液に留まらず、オオバギを公知の抽出溶媒により抽出して得られたオオバギ抽出物の溶液を一旦乾燥し、これを特定の溶媒に溶解してなるものも包含する。
本発明にて使用されるオオバギ(大葉木)は、マカランガ・タナリウス(Macaranga tanarius)とも呼ばれる植物であって、トウダイグサ科オオバギ属に属する常緑広葉樹(雌雄異株)である。
オオバギ抽出物の原料としては、オオバギの各器官やそれらの構成成分を用いることができる。原料としては、単独の器官又は構成成分を用いてもよいし、二種以上の器官や構成成分を混合して用いてもよい。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するオオバギ抽出物の抗菌作用が高まるという観点から、原料には果実、種子、花、根、幹、茎の先端部、葉身、及び分泌物(ワックス等)を含むことが好ましい。茎の先端部は、茎の成長点及び葉芽を含んでおり、葉身に比べて柔軟であるため、抽出操作を効率的に行うことが容易である。また、オオバギの全体に対して各器官が占める割合を比較すると、幹、根、及び葉の占める割合は高い。このため、オオバギの葉身をオオバギ抽出物の原料として用いることは、原料確保が容易であるという観点から、工業的に好適である。こうした原料は、採取したままの状態、採取後に破砕、粉砕若しくはすり潰した状態、採取・乾燥後に粉砕、破砕若しくはすり潰した状態、又は、採取後に粉砕、破砕若しくはすり潰した後に乾燥させた状態として、抽出操作を行うことができる。抽出操作を効率的に行うべく、破砕した原料を用いることが好ましい。こうした破砕には、例えばカッター、裁断機、クラッシャー等を用いることができる。また、粉砕した原料を調製する際には、例えばミル、クラッシャー、グラインダー等を用いることができる。すり潰した原料を調製する際には、ニーダー、乳鉢等を用いることができる。
本発明においてオオバギ抽出物を得るための抽出溶媒としては、油脂、ロウ類、脂肪酸類、エステル類、ポリエチレングリコール−16マカデミア油、1,3−エチレングリコールの1種以上を使用する。
なかでも、ゴマ油、オリーブ油、メドウフォーム油、馬油、オレンジラッフィー油、ホホバ種子油、マカデミアナッツ油及びミリスチン酸オクチドデシルの1種以上を使用することが好ましい。
上記のようにオオバギから有効成分を抽出するための抽出溶媒として、エタノール等の各種の有機溶媒を使用できることは知られているが、本発明は単にこれら各種の有機溶媒を使用するのではなく、特定の有機溶媒を採用することにより、安全性を確保しながら抽出効率を向上させたり、抽出液の中のニムフェオール類の保存性を向上させることが可能となる。
抽出時の温度は任意でも良いが、10〜80℃、好ましくは室温〜80℃であるが、室温よりも40℃〜80℃、例えば60℃程度の加温された溶媒にて抽出されるほうが、抽出液中のニムフェオール類含量がより多くなり好ましい。
この範囲であれば、オオバギに含有される有効成分が効率よく溶液に溶解でき、しかも分解速度が遅いので、保存中の残存率がエタノールを溶媒としたときよりも高い。
水抽出に用いられる水の温度は特に限定されないが、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上であることが望ましい。水の温度が90℃未満の場合、夾雑物の多くを水側に十分に移行させるために多くの時間が必要となる。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の細菌類に対して有効に抗菌作用を発揮する成分は、オオバギに含まれるニムフェオール類である。上記のようにニムフェオール類は、水に対して不溶性を示すため、オオバギを例えば熱湯で煮沸することで、ニムフェオール類以外の水溶性の不必要な夾雑物を効率的に除去することができる。
本発明における抽出溶媒による抽出後には、オオバギと抽出溶液を分離するための工程により抽出溶媒の溶液を得る。その工程としては通常の固液分離工程で良く、静置、濾過、遠心分離等の任意の工程でよい。
抽出に使用する装置は、溶媒抽出に使用する通常の装置で良く、オオバギと溶媒をそれぞれ供給するに要する装置、オオバギ、溶媒の供給装置、これらが供給され、要すれば加熱、あるいは攪拌する手段を伴う装置、抽出終了後にオオバギと溶液を分離するための、ろ過、遠心分離等の固液分離装置、分離後の液体を密閉・保管するための容器からなる任意の装置の組合せにより構成することができる。
本発明の方法により抽出されたオオバギ抽出物には、ニムフェオール類が含有されている。ニムフェオール類は、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B及びニムフェオール−Cから選ばれる少なくとも一種を含む。ニムフェオール−A(nymphaeol−A)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-6-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-6-geranylflavanone)である。ニムフェオール−B(nymphaeol−B)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-2'-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-2'-geranylflavanone)である。ニムフェオール−C(nymphaeol−C)は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-6-(3''',3'''-ジメチルアリル)-2'-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-6-(3''',3'''-dimethylallyl)-2'-geranylflavanone)である。
オオバギ抽出物の主要な成分は、上述したニムフェオール類であり、こうしたニムフェオール類がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の菌に対する抗菌作用に大きく寄与していると推測される。
このように、オオバギ抽出物には各種ニムフェオールが含有されているが、ニムフェオールは抗酸化剤として作用することからみても明らかなように、元来分解されやすい性質を有しており、エタノール溶媒中ではその性質のとおり、分解されやすい状態のままであるが、本発明のオオバギ抽出物の溶液の状態においては、より分解されにくく、ニムフェオールが残存する率が高いという性質を有している。
このオオバギ抽出物は、細菌類などに対する高い抗菌作用を有しており、特にグラム陽性菌に対する強力な抗菌作用を有している。また、オオバギ抽出物は、高い抗酸化作用も同時に有している。
上記の抽出条件により抽出されて得たオオバギ抽出物の溶液は、そのままの抽出溶媒溶液として各種用途に使用することができる。また、オオバギを公知の溶媒により抽出した抽出液を一旦乾燥した後に、本発明中の特定の溶媒に溶解させてなる溶液状態として保存又は使用することもできる。
用途の中でも、飲料品としては、炭酸飲料、茶飲料、清涼飲料、酒類、牛乳、コーヒー、フルーツシロップ、ゼリー飲料、栄養ドリンク剤等の公知の飲食品が挙げられる。炭酸飲料としては、サイダー、レモンスカッシュ、コーラ等が挙げられる。茶飲料としては、緑茶、ウーロン茶、紅茶等が挙げられる。清涼飲料としては、果汁入り飲料、ミネラルウォーター等が挙げられる。酒類としては、ビール、発泡酒、日本酒、ウイスキー、焼酎、カクテル等が挙げられる。食品としては、ヨーグルト、スープ、カレー、のど飴、キャンディー、クッキー、ケーキ、和菓子、スナック菓子、シロップ等が挙げられる。また、健康食品、特定保健用食品、健康飲料、栄養補助食品等とされていても良い。
医薬品としては、シロップ等の液剤、顆粒剤や錠剤等の固形剤、クリーム状、ゲル状等の塗布薬等、公知の各種の薬剤に使用することが可能である。
こうした飲食品や医薬品等に対してオオバギ抽出物は、固形分換算で好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲となるように含有される。飲食品中におけるオオバギ抽出物の含有量が固形分換算で0.001質量%未満の場合には、抗菌性及び酸化防止効果が十分でない可能性がある。一方、飲食品等中におけるオオバギ抽出物の含有量が固形分換算で10質量%を超えても、それ以上の効果を発揮するものではない。飲食品には、その形態に応じた基材の他に、必要に応じて公知の乳化剤、溶剤、安定剤等が含有される。
このように飲食品等に含有させることにより、その飲食品等の劣化を防止することができ、ひいては保存性を向上させることが可能となる。また、飲食品等の飲食を通じて、オオバギ抽出物を摂取することにより、体内における抗酸化作用を発揮して、例えば発生する活性酸素を消去することができ、健康増進に寄与することも可能となる。
本実施形態の悪臭発生予防剤は、オオバギ抽出物、好ましくはオオバギの有機溶媒抽出物を有効成分としているため、微生物が発生原因となる体臭や悪臭を抑えることが可能である。本実施形態の口腔衛生品及び皮膚衛生品はいずれも、前記抗菌剤を有効成分としているため、口臭や体臭を防いだり、炎症反応を抑えたりして身体を衛生的かつ健康的に保持することができる。本実施形態の化粧品は、前記抗菌剤を含有しているため、保存性に優れるとともに、化粧された部位を衛生的かつ健康的に保持することができる。
オオバギの葉からの抽出特性を確認した。
オオバギの生葉をカットし、熱湯で30分間煮込み、湯を切った後、熱風乾燥してオオバギ乾燥葉とし、粉砕機にて3mm程度に粉砕し、オオバギ乾燥葉の粉砕物とした。
加熱抽出:得られたオオバギ乾燥葉2.5gを水浴で60℃に加温された各溶媒100mlに加えて30分間抽出し、室温に戻した後、7日まで室温にて抽出した。
室温抽出:得られたオオバギ乾燥葉2.5gを室温の各溶媒100mlに加えて7日まで抽出した。
得られたオオバギ抽出物が各溶媒に溶解されてなる各溶液中のニムフェオールの含量を測定するために、数日毎に良く攪拌して試験サンプル1mlをサンプリングし、0.45μmのフィルターでろ過した後、60%エタノール、1,3−ブチレングリコールはろ液10μlにつきHPLCで分析した。マカデミアナッツ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、ベニバナ油は、ろ液:メタノール=1:1で混合し、一日抽出した後、メタノール層10μlにつきHPLCで分析した。
分析条件:カラムはimtakt社製Cadenza CD−C18(内径4.6×250mm)、溶媒は水(5%酢酸)とメタノールを使用した。溶媒の流速は0.600ml/分、検出は280nmによる。
流出条件は、0〜5分メタノール40%、5分メタノール75%、5〜30分メタノール75〜100%グラジエント、30〜40分メタノール100%、40〜50分メタノール40%とした。
下記表1の結果によれば、抽出溶媒を60℃に加温して抽出を行うと、いずれの溶媒によっても室温で抽出したものに比べ抽出効率が向上した。
オオバギの葉の大きさによる抽出特性を確認した。
オオバギの生葉をカットし、熱湯で30分間煮込み湯を切った後、熱風乾燥してオオバギ乾燥葉とした。これを粉砕機により5〜10μmの径となるようにカットしたものと、3mm程度に粉砕したものを用意した。
下記表2に示す各溶媒100mlをこれら2種の大きさのオオバギ葉の粉砕物2.5gに加えて、室温で1日間抽出した。
ニムフェオールの含量を測定するために、試験サンプル1mlをサンプリングし、0.45μmのフィルターでろ過した後、メタノール、95%エタノール、80%エタノール、60%エタノールはろ液10μlにつきHPLCで分析した。マカデミアナッツ油、ゴマ油は、ろ液:メタノール=1:1で混合し、一日抽出した後、メタノール層10μlにつきHPLCで分析した。
分析条件:カラムはimtakt社製Cadenza CD−C18(内径4.6×250mm)、溶媒は水(5%酢酸)とメタノールを使用した。溶媒の流速は0.600ml/分、検出は280nmによる。
流出条件は、0〜5分メタノール40%、5分メタノール75%、5〜30分メタノール75〜100%グラジエント、30〜40分メタノール100%、40〜50分メタノール40%とした。
メタノール及び各濃度のエタノールを抽出溶媒とした際には、葉のサイズによる抽出後のニムフェオール含量の違いはないが、マカデミアナッツ油及びゴマ油を抽出溶媒とした際には、オオバギ葉を5〜10μmに微粉砕したほうが3mmに粉砕した場合よりも多くのニムフェオールを抽出できることを確認できる。
水に不溶なオオバギ抽出物、特に主要成分であるニムフェオールの各種溶媒への溶解性を確認した。
乾燥オオバギ抽出物の製法:オオバギ乾燥葉3.0kgにエタノール(95vol%)45Lを加えて44時間静置し抽出した。この液を樹脂(三菱化学(株)製芳香族型合成吸着剤:セパビーズSP825)に循環し、次いで濃縮した後 フリーズドライして乾燥されたオオバギ抽出物とした。乾燥されたオオバギ抽出物はニムフェノール含量が48.75%であった。
各種溶媒への溶解方法:各種溶媒10mlに乾燥されたオオバギ抽出物0.1g(ニムフェオール含有量0.04875g)を添加して攪拌を行い、十分に溶解させた後、静置した。
溶媒に溶解させたニムフェオール量は、乾燥されたオオバギ抽出物を溶解させた静置後の溶媒の上層部をサンプリングし、HPLCで求めた濃度から算出した。また、各溶媒に添加したニムフェオールが溶媒に溶解した割合は、溶媒に溶解したニムフェオール量を溶媒に添加したニムフェオール量(0.04875g)で割った値を百分率で示したものである。
分析条件:カラムはimtakt社製Cadenza CD−C18(内径4.6×250mm)、溶媒は水(5%酢酸)とメタノールを使用した。溶媒の流速は0.600ml/分、検出は280nmによる。
流出条件は、0〜5分メタノール40%、5分メタノール75%、5〜30分メタノール75〜100%グラジエント、30〜40分メタノール100%、40〜50分メタノール40%とした。
下記表3の結果によれば、ニムフェオールはゴマ油、オリーブ油、オレンジラッフィー油、ホホバ種子油、マカデミアナッツ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、PEG−16マカデミア油への溶解性は、エタノール(80vol%)と同等の溶解性を示した。よって、これらの食用油等の溶媒による溶液は従来のエタノール溶液と同様の使用性を示すものであり、ニムフェオールの溶解性の点からみてエタノールに代替可能であることが確認できる。
各溶媒中のオオバギ抽出物の安定性を確認した。
乾燥オオバギ抽出物の製法:オオバギ乾燥葉(1cm程度の荒粉砕葉)3.0kgにエタノール(95vol%)45Lを加えて、室温にて20時間静置し抽出した。この液に活性炭100gを加えて良く攪拌した後、1時間静置して脱色し、ろ紙(No.5c)でろ過した。
この液を減圧循環濃縮機にて10倍濃縮した後、濃縮液4.5Lに熱湯4.5Lを加えて良く攪拌し、遠心分離(3000rpm,10分)し、沈殿を回収した。
回収した沈殿2.0kgにクロロホルム1.0Lを加えて攪拌し、下層を回収して減圧濃縮した後、フリーズドライして乾燥されたオオバギ抽出物とした(ニムフェオール含量40.44%)。
この乾燥されたオオバギ抽出物14.8g(ニムフェオール含量は14.8g×40.44%=5.99g)に各溶媒5.2mlを添加・混合した。この混合物をガラスバイアルに各試験サンプルとして入れ、アルミパウチに入れて遮光し、60℃の条件下で保存した。
分析条件:カラムはimtakt社製Cadenza CD−C18(内径4.6×250mm)、溶媒は水(5%酢酸)とメタノールを使用した。溶媒の流速は0.600ml/分、検出は280nmによる。
流出条件は、0〜5分メタノール40%、5分メタノール75%、5〜30分メタノール75〜100%グラジエント、30〜40分メタノール100%、40〜50分メタノール40%とした。
下記表4に示す結果によれば、1,3−ブチレングリコール及びオリーブ油を溶媒としたときのニムフェオールの残存率は、21日後においてもそれぞれ73.5%及び67.9%と、従来の95%エタノールよりも極めて良好であり、ゴマ油及びマカデミアナッツ油を溶媒としたときの21日後の残存率は、それぞれ60.3%及び56.2%と、95%エタノールを用いたときと同程度の保存性であり、より実用的な70%エタノールを用いたときの50.7%よりも極めて良好であった。
このような結果によれば、オオバギ抽出物は、1,3−ブチレングリコール及びオリーブ油、又はゴマ油及びマカデミアナッツ油を溶媒とする溶液、若しくはこれらの溶媒を分散媒とした分散液とすることにより、少なくとも95%エタノールを溶媒としたときよりも同程度か、さらに長期にわたって保存が可能という顕著な効果を奏することができる
水に不溶なオオバギ抽出物、特に主要成分であるニムフェオールの各種溶媒への溶解性を確認した。
乾燥オオバギ抽出物の製法:オオバギ乾燥葉(1cm角程度の荒粉砕葉)3.0kgにエタノール(95vol%)45Lを加えて、室温にて20時間静置し抽出した。この状態の液に活性炭100gを加えて良く攪拌した後、1時間静置させ、ろ紙(No.5c)でろ過し溶液を得た。
この液を減圧循環濃縮機にて10倍濃縮した後、濃縮液4.5Lに熱湯4.5Lを加えて良く攪拌し、遠心分離(3000rpm,10分)し、沈殿を回収した。
回収した沈殿2.0kgにクロロホルム1.0Lを加えて攪拌し、下層を回収して減圧濃縮した後、フリーズドライして乾燥されたオオバギ抽出物を得た(乾燥されたオオバギ抽出物中のニムフェオールの割合;40.44%)。
各種溶媒への溶解方法:各種溶媒10mlに乾燥されたオオバギ抽出物0.1g(ニムフェオール含量0.04044g)を溶解した。
溶媒に溶解したニムフェオール量は、乾燥されたオオバギ抽出物を溶解させた溶媒の上層部をサンプリングし、HPLCで求めた濃度から算出した。また、各溶媒に添加したニムフェオールが溶媒に溶解した割合は、溶媒に溶解したニムフェオール量を溶媒に添加したニムフェオール量(0.04044g)で割った値を百分率で示したものである。
分析条件:カラムはimtakt社製Cadenza CD−C18(内径4.6×250mm)、溶媒は水(5%酢酸)とメタノールを使用した。溶媒の流速は0.600ml/分、検出は280nmによる。
流出条件は、0〜5分メタノール40%、5分メタノール75%、5〜30分メタノール75〜100%グラジエント、30〜40分メタノール100%、40〜50分メタノール40%とした。
下記表5の結果によれば、表3に記載された結果と同様に、ニムフェオールはゴマ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、95%エタノール及び80%エタノールに対して溶解性が良好であった。さらに、溶媒をマカデミアナッツ油+ゴマ油としたときの割合(84.0%)、及びオリーブ油+ゴマ油としたときの割合(84.3%)は、特に、マカデミアナッツ油単独での割合(73.0%)、ゴマ油単独での割合(73.8%)、オリーブ油単独での割合(82.0%)と比較して、高い割合になっており、この結果から、マカデミアナッツ油+ゴマ油、及びオリーブ油+ゴマ油といった複数の溶媒を使用としたときは、それぞれ単独の溶媒を使用したときよりも、ニムフェオールの溶解度が高いことが示された。
そして、これらの混合された溶媒を用いることで、従来の溶媒の中でも特に溶解度が高い95%エタノールと同程度の溶解性を示し、ニムフェオールの溶解性の点からみてエタノールに代替可能であることが確認できた。
このような結果から、特にマカデミアナッツ油+ゴマ油、及びオリーブ油+ゴマ油は、ニムフェオールの溶解度が高いので、ニムフェオールの抽出溶媒としては好適なものとして選択が可能となる。
Claims (4)
- オオバギから、ゴマ油、オリーブ油、メドウフォーム油、馬油、オレンジラッフィー油、ホホバ種子油、マカデミアナッツ油、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、ミリスチン酸オクチドデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ポリエチレングリコール−16マカダミア油の1種以上を含む抽出溶媒により、ニムフェオール類を抽出する方法。
- オオバギ由来のニムフェオールの保存性を高めるために、ゴマ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油の1種以上を含む抽出溶媒により抽出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- オオバギ由来のニムフェオールを、オリーブ油、1,3−ブチレングリコールの1種以上からなる溶媒に溶解させることを特徴とする、ニムフェオールの保存方法。
- オオバギ由来のニムフェオールを含む組成物が、粉末であることを特徴とする請求項3に記載のニムフェオールの保存方法。
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