JP5713753B2 - 挟持部の角度可変型ピンセット - Google Patents
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Description
そして、様々な形状や材質の異なるピンセットが普及している。
今後、さらに部品の微細化が進むと、その需要も増すものと思われる。また、多くの部品が林立するような配線基板の緻密化が進むと、取付時の作業スペースが限られ、部品の取り付けも取り外しも、その作業の自由度が限られる一方となる。
そこで、従来技術としては、作業をし易くするための一手段としてピンセットの先端を様々な角度に予め設定ができるピンセットが存在する。
すなわち、ピンによって、一対の挟持部材と一対の先端部材とを相互に回転自在に連結する。先端部材を回転させて、挟持部材に複数配置した凹部の一つに、この先端部材に設けた凸部を嵌合させる。先端部材自体の弾性力によって、凹部と凸部とは押圧されているので、不用意に嵌合が外れることを防止できる。したがって先端部材の取付け角度を容易に回転させ、かつ所定の角度で確実に保持することができ、中央に仕切り部を設けたリング部材を挟持部材に挿着することによって、先端部の最大および最少開度を適切な値におさえることができる先端可動式ピンセット(例えば、特許文献1参照)や、その他に保持作用を行なうレバーの先端に物体を保持する爪を備えた先端角度可変ピンセット(例えば、特許文献2参照)が存在している。
ピンセットを用いた部品の取り付け作業において、何より求められる重要な点は作業スペースが小さくなればなる程、掴んだ部品を掴んだ状態でピンセットの先端部を取り付け場所に向け、瞬時に取り付けに適した角度に自由に変えることができる点が求められ、当然、部品を取り外す際には、取り外しに適した挟持部の角度にその場で変えられることも合わせて求められる。
そこで、被挟持物を掴む前でも、掴んだ状態であっても、いつでも挟持部の角度が変えられ、しかも瞬時に角度そのものも自由な角度に変えることができるピンセットを提供することを目的としている。
シンプルな構造であるだけに、このままの構成では、部品を掴む前でも、掴んだ状態であっても先端部の角度を変えることができるピンセットにすることは不可能である。
新たに角度を変える機械的な工夫が必要であり、同時に操作する際にはピンセットを把持する指とは別に挟持部の角度を変えるための新たな指使いが必要となる。
この新たな指使いによる挟持部の角度を変える機械的な工夫こそが課題を解決するための手段となる。
実現するには、先ず一対の挟持部と把持部とを分離形成し、両部の一体化を図る際に、回転軸によって相互に回転自在に連結することが挟持部の角度を変えるための前提条件であり、次に一対の挟持部が物を掴んだり離したりする開閉動作と角度可変に伴う回転動作とのこれらの動きが、異なる2つの動作をそれぞれ単独に操作ができるようにし、しかも対をなす両挟持部は常に連動しうる機構とすることが課題解決の必須条件となる。
そこで、この挟持部の動きの異なる開閉動作と角度可変動作の両方をそれぞれ個別に動作させる手段として考えたのが本発明の根幹をなすバネ板製二股金具の装着である。
バネ板製二股金具は、2枚のバネ板の一方を貼り合わせたり、一枚のバネ板を折り曲げる等により、略V字状、もしくは略U字状をなした小型のピンセットとも言い表すことのできる二股金具である。
従って、本金具は材質と形状、すなわち弾力性に富んだバネ板を用い、しかも二股を形成しているために、挟持圧に追随する開閉動作と両挟持部の連動動作を導くことが可能となる。
また、二股を形成する根元部には、指使いが安全で円滑な操作を促すハンドルに相当する半月形状等の操作板を取り付けることにより、二股金具の全体を一点の操作で可能にし、挟持部の角度を変える操作部となるため、これらの総称として以下、角度可変用操作板と呼ぶこととする。
そして、一方のバネ板の両端を、どこの場所に接続し挟持部の角度可変動作を導くか、この接続方法を工夫することにより、様々な挟持部の角度可変機構を生み出すことが可能となり、以下にその詳細を説明する。
さて、新たな指使いを考えるにあたり、ピンセットの掴み方も作業者によって、あるいは作業内容によって、ピンセットを中心に上方から手の甲が最上面になるようにして上方から掴む場合と、下方よりピンセットの根元部を親指と人指し指の付け根間で支え、ペンを持つ持ち方で掴む場合とがある。
従って、掴み方の違いから新たな挟持部の角度を変えるために、必要な操作をどの指を用いるかによってその構造も変わってしまう。
そこで、人指し指で操作する場合と、中指、あるいは薬指で操作する場合との2通りの指使いによる挟持部の角度可変型ピンセットの試作に取り組んだ。
本発明の第1発明は請求項1に記載した通り、人指し指操作による挟持部の角度可変型ピンセットであり、次のようなものである。
挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、且つトーションバネとストッパーにより、挟持部と把持部とのおりなす角度を通常は直線状態をなすピンセットにあって、挟持部と把持部とのおりなす角度を通常の直線状態から挟持部の角度を変えるための手段として2枚のバネ板の一方の端部ををそれぞれ貼り合わせたり、1枚のバネ板を折り曲げることにより、略V字状、あるいは略U字状をなした弾性機能を備えたバネ板製二股金具と、該バネ板製二股金具の根元に半月形状の押し板を取り付け、挟持部の角度可変動作を導く角度可変用操作板を設け、物体を掴む前でも掴んだ状態であっても、人指し指の操作で押し板を押し下げることにより挟持部の角度をいつでも自由に変えることができる構成である。
上記のような構造とすることにより、挟持部と把持部との連結部分である回転軸を支点とし、挟持部の先端が把持部と直線上にある状態から、把持部の挟持圧の強弱に拘わらず、いつでも両挟持部が常に連動する角度可変用操作板を人指し指の操作によって挟持部と把持部とのおりなす角度を装着したトーションバネによる挟持部が直線上に戻ろうとする力と、人指し指による押し付ける力との力のバランスが容易にとれることにより、自由に角度を変えられる点を特徴とする挟持部の角度可変型ピンセットである。
尚、挟持部と把持部との接面部に金属製、あるいはフッ素樹脂製の平ワッシャ、あるいはスラスト玉軸受やベアリングを装着すると、より角度可変操作を容易に行うことができる。特にベアリングは、ミニチュアサイズの製品が数多く市販されつつあるので装着するなら、より円滑な角度可変操作が可能である。具体的な装着方法については、請求項6及び実施例8にその詳細を記述する。
しかしながら、本発明は挟持部と把持部との接続部である回転軸を支点として、挟持部の根元に直結した角度可変用操作板の押し板部分を力点、そして挟持部の先端が作用点となるシーソーと全く同じ形態であるため、角度可変用操作板を大きく押し下げない限り、挟持部と把持部とのおりなす角度を90°近くまでに跳ね上げることが出来ないという欠点がある。
挟持部であるバネ板製二股金具の両バネ板先端部を分離し、テコの原理に従い、支点と力点間の距離を短くすることにより、作用点となる挟持部の先端が大きく跳ね上がるようにしたもので、バネ板製二股金具の両バネ板先端部を把持部の先端近くで、バネ板製二股金具の根元部に対して回転自在に連結せしめ、挟持部と把持部との両部を連結する回転軸の直ぐ脇に突き出しピンを新たに前記バネ板製二股金具に取り付け、しかも挟持部に設けた長穴に突き出るように配置することにより、この突き出しピンが挟持部の角度を変えるための新たな力点となる結果、挟持部の回転軸である支点と突き出しピンである力点との距離が短くなり、挟持部の角度を大きく変えることが可能となった請求項1に記載の挟持部の角度可変型ピンセットである。
さて、一方中指あるいは薬指による操作は、下方から上方へ引き上げる操作となるため、挟持部に直結した角度可変用操作板で挟持部を跳ね上げることはできない。
そのため、下方から上方への力を挟持部の跳ね上げる力に変換する工夫が必要である。
請求項1、請求項2に記載した挟持部の角度可変型ピンセットにあって、挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、且つ無負荷時にあっては両部のおりなす角度を常に水平維持が可能としたピンセットにあって、挟持部と把持部が回転自在となる把持部との連結部には何ら加工せずそのままの状態とし、把持部の外側面へ新たに用意した挟持部の下面に突き出る折り曲げ部と把持部天面を覆うように密着面を有する略コ字状に折り曲げ加工した持ち上げ板と、根元に下方に円弧を持つ半月板を取り付けたバネ板製二股金具のバネ板両端部を回転自在に連結せしめ、同時にこのバネ板の先端を把持部天面に飛び出るように接面している持ち上げ板を下から上へ突き上げるカムとして働ける形状に加工した角度可変用操作板とすることにより、中指、あるいは薬指による角度可変用操作板を下方から上方へと引き上げる動作によって、先端のカム部が持ち上げ板の回転軸に近い裏面を上方に突き上げ、その結果持ち上げ板の先端に位置し、挟持部の底面にあてがうように突き出した折り曲げ部分が挟持部底面をすくい上げるように上方に角度が変えられる挟持部の角度可変型ピンセットである。
被挟持物が堅牢で、例えばネジや金属片等のように例え強い挟持圧が掛っても破損や変形しない物体を一旦挟持した後に、前述請求項1〜請求項3のいずれか1項に示した挟持部の角度を人指し指、中指あるいは薬指など新たな指使いを必要とせずに、単に把持部にさらに強い挟持圧を加えることによって挟持部の角度が可変できるピンセットである。
挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、把持部に物体を掴むために必要な挟持圧をもって被挟持物を掴む挟持部を有し、その後さらに把持部に強い挟持圧を加えることにより挟持部の角度を変えることができるピンセットであり、バネ板製二股金具の根元部分のみを三角柱を横倒しにしたブロック内に囲い込み、一方両把持部の内壁より、押しピンを三角柱の底辺に近い傾斜面の両面に突き出して対峙させるように固定し、把持部に挟持圧を加えると両ピン先間の距離が縮まり、この時挟持部では被挟持物を掴む動作となり、さらに強い挟持圧を加えると、両ピン先は三角柱のそれぞれの傾斜面に突き当たり、傾斜面を押し付け斜面に沿って三角柱自体が三角柱の頂上である稜線に向って移動することによって、角度可変用操作板であるバネ板製二股金具を動かし、その結果挟持部の先端が跳ね上がる仕組みを設けた挟持部の角度可変型ピンセットである。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した発明に加えて、挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、挟持部の先端部に一対の切り溝を施した挟持面を有する角度可変型ピンセットにおいて、一対の挟持部に挟持面を有し、該挟持面の中央に切り込み溝を形成し、前記挟持部に設けた挟持面で物体を挟持すると、物体に押されて挟持面まで引き込まれ、挟持力を抜くと、挟持面より突き出る弾性機能を有する平板の板厚に相当する端面が解離面となる解離板を挟持部に設け、前記一対の挟持部の挟持面の先端部の中心に、前記解離板の解離面が突き出るように装備した解離板付き挟持部を有する解離板付き挟持部の角度可変型ピンセットである。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した発明に加えて、挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部と把持部との連結部にシールド型ベアリングの装着とパイプ等のスペーサーを挟み込むことによって、物理的に接触を回避する隙間を確保することにより、挟持部の角度可変時に伴う摺動摩擦による発塵をベアリング内部に封じ込め、飛散を防止する挟持部の角度可変型ピンセットである。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した発明に加えて、ピンセットの把持部や角度可変時の指が触れる操作板部分など、操作時に直接手が触れる表面を絶縁性の高いゴムで被覆するなど、絶縁体で形成し、作業者自身から発生する静電気による帯電圧がピンセットへ通電されることを遮断し、一方挟持部で発生した静電気はアース線を通じて常時アースされる構造を有する挟持部の角度可変型ピンセットである。
(1)本発明によれば、いずれのピンセットにおいても、小型ピンセットに相当するバネ
板2枚を用意し、一方を貼り合わせた二股形状の角度可変用の操作板を装着し、挟持部の角度調整用としたことで、常に両挟持部の連動を促し、しかも把持部の開閉動作を伴う物体の挟持操作と挟持部の角度可変操作とを完全に独立した操作でできることである。
その結果、物を掴む前であっても、掴んだ状態であっても、いつでも挟持部の角度を求める角度に瞬時に変えることが可能となり、部品の取り付けや取り外し作業を容易にすることができる。
(2)挟持部と把持部とが分離形成されているので、挟持部の形状や材質の異なる使用目的に適した挟持部を装着することができる。
(3)作業者が従来から慣れ親しんだ掴み方に沿って指使いの異なる挟持部の角度可変操作が可能なピンセットを選択することができる。
(4)請求項4の発明よれば、被挟持物が堅牢で強い挟持圧を加えても破損や変形をしない物体の挟持に限られるものの、一旦挟持したなら新たな指使いを必要とせずに、さらにそのまま把持部にさらに強い挟持圧を加えることによって自動的に挟持部の角度を変えることができる。
(5)請求項5の発明よれば、挟持部と解離板の装着と粘着ゴムを固着させることにより、挟持しづらい球や円柱形状の被挟持物を容易に捕獲と解離が可能となる。
(6)請求項6の発明よれば、挟持部の角度を変える際の摺動摩擦に起因する発塵をベアリング内部に封じ込めることができ、外部への飛散を著しく軽減できる。
(7)請求項7の発明によれば、挟持部で発生した静電気の除去と共に、作業者の作業動作によって生じた帯電が引き起こす被挟持物に対する静電気障害を著しく軽減することが可能となる。
この苦い経験からネジを掴んだまま挟持部の角度が変えられるピンセットを作ろうと思い立った。
そこで、市販されている大きさやバネの強さ、あるいは先端の形状が異なるピンセットを各種入手し、微細ネジの挟持に適したピンセットの選択を行っている時に、小型ピンセットを大型ピンセットが抱きかかえるように重なり合ってしまい、大型ピンセットに挟持圧を加えると、小型ピンセットの挟持部が閉じ、力を抜くと小型ピンセットの挟持部も開くことを目の当たりにし、両ピンセットの接続部分を回転せしめるなら挟持部の角度が変えられると思うに至った。
すなわち、その形態は、一度ピンセットの把持部を手にしたら、被挟持物を掴む前でも、掴んだままの状態であっても、挟持部と把持部とのおりなす角度を自由に変えられるピンセットであり、先端に位置する一対の挟持部を分離形成し、小型のピンセットに相当するバネ圧を有する二股状金具を把持部の両先端部の内側に対峙するように挟持部を取り付け、その取り付け方は回転軸により、挟持部を回転可能にせしめ、且つ無負荷時では常にストッパーとトーションバネにより把持部の延長線上に挟持部が直線状に配置され、先に取り付けたバネ圧を有する二股状金具の貼り合わせた部分に人指し指操作による下方に押し易くする形状である円盤、あるいは円弧状の半月板を挟み持つ角度可変用操作板を装着した挟持部の角度可変型ピンセットである。
なお、本回転軸7の先端には抜け落ち防止対策としてEリング8を装着する。
そして、小型ピンセット3は側面から見ると常に大型ピンセット1の把持部2と直線状、すなわち両ピンセット1、3との連結部である回転軸7を支点として大型ピンセット1の把持部2と、小型ピンセット3の先端にある挟持部4とのおりなす角度は、水平状態(180°)を維持させるために、大型ピンセット1には切り落とした先端部の底部にストッパー9を、大型ピンセットの根元部5の上辺からは小型ピンセットの根元部5´とを結ぶように引きバネ10を装着した。すると、小型ピンセットの根元部5´は上方へ引き上げられる力が働き、一方、挟持部4は大型ピンセット1に設けたストッパー9にぶつかることによって、常に水平状態が維持され、小型ピンセットの根元部5´を下方に押すと、挟持部4が跳ね上がり、押す力を開放すると、元に戻り水平状態が維持される仕組みである。
試作品の完成斜視図を図1に示す。
ところが、挟持部4を跳ね上げるために、小型ピンセットの根元部5´を下方に押し下げる操作が、本構造のままでは全くできず、操作する指の動かし方に適応する新たな工夫が必要であることが判った。
この挟持部4の角度を変える機械的な工夫、すなわち角度可変機構の機構こそが課題を解決するための手段であり、発明の根幹である。
本機構は単に挟持部4の角度を変える動作を導くばかりではなく、把持部2の挟持と解離に伴う開閉動作に追随し、しかも左右の両挟持部4に対し、常に同時に同じ動作を導く挟持部連動機能を兼ね備えた挟持部4の角度可変機構でなくてはならない。
そこで、機構を形成する最も重要な部品となるのが2枚のバネ板の一方の端を、角度を変える際に操作する指使いが安全でスムーズな動作ができるように、ハンドルに相当する半月板状押し板を挟み付け、一緒に貼り合わせ、二股形状を形成せしめ、一方の端がバネ板の端部となる小型ピンセットとも言い表すことのできる二股形状をなしたバネ板製二股金具12である。
2枚のバネ板で二股形状を形成したことにより、挟持に伴う把持部2の開閉操作に必要な弾力性と両挟持部4の連動動作を可能にする連動用接続金具の役目を果たすことが可能となる。
また、該角度可変用二股金具の根元部13´に挟み込むように取り付けてある指使いにより、操作する押し板14部分は半月板形状でなくとも、指を傷付けることなく安全に操作ができる形状であるなら形状には囚われないものである。そして、この半月板の部分が操作する箇所となるので、角度可変用二股金具と一体化された状態を角度可変用操作板15と呼ぶこととする。
そして、この角度可変用操作板15の二股に分かれたバネ板製二股金具13の両先端部12をどこの場所に接続し、挟持部4の跳ね上げ動作に結び付けるか、その接続方法を変えたり新たな部品を追加したりすることにより、様々な挟持部4の角度可変機構を生み出すことが可能となる。
ピンセットを把持する際の指使いを、親指で片側の把持部の外側面を、中指で反対側の外側面を挟み付け、把持することとする。すると、人指し指は自然に把持した親指と中指とほぼ同位置か、やや前方に位置することとなるため、ピンセットの先端に近い位置に跳ね上げ操作の力点を配置せざるを得ない。
実施例1で用いた小型ピンセットでは、挟持部4から根元部5´までの寸法が長すぎ、もっと短くする必要がある。
そこで、小型ピンセット3の挟持に必要な長さと、さらに大型ピンセット1との接続に必要な長さを残し、この小型ピンセット3の先端部分を部分的に切断し、挟持部4として用い、この挟持部4の根元に、従来の小型ピンセット3の把持部の長さより短い寸法で根元幅に揃えた板厚の薄いステンレス製バネ板を2枚用意し、その一端をそれぞれの挟持部4の根元に溶接により固定し、片方の先端を一緒に貼り合わせ、二股形状に形成せしめ、バネ板製二股金具13を構築し、この貼り合わせ部分に円盤もしくは半月板形状等、操作時に指を傷付けることなく押し付け操作ができる押し板14を装着した。また、静止状態では挟持部4と把持部2とが常に直線状態を維持するのに必要なバネをトーションバネ11に変更する等、以上のような加工を施し組み上げた人指し指操作による挟持部の角度可変型ピンセットの完成斜視図を図2に示す。
その原因は挟持部4と把持部2との接続部である回転軸7を支点にし、作用点となる挟持部4の先端を大きく跳ね上げるには、支点となる回転軸7の取付位置に限りなく近づけた位置に力点となる角度可変用操作板15の押し板14を配置しなければ実現することは困難なためである。
同時にバネ板を、二股形状を形成した角度可変用操作板15は、把持部2に挟持圧が掛かっても挟持圧に追従した開閉動作を導く必要性があり、そのため、バネ板製二股金具13のバネ板の長さを極端に短くすることも不可能である。
以上のように、挟持部4の根元に直接、角度可変用操作板15を固定する機構では、挟持部4の先端を90°近くまで跳ね上げることはできず、実現するには新たな機構が必要であることがわかった。
挟持部4の跳ね上げ角度を大きくするには、把持部2との連結位置となる回転軸7から根元方向へ寄った直ぐ脇に力点を設ける必要がある。すなわち、挟持部4と把持部2との連結用回転軸7である支点と隣接するように力点を配置することにより、例えわずかな押し下げ距離であっても作用点となる挟持部4の先端を大きく跳ね上げる仕組みである。
ここでもバネ板製二股金具13は挟持部4に新たな力点を与え、角度可変作用を導く重要な働きを担う。そのため、予めいくつかの加工が必要となる。先ず、二股金具を形成するそれぞれのバネ板の先端部分には、外側、すなわち把持部2に向けて把持部2を貫通し、Eリング8による固定ができる長さの連結軸と、挟持部4と把持部2とを連結する回転軸7の根元方向へ寄った直ぐ脇に、今度は内側、すなわち挟持部4に向けて挟持部4を貫通しうる長さの突き出しピン17とを、それぞれ溶接等により固定する。さらに、挟持部4と把持部2とを連結するための回転軸7が配置されており、角度の可変操作にこの回転軸7が障害となるため、その部分に切り溝19を施す。そして両バネ板を貼り合わせ二股を形成する根元部には、操作用の半月板14を装着する。
以上の加工を施したバネ板製二股金具13が挟持部4の角度可変用操作板15となる。
次に挟持部4には、把持部2との連結用の回転軸7の取り付けと、根元方向へ隣接して長穴加工18を施し、さらに把持部2にはバネ板製二股金具13、及び挟持部4との接続を可能にする穴開け加工を施す。それぞれに加工を終えたパーツの組み立ては、挟持部4の角度可変用のバネ板製二股金具13を挟み付けるように内側に挟持部4、外側に把持部2を配置し、バネ板製二股金具13の先端部に固定した二股金具回転軸棒16を把持部2に設けた貫通穴を通し、Eリング8で固定する。
挟持部4と把持部2とを連結用回転軸7を介して同様に両部を接続する。この時、挟持部4の長穴に二股金具に固定した突き出しピン17が突き出ているか確認する。
このようにして組み上げた完成斜視図を図3に示す。
そして、挟持部4の角度可変用操作板15を操作することによって、挟持部4の角度が90°近辺までその先端が跳ね上がる動作を機構模式図である図4で改めてその詳細な説明を加える。
尚、図4はピンセットの中心線から片腕のみを見た側面図で、手前から挟持部4、角度可変用操作板15、把持部2の順に配置されている。
また、このバネ板製二股金具13のバネ板先端部12は、把持部2の先端と二股金具回転軸棒16により回転自在に接続され、バネ板製二股金具13、すなわち角度可変用操作板15として操作する際の支点Aとなる。
一方の端であるバネ板製二股金具根元部13´には、人指し指操作用の半月板状の押し板14を装着し、この押し板14を押し下げる力が角度可変時の力点Xとなる。
そして、バネ板製二股金具13の途中に挟持部4を突き抜ける長さで固定した突き出しピン17が作用点Cとなる。しかも、この突き出しピン17は挟持部4の回転軸7でもある支点Bの直ぐ脇に施された長穴18を突き抜けるように配置する。
このような配置により、挟持部4の角度を変えるための押し板14を押し下げる力Xは突き出しピン17に作用し、突き出しピン17は挟持部4の根元方向へ施した長穴18のC−D間を移動し、挟持部4を跳ね上げる原動力となる新たな力点となる。
その結果、支点である回転軸7と新たな力点となる突き出しピン17との距離を短くしたことにより、例え角度可変用操作板15を押し下げる移動距離が小さくても、作用点Yとなる挟持部4の先端を大きく跳ね上げることが可能となるテコの原理を応用した仕組みである。
その様子を図4の(a)(b)に示す。
(a)は通常のピンセットの如く、挟持部4と把持部2とは図示されていないが、ストッパー9とトーションバネ11により、両部は一直線状となり、回転軸7を中心に水平状態にある様子であり、(b)は角度可変用操作板15に装着した押し板14に押し下げる力Xを加え、押し板14の最上面と把持部2の上辺との高さが等しくなる状態まで押し下げた結果、挟持部4の先端が大きく跳ね上がる作用Yをもたらした様子である。
挟持部4を持ち上げる操作を中指、あるいは薬指で行うには、手にするピンセットの把持部2下面での操作となり、しかも引き上げ板14´を下から上方へ引き上げる方向に力を加えるしか方法がなく、同時にその力点も把持部2の根元近くになるのは、手のひらの構造上自然の姿である。
そのため、下方より上方へ引き上げる力で挟持部4を跳ね上げるには、挟持部4と把持部2との連結用の回転軸7をそのまま利用することができず、新たな機構が必要となる。
そこで、把持部2の外側面に寄り添うように先端部の底部を折り曲げた突き出し部分20´を挟持部4の底面にあてがい、根元部の上部も同一方向へ折り曲げ、把持部2の板厚の天面より挟持部4側に飛び出る長さで、把持部2の最上面に接する天面を持つコ字状の曲げ板(以下、コ字状持ち上げ板20という)を別途用意し、把持部2の側面に新たに持ち上げ板20専用の持ち上げ板回転軸21を取り付け、この持ち上げ板回転軸21を支点として、挟持部4の底面にあてがった、折り曲げた突き出し部分20´を持ち上げる機構である。
そして、コ字状持ち上げ板20の角度を変える動作を導くのが前項実施例2に記載したV字形状をなした機能上小型ピンセット3とも言えるバネ板製二股金具13であり、角度可変用操作板15でもある。
このバネ板製二股金具13の最先端部分は、持ち上げ板20の裏面に接し先端カム22の役目を担い、角度可変操作板15を上方に引き上げる操作により、接触しているカム部分が持ち上げ板20を下から上へ突き上げる力となり、その結果、この持ち上げ板20先端部の底部より挟持板4の底面にあてがっている突き出し部分20´が挟持部4をすくい上げる動作となり、上方に角度が変えられる仕組みである。
この持ち上げ板20の動作メカニズムについてピンセットの右側面のみの模式図を図5に示す。
なお、(a)は水平状態で物体を挟持した状態、(b)は角度可変用操作板15を引き上げると挟持部4が跳ね上がる連動メカニズムの説明図、(c)は挟持部4が完全に跳ね上がった状態図である。
また、試作した完成斜視図を図6に示す。
先の実施例3と本実施例4により人指し指によるピンセットの上から押し下げる操作、そして中指あるいは薬指による下から引き上げる操作のどちらの方法によっても大きく挟持部4の角度を変えることのできるピンセットを完成させることができた。
さて、指使いの異なる2種類の使い方のできる、被挟持物を掴む前でも掴んだ状態であっても、いつでも挟持部4の角度を自由に変えることができる便利なピンセットとなったものの、これらの試作を続ける最中に挟持部4と把持部2のそれぞれの動きを観察していると、興味深い点が観察された。
二股形状の把持部2の先端の内側に両挟持部4を配置して接続し、挟持圧を加えると当然のことながら、両挟持部4の先端同士が接近し、やがて被挟持物がない場合は挟持面同士が接面する。その時、把持部2には未だ挟持圧を加えられる余裕があることが観察できた。すなわち、両挟持面が合わさっても、把持部2の内壁同士は接面せず、隙間が充分確保されていることが判った。しかもさらに挟持圧を加えられる動作圧力が得られることに気が付いた。
そこで、被挟持物がネジや抵抗器など、強い挟持圧を加えても破損や変形が発生しない物体に限り、また、掴む前の挟持部4の角度可変を必要とせず、掴んだ状態で初めて挟持部4を跳ね上げられるなら、それだけで充分に役立つ場合がある。
このような限られた条件下であるなら、何も新たな指使いを必要とせず、通常の把持部2を掴む指使いだけで挟持部4を跳ね上げることが可能だと思うに至った。
その構造は、請求項1においては、人指し指で小型ピンセット3とも言える2枚のバネ板を貼り合わせたバネ板製二股金具13の操作部分に円盤、あるいは半月板を設け、上方から下方に押し下げる力を加える部位、請求項2においては、中指、あるいは薬指で下方から上方へ引き上げる力を加える部位、この両部位に円盤、あるいは半月板に代わって、三角柱23を装着する。押し下げる力を加える場合は、三角柱23の頂点が真上を向く方向に、引き上げる力を加える場合は逆さにし、頂点が下方を向く方向に装着する。さらに、両把持部内壁より該三角柱23に向け、押しピン24を装着する。その取り付け位置は三角柱ブロックの底辺から少し頂点に近づく位置に、すなわち挟持圧を加えた時に押しピン24の先端が三角柱23の斜面の底面に近い位置に取り付ける。基本構造は以上の如くである。
より判り易くするため、模式図である図7を用いて説明する。
図7の(a)は挟持部4を跳ね上げるために前記三角柱23が下向きに押し下げる方向に動作する模式図、(b)は反対に引き上げる方向に動作する模式図である。
なお、図中の真ん中に位置する三角形が角度可変用操作を担うように装着された三角柱23であり、両脇の縦長の長方形は把持部2の断面を表す。そして図7はピンセットの根元部5から挟持部4方向に向かった断面図である。
操作は、弱い挟持圧で把持部2に力を加え被挟持物を掴み、掴んだ後にさらに挟持圧を加えることによって、角度可変用操作を担うための末端部に装着した三角柱23の傾斜面に押しピン24を介して力を加えることにより、三角柱23の上下移動を促し、挟持部4を跳ね上げる仕組みである。
この基本構造を元に、請求項1に記載した人指し指の操作によって挟持部4を跳ね上げる方法を人指し指を使わずに動作する図7(a)に示した構造に準じて試作した完成図を図8に示す。
なお、三角柱23の斜面を階段段丘形状にすると、挟持部4の角度がノッチ式に変化し、角度の維持が容易となる。また、押しピン24の先端には滑り易くするためのボールを埋め込み、さらに押しピン24の押し出し長さを可変できるネジ込み方式による固定方法にすると、被挟持物の大きさによって掴む両把持部間の距離の違いからくる、三角柱23の傾斜面に押しピン24のピン先が接するまでのタイミングの変化、すなわち挟持する操作と、挟持した後の角度可変操作に移行するタイミング調整がピンのネジ込み長さを調整することにより可能となる。
また、三角柱23の頂点となる頂上を形成する稜線の部分に、さらに上方へ半月板形状等の押し板を立ち上げるなら、三角柱自体を押し板として直接操作することも可能となる。
以上に示したような部分的な改良も考えられる。
さて、挟持部4の角度を変える方法を新たな指使いによる操作、あるいは把持部2に新たに挟持圧を加えるだけの自動操作などにより挟持部4の角度を変えることは解決されたが、そもそも本発明に取り組むキッカケとなったネジ径1.4mm、長さ2mmの微細ネジの挟持テストを試作品により実施したところ、いずれの試作ピンセットにおいても、折角挟持部4の角度が変えられるようになったとは言え、ネジは挟持面から弾き飛ばされてしまい、これは挟持面の仕上げ状態そのものに原因あることが判った。
そこで、さらに挟持面の滑りを悪くする方法として、粘着ゴムシートを挟持面の形状に切り落とし、片側の挟持面だけに貼り付け、微細ネジの挟持テストを実施したところ、その効果は著しく、殆んど弾き現象は発生せず挟持できた。
続いて、もう片方の挟持面にも粘着シートを貼り付けてテストを行ったところ、ネジの挟持は完璧な挟持ができ、弾き現象も皆無ではあったが、ネジ径が小さなため、ゴムの中にめり込んでしまい、粘着ゴム25面同士が強固に貼り付いてしまった。そのため挟持圧を開放しても、それぞれの挟持面が分離するまでに時間がかかってしまい、同時にネジをネジ穴に固定する際に、挟持圧を開放してもどちらかの挟持面にネジが貼り付いたままとなったり、ゴムを引きちぎる等の弊害が見られ、満足する結果を得ることができなかった。
しかし、粘着ゴム25を挟持面に固着させることで弾き現象を無くすことができたことは大きな収穫であった。
そこで次に実施したのは、請求項5に記載した通りの挟持面に粘着ゴム25及び粘着ゴム25から被挟持物を解離するための解離板26を装着した挟持部の角度可変型ピンセットである。
この解離板26は次のようなものである。
解離板26は、細長い形状のバネ材でできている薄い平板と、このバネ板の中心線上に、挟持に必要な長さに相当する寸法である小片を直角に立ち上げた形状をしたものである。真正面から見るとT字状をなし、直角に立ち上がっている小片板の板厚の端面を解離面26´と称し、T字状を形成した全体を解離板26と呼ぶ。
挟持部4には板幅の中心線上に、予め先端から根元方向へ細長い直線状に切り込み溝27を施し、この切り込み溝27に解離板26の解離面26´が突き出るように配置し、解離板26のバネ材でできた本体とも言うべき平板の根元部を挟持部4の根元側面にネジ止めや溶接等の方法により固定する。
すると、挟持面に挟持物がない場合には、解離板26の解離面26´は常に挟持面より突き出ているものの、把持部2に挟持圧を加え、被挟持物を掴むと解離面26´は挟持面より突き出していた部分が挟持面と同じ面まで引っ込み、解離板26が固定されている根元部を支点として平板状のバネ板が挟持部4外側面より外側に弓なり状に反り返る。そして、挟持圧を開放すると、解離面26´はバネ板のバネ圧により再び挟持面より突き出る。
このように解離板26は、挟持圧と連動し、挟持圧がかからない場合は、常に挟持面より突き出た状態となり、挟持物を掴むと挟持面まで引っ込む動作を自然に繰り返すためのものである。
このようにして完成した粘着ゴム25及び解離板26付き挟持部4を請求項2に記載したピンセットに組み上げて完成した試作品の完成図及び拡大部分図を図9に示す。
ゴムの固着面の寸法は、挟持部4の先端から3.7mmまでで、その幅は挟持部4の幅寸法の3mmである。但し、切り込み溝27の空間部は除いて固着させた。ゴムは導電性の粘着性ウレタンゴムを0.2mm厚で塗布し、熱硬化させ挟持面に固着させた。
この試作した挟持面に粘着ゴム25と解離板26とを設けたピンセットを用いて、ネジ径1.4mmの微細ネジの挟持テストを実施したところ、弾き現象も起こらず、ネジの捕獲も解離も、挟持部4の角度可変操作も全ての動作が円滑にでき、ようやく満足する結果が得られた。
本ピンセットにおいて、最大の発塵源は角度可変時の挟持部4と把持部2との連結箇所でもある回転摺動部にある。
その連結方法は、前記実施例に示したように、両部の板厚が重なり合う領域をそれぞれに確保し、一方に軸棒(回転軸)を溶接等により固定し、一方に軸棒の直径よりやや大きめの穴開けを施し、軸棒を穴に通し、突き出た部分を固定する方法等があるが、他にも様々な連結する方法は考えられる。
しかしながら、挟持部4の角度を変えるには、可変機構のどこかに必ず摺動機能を設ける必要があり、そこでは摩擦が起こり、この摩擦による発塵を避けることはできない。
なお、シールド型ベアリング28とは、玉軸となるボール29を内輪30と外輪31との回転摩擦面間に配置し、回転摩擦によるボール29の接触部からの発塵をベアリングの両面からシールド板32により封止し、外部への飛散を防止する構造のベアリングである。
ここで、このシールド型ベアリング28の装着方法について具体例を用いて説明する。
挟持部4を把持部2のどちら側に装着しても良いが、挟持部4の方が加工がし易いと思われたので、挟持部4に装着することとした。
先ず、挟持部4の把持部2との接面側となる面上の連結位置にベアリングの内輪30を形成するドーナツ状端面の外径より若干大きめの穴を開け、この貫通穴を中心点としてベアリングの外輪31径と同一寸法の穴を貫通させずに、少しの肉厚を残し掘り込み加工を施す。
そして、この掘り込み穴にシールド型ベアリング28をかち込み、挟持部4に固定する。
一方、把持部2の挟持部4との連結位置には、シールド型ベアリング28の内径に差し込む連結軸33の外径より、若干大きめの貫通穴を設ける。
そして挟持部4と把持部2とを連結用の連結軸33は画鋲の如く、平らな円形状の頭部を有し、この頭部の円形の外形寸法をシールド型ベアリング28の内輪30を形成するドーナツ状端面の外形寸法と同一か、やや小さめの寸法とし、一方の端は、ナットで把持部2の外側から固定するためのネジ加工を施す。
さらに、挟持部4と把持部2との間に隙間を確保するための長さの短いパイプ34を用意する。このパイプ34の内径は連結軸33部分の外径よりやや大きめであり、外径はベアリングの内輪30を形成するドーナツ状端面の外形寸法と同一か、やや小さめの径とし、ベアリングの外輪31が回転する際に妨げとならぬようにする。
以上のようなパーツを用いて、挟持部4と把持部2とを連結した様子を図10に示す。
なお、図10はピンセットを上から見て右側のアーム部の断面構造を図示したものである。
このように、挟持部4と把持部2とをシールド型ベアリング28を介して連結することにより、連結軸33はベアリング内輪30と把持部2とを連結するための回転を伴わない単なる連結軸33であり、しかもベアリング内輪30と把持部2内壁との間の隙間を確保するためのパイプ34の働きにより、把持部2にとっては挟持部4の角度可変による摺動部分がなくなり、挟持部4と把持部2との間での発塵を無くすことができる。
一方、挟持部4にとっては、ベアリングの内輪30と外輪31との間に配置されている幾個ものボール29を中心に発塵はあるものの、シールド板32の働きにより、ベアリング内に封じ込め外部への飛散を防止できる。
なお、シールド型ベアリング28の装着をこのように挟持部4側に装着すると、装着したベアリングの直径が挟持部4と把持部2との接続する連結軸33の径より大きな面積を占めるため、請求項3に示したバネ板製二股金具13に設けた突き出しピン17の位置、すなわち挟持部4の先端から根元部に至る中心線上の連結軸33の中心点に隣接する位置にすることができず、離れた位置にせざるを得ない。これでは挟持部4の角度を大きく変えることができない。
そこで、この場合は把持部2側にベアリングを装着するか、バネ板製二股金具13の突き出しピン17の位置を挟持部4の上辺に接するように配置することにより解決することができる。
静電気は、その物質が導電体であろうと絶縁体であろうと、物質同士の接触・摩擦・剥離(解離)、圧縮などにより、どこでも容易に発生し、電気的破壊や帯電した電荷が同一であれば、一方を近づけただけで反発し合い微細部品などを飛散させてしまうなどの影響を及ぼす。
特に前記の如く、粘着ゴムを固着させた挟持部4にすると、例え粘着ゴムに導電性を付与したとしても、粘着ゴム面から被挟持物を解離させる際に、両接触面では剥離帯電し、粘着ゴムがない場合に比べ、はるかに大きな電圧の帯電をきたす。
さらに、作業者の動作に伴う主に着衣の衣擦れにより、発生した静電気は金属製ピンセットの場合、直接被挟持物に対して計り知れぬ大きな影響を及ぼす。
いざ掴もうとする挟持物の先に挟持部4の先端を近づけただけで、挟持物が弾き飛ばされることは乾燥した環境下では良く発生する。
そこで、これらの静電気による影響を軽減させる方法を実施した。
試作品のスケッチを図11に示す。
2・・・・把持部
3・・・・小型ピンセット
4・・・・挟持部
5・・・・大型ピンセットの根元部
5´・・・・小型ピンセットの根元部
6・・・・貫通穴
7・・・・回転軸
8・・・・Eリング
9・・・・ストッパー
10・・・・引きバネ
11・・・・トーションバネ
12・・・・バネ板先端部
13・・・・バネ板製二股金具
13´・・・・バネ板製二股金具根元部
14・・・・(半月板状)押し板
14´・・・・(半月板状)引き上げ板
15・・・・角度可変用操作板
16・・・・二股金具回転軸棒
17・・・・突き出しピン
18・・・・長穴
19・・・・切り溝
20・・・・コ字状持ち上げ板
20´・・・・持ち上げ板の底部突き出し部分
21・・・・持ち上げ板回転軸
22・・・・バネ板先端カム
23・・・・三角柱
24・・・・押しピン
25・・・・粘着ゴム
26・・・・解離板
26´・・・・解離面
27・・・・切り込み溝
28・・・・シールド型ベアリング
29・・・・ボール
30・・・・内輪
31・・・・外輪
32・・・・シールド板
33・・・・連結軸
34・・・・パイプ
35・・・・絶縁性ゴム被覆
36・・・・アース線接続端子
37・・・・アース線
Claims (7)
- 挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、且つトーションバネとストッパーにより、挟持部と把持部とのおりなす角度を通常は直線状態をなすピンセットにあって、挟持部と把持部とのおりなす角度を通常の直線状態から挟持部の角度を変えるための手段として2枚のバネ板の一方の端部をそれぞれ貼り合わせたり、1枚のバネ板を折り曲げることにより、略V字状、あるいは略U字状をなした弾性機能を備えたバネ板製二股金具と、該バネ板製二股金具の根元に半月形状の押し板を取り付け、挟持部の角度可変動作を導く角度可変用操作板を設け、物体を掴む前でも掴んだ状態であっても、人指し指の操作で押し板を押し下げることにより挟持部の角度をいつでも自由に変えることができることを特徴とする挟持部の角度可変型ピンセット。
- 挟持部であるバネ板製二股金具の両バネ板先端部を分離し、テコの原理に従い、支点と力点間の距離を短くすることにより、作用点となる挟持部の先端が大きく跳ね上がるようにしたもので、バネ板製二股金具の両バネ板先端部を把持部の先端近くで、バネ板製二股金具の根元部に対して回転自在に連結せしめ、挟持部と把持部との両部を連結する回転軸の直ぐ脇に突き出しピンを新たに前記バネ板製二股金具に取り付け、しかも挟持部に設けた長穴に突き出るように配置することにより、この突き出しピンが挟持部の角度を変えるための新たな力点となる結果、挟持部の回転軸である支点と突き出しピンである力点との距離が短くなり、挟持部の角度を大きく変えることが可能となった請求項1に記載の挟持部の角度可変型ピンセット。
- 挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、且つ無負荷時にあっては両部のおりなす角度を常に水平維持が可能としたピンセットにあって、挟持部と把持部が回転自在となる把持部との連結部には何ら加工せずそのままの状態とし、把持部の外側面へ新たに用意した挟持部の下面に突き出る折り曲げ部と把持部天面を覆うように密着面を有する略コ字状に折り曲げ加工した持ち上げ板と、根元に下方に円弧を持つ半月板を取り付けたバネ板製二股金具のバネ板両端部を回転自在に連結せしめ、同時にこのバネ板の先端を把持部天面に飛び出るように接面している持ち上げ板を下から上へ突き上げるカムとして働ける形状に加工した角度可変用操作板とすることにより、中指、あるいは薬指による角度可変用操作板を下方から上方へと引き上げる動作によって、先端のカム部が持ち上げ板の回転軸に近い裏面を上方に突き上げ、その結果持ち上げ板の先端に位置し、挟持部の底面にあてがうように突き出した折り曲げ部分が挟持部底面をすくい上げるように上方に角度が変えられることを特徴とする挟持部の角度可変型ピンセット。
- 挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、把持部に物体を掴むために必要な挟持圧をもって被挟持物を掴む挟持部を有し、その後さらに把持部に強い挟持圧を加えることにより挟持部の角度を変えることができるピンセットであり、バネ板製二股金具の根元部分のみを三角柱を横倒しにしたブロック内に囲い込み、一方両把持部の内壁より、押しピンを三角柱の底辺に近い傾斜面の両面に突き出して対峙させるように固定し、把持部に挟持圧を加えると両ピン先間の距離が縮まり、この時挟持部では被挟持物を掴む動作となり、さらに強い挟持圧を加えると、両ピン先は三角柱のそれぞれの傾斜面に突き当たり、傾斜面を押し付け斜面に沿って三角柱自体が三角柱の頂上である稜線に向って移動することによって、角度可変用操作板であるバネ板製二股金具を動かし、その結果挟持部の先端が跳ね上がる仕組みを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の挟持部の角度可変型ピンセット。
- 挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部が把持部に対して回転自在に連結せしめ、挟持部の先端部に一対の切り溝を施した挟持面を有する角度可変型ピンセットにおいて、一対の挟持部に挟持面を有し、該挟持面の中央に切り込み溝を形成し、前記挟持部に設けた挟持面で物体を挟持すると、物体に押されて挟持面まで引き込まれ、挟持力を抜くと、挟持面より突き出る弾性機能を有する平板の板厚に相当する端面が解離面となる解離板を挟持部に設け、前記一対の挟持部の挟持面の先端部の中心に、前記解離板の解離面が突き出るように装備した解離板付き挟持部を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の挟持部の角度可変型ピンセット。
- 挟持部と把持部とを分離形成し、挟持部と把持部との連結部にシールド型ベアリングの装着とパイプ等のスペーサーを挟み込むことによって、物理的に接触を回避する隙間を確保することにより、挟持部の角度可変時に伴う摺動摩擦による発塵をベアリング内部に封じ込め、飛散を防止することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の挟持部の角度可変型ピンセット。
- ピンセットの把持部や角度可変時の指が触れる操作板部分など、操作時に直接手が触れる表面を絶縁性の高いゴムで被覆するなど、絶縁体で形成し、作業者自身から発生する静電気による帯電圧がピンセットへ通電されることを遮断し、一方挟持部で発生した静電気はアース線を通じて常時アースされる構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の挟持部の角度可変型ピンセット。
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