以下では、本発明に係るエンジンの実施の一形態であるディーゼルエンジン(以下、「エンジン」と記載する。)100の構成について、図1から図7を参照して説明する。なお、以下では、クランク軸3(図3および図4参照)の軸線方向を前後方向と規定するとともに、フライホイールハウジング7が配置される側を前方、冷却ファン6が配置される側を後方と規定して、これらの方向に基づいて説明を行う。
エンジン100は汎用のディーゼルエンジンであって、例えば農業・建設用の車両、船舶、あるいは発電機、揚水ポンプ等の作業機(以下、「作業機」と記載する。)に搭載されるものである。エンジン100は作業機が作動するのに必要な駆動力を発生する。本実施形態のエンジン100は、エンジン100本体、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)、ハーネス(ワイヤハーネス300等)、中継コネクタ盤400、およびECU600を具備する。
エンジン100の中央部にはシリンダブロック1が位置し、シリンダブロック1の上側にはシリンダヘッド2が載置されるとともに固定される。シリンダヘッド2の左側面には吸気マニホールド30が配置され、シリンダヘッド2の右側面には排気マニホールド40が配置される。
シリンダブロック1にはクランク軸3およびピストンが内装され、シリンダブロック1の前後両端面からクランク軸3の先端部(前端部および後端部)が突出している。クランク軸3の後端部にはクランク軸3と一体的に回転するクランクギヤが固設され、このクランクギヤはシリンダブロック1の後端面に固設されるギヤケース4(図3および図4参照)に内装される。
ギヤケース4内にはクランクギヤと噛合するカムギヤが内装される。カムギヤはカム軸の後端部に固設され、カム軸と一体的に回転する。ギヤケース4には、カム軸の回転数を検知するためのカム軸回転センサ5(図3参照)が具備される。カム軸回転センサ5はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係るカム軸回転センサの実施の一形態である。
エンジン100は、シリンダブロック1の排気マニホールド40側の側面(右側面)に具備されたセルモータ25(図4参照)を作動することにより始動する。始動したエンジン100は、クランク軸3が回転することによりエンジン100の各気筒内の空気を圧縮し、所定のタイミングで後述のインジェクタ81・81・・・から各気筒内に燃料を噴射して、各気筒内で燃料を燃焼することにより、駆動力を発生させる。
シリンダブロック1の後側(より厳密にはギヤケース4の後側)には、冷却ファン6が配置される。冷却ファン6には、クランク軸3の後端側からVベルトを介してクランク軸3の駆動力が伝達される。
シリンダブロック1の前側には、フライホイールハウジング7が固設される。フライホイールハウジング7にはフライホイールが内装される。フライホイールはクランク軸3の前端部に固設されて、クランク軸3と一体的に回転する。エンジン100を搭載する作業機の作動部には、フライホイールを介してエンジン100で発生した駆動力が取り出される。
フライホイールハウジング7には、クランク軸3の回転数を検知するための(換言すればエンジン回転数を検知するための)クランク軸回転センサ8(図3参照)が具備される。クランク軸回転センサ8はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係るクランク軸回転センサの実施の一形態である。
図3および図4に示すように、シリンダブロック1の下側には、間座9を介してオイルパン10が固定される。シリンダブロック1の側面およびフライホイールハウジング7の側面には、機関脚取付部11・11・・・が設けられる。機関脚取付部11・11・・・は、シリンダブロック1の左側面と、シリンダブロック1の右側面と、フライホイールハウジング7の左側面と、フライホイールハウジング7の右側面と、の四箇所に設けられ、これらの機関脚取付部11・11・・・は上下方向における位置(高さ)が略一定となるように設定される。
各機関脚取付部11には機関脚体がボルトにより取り付けられる。エンジン100は、機関脚体を介して、作業機のエンジン支持シャーシ990(図3および4参照)に安定的に支持される。なお、シリンダブロック1の側面のうち機関脚取付部11・11が配置される位置と略同じ高さに相当する部分は、側方からボルトをねじ込むことができる程度の肉厚を有するように成形される。
図1および図2に示すように、吸気マニホールド30の入口側は、後述するEGR装置50(排気ガス再循環装置)のコレクタ51、インタークーラー、ターボ過給機60のコンプレッサを介してエアクリーナに連結される。エアクリーナに吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナにて除塵・浄化された後、ターボ過給機60のコンプレッサで圧縮され、インタークーラーで冷却された後コレクタ51を介して吸気マニホールド30に送られて、エンジン100の各気筒に供給される。
EGR装置50は、エンジン100の再循環ガス(排気マニホールド40からのEGRガス)と新気(エアクリーナからの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド30に供給する中継管路としてのコレクタ51と、エアクリーナにコレクタ51を連通させる吸気スロットル部材52と、排気マニホールド40に接続される還流管路としての再循環排気ガス管53と、再循環排気ガス管53にコレクタ51を連通させるEGRバルブ部材54と、を有する。
吸気スロットル部材52は、その内部にある吸気スロットルの開度を調整することにより、コレクタ51(吸気マニホールド30)への新気の供給量を適宜に調整するものである。吸気スロットル部材52には吸気スロットルの開度を調整するためのスロットルアクチュエータ55が具備される。スロットルアクチュエータ55はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係るスロットルアクチュエータの実施の一形態である。
EGRバルブ部材54は、その内部にあるEGRバルブの開度を調整することにより、コレクタ51(吸気マニホールド30)への排気ガス(排気マニホールド40から排出される排気ガスの一部)の供給量を適宜に調整するものである。EGRバルブ部材54にはEGRバルブの開度を調整するためのバルブアクチュエータ56(図3参照)が具備される。バルブアクチュエータ56はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係るバルブアクチュエータの実施の一形態である。コレクタ51内には新気が供給されるとともに、排気マニホールド40からEGRバルブ部材54を介してEGRガスが供給される。
図1および図2に示すように、排気マニホールド40の上方には、ターボ過給機60が配置される。ターボ過給機60は、タービンホイールを内装したタービンケース61と、ブロアホイールを内装したコンプレッサケース62と、を有する。図4に示すように、タービンケース61の排気ガス取入れ側には、排気マニホールド40の出口側が接続される。タービンケース61の排気ガス排出側に備えられる排気ガス排出管64には、排気浄化装置(Diesel Particulate Filter)70の入口側が接続される。エンジン100の各気筒から排気マニホールド40に排出された排出ガスは、ターボ過給機60および排気浄化装置70等を経由して、テールパイプ71(図3および図4参照)から外部に排出される。
コンプレッサケース62の吸気取入れ側には、エアクリーナの吸気排出側が接続される。コンプレッサケース62の吸気排出側には、過給管66(図1および図2参照)を介して吸気スロットル部材52の吸気取入れ側が接続される。エアクリーナにて除塵・浄化された新気は、コンプレッサケース62から吸気スロットル部材52、コレクタ51およびインタークーラーを介して吸気マニホールド30に送られ、エンジン100の各気筒に供給される。
図1および図2に示すように、排気浄化装置70は、排気ガス中の粒子状物質(Particulate Matter)を捕集するためのものであり、左右方向に延びた略円柱形状の装置である。排気浄化装置70は、フライホイールハウジング7の上方に取付ステー72(図3および図4参照)を介して固定される。排気浄化装置70の排気ガス取入れ側は、タービンケース61の排気ガス排出管64に接続される。排気浄化装置70の排気ガス排出側はテールパイプ71に接続される。
排気浄化装置70は、耐熱金属材料製のケーシングに内装された略筒形状の内側ケースに、白金等のディーゼル酸化触媒と、ハニカム構造のスートフィルタと、を直列に並べて収容した構造を有する。
ケーシングには、排気浄化装置70内におけるスートフィルタを挟んだ上流側および下流側間の圧力差を検出するための入口側感知体73および出口側感知体74が具備される。換言すれば、入口側感知体73および出口側感知体74は排気浄化装置70内におけるスートフィルタ(フィルタ)前後の差圧を検知するセンサである。入口側感知体73および出口側感知体74は、それぞれハーネス75およびハーネス76を介して差圧検知本体77に接続される。入口側感知体73、出口側感知体74、および差圧検知本体77を合わせたものは、差圧センサ78を成す。差圧センサ78はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係る差圧センサの実施の一形態である。差圧センサ78にて検出された圧力差に基づいてスートフィルタにおける粒子状物質の堆積量を換算し、スートフィルタの詰まり状態を把握することが可能である。
さらに、本実施形態の排気浄化装置70(ケーシング)の排気ガス排出側寄りの部位には、排気温度センサ79が具備される。排気温度センサ79は、排気浄化装置70内の排気ガスの温度を検知するものである。排気温度センサ79はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係る排気温度センサの実施の一形態である。
以下では、エンジン100に具備されるコモンレールシステム80について説明する。インジェクタ81・81・・・は、エンジン100の各気筒に燃料を噴射する装置であり、各気筒の上部に配置される(図2参照)。図6に示すように、四気筒分のインジェクタ81・81・・・は、コモンレール84とサプライポンプ90とを介して燃料タンク95に接続される。各インジェクタ81は燃料噴射バルブ82を有し、この燃料噴射バルブ82は噴射アクチュエータ83(図2参照)により作動する。噴射アクチュエータ83・83・・・はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係る噴射アクチュエータの実施の一形態である。
コモンレールシステム80は、高圧燃料を蓄圧するためのコモンレール(蓄圧室)84を有する。コモンレール84は円筒形状に形成された部材であり、コモンレール84内の圧力(レール圧)を検知するためのレール圧センサ85(図6参照)を具備する。レール圧センサ85はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係るレール圧センサの実施の一形態である。
図3および図6に示すように、サプライポンプ90の吸入側には、燃料フィルタ96および低圧管97を介して燃料タンク95が接続される。燃料タンク95内の燃料は、燃料フィルタ96および低圧管97を介してサプライポンプ90に吸い込まれる。サプライポンプ90の吐出側には、高圧管91を介してコモンレール84が接続される。コモンレール84には、四本の燃料噴射管86・86・・・を介して四気筒分のインジェクタ81・81・・・が接続される。
サプライポンプ90は、燃料タンク95内の燃料がコモンレール84に圧送されるときの燃料の圧力を調整する。燃料タンク95から供給された高圧の燃料はコモンレール84に蓄えられる。噴射アクチュエータ83・83・・・により燃料噴射バルブ82・82・・・の開閉時間を調整することによって、コモンレール84に蓄えられた高圧の燃料がインジェクタ81・81・・・からエンジン100の各気筒に噴射される。噴射アクチュエータ83・83・・・を適宜に制御することにより、インジェクタ81・81・・・から各気筒に噴射される燃料の噴射量ならびに噴射時期を調整することが可能である。
シリンダヘッド2の左側面には、エンジン100の各気筒に向かう吸気ポートを開口させるとともに、この吸気ポートに新気およびEGRガスの混合ガスを分配するための吸気マニホールド30が取り付けられる。吸気マニホールド30は、前後方向を長手とする箱形状の部材であり、吸気ポート群を介して各気筒と連通した状態でシリンダヘッド2に固定される。吸気マニホールド30の左側面後部はコレクタ51と連通している。図3に示すように、コモンレール84は吸気マニホールド30の長手方向(前後方向)に沿って延びた姿勢で、吸気マニホールド30から下方に向かって吊り下げた状態で固定される。
コレクタ51の上方には、EGRバルブ部材54が吸気マニホールド30の長手方向(前後方向)に沿って延びた姿勢で配置される。EGRバルブ部材54における下向きに開口したEGR排出側開口部がコレクタ51に固定されて、EGRバルブ部材54とコレクタ51とが連通している。
図2に示すように、シリンダヘッド2の上面のうち吸気マニホールド30寄りの部位からは、四気筒分のインジェクタ81・81・・・の上部が所定間隔を置いて前後方向に並んだ状態で上向きに突出している。図1に示すように、シリンダヘッド2の上面のうち吸気マニホールド30寄りの部位には左側ヘッドカバー35が取り付けられて、インジェクタ81・81・・・を上方から被覆している。シリンダヘッド2の上面のうち排気マニホールド40寄りの部位には右側ヘッドカバー45が取り付けられる。
図1および図2に示すように、再循環排気ガス管53とEGRバルブ部材54とは、中継継手57を介して接続される。中継継手57は略S字形状に湾曲した筒状の部材であり、その中途部にはEGRガス温度センサ58が具備される。EGRガス温度センサ58は、中間継手57に流入したEGRガスの温度を検知するものである。EGRガス温度センサ58はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つである。
図3に示すように、コレクタ51の吸気スロットル部材52寄りの部位には、新気の温度を検知する新気温度センサ31が具備される。新気温度センサ31はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つである。
再循環排気ガス管53からコレクタ51に供給されたEGRガスと、吸気スロットル部材52からコレクタ51に供給された新気とは、コレクタ51内において混合される。このようにしてコレクタ51において生成された混合ガスが、吸気マニホールド30に供給される。コレクタ51の給気マニホールド30寄りの部位には、混合ガスの温度を検知するための混合ガス温度センサ32が具備される。混合ガス温度センサ32はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つである。
EGRガス温度センサ58、新気温度センサ31、および混合ガス温度センサ32を合わせたものは、EGRセンサ59を成す。EGRセンサ59は本発明に係るEGRセンサの実施の一形態である。EGRセンサ59は、混合ガスにおけるEGR率を検知するものである。換言すれば、吸気マニホールド30に供給される新気と排気ガスとの混合ガスのうち排気ガスが占める割合を検知するものである。
図3に示すように、サプライポンプ90は、シリンダブロック1の吸気マニホールド30側の側面(左側面)に固定される。より詳細には、サプライポンプ90は吸気マニホールド30の下方であり、かつ冷却ファン6側寄り(後側)となる位置に取り付けられる。燃料タンク95内の燃料はフィードポンプ(不図示)からサプライポンプ90に送られる。サプライポンプ90は、燃料の吸い込み量を調整するための調量弁と、調量弁を経由した燃料を加圧してコモンレール84に圧送するためのプランジャとを有する。
調量弁には、開度を調整するための調量アクチュエータ98が具備される。調量アクチュエータ98を作動させることにより、コモンレール84に圧送する燃料の量を調整することが可能であり、ひいては燃料の圧力を調整することが可能である。調量アクチュエータ98はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つであり、本発明に係る調量アクチュエータの実施の一形態である。
クランク軸3の回転駆動にともなってサプライポンプ90が作動して、燃料タンク95内の燃料がフィードポンプおよび燃料フィルタ96を介してサプライポンプ90に吸い込まれる。クランク軸3の駆動力(回転力)は、クランクギヤ、カムギヤ、およびカム軸を介してサプライポンプ90のプランジャの往復運動に変換され、プランジャの往復運動により燃料が加圧されてコモンレール84に圧送される。
図1から図3に示すように、シリンダヘッド2の後端面において冷却ファン6と対向する位置には、ウォーターポンプ20が固設される。冷却水は、ウォーターポンプ20の駆動によりシリンダブロック1およびシリンダヘッド2に形成されたウォータージャケットに送り込まれ、エンジン100の内部を循環する。このように構成することにより、エンジン100と冷却水との間における熱交換を図り、エンジン100の温度上昇が抑制されている。ウォーターポンプ20には、エンジン100の内部を循環する冷却水の温度を検知するための冷却水温センサ21が具備される。冷却水温センサ21はエンジン100本体に取り付けられた電装製品の一つである。
「エンジン100本体に取り付けられた電装製品」のうち、カム軸回転センサ5、クランク軸回転センサ8、差圧センサ78(入口側感知体73、出口側感知体74、および差圧検知本体77を合わせたもの)、排気温度センサ79、レール圧センサ85、EGRセンサ59(EGRガス温度センサ58、新気温度センサ31、および混合ガス温度センサ32を合わせたもの)、および冷却水温センサ21は、「各種センサ」に相当する。「エンジン100本体に取り付けられた電装製品」のうち、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、噴射アクチュエータ83・83・・・および調量アクチュエータ98は、「各種アクチュエータ」に相当する。
なお、本実施形態のエンジン100本体は、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、噴射アクチュエータ83・83・・・、調量アクチュエータ98、カム軸回転センサ5、クランク軸回転センサ8、差圧センサ78、排気温度センサ79、レール圧センサ85、EGRセンサ59、および冷却水温センサ21を電装製品として具備するものとしたが、本発明に係るエンジンはこれに限定されない。例えば、これらの電装製品に加えて、潤滑油の油圧が一定値未満に保たれていることを確認するための油圧スイッチ、ターボ過給機内のブースト圧を検知するためのブースト圧センサ等を、エンジン本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)として具備する構成としてもよい。
以下では、ECU600と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品ならびに作業機に取り付けられた電装製品と、の接続構造について、図1から図4、および図7を参照して説明する。
エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)は、ワイヤハーネス300および中継コネクタ盤400等を経由してECU600に接続される。ECU600は、エンジン100の作動状態を制御するものであり、本発明に係る制御装置の実施の一形態である。中継コネクタ盤400は、エンジン100に取り付けられたコネクタであり、本発明に係る中継コネクタ盤の実施の一形態である。
ECU600は、CPUおよび記憶装置(ROM・RAM等)等を備え、記憶装置には制御プログラムならびにマップ等が格納されている。ECU600には、エンジン100本体に取り付けた各種センサにより検知した検知信号を入力することが可能である。また、ECU600においては、入力された検知信号、制御プログラム、ならびにマップ等に基づいて作成した指令信号をエンジン100に取り付けられた各種アクチュエータに出力することが可能である。このように構成することにより、エンジン100は、エンジン回転数(クランク軸3の回転数)、EGR率、およびエンジン100本体の温度(冷却水の温度)等の様々な要素に基づいて、個々の状況に適合した燃料の噴射量、噴射時期ならびに噴射圧を算出し、これを実現できるように、ECU600によって制御されている。
ECU600は後述のワイヤハーネス590等を介して中継コネクタ盤400に接続される。さらに、ECU600はワイヤハーネス910・920・930・940等を介して「作業機に取り付けられた電装製品」に接続される。
本明細書中における「ワイヤハーネス」は、複数のハーネス(配線)の軸線方向を略同じ方向に揃えて一束に束ねたものを指す。具体例としては、スパイラルチューブにより複数のハーネスを一束に束ねたもの、結束バンドにより複数のハーネスを一束に束ねたもの、コルゲートチューブに複数のハーネスを収納して一束に束ねたもの等が挙げられる。
本明細書中における「作業機に取り付けられた電装製品」には、エンジン100を搭載する作業機(具体例としてはトラクタ等)に取り付けられた排気系統ランプ群901、排気系統スイッチ群902、噴射系統スイッチ群903、および噴射系統ランプ群904が含まれる。より具体的には、排気系統ランプ群901には、例えば排気浄化装置70のスートフィルタに堆積したPM(Particulate Matter)の量(レベル)を表示する複数の堆積レベルランプ等が含まれる。排気系統スイッチ群902には、例えば排気浄化装置70のスートフィルタの再生を開始するためのフィルタ再生スイッチ等が含まれる。噴射系統スイッチ群903には、例えばエンジン100の回転数を設定するための(換言すればインジェクタ81・81・・・からの燃料の噴射量ならびに噴射時期等を制御するための)回転数設定スイッチ等が含まれる。噴射系統ランプ群904には、インジェクタ81・81・・・の誤作動あるいは異常を表示する警報ランプ等が含まれる。
ECU600には、作業機に取り付けられた各種操作具(排気系統スイッチ群902および噴射系統スイッチ群903等)により検知した検知信号を入力することが可能である。すなわち、作業機の操縦者が各種操作具により設定した設定状態を、検知信号としてECU600に入力することが可能である。
なお、本実施形態のECU600には、後述の検査装置710を接続する場合に使用される検査用コネクタ610の雌体612が、ハーネス620を介して接続される。
以下では、エンジン100本体に取り付けられた電装製品と、中継コネクタ盤400と、の接続構造について詳細に説明する。
本実施形態の中継コネクタ盤400は、排気検知系統コネクタ410、排気作動系統コネクタ420、噴射作動系統コネクタ430、および噴射検知系統コネクタ440を有する。これらの各コネクタ410・420・430・440は、雄体411・421・431・441と、雌体412・422・432・442と、からなる。
雄体411・421・431・441は、ワイヤハーネス590等を介してECU600に接続される。雌体412・422・432・442は、取付ステー16(図3参照)を介してエンジン100(シリンダブロック1)の左側面に取り付けられる。
図3に示すように、取付ステー16は熱伝導率の小さい材料からなる部材であり、シリンダブロック1の左側面から側方(左方)に向かって張り出している。取付ステー16は、上下方向に対して垂直な一対の平面(上面および下面)を有する。取付ステー16の上面には、排気検知系統コネクタ410の雌体412と、排気作動系統コネクタ420の雌体422と、が固設される。取付ステー16の下面には、噴射作動系統コネクタ430の雌体432と、噴射検知系統コネクタ440の雌体442と、が固設される。取付ステー16と各コネクタの雌体との間には、防振部材が介装される。取付ステー16に固設されたとき、各コネクタ(雌体412・422・432・442)の接続部分は外側(左側方)を向くこととなる。
排気検知系統コネクタ410は本発明に係る第一コネクタの実施の一形態である。排気検知系統コネクタ410は、差圧センサ78、排気温度センサ79、EGRセンサ59、および冷却水温センサ21と、ECU600と、を接続するハーネスの中途部に設けられる。より詳細には、エンジン100本体に取り付けられた電装製品のうち、差圧センサ78、排気温度センサ79、EGRセンサ59、および冷却水温センサ21は、それぞれハーネス110、ハーネス120、ハーネス130およびハーネス140を介して排気検知系統コネクタ410の雌体412に接続される。すなわち、エンジン100の排気系に関連する各種センサ(EGR装置50および排気浄化装置70に関する各種センサ)は、排気検知系統コネクタ410に集中的に接続される。
排気作動系統コネクタ420は本発明に係る第二コネクタの実施の一形態である。排気作動系統コネクタ420は、スロットルアクチュエータ55およびバルブアクチュエータ56と、ECU600と、を接続するハーネスの中途部に設けられる。より詳細には、エンジン100本体に取り付けられた電装製品のうち、スロットルアクチュエータ55およびバルブアクチュエータ56は、それぞれハーネス150およびハーネス160を介して排気作動系統コネクタ420の雌体422に接続される。すなわち、エンジン100の排気系に関連する各種アクチュエータ(EGR装置50および排気浄化装置70に関する各種アクチュエータ)は、排気作動系統コネクタ420に集中的に接続される。
噴射作動系統コネクタ430は本発明に係る第三コネクタの実施の一形態である。噴射作動系統コネクタ430は、噴射アクチュエータ83・83・・・および調量アクチュエータ98と、ECU600と、を接続するハーネスの中途部に設けられる。より詳細には、エンジン100本体に取り付けられた電装製品のうち、噴射アクチュエータ83・83・・・および調量アクチュエータ98は、それぞれハーネス170およびハーネス180を介して噴射作動系統コネクタ430の雌体432に接続される。すなわち、エンジン100の燃料噴射系に関連する各種アクチュエータ(コモンレールシステム80およびエンジン100の回転に関する各種アクチュエータ)は、噴射作動系統コネクタ430に集中的に接続される。
噴射検知系統コネクタ440は本発明に係る第四コネクタの実施の一形態である。噴射検知系統コネクタ440は、カム軸回転センサ5、クランク軸回転センサ8およびレール圧センサ85と、ECU600と、を接続するハーネスの中途部に設けられる。より詳細には、エンジン100本体に取り付けられた電装製品のうち、カム軸回転センサ5、クランク軸回転センサ8およびレール圧センサ85は、それぞれハーネス190、ハーネス210、およびハーネス220を介して噴射検知系統コネクタ440の雌体442に接続される。すなわち、エンジン100の燃料噴射系に関連する各種センサ(コモンレールシステム80およびエンジン100の回転に関する各種センサ)は、噴射検知系統コネクタ440に集中的に接続される。
ハーネス110・120・130・140・150・160・170・180・190・210・220は、中途部において一つに束ねられて、ワイヤハーネス300を構成する。
ワイヤハーネス300よりもエンジン100本体寄りの部分(各種センサおよび各種アクチュエータとワイヤハーネス300との間の部分)においては、ハーネス130・140・160・170・180・190・220が一束に束ねられて、ワイヤハーネス350(図1から図3参照)が構成される。ワイヤハーネス350は、本発明に係るレール圧センサ、噴射アクチュエータ、カム軸回転センサ、バルブアクチュエータ、EGRセンサ、および調量アクチュエータと、中継コネクタ盤と、を接続するそれぞれのハーネスの中途部を、一つに束ねたものの実施の一形態である。
図1に示すように、ワイヤハーネス350は、ガイド部材36・36・・・を介して左側ヘッドカバー35の上面に支持される。各ガイド部材36は正面視略コ字形状の部材であり、左側ヘッドカバー35の上面に所定間隔をおいて複数個配置される。このガイド部材36・36・・・にワイヤハーネス350が貫装されることにより、ワイヤハーネス350が左側ヘッドカバー35の上面に略水平方向(本実施形態では略前後方向)に延びるように配置される。
さらに、ワイヤハーネス350を構成するハーネス130・140・160・170・180・190・220は、中継コネクタ盤400寄り部分において他のハーネス110・120・210・150とともに一つに束ねられてワイヤハーネス300を構成し、左側面視(図3参照)においてコモンレール84の前方を通るように配線される。このように配置することにより、ワイヤハーネス300の中途部であるワイヤハーネス350は、一つに束ねてコモンレール84の周囲を迂回するように配線されている。
このようにワイヤハーネス350を配置することは、以下の利点を奏する。エンジン100の上部に配置される左側ヘッドカバー35にワイヤハーネス350を支持することが可能となり、ワイヤハーネス350をエンジン100に容易にかつ安定的に取り付けることが可能となる。また、ワイヤハーネス350を左側ヘッドカバー35の上面に沿って略水平方向に配置することができるので、エンジン100の振動によりワイヤハーネス350がエンジン100を構成する他の部材と擦れてショートしてしまう、といった事態を極力防止することが可能となる。さらに、ワイヤハーネス350はコモンレール84の周囲を迂回しつつ、EGRバルブ部材54の外周に沿って配線されているので、ワイヤハーネス350がコモンレール84あるいはEGRバルブ部材54に接続している配管(高圧管91ならびに燃料噴射管86・86・・・等)と絡まる虞が少ない。したがってワイヤハーネス350の配線作業を簡単に行うことができる。
本実施形態のワイヤハーネス350は左側ヘッドカバー35の上面に支持されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワイヤハーネス350を吸気マニホールド30の上面にガイド部材を介して固定するものとしても良い。ただし、エンジン100の振動によりワイヤハーネス350がエンジン100を構成する他の部材と接触して擦れてしまう事態を極力防止するという観点からは、ワイヤハーネス350はエンジン100を構成する構造体の平面に沿って支持することが望ましい。
図7に示すように、排気検知系統コネクタ410の雄体411は、ワイヤハーネス550を介してECU600に接続される。雄体411は対応する雌体412に手動で嵌装したり、外したりすることが可能である。すなわち、エンジン100の排気系に関連する各種センサは、排気検知系統コネクタ410を接続・非接続のいずれかの状態に設定することにより、一まとめにしてECU600に接続したり、一まとめにしてECU600から外したりすることが可能である。
なお、「排気検知系統コネクタ410を接続する」とは、排気検知系統コネクタ410の雄体411を雌体412に嵌装して対応するハーネス同士(110・120・130・140と550)を電気的に接続することを言うものとする。また、「排気検知系統コネクタ410の接続を外す(非接続の状態とする)」とは、排気検知系統コネクタ410の雄体411を雌体412から外して対応するハーネス同士(110・120・130・140と550)が電気的に接続されない状態にすることを言うものとする。他のコネクタ420・430・440の接続・非接続についてもこれと同様に表現して、以下の説明を行う。
排気作動系統コネクタ420の雄体421は、ワイヤハーネス560を介してECU600に接続される。雄体421は対応する雌体422に手動で嵌装したり、外したりすることが可能である。すなわち、エンジン100の排気系に関連する各種アクチュエータは、排気作動系統コネクタ420を接続・非接続のいずれかの状態に設定することにより、一まとめにしてECU600に接続したり、一まとめにしてECU600から外したりすることが可能である。
噴射作動系統コネクタ430の雄体431は、ワイヤハーネス570を介してECU600に接続される。雄体431は対応する雌体432に手動で嵌装したり、外したりすることが可能である。すなわち、エンジン100の燃料噴射系に関連する各種アクチュエータは、噴射作動系統コネクタ430を接続・非接続のいずれかの状態に設定することにより、一まとめにしてECU600に接続したり、一まとめにしてECU600から外したりすることが可能である。
噴射検知系統コネクタ440の雄体441は、ワイヤハーネス580を介してECU600に接続される。雄体441は対応する雌体442に手動で嵌装したり、外したりすることが可能である。すなわち、エンジン100の燃焼噴射系に関連する各種センサは、噴射検知系統コネクタ440を接続・非接続のいずれかの状態に設定することにより、一まとめにしてECU600に接続したり、一まとめにしてECU600から外したりすることが可能である。
各コネクタの雌体412・422・432・442の接続部分はエンジン100の外側(左側方)を向いているので、作業者はエンジン100の左側方から中継コネクタ盤400を操作することにより、容易に各コネクタ410・420・430・440を接続したり、外したりすることができる。
ワイヤハーネス550、ワイヤハーネス560、ワイヤハーネス570、およびワイヤハーネス580は、中途部において一束に束ねられて、ワイヤハーネス590を構成する。本実施形態のワイヤハーネス590は、複数のガイド部材を介してフライホイールハウジング7の上面に支持することが可能である。このように構成することにより、ワイヤハーネス300は、フライホイールハウジング7の上面に沿って略水平方向(左右方向)に延びるように配置される。ワイヤハーネス590のECU600に接続される側の端部(右端部)は、シリンダブロック1の右側方に到達する。
ワイヤハーネス590の右端部は、ECU600の内部に備えられたコネクタを介してECU600に接続される。作業者は、中継コネクタ盤400とECU600とをワイヤハーネス590を介して接続したり、外したりすることが可能である。
図4および図5に示すように、本実施形態のECU600は、シリンダブロック1の右側面であってセルモータ25の下方となる位置に取り付けられる。より詳細には、ECU600は、エンジン100の右側面のうちシリンダブロック1から間座9を介してオイルパン10に到るまでの領域に跨るように固設されたブラケット26を介して、エンジン100に取り付けられる。
ブラケット26は、熱伝導率の小さい材料からなる部材であり、シリンダブロック1における機関脚取付部11と略同じ高さの位置に固設される。ブラケット26が取り付けられる当該部分は、前述の如く、シリンダブロック1の側面のうち肉厚に形成されている部分に相当する。したがって、シリンダブロック1の右側方からボルトをネジ込むことにより、ブラケット26をエンジン100(シリンダブロック1)に安定的に固定することが可能である。このようにして、ECU600は剛性の高いシリンダブロック1に安定的に取り付けられる。
ECU600をエンジン100における上述の如き位置に取り付けることは、以下の利点を奏する。セルモータ25は、周囲温度が上昇すると、回転力の低下やピニオンの作動不良等が生じて機能が低下することが知られている。このため、セルモータ25は従来から、周囲温度が高くならない位置(望ましくは周囲温度が常に80℃未満である位置)に配置されている。本実施形態では、係るセルモータ25の近辺にECU600を取り付けることにより、従来のエンジンの構成にほとんど手を加えずにECU600を比較的低温に保つことが可能である。したがって、ECU600に内装される制御回路が焼き付いたり、あるいはECU600が熱暴走したりする事態を防止することができる。また、本実施形態のブラケット26が固設される位置は、ウォーターポンプ20、ウォータージャケット、あるいは潤滑油ポンプ等が配置される位置から充分に離れている。したがって、電装製品であるECU600が水あるいは潤滑油等と接触する虞が少なく、ECU600の故障を防止することが可能である。
ブラケット26とECU600との間には、防振部材を介装することが望ましい。このように構成することにより、エンジン100からECU600に伝わる振動を極力弱めることができ、エンジン100の振動によるECU600の故障、破損等を防止することが可能である。
なお、本実施形態のブラケット26は、エンジン100の右側面のうちシリンダブロック1から間座9を介してオイルパン10に到るまでの領域に跨るように固設されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、シリンダブロック1の右側面にブラケットを固設することとしてもよい。すなわち、セルモータ25の近傍にECU600を配置できるように、ブラケットの位置を設定すればよい。
以上の如く構成されるエンジン100においては、各種センサおよび各種アクチュエータ(エンジン100本体に取り付けられた電装製品)と、ECU600と、は中継コネクタ盤400の各コネクタ410・420・430・440を接続・非接続のいずれかの状態に設定することにより、簡単に接続したり、外したりすることが可能である。
また、本実施形態の中継コネクタ盤400では、各種センサおよび各種アクチュエータに接続されているハーネス110・120・130・140・150・160・170・180・190・210・220のうち関連性の高いもの同士を一まとめにしているので(四つにグループ分けしているので)、各コネクタ(グループ)ごとに接続・非接続を設定することが可能である。例えば、コモンレールシステム80の作動系のメンテナンスが必要となった場合は、噴射作動系統コネクタ430の接続を外すことにより、コモンレールシステム80の作動に関連する電装製品(噴射アクチュエータ83・83・・・および調量アクチュエータ98)とECU600との接続のみを取り外すことが可能である。したがって、コモンレールシステム80の作動系に関連しない他のハーネスを取り外す手間が省け、作業性が向上する。
また、エンジンの製造業者は、エンジン100の出荷前に(エンジン100を作業機に搭載する前に)、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)とECU600とをあらかじめハーネス(ワイヤハーネス300)により接続してこれらを集合体(エンジン100本体と合わせた一つの商品)として取り扱うことが可能となる。この場合、エンジン100本体に取り付けられた電装製品とECU600との間の距離が一義的に決定されるので、エンジン100を搭載する作業機の形式毎に前記電装製品とECU600とを接続する専用のハーネスを設計する必要がなくなる。
従来、エンジンの製造業者は、客先で(例えば、エンジン100を購入した作業機の製造業者の工場内で)、エンジン100を作業機に搭載した後に、エンジン100本体に取り付けられた電装製品と作業機に取り付けられた電装製品とをECU600を介して接続する結線作業を行っていた。この点、本発明に係るエンジン100においては、前述の如くECU600およびハーネス(ワイヤハーネス300等)をエンジン100本体にあらかじめ組み付けて集合体として扱うことが可能となるので、客先での結線作業を容易に行うことが可能となる。すなわち、客先では、作業機に取り付けられた電装製品(排気系統ランプ群901、排気系統スイッチ群902、噴射系統スイッチ群903、および噴射系統ランプ群904)と、ECU600と、をワイヤハーネス910・920・930・940等により接続するだけでよく、このような結線作業はコネクタ(本実施形態では四つのコネクタ)の接続により簡単に行うことができる(図7参照)。
またこのように構成することにより、エンジンの製造業者は、エンジン100の出荷前に、エンジン100本体、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)およびこれらを接続するワイヤハーネス300の品質保証のための検査を行うことが可能となり、前記集合体の状態における品質の保証をすることが可能となる。したがって、エンジン100を作業機に組み付けた後に、各種センサおよび各種アクチュエータの動作不良・異常等が発覚したり、あるいはワイヤハーネス300の断線が発覚したりする事態を防止することができる。
以下では、エンジン100を製造する製造ラインの実施の一形態である製造ライン1000について、図8から図10を参照して説明する。図8に示すように、エンジン100の製造ライン1000は、部品製造工程S1100、組立て工程S1200、検査工程S1300、および最終組立て工程S1400を具備する。
部品製造工程S1100は、エンジン100本体を構成する主たる部品を製造する工程であり、例えばシリンダブロック1およびシリンダヘッド2等が製造される工程である。部品製造工程S1100で製造された各部品は、コンベア上にセットされる。部品製造工程S1100が終了したら、組立て工程S1200に移行する。
組立て工程S1200は、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2からなる本体に、各部品が組み付けられる工程である。このとき、ピストン、各種ギヤ、予め組み立てられたサブアッセンブリー、各種電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)およびワイヤハーネス300等が、エンジン100本体に組み付けられる。組立て工程S1200が終了したら、検査工程S1300に移行する。
検査工程S1300は、組み立てられたエンジン100の品質保証のための検査を行う工程である。検査では、エンジン100本体、各種センサおよび各種アクチュエータ、ならびにワイヤハーネス300の品質・性能を検査する。このとき、試験運転場においてエンジン100の試運転が行われ、各種データが取得される。具体例としては、エンジン100のアイドル時ならびに負荷時に所定の回転が得られるか否か、排出される排気ガスが基準値内に納まるか否か、各エンジン100が規格値に適合した運転を行えるか否か、等の検査が行われる。検査により不具合が発覚した場合は、別の工程で不具合が修正され、再度検査工程S1300が行われる。検査工程S1300が終了したら、最終組立て工程S1400に移行する。
最終組立て工程S1400は、品質保証のための検査を終えたエンジン100にECU600を組み付ける工程である。検査工程S1300で得られた検査の結果に基づいて各エンジン100の補正値が決定された後、この補正値を反映させた制御プログラムが各エンジン100のECU600に格納される。ECU600はブラケット26を介してエンジン100のシリンダブロック1に取り付けられる。中継コネクタ盤400とECU600とは、ワイヤハーネス590を介して接続される(図7参照)。
以下では、前記検査工程S1300において行われるエンジン100の検査方法700について、図8から図10を参照して説明する。検査方法700は本発明に係るエンジンの検査方法の実施の一形態である。
本実施形態の検査方法700は、検査装置710(図8および図10参照)を用いてエンジン100の品質保証のための検査行う方法である。図9に示すように、検査方法700は主として接続工程S7100、エンジン作動工程S7200、および検査実施工程S7300を具備する。
接続工程S7100は、中継コネクタ盤400を介してエンジン100と検査装置710とを接続する工程である。すなわち図10に示すように、中継コネクタ盤400に、ECU600に代えて検査装置710を、ワイヤハーネス720(検査用のハーネス)を介して接続する。検査装置710は、エンジン100の品質保証のための検査に用いる制御装置である。検査装置710には、制御回路が内装されるとともに、検査に用いる各種制御プログラムならびにマップが格納されている。検査装置710は、中継コネクタ盤400の各雌体412・422・432・442に対応する雄体711・712・713・714を具備する。エンジン100の検査を行う作業者は、各コネクタ410・420・430・440を接続することにより、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と検査装置710とを接続する。接続工程S7100が終了したら、エンジン作動工程S7200に移行する。
エンジン作動工程S7200は、検査装置710に接続したエンジン100を試験的に作動する工程である。すなわち、エンジン100を始動させる。エンジン100の検査を行う作業者は、検査装置710に具備されたキースイッチ721を操作することにより、エンジン100のセルモータ25(図4参照)を作動させる。セルモータ25が作動することによりエンジン100が始動する。エンジン作動工程S7200が終了したら、検査実施工程S7300に移行する。
検査実施工程S7300は、エンジン作動工程S7200において始動させたエンジン100の品質・性能を検査する工程である。すなわち、エンジン100の作動検査を行う。作業者は、検査装置710に具備された検査用の操作具722(スイッチ類)を操作することにより、エンジン100本体およびエンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)の作動検査を行う。または、制御プログラムに沿って検査装置710が作動され、自動的に検査を実施し、自動的にそのデータが取得され、その値が設定範囲内か否かが判断される。具体的には、例えば、各種センサに誤作動がないか、各種アクチュエータが精度良く作動するか、といった内容の検査を実施する。検査実施工程S7300が終了したら、最終組立て工程S1400(図8参照)に移行する。
以上の如き構成の検査方法700によりエンジン100の検査を行うことは、以下の(A)から(C)に示す利点を奏する。
(A)接続工程S7100では、四つのコネクタ410・420・430・440を接続することにより、本実施形態における「エンジン100本体に取り付けられた電装製品」のすべて(ワイヤハーネス300に接続されている各種センサおよび各種アクチュエータのすべて)を検査装置710に接続することが可能である。したがって、従来の検査方法の如く各電装製品と検査装置とを一対一対応で接続して品質保証のための検査を行う場合(図14参照)と比べて、結線作業を格段に少なくすることができ、検査工程S1300における作業を簡略化することが可能である。
(B)また、中継コネクタ盤400では、関連するハーネスごとにコネクタ410・420・430・440にまとめているので、例えばコモンレールシステム80の作動系統に誤作動が発生した場合(噴射アクチュエータ83・83・・・の誤作動等)には、噴射作動系統コネクタ430の雄体713を雌体432から取り外すことにより、コモンレールシステム80の作動に関連する電装製品(噴射アクチュエータ83・83・・・および調量アクチュエータ98)と検査装置710との接続のみを取り外すことが可能である。したがって、誤作動が生じていない他のハーネスを取り外す手間が省け、検査における作業効率を向上させることが可能である。
(C)さらに、検査方法700では、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品と、に加えて、これらを接続するハーネス(ワイヤハーネス300)についても品質保証のための検査を行うことが可能である。また、この検査の結果に基づいて各エンジン100の補正値を決定した後、この補正値を反映させた制御プログラムを各エンジン100のECU600に格納することができる。したがって、エンジンの製造業者は、エンジン100本体と、各種電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と、ハーネス(ワイヤハーネス300)と、ECU600と、を合わせた集合体につき、検査を経て個々に補正を施した完成度の高い一つの商品として取り扱うことが可能となる。
以下では、エンジン100を製造する製造ラインの別実施形態である製造ライン2000について、図11から図13を参照して説明する。図11に示すように、エンジン100の製造ライン2000は、部品製造工程S2100、組立て工程S2200、および検査工程S2300を具備する。すなわち、製造ライン2000は、製造ライン1000における最終組立て工程S1400に相当する工程を具備しない点で、製造ライン1000と相違する。
部品製造工程S2100は、エンジン200本体を構成する主たる部品を製造する工程であり、例えばシリンダブロック1およびシリンダヘッド2等が製造される工程である。部品製造工程S2100が終了したら、組立て工程S2200に移行する。
組立て工程S2200は、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2からなる本体に、各部品が組み付けられる工程である。このとき、ピストン、各種ギヤ、予め組み立てられたサブアッセンブリー、各種電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)、およびECU600等が、エンジン100本体に組み付けられる。ECU600は、ワイヤハーネス300およびワイヤハーネス590(図7参照)を介して各種電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)に接続された状態で、エンジン100本体に組み付けられる。ECU600には、制御プログラムおよびマップ等が格納される。組立て工程S2200が終了したら、検査工程S2300に移行する。
検査工程S2300は、組み立てられたエンジン100の品質保証のための検査を行う工程である。検査では、エンジン100本体、各種センサおよび各種アクチュエータ、ワイヤハーネス300、ワイヤハーネス590ならびにECU600の品質・性能を検査する。検査工程S2300が終了したら、エンジン100の製造ライン2000が終了する。
以下では、前記検査工程S2300において行われるエンジン100の検査方法750について、図11から図13を参照して説明する。
本実施形態の検査方法750は、検査装置760(図11および図13参照)を用いてエンジン100の品質保証のための検査を行う方法である。図12に示すように、検査方法750は主として接続工程S7600、エンジン作動工程S7700、および検査実施工程S7800を具備する。
接続工程S7600は、組立て工程S2200において制御プログラムおよびマップ等が格納されたECU600と、検査装置760とを、コネクタ610およびハーネス620を介して接続する工程である(図13参照)。検査装置760は、エンジン100の品質保証のための検査に用いる装置である。検査装置760には、検査用の操作具762(例えばエンジン100の回転数を設定するための回転数設定スイッチ)およびキースイッチ761等が具備される。検査装置760は、コネクタ610の雌体612に対応する雄体611を具備する。エンジン100の検査を行う作業者は、検査用のコネクタ610を接続することにより、ECU600と検査装置760とを接続し、ひいてはエンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と検査装置760とを接続する。接続工程S7600が終了したら、エンジン作動工程S7700に移行する。
エンジン作動工程S7700は、検査装置760に接続したエンジン100を試験的に作動する工程である。すなわち、エンジン100を始動させる。エンジン100の検査を行う作業者は、検査装置760に具備されたキースイッチ761を操作することにより、エンジン100のセルモータ25(図4参照)を作動させる。セルモータ25が作動することによりエンジン100が始動する。エンジン作動工程S7700が終了したら、検査実施工程S7800に移行する。
検査実施工程S7800は、エンジン作動工程S7700において始動させたエンジン100の品質・性能を検査する工程である。すなわち、エンジン100の作動検査を行う。作業者は、検査装置760に具備された検査用の操作具762(回転数設定スイッチ等)を操作することにより、エンジン100本体、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)、およびECU600の作動検査を行う。または、制御プログラムに沿って検査装置760が作動され、自動的に検査を実施し、自動的にそのデータが取得され、その値が設定範囲内か否かが判断される。具体的には、例えば、各種センサに誤作動がないか、各種アクチュエータが精度良く作動するか、ECU600の制御回路に不具合がないか、といった内容の検査を実施する。検査実施工程S7800が終了したら、エンジン100の製造ライン2000は終了し、エンジン100が客先へ出荷される。
以上の如き構成の検査方法750によりエンジン100の検査を行うことは、以下の(a)から(c)に示す利点を奏する。
(a)接続工程S7600では、コネクタ610を接続することにより、ECU600と検査装置760とを接続し、ひいては本実施形態における「エンジン100本体に取り付けられた電装製品」のすべて(ワイヤハーネス300に接続されている各種センサおよび各種アクチュエータのすべて)を検査装置760に接続することが可能である。したがって、従来の検査方法の如く各電装製品と検査装置とを一対一対応で接続して品質保証のための検査を行う場合(図14参照)と比べて、結線作業を格段に少なくすることができ、検査工程S2300における作業を簡略化することが可能である。
(b)また、中継コネクタ盤400では、関連するハーネスごとにコネクタ410・420・430・440にまとめているので、例えばコモンレールシステム80の作動系統に誤作動が発生した場合(噴射アクチュエータ83・83・・・の誤作動等)には、コネクタ610の雄体611を雌体612から取り外し、かつ、噴射作動系統コネクタ430の雄体431を雌体432から取り外すことにより、必要最小限の(コネクタの)接続だけを外してメンテナンスを行うことが可能である。すなわち、他のコネクタ420・430・440は接続したままの状態にしておくことができ(非接続に設定する必要がなく)、検査における作業効率を向上させることが可能である。
(c)さらに、検査方法700では、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品と、に加えて、ワイヤハーネス300、ワイヤハーネス590、およびECU600についても品質保証のための検査を行うことが可能である。また、この検査の結果、各エンジン100の制御プログラムに補正を施す必要が生じた場合には、組立て工程S2200においてECU600に格納した制御プログラムにさらに補正値を反映させることが可能である。したがって、エンジンの製造業者は、エンジン100本体と、各種電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と、ハーネス(ワイヤハーネス300およびワイヤハーネス590)と、ECU600と、を合わせた集合体につき、ECU600についても品質保証のための検査を実施した完成度の高い一つの商品として取り扱うことが可能となる。
以上の如く、エンジン100は、高圧燃料を蓄圧するコモンレール84内の圧力を検知するレール圧センサ85と、燃料を噴射するインジェクタ81・81・・・を作動させる噴射アクチュエータ83・83・・・と、排気浄化装置70内におけるフィルタ(スートフィルタ)前後の差圧を検知する差圧センサ78(入口側感知体73、出口側感知体74、および差圧検知本体77を合わせたもの)と、排気浄化装置70内の排気ガスの温度を検知する排気温度センサ79と、これらのセンサ85・78・79およびアクチュエータ83・83・・・とそれぞれハーネス220・170・110・120(ワイヤハーネス300等)を介して接続されて、エンジン100を制御するECU600と、を具備するエンジン100において、複数のハーネス220・170・110・120のすべては、エンジン100に取り付けられた中継コネクタ盤400を経由してECU600に接続されたものである。このように構成することにより、エンジン100を作業機に搭載する前の工程で、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79)とワイヤハーネス300とを接続した上でエンジン100にあらかじめ組み付けておくことが可能となる。すなわち、エンジン100本体に取り付けられたレール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79は、すべて中継コネクタ盤400に接続される。したがって、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79)とECU600(あるいは品質保証のための検査装置710)とを接続する際には、中継コネクタ盤400を操作すればよく(各コネクタ410・430・440を接続すればよく)、結線作業を簡略化することが可能となる。
また、エンジン100は、クランク軸3の回転数を検知するクランク軸回転センサ8と、カム軸の回転数を検知するカム軸回転センサ5と、吸気マニホールド30への新気の供給量を調整する吸気スロットルを作動させるスロットルアクチュエータ55と、吸気マニホールド30への排気ガスの供給量を調整するEGRバルブを作動させるバルブアクチュエータ56と、吸気マニホールド30に供給される新気と排気ガスとの混合ガスのうち排気ガスが占める割合を検知するEGRセンサ59と、コモンレール84に供給する燃料の量を調整する調量弁を作動させる調量アクチュエータ98と、を具備し、中継コネクタ盤400は、排気検知系統コネクタ410と、排気作動系統コネクタ420と、噴射作動系統コネクタ430と、噴射検知系統コネクタと440と、を有し、差圧センサ78と排気温度センサ79とEGRセンサ59とは、それぞれ排気検知系統コネクタ410に接続され、スロットルアクチュエータ55とバルブアクチュエータ56とは、それぞれ排気作動系統コネクタ420に接続され、噴射アクチュエータ83・83・・・と調量アクチュエータ98とは、それぞれ噴射作動系統コネクタ430に接続され、レール圧センサ85とクランク軸回転センサ8とカム軸回転センサ5とは、それぞれ噴射検知系統コネクタ440に接続されたものである。このように構成することにより、エンジン100を作業機に搭載する前の工程で、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78、排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98)とワイヤハーネス300とを接続した上でエンジン100にあらかじめ組み付けておくことが可能となる。すなわち、エンジン100本体に取り付けられたレール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98は、すべて中継コネクタ盤400に接続される。したがって、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78、排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98)とECU600(あるいは品質保証のための検査装置710)とを接続する際には、中継コネクタ盤400を操作すればよく(各コネクタ410・420・430・440を接続すればよく)、結線作業を簡略化することが可能となる。また、関連性の高い電装製品に接続されているハーネスを一まとめにして接続したり、外したりすることが可能である。したがって、メンテナンス等の際に必要となる結線作業が簡略化されて、作業効率が向上する。
また、エンジン100は、レール圧センサ85および噴射アクチュエータ83・83・・・と、中継コネクタ盤400と、を接続するそれぞれのハーネス220・170の中途部は、一つに束ねてコモンレール84の周囲を迂回して配線されてエンジン100に支持されたものである。このように構成することにより、エンジン100の作動時あるいはエンジン100の組立て時等において、ワイヤハーネス350がコモンレール84に接続している配管(高圧管91ならびに燃料噴射管86・86・・・等)と絡まる虞が少なく、配線が邪魔することもない。また、配線作業が簡単に行え、配線間違いや断線等を防止できる。
また、エンジン100は、レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、カム軸回転センサ5、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98と、中継コネクタ盤400と、を接続するそれぞれのハーネス220・170・190・160・130・180の中途部は、一つに束ねてコモンレール84の周囲を迂回するように配線されるとともに、EGRバルブ部材54の外周に沿って配線されて、エンジン100に支持されたものである。このように構成することにより、エンジン100が激しく振動しても、ワイヤハーネス350がコモンレール84あるいはEGRバルブ部材54に接続する配管と絡まる虞が少なく、したがってエンジン100を構成する他の部材と擦れてショートしてしまう、といった事態が生じ難くなる。すなわちワイヤハーネス350の揺れを格段に小さくすることができ、ワイヤハーネス350のエンジン100の振動による断線を極力なくすことが可能である。
また、エンジン100は、ECU600は、シリンダブロック1の側面またはシリンダブロック1の側面からオイルパン10の側面に跨る領域であって、セルモータ25の近傍に配置したものである。このように構成することにより、エンジン100を作業機に搭載する前の工程で、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79等)とECU600とをワイヤハーネス300等を介して接続した上で、エンジン100本体にあらかじめ組み付けておくことが可能となる。この場合、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79等)とECU600との間の距離が一義的に決定されるので、エンジン100を搭載する作業機の形式毎に前記電装製品(各種センサおよび各種アクチュエータ)とECU600とを接続する専用のハーネスを設計する必要がなくなる。また、エンジン100を作業機に搭載した後の結線作業においては、作業機に取り付けられた電装製品(排気系統ランプ群901、排気系統スイッチ群902、噴射系統スイッチ群903、および噴射系統ランプ群904)と、ECU600と、をワイヤハーネス910・920・930・940等により接続するだけでよいので、客先での結線作業を容易に行える。さらに、ECU600は、シリンダブロック1の、周囲温度が比較的低温に保たれる位置に取り付けられるので、ECU600が高温に曝されて故障する虞が少なくなる。
また、検査方法700は、高圧燃料を蓄圧するコモンレール84内の圧力を検知するレール圧センサ85と、燃料を噴射するインジェクタ81・81・・・を作動させる噴射アクチュエータ83・83・・・と、排気浄化装置70内におけるフィルタ(スートフィルタ)前後の差圧を検知する差圧センサ78(入口側感知体73、出口側感知体74、および差圧検知本体77を合わせたもの)と、排気浄化装置70内の排気ガスの温度を検知する排気温度センサ79と、これらのセンサ85・78・79およびアクチュエータ83・83・・・とそれぞれハーネス220・170・110・120(ワイヤハーネス300等)を介して接続されて、エンジン100を制御するECU600と、を具備し、複数のハーネス220・170・110・120のすべては、エンジン100に取り付けられた中継コネクタ盤400を経由してECU600に接続される、エンジン100の検査方法であって、中継コネクタ盤400に、ECU600に代えて検査装置710を接続する接続工程S7100と、接続工程S7100に続いてエンジン100を始動させるエンジン作動工程S7200と、エンジン作動工程S7200に続いてセンサ85・78・79およびアクチュエータ83・83・・・の作動検査を行う検査実施工程S7300と、を具備したものである。このような方法を使用することにより、エンジン100本体およびエンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79)の検査を行う際に必要となる結線作業を簡略化することができ、ひいては検査実施工程における作業を簡略化することが可能となる。また、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79)と、に加えて、これらを接続するハーネス220・170・110・120についても品質保証のための検査を行うことが可能となる。したがって、エンジンの製造業者は、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78および排気温度センサ79)と、これらを接続するハーネス220・170・110・120と、を合わせた集合体につき、検査を経た完成度の高い一つの商品として取り扱うことが可能となる。
さらに、検査方法700は、エンジン100は、クランク軸3の回転数を検知するクランク軸回転センサ8と、カム軸の回転数を検知するカム軸回転センサ5と、吸気マニホールド30への新気の供給量を調整する吸気スロットルを作動させるスロットルアクチュエータ55と、吸気マニホールド30への排気ガスの供給量を調整するEGRバルブを作動させるバルブアクチュエータ56と、吸気マニホールド30に供給される新気と排気ガスとの混合ガスのうち排気ガスが占める割合を検知するEGRセンサ59と、コモンレール84に供給する燃料の量を調整する調量弁を作動させる調量アクチュエータ98と、を具備し、中継コネクタ盤400は、排気検知系統コネクタ410と、排気作動系統コネクタ420と、噴射作動系統コネクタ430と、噴射検知系統コネクタと440と、を有し、差圧センサ78と排気温度センサ79とEGRセンサ59とは、それぞれ排気検知系統コネクタ410に接続され、前記スロットルアクチュエータ55とバルブアクチュエータ56とは、それぞれ排気作動系統コネクタ420に接続され、噴射アクチュエータ83・83・・・と調量アクチュエータ98とは、それぞれ噴射作動系統コネクタ430に接続され、レール圧センサ85とクランク軸回転センサ8とカム軸回転センサ5とは、それぞれ噴射検知系統コネクタ440に接続されたものである。このような方法を使用することにより、エンジン100本体およびエンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78、排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98)の検査を行う際に必要となる結線作業を簡略化することができ、ひいては検査実施工程における作業を簡略化することが可能となる。また、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78、排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98)と、に加えて、これらを接続するハーネス220・170・110・120・210・190・150・160・130・180(ワイヤハーネス300)についても品質保証のための検査を行うことが可能となる。したがって、エンジンの製造業者は、エンジン100本体と、エンジン100本体に取り付けられた電装製品(レール圧センサ85、噴射アクチュエータ83・83・・・、差圧センサ78、排気温度センサ79、クランク軸回転センサ8、カム軸回転センサ5、スロットルアクチュエータ55、バルブアクチュエータ56、EGRセンサ59、および調量アクチュエータ98)と、これらを接続するハーネス220・170・110・120・210・190・150・160・130・180(ワイヤハーネス300)と、を合わせた集合体につき、検査を経た完成度の高い一つの商品として取り扱うことが可能となる。また、関連性の高い電装製品に接続されているハーネスを一まとめにして接続したり、外したりすることが可能である。したがって、エンジン100の品質保証のための検査を行う際に必要となる結線作業が簡略化されて、作業効率が向上する。