JP5713161B2 - 木質部材の接合構造 - Google Patents

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本発明は、木質部材の接合構造に関し、詳しくは、木質部材の柱と梁などを接合する接合構造に関する。
2010年5月26日に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が公布された。この法律の目的は、中・低層の公共建築物(学校校舎、各都道府県の庁舎公共施設、福祉施設、その他)を全て木造建築とすることで、都市部にCOを貯蔵し続ける「都市の森」を作り出し、我が国が世界に公約したCOの25%削減を実現させることにある。この木造建築にとって千載一遇のチャンスを活かして、3〜4階建て規模の集成材ラーメン建築物を広く普及させていくためには、剛性、耐力、靭性ともに卓越した性能を誇るラーメン接合構法の開発が是非とも必要である。
木質部材のラーメン構造に適用できる技術として、ラグスクリューボルトを用いた接合構造が種々提案されている。ラグスクリューボルトとは、例えば図12の写真に示すように、棒状の鋼製接合具である。外周には市販のラグスクリューと同一形状のおねじ80が加工されており、端部には開口82が形成され、開口82に連通する中空孔84の内周面にめねじ86が加工されている。ラグスクリューボルトは、開口82が露出するように、木材や集成材などの木質部材にねじ込んで固定しておき、ラグスクリューボルトのめねじ86にボルトを螺合することにより、他の部材や金具を固定する(例えば、特許文献1〜3参照)。
ラグスクリューボルトを用いて部材同士を接合すると、初期剛性が大きく、すなわち変形しにくく、終局耐力も大きい。しかし、変形能力が乏しく、ラグスクリューボルトの接合部分(ラグスクリューボルトが部材に接合されている部分)が一度終局耐力に達すると、それ以上変形することはなく、脆性的な破壊を生じる点が大きな欠点であった。
そこで、例えば図13の断面図に示す接合構造が提案されている。この接合構造は、柱101の下端部に切り欠き部101aを設け、この切り欠き部101a内から軸線方向に、全ネジ状接合具であるスクリュー部材111をねじ込む。長ボルト113の先端をスクリュー部材111のめねじに螺合するとともに、長ボルト113の他端のおねじにナット116を螺合して、柱101の下端部の切り欠き部101aに配置した接合金具114をスクリュー部材111に固着する。また、接合金具114は、基礎103から突き出したアンカーボルト112とこれに螺合する締付ナット115によって、基礎103に固定する。
この接合構造は、スクリュー部材111の中空孔を長くし、スクリュー部材111のめねじに螺合する長ボルト113に中間部113cを長くして、長ボルト113に予め引張力を導入しておく。これにより、接合部の初期剛性を高めるとともに、長ボルト113の大きな軸方向伸び変形に期待して、接合部に変形能力を付与するものである(例えば、特許文献4参照)。
特開平7−252888号公報 特開2000−265553号公報 特開2005−232711号公報 特開2007−77611号公報
しかし、図13の接合構造には、次のような問題がある。
(1) スクリュー部材111と長ボルト113は、長くする必要がある。そのため、スクリュー部材111に長い中空孔を削孔するための金属加工コストがかかる上に、大きな圧縮荷重が作用した場合は、長ボルト113の予期せぬ座屈破壊を生じる恐れがある。
(2) スクリュー部材111と柱101とを接着剤で強固に結合する場合には、接合耐力を接着剤に依存することになる。そのため、接着剤利用にまつわる厳重な品質管理が施工現場に要求され、汎用的な構法としては問題点である。
(3) 中空のスクリュー部材111の内部に連結用の長ボルト113を挿入するので、挿入された長ボルト113の外周面とスクリュー部材111の内周面との間に空間が生じ、長ボルト113をヒートブリッジとして空間内に予期せぬ結露を生じる危険性をはらんでいる。この結露が長期間にわたって発生、消滅を繰り返すことによって、長ボルト113の表面及びスクリュー部材111の中空内表面に錆が発生し、接合耐力を低下させる危険性が考えられ、長期安全性の面で危惧される。
(4) 極めて稀な地震(例えば、震度7クラス)を受けて高靭性の長ボルト113が大きな塑性変形を起こした場合、その伸びた長ボルト113を撤去して、接合部を元の状態に戻すことは事実上不可能であり、結局、部材を一から全て取り替えるという大規模な補修工事が必要となる。
(5) 図13の接合構造は、戸建て木造住宅規模の構造物を対象としており、そのままの形態では、公共建築物に多い大型の木造建築物に適用するには性能が不足している。
本発明は、かかる実情に鑑み、木造建築としては特に荷重条件の厳しいラーメン架構の1階部分の接合部に焦点を当てて、初期剛性が高く、高靭性であり、終局耐力を所望のレベルに設定することができる木質部材の接合構造を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した木質部材の接合構造を提供する。
木質部材の接合構造は、少なくとも一方が木質部材である第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造である。木質部材の接合構造は、(a)互いに螺合するボルト及びナットと、(b)固定部と、貫通穴が形成された接合部とが結合している第1及び第2の金具とを備える。前記第1の金具の前記固定部は、前記第1の部材に固定される。前記第2の金具の前記固定部は、前記第2の部材に固定される。前記第1の金具の前記接合部と前記第2の金具の前記接合部とは、それぞれの前記貫通穴に前記ボルトが挿通され、前記ボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合する。前記第1及び第2の金具の少なくとも一方の前記接合部に、少なくとも一つの前記貫通穴に連通するように、かつ、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの軸部がめり込むことができるように、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの前記軸部の直径よりも小さい短径を有する長穴が形成されている。
上記構成において、摩擦接合する第1の金具の接合部と第2の金具の接合部とは、静止摩擦力により相対移動が阻止されているが、静止摩擦力を超える荷重が作用すればすべりが発生して相対移動しうる。
上記構成において、第1及び第2の部材に固定された第1及び第2の金具の固定部の間に作用する荷重が、ボルト及びナットにより締め付けられた第1及び第2の金具の接合部に作用する静止摩擦力を越えないとき、第1及び第2の部材は、相対移動しない第1及び第2の金具を介して強固に接合された状態となる。そのため、接合構造の初期剛性を高くすることができる。
第1及び第2の金具の固定部の間に作用する荷重が、ボルト及びナットにより締め付けられた第1及び第2の金具の接合部に作用する静止摩擦力を越えると、すべりが発生し、第1の金具の接合部と第2の金具の接合部とは相対移動する。このとき、ボルトの軸部が長穴にめり込み、塑性変形によってエネルギーが吸収され、第1の部材と第1の金具の固定部との固定や、第2の部材と第2の金具の固定部との固定や、ボルト及びナットを介しての第1及び第2の金具の結合が破壊されないようにすることができ、これによって、接合構造の靭性を高くすることができる。
上記構成によれば、ボルトの軸部が長穴にめり込むめり込み変形によって終局耐力が決まるように設計することができ、めり込み量を選択することで、終局耐力を所望のレベルに設定することができる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した他の木質部材の接合構造を提供する。
木質部材の接合構造は、少なくとも一方が木質部材である第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造である。木質部材の接合構造は、(a)互いに螺合する第1及び第2のボルト及びナットと、(b)固定部と、貫通穴が形成された接合部とが結合している第1及び第2の金具と、(c)第1及び第2の貫通穴が形成された連結板とを備える。前記第1の金具の前記固定部は、前記第1の部材に固定される。前記第2の金具の前記固定部は、前記第2の部材に固定される。前記第1の金具の前記接合部と前記連結板とは、前記第1の金具の前記接合部の前記貫通穴と前記連結板の前記第1の貫通穴とに前記第1のボルトが挿通され、前記第1のボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合する。前記第2の金具の前記接合部と前記連結板とは、前記第2の金具の前記接合部の前記貫通穴と前記連結板の前記第2の貫通穴とに前記第2のボルトが挿通され、前記第2のボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合する。前記連結板に、前記第1及び第2の貫通孔の少なくとも一つに連通するように、かつ、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの軸部がめり込むことができるように、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの前記軸部の直径よりも小さい短径を有する長穴が形成されている。
上記構成において、摩擦接合する第1の金具の接合部及び第2の金具の接合部と連結板とは、静止摩擦力により相対移動が阻止されているが、静止摩擦力を超える荷重が作用すればすべりが発生して相対移動しうる。
上記構成において、第1及び第2の部材に固定された第1及び第2の金具の固定部の間に作用する荷重が、ボルト及びナットにより締め付けられた第1の金具の接合部及び第2の金具の接合部と連結板とに作用する静止摩擦力を越えないとき、第1及び第2の部材は、相対移動しない第1及び第2の金具と連結板とを介して強固に接合された状態となる。そのため、接合構造の初期剛性を高くすることができる。
第1及び第2の金具の固定部の間に作用する荷重が、ボルト及びナットにより締め付けられた第1の金具の接合部及び第2の金具の接合部と連結板とに作用する静止摩擦力を越えると、すべりが発生し、第1の金具の接合部及び/又は第2の金具の接合部と連結板とは相対移動する。このとき、ボルトの軸部が連結板の長穴にめり込み、塑性変形によってエネルギーが吸収され、第1の部材と第1の金具の固定部との固定や、第2の部材と第2の金具の固定部との固定や、ボルト及びナットを介しての第1及び第2の金具と連結板との結合が破壊されないようにすることができ、これによって、接合構造の靭性を高くすることができる。
上記構成によれば、ボルトの軸部が連結板の長穴にめり込むめり込み変形によって終局耐力が決まるように設計することができ、めり込み量を選択することで、終局耐力を所望のレベルに設定することができる。
上記各構成の接合構造は、次のように、種々の具体的な態様で実施することができる。
好ましくは、前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、(a)板状であり、互いに平行な一対の辺を有し、貫通穴が形成された前記固定部と、(b)板状であり、前記固定部の前記一対の辺に結合され、前記固定部に関して片側のみに、前記固定部に対して直角に延在する一対の前記接合部とを含む。
この場合、第1及び第2の金具の少なくとも一方は、固定部に一対の接合部が結合されて断面コ字状となるので、型鋼を用いて安価に作製することができる。
第1及び第2の金具の少なくとも一方は、固定部に形成された貫通穴を利用して、第1及び/又は第2の部材に固定することができる。例えば、第1及び/又は第2の部材に予めねじ込んだラグスクリューボルトに、固定部の貫通穴に挿通したボルトをねじ込む。あるいは、固定部の貫通穴に挿通したラグスクリューを用いて、第1及び/又は第2の部材にねじ止めする。
好ましくは、前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、(a)板状であり、貫通穴が形成された前記固定部と、(b)板状であり、前記固定部の主面中央に結合され、前記固定部に関して片側のみに、前記固定部に対して直角に延在する前記接合部とを含む。
この場合、第1及び第2の金具の少なくとも一方は、固定部の主面中央に接合部が結合されて断面T字状となるので、型鋼を用いて安価に作製することができる。
第1及び第2の金具の少なくとも一方は、固定部に形成された貫通穴を利用して、第1及び/又は第2の部材に固定することができる。例えば、第1及び/又は第2の部材に予めねじ込んだラグスクリューボルトに、固定部の貫通穴に挿通したボルトをねじ込む。あるいは、固定部の貫通穴に挿通したラグスクリューを用いて、第1及び/又は第2の部材にねじ止めする。
好ましくは、前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、(a)板部材の一端側に貫通穴が形成された前記固定部と、(b)前記板部材の他端側に形成された前記接合部とを含む。
この場合、前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、一つの板部材に固定部と接合部の両方を形成するため、板部材を用いて安価に作製することができる。
前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、固定部に形成された貫通穴を利用して、第1及び/又は第2の部材に固定することができる。例えば、板部材の一端側に形成された固定部を、第1及び/又は第2の部材に予め形成されたスリット内に配置した状態で、第1及び/又は第2の部材にピンを打ち込み、ピンを固定部の貫通穴に差し込むことによって固定する。板部材の一端側に形成された固定部を、第1及び/又は第2の部材の側面に、固定部の貫通穴を利用してねじ止めしても構わない。
本発明によれば、初期剛性が高く、高靭性であり、終局耐力を所望のレベルに設定することができる木質部材の接合構造を提供できる。
接合構造の分解斜視図である。(実施例1) 接合構造の分解斜視図である。(実施例2) 接合構造の分解斜視図である。(実施例3) 接合構造の分解斜視図である。(実施例4) 第1の金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。(作製例) 第2の金具の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。(作製例) 接合構造の組立図である。(作製例) 試験装置の説明図である。(作製例) M−θ関係の包絡線を示すグラフである。(作製例) 接合構造の(a)斜視図、(b)引張荷重と変形量の関係を示すグラフである。(比較例) 接合構造の(a)要部拡大図、(b)引張荷重と変形量の関係を示すグラフである。(説明例) ラグスクリューボルトの写真である。(従来例) 接合構造の断面図である。(従来例)
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11を参照しながら説明する。
<動作原理> まず、接合構造の動作原理について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10(a)は、比較例の接合構造を模式的に示す斜視図である。図10(a)に示すように、断面コ字状の金具11,21が、ボルト40及びナット48を用いて強固に締め付けられている。金具11,21は、締め付けられて互いに圧着し、圧着面に作用する静止摩擦力によって相対移動が阻止された状態で接合されているが、静止摩擦力を超える荷重が作用すればすべりが発生して相対移動する。このような接合状態を、本明細書において摩擦接合と呼んでいる。
一方の金具11は、柱部材78の端面(木口)に予めねじ込まれたラグスクリューボルト60にボルト58を螺合することによって、柱部材78に固定されている。このように柱部材78と金具11,21とが直列に接続された状態で、柱部材78と他方の金具21とに、矢印で示すように互いに逆向きの引張荷重Pを作用させる。
このとき、金具11,21の摩擦接合力は、ラグスクリューボルト60が柱部材78から引き抜かれるときの荷重であるラグスクリューボルト60の引抜耐力よりも、小さくなるように構成する。すなわち、ラグスクリューボルト60の引抜耐力よりも小さい引張荷重Pによって、金具11,21にすべりが発生するように構成する。
この比較例の接合構造において、引張荷重と変形量とは、図10(b)のグラフに模式的に示すように、引張荷重が、摩擦接合された金具11,21においてすべりが発生するすべり発生耐力に達するまでの区間100では、金具11,21の摩擦接合状態が保持され、金具11,21は相対移動しない。そのため、接合構造は、初期剛性が非常に高い。
次いで、引張荷重がすべり発生耐力を越えると、金具11,21においてすべりが発生し、引張荷重が急激に低下する。そのため、明確な降伏点Yが現れる。
その後、金具11,21が互いに逆方向に相対移動して金具11,21の貫通穴の内周面にボルト40が当接すると、引張荷重が再び上昇する。そして、ボルト40がせん断破壊する支圧耐力Qに達すると、荷重が急激に低下する。引張荷重が再び上昇し、支圧耐力Qに達するまでの区間102においては、支圧接合状態となる。
図10(b)において破線で示すように、ラグスクリューボルト60の引抜耐力Fpが支圧耐力Qよりも低い場合には、ボルト40がせん断破壊する前に、ラグスクリューボルト60と柱部材78との接合が破壊され、接合構造は脆性的に破壊する。
そこで、本発明では、引張荷重が降伏点に達した後に、引張荷重の上昇をできるだけ抑制するために、図11(a)の要部拡大面に示すように、金具11,21の少なくとも一方(例えば金具11)に、ボルト40の円筒部44が挿通される貫通穴18に連通する長穴19を形成する。長穴19の短径Bは、ボルト40の円筒部44の直径Dよりもわずかに小さくしておき、支圧接合状態のときに、ボルト40の円筒部44が長穴19にめり込み、長穴19を押し広げるためにエネルギーが消費されるようにする。
長穴19の短径Bとボルト40の円筒部44の直径Dの差を調節することにより、図11(b)のグラフに模式的に示すように、降伏点Yから終局耐力Rに達するまでの区間104において、引張荷重の上昇を抑制し、引張荷重がラグスクリューボルト60の引抜耐力Fpを越えないような最適な条件を生み出すことができる。
<実施例1> 実施例1の接合構造1について、図1を参照しながら説明する。
図1は、接合構造1の分解斜視図である。図1に示す接合構造1は、柱70の側面70sに固定された第1の金具10と、梁72の端面72tに固定された第2の金具20とが、ボルト40及びナット48を用いて締め付けられて摩擦接合した状態で、柱70と梁72とを接合する。
第1の金具10は、板状の固定部12に板状の一対の接合部16p,16qが結合された断面コ字状の部材である。固定部12は、矩形形状であり、柱70の側面70sに固定される。一対の接合部16p,16qは、固定部12の互いに平行な一対の辺に結合され、固定部12に関して片側のみに、固定部12に対して直角に延在している。
固定部12には、接合部16p,16qが結合されていない他の一対の辺の付近、すなわち両端付近に貫通穴14が形成され、貫通穴14の間の中間部分に貫通穴15が形成されている。
接合部16p,16qには、貫通穴18及び長穴19が形成されている。貫通穴18は、接合部16p,16qの両端(図において上端及び下端)付近と中央の3か所に、円形に形成され、ボルト40が挿通される。長穴19は、接合部16p,16qの両端付近2か所の貫通穴18の両側に連通し、固定部12の法線方向と平行に延在するように形成され、長穴19の短径は貫通穴18の直径よりも小さく、ボルト40の円筒部44の直径よりも小さい。
第2の金具20は、第1の金具10と略同様に構成されているが、第1の金具10とは異なり、長穴が形成されていない。
すなわち、第2の金具20は、板状の固定部22に板状の接合部26p,26qが結合された断面コ字状の部材である。固定部22には、両端付近に貫通穴24(図1では一方のみを図示)が形成され、貫通穴24の間の中間部分に貫通穴25(図1では、図示せず。後述する図6参照)が形成されている。接合部26p,26qには、貫通穴28が形成されている。
第1の金具10と第2の金具20とは、後述する作製例(図7参照)と同様に、第1の金具10の接合部16p,16qの内側に、第2の金具20の接合部26p,26qが嵌まるように形成されている。すなわち、第1の金具10の接合部16p,16q内側の面16sの間の寸法と、第2の金具20の接合部26p,26qの外側の面26tの間の寸法とが同じになるように形成されている。
第1の金具10及び第2の金具20は、断面コ字状であるため、型鋼を用いて安価に作製することができる。
次に、接合構造1によって柱70と梁72とを接合する工程について説明する。
まず、第1の金具10を柱70の側面70sに固定し、第2の金具20を梁72の端面72tに固定する。
第1の金具10は、固定部12の貫通穴14にボルト50を挿通し、予め柱70の側面70sにねじ込まれているラグスクリューボルト60のめねじにボルト50を螺合するとともに、固定部12の貫通穴15にラグスクリュー52を挿通し、ラグスクリュー52を柱70にねじ込むことによって、柱70の側面70sに固定する。
同様に、第2の金具20は、固定部22の貫通穴24にボルト50を挿通し、予め梁72の端面72tにねじ込まれているラグスクリューボルト60のめねじにボルト50を螺合するとともに、固定部22の貫通穴25にラグスクリュー52を挿通し、ラグスクリュー52を梁72にねじ込むことによって、梁72の端面72tに固定する。
次いで、柱70と梁72とを所定位置に配置し、第1の金具10の接合部16p,16qの内側に、第2の金具20の接合部26p,26qが嵌まっている状態で、第1の金具10の接合部16p,16qの貫通穴18と、第2の金具20の接合部26p,26qの貫通穴28とにボルト40を挿通し、ボルト40のねじ部42にナット48を螺合することにより、第1の金具10の接合部16p,16qと第2の金具20の接合部26p,26qとを締め付ける。これにより、第1の金具10の接合部16p,16qと第2の金具20の接合部26p,26qとが摩擦接合し、柱70と梁72とが接合される。
ボルト40及びナット48を用いた締め付けによって、第1の金具10と第2の金具20とは摩擦接合される。すなわち、第1の金具10の接合部16p,16qの内側の面16sと、第2の金具20の接合部26p,26qの外側の面16tとが圧着し、圧着面に作用する静止摩擦力によって、第1の金具10と第2の金具20とは、相対移動が阻止された状態で接合される。
柱70に固定された第1の金具10の固定部12と、梁72に固定された第2の金具20の固定部22との間に作用する荷重が、静止摩擦力を越えないとき、柱70及び梁72は、相対移動しない第1の金具10及び第2の金具20を介して強固に接合された状態となる。そのため、接合構造1の初期剛性を高くすることができる。
第1の金具10の固定部12と第2の金具20の固定部22との間に作用する荷重が、静止摩擦力を越えると、第1の金具10の接合部16p,16qと第2の金具20の接合部26p,26qとの間にすべりが発生し、第1の金具10の接合部16p,16qと第2の金具20の接合部26p,26qとは相対移動する。このとき、ボルト40の円筒部44が、第1の金具10の接合部16p,16qに形成された長穴19にめり込み、第1の金具10の接合部16p,16qが塑性変形することによってエネルギーが吸収され、柱70と第1の金具10の固定部12との固定や、梁72と第2の金具20の固定部22との固定や、ボルト40及びナット48を介しての第1の金具10と第2の金具20との結合が破壊されないようにすることができる。これによって、接合構造1の靭性を高くすることができる。
第1の金具10と第2の金具20とは、連通する長穴19が形成されていない中央の貫通穴18に挿通されたボルト40を中心に回動するので、長穴19はモーメントの影響を受けて塑性変形する。ボルト40の円筒部44が長穴19にめり込むめり込み変形によって接合構造1の終局耐力が決まるように設計できるので、めり込み量を選択することで、希望するレベルの終局耐力を設定することができる。
第1の金具10を柱70に固定し、第2の金具20を梁72に固定するために用いるボルト50は、主に、ボルト50の軸方向に作用する引張力を負担し、柱70と梁72とを含む面内に作用する曲げモーメントに抗する。第1の金具10を柱70に固定し、第2の金具20を梁72に固定するために用いるラグスクリュー52は、主に、固定部12,22を介してラグスクリュー52に作用するせん断力を負担する。ボルト50は、軸方向(梁72の軸線と平行な方向)の引張力を負担し、ラグスクリュー52は、軸直角方向(柱70の軸線と平行な方向)のせん断力を負担するものと簡略化して強度計算すれば、設計が簡単になる。
接合構造1は、従来技術に比べ、以下の点で優れている。
1) 接合構造1では、図13のように、スクリュー部材の内部に長い中空孔をくり抜くという高度な加工が不要であり、コストを低減できる。
2) 接合構造1では、ラグスクリューボルト60には何ら加工や改良を加える必要はないので、従来のラグスクリューボルトがそのまま活用できる。また、特に接着剤を使用する必要もないので、経済的である。
3) 高張力ボルト(HTB)を用いた摩擦接合法は、鋼構造の分野で高度に発達した技術であり、その「すべり発生耐力」は使用する鋼材の摩擦面の仕様、HTBの仕様に応じてきめ細かに設定されており、再現性の信頼性は高い。そのため、降伏点を精度よく予測することができる。
4) ラグスクリューボルト60の引抜耐力を超えない範囲で、ボルト40及びナット48で締め付けた第1の金具10及び第2の金具20の摩擦接合の「すべり発生耐力」を設定することによって、接合構造1は、初期剛性が非常に高く、明確な降伏点を有する。すべり発生後は、支圧によって、ボルト40の円筒部44が長穴19にめり込んで第1の金具10の接合部16p,16qが塑性変形するので、接合構造1全体としてはわずかな荷重上昇を伴う大きな塑性変形を期待することができる。
5) 万一大地震によって接合構造1に大きな残留変形を生じても、ボルト40を第1の金具10,20に側面からに取り外することによって、必要な部材を簡単に取り替えることができるため、接合構造1を元の状態に復帰させることが極めて低コストで可能である。
<作製例>
次に、実施例1の作製例について、図5〜図9を参照しながら説明する。
図5は、作製例の第1の金具10kの(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。図5(a)に示すように、第1の金具10kは、固定部12に接合部16p,16qが溶接されている。
固定部12は、厚さ16mmの鋼板を用いて、86×290mmに加工した。固定部12には、基礎に固定するためのボルト56が挿通される直径18mmの貫通穴14を形成した。
接合部16p,16qは、厚さ9mmの鋼板を用いて、74×290mmに加工した。接合部16p,16qには、直径17mmの貫通穴18を形成した。また、両端の貫通穴18の両側に連通し、固定部12の法線方向両側に延在するように、短径14mmの長穴19を形成した。
図6は、作製例の第2の金具20の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。図6(a)に示すように、第2の金具20は、固定部22に接合部26p,26qが溶接されている。
第2の金具20は、厚さ16mmの鋼板を用いて、68×290mmに加工した。固定部22には、ラグスクリューボルト60に螺合するためのボルト50が挿通される直径18mmの貫通穴24と、ラグスクリュー52(図1参照)が挿通される直径21mmの貫通穴25とを形成した。
接合部26p,26qは、厚さ9mm鋼板を用いて、62×290mmに加工した。接合部26p,26qには、直径17mmの貫通穴28を形成した。
図7は、作製例の接合構造の組立図である。図7に示すように、第1の金具10kの固定部12を基礎90に固定するためのボルト56と、第2の金具20の固定部22を柱部材76に固定するためのボルト50には、ねじ部長さが50mm、円筒部長さが16mmのM16×66の高張力ボルトを用いた。基礎90に固定するためのボルト56には、六角穴付きボルト(キャップボルト)を用いた。
第1の金具10kの接合部16p,16qと第2の金具20の接合部26p,26qとを締め付けて摩擦接合するためのボルト40には、M16−F10T−高張力ボルトを用いた。
図8は、試験装置の説明図である。図8に示すように、鋼製の基礎90に、作製例の第1の金具10k及び第2の金具20を用いて、供試試験体の柱部材76の下端を固定した接合構造に、モーメントMを加えた。詳しくは、柱部材76の上端部に補強板94を介して治具96を取り付け、センサー(巻き取り式変位計)92で変位量を検出しながら自動加力制御油圧ジャッキ装置を用いて、柱部材76の下端から1490mmの位置に、矢印98で示すように往復荷重を加えた。柱部材76の下端を半剛節回転支点で水平変位はしないと仮定して、センサー92の変位量をセンサー92までの距離で除すことによって、、柱部材76の回転角θを算出した。載荷プロトコルは、1/300rad〜1/10radまでの変位制御10回繰り返し(各ピークでの繰り返しは1回)とした。
供試試験体に用いた集成材は、オウシュウアカマツ異等級構造用集成材で、JAS等級はE120−F330である。柱部材76の断面は120mm×300mm、長さ1700mmである。柱部材76の下端にねじ込んだラグスクリューボルト60は、ラグスクリューボルト研究会発行のラグスクリューボルト接合設計・施工マニュアル(2007年発行版)に示すMKラーメンシステム用のφ25mm×長さ360mmを用いた。
試験で得られた接合構造のモーメントM−回転角θの関係の包絡線を、図9に示す。
試験結果(SPIR−1〜SPIR−3)の曲線は、一度モーメントが20kNm辺りで一定になった後、再度上昇傾向を示している。これは、図5に示したように、第1の金具10kの接合部16p,16qに、ボルト40の進行を促す長穴19(ボルト40の円筒部44の直径より若干幅が狭い)を設けた結果、すべり発生後、ボルト40の円筒部44はこの長穴19を押し広げるように、第1の金具10kの接合部16p,16qの板に塑性変形を与えつつ、柱部材76の回転変形を増加させていったことを示している。
試験結果から得られた作製例の接合構造の性能を、次の表1に示す。
表1から看取されるように、初期剛性は十分満足のいく結果が得られた。また、粘り強さを示す塑性率も非常に大きい。したがって、高剛性で、かつ粘りのある接合構造であることが分かる。
<実施例2> 実施例2の接合構造2について、図2を参照しながら説明する。
実施例2は、実施例1と略同様に構成されている。以下では、実施例1と同様の構成部分には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
図2は、接合構造2の分解斜視図である。図2に示す接合構造2は、柱70に固定された第1の金具10aと、梁72に固定された第2の金具20とが、それぞれ、ボルト40及びナット48を用いて連結板30p,30qと摩擦接合されて摩擦接合した状態で、柱70と梁72とを接合する。
実施例1と異なり、第1の金具10aの接合部16p,16qには、貫通穴18のみが形成され、長穴19は形成されていない。また、第1の金具10aと第2の金具20とは、幅が等しい。すなわち、第1の金具10aの接合部16p,16qの外側の面16tの間の寸法と、第2の金具20の接合部26p,26qの外側の面26tの間の寸法と同じである。第1の金具10aと第2の金具20とは、同一部材にすることができる。
連結板30p,30qには、貫通穴32及び長穴34が形成されている。
貫通穴32は、それぞれ第1の金具10aの貫通穴18と第2の金具20の貫通穴28とに対応して形成されている。図2において左側の貫通穴32は、第1の金具10aの貫通穴18に対応して形成された第1の貫通穴である。図2において右側の貫通穴32は、第2の金具20の貫通穴28に対応して形成された第2の貫通穴である。
長穴34は、図2において上端側と下端側の貫通穴32の左右両側に連通し、梁72の軸線方向と平行に延在するように形成されている。長穴34の短径は、貫通穴32の直径よりも小さく、かつ、貫通穴32に挿通されるボルト40の円筒部44の直径よりも小さい。
次に、接合構造2により柱70と梁72とを接合する工程について説明する。
まず、第1の金具10aを柱70の側面70sに固定し、第2の金具20を梁72の端面72tに固定する。
次いで、柱70と梁72とを所定位置に配置し、図2において連結板30p,30qの左側を第1の金具10aの接合部16p,16qに、右側を第2の金具20の接合部26p,26qに、ボルト40及びナット48を用いて結合する。すなわち、第1の金具10の接合部16p,16qの貫通穴18と、連結板30p,30qの左側の貫通穴32とにボルト40を挿通し、ボルト40のねじ部42にナット48を螺合することにより、第1の金具10の接合部16p,16qと連結板30p,30qとをボルト40及びナット48で締め付けるとともに、第2の金具20の接合部26p,26qの貫通穴28と、連結板30p,30qの左側の貫通穴32とにボルト40を挿通し、ボルト40のねじ部42にナット48を螺合することにより、第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとを、ボルト40及びナット48で締め付ける。これにより、第1の金具10aの接合部16p,16q及び第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとが摩擦接合し、柱70と梁72とが接合される。
接合構造2は、柱70に固定された第1の金具10aの固定部12と、梁72に固定された第2の金具20の固定部22との間に作用する荷重が、ボルト40及びナット48により締め付けられた第1の金具10aの接合部16p,16q及び第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとに作用する静止摩擦力を越えないとき、柱70及び梁72は、相対移動しない第1の金具10a及び第2の金具20と連結板30p,30qとを介して強固に接合された状態となる。そのため、接合構造2の初期剛性を高くすることができる。
第1の金具10aの固定部12と第2の金具20の固定部22との間に作用する荷重が、ボルト40及びナット48により締め付けられた第1の金具10aの接合部16p,16q及び第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとに作用する静止摩擦力を越えると、すべりが発生し、第1の金具10aの接合部16p,16q及び/又は第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとは相対移動する。このとき、ボルト40の円筒部44が連結板30p,30qの長穴34にめり込み、塑性変形によってエネルギーが吸収され、柱70と第1の金具10aの固定部12との固定や、梁72と第2の金具20の固定部22との固定や、ナット48及びナット48を介しての第1の金具10a及び第2の金具20と連結板30p,30qとの結合が破壊されないようにすることができる。これによって、接合構造2の靭性を高くすることができる。
接合構造2は、ボルト40の円筒部44が連結板30p,30qの長穴34にめり込むめり込み変形によって終局耐力が決まるように設計することができので、めり込み量を選択することで、希望するレベルの終局耐力を設定することができる。
<実施例3> 実施例3の接合構造3について、図3を参照しながら説明する。
実施例3は、実施例2と略同様に構成されている。以下では、実施例2との相違点を中心に説明する。
図3は、接合構造3の分解斜視図である。図3に示す接合構造3は、柱71に固定された第1の金具10bと、梁73に固定された第2の金具20bとが、ボルト40及びナット48を用いて、連結板30p,30qと摩擦接合された状態で、柱71と梁73とを接合する。
第1及び第2の金具10b,20bは、実施例1、2と異なり、断面T字状である。すなわち、固定部12b,22bの主面中央に接合部16b,26bが結合されている。接合部16b,26bは、固定部12b,22bに関して片側のみに、固定部12b,22bに対して直角に延在している。第1の金具10bと第2の金具20bとは、同一部材にすることができる。
第1及び第2の金具10b,20bの固定部12b,22bには、接合部16b,26bの両側に、それぞれ、貫通穴14,24と貫通穴15,25とが形成されている。貫通穴14,24は、固定部12b,22bの両端(図3において上端及び下端)付近に形成され、ボルト50が挿通される。貫通穴15,25は、貫通穴14,24の間に形成され、ラグスクリュー52が挿通される。
第1及び第2の金具10b,20bの接合部16b,26bには、それぞれ、貫通穴18,28が形成されている。
第1及び第2の金具10b,20bの接合部16b,26bは、その両側に配置された連結板30p,30qを介して連結される。すなわち、第1の金具10bの接合部16p,16qの貫通穴18と、連結板30p,30qの左側の貫通穴32とにボルト40を挿通し、ボルト40のねじ部42にナット48を螺合することにより、第1の金具10bの接合部16p,16qと連結板30p,30qとを締め付けるとともに、第2の金具20bの接合部26p,26qの貫通穴28と、連結板30p,30qの左側の貫通穴32とにボルト40を挿通し、ボルト40のねじ部42にナット48を螺合することにより、第2の金具20の接合部26p,26qと連結板30p,30qとを締め付ける。これにより、第1の金具10bの接合部16b及び第2の金具20bの接合部26bと連結板30p,30qとが、互いに摩擦接合する。
第1の金具10b及び第2の金具20bは断面T字状であるので、型鋼を用いて安価に作製することができる。例えば、H型鋼を切断することにより、断面T字状にすることができる。
接合構造3は、実施例2と同様に、ボルト50及びラグスクリュー52を用いて、柱71に第1の金具10bを固定し、梁73に第2の金具20bに固定した後、柱71と梁73とを所定位置に配置した状態で、第1の金具10bの接合部16bと第2の金具20bの接合部26bとの両側に連結板30p,30qを配置し、ボルト40及びナット48を用いて、連結板30p,30qの一方側と第1の金具10bの接合部16bとを締め付け、連結板30p,30qの他方側と第2の金具20bの接合部26bとを締め付けることによって、第1の金具10bの接合部16b及び第2の金具20bの接合部26bと連結板30p,30qとを摩擦接合して、柱71と梁73とを接合する。
接合構造3は、実施例2と同様に、摩擦接合によって初期剛性を高くすることができ、連結板30p,30qの長穴34にボルト40の円筒部44がめり込むようにすることによって靭性を高くすることができ、めり込み量を選択することで、希望するレベルの終局耐力を設定することができる。
<実施例4> 実施例4の接合構造4について、図4を参照しながら説明する。
図4は、接合構造4の分解斜視図である。図4に示すように、接合構造4は、板状の第1及び第2の金具10c,20cを用いる。
第1及び第2の金具10c,20cは、板部材の一端側に固定部12c,22cが形成され、板部材の他端側に接合部16c,26cが形成されている。第1及び第2の金具10c,20cの一端側、すなわち固定部12c,22cには、貫通穴14c,24cが形成されている。第1及び第2の金具10c,20cの他端側、すなわち接合部16c,26cには、貫通穴18c,28cが形成されている。第1及び第2の金具10c,20cは、同一部材にすることができる。
第1の金具10c及び第2の金具20cは、板部材を用いて安価に作製することができる。
次に、接合構造4により柱70と梁72とを接合する工程について説明する。
まず、柱70に第1の金具10cを固定し、梁72を第2の金具20cに固定する。詳しくは、第1及び第2の金具10c,20cの固定部12c,22cを、柱70,72に予め形成されたスリット70x,72xに挿入し、第1及び第2の金具10c,20cの接合部16c,26cが突き出した状態で、柱70,72にピン59を打ち込む。このとき、第1及び第2の金具10c,20cの固定部12c,22cの貫通穴14c,24cにピン59を差し込むことによって、第1及び第2の金具10c,20cを固定する。
次いで、柱70と梁72とを所定位置に配置し、第1及び第2の金具10c,20cの接合部16c,26cの両側に連結板30p,30qを配置し、ボルト40及びナット48を用いて、連結板30p,30qの一方側(図4において左側)と第1の金具10cの接合部16cとを締め付け、連結板30p,30qの他方側(図4において右側)と第2の金具20cの接合部26cとを締め付ける。これにより、第1の金具10cの接合部16c及び第2の金具20cの接合部26cと連結板30p,30qとが摩擦接合し、柱70と梁72とが接合される。
接合構造4は、実施例1〜3と同様に、摩擦接合によって初期剛性を高くすることができ、連結板30p,30qの長穴34にボルト40の円筒部44がめり込むようにすることによって靭性を高くすることができ、終局耐力を明確に予想することができる。
なお、第1及び第2の金具10c,20cは、柱70及び梁72の内部に固定する代わりに、柱70及び梁72の外側に固定しても構わない。例えば、柱70の表面70kと梁72の表面72kに、固定部12c,22cの貫通穴14c,24cを利用してねじ止めにより固定しても構わない。
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の接合構造は、摩擦接合により初期剛性を高くすることができ、ボルトがめり込む長穴を設けることにより靭性を高くすることができ、めり込み量を選択することで、希望するレベルの終局耐力を設定することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、長穴に、ボルトの円筒部のみならず、ねじ部がめり込むように構成しても構わない。長穴は、貫通している場合を例示したが、長穴を非貫通(有底溝)にしてボルトを導くようにすることも可能である。
第1及び第2の金具には、断面コ字状、断面T字状、板状のいずれかの同タイプのもの同士を用いる場合を例示したが、異なるタイプのものを組み合わせて用いてもよい。
摩擦接合のためボルト及びナットを用いて締め付けるとき、ボルトとナットの間に座金を介在させても構わない。
1〜4 接合構造
10,10a,10b,10c,10k 第1の金具
12,12b,12c 固定部
14,14c,15 貫通穴
16,16b,16c,16p,16q 接合部
18,18c 貫通穴
19 長穴
20,20b,20c 第2の金具
22,22b,22c 固定部
24,24c,25 貫通穴
26,26b,26c,26p,26q 接合部
28,28c 貫通穴
30p,30q 連結板
32 貫通穴
34 長穴
40 ボルト
42 ねじ部(軸部)
44 円筒部(軸部)
48 ナット
50 ボルト
52 ラグスクリュー
56,58 ボルト
59 ピン
60 ラグスクリューボルト
70,71 柱(第1の部材)
72,73 梁(第2の部材)
76,78 柱部材
90 基礎

Claims (5)

  1. 少なくとも一方が木質部材である第1の部材と第2の部材とを接合する、木質部材の接合構造であって、
    互いに螺合するボルト及びナットと、
    固定部と、貫通穴が形成された接合部とが結合している第1及び第2の金具と、
    を備え、
    前記第1の金具の前記固定部は、前記第1の部材に固定され、
    前記第2の金具の前記固定部は、前記第2の部材に固定され、
    前記第1の金具の前記接合部と前記第2の金具の前記接合部とは、それぞれの前記貫通穴に前記ボルトが挿通され、前記ボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合し、
    前記第1及び第2の金具の少なくとも一方の前記接合部に、少なくとも一つの前記貫通穴に連通するように、かつ、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの軸部がめり込むことができるように、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの前記軸部の直径よりも小さい短径を有する長穴が形成されていることを特徴とする、木質部材の接合構造。
  2. 少なくとも一方が木質部材である第1の部材と第2の部材とを接合する、木質部材の接合構造であって、
    互いに螺合する第1及び第2のボルト及びナットと、
    固定部と、貫通穴が形成された接合部とが結合している第1及び第2の金具と、
    第1及び第2の貫通穴が形成された連結板と、
    を備え、
    前記第1の金具の前記固定部は、前記第1の部材に固定され、
    前記第2の金具の前記固定部は、前記第2の部材に固定され、
    前記第1の金具の前記接合部と前記連結板とは、前記第1の金具の前記接合部の前記貫通穴と前記連結板の前記第1の貫通穴とに前記第1のボルトが挿通され、前記第1のボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合し、
    前記第2の金具の前記接合部と前記連結板とは、前記第2の金具の前記接合部の前記貫通穴と前記連結板の前記第2の貫通穴とに前記第2のボルトが挿通され、前記第2のボルト及びナットにより締め付けられて摩擦接合し、
    前記連結板に、前記第1及び第2の貫通孔の少なくとも一つに連通するように、かつ、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの軸部がめり込むことができるように、当該貫通穴に挿通された前記ボルトの前記軸部の直径よりも小さい短径を有する長穴が形成されていることを特徴とする、木質部材の接合構造。
  3. 前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、
    板状であり、互いに平行な一対の辺を有し、貫通穴が形成された前記固定部と、
    板状であり、前記固定部の前記一対の辺に結合され、前記固定部に関して片側のみに、前記固定部に対して直角に延在する一対の前記接合部と、
    を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の木質部材の接合構造。
  4. 前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、
    板状であり、貫通穴が形成された前記固定部と、
    板状であり、前記固定部の主面中央に結合され、前記固定部に関して片側のみに、前記固定部に対して直角に延在する前記接合部と、
    を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の木質部材の接合構造。
  5. 前記第1及び第2の金具の少なくとも一方は、
    板部材の一端側に貫通穴が形成された前記固定部と、
    前記板部材の他端側に形成された前記接合部と、
    を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の木質部材の接合構造。
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