JP5712912B2 - ディスプレイ用カバーガラス - Google Patents
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本発明に基づいた実施の形態について説明する前に、本発明に関する比較例について、以下、図面を参照しながら説明する。比較例の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
図1は、比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10を備えるディスプレイ装置100の分解した状態を示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。図3は、ディスプレイ装置100の組み立てられた状態を示す断面図である。図4は、図2中のIV線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。
図1および図2に示すように、ディスプレイ用カバーガラス10のガラス形成部材10Gは、略平板状に形成された中央側領域13(図2参照)と、中央側領域13の外縁に連設された曲面領域14(図2参照)と、曲面領域14の中央側領域13とは反対側に連設された側部領域15(図2参照)と、を有する。
図4を参照して、ディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)の強度を向上させるため、ガラス形成部材10Gの表面11側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって表面側圧縮応力層17が形成される。表面側圧縮応力層17は、ガラス形成部材10Gの表面11付近に含有されるアルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって形成される。
Q1=2×C0×√(D×t/π) ・・・式(1)
つまり、ある時刻におけるイオン拡散量Qは、表面の単位面積当りで一定の値となる。たとえば、一辺の寸法Rを有する正方形の面積に対して、深さRまでイオン交換を行う場合、必要なイオン拡散量Q2は、次の式(2)のように表される。
Q2=R3 ・・・式(2)
また、表面積を上記の正方形と同一の値に維持したまま、上記の正方形の一辺のみを90°円弧状に曲げた場合、その形状の変化に応じて、その形状の面積に対して必要なイオン拡散量Q3は、次の式(3)のように表される。
Q3=R3×(1+(π/4)) ・・・式(3)
上記の式(3)からもわかるとおり、イオン交換量が一定である場合、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、中央側領域13等の平坦な部分に比べてイオン交換深さ(圧縮応力層の形成深さ)が浅くなる。一方で、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、その形状から最も強度が低くなりやすく、ヒビなどが入り易い部分である。
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図8〜図10を参照しながら説明する。本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスの全体的な構成は、上述の比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10(図1参照)と略同様である。以下の実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
図8は、実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスを示す断面図である。図8は、上述の比較例の図2に対応している。図9は、図8中のIX線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図9は、上述の比較例の図4に対応している。
図9を参照して、ガラス形成部材10Jの表面11側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって表面側圧縮応力層17が形成される。中央側領域13の表面11側には、深さT1を有する表面側圧縮応力層17が形成される。曲面領域14の表面11側には、深さT2を有する表面側圧縮応力層17が形成される。側部領域15の表面11側には、深さT3を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
本実施の形態のディスプレイ用カバーガラスにおいては、曲面領域14の厚さT14B(板厚)が中央側領域13の厚さT(板厚)よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、かつ、曲面領域14が凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成されている。このようなディスプレイ用カバーガラスを得るためには、まず、ディスプレイ用カバーガラスの素材(母材)となるガラス形成部材10Jを準備する。ガラス形成部材10Jの素材としては、たとえばソーダガラスである。
図12を参照して、上述の比較例および実施の形態に基づくディスプレイ用カバーガラスの製造方法を使用して、比較例1および実施例1の2種類のディスプレイ用カバーガラスをそれぞれ製造した。
比較例1に用いたガラス形成部材10Gの形状としては、中央側領域13の厚さT(図4参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の厚さT14は1.4mmであり、曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは1.0mmである。側部領域15の厚さT15は1.6mmである。
実施例1に用いたガラス形成部材10Jの形状としては、中央側領域13の厚さT(図9参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の厚さT14Bは2.2mmであり、曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは3.0mmである。側部領域15の厚さT15Bは1.6mmである。
σb3=(3PL)/(2wt2)
ここで、Pは最大荷重(N)(破断時の荷重)であり、Lは支持部材82,82の間隔であり、wはディスプレイ用カバーガラスの幅であり、tはディスプレイ用カバーガラスの板厚である。
Claims (6)
- ディスプレイの画像表示部を覆うように設けられるディスプレイ用カバーガラスであって、
アルカリ金属イオンを含有し、前記アルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって、表面側および裏面側に圧縮応力層がそれぞれ形成されたガラス形成部材を備え、
前記ガラス形成部材は、
前記ディスプレイに取り付けられた状態で前記表面側が外部に露出するとともに、前記画像表示部側に位置する前記裏面側から前記表面側に向かって光が透過する中央側領域と、
前記中央側領域の外縁に連設され、前記中央側領域から外方に向かうにつれて前記表面から遠ざかる方向に湾曲するように形成された曲面領域と、含み、
前記曲面領域の板厚は、前記中央側領域の板厚よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、
前記曲面領域は、前記曲面領域の湾曲の内側に位置する凹側領域のうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成されている、
ディスプレイ用カバーガラス。 - 前記曲面領域は、前記中央側領域の外縁の全周を囲うように環状に形成されている、
請求項1に記載のディスプレイ用カバーガラス。 - 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたって略同じ圧縮応力層の深さとなるように形成されている、
請求項1または2に記載のディスプレイ用カバーガラス。 - 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたって前記圧縮応力層の表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されている、
請求項3に記載のディスプレイ用カバーガラス。 - 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたってその厚さが20μm以上100μm以下となるように形成されている、
請求項1から4のいずれかに記載のディスプレイ用カバーガラス。 - 当該ディスプレイ用カバーガラスは、全面にわたってその板厚が0.4mm以上3.0mm以下の範囲内となるように形成されている、
請求項1から5のいずれかに記載のディスプレイ用カバーガラス。
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