JP5712912B2 - ディスプレイ用カバーガラス - Google Patents

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本発明は、曲面状に形成された部分を有するディスプレイ用カバーガラスに関する。
特開2006−221810号公報(特許文献1)、特開2004−339019号公報(特許文献2)、および特開2008−247732号公報(特許文献3)に開示されるように、イオン交換法を用いてガラスの表面に圧縮応力層を形成することによって、ガラスの表面の強度(表面応力値)を向上させる技術が知られている。
携帯電話またはタブレット型のPC(Personal computer)などの電子機器は、画像表示部を有するディスプレイを備えている。圧縮応力層の形成によって表面が化学強化されたガラス板は、ディスプレイ用カバーガラスとして、ディスプレイの画像表示部を覆うように設けられる。携帯電話などの電子機器(ディスプレイ装置)に組み込まれるディスプレイ用カバーガラスとしては、薄型のものが求められる一方で、落下などによる衝撃に耐えうるように、強度のより高いものが求められている。
近年では、タッチパネル式のディスプレイを備える電子機器(ディスプレイ装置)が急速に普及している。これに伴い、ディスプレイ用カバーガラスも、従前とは異なって使用者の手指によって押圧されたり、ペンなどによって押圧されたりする機会が増加している。このような背景の下でも、ディスプレイ用カバーガラスとしては強度のより高いものが求められている。
特開2006−221810号公報 特開2004−339019号公報 特開2008−247732号公報
曲面状に形成された部分を有するディスプレイ用カバーガラスが、携帯電話などの電子機器(ディスプレイ装置)に組み込まれたとする。ディスプレイ面の汚れなどを拭き取る場合、または、タッチパネル式に構成されたディスプレイ面が繰り返し操作される場合などには、ディスプレイ面が使用者によって押圧される。この際、ディスプレイ面に対する押圧力は、ディスプレイ面に直接的に作用するだけでなく、曲面状に形成された部分にも間接的に曲げ応力として作用する。
本発明は、曲面状に形成された部分において所定の強度を保つことが可能なディスプレイ用カバーガラスを提供することを目的とする。
本発明に基づくディスプレイ用カバーガラスは、ディスプレイの画像表示部を覆うように設けられるディスプレイ用カバーガラスであって、アルカリ金属イオンを含有し、上記アルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって、表面側および裏面側に圧縮応力層がそれぞれ形成されたガラス形成部材を備え、上記ガラス形成部材は、上記ディスプレイに取り付けられた状態で上記表面側が外部に露出するとともに、上記画像表示部側に位置する上記裏面側から上記表面側に向かって光が透過する中央側領域と、上記中央側領域の外縁に連設され、上記中央側領域から外方に向かうにつれて上記表面から遠ざかる方向に湾曲するように形成された曲面領域と、含み、上記曲面領域の板厚は、上記中央側領域の板厚よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、上記曲面領域は、上記曲面領域の湾曲の内側に位置する凹側領域のうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成されている。
好ましくは、上記曲面領域は、上記中央側領域の外縁の全周を囲うように環状に形成されている。好ましくは、上記ガラス形成部材に形成された上記圧縮応力層は、上記ガラス形成部材の全面にわたって略同じ圧縮応力層の深さとなるように形成されている。好ましくは、上記ガラス形成部材に形成された上記圧縮応力層は、上記ガラス形成部材の全面にわたって上記圧縮応力層の表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されている。
好ましくは、上記ガラス形成部材に形成された上記圧縮応力層は、上記ガラス形成部材の全面にわたってその厚さが20μm以上100μm以下となるように形成されている。好ましくは、当該ディスプレイ用カバーガラスは、全面にわたってその板厚が0.4mm以上3.0mm以下の範囲内となるように形成されている。
本発明によれば、曲面状に形成された部分において所定の強度を保つことが可能なディスプレイ用カバーガラスを得ることができる。
比較例におけるディスプレイ用カバーガラスを備えるディスプレイ装置の分解した状態を示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。 比較例におけるディスプレイ用カバーガラスを備えるディスプレイ装置の組み立てられた状態を示す断面図である。 図2中のIV線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。 比較例におけるディスプレイ用カバーガラスの化学強化処理前の状態を示す断面図である。 比較例におけるディスプレイ用カバーガラスの製造に用いられるガラス素材の表面に形成された圧縮応力層の深さと、その表面の強度(表面応力値)との関係を示す図である。 比較例におけるディスプレイ用カバーガラスの製造方法の浸漬工程におけるガラス形成部材の浸漬時間と、ガラス形成部材の表面に形成された圧縮応力層の形成深さとの関係を示す図である。 実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスを示す断面図である。 図8中のIX線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。 実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスの製造に用いられる貯留槽を示す斜視図である。 実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスの製造方法の浸漬工程におけるガラス形成部材の浸漬時間と、ガラス形成部材の表面に形成された圧縮応力層の形成深さとの関係を示す図である。 実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスに関して行なった実験の条件および実験の結果を示す図である。 実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスに関して行なった実験の条件を示す断面図である。
[比較例]
本発明に基づいた実施の形態について説明する前に、本発明に関する比較例について、以下、図面を参照しながら説明する。比較例の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(ディスプレイ用カバーガラス10)
図1は、比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10を備えるディスプレイ装置100の分解した状態を示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。図3は、ディスプレイ装置100の組み立てられた状態を示す断面図である。図4は、図2中のIV線に囲まれる領域を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、ディスプレイ装置100は、ディスプレイ用カバーガラス10、板状に形成される外装プレート20、外装プレート20の上に配置される回路基板30、回路基板30上に実装されたディスプレイ40、および回路基板30上に実装されたスピーカー50を備える。ディスプレイ用カバーガラス10は、矢印ARに示すように外装プレート20に取り付けられることによって、回路基板30、ディスプレイ40、およびスピーカー50を外装プレート20上に封止する。
ディスプレイ用カバーガラス10は、ディスプレイ40の画像表示部42を覆うように設けられるガラス形成部材10Gと、スピーカー50に対応するように設けられる開口部10Hと、を含む。開口部10Hは、ガラス形成部材10Gをその表面11(図2参照)側から裏面12(図2参照)側に向かって貫通するように形成されている。詳細は実施の形態の説明として後述されるが、以上のディスプレイ用カバーガラス10の構成については、比較例および後述の実施の形態の双方において共通している。
(ガラス形成部材10G)
図1および図2に示すように、ディスプレイ用カバーガラス10のガラス形成部材10Gは、略平板状に形成された中央側領域13(図2参照)と、中央側領域13の外縁に連設された曲面領域14(図2参照)と、曲面領域14の中央側領域13とは反対側に連設された側部領域15(図2参照)と、を有する。
本比較例における中央側領域13の外縁は、4つの角部が丸みを帯びた略矩形状に形成される。中央側領域13の対向する二辺(長辺)の寸法L1(図1参照)は、たとえば80mm以上250mm以下であり、中央側領域13の対向する他の二辺(短辺)の寸法L2は、たとえば50mm以上200mm以下である。曲面領域14は、中央側領域13から外方に向かうにつれて中央側領域13の表面11から遠ざかるように湾曲しており、全体として環状に形成されている。側部領域15は、曲面領域14のさらに外側に位置し、全体として環状に形成されている。
本比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)としては、中央側領域13の厚さT、曲面領域14の厚さT14(曲面領域14の表面に対する法線方向の厚さ)、および、側部領域15の厚さT15が、それぞれ略同一の値となるように構成される。
図2および図3に示すように、ディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)が外装プレート20(ディスプレイ40)に取り付けられた状態においては、ディスプレイ用カバーガラス10の表面11(以下、露出面という場合もある)側が、外部に露出する。
ガラス形成部材10Gの画像表示部42側に位置する裏面12(以下、非露出面という場合もある)側から表面11側に向かって光L(図2参照)がガラス形成部材10Gの中央側領域13を透過することによって、画像表示部42上に表示された各種の画像情報は使用者により認識される。中央側領域13の表面11がタッチパネル式のディスプレイ面を構成する場合、中央側領域13の表面11は使用者の手指90(図3参照)によって押圧されたり、中央側領域13の表面11はペン(図示せず)などによって押圧されたりする。
(表面側圧縮応力層17・裏面側圧縮応力層19)
図4を参照して、ディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)の強度を向上させるため、ガラス形成部材10Gの表面11側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって表面側圧縮応力層17が形成される。表面側圧縮応力層17は、ガラス形成部材10Gの表面11付近に含有されるアルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって形成される。
詳細は後述されるが、ガラス形成部材10Gの中央側領域13の表面11側には、深さT1を有する表面側圧縮応力層17が形成される。ガラス形成部材10Gの曲面領域14の表面11側には、深さT2を有する表面側圧縮応力層17が形成される。ガラス形成部材10Gの側部領域15の表面11側には、深さT3を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
同様に、ディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)の強度を向上させるため、ガラス形成部材10Gの裏面12側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって裏面側圧縮応力層19が形成される。裏面側圧縮応力層19も、ガラス形成部材10Gの裏面12付近に含有されるアルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって形成される。
詳細は後述されるが、ガラス形成部材10Gの中央側領域13の裏面12側には、深さT1を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。本比較例のガラス形成部材10Gは、曲面領域14を有している。曲面領域14の湾曲の内側(裏面12)には、凹側領域RRが形成される。ガラス形成部材10Gの曲面領域14の裏面12側(特に、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)には、深さT2A(T2A<T2)を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。ガラス形成部材10Gの側部領域15の裏面12側には、深さT3を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。
ガラスの表面に形成される圧縮応力層の深さが深くなるにつれて、ガラスの表面の強度も合わせて向上する。ガラスの表面に形成された圧縮応力層の深さが所定の値に到達した時点で、ガラスの表面の強度(表面応力値)は最大となる。ガラスの表面に形成される圧縮応力層の深さがさらに深くなると、最大となった時点の値をピークとして、ガラスの表面の強度は逆に減少に転じる。
図5は、本比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10(ガラス形成部材10G)の化学強化処理前の状態を示す断面図である。化学強化処理前のガラス形成部材10Gに対して表面側圧縮応力層17が形成される場合、図5中において点線で示される仮想曲線L16の深さまで表面側圧縮応力層17が形成された時点で、ガラス形成部材10Gの表面11の強度(表面応力値)としては最大となる。裏面12側についても同様に、化学強化処理前のガラス形成部材10Gに対して裏面側圧縮応力層19が形成される場合、図5中において点線で示される仮想曲線L18の深さまで裏面側圧縮応力層19が形成された時点で、ガラス形成部材10Gの裏面12の強度(表面応力値)としては最大となる。なお、仮想曲線L16および仮想曲線L18の各々の深さは、ガラス形成部材10Gの作成に用いられるガラスの組成などに応じて変化するものである。
表面側圧縮応力層17(図4参照)が形成される際には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の各々における表面11(露出面)側から徐々にイオン交換が実施され、表面11側からガラス形成部材10Gの内部に向かって徐々に表面側圧縮応力層17が形成される(矢印AR17参照)。
中央側領域13における仮想曲線L16の深さT1と同一の深さを有する表面側圧縮応力層17が中央側領域13に形成されることによって、中央側領域13の表面11の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの中央側領域13の表面11側には、深さT1を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
曲面領域14における仮想曲線L16の深さT2と同一の深さを有する表面側圧縮応力層17が曲面領域14に形成されることによって、曲面領域14の表面11の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの曲面領域14の表面11側には、深さT2を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
同様に、側部領域15における仮想曲線L16の深さT3と同一の深さを有する表面側圧縮応力層17が側部領域15に形成されることによって、側部領域15の表面11の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの側部領域15の表面11側には、深さT3を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
裏面側圧縮応力層19(図4参照)が形成される際には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の各々における裏面12(非露出面)側から徐々にイオン交換が実施され、裏面12側からガラス形成部材10Gの内部に向かって徐々に裏面側圧縮応力層19が形成される(矢印AR19参照)。
中央側領域13における仮想曲線L18の深さT1と同一の深さを有する裏面側圧縮応力層19が中央側領域13に形成されることによって、中央側領域13の裏面12の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの中央側領域13の裏面12側には、深さT1を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。
曲面領域14における仮想曲線L18の深さT2と同一の深さを有する裏面側圧縮応力層19が曲面領域14に形成された場合、曲面領域14の裏面12の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの曲面領域14の裏面12側(特に、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)には、深さT2A(T2A<T2)を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域における裏面側圧縮応力層19は、その強度(表面応力値)が最大(ピーク)となるように構成されてはいない。
詳細については後述されるが、この主な理由は、イオン交換(化学強化)の際、凹側領域RR以外の領域に供給される化学強化塩の量に比べて、凹側領域RRに供給される化学強化塩の量が凹側領域RRの形状に起因して少なくなるためである。換言すると、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)においては化学強化が行なわれにくく、裏面側圧縮応力層19は凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)には形成されにくいためである。
一方、側部領域15における仮想曲線L18の深さT3と同一の深さを有する裏面側圧縮応力層19が側部領域15に形成されることによって、側部領域15の裏面12の強度(表面応力値)は最大となる。上述のとおり、本比較例のガラス形成部材10Gの側部領域15の裏面12側には、深さT3を有する側部領域15が形成される。
ガラス形成部材10Gの製造に用いられるガラスの組成に応じて、表面11側における深さT1,T2,T3と、裏面12側における深さT1,T2,T3とは、それぞれ同一の値である場合もあるし、それぞれ異なる値である場合もある。深さT1,T2,T3の各々の値のそのものも、それぞれ同一である場合があるし、それぞれ異なる場合もある。
図6は、本比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10の製造に用いられるガラス形成部材10Gのガラス素材の表面に形成された圧縮応力層の深さと、その表面の強度(表面応力値)との関係を示す図である。図6に示すように、本比較例のディスプレイ用カバーガラス10の製造に用いられるガラス形成部材10Gは、表面側圧縮応力層17の深さT1,T2,T3の各値が40μmの際に、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の各々の表面11における強度(表面応力値)は最大となる。
裏面12側についても同様に、本比較例のディスプレイ用カバーガラス10の製造に用いられるガラス形成部材10Gは、裏面側圧縮応力層19の深さT1,T2,T3の各値が40μmの際に、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の各々の裏面12における強度(表面応力値)は最大となる。
なお、図6中の横軸に示される圧縮応力層の深さの各値は、神港精機株式会社製のポーラリメーターSF−IICを用いて測定されたものである。図6中の縦軸に示される表面応力値の各値は、有限会社折原製作所製のガラス表面応力計SURFACE STRESS METER「FSM−6000LE」を用いて測定されたものである。
図4および図5を再び参照して、上述のとおり、ガラス形成部材10Gの中央側領域13の表面11側には、深さT1を有する表面側圧縮応力層17が形成される。ガラス形成部材10Gの曲面領域14の表面11側には、深さT2を有する表面側圧縮応力層17が形成される。ガラス形成部材10Gの側部領域15の表面11側には、深さT3を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
ガラス形成部材10Gの中央側領域13の裏面12側には、深さT1を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。ガラス形成部材10Gの曲面領域14の裏面12側(特に、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)には、深さT2A(T2A<T2)を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。ガラス形成部材10Gの側部領域15の裏面12側には、深さT3を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。
すなわち、本比較例のガラス形成部材10Gに形成された表面側圧縮応力層17は、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の各々において、表面11側のガラス形成部材10Gの表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されている。ガラス形成部材10Gの表面側圧縮応力層17は、その形成深さが仮想曲線L16(図5参照)に沿うように形成されている。
裏面12側の裏面側圧縮応力層19については、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域(およびその近傍の領域)を除いて、裏面12側のガラス形成部材10Gの表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されている。裏面側圧縮応力層19は、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域(およびその近傍の領域)を除いて、その形成深さが仮想曲線L18(図5参照)に沿うように形成されている。
これらに対して、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域(およびその近傍の領域)における裏面側圧縮応力層19は、裏面12側のガラス形成部材10Gの表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるようには形成されていない。凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域(およびその近傍の領域)における裏面側圧縮応力層19は、その形成深さが仮想曲線L18(図5参照)に沿うようには形成されておらず、仮想曲線L18の深さよりも浅く形成されている。凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域における裏面側圧縮応力層19の表面応力値が、他の領域の各圧縮応力層17,19の表面応力値に比べて低くなっている。
このような裏面側圧縮応力層19が形成される原理について具体的に説明すると、イオン交換におけるイオン拡散量Q1は、イオン拡散係数D、化学強化時間t、および基準イオン濃度Cを用いると、次の式(1)のように表される。
Q1=2×C×√(D×t/π) ・・・式(1)
つまり、ある時刻におけるイオン拡散量Qは、表面の単位面積当りで一定の値となる。たとえば、一辺の寸法Rを有する正方形の面積に対して、深さRまでイオン交換を行う場合、必要なイオン拡散量Q2は、次の式(2)のように表される。
Q2=R ・・・式(2)
また、表面積を上記の正方形と同一の値に維持したまま、上記の正方形の一辺のみを90°円弧状に曲げた場合、その形状の変化に応じて、その形状の面積に対して必要なイオン拡散量Q3は、次の式(3)のように表される。
Q3=R×(1+(π/4)) ・・・式(3)
上記の式(3)からもわかるとおり、イオン交換量が一定である場合、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、中央側領域13等の平坦な部分に比べてイオン交換深さ(圧縮応力層の形成深さ)が浅くなる。一方で、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、その形状から最も強度が低くなりやすく、ヒビなどが入り易い部分である。
図7を参照して、イオン交換量が一定である場合、凹側領域RR(凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、中央側領域13等の平坦な部分に比べてイオン交換深さ(圧縮応力層の形成深さ)が浅くなる。図7は、本比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10の製造方法の浸漬工程におけるガラス形成部材10Gの浸漬時間と、ガラス形成部材10Gの表面に形成された圧縮応力層の形成深さとの関係を示す図である。
曲線P1に示されるように、約3.7時間の浸漬時間の経過後、中央側領域13には約40μmの圧縮応力層17,19が形成され、中央側領域13の表面応力値はピーク(図6参照)となる。一方、曲線P2に示されるように、約3.7時間の浸漬時間の経過後であっても、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域には約26μmの裏面側圧縮応力層19が形成されるに留まり、その領域の表面応力値はピークには到達していない。
ディスプレイ装置100(図3参照)が落下したり、ガラス形成部材10Gの表面11が使用者の手指90によって押圧されたり、表面11がペンなどによって押圧されたりしたとする。この場合には、中央側領域13(ディスプレイ面)に直接的に応力が作用するだけでなく、曲面状に形成された曲面領域14にも間接的に曲げ応力が作用する。
本比較例のディスプレイ用カバーガラス10においては、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域(およびその近傍の領域)における裏面側圧縮応力層19は、表面応力値がピークには到達しておらず、他の領域に比べて強度が低い状態となっている。
ディスプレイ装置100が落下したり、タッチパネル式の中央側領域13(ディスプレイ面)が使用者により繰り返し押圧されたりすることによって凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域に応力が集中した場合、その領域は十分に化学強化がされていないため、その領域(またはその近傍の領域)にヒビ割れなどが発生しやすくなっている。したがって、本比較例のディスプレイ用カバーガラス10によれば、曲面状に形成された曲面領域14(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)において所定の強度を保つことは困難となっている。
[実施の形態]
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図8〜図10を参照しながら説明する。本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスの全体的な構成は、上述の比較例におけるディスプレイ用カバーガラス10(図1参照)と略同様である。以下の実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(ガラス形成部材10J)
図8は、実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスを示す断面図である。図8は、上述の比較例の図2に対応している。図9は、図8中のIX線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図9は、上述の比較例の図4に対応している。
図8および図9に示すように、本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスのガラス形成部材10Jも、略平板状に形成された中央側領域13と、中央側領域13の外縁に連設された曲面領域14と、曲面領域14の中央側領域13とは反対側に連設された側部領域15と、を有する。
本実施の形態における中央側領域13の外縁は、4つの角部が丸みを帯びた略矩形状に形成される(図1参照)。好ましくは、中央側領域13の対向する二辺(長辺)の寸法(図1における寸法L1参照)は80mm以上250mm以下であり、中央側領域13の対向する他の二辺(短辺)の寸法(図1における寸法L2参照)は50mm以上200mm以下である。
曲面領域14は、中央側領域13から外方に向かうにつれて中央側領域13の表面11から遠ざかるように湾曲している。曲面領域14は、中央側領域13の外縁の全周を囲うように環状に形成されている。側部領域15は、曲面領域14のさらに外側に位置し、曲面領域14と同様に環状に形成されている。本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラス(ガラス形成部材10J)としては、中央側領域13の厚さTよりも、曲面領域14の厚さT14B(曲面領域14の表面に対する法線方向の厚さ)の方が大きい値となっている。
より具体的には、曲面領域14の厚さT14B(板厚)は、中央側領域13の厚さT(板厚)よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚くなるように構成されている。また、中央側領域13の厚さTよりも、側部領域15の厚さT15Bの方が大きい値となっている。好ましくは、ディスプレイ用カバーガラスの全面にわたって、板厚(厚さT,T14B,T15B)の各値が0.4mm以上3.0mm以下の範囲内となるように形成されるとよい。
ディスプレイ用カバーガラス(ガラス形成部材10J)が外装プレート20(ディスプレイ40)に取り付けられた状態においては、ディスプレイ用カバーガラスの表面11(露出面)側が、外部に露出する。
ガラス形成部材10Jの画像表示部42側に位置する裏面12(非露出面)側から表面11側に向かって光Lがガラス形成部材10Jの中央側領域13を透過することによって、画像表示部42上に表示された各種の画像情報は使用者により認識される。中央側領域13の表面11がタッチパネル式のディスプレイ面を構成する場合、中央側領域13の表面11は使用者の手指90(図3参照)によって押圧されたり、中央側領域13の表面11はペン(図示せず)などによって押圧されたりする。
(表面側圧縮応力層17・裏面側圧縮応力層19)
図9を参照して、ガラス形成部材10Jの表面11側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって表面側圧縮応力層17が形成される。中央側領域13の表面11側には、深さT1を有する表面側圧縮応力層17が形成される。曲面領域14の表面11側には、深さT2を有する表面側圧縮応力層17が形成される。側部領域15の表面11側には、深さT3を有する表面側圧縮応力層17が形成される。
同様に、ガラス形成部材10Jの裏面12側には、中央側領域13、曲面領域14、および側部領域15の全体にわたって裏面側圧縮応力層19が形成される。中央側領域13の裏面12側には、深さT1を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。曲面領域14の裏面12側(特に、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)には、深さT2Bを有する裏面側圧縮応力層19が形成される(T2B>T2A)。側部領域15の裏面12側には、深さT3を有する裏面側圧縮応力層19が形成される。
本実施の形態のガラス形成部材10Jは、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが、2.5mm以上となるように形成されている。上述の比較例におけるガラス形成部材10Gの曲面領域14は、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが、2.5mmよりも小さい値(たとえば1.0mm)となるように形成されている。
本実施の形態の凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)においては、上述の比較例の凹側領域RRに比べて化学強化が行われ易くなっており、裏面側圧縮応力層19は、凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)にも適切に形成されることが可能となっている(T2B>T2A)。
ディスプレイ装置100(図3参照)が落下したり、ガラス形成部材10Jの表面11が使用者の手指90(図3参照)によって押圧されたり、表面11がペンなどによって押圧されたりしたとする。この場合には、中央側領域13(ディスプレイ面)に直接的に応力が作用するだけでなく、曲面状に形成された曲面領域14にも間接的に曲げ応力が作用する。本実施の形態のディスプレイ用カバーガラスにおいては、曲面領域14の湾曲の内側に位置する凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域においても、裏面側圧縮応力層19が適切な厚さを持って形成されている。
ディスプレイ装置100が落下したり、タッチパネル式の中央側領域13(ディスプレイ面)が使用者により繰り返し押圧されたりすることによって凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域に応力が集中したとしても、その領域は十分に化学強化されているため、その領域にヒビ割れなどが発生するということは効果的に抑制されている。したがって、本実施の形態のディスプレイ用カバーガラスによれば、曲面状に形成された曲面領域14(特に凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)においても所定の強度を保つことが可能となっている。
また、本実施の形態のガラス形成部材10Jにおいては、曲面領域14の厚さT14B(板厚)は、中央側領域13の厚さT(板厚)よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚くなるように構成されている。この構成によっても、本実施の形態のディスプレイ用カバーガラスは、曲面状に形成された曲面領域14(特に凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)において所定の強度を保つことが可能となっている。
本実施の形態のガラス形成部材10Jに形成された各圧縮応力層17,19としては、ガラス形成部材10Jの全面にわたって圧縮応力層の深さが略同じ値となるように形成されていてもよい。ここで、「ガラス形成部材10Jの全面にわたって圧縮応力層の深さが略同じ値」とは、ガラス形成部材10Jに形成された圧縮応力層の深さが、ガラス形成部材10Jに形成された圧縮応力層の深さの平均値に対して±5μmの範囲以内となる値のことを意味する。当該構成によれば、ガラス形成部材10Jに形成された各圧縮応力層17,19としては、表面11側および裏面12側の双方において略同じ圧縮応力層の深さとなるように形成され、ディスプレイ用カバーガラスの全体としての強度を向上させることができる。
凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域における裏面側圧縮応力層19は、その表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さ(深さT2)(T2>T2B)となるように形成されていてもよい。当該構成によれば、ガラス形成部材10Jに形成された圧縮応力層17,19は、ガラス形成部材10Jの全面にわたって圧縮応力層の表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されることとなり、いっそうの強度向上を得ることが可能となる。なお、「表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さ」とは、(表面応力値が実際にピークとなる際の圧縮応力層の深さ)±5μmの範囲以内となる値のことを意味する。
さらに好ましくは、ガラス形成部材10Jに形成された表面側圧縮応力層17および裏面側圧縮応力層19としては、ガラス形成部材10Jの全面にわたってその厚さ(形成深さT1,T2,T3、およびT2B)が20μm以上100μm以下となるように形成されているとよい。ディスプレイ用カバーガラスの全体としての強度をより一層向上させることが可能となる。
(ディスプレイ用カバーガラスの製造方法)
本実施の形態のディスプレイ用カバーガラスにおいては、曲面領域14の厚さT14B(板厚)が中央側領域13の厚さT(板厚)よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、かつ、曲面領域14が凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成されている。このようなディスプレイ用カバーガラスを得るためには、まず、ディスプレイ用カバーガラスの素材(母材)となるガラス形成部材10Jを準備する。ガラス形成部材10Jの素材としては、たとえばソーダガラスである。
素材としてのガラス形成部材10Jを得るためには、ガラス板材から削り出すことによってガラス形成部材10Jを形成してもよいし、ガラス板材からガラスゴブを形成し、そのガラスゴブを金型上で再溶融させた後にプレス加工するいわゆるリヒートプレス法によって形成してもよいし、下型上に溶融ガラスを滴下した後にその溶融ガラスを下型および上型によってプレス加工するいわゆるダイレクトプレス法によって形成してもよい。
本実施の形態において準備されるガラス形成部材10Jの形状としては、中央側領域13の厚さT(図9参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の厚さT14Bは2.2mmであり、曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは3.0mmである。側部領域15の厚さT15Bは1.6mmである。
なお、上述の比較例のガラス形成部材10Gの形状としては、中央側領域13の厚さT(図4参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは1.0mmである。側部領域15の厚さT15は1.6mmである。
図10を参照して、次に、化学強化塩66が貯留された貯留槽64を準備する。貯留槽64は、硝酸カリウム(純度98%)などの化学強化塩66を貯留しており、貯留槽64の化学強化塩66を貯留する内壁の寸法は、たとえば300mm×300mm×300mmである。貯留槽64の周囲に配置された加熱装置(図示せず)を用いて、化学強化塩66の温度は約400℃に設定される。
ガラス形成部材10Jは、化学強化塩66の内部に浸漬される(矢印DR1参照)。所定の浸漬時間の経過後、ガラス形成部材10Jの表面11および裏面12には圧縮応力層17,19がそれぞれ形成される。ここで、イオン交換(化学強化)の際、凹側領域RR以外の領域に供給される化学強化塩の量に比べて、凹側領域RRに供給される化学強化塩の量はやや少ない。凹側領域RR(特に、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)においては化学強化がやや行なわれにくい。
図11を参照して、イオン交換量が一定である場合、凹側領域RR(凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)は、中央側領域13等の平坦な部分に比べてイオン交換深さ(圧縮応力層の形成深さ)がわずかに浅くなる。図11の曲線P3は、本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスの製造方法の浸漬工程におけるガラス形成部材10Jの浸漬時間と、ガラス形成部材10Jの表面に形成された圧縮応力層の形成深さとの関係を示す図である。
曲線P3に示されるように、本実施の形態におけるガラス形成部材10Jに対する化学強化処理の際には、約3.7時間の浸漬時間の経過後、中央側領域13には約40μmの圧縮応力層17,19が形成され、中央側領域13の表面応力値はピーク(図6参照)となる。一方、曲線P3に示されるように、約3.7時間の浸漬時間の経過後には、凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域には約36μmの裏面側圧縮応力層19が形成される。
凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の表面応力値はピークとはならないものの、上述の比較例の場合(26μm)に比べて厚い(ピークに近い)裏面側圧縮応力層19をその領域に形成することが可能となっている。こうして、本実施の形態におけるディスプレイ用カバーガラスを得ることができる。
[実験例]
図12を参照して、上述の比較例および実施の形態に基づくディスプレイ用カバーガラスの製造方法を使用して、比較例1および実施例1の2種類のディスプレイ用カバーガラスをそれぞれ製造した。
(比較例1)
比較例1に用いたガラス形成部材10Gの形状としては、中央側領域13の厚さT(図4参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の厚さT14は1.4mmであり、曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは1.0mmである。側部領域15の厚さT15は1.6mmである。
比較例1としては、上述のように準備されたガラス形成部材10Gを、化学強化塩66が貯留された貯留槽64内に3.7時間浸漬した。比較例1に基づく製造方法により得られたディスプレイ用カバーガラスは、中央側領域13に40μmを有する圧縮応力層が形成され、曲面領域14(凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)に26μmを有する圧縮応力層が形成された。圧縮応力層の形成深さの値は、神港精機株式会社製のポーラリメーターSF−IICを用いて測定されたものである(以下の実施例1についても同様である)。
(実施例1)
実施例1に用いたガラス形成部材10Jの形状としては、中央側領域13の厚さT(図9参照)が0.6mmであり、中央側領域13の寸法L1(図1参照)および寸法L2(図1参照)はそれぞれ110mm×60mmである。曲面領域14の厚さT14Bは2.2mmであり、曲面領域14の裏面12側(凹側領域RR)における近似Rは3.0mmである。側部領域15の厚さT15Bは1.6mmである。
実施例1としては、上述のように準備されたガラス形成部材10Jを、化学強化塩66が貯留された貯留槽64内に3.7時間浸漬した。実施例1に基づく製造方法により得られたディスプレイ用カバーガラスは、中央側領域13に40μmを有する圧縮応力層が形成され、曲面領域14(凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域)に36μmを有する圧縮応力層が形成された。
図13を参照して、比較例1および実施例1の各々に基づく製造方法により得られたディスプレイ用カバーガラスに対して3点曲げ強さ測定試験を実施した。具体的には、ディスプレイ用カバーガラスの長辺方向(DR10)に間隔を空けて対向するように支持部材82,82を配置し、その表面にディスプレイ用カバーガラスを橋渡し状に載置した。支持部材82上にディスプレイ用カバーガラスが載置された状態においては、支持部材82は、ディスプレイ用カバーガラスの端部から寸法W1(ここでは5mm)だけ内側に変位したところに位置する。
支持部材82の長さは約50mmであり、支持部材82の先端部は、上記の長辺方向に沿ってのみ球面状に形成されており、その曲率半径R82は3.2mmである。支持部材82上にディスプレイ用カバーガラスを載置した後、ディスプレイ用カバーガラス(中央側領域13)の表面の中央部分に対して押圧部材80を当接させた。
押圧部材80の長さは約50mmであり、押圧部材80の先端部は、上記の長辺方向に沿ってのみ球面状に形成されており、その曲率半径R80は3.2mmである。押圧部材80をディスプレイ用カバーガラス(中央側領域13)の表面に当接させた状態で、0.5mm/minの速度で押圧部材80をディスプレイ用カバーガラスに対して押し込んだ(矢印DR80参照)。押圧部材80は、ディスプレイ用カバーガラスが破断するまで下降させた。
3点曲げ強さの結果(図12参照)としては、次の式で与えられる値σb3に基づいて評価した。
σb3=(3PL)/(2wt
ここで、Pは最大荷重(N)(破断時の荷重)であり、Lは支持部材82,82の間隔であり、wはディスプレイ用カバーガラスの幅であり、tはディスプレイ用カバーガラスの板厚である。
図12に示すように、比較例1に基づく製造方法により得られたディスプレイ用カバーガラスは、3点曲げ強さの評価値σb3として、280MPaという結果が得られた。これに対して、実施例1に基づく製造方法により得られたディスプレイ用カバーガラスは、3点曲げ強さの評価値σb3として、400MPaという結果が得られた。
比較例1および実施例1の実験結果を比較すると、曲面領域14の厚さT14(板厚)が中央側領域13の厚さT(板厚)よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、かつ、曲面領域14が凹側領域RRのうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成さすることによって、3点曲げ強さの評価値σb3として高い値が得られることがわかる。
以上、本発明に基づいた実施の形態、比較例、および実験例について説明したが、今回開示された実施の形態、比較例、および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 ディスプレイ用カバーガラス、10G,10J ガラス形成部材、10H 開口部、11 表面、12 裏面、13 中央側領域、14 曲面領域、15 側部領域、17 表面側圧縮応力層、19 裏面側圧縮応力層、20 外装プレート、30 回路基板、40 ディスプレイ、42 画像表示部、50 スピーカー、64 貯留槽、66 化学強化塩、80 押圧部材、82 支持部材、90 手指、100 ディスプレイ装置、AR,AR17,AR19,DR1,DR80 矢印、L 光、L1,L2,R,W1 寸法、L16,L18 仮想曲線、P1,P2,P3 曲線、R80,R82 曲率半径、RR 凹側領域、T,T14,T15,T14B,T15B 厚さ、T1,T2,T3,T2A,T2B 深さ。

Claims (6)

  1. ディスプレイの画像表示部を覆うように設けられるディスプレイ用カバーガラスであって、
    アルカリ金属イオンを含有し、前記アルカリ金属イオンがそのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する化学強化塩にイオン交換されることによって、表面側および裏面側に圧縮応力層がそれぞれ形成されたガラス形成部材を備え、
    前記ガラス形成部材は、
    前記ディスプレイに取り付けられた状態で前記表面側が外部に露出するとともに、前記画像表示部側に位置する前記裏面側から前記表面側に向かって光が透過する中央側領域と、
    前記中央側領域の外縁に連設され、前記中央側領域から外方に向かうにつれて前記表面から遠ざかる方向に湾曲するように形成された曲面領域と、含み、
    前記曲面領域の板厚は、前記中央側領域の板厚よりも0.5mm以上2.5mm以下の範囲で厚く、
    前記曲面領域は、前記曲面領域の湾曲の内側に位置する凹側領域のうちの近似Rが最も小さい領域の近似Rが2.5mm以上となるように形成されている、
    ディスプレイ用カバーガラス。
  2. 前記曲面領域は、前記中央側領域の外縁の全周を囲うように環状に形成されている、
    請求項1に記載のディスプレイ用カバーガラス。
  3. 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたって略同じ圧縮応力層の深さとなるように形成されている、
    請求項1または2に記載のディスプレイ用カバーガラス。
  4. 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたって前記圧縮応力層の表面応力値が略ピークとなる際の圧縮応力層の深さとなるように形成されている、
    請求項3に記載のディスプレイ用カバーガラス。
  5. 前記ガラス形成部材に形成された前記圧縮応力層は、前記ガラス形成部材の全面にわたってその厚さが20μm以上100μm以下となるように形成されている、
    請求項1から4のいずれかに記載のディスプレイ用カバーガラス。
  6. 当該ディスプレイ用カバーガラスは、全面にわたってその板厚が0.4mm以上3.0mm以下の範囲内となるように形成されている、
    請求項1から5のいずれかに記載のディスプレイ用カバーガラス。
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