以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機用扉体の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機用扉体が適用された自動販売機を概念的に示す概念図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、外箱10、外扉50及び内扉60を備えている。
外箱10は、図2に示すように、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成した自動販売機本体であり、前面が開口した箱状に構成してある。より具体的には、上壁11、一対の側壁12、底壁13、背壁14を接合することによって外箱10を構成している。一対の側壁12は、それぞれ底壁13よりも下方に延在しており、互いの間に台座壁15を接合してある。
外箱10には、その内部に断熱構造の商品収容室20が設けてある。本実施の形態では、図2に示すように、上壁11、一対の側壁12、底壁13、背壁14の内壁面にそれぞれ予め板状に成形した断熱ボード21を配設することにより、これら断熱ボード21によって囲まれる空間に商品収容室20を構成している。そして、商品収容室20に対して前方側より例えば2つの断熱仕切板22を挿入させることで、外箱10の内部に3つの独立した商品収容庫23が左右に並んだ態様で設けられている。
図3は、図1に示した外箱10の内部における1つの商品収容庫23の内部構造を示す断面側面図である。この図3では、最も左側にある商品収容庫(以下、左庫ともいう)23の内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)23及び右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)23の内部構造も左庫と略同じような構成を有している。尚、本明細書における左側とは、自動販売機を正面側から見た場合の左方を示し、右側とは、自動販売機を正面側から見た場合の右方を示す。
左庫の内部には、搬出シュータ24が設けてあり、この搬出シュータ24よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット25が配設してある一方、搬出シュータ24よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック40が配設してある。
搬出シュータ24は、商品収納ラック40から払い出された商品を内扉60(下部内扉60b)の商品搬出口61に案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設してある。この搬出シュータ24には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔が多数穿設してある。
温度調節ユニット25は、左庫の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、蒸発器25a、電熱ヒータ25b及び庫内送風ファン25cを備えて構成してある。
蒸発器25aは、圧縮機261、凝縮器262及び膨張弁263と冷媒配管27にて接続されて冷凍サイクルを構成するものであり、自身の流路を通過する冷媒が蒸発することで周囲空気を冷却するものである。ここで、圧縮機261、凝縮器262及び膨張弁263は、外箱10の内部であって商品収容室20の下方に区画された機械室16に配設してある。
電熱ヒータ25bは、蒸発器25aの前方域に配設してあり、通電状態となることにより自身の周囲空気を加熱する加熱源である。庫内送風ファン25cは、左庫(商品収容庫23)の内部空気を循環させるための送風手段である。
このような温度調節ユニット25においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で庫内送風ファン25cを駆動すると、蒸発器25aにおいて冷却された空気が搬出シュータ24の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック40(商品収納領域)を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ25bに通電した状態で庫内送風ファン25cを駆動すると、電熱ヒータ25bによって加熱された空気が搬出シュータ24の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック40(商品収納領域)を高温状態に維持することができる。
図4は、図1及び図2に示した商品収容室20を構成するもので、底壁13の設置部位に配設される断熱ボード21を示す斜視図である。ここで例示する断熱ボード21は、第1断熱板材211と第2断熱板材212とを備えて構成してある。
第1断熱板材211は、例えば発泡スチロールで構成される矩形状の板材であり、底壁13の設置部位を覆うのに十分な大きさを有している。この第1断熱板材211には、第1通孔部2111、第2通孔部2112、設置凹部2113が設けてある。
第1通孔部2111は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、第1断熱板材211の前端部に設けてある。これら第1通孔部2111は、冷凍サイクルを構成する冷媒配管27が挿通するものであり、左側の第1通孔部2111には左庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通し、中央の第1通孔部2111には中庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通し、右側の第1通孔部2111には右庫23の蒸発器25aに接続される冷媒配管27が挿通する。
第2通孔部2112は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、第1断熱板材211の後部に設けてある。これら第2通孔部2112は、それぞれドレンパン(図示せず)を設置するためのドレンパン凹部2114に形成されている。ここでドレンパンは、上記蒸発器25aの結露水を受け止める皿状のものである。従って、ドレンパン凹部2114に設置されたドレンパンの上に上記蒸発器25aが配設されることになる。つまり、左側のドレンパン凹部2114に設置されたドレンパンの上には左庫23の蒸発器25aが配設され、中央のドレンパン凹部2114に設置されたドレンパンの上には中庫23の蒸発器25aが配設され、右側のドレンパン凹部2114に設置されたドレンパンの上には右庫23の蒸発器25aが配設されることになる。
第2通孔部2112は、それぞれドレンパンにその底部に連通する態様で連結されたドレンパイプ(図示せず)が挿通するものである。
設置凹部2113は、複数(図示の例では2つ)設けてあり、左側のドレンパン凹部2114及び中央のドレンパン凹部2114に連続する態様でその前方に設けてある。この設置凹部2113が設けられる個所は、上記電熱ヒータ25bが配設される個所である。ここで、設置凹部2113が右側のドレンパン凹部2114の周囲に設けられていないのは、右庫23は冷却専用の商品収容庫23であり、加熱源である電熱ヒータ25bが配設されないからである。
第2断熱板材212は、例えば発泡ウレタンのような第1断熱板材211よりも高い耐熱性能を有する断熱材で構成される板材である。このような第2断熱板材212は、設置凹部2113に適合する形態を成しており、図示の例では矩形状を成している。かかる第2断熱板材212は、設置凹部2113に嵌め込まれた形態で第1断熱板材211に載置され、自身の上面が第1断熱板材211の上面と同一平面を構成するようにしてある。そして、この第2断熱板材212の上面に上記電熱ヒータ25bが配設されることになる。
上記商品収容室20の内部には、図5〜図7に示すように、上端部に前方フレーム材28及び後方フレーム材29を介して複数(図示の例では3つ)のラック支持フレーム30が左右方向に沿って並設してある。
ラック支持フレーム30は、商品収納ラック40を保持するためのもので、それぞれが一対の縦フレーム材31の間に複数の横フレーム材32を架設することによって予め格子状に構成してある。
縦フレーム材31は、図7に示すように、長尺平板状の縦材水平部31aと、縦材水平部31aの一端部から直角に屈曲した長尺平板状の縦材垂下部31bとを有したもので、横断面がL字状を成している。縦フレーム材31における縦材水平部31aの前端部には、それぞれネジ孔31cが設けてある。各ラック支持フレーム30の縦フレーム材31は、互いに縦材水平部31aの他端縁を対向させる態様で相互に平行に配設してある。
それぞれの縦フレーム材31の後端部には、載置部31d及び係合部31eが設けてある。載置部31dは、図8に示すように、縦材垂下部31bの下縁よりも上方となる位置に設けた下方に向く下面である。係合部31eは、載置部31dよりも後方側に位置する部位から下方に向けて突設した舌片状部分である。これら載置部31d及び係合部31eは、いずれも縦フレーム材31の縦材垂下部31bと同一の板厚に構成してある。
横フレーム材32は、長尺平板状の横材水平部32aと、横材水平部32aの一端縁部から直角に屈曲した長尺平板状の横材垂下部32bと、横材垂下部32bの延在縁部から横材水平部32aに対して平行に延在した後に該横材水平部32aに向けて直角に屈曲した係止部32cとを有している。このような横フレーム材32は、横材水平部32aの各端部をそれぞれ縦フレーム材31における縦材水平部31aの上面に接合させ、互いに平行となる態様で一対の縦フレーム材31に接合してある。
このようなラック支持フレーム30においては、断熱ブロック材35が保持されている。断熱ブロック材35は、横フレーム材32と略同一の長さ(左右長さ)を有しており、発泡スチロール等の弾性を有する断熱材から構成されるものである。この断熱ブロック材35は、前方及び側方に開口する保持溝351が形成してある。保持溝351は、前方から後方に向けてその上下幅が漸次小さくなる楔状の形態を成している。
かかる断熱ブロック材35は、縦フレーム材31の縦材垂下部31bの後端部に形成された切起部33が保持溝351に進入することで該切起部33に載置されており、これによりラック支持フレーム30に保持されている。この断熱ブロック材35の後端部は、縦フレーム材31の載置部31dの位置まで延在しており、側方から見た場合に該載置部31dに重なっている(図8参照)。
尚、図6に示すように、上記自動販売機においては、互いに左右幅の異なる3種類のラック支持フレーム30を備えているが、これら3種類のラック支持フレーム30は、横フレーム材32及び断熱ブロック材35の長さのみが異なるもので、個々の詳細構成は互いに同一である。そして、互いに隣接するラック支持フレーム30間に断熱仕切板22が挿入されることになる。これにより、最も左側にあるラック支持フレーム30は、左庫23において商品収納ラック40を保持するものであり、中央のラック支持フレーム30は、中庫23において商品収納ラック40を保持するものであり、最も右側のラック支持フレーム30は、右庫23において商品収納ラック40を保持するものである。
ラック支持フレーム30を保持する前方フレーム材28及び後方フレーム材29は、金属によって成形した取付部材であり、それぞれ複屈曲した横断面形状を成している。前方フレーム材28は、フランジ部28cを介して上壁11の前縁部下面に接合してあり、該上壁11の下面から下方に向けて突出するとともに左右方向に沿って延在している。
後方フレーム材29は、フランジ部29cを介して背壁14上縁部(内壁後縁部)の前面に接合してあり、該背壁14の前面から前方に向けて突出するとともに、左右方向に沿って延在している。
尚、前方フレーム材28及び後方フレーム材29を外箱10に接合する方法としては、例えば溶接やネジ止めを適用すれば良い。これらの接合方法は、いずれか一方を適用しても良いし、両方を併用するようにしても良い。
これら前方フレーム材28及び後方フレーム材29には、互いに対応する部位にスリット29dが複数形成してある(前方フレーム材28のスリットは図示せず)。ここで、後方フレーム材29に設けたスリット29dは、図9に示すように、基部29aと上方側に位置する側部29bとに亘る部位に溝状に設けたもので縦フレーム材31の縦材垂下部31bを挿入することのできる大きさに形成してある。
上述した前方フレーム材28と後方フレーム材29との間にラック支持フレーム30を保持させる場合には、まず、縦フレーム材31の前端部を前方フレーム材28のスリットに挿入する。次に、縦フレーム材31の後端部に設けた係合部31eを後方フレーム材29のスリット29dに挿入し、係合部31eを後方フレーム材29の内部に位置させるとともに、載置部31dを介して縦フレーム材31の後端部を後方フレーム材29に載置させる。その後、ネジ等の締結部材を用いることでラック支持フレーム30は、外箱10の上壁11の下面から離隔する態様で商品収容庫23の内部にて前方フレーム材28及び後方フレーム材29に保持されることになる。
上述したように、ラック支持フレーム30には断熱ブロック材35が保持されており、この断熱ブロック材35は、後端部は縦フレーム材31の載置部31dの位置まで延在している。そのため、ラック支持フレーム30(縦フレーム材31の後端部)が載置部31dを介して後方フレーム材29に載置されることになると、図10に示すように、断熱ブロック材35が弾性変形することでその一部が後方フレーム材29のスリット29d(係合部31eが挿入したスリット29dだけでなく、縦フレーム材31間にあるすべてのスリット29d)の内部に進入するとともに、後方フレーム材29の商品収容庫23への露出部分を覆うことになる。
ところで、図8や図10に示すように、断熱ブロック材35は、上端部と下端部との形態が異なっている。すなわち、上端部は水平面を形成しているのに対し、下端部の後方側には、下方に向けて突出部352が形成してある。つまり、断熱ブロック材35の下端部においては、その前方側と後方側との間に段差が形成してある。
このように断熱ブロック材35における上端部と下端部との形態を異なるものとしたので、図11に示すように、断熱ブロック材35を保持する個所の上方域が横フレーム材32との接合個所となる場合に、かかる断熱ブロック材35を上下逆にすることで該接合個所に干渉することなく断熱ブロック材35を保持することが可能になる。
商品収納ラック40は、図3及び図5に示すように、一対の側板41の間にセグメントと称される湾曲形状部材42を配設することによって上下方向に沿って延在する蛇行状の商品収納域43を構成したもので、該商品収納域43に商品を収納する一方、商品払出指令が与えられた場合に払出機構44を通じて対応する商品の払い出しを行うものである。本実施の形態では、それぞれの商品収容庫23に複数の商品収納域43を有した商品収納ラック40を前後に配設するようにしている。
それぞれの商品収納ラック40は、側板41の上端部に設けた取付金具45をラック支持フレーム30の横フレーム材32に係止させ、さらにはこれら取付金具45及びラック支持フレーム30の横フレーム材32をネジ46によって互いに螺着することにより、ラック支持フレーム30に吊下保持させてある。
外扉50は、外箱10の前面開口を覆うためのもので、外箱10の一側縁部に開閉可能に配設してある。外扉50の前面には、商品を販売する際に必要となるディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けてあるとともに(いずれも図示せず)、商品取出口51が設けてある。
また、この外扉50には、商品取出部52(図1及び図3参照)が設けてある。商品取出部52は、商品収容庫23における商品収納ラック40から払い出されて内扉60の商品搬出口61を通過した商品を収容し、かつ商品取出口51を通じて該商品を取出可能にするものである。
内扉60は、商品収容庫23(商品収容室20)の前面を覆うためのもので、外扉50よりも内方となる位置において外箱10の一側縁部に開閉可能に配設したものである。この内扉60は、上下に分割された構造を有しており、商品収容庫23(商品収容室20)の前面開口の上部側を覆う上部内扉(自動販売機用扉体)60aと、商品収容庫23(商品収容室20)の前面開口の下部側を覆う下部内扉60bとから構成してある。
上部内扉60aは、図12に示すように、発泡ウレタン等の断熱材から構成される矩形状の断熱扉本体71に、その縁部に金属によって形成した補強金部材72を配設することにより構成してある。
そして、補強金部材72のうち断熱扉本体71の下端部に設けられたもの(以下、下端補強金部材72ともいう)は、断熱扉本体71の幅方向に沿って延在する長尺状部材である。この下端補強金部材72は、図13に示すように、断熱扉本体71の下端面に接する補強水平部721と、この補強水平部721の前縁部に接続してこの前縁部から上方に向けて延在した後に補強水平部721に対して平行に延在する補強基部722と、この補強基部722の延在端部より断熱扉本体71の前面に接する態様で上方に向けて延在してその途中から前方に傾斜しながら上方に向けて延在する補強保持部723とを有している。
このような下側補強金部材72においては、上部内扉60aの前面、すなわち断熱扉本体71の前面に生じた結露水を、補強保持部723と断熱扉本体71の前面との間で貯留させることができる。また、下側補強金部材72においては、補強保持部723と断熱扉本体71の前面との間に例えば不織布等から構成される蒸発シート体73が差し込まれるように立設してある。かかる蒸発シート体73は、毛管現象により結露水を吸水するものである。
これにより上部内扉60aにおいては、その前面に生じた結露水は、下方に向けて滴下する途中で蒸発シート体73に吸水、あるいは下側補強金部材72により貯留された後に蒸発シート体73に吸水されることになる。
下部内扉60bは、図1及び図3に示すように、各商品収容庫23に対応した部位に商品搬出口扉62を備えた商品搬出口61を備えており、商品収納ラック40から商品が搬出シュータ24に払い出された場合に商品搬出口61を通じて商品を商品取出部52に搬出することが可能である。
このような下部内扉60bは、図14に示すように、扉本体81と、前面側板金本体82と、商品搬出口枠83とを備えて構成してある。
扉本体81は、発泡ウレタン等の断熱材によって予め板状に成形したものであって、下部内扉60bの外径寸法と略同一の大きさを有している。この扉本体81には、上述した商品搬出口61に対応する部位にそれぞれ搬出用開口81aが形成してある。各搬出用開口81aは、それぞれ一様な幅をもって扉本体81の下方に延在し、該扉本体81の下端面に開放している。図には明示していないが、この扉本体81においては、表裏両面にそれぞれ面材として樹脂フィルムやクラフト紙が貼付してある。
前面側板金本体82は、金属製の板状部材によって成形したもので、扉本体81と同様に下部内扉60bの外径寸法と略同一の大きさを有している。この前面側板金本体82は、図15に示すように、扉本体81の搬出用開口81aに対応する切欠82aを有したものであり、この切欠82aの上縁部よりも下方側となる下端部が後方に屈曲した形態を成している。また、前面側板金本体82には、各切欠82aの両側部には、上下方向が長手方向となる長孔である係止孔82bが形成してある。更に、前面側板金本体82は、扉本体81の前面を覆う態様で配設してある。尚、この前面側板金本体82を扉本体81に配設する方法としては、両面テープ等を適用すれば良い。
かかる前面側板金本体82は、本実施の形態においては次のようにして作成されるものである。金属製の板状部材85に対して切削加工を施すが、この際、図16に示すように、切欠82aを形成する部位851に除去部材86が該板状部材85とミクロジョイント87により連結されるように溝88を形成する。このように除去部材86がミクロジョイント87により連結されてなる板状部材85に対して、その下端部に曲げ加工を施す。その後にミクロジョイント87で連結された除去部材86を除去することで、図17に示すような板状部材85が得られる。かかる板状部材85を適宜屈曲させることにより、図15に示すような前面側板金本体82が作成される。
つまり、前面側板金本体82は、板状部材85の切欠82aを形成する部位851に除去部材86が該板状部材85にミクロジョイント87により連結されるよう溝88が形成され、曲げ加工が施された後に除去部材86が除去されることで切欠82aが形成されて成るものである。
商品搬出口枠83は、下部内扉60bの商品搬出口61を規定するためのもので、それぞれ樹脂材によって矩形の枠状に構成してある。各商品搬出口枠83には、図18に示すように、上枠83a1、一対の側枠83a2及び下枠83a3を四周枠として形成した枠本体83aに背面フランジ83b及び前面フランジ83cが設けてある。これら背面フランジ83b及び前面フランジ83cは、枠本体83aの開口周縁部から外方に向けて延在した部分である。また、商品搬出口枠83は、その枠本体83aにおける両側枠83a2の前面が上記前面側板金本体82の下端部に適合するよう、その途中の高さレベルから下部に向けて漸次後方に傾斜する傾斜面となっている。更に、かかる傾斜面を構成する前面フランジ83cには、後方に向けて突出する係止フック部831が形成してある。
上記商品搬出口枠83における枠本体83aの周縁外部においては、断面形状が三角状を成す突起部832が下枠83a3を除く全周域に亘って形成してある。また、図19に示すように、商品搬出口枠83においては、枠本体83aにおける両側枠83a2の内面上部に商品搬出口扉62の開閉移動軸となるヒンジ構造部833が形成してあり、かかるヒンジ構造部833を成形するための型抜き孔834が各側枠83a2に形成してある。
上記の構成を有する商品搬出口枠83は、扉本体81に前面側板金本体82を配設した後、図20に示すように、扉本体81の下端面から搬出用開口81aにスライドさせることによって当該扉本体81に装着される。この場合、背面フランジ83bを扉本体81の背面に重ね合わせるとともに、前面フランジ83cを前面側板金本体82の前面に重ね合わせた状態で扉本体81に対する商品搬出口枠83の装着を行う。つまり、商品搬出口枠83の背面フランジ83bと前面フランジ83cとで扉本体81及び前面側板金本体82とを挟み込むようにして商品搬出口枠83の装着を行う。扉本体81に装着した商品搬出口枠83は、例えば前面フランジ83cを介して前面側板金本体82にネジ止めすることによって所望の位置に固定する。この際、図21に示すように、商品搬出口枠83に形成した係止フック部831を前面側板金本体82の係止孔82bに進入させて前面側板金本体82に引っ掛けておくことで商品搬出口枠83の内倒れを防止している。
このようにして商品搬出口枠83が扉本体81に装着することで、枠本体83aに形成された突起部832は、図22に示すように扉本体81の搬出用開口81a縁部に食い込むことになる。
そして、図23に示すように、商品搬出口枠83が装着された扉本体81に対し、扉本体81の幅方向が長手方向となる長尺状板材である案内部材84が扉本体81の下端面及び商品搬出口枠83の下枠83a3を覆う態様でネジ止め等によって取り付けられることで下部内扉60bが形成される。
案内部材84は、上述したように扉本体81の幅方向が長手方向となる長尺状板材であり、金属により構成されるものである。この案内部材84は、複屈曲した横断面形状を有しており、図24に示すように、案内基部841と案内端部842とを有している。案内基部841は、扉本体81の下端部背面及び商品搬出口枠83の下枠83a3背面を覆うとともに、扉本体81の下端面及び商品搬出口枠83の下枠83a3の下面を覆う態様で途中で屈曲して成る部位であり、ネジにより扉本体81に取り付けられている。案内端部842は、案内基部841の前縁部より下方に屈曲して、前面側板金本体82の傾斜面に連なって同一平面を形成するよう下方に向けて延在して成る部位である。つまり案内端部842は、下方に向かうに連れて扉本体81の背面側に向かうよう傾斜している。
このような案内部材84は、下部内扉60bの外表面(特に前面)に生じた結露水を、案内端部842の前面を通じて滴下させ、図25に示すように、外箱10の底壁13に配設された樋部材17に案内するものである。ここで、樋部材17は、商品収容庫23の気密性を確保する観点から設けられたガスケット部材18とともに底壁13の前端面に取り付けてある。樋部材17は、案内部材84から案内された結露水を所定の蒸発皿(図示せず)に導くためのものである。
そして、かかる案内部材84には、案内端部842にスペーサ部材90が配設してある。スペーサ部材90は、例えば樹脂材により構成されるものであり、案内端部842の前面側に突出する態様で案内部材84の長手方向に沿って所定間隔毎に複数配設してある。
このようなスペーサ部材90は、内扉60(上部内扉60a及び下部内扉60b)が全商品収容庫23(商品収容室20)の前面開口を閉成するとともに、外扉50が外箱10の前面開口を閉成する場合に、案内端部842と商品取出部52の端部との間に介在してこれらの間に隙間Sを形成するものである。より詳細に説明すると、内扉60が全商品収容庫23の前面開口を閉成する場合には、外箱10に設けられたガスケット部材18を押圧することとなるが、かかるガスケット部材18からの反力により内扉60(特に下部内扉60b)の下端部が前方側(商品収容庫23から離間する側)に撓むことになる。このように内扉60の下端部が撓むこととなってもスペーサ部材90が外扉50の商品取出部52の端部に当接することで、案内部材84と商品取出部52との間に間隙を形成することになる。
以上のような構成を有する自動販売機においては、外箱10の底壁13の設置部位に配設された断熱ボード21は、該設置部位を覆う態様で配設された第1断熱板材211と、この第1断熱板材211よりも高い耐熱性能を有し、設置凹部2113に嵌め込まれた形態で該第1断熱板材211に載置される第2断熱板材212とを備えているため、最も高温となる電熱ヒータ25bの設置個所にのみ第2断熱板材212を設置すればよく、底壁13の設置部位全域には第1断熱板材211のみを設置すればよい。しかも、第1通孔部2111や第2通孔部2112等は第1断熱板材211にのみに形成すればよい。
従って、第2断熱板材212の材料コストを低減させることで断熱ボード21全体の材料コストの低減化を図ることができ、しかも第2断熱板材212は設置凹部2113に適合するような例えば矩形状にのみ形成し、第1断熱板材211にのみ第1通孔部2111や第2通孔部2112等の形成を行えばよいので、加工コストの低減化も図ることができる。よって、コストの低減化を図ることができる。また、第1断熱板材211のみを底壁13の設置部位に配設すればよく、二重構造の断熱構造を配設していた従来に比して設置作業における作業効率の向上を図ることもできる。
また、上記自動販売機においては、ラック支持フレーム30が載置部31dを介して後方フレーム材29に載置されることになると、断熱ブロック材35が弾性変形することでその一部が後方フレーム材29のスリット29dの内部に進入するとともに、後方フレーム材29の商品収容庫23への露出部分を覆うことになるので、取付部材である後方フレーム材29からの熱リークを低減させることができる。しかも、断熱ブロック材35はラック支持フレーム30に保持されているので、断熱ブロック材35を単独で設置する必要がなく、ラック支持フレーム30の取り付けに合わせて設置させることができるので、断熱作業を容易なものとすることができる。
従って、後方フレーム材29の熱リークを低減させつつ、断熱作業を簡単なものとすることができる。
また、上記自動販売機においては、上部内扉60aの下側補強金部材72に立設された蒸発シート体73が、その前面に生じた結露水を毛管現象により吸水しているので、従来のように補強金部材に結露水を貯留しているだけに比べて結露水を蒸発させやすくなり、上側内扉60を開閉移動させる際に結露水が遠心力により床等に滴下してしまうことを抑制することができる。従って、上部内扉60aの外表面に生じた結露水を積極的に蒸発させることができる。
また、上記自動販売機においては、下部内扉60bを構成する前面側板金本体82は、板状部材85の切欠82aする部位に除去部材86が該板状部材85にミクロジョイント87により連結されるよう溝88が形成され、曲げ加工が施された後に除去部材86が除去されることで切欠82aが形成されて成るものであるので、汎用の型機構を用いつつ曲げ加工を良好に行うことができる。従って、従来のように専用の型機構等を必要とせずに、製造コストを低減させることができる。
また、上記自動販売機においては、下部内扉60bを構成する商品搬出口枠83は、扉本体81における搬出用開口81aの縁部と接触する面に搬出用開口81aの縁部に食い込む態様で形成された突起部832を備えているので、扉本体81と商品搬出口枠83との気密性を良好に確保することができる。
しかも、商品搬出口枠83の側枠83a2に商品搬出口扉62のヒンジ構造部833を成型するための型抜き孔834が形成してあるので、かかる型抜き孔834を通じて下部内扉60bの内外方向に空気が流れることがなく、気密性の向上を図ることができる。
更に、商品搬出口枠83は、係止フック部831を前面側板金本体82の係止孔82bに進入させて前面側板金本体82に引っ掛けておくことで内倒れを防止しているので、係止フック部831等に応力集中が発生する虞れもなく、販売荷重に対する強度を十分なものとすることができ、しかも係止孔82bに係止フック部831を進入させるだけなので、商品搬出口枠83の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
また、上記自動販売機においては、スペーサ部材90は、内扉60(上部内扉60a及び下部内扉60b)が全商品収容庫23(商品収容室20)の前面開口を閉成するとともに、外扉50が外箱10の前面開口を閉成する場合に、商品取出部52の端部に当接してこの端部と案内端部842との間に隙間Sを形成するので、内扉60の外表面で生じた結露水は、案内部材84の案内端部842の外表面を滴下して樋部材17に案内されることになる。つまり、内扉60の外表面で生じた結露水が外扉50の商品取出部52に進入することを防止することができる。よって、内扉60の外壁面で生じた結露水が商品取出部52に進入することなく樋部材17に案内することができる。
しかも、スペーサ部材90が商品取出部52の端部に当接することで、内扉60の撓み量を規制することができ、商品の通過寸法を十分に確保することができる。更に、内扉60とガスケット部材18との密着も十分に行えるために商品収容庫23間における気密性も良好なものとすることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明なこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、案内部材84と商品取出部52との間の隙間Sを形成するためのスペーサ部材90は、案内部材84に配設されていたが、本発明においては、商品取出部に配設され、内扉の構成部材に当接するようにしても良い。これによっても内扉の外表面に生じた結露水が商品取出部に進入することを防止することができる。