JP5712549B2 - 化学蓄熱体およびその製造方法 - Google Patents

化学蓄熱体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5712549B2
JP5712549B2 JP2010228489A JP2010228489A JP5712549B2 JP 5712549 B2 JP5712549 B2 JP 5712549B2 JP 2010228489 A JP2010228489 A JP 2010228489A JP 2010228489 A JP2010228489 A JP 2010228489A JP 5712549 B2 JP5712549 B2 JP 5712549B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
chemical heat
silicate
chemical
storage body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010228489A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012082292A (ja
Inventor
青木 正和
正和 青木
志満津 孝
孝 志満津
山内 崇史
崇史 山内
満 松本
満 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2010228489A priority Critical patent/JP5712549B2/ja
Publication of JP2012082292A publication Critical patent/JP2012082292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5712549B2 publication Critical patent/JP5712549B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

本発明は、アンモニアを作動流体とする化学蓄熱体およびその製造方法に関する。
二酸化炭素(CO)の排出削減が強く要請される昨今、エネルギー効率の向上や省エネルギー化を図るための研究開発が盛んに進められている。その一つに、各種の機器やプラントから生じる廃熱(または排熱)などを有効利用できる蓄熱システムがある。特に化学蓄熱システムは、体積あたりの蓄熱量が大きく、長期間の蓄熱が可能であり有望である。この具体例として、下記の特許文献1等では、水酸化カルシウムの脱水反応時の吸熱と酸化カルシウムの水和反応時の発熱とを利用したシステムを提案している。
もっとも、脱水反応を利用するには、ある程度の高温熱源が必要となる。このため、より低温域の廃熱等をも有効に回収し、さらなるエネルギー効率の向上を図るには、より低温域でも作動し得る化学蓄熱システムが必要となる。そこで、低温域でも気体になり易いアンモニアと金属塩化物(CaCl、NiCl等)との反応(アンモニア錯体生成反応)を利用した化学蓄熱システムが提案されている。これに関連する記載が、下記の特許文献2〜4等にある。ちなみに下記の特許文献5は、蓄熱体ではなく、単にアンモニアの貯蔵を目的としたアンモニア貯蔵体に関するものである。
特開2009−257698号公報 特開平5−264187号公報 特開平6−109388号公報 特開平6−136357号公報 WO2010/025948号公報
ところで化学蓄熱システムでは、円滑に系外と反応熱を交換し、発熱反応または吸熱反応を安定的に継続させることが重要である。この点、上記の特許文献等にある従来の化学蓄熱システムでは、化学蓄熱材として粉末状のCaCl等をそのまま利用していたため、反応熱の滞留が生じ易く、作動が安定しなかった。
また、その粉末状の化学蓄熱材を成形した化学蓄熱体であっても、アンモニアの吸蔵および放出によって生じる体積膨張または体積収縮が繰り返される結果、化学蓄熱体にクラックや割れが生じ、最終的にはその化学蓄熱材が微粉化していた。このため、やはり、化学蓄熱システムを安定的に運転することは困難であった。このような課題は、特に、化学蓄熱システムの小型化や高出力化を図る際に問題となる。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、アンモニアを作動流体とする化学蓄熱システムを安定的に作動させ得る化学蓄熱体と、その製造に適した化学蓄熱体の製造方法を併せて提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、金属塩化物からなる化学蓄熱材をケイ酸塩で結着させることにより、アンモニアの吸蔵または放出を安定的に行える化学蓄熱体が得られることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《化学蓄熱体》
(1)本発明の化学蓄熱体は、アンモニアの吸蔵または放出により発熱または吸熱する蓄熱粒子と該蓄熱粒子を結着させるバインダーとを混合した混合物の成形体を焼成した焼成体からなる化学蓄熱体であって、前記蓄熱粒子は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素または遷移金属元素の一種以上と塩素との化合物である金属塩化物を含み、前記バインダーは、前記化学蓄熱材全体を100質量%としたときに1〜40質量%であるケイ酸塩を含み、前記金属塩化物のモル数(Nm)に対する含有する水のモル数(Nw)の比である含水比R(R=Nw/Nm)が1〜4である金属塩化水和物を含む焼成前の蓄熱粒子を用いて露点−40℃以下の低湿度環境下で混合および成形して製造されたことを特徴とする。
(2)本発明の化学蓄熱体は、化学蓄熱材である金属塩化物の蓄熱粒子とケイ酸塩との混合物からなる成形体を焼成した焼成体からなる。このため本発明の化学蓄熱体は、機械的強度に優れ、アンモニアとの脱着反応が繰り返されても、容易に割れ等を生じることもない。また、バインダーであるケイ酸塩の存在により、本発明の化学蓄熱体は、比較的低い成形圧力で所望する化学蓄熱システムに適した種々の形状に成形され得る。すなわち、形状自由度が非常に高い。このため本発明の化学蓄熱体は、アンモニアの吸脱をし易い形状(空孔率等)にも、また外部との熱交換し易い形状にもなり易い。こうして本発明の化学蓄熱体は、アンモニアとの反応性に優れ、安定的で制御性に優れる化学蓄熱システムの構築を容易にする。
(3)もっとも、アルカリ土類金属等の塩化物からなる蓄熱粒子のバインダーとしてケイ酸塩が何故優れているのか、その理由は必ずしも定かではないが、アルカリ土類金属等の塩化物と適度な反応性を有するためと考えられる。
《化学蓄熱体の製造方法》
本発明は上述の化学蓄熱体としてのみならず、その製造方法としても把握される。すなわち本発明は、アンモニアの吸蔵または放出により発熱または吸熱する蓄熱粒子からなる蓄熱粉末と該蓄熱粒子を結着させるバインダーとを混合した混合物を得る混合工程と、該混合物を加圧成形した成形体を得る成形工程と、該成形体を焼成した焼成体を得る焼成工程と、を備える化学蓄熱体の製造方法であって、前記蓄熱粒子は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素または遷移金属元素の一種以上と塩素との化合物である金属塩化物を含み、前記バインダーは、前記化学蓄熱材全体を100質量%としたときに1〜40質量%となるケイ酸塩を含み、前記成形体は水を含み、前記金属塩化物のモル数(Nm)に対する含有する水のモル数(Nw)の比である含水比R(R=Nw/Nm)が1〜4である金属塩化水和物を含む焼成前の蓄熱粒子を用いて露点−40℃以下の低湿度環境下で混合および成形して製造されることを特徴とする化学蓄熱体の製造方法でもよい。
《その他》
(1)化学蓄熱体は、上述した金属塩化物やケイ酸塩以外に、種々の改質元素や改質材を含有してもよい。また原料中に含まれる不純物や各工程時に混入等する不純物などであって、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な不可避不純物を含有し得ることはいうまでもない。
(2)化学蓄熱体(焼成体)の形態は問わないが、例えば、シート状、板状、バルク状、棒状、管状等にし得る。また本発明の化学蓄熱体は、加工前の素材でも最終的な製品(部品)でも良い。
(3)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の下限値または上限値は、任意に組合わされて「a〜b」のような範囲を構成し得る。さらに本明細書に記載した範囲内に含まれる任意の数値を、数値範囲を設定するための上限値または下限値とすることができる。
各試料(化学蓄熱体)の反応率の時間変化を示すグラフである。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含めて本明細書で説明する内容は、本発明に係る化学蓄熱体のみならず、その製造方法にも適宜適用され得る。上述した本発明の構成に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を付加し得る。その際、製造方法に関する構成は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成ともなり得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《化学蓄熱体》
本発明の化学蓄熱体は、金属塩化物からなる蓄熱粒子と、その蓄熱粒子を結着するケイ酸塩からなるバインダーとからなり、さらに高熱伝導材を含むと好ましい。
(1)蓄熱粒子
本発明に係る蓄熱粒子は、主に、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素または遷移金属元素の一種以上と塩素との化合物である金属塩化物からなる。この蓄熱粒子は、最終的な化学蓄熱体としては無水またはそれに近い状態が好ましいが、焼成前は水和物であってもよい。この理由については後述する。
アルカリ金属元素には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)がある。その金属塩化物(アルカリ金属塩化物)としては、LiCl、NaClまたはKClなどが代表的である。アルカリ土類金属元素には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)がある。その金属塩化物(アルカリ土類金属塩化物)としては、MgCl 、CaCl 、SrClなどがあるが、特にカルシウム塩化物が好ましい。蓄熱粒子に適した遷移金属元素は多数あるが、その金属塩化物としては、MnCl、FeCl、CoCl、NiCl等が代表的である。
蓄熱粒子の形態(粒形や粒径等)は問わない。すなわち、その粒形は球状でも楕円球状でもよい。また粒径も問わないが、電子顕微鏡で観察して1μm〜1mmであると好ましい。
(2)バインダー
本発明に係るバインダーはケイ酸塩からなる。ここでケイ酸自体は[SiO(OH)4−2Xで示されるSi、O、Hの化合物であり、オルトケイ酸 (HSiO)、メタケイ酸 (HSiO)、メタ二ケイ酸(HSi)などがある。またケイ酸塩には、例えば、メタケイ酸ナトリウム(NaSiO)、メタケイ酸リチウム(LiSiO)、メタケイ酸カリウム(KSiO)、オルトケイ酸ナトリウム(NaSiO)、メタニケイ酸ナトリウム(NaSi)などがある。ケイ酸塩は、それらの一種以上を含めばよい。なおバインダーとしての結着性の点で、本発明でいうケイ酸塩はアルカリケイ酸塩が好ましい。
ケイ酸塩は、化学蓄熱体全体を100質量%としたときに1〜40質量%、5〜30質量%さらには7〜25質量%であると好適である。ケイ酸塩が過少では化学蓄熱体の機械的強度(または保形性)が低下し、またケイ酸塩が過多では化学蓄熱体の単位体積あたりの蓄熱量または発熱量が低下する。
(3)高熱伝導材
本発明の化学蓄熱体は、上述した蓄熱粒子およびバインダーよりも熱伝導性に優れる(すなわち熱伝導率のより高い)高熱伝導材をさらに含むと好ましい。理由は次の通りである。化学蓄熱システムの性能は、化学蓄熱体とアンモニアとの反応速度に左右される。この反応速度は、(i)アンモニアガスの化学蓄熱体への浸透速度(吸収速度、放出速度)、(ii)アンモニア錯体の生成速度、(iii)化学蓄熱体と外部との熱交換速度による影響を受ける。この中でも熱交換速度が律速的であり、化学蓄熱システムの性能に大きく影響する。そこで本発明の化学蓄熱体が、熱伝導性や熱伝達性を向上させる高熱伝導材を含むと、その熱交換速度が向上し、ひいては化学蓄熱システムの性能が向上して好ましい。
このような高熱伝導材として、種々の金属やセラミックス等が考えられる。もっとも、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)などのセラミックスは、高熱伝導率であると共にアンモニア雰囲気中で安定であり、高熱伝導材に好適である。なお、高熱伝導材の形態は問わず、粒状でも繊維状(短繊維状、長繊維状)でもよい。
高熱伝導材は、化学蓄熱体全体を100質量%としたときに1〜40質量%、5〜30質量%さらには7〜25質量%であると好適である。高熱伝導材が過少では化学蓄熱体内の熱伝導性や化学蓄熱体の反応性の向上が図れない。また高熱伝導材が過多では化学蓄熱体の単位体積あたりの蓄熱量または発熱量が低下する。なお、バインダーおよび高熱伝導材を併せた無機材は、化学蓄熱体全体を100質量%としたときに40質量%以下さらには30質量%以下とするのがよい。これらの無機材が過多では、前述したように、化学蓄熱体の単位体積あたりの蓄熱量または発熱量が低下して好ましくない。
《製造方法》
本発明の化学蓄熱体は、上述した蓄熱粒子とバインダーさらには高熱伝導材とを混合する混合工程と、得られた混合物を加圧成形する成形工程と、得られた成形体を加熱して焼成体とする焼成工程とからなる。
(1)混合工程
混合工程は、乳鉢を用いた手動混合、各種ミキサー、回転型ボールミル、振動型ボールミル等を用いて行うことができ、1〜60分間程度の混合を行うとよい。
(2)成形工程
成形工程は、成形型のキャビティへ投入した混合物を加圧成形してもよいし、成形型を用いるまでもなくローラ等で圧縮成形してもよい。化学蓄熱体の所望形状に応じた方法を採用するとよい。
この際の成形圧力は、例えば、50〜500MPaさらには70〜300MPaであると好ましい。成形圧力が過小では、機械的強度に優れる化学蓄熱体を得難い。成形圧力が過大では化学蓄熱体が緻密化し、アンモニアガスの浸透性が低下し得る。
(3)焼成工程
焼成工程により、隣接する蓄熱粒子がケイ酸塩によって強固に結着されるようになり、高強度の化学蓄熱体が得られる。なお、この焼成工程により蓄熱粒子同士は、焼結していても、焼結していなくてもよい。
焼成温度は、成形体に含まれる水の脱離や結着能の発現等を考慮して、100〜400℃さらには150〜300℃であると好ましい。焼成温度が過小では強固な焼成体(化学蓄熱体)が得られず、焼成温度が過大では蓄熱粒子とバインダーの反応が過度に進行し、アンモニア吸収量が低下するため好ましくない。また焼成工程は、真空度100Pa以下さらには10Pa以下でなされると好ましい。大気成分との反応による蓄熱粒子の劣化を防ぐためである。
(4)メカニズム
ところで、本発明の製造方法により、機械的強度や保形性に優れる焼成体(化学蓄熱体)が得られるメカニズムは次のように考えられる。先ず、バインダーであるケイ酸塩(特にアルカリケイ酸塩)は、混合物中または成形体中に含まれる水分と反応して、いわゆる「水ガラス(ケイ酸塩の濃厚水溶液)」またはそれに近い状態になる。この状態のケイ酸塩(これを適宜「含水ケイ酸塩」という。)は、水分量に応じて僅かであるが流動性を発現し、各蓄熱粒子間に均一に介在した状態になり易い。
こうして各蓄熱粒子間に含水ケイ酸塩が均一に介在した状態の成形体を焼成すると、その含水ケイ酸塩から脱水が生じる。この際、蓄熱粒子とバインダーとの界面部分には、それらの成分に応じた結着複合体(例えば、CaO、SiO、NaO等)が形成され得る。この結着複合体は蓄熱粒子を結着する能力(結着能)に優れるので、焼成体(化学蓄熱体)の機械的強度が格段に向上し得る。
また、含水ケイ酸塩から脱水時、水分の通過部分に気孔が形成され得る。この気孔は、化学蓄熱体がアンモニアガスを吸蔵、拡散する際の通路となり得る。このため、本発明の製造方法によれば、化学蓄熱体の機械的強度の向上と共に、化学蓄熱体とアンモニアとの反応性の向上も図れる。
ところで、ケイ酸塩と反応する混合物中または成形体中に含まれる水分は、混合工程または成形工程を行う雰囲気中にある水蒸気を供給源とすることもできるが、蓄熱粒子の水和物を供給源とするとより好ましい。蓄熱粒子の水和物(例えば、CaCl・nHO)を用いると、含水ケイ酸塩を蓄熱粒子間に、効率的にかつ均一的に介在させることが容易である。
但し、含水ケイ酸塩の水分量が多くなると、焼成工程の脱水時に形成される気孔が過大または過多になり、化学蓄熱体の機械的強度が逆に低下し得る。また、最終的な化学蓄熱体の金属塩化物は、アンモニアとの吸脱着反応を安定化させるために、無水物であるほど好ましい。
そこで先ず、焼成前の蓄熱粒子は、金属塩化物のモル数(Nm)に対する含有する水のモル数(Nw)の比である含水比R(R=Nw/Nm)が1〜4さらには1〜3である金属塩化水和物からなると好ましい。ちなみに、蓄熱粒子がCaCl からなる場合なら、CaCl ・nHO(n:付加数、配位数/n=0〜6)のn(含水比R)は2〜4が好ましい。
次に、焼成前の成形体中の水分量を適切に制御するために、化学蓄熱体の一連の製造工程は、低湿度環境下でなされるのが好ましい。具体的には、混合工程、成形工程または焼成工程が、露点−40℃以下、露点−50℃以下、露点−70℃以下さらには露点−80℃以下の低湿度環境下でなされるのが好ましい。勿論、全工程がその低湿度環境下でなされるとより好適である。
《用途》
本発明の化学蓄熱体を公知の反応器に組み入れて作動させると、比較的低温の廃熱等をも有効に回収したり、必要に応じて熱出力を得たりできる。但し、本発明の化学蓄熱体の使用温度域等は何ら制限されない。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
(1)原料
化学蓄熱材(蓄熱粒子)として、CaCl(アルカリ土類金属塩化物)とその水和物であるCaCl ・2HO(金属塩化水和物)を用意した。これらにはアルドリッチ社製のC4901およびC3881を用いた。これらの形態は、それぞれ粒状の粉末であった。
次にバインダー(ケイ酸塩)として、ケイ酸ナトリウム(キシダ化学(株)社製020−72805)を用意した。このケイ酸ナトリウムは粒状の粉末であった。さらに高熱伝導材としてアルミナ(Al:昭和電工(株)社製AS−20)を用意した。このアルミナは粒状の粉末であった。
(2)混合工程、成形工程および焼成工程
上記の原料を用いて表1に示す各試料を製造した。すなわち表1に示すように種々の原料を配合した混合物を、種々の成形圧力で成形し、得られた成形体の一部を焼成して焼成体を得た。この焼成体は15×15×2mmのシート状であった。
ここで混合工程は、乳鉢を用いて手動で混合して行った。なお混合工程および成形工程は、特に断らない限り、露点が−90℃となる環境下(雰囲気下)で行った。この低湿度環境は、(株)美和製作所のグローブボックスにより達成した。また焼成工程は処理炉内を1Pa以下の真空にして行った。
《試料の評価》
(1)外観
得られた各試料の外観を観察した結果を表1に併せて示した。ケイ酸塩を含む試料No.1の場合、他の試料と異なり、割れやクラックが観られず、機械的強度(保形性)に優れることがわかった。
(2)試験
各試料を反応器に装?して、0.4MPa×15℃で、アンモニアガスとの反応性を評価した。この結果を図1に示した。図1に示した反応率は容量法を用いたアンモニアガス圧力の変化により求めたものである。
なお、試料No.C1〜C3の化学蓄熱体は既に割れ等を生じていたため、反応器による評価をするまでも無かったが、試料No.C1の化学蓄熱体だけ参考に評価した。ちなみにここで用いた反応器はステンレス製で、内容量250ccであり、アンモニアガスの供給脱気のためのバルブや圧力計を具備している。
(3)性能
図1に示す結果から、試料No.1の化学蓄熱体は、アンモニアガスとの反応性に優れることが確認された。一方、バインダーを含まない試料No.C1では、アンモニアを吸蔵させると崩壊して粉体化した。これは試料No.C2も同様と考えられる。
また試料No.1に対して、その混合工程および成形工程を大気中で行った試料No.C3の場合、先ず原料であるCaCl ・2HOが大気中の水分を吸収し、成形体の一部に潮解が観察された。この成形体を170℃の真空中で焼成させると、その焼成体には多数の割れが観察された。これは、大気中の水分を多く吸収した成形体から、焼成時に多量の水分が一度に脱離したために形成されたと考えられる。
Figure 0005712549

Claims (11)

  1. アンモニアの吸蔵または放出により発熱または吸熱する蓄熱粒子と該蓄熱粒子を結着させるバインダーとを混合した混合物の成形体を焼成した焼成体からなる化学蓄熱体であって、
    前記蓄熱粒子は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素または遷移金属元素の一種以上と塩素との化合物である金属塩化物を含み、
    前記バインダーは、前記化学蓄熱材全体を100質量%としたときに1〜40質量%であるケイ酸塩を含み、
    前記金属塩化物のモル数(Nm)に対する含有する水のモル数(Nw)の比である含水比R(R=Nw/Nm)が1〜4である金属塩化水和物を含む焼成前の蓄熱粒子を用いて露点−40℃以下の低湿度環境下で混合および成形して製造されたことを特徴とする化学蓄熱体。
  2. 前記成形体は、水を含む請求項1に記載の化学蓄熱体。
  3. さらに、前記蓄熱粒子および前記バインダーよりも熱伝導性に優れる高熱伝導材を含む請求項1または2に記載の化学蓄熱体。
  4. 前記金属塩化物は、カルシウム塩化物、マグネシウム塩化物、ストロンチウム塩化物、マンガン塩化物、コバルト塩化物、ニッケル塩化物の一種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の化学蓄熱体。
  5. 前記ケイ酸塩は、アルカリケイ酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載の化学蓄熱体。
  6. 前記ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウムまたはケイ酸カリウムの一種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の化学蓄熱体。
  7. シート状である請求項1〜のいずれかに記載の化学蓄熱体。
  8. アンモニアの吸蔵または放出により発熱または吸熱する蓄熱粒子からなる蓄熱粉末と該蓄熱粒子を結着させるバインダーとを混合した混合物を得る混合工程と、
    該混合物を加圧成形した成形体を得る成形工程と、
    該成形体を焼成した焼成体を得る焼成工程と、
    を備える化学蓄熱体の製造方法であって、
    前記蓄熱粒子は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素または遷移金属元素の一種以上と塩素との化合物である金属塩化物を含み、
    前記バインダーは、前記化学蓄熱材全体を100質量%としたときに1〜40質量%となるケイ酸塩を含み、
    前記成形体は水を含み、
    前記金属塩化物のモル数(Nm)に対する含有する水のモル数(Nw)の比である含水比R(R=Nw/Nm)が1〜4である金属塩化水和物を含む焼成前の蓄熱粒子を用いて露点−40℃以下の低湿度環境下で混合および成形して製造されることを特徴とする化学蓄熱体の製造方法。
  9. 前記成形工程は、成形圧力が50〜500MPaである請求項に記載の化学蓄熱体の製造方法。
  10. 前記焼成工程は、焼成温度が100〜400℃である請求項8または9に記載の化学蓄熱体の製造方法。
  11. 記焼成工程は、真空度100Pa以下でなされる請求項10のいずれかに記載の化学蓄熱体の製造方法。
JP2010228489A 2010-10-08 2010-10-08 化学蓄熱体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5712549B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010228489A JP5712549B2 (ja) 2010-10-08 2010-10-08 化学蓄熱体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010228489A JP5712549B2 (ja) 2010-10-08 2010-10-08 化学蓄熱体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012082292A JP2012082292A (ja) 2012-04-26
JP5712549B2 true JP5712549B2 (ja) 2015-05-07

Family

ID=46241521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010228489A Expired - Fee Related JP5712549B2 (ja) 2010-10-08 2010-10-08 化学蓄熱体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5712549B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5521967B2 (ja) * 2010-10-08 2014-06-18 株式会社豊田中央研究所 化学蓄熱体およびその製造方法
JP6214510B2 (ja) * 2013-10-16 2017-10-18 日本ペイントホールディングス株式会社 化学蓄熱材及び化学蓄熱材形成用組成物
JP6313258B2 (ja) * 2015-03-31 2018-04-18 日本ペイントホールディングス株式会社 化学蓄熱材及び化学蓄熱材形成用組成物
JP2018054278A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 日本ペイントホールディングス株式会社 蓄熱装置及び熱交換装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2909662B2 (ja) * 1990-11-30 1999-06-23 矢橋工業株式会社 蓄熱体の製造方法
JPH06109388A (ja) * 1991-02-26 1994-04-19 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd ケミカル蓄熱方法及び装置
JP3111667B2 (ja) * 1992-07-15 2000-11-27 エヌオーケー株式会社 化学蓄熱材の製造法
JP5231077B2 (ja) * 2007-11-30 2013-07-10 株式会社豊田中央研究所 化学蓄熱材複合体及びその製造方法
JP5223314B2 (ja) * 2007-11-30 2013-06-26 株式会社豊田中央研究所 蓄熱装置
JP5232510B2 (ja) * 2008-03-14 2013-07-10 株式会社豊田中央研究所 化学蓄熱材成形体の製造方法
JP5327729B2 (ja) * 2008-04-18 2013-10-30 株式会社豊田中央研究所 化学蓄熱材料、及びその製造方法
JP2009256520A (ja) * 2008-04-18 2009-11-05 Toyota Central R&D Labs Inc 化学蓄熱材複合物及びその製造方法
JP5521967B2 (ja) * 2010-10-08 2014-06-18 株式会社豊田中央研究所 化学蓄熱体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012082292A (ja) 2012-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5521967B2 (ja) 化学蓄熱体およびその製造方法
KR102093059B1 (ko) 합성 배합물 및 그의 제조 및 사용 방법
JP6317066B2 (ja) 二酸化炭素吸着剤、その製造方法及びこれを含む二酸化炭素捕集モジュール
JP5765346B2 (ja) 化学蓄熱体およびその製造方法
JP5712549B2 (ja) 化学蓄熱体およびその製造方法
JP6248623B2 (ja) 反応材及びケミカルヒートポンプ
JP2009106812A (ja) 炭酸ガス吸収材、炭酸ガス分離装置、改質装置、およびこの炭酸ガス吸収材の製造方法
JP2012229139A (ja) 多孔体セラミックスとその製造方法
JP5768887B2 (ja) 化学蓄熱材、その製造方法および化学蓄熱構造体
JP5232521B2 (ja) 化学蓄熱材複合体の製造方法
Wang et al. Synthesis of LiF-containing Li4SiO4 as highly efficient CO2 sorbents
Zhang et al. CaO/CaCO3 thermochemical energy storage performance of MgO/ZnO co-doped CaO honeycomb in cycles
Briones et al. Development of stable porous silica-coated Ca (OH) 2/γ-Al2O3 pellets for dehydration/hydration cycles with application in thermochemical heat storage
JP2021516209A (ja) 長期保管性が向上した水和熱低減剤
CN113716940A (zh) 一种新型的蓄热砖及制备方法
JP2009256520A (ja) 化学蓄熱材複合物及びその製造方法
TW201440887A (zh) 碳吸收劑及其製造方法與使用方法
Derevschikov et al. CaO/Y2O3 pellets for reversible CO2 capture in sorption enhanced reforming process.
KR100550209B1 (ko) 고온에서 사용 가능한 이산화탄소 흡착제의 제조방법
ES2664511T3 (es) Material poroso a base de sílice y de portlandita para el relleno de ladrillos de aislamiento de estructura controlada y procedimiento de elaboración asociado
JP6036730B2 (ja) 複合金属ハロゲン化物の製造方法および化学蓄熱材
JP2014159497A (ja) 化学蓄熱材、その製造方法および化学蓄熱構造体
JP6815915B2 (ja) 化学蓄熱材及びその製造方法
JP2018168223A (ja) 化学蓄熱材及びその製造方法
JP3850843B2 (ja) 炭酸ガス吸収材、炭酸ガスの吸収方法、炭酸ガス吸収装置、炭酸ガス分離装置及びリチウム複合酸化物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5712549

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees