本明細書に於ける基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有していないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「酸の体積」とは、酸を構成する原子のファンデルワールス半径に基づいたファンデルワールス球により占有される領域の体積を意味している。具体的には、「酸の体積」とは、以下のようにして計算される体積である。即ち、まず、MM3法を用いた分子力場計算により、酸の最安定立体配座を決定する。その後、この最安定立体配座に対して、PM3法を用いた分子軌道計算により、ファンデルワールス体積を計算する。そして、このファンデルワールス体積を、「酸の体積」とする。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、〔1〕(A)下記一般式(I)で表される化合物、及び〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含んでいる。
上記一般式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基を表す。
R2及びR3の各々は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は複素環基を表す。
R4〜R6の各々は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。
R1〜R6の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。
Aは一価の有機基を表す。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物は、ポジ型レジスト組成物として使用してもよく、ネガ型レジスト組成物として使用してもよい。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物は、1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、前記1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により解離する基によって置換された化合物(C)(以下、「化合物(C)とも言う」)を含有し得る。
本願におけるフェノール性水酸基とは、芳香環基の水素原子をヒドロキシ基で置換してなる基である。該芳香環基の芳香環は単環又は多環の芳香環のいずれであってもよく、ベンゼン環やナフタレン環等が挙げられる。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物が、ポジ型レジスト組成物の場合、本発明に係る組成物は、前記化合物(C)として、前記1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により解離する基によって置換された化合物(C1)を含有し得る。また、この場合、本発明に係る組成物は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物(以下、溶解阻止化合物ともいう)を更に含有し得る。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物が、ネガ型レジスト組成物の場合、本発明に係る組成物は、前記化合物(C)として、後述の〔4〕1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(C2)を含有し得るとともに、後述する〔6〕酸の作用により上記アルカリ可溶性樹脂と架橋する酸架橋剤とを更に含有し得る。
また、本発明に係る組成物は、後述の〔7〕塩基性化合物、後述の〔8〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤、後述の〔9〕有機溶剤、及び/又は後述の〔10〕その他の添加剤を更に含有し得る。そして、本発明に係る組成物は、例えば後述の〔11〕パターン形成方法の項で述べる方法で、パターン形成用に使用され得る。
以下、本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物の各成分としての、これら〔1〕〜〔11〕について、順に説明する。
〔1〕(A)下記一般式(I)で表される化合物
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物は、下記一般式(I)で表される化合物を含有する。
下記一般式(I)で表される化合物は、酸の作用により、又は、酸の作用及び加熱により分解し、スルホン酸を発生する。
上記一般式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基を表す。
R2及びR3の各々は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は複素環基を表す。
R4〜R6の各々は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。
R1〜R6の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。
Aは一価の有機基を表す。
一般式(I)により表される1,3−ジオール誘導体の構造(すなわち、スルホニルオキシ基とアルコキシ基とが3つの炭素原子を介して連結した構造を有する化合物)は、酸の作用によりスルホン酸を発生し得る。その機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、下記1、若しくは、下記2のスキームに従って反応が進行していると考えている。
上記一般式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基を表す。
R2及び置換基の各々は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は複素環基を表す。
R4〜R6の各々は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。
R1、置換基、R2及びR4〜R6の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。
Aは一価の有機基を表す。
上記一般式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基を表す。
R2及びR3の各々は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は複素環基を表す。
R4〜R6の各々は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。
R1〜R6の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。
Aは一価の有機基を表す。
上記の推定スキーム1及び2に示すように、一般式(I)により表される構造は、酸を触媒とする脱水反応により、炭素−炭素二重結合を生じる。次いで、アルケン、若しくは、ジアルケンを生じながらスルホン酸を生成する。
一方、例えば従来の下記式(VI)で表されるアセタール型の酸増殖剤においては、上記一般式(I)におけるR2及びR3が結合する炭素原子に対応する炭素原子が、2つの酸素原子と結合しており、アセタール結合の切断が起こりやすいく、これに伴い、熱安定性が劣化する。これに対して、上記一般式(I)で表される化合物は、上記一般式(I)におけるR2及びR3の少なくとも一方が、R2及びR3が結合する炭素原子に直結する原子として酸素原子を有さないため、エーテル結合の切断が、アセタール結合の切断よりも起こりにくく、熱安定性が優れるものと考えられる。
また、上記一般式(I)で表される化合物は、理由は定かではないが、下記式(VI)で表される酸増殖剤と比較して、酸増殖能に優れていると考えられる。
一般式(VI)中、Rは水素原子又は一価の置換基を表し、Aは一価の有機基を表す。
従って、上記一般式(I)で表される化合物を感活性光線性又は感放射線性組成物として用いた場合、上記一般式(I)で表される化合物は、酸増殖能に優れているため、組成物の感度が向上し、また一般式(I)で表される化合物は、優れた熱安定性を示すため、組成物の経時安定性が向上する。
さらに、上記一般式(I)で表される化合物を感活性光線性又は感放射線性組成物として用いて、パターン形成を行う場合、露光部と未露光部の酸の発生量のコントラストが向上し、優れたパターン形状、高い解像力及び小さいラインエッジラフネスを実現することができる。
特に、上記一般式(I)で表される化合物をネガ型レジスト組成物として用いた場合、露光部において、十分な酸が発生するため、露光部における感活性光線性又は感放射線性組成物の硬化反応が十分に進行し、ドライエッチング耐性が向上し、スカムの発生が低減される。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物組成物は、電子線、X線又は極紫外線露光用であることが好ましい。
以下、一般式(I)で表される化合物について、詳しく説明する。
上記一般式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、1−アルコキシアルキル基、又はケイ素原子を有する基を表す。
R2及びR3の各々は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は複素環基を表す。
R4〜R6の各々は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。
R1〜R6の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。
Aは一価の有機基を表す。
R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は置換基を有してよいケイ素原子を有する基を表す。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基及び3−ニトロフェナシル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、単環を有していてもよく、多環を有していてもよい。単環を有したシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等が好ましい。多環を有したシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等が好ましい。炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基がより好ましい。
アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基及びスチリル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基及びプロパルギル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びにオバレニル基が挙げられる。
1−アルコキシアルキル基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、一般式(I)で表される化合物中のOに接続する結合手である。
ケイ素原子を有する基としては、−Si(R1)(R2)(R3)で表される基が挙げられ、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R1、R2及びR3は、アルキル基又はアリール基を表すことが好ましい。R1、R2及びR3としてのアルキル基又はアリール基の総数は、3であることが好ましい。。その他のR1、R2及びR3はが表す置換基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルヒドロシリル基、及びジフェニルヒドロシリル基が挙げられる。
R1は、アルキル基、シクロアルキル基、1−アルコキシアルキル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基であることが好ましく、アルキル基、アリール基、又はケイ素原子を有する基であることが好ましい。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基及び複素環基を表す。
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基に関しては、上記のR1で述べたものと同様のものが挙げられ、また好ましい範囲も同様である。
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基及びパーフルオロアルキルスルホニル基が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基が挙げられる。
複素環基としては、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はリン原子を含んだ芳香族若しくは脂肪族の複素環基が挙げられる。この複素環基としては、例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基及びチオキサントリル基が挙げられる。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
R4〜R6は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表している。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環基が挙げられる。
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基に関しては、上記のR1で述べたものと同様のものが挙げられ、また好ましい範囲も同様である。
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環基に関しては、上記のR2及びR3で述べたものと同様のものが挙げられ、また好ましい範囲も同様である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜30のアルキルチオ基が挙げられ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ヘキシルチオ基、t−ブチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、デシルチオ基及びドデシルチオ基が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数6〜30のアリールチオ基が挙げられ、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、トリルチオ基、メトキシフェニルチオ基、ナフチルチオ基、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基及びニトロフェニルチオ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヘキシロキシ基、t−ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、デシロキシ基及びドデシロキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が挙げられ、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、トリルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、トリフルオロメチルフェニルオキシ基、シアノフェニルオキシ基及びニトロフェニルオキシ基が挙げられる。
アルカノイル基としては、炭素数2〜20のアルカノイル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基及びトリフルオロメチルオキシカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基が挙げられ、例えば、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基及び4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキルスルホニルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、ブチルスルホニルオキシ基、ヘキシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基、オクチルスルホニルオキシ基、2−エチルヘキシルスルホニルオキシ基、デカノイルスルホニルオキシ基、ドデカノイルスルホニルオキシ基、オクタデカノイルスルホニルオキシ基、シアノメチルスルホニルオキシ基、メトキシメチルスルホニルオキシ基及びパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が挙げられる。
アリールスルホニルオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、フェニルスルホニルオキシ基、1−ナフチルスルホニルオキシ基、2−ナフチルスルホニルオキシ基、2−クロロフェニルスルホニルオキシ基、2−メチルフェニルスルホニルオキシ基、2−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、2−ブトキシフェニルスルホニルオキシ基、3−クロロフェニルスルホニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ基、3−シアノフェニルスルホニルオキシ基、3−ニトロフェニルスルホニルオキシ基、4−フルオロフェニルスルホニルオキシ基、4−シアノフェニルスルホニルオキシ基、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。
R4〜R6の各々は、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)又はシアノ基であることが好ましい。
R4〜R6の各々は、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、又はアリール基(好ましくは炭素数6〜30)であることが特に好ましい。
R1〜R5としての上記各基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基及びピペリジノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基及びp−トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;メルカプト基;スルホ基;メシル基;p−トルエンスルホニル基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリフルオロメチル基;トリクロロメチル基;トリメチルシリル基;ホスフィニコ基;ホスホノ基;トリメチルアンモニウミル基;ジメチルスルホニウミル基、並びにトリフェニルフェナシルホスホニウミル基が挙げられる。
上述したように、R1〜R6は、それらの少なくとも2つがが互いに結合して、環を形成していてもよい。この環は、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素環であってもよく、へテロ原子を含んだ複素環であってもよい。また、この環は、縮合環であってもよい。
脂肪族又は芳香族の炭化水素環としては、例えば、5員環、6員環、又は7員環のものが挙げられる。この炭化水素環としては、5員環又は6員環のものが好ましく、5員環のものが特に好ましい。
ヘテロ原子を含んだ複素環としては、例えば、ヘテロ原子として硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を含んだものが挙げられる。この複素環としては、ヘテロ原子として硫黄原子を含んだものがより好ましい。
ヘテロ原子を含んだ複素環としては、例えば、5員環、6員環又は7員環のものが挙げられる。この、ヘテロ原子を含んだ複素環としては、例えば、5員環又は6員環のものが好ましい。
縮合環としては、例えば、炭化水素環のみからなる縮合環が挙げられる。この多環縮合環としては、例えば、2〜4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの及びベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものなどが挙げられる。
縮合環は、少なくとも1つの複素環を含んだ縮合環であってもよい。この縮合環としては、例えば、ベンゼン環と5員複素環とが縮合環を形成したもの、及び、ベンゼン環と6員複素環とが縮合環を形成したものなどが挙げられる。
R1〜R6の少なくとも2つが形成し得る環としては、例えば、シクロへプタン環、シクロへキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ジチオラン環、オキシラン環、チイラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾジチオール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジチオール環、ベンゾチオピラン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、インダン環、フェノチアジン環及びフェナジン環が挙げられる。中でも、ジチオラン環、ベンゾジチオール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環及びベンゾオキサゾール環が特に好ましい。
一般式(1)におけるR1〜R6としては、例えば、以下の一般式(I)で表される化合物の具体例における基が挙げられる。以下の具体例中、Aは、一価の置換基を表す。
置換基Aは、アルキル基、シクロアルキル基、又は芳香族基である。これらアルキル基、シクロアルキル基、及び芳香族基の各々は、置換基を有していてもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましく、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。
芳香族基としては、炭素数6〜30の芳香族基が好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
アルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基が有し得る置換基の例としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホニル基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;チオキシ基;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
置換基Aは、好ましくは、環構造を有している。Aは、より好ましくは、式A−SO3Hで表されるスルホン酸の残基であり、式A−SO3Hで表されるスルホン酸は、好ましくは、下記一般式(6)又は(7)により表される化合物である。更に好ましくは、スルホン酸A−SO3Hは、好ましくは、下記一般式(6)により表される化合物である。
まず、下記一般式(6)で表されるスルホン酸について、詳細に説明する。
一般式(6)中、
Arは、芳香族環を表し、スルホン酸及び−(D−B)で表される基以外の置換基を更に有していてもよい。
nは、0以上の整数を表す。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基は、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基又はエステル基である。
Bは、炭化水素基を表す。
まず、一般式(6)で表されるスルホン酸について、詳しく説明する。
一般式(6)中、Arは、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族環である。具体的には、Arは、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Arが−(D−B)基以外の置換基を更に有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;並びにスルホン酸基が挙げられる。中でも、ラフネス改良の観点から、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基が好ましい。
一般式(6)中、Dは、好ましくは、単結合であるか、又は、エーテル基若しくはエステル基である。より好ましくは、Dは、単結合である。
一般式(6)中、Bは、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基である。Bは、好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
Bとしてのアルキル基は、好ましくは、分岐アルキル基である。この分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
Bとしてのアルケニル基、アルキニル基及びアリール基に関しては、上記のR1で述べたものと同様のものが挙げられ、また好ましい範囲も同様である。
Bとしてのシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましく、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。
Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基が置換基を有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホン酸基;並びにカルボニル基等が挙げられる。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基が好ましい。
nは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3であり、最も好ましくは3である。
次に、下記一般式(7)で表される化合物について、詳細に説明する。
一般式(7)中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR1、R2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Eは、環構造を有する基を表す。
xは0〜20の整数を表し、1〜4が好ましい。yは0〜10の整数を表し、0〜3が好ましい。zは0〜10の整数を表し、0〜3が好ましい。
次に、一般式(7)で表されるスルホン酸について、詳しく説明する。
一般式(7)中、Xfは、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、炭素数が1〜4のものがより好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9である。中でも、フッ素原子又はCF3が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
一般式(7)中、R1及びR2の各々は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が特に好ましい。具体的には、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9が挙げられ、中でもCF3が好ましい。
一般式(7)中、xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜8が好ましく、0〜4がより好ましい。
一般式(7)中、Lは、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NRCO−(Rは水素原子又は炭素数6〜20のシクロアルキル基を表す。)、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基を表す。中でも、Lは、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−SO2−を表すことが好ましく、−COO−、−OCO−又は−SO2−を表すことがより好ましい。
一般式(7)中、Eは、環構造を有する基を表す。Eとしては、例えば、環状脂肪族基、アリール基及び複素環構造を有する基等が挙げられる。
Eとしての環状脂肪族基は、単環構造を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。単環構造を有した環状脂肪族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。多環構造を有した環状脂肪族基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、Eとして6員環以上のかさ高い構造を有する環状脂肪族基を採用した場合、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性が抑制され、解像力及びEL(露光ラチチュード)を更に向上させることが可能となる。
Eとしてのアリール基は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環又はアントラセン環である。
Eとしての複素環構造を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。この基に含まれているヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましい。複素環構造の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が好ましい。
Eは、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し、解像性やパターン形状を良好にする観点から、体積200Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが好ましく、体積240Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが更により好ましく、体積300Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが特に好ましく、体積400Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが最も好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、一般式(I)で表される化合物は、体積2000Å3以下の酸を発生する化合物であることが好ましく、体積1500Å3以下の酸を発生する化合物であることが更に好ましい。以下に、一般式(I)で表される化合物から発生する酸の具体例及びその体積(単位Å3)を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、一般式(I)で表される化合物が発生する酸の体積は、、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて、以下のようにして求めた。即ち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力した。次に、この構造を初期構造として、MM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定した。その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算した。
一般式(I)で表される化合物(A)は、1種単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
なお、一般式(I)で表される化合物(A)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、更に好ましくは1.0〜20質量%である。
本発明の一般式(I)で表される化合物(A)の製造方法としては、ジオールの水酸基の1つがエーテル化又はシリルエーテル化された化合物とスルホニルハライド又はスルホン酸無水物とを用いて、塩基(例えば、トリエチルアミン又はピリジン)存在下で、THF、DMF及びアセトニトリル等の不活性溶媒又はピリジン等の塩基性溶媒中で反応させることによりジオールのうちの水酸基1つがスルホニル化された化合物を合成できる。反応温度としては、−10〜60℃が好ましい。
また、上記のスルホニルハライドとして、アルキルスルホニルハライド及びアリールスルホニルハライド等を用いることにより、対応する種々のスルホン酸発生化合物が合成可能である。
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)(以下、「光酸発生剤」とも言う)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。これらの例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びビス(アルキルスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
光酸発生剤の好ましい例としては、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203のうち2つは、単結合又は連結基を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。この場合の連結基としては、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。R201〜R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
R201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基が挙げられる。
X−は、非求核性アニオンを表す。X−としては、例えば、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 −、PF6 −及びSbF6 −が挙げられる。X−は、好ましくは、炭素原子を含んだ有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
式AN1〜AN3中、Rc1〜Rc3は、各々独立に、有機基を表す。この有機基としては、例えば、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が連結基で連結された基である。なお、この連結基としては、例えば、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−及び−SO2N(Rd1)−が挙げられる。ここで、Rd1は水素原子又はアルキル基を表し、結合しているアルキル基又はアリール基と環構造を形成してもよい。
Rc1〜Rc3の有機基は、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生した酸の酸性度を上昇させることが可能となる。これにより、感活性光線性又は感放射線性組成物の感度を向上させることができる。なお、Rc1〜Rc3は、他のアルキル基及びアリール基等と結合して、環構造を形成していてもよい。
また、好ましいX−として、下式(6’)又は(7’)で表される構造のものが挙げられる。なお、これらX−は、前述の一般式(6)又は(7)により表されるスルホン酸の共役塩基である。
なお、これらX−におけるAr、D、B、n、Xf、R1、R2、L、E、x、y及びzの定義は、先の一般式(6)及び(7)におけるものと同義である。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物を使用してもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)〜(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である。即ち、化合物(ZI−1)は、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
化合物(ZI−1)は、R201〜R203の全てがアリール基であってもよく、R201〜R203の一部がアリール基であり、それら以外がアルキル基であってもよい。なお、化合物(ZI−1)が複数のアリール基を有する場合、これらアリール基は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
化合物(ZI−1)としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物及びアリールジアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
化合物(ZI−1)におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、又は、インドール残基及びピロール残基等のヘテロアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基又はインドール残基が特に好ましい。
化合物(ZI−1)が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖、分岐又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
これらアリール基及びアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基及びフェニルチオ基が挙げられる。
好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、及び、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が挙げられる。特に好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がフェニル基の場合には、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
また、R201、R202及びR203のうち1つ又は2つが、置換基を有していてもよいアリール基であり、残りの基が直鎖、分岐又は環状のアルキル基である態様も好ましい。この構造の具体例としては、特開2004−210670号公報の段落0141〜0153に記載の構造が挙げられる。
このとき、上記アリール基としては、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。また、アリール基は、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基のいずれかを置換基として有することが好ましい。置換基としより好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記の残りの基としての直鎖、分岐又は環状のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。これら基は、更に置換基を有していてもよい。また、上記の残りの基が2つ存在する場合、これら2つが互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、炭素数が例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であることが好ましい。更に好ましくは、直鎖、分岐若しくは環状の2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルメチル基であり、特に好ましくは、直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよく、好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基)及び炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はノルボニル基)が挙げられる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基の好ましい例としては、炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)が挙げられる。
R201〜R203は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基及び/又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうち2つが互いに結合して、環構造を形成していてもよい。この環構造は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及び/又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基又はペンチレン基)が挙げられる。
次いで、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
式中、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましい。
R6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基又はビニル基を表す。これら原子団の炭素数は、1〜6が好ましい。
R1c〜R7cのいずれか2つ以上が互いに結合して、環構造を形成していてもよい。また、RxとRyとが結合して、環構造を形成していてもよい。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合及び/又はアミド結合を含んでいてもよい。
一般式(ZI−3)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0047及び0048、又は、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物に記載されている化合物が挙げられる。
続いて、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、以下の一般式(ZI−4)で表されるカチオンを有した化合物である。この化合物(ZI−4)は、アウトガスの抑制に有効である。
一般式(ZI−4)中、
R1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1〜R13のうち少なくとも1つは、アルコール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。なお、ここで「アルコール性水酸基」とは、アルキル基の炭素原子に結合した水酸基を意味している。
Zは、単結合又は2価の連結基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−(W−Y)で表される基であることが好ましい。ここで、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合又は2価の連結基である。
Yで表されるアルキル基の好ましい例としては、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が挙げられる。Yは、特に好ましくは、−CH2CH2OHで表される構造を含んでいる。
Wで表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基であり、更に好ましくは、単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4である。
R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有していてもよい。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数は、1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
一般式(ZI−4)で表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべて合わせて1〜10であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13としての置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基〔−B(OH)2〕、ホスファト基〔−OPO(OH)2〕、スルファト基(−OSO3H)、並びに、他の公知の置換基が挙げられる。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基又はウレイド基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、特に好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。
R1〜R13のうちの隣接する2つが互いに結合して、環構造を形成してもよい。この環構造には、芳香族及び非芳香族の炭化水素環並びに複素環が含まれる。これら環構造は、更に組み合わされて、縮合環を形成していてもよい。
化合物(ZI−4)は、好ましくは、R1〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有しており、更に好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有している。
Zは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表している。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。
この2価の連結基は、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、先にR1〜R13について列挙したのと同様のものが挙げられる。
Zは、好ましくは、単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基等の電子求引性を持たない結合又は基であり、更に好ましくは、単結合、エーテル基又はチオエーテル基であり、特に好ましくは、単結合である。
以下、一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
R204〜R207としてのアリール基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について列挙したのと同様の基が挙げられる。
R204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−2)におけるR201〜R203について列挙した直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
なお、一般式(ZII)及び(ZIII)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
光酸発生剤の他の好ましい例として、下記一般式(ZIV)、(ZV)又は(ZVI)で表される化合物が挙げられる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表す。
R208は、一般式(ZV)と(ZVI)とで各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表している。これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
これら基は、フッ素原子により置換されていることが好ましい。こうすると、光酸発生剤が発生する酸の強度を高めることが可能となる。
R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及び電子吸引性基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
好ましいR209としては、置換又は無置換のアリール基が挙げられる。
好ましいR210としては、電子吸引性基が挙げられる。この電子吸引性基としては、好ましくは、シアノ基及びフロロアルキル基が挙げられる。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。これらアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
なお、光酸発生剤として、一般式(ZVI)で表される構造を複数有する化合物も好ましい。このような化合物としては、例えば、一般式(ZVI)で表される化合物のR209又はR210と、一般式(ZVI)で表されるもう一つの化合物のR209又はR210とが互いに結合した構造を有する化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物がより好ましく、一般式(ZI)で表される化合物が更に好ましく、化合物(ZI−1)〜(ZI−3)が特に好ましい。
光酸発生剤としての化合物(B)は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し、解像性やパターン形状を良好にする観点から、体積200Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが好ましく、体積240Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが更により好ましく、体積300Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが特に好ましく、体積400Å3以上の大きさの酸を発生する化合物であることが最も好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、光酸発生剤としての化合物(B)は、体積2000Å3以下の酸を発生する化合物であることが好ましく、体積1500Å3以下の酸を発生する化合物であることが更に好ましい。以下に、光酸発生剤としての化合物(B)の構造、及び光酸発生剤としての化合物(B)から発生する酸の構造及び体積(単位Å3)を記載する。
この値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて、以下のようにして求めた。即ち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力した。次に、この構造を初期構造として、MM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定した。その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算した。
光酸発生剤の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。尚、Aは、2価の連結基を表す。
なお、光酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
また、光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、更に好ましくは1〜20質量%である。組成物を電子線又はEUVによる露光用に使用する場合には、この含量は、1〜20質量%とすることが特に好ましい。
〔3〕酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物
酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物は、典型的には、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、酸分解性基ともいう)を備えている。
酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、酸分解性樹脂とも言う。)であることが好ましい。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を、樹脂の主鎖及び側鎖の一方に備えていてもよく、これらの両方に備えていてもよい。この樹脂は、酸分解性基を、側鎖に備えていることが好ましい。
また、酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物によれば、露光部においては活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)から発生する酸、及び、酸の作用により上記一般式(I)で表される化合物(A)から発生するスルホン酸の作用により、1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物のアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、ポジ型のパターンが形成される。
酸分解性基としては、−COOH基及び−OH基等のアルカリ可溶性基の水素原子を、酸の作用により脱離する基で置換した基が好ましい。酸の作用により脱離する基としては、アセタール基又は3級エステル基が特に好ましい。
これら酸分解性基が側鎖として結合する場合の母体樹脂は、例えば、側鎖に−OH又は−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。このようなアルカリ可溶性樹脂の例としては、後述するものが挙げられる。
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して、17nm/秒以上が好ましい。この速度は、特に好ましくは、33nm/秒以上である。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、o−、m−及びp−ポリ(ヒドロキシスチレン)並びにこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲン又はアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部O−アルキル化物又はO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を含んだ樹脂;並びに、(メタ)アクリル酸及びノルボルネンカルボン酸等のカルボキシル基を有する繰り返し単位を含んだ樹脂が挙げられる。
好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン及び(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルが挙げられる。この繰り返し単位としては、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート又はジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂は、欧州特許254853号明細書、特開平2−25850号公報、同3−223860号公報及び同4−251259号公報等に開示されているように、例えば、樹脂に酸の作用により脱離する基の前駆体を反応させるか、又は、酸の作用により脱離する基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合させることにより得られる。
本発明の組成物に、KrFエキシマレーザー光、電子線、X線又は波長50nm以下の高エネルギー光線(例えば、EUV)を照射する場合には、この樹脂は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくは、この樹脂は、ヒドロキシスチレンと酸の作用により脱離する基で保護されたヒドロキシスチレンとの共重合体、又は、ヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルとの共重合体である。
このような樹脂としては、具体的には、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
式中、R01、R02及びR03は、各々独立に、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。Ar1は、例えば、芳香環基を表す。なお、R03とAr1とがアルキレン基であり、両者が互いに結合することにより、−C−C−鎖と共に、5員又は6員環を形成していてもよい。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表し、1〜2が好ましく、1がより好ましい。
R01〜R03としてのアルキル基は、例えば、炭素数20以下のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基又はドデシル基である。より好ましくは、これらアルキル基は、炭素数8以下のアルキル基である。なお、これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
R03がアルキレン基を表す場合、このアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基等の炭素数1〜8のものが挙げられる。
Ar1としての芳香環基は、炭素数6〜14のものが好ましく、例えば、ベンゼン環、トルエン環及びナフタレン環が挙げられる。なお、これら芳香環基は、置換基を有していてもよい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)及び−CH(R36)(Ar)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基及びオクチル基が挙げられる。
R36〜R39、R01、又はR02としてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01、R02、又はArとしてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が好ましい。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びシクロへキセニル基が挙げられる。
R36とR37とが互いに結合して形成し得る環は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造及びシクロオクタン構造が挙げられる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造及びテトラシクロドデカン構造が挙げられる。なお、環構造中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(III)で表される構造がより好ましい。
一般式(III)中、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、ヘテロ原子を含んでも良いシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでもよい芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアシル基を表す。なお、これら環状脂肪族基及び芳香環基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
なお、Q、M、L1の少なくとも2つが互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
L1及びL2としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアラルキル基は、例えば炭素数6〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又はオクチレン基)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基)、アルケニレン基(例えば、エチレン基、プロペニレン基又はブテニレン基)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基又はナフチレン基)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、又は、これらの2以上の組み合わせである。ここで、R0は、水素原子又はアルキル基である。R0としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
Qとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、上述したL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしての芳香環基としては、例えば、上述したL1及びL2としてのアリール基が挙げられる。このアリール基は、好ましくは、炭素数3〜15の基である。
Qとしてのヘテロ原子を含んだシクロアルキル基又は芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール及びピロリドン等の複素環構造を有した基が挙げられる。但し、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
Q、M及びL1の少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、これらがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環構造が挙げられる。なお、この5員又は6員環構造は、酸素原子を含有している。
一般式(2)におけるL1、L2、M及びQで表される各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
−(M−Q)で表される基としては、炭素数1〜30の基が好ましく、炭素数5〜20の基がより好ましい。特に、アウトガス抑制の観点からは、炭素数が6以上の基が好ましい。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、下記一般式(X)で表される繰り返し単位を有してもよい。
一般式(X)中、
Xa1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、各々独立に、直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、Rx1〜Rx3の少なくとも2つが互いに結合して、単環又は多環のシクロアルキル基を形成していてもよい。
Tとしての2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、−(COO−Rt)−基、及び−(O−Rt)−基が挙げられる。ここで、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−(COO−Rt)−基であることが好ましい。ここで、Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH2)2−基又は−(CH2)3−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3としてのアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。
Rx1〜Rx3としてのシクロアルキル基は、好ましくは、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基である。
Rx1〜Rx3の2つが互いに結合して形成し得るシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
特には、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが互いに結合して、上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
樹脂中における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、好ましくは3〜90モル%の範囲内であり、より好ましくは5〜80モル%の範囲内であり、特に好ましくは7〜70モル%の範囲内である。
以上において説明した樹脂の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
上記具体例において、tBuはt−ブチル基を表す。
酸分解性基の含有率は、樹脂中の酸分解性基の数(B)と酸の作用により脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)とにより、式B/(B+S)によって計算される。この含有率は、好ましくは0.01〜0.7であり、より好ましくは0.05〜0.50であり、更に好ましくは0.05〜0.40である。
本発明の組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、この樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有していることが好ましい。なお、以下では、このような樹脂を「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」と呼ぶ。
この脂環炭化水素系酸分解性樹脂としては、下記一般式(pI)〜(pV)のいずれかで表される脂環式炭化水素を含んだ部分構造を有する繰り返し単位、及び、下記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種を含んだ樹脂が好ましい。
一般式(pI)〜(pV)中、
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子と共にシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうちの少なくとも1つは、シクロアルキル基を表す。また、R15及びR16の何れかは、シクロアルキル基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はシクロアルキル基を表す。但し、R17〜R21のうちの少なくとも1つは、シクロアルキル基を表す。また、R19及びR21の何れかは、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又はシクロアルキル基を表す。但し、R22〜R25のうちの少なくとも1つは、シクロアルキル基を表す。なお、R23とR24とは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基が挙げられる。
R12〜R25におけるシクロアルキル基、又は、Zと炭素原子とが形成するシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ及びテトラシクロ構造を有する基が挙げられる。その炭素数は6〜30が好ましく、7〜25が特に好ましい。
好ましいシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基及びシクロドデカニル基が挙げられる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基及びトリシクロデカニル基が挙げられる。
これらアルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基及びアルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。これら置換基は、更なる置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子及びアルコキシ基が挙げられる。
一般式(pI)〜(pV)のいずれかで表される構造は、アルカリ可溶性基の保護に用いることができる。このアルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基及びチオール基等の水素原子が一般式(pI)〜(pV)のいずれかで表される構造によって置換された構造が挙げられる。好ましくは、カルボン酸基又はスルホン酸基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)のいずれかで表される構造で置換された構造である。
一般式(pI)〜(pV)のいずれかで表される構造によって保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(pA)中、
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。複数のRの各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、ウレア基、及びこれらの2以上の組み合わせからなる群より選択され、好ましくは単結合である。
Rp1は、上記一般式(pI)〜(pV)の何れかにより表される基である。
一般式(pA)で表される繰り返し単位は、最も好ましくは、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート又はジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位である。
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
上記各構造式において、Rxは、H、CH3、CF3又はCH2OHを表し、Rxa及びRxbは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(II−AB)中、
R11’及びR12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するために必要な原子団を表す。
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)であることが更に好ましい。
一般式(II−AB1)及び(II−AB2)中、
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。A’は、単結合又は2価の連結基を表す。R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。ここで、R6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。なお、R13’〜R16’のうち少なくとも2つが互いに結合して、環構造を形成してもよい。
nは、0又は1を表す。
一般式(II−AB)におけるR11’又はR12’としてのハロゲン原子は、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子又はヨウ素原子である。
R11’又はR12’としてのアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、並びに、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びヘプチル基が挙げられる。
上記Z’で表される原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を、樹脂中に形成する原子団である。この原子団としては、有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成するものが好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)におけるR12〜R25のシクロアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記脂環式炭化水素の骨格は、置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば、上記一般式(II−AB1)及び(II−AB2)におけるR13’〜R16’が挙げられる。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、酸の作用により分解する基は、上記一般式(pI)〜一般式(pV)で表される脂環式炭化水素を含んだ部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び、後述する共重合成分の繰り返し単位のうちの少なくとも1つに含有させることができる。
上記一般式(II−AB1)及び(II−AB2)におけるR13’〜R16’の各置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造又は有橋式脂環式構造を形成するための原子団Z’の置換基ともなり得る。
上記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)で表される繰り返し単位として、下記具体例を挙げるが、本発明は、これらの例に限定されない。
酸分解性樹脂は、ラクトン基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。このラクトン基は、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、特には、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。
この酸分解性樹脂は、より好ましくは、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかで表されるラクトン構造を含んだ基を有する繰り返し単位を含んでいる。なお、ラクトン構造を有する基は、主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)及び(LC1−17)が挙げられる。特定のラクトン構造を用いることにより、ラインエッジラフネス及び現像欠陥を更に減少させ得る。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していてもよく、有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基及び酸分解性基が挙げられる。
n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の整数である場合、複数存在するRb2は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、この場合、複数存在するRb2同士が互いに結合して、環構造を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかで表されるラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、上記一般式(II−AB1)及び(II−AB2)中のR13’〜R16’のうちの少なくとも1つが一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表される基を有するもの、及び、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が挙げられる。なお、前者の例としては、−COOR5のR5が一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表される基である構造が挙げられる。
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rb0としてのアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はt−ブチル基である。これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、水酸基及びハロゲン原子が挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Rb0は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Abは、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせを表す。Abは、好ましくは、単結合又は−Ab1−CO2−で表される連結基である。
Ab1は、直鎖若しくは分岐アルキレン基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基又はノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表される基である。
なお、ラクトン基を有する繰り返し単位には、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上のものが好ましく、95%ee以上のものがより好ましい。
特に好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。式中、Rx及びRは、H、CH3、CH2OH又はCF3を表す。
樹脂中におけるラクトン基を有する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位に対して、好ましくは3〜90モル%の範囲内であり、より好ましくは5〜80モル%の範囲内であり、更に好ましくは7〜70モル%の範囲内である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を含んだ繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより、基板密着性及び現像液親和性を向上させ得る。この極性基としては、水酸基又はシアノ基が好ましい。なお、極性基としての水酸基は、アルコール性水酸基を形成する。
極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、例えば、下記一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される構造が挙げられる。
一般式(VIIa)中、R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。但し、R2c〜R4cのうちの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cのうちの1つ又は2つが水酸基であり、残りが水素原子である。更に好ましくは、R2c〜R4cのうちの2つが水酸基であり、残りの1つが水素原子である。
一般式(VIIa)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体又はモノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13’〜R16’のうちの少なくとも1つが上記一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基を有するもの、及び、下記一般式(AIIa)又は(AIIb)で表される繰り返し単位が挙げられる。前者の例としては、−COOR5のR5が一般式(VIIa)又は(VIIb)で表される基である構造が挙げられる。
一般式(AIIa)、(AIIb)中、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)におけるR2c〜R4cと同義である。
一般式(AIIa)又は(AIIb)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を有してもよい。
一般式(VIII)中、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。ここでR42は、アルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。R41又はR42としてのアルキル基は、ハロゲン原子等により置換されていてもよい。この場合、ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、本発明は、これらに限定されない。
酸分解性樹脂は、アルカリ可溶性基を含んだ繰り返し単位を有することが好ましく、カルボキシル基を含んだ繰り返し単位を有することがより好ましい。これにより、コンタクトホール用途での解像度を向上させ得る。
カルボキシル基を含んだ繰り返し単位としては、樹脂の主鎖に直接カルボキシル基が結合している繰り返し単位、及び、連結基を介して樹脂の主鎖にカルボキシル基が結合している繰り返し単位のいずれも好ましい。
前者の例としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位が挙げられる。また、後者における連結基は、単環又は多環のシクロアルキル構造を有していてもよい。
カルボキシル基を含んだ繰り返し単位としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位が最も好ましい。
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によって求めたポリスチレン換算値として、好ましくは、2,000〜200,000の範囲内である。重量平均分子量を2,000以上とすることにより、耐熱性及びドライエッチング耐性を特に向上させ得る。重量平均分子量を200,000以下とすることにより、現像性を特に向上させ得ると共に、組成物の粘度の低下に起因して、その製膜性をも向上させ得る。
より好ましい重量平均分子量は、2,500〜50,000の範囲内であり、更に好ましくは、3,000〜20,000の範囲内である。また、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー線(例えば、EUV)を利用した微細パターン形成では、重量平均分子量を3,000〜15,000の範囲内とすることが最も好ましい。重量平均分子量を調整することにより、組成物の耐熱性及び解像力の向上並びに現像欠陥の減少等を同時に達成し得る。
酸分解性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、1.2〜2.5がより好ましく、1.0〜1.6が更に好ましい。この分散度を調整することにより、例えば、ラインエッジラフネス性能を向上させ得る。
前述の、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂は、1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物において、1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により脱離する基によって置換された化合物(C1)であることが好ましく、化合物(C1)は、樹脂であることが好ましい。樹脂としての化合物(C1)としては、上記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する樹脂が好適に挙げられる。
1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物において、1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により脱離する基によって置換された化合物(C1)は、前述の、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であることが好ましい。
前記化合物(C1)において、1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により脱離する基によって置換された基の含有率は、1個以上のフェノール性水酸基の内の少なくとも1つにおける水素原子が、酸の作用により脱離する基によって置換された基によって置換された基の数(B’)と、酸の作用により脱離する基によって置換されていないフェノール性水酸基の数(S’)とにより、式B’/(B’+S’)によって計算される。この含有率は、好ましくは0.01〜0.7であり、より好ましくは0.05〜0.50であり、更に好ましくは0.05〜0.40である。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物を含有しても、しなくてもよいが、含有する場合、その化合物の配合率は、組成物の全固形分中を基準として、0〜99.9質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましく、60〜93質量%がより好ましい。
また、本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物が、ネガ型レジスト組成物の場合においても、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する化合物を含有する組成物を用いて製膜及び露光を行い、有機溶剤を使用した現像によりネガ型パターンを得ることができる。
〔4〕(C2)フェノール性水酸基を有する化合物
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性組成物が、は、前述の化合物(C)として、1個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(C2)(以下、「化合物(C2)とも言う」)を含有し得る。
このような感活性光線性又は感放射線性組成物が、例えば、更に後述の架橋剤(D)を含有することにより、露光部においては前記化合物(B)から発生する酸、及び、酸の作用により前記化合物(A)から発生するスルホン酸の作用により、フェノール性水酸基を有する化合物(C2)と架橋剤(D)との架橋反応が進行し、ネガ型のパターンを形成できる。
フェノール性水酸基を有する化合物(C2)は、フェノール性水酸基を有する限り特に限定されず、分子レジストのような比較的低分子の化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。なお分子レジストとしては、例えば特開2009−173623号公報及び特開2009−173625号公報に記載の低分子量環状ポリフェノール化合物等が使用できる。
フェノール性水酸基を有する化合物(C2)は、反応性及び感度の観点から、高分子化合物であることが好ましい。
本発明のフェノール性水酸基を有する化合物(C2)が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、少なくとも一種のフェノール性水酸基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(1)中、R14は水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表す。
Bは、単結合又は2価の連結基を表す。
Arは、芳香族環を表す。
R14における置換基を有していてもよいメチル基としては、トリフルオロメチル基や、ヒドロキシメチル基等を挙げることができる。
R14は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
Bの2価の連結基としては、カルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基(−S(=O)2−)、−O−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基が好ましい。
Bは、単結合、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)又は−C(=O)−NH−を表すことが好ましく、単結合又はカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を表すことがより好ましく、単結合であることがドライエッチング耐性向上の観点で特に好ましい。
Arの芳香族環は、単環又は多環の芳香族環であり、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が感度の観点で最も好ましい。
Arの芳香族環は、上記−OHで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールカルボニル基が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが架橋反応性、現像性、ドライエッチング耐性の理由でより好ましい。
一般式(2)中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。
Arは、芳香族環を表す。
R12は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
一般式(2)におけるArは、一般式(1)におけるArと同義であり、好ましい範囲も同様である。一般式(2)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンから誘導される繰り返し単位(すなわち、一般式(2)においてR12が水素原子であり、Arがベンゼン環である繰り返し単位)であることが感度の観点から好ましい。
高分子化合物としての化合物(C2)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位のみから構成されていてもよい。高分子化合物としての化合物(C2)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位以外にも後述するような繰り返し単位を有していてもよい。その場合、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の含有量は、高分子化合物としての化合物(C2)の全繰り返し単位に対して、10〜98モル%であることが好ましく、30〜97モル%であることがより好ましく、40〜95モル%であることが更に好ましい。これにより、特に、レジスト膜が薄膜である場合(例えば、レジスト膜の厚みが、10〜150nmである場合)、化合物(C2)を用いて形成された本発明のレジスト膜における露光部のアルカリ現像液に対する溶解速度をより確実に低減できる(即ち、化合物(C2)を用いたレジスト膜の溶解速度を、より確実に最適なものに制御できる)。その結果、感度をより確実に向上させることができる。
以下、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の例を記載するが、これに限定されるものではない。
化合物(C2)は、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を更に有することが、高いガラス転移温度(Tg)が得られること、ドライエッチング耐性が良好となることから好ましい。
化合物(C2)が、前述の特定の構造を有することで、化合物(C2)のガラス転移温度(Tg)が高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成することができ、酸の拡散性やドライエッチング耐性を制御することができる。従って、電子線や極紫外線等の活性光線又は放射線の露光部における酸の拡散性が非常に抑制されるため、微細なパターンでの解像力、パターン形状及びLERが更に優れる。また、化合物(C2)が非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有することが、ドライエッチング耐性の更なる向上に寄与するものと考えられる。更に、詳細は不明だが、多環脂環炭化水素構造は水素ラジカルの供与性が高く、光酸発生剤である(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の分解時の水素源となり、光酸発生剤の分解効率が更に向上し、酸発生効率が更に高くなっていると推定され、これがより優れた感度に寄与するものと考えられる。
本発明に係る化合物(C2)が有していてもよい前述の特定の構造は、ベンゼン環等の芳香族環と、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基とが、フェノール性水酸基に由来する酸素原子を介して連結している。前述のように、該構造は高いドライエッチング耐性に寄与するだけでなく、化合物(C2)のガラス転移温度(Tg)を上げることができ、これらの組み合わせの効果により高い解像力が提供されるものと推定される。
本発明において、非酸分解性とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)が発生する酸により、分解反応が起こらない性質を意味する。
より具体的には、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基は、酸及びアルカリに安定な基であることが好ましい。酸及びアルカリに安定な基とは、酸分解性及びアルカリ分解性を示さない基を意味する。ここで酸分解性とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)が発生する酸の作用により分解反応を起こす性質を意味し、酸分解性を示す基としては前述の「酸分解性基を有する繰り返し単位」において説明する酸分解性基が挙げられる。
またアルカリ分解性とは、アルカリ現像液の作用により分解反応を起こす性質を意味し、アルカリ分解性を示す基としてはポジ型の感活性光線性又は感放射線性組成物において好適に使用される樹脂中に含まれる、従来公知のアルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基(例えばラクトン構造を有する基など)が挙げられる。
多環脂環炭化水素構造を有する基とは、多環脂環炭化水素構造を有する一価の基である限り特に限定されないが、総炭素数が5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。多環脂環炭化水素構造は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
多環脂環炭化水素構造を有する基における多環脂環炭化水素構造は、単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造、若しくは、多環型の脂環炭化水素構造を意味し、有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造はこれらの基を複数有する。単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
多環型の脂環炭化水素構造としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、イソボルナン構造、ボルナン構造、ジシクロペンタン構造、α−ピネン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造、あるいはアンドロスタン構造を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記の多環脂環炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、シクロヘキシル基を複数有する構造、シクロヘプチル基を複数有する構造、シクロオクチル基を複数有する構造、シクロデカニル基を複数有する構造、シクロドデカニル基を複数有する構造、トリシクロデカン構造があげられ、アダマンタン構造がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい(すなわち、前記非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基が、非酸分解性のアダマンタン構造を有する基であることが最も好ましい)。
これらの多環脂環炭化水素構造(単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造については、該単環型の脂環炭化水素基に対応する単環型の脂環炭化水素構造(具体的には以下の式(47)〜(50)の構造))の化学式を以下に表示する。
更に上記多環脂環炭化水素構造は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、及びこれら基を組み合わせてなる基(好ましくは総炭素数1〜30、より好ましくは総炭素数1〜15)が挙げられる。
上記多環脂環炭化水素構造としては、上記式(7)、(23)、(40)、(41)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造が好ましく、上記式(23)、(40)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造がより好ましく、上記式(40)で表される構造が最も好ましい。
多環脂環炭化水素構造を有する基としては、上記の多環脂環炭化水素構造の任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基であることが好ましい。
前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造は、前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位として高分子化合物としての化合物(C2)に含有されることが好ましく、下記一般式(3)で表される繰り返し単位として化合物(C2)に含有されることがより好ましい。
一般式(3)中、R12は水素原子又はメチル基を表す。
Xは水素原子、又は、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表し、少なくとも一つは非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。
Arは芳香環基を示す。
Bは単結合又は2価の連結基を表す。
mは1以上の整数である。
一般式(3)におけるR12は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(3)のArの芳香環としては、前記一般式(1)において挙げられたものが挙げられ、また好ましい範囲も同様である。 Arの芳香族環は、上記−OXで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
Bは単結合が好ましい。
Xは非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。Xで表される非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基の具体例及び好ましい範囲は上述のものと同様である。Xは、後述の一般式(4)における−Y−X2で表される基であることがより好ましい。
mは1〜5の整数であることが好ましく、1が最も好ましい。mが1でAr1がベンゼン環の時、―OXの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位又はメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
本発明において、前記一般式(3)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(4)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(C2)を使用すると、高分子化合物(C2)のTgが高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成するため、酸の拡散性やドライエッチング耐性をより確実に制御できる。
一般式(4)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
Yは単結合又は2価の連結基を表す。
X2は非酸分解性の多環脂環炭化水素基を表す。
前記一般式(4)で表される繰り返し単位で、本発明に用いられる好ましい例を以下に記述する。
一般式(4)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4)において、Yは2価の連結基であることが好ましい。Yの2価連結基として好ましい基は、カルボニル基、チオカルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基、−COCH2−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基(好ましくは総炭素数1〜20、より好ましくは総炭素数1〜10)であり、より好ましくはカルボニル基、−COCH2−、スルホニル基、−CONH−、−CSNH−であり、更に好ましくはカルボニル基、−COCH2−であり、特に好ましくはカルボニル基である。
X2は多環脂環炭化水素基を表し、非酸分解性である。多環脂環炭化水素基の総炭素数は5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。多環脂環炭化水素基は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
このような多環脂環炭化水素基は、単環型の脂環炭化水素基を複数有する基、若しくは、多環型の脂環炭化水素基であり、有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、これらの基を複数有する。単環型の脂環炭化水素基を複数有する基は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
多環型の脂環炭化水素基としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造を有する基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、あるいはアンドロスタニル基を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記X2の多環脂環炭化水素基としては、好ましくはアダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、セドロール基、シクロヘキシル基を複数有する基、シクロヘプチル基を複数有する基、シクロオクチル基を複数有する基、シクロデカニル基を複数有する基、シクロドデカニル基を複数有する基、トリシクロデカニル基であり、アダマンチル基がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい。X2の多環脂環炭化水素基における多環脂環炭化水素構造の化学式としては、前述の多環脂環炭化水素構造を有する基における多環脂環炭化水素構造の化学式と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。X2の多環脂環炭化水素基は、前述の多環脂環炭化水素構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基が挙げられる。
更に上記脂環炭化水素基は置換基を有してもよく、置換基としては多環脂環炭化水素構造が有してもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。
一般式(4)における―O―Y―X2の置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
本発明において、前記一般式(3)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4’)で表される繰り返し単位であることが最も好ましい。
一般式(4’)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(4’)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4’)におけるアダマンチルエステル基の置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
一般式(3)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
化合物(C2)が高分子化合物であり、更に前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位を含有する場合、該繰り返し単位の含有量は、高分子化合物としての化合物(C2)の全繰り返し単位に対して、1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは2〜30モル%である。
本発明で用いられる高分子化合物としての化合物(C2)は、上記繰り返し単位以外の繰り返し単位として、下記のような繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」ともいう)を更に有することも好ましい。
これら他の繰り返し単位を形成するための重合性モノマーの例としてはスチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ハロゲン置換スチレン、O−アルキル化スチレン、O−アシル化スチレン、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、置換基を有しても良いインデン等を挙げることができる。
高分子化合物としての化合物(C2)は、これら他の繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、これら他の繰り返し単位の高分子化合物としての化合物(C2)中の含有量は、高分子化合物としての化合物(C2)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜10モル%である。
高分子化合物としての化合物(C2)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法やリビングラジカル重合法(イニファーター法等)により合成することができる。例えば、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
高分子化合物としての化合物(C2)としては、芳香族ケトン又は芳香族アルデヒド、及び1〜3個のフェノール性水酸基を含有する化合物の縮合反応により製造されたポリフェノール化合物(例えば、特開2008−145539)、カリックスアレーン誘導体(例えば特開2004−18421)、Noria誘導体(例えば特開2009−222920)、ポリフェノール誘導体(例えば特開2008−94782)も適用でき、高分子反応で修飾して合成しても良い。
また、高分子化合物としての化合物(C2)は、ラジカル重合法やアニオン重合法で合成したポリマーに高分子反応で修飾して合成することが好ましい。
高分子化合物としての化合物(C2)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜200000であり、更に好ましくは2000〜50000であり、更により好ましくは2000〜15000である。
高分子化合物としての化合物(C2)の分散度(分子量分布)(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下であり、感度及び解像性の向上の観点でより好ましくは1.0〜2.0であり、1.0〜1.6が更に好ましく、1.0〜1.25が最も好ましい。リビングアニオン重合等のリビング重合を用いることで、得られる高分子化合物の分散度(分子量分布)が均一となり、好ましい。高分子化合物としての化合物(C2)の重量平均分子量及び分散度は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。
低分子化合物としての化合物(C2)の分子量は、3000以下であることが好ましく、300〜2000であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物に対する化合物(C2)の添加量は組成物の全固形分に対して、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜85質量%で用いられる。
化合物(C2)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔5〕酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)
上記したように、本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物が特にポジ型レジスト組成物である場合、感活性光線性又は感放射線性組成物は、溶解阻止化合物を含有し得る。
溶解阻止化合物としては、220nm以下における透過性を低下させないため、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996) に記載されている酸分解性基を含んだコール酸誘導体が挙げられる。なお、これら脂環式構造及び酸分解性基としては、上記脂環炭化水素系酸分解性樹脂について説明したのと同様のものが挙げられる。
本発明に係る組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか又は電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物は、フェノール化合物におけるフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含んでいることが好ましい。このフェノール化合物としては、フェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、2〜6個含有するものが更に好ましい。
溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、300〜3000が好ましく、500〜2500が更に好ましい。
溶解阻止化合物の添加量は、組成物中の全固形分を基準として、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔6〕(D)酸の作用により上記アルカリ可溶性樹脂と架橋する酸架橋剤
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、ネガ型レジスト組成物であるとき、架橋剤(D)(以下、適宜、酸架橋剤又は単に架橋剤と称する)を含有することが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、架橋剤(D)として、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物を含有することがより好ましい。
好ましい架橋剤としては、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化系フェノール化合物、アルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物類及びアルコキシメチル化ウレア系化合物が挙げられ、その中でもヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化系フェノール化合物が、良好なパターン形状が得られることからより好ましい。特に好ましい架橋剤としての化合物(D)としては、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、分子量が1200以下のフェノール誘導体や、少なくとも2個の遊離N−アルコキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体やアルコキシメチルグリコールウリル誘導体が挙げられる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、パターン形状の観点から、架橋剤(D)として、アルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物を少なくとも2種含有することがより好ましく、アルコキシメチル基を分子内に2個以上有するフェノール化合物を少なくとも2種含有することが更に好ましく、該少なくとも2種のフェノール化合物の内の少なくとも1種が、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、分子量が1200以下のフェノール誘導体であることが特に好ましい。
アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が好ましい。
上記架橋剤のうち、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。また、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。
このようにして合成されたフェノール誘導体のうち、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体が感度、保存安定性の点から特に好ましい。
別の好ましい架橋剤の例として、更にアルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物類及びアルコキシメチル化ウレア系化合物のようなN−ヒドロキシメチル基又はN−アルコキシメチル基を有する化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレア等が挙げられ、EP0,133,216A、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号、EP0,212,482A号に開示されている。
これら架橋剤の中で特に好ましいものを以下に挙げる。
式中、L1〜L8は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
本発明において架橋剤は、感活性光線性又は感放射線性組成物の固形分中、好ましくは3〜65質量%、より好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられ、5〜30質量%であることが更に好ましい。架橋剤の添加量を3〜65質量%とすることにより、残膜率及び解像力が低下することを防止するとともに、レジスト液の保存時の安定性を良好に保つことができる。
本発明において、架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、パターン形状の観点から2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、上記のフェノール誘導体に加え、他の架橋剤、例えば上述のN−アルコキシメチル基を有する化合物等を併用する場合、上記のフェノール誘導体と他の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
〔7〕塩基性化合物
本発明に係る組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。塩基性化合物は、露光により発生した酸による脱保護反応をクエンチする役割を果たし、その拡散性及び塩基性度等が、酸の実効的な拡散性に影響し得る。
好ましい塩基性化合物として、下記式(A)で表されるアンモニウム塩、及び、式(B)〜(E)で表される構造を有する塩基性の化合物が挙げられる。
式(A)中、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)を表す。なお、R250とR251とは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。また、これら基は、置換基を有していてもよい。
置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
式(E)中、R253乃至R256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を表す。
好ましい化合物としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン及びピペリジンが挙げられる。これら化合物は、置換基を有していてもよい。
更に好ましい化合物としては、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、並びに、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体が挙げられる。
イミダゾール構造を有する化合物としては、例えば、イミダゾール;2,4,5−トリフェニルイミダゾール;及びベンズイミダゾールが挙げられる。
ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン;1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン;及び1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンが挙げられる。
オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、及び2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシドが挙げられる。具体的には、例えば、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、及び2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドが挙げられる。
オニウムカルボキシレート構造を有する化合物は、オニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えば、アセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、及びパーフロロアルキルカルボキシレートが挙げられる。
トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、例えば、トリ(n−ブチル)アミン及びトリ(n−オクチル)アミンが挙げられる。
アニリン化合物としては、例えば、2,6−ジイソプロピルアニリン及びN,N−ジメチルアニリンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリス(メトキシエトキシエチル)アミンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等が挙げられる。
他の塩基性化合物としては、フェノキシ基を有するアミン化合物及びフェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物が挙げられる。
アミン化合物としては、1級、2級又は3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。また、アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に酸素原子を含み、1つ以上のオキシアルキレン基を有していることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、好ましくは3〜9個であり、さらに好ましくは4〜6個である。このオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)又はオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−若しくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、オキシエチレン基が更に好ましい。
アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に酸素原子を含み、1つ以上のオキシアルキレン基を有していてもよい。オキシアルキレン基の数は、好ましくは3〜9個であり、さらに好ましくは4〜6個である。このオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)又はオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−若しくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、オキシエチレン基が更に好ましい。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハライド、スルホネート、ボレート、フォスフェート及びハイドロキサイド等が挙げられるが、中でも、ハイドロキサイドが好ましい。
ハライドとしては、クロライド、ブロマイド又はアイオダイドが特に好ましい。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、例えば、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンとハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得られる。また、フェノキシ基を有するアミン化合物は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することによって得ることもできる。
感度、ラフネス及び安定性等の観点から、塩基性化合物としてアンモニウム塩化合物を用いることが特に好ましく、4級のアンモニウム塩化合物のハイドロキサイドを用いることが最も好ましい。
これらの塩基性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物の分子量は、250〜1000であることが好ましく、250〜800であることがより好ましく、400〜800であることが特に好ましい。
塩基性化合物の含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜8.0質量%であり、より好ましくは0.1〜5.0質量%であり、更に好ましくは0.1〜4.0質量%である。
〔8〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明に係る組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することが好ましい。フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子との両方を含有する界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明に係る組成物にフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤を含有させることにより、250nm以下、特には220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを与えることが可能となる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えば、エフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファッ
クF171、F173、F176、F189、R08(DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、及びトロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤が挙げられる。また、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を含んだものを用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(DIC(株)製)が挙げられる。さらに、C6F13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C6F13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C8F17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C8F17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.0001〜2質量%であり、より好ましくは0.001〜1質量%である。
〔9〕有機溶剤
本発明に係る組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン及びテトラヒドロフランが挙げられる。
ケトン構造を有する溶剤としては、例えば、鎖状ケトン溶剤及び環状ケトン溶剤が挙げられる。塗布性の観点から、合計炭素数5〜8のものが特に好ましい。
鎖状ケトン溶剤としては、例えば、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。これらのうち、2−ヘプタノンが特に好ましい。
環状ケトン溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、3−メチル−2−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン及びイソホロンが挙げられる。これらのうち、シクロヘキサノン及びシクロヘプタノンが特に好ましい。
有機溶剤としては、ケトン構造を有する溶剤を単独で用いるか、又は、ケトン構造を有する溶剤と他の溶剤との混合溶剤を用いることが好ましい。
ケトン構造を有する溶剤と混合する他の溶剤(併用溶剤)としては、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、乳酸アルキル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、アルコキシプロピオン酸アルキル及びラクトン化合物が挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
乳酸アルキルとしては、例えば、乳酸メチル及び乳酸エチルが挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル及びエトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
好ましい併用溶剤としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、乳酸アルキル及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。より好ましい併用溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
また、膜厚均一性及び現像欠陥性能の観点から、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等の沸点200℃以上の高沸点溶剤を混合してもよい。
これら高沸点溶剤の添加量は、通常は全溶剤中の0.1〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。
本発明では、有機溶剤を用いて、好ましくは2種類以上の混合溶剤を用いて、感活性光線性又は感放射線性組成物を調製する。
この組成物の固形分濃度は、通常は1〜25質量%とし、好ましくは3〜22質量%とし、より好ましくは5〜15質量%とする。
〔10〕その他の添加剤
本発明に係る組成物には、必要に応じて、染料、可塑剤、先に挙げたフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の界面活性剤、光増感剤、及び、現像液に対する溶解性を促進させる化合物等の添加剤を更に含有させてもよい。
現像液に対する溶解性を促進させる化合物(溶解促進性化合物)は、例えば、フェノール性OH基を2個以上又はカルボキシ基を1個以上有する、分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は、脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の添加量は、好ましくは、上述した樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。現像残渣の抑制及び現像時のパターン変形防止の観点から、この添加量は、50質量%以下が好ましい。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4916210号及び欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、容易に合成することができる。
カルボキシ基を有する脂環族又は脂肪族化合物の具体例としては、コール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸等のステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で添加してもよく、2種以上を組み合わせて添加してもよい。
〔11〕パターン形成方法
以下、本発明に係る組成物を用いたパターン形成方法について説明する。
本発明に係る組成物は、典型的には、所定の有機溶剤、好ましくは上記の混合溶剤に溶解し、所定の支持体上に塗布して用いる。例えば、この組成物は、精密集積回路素子やインプリント用モールド構造体の製造等に使用される基板(例:シリコン、シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン、Cr層を有する石英など)上に、スピナー及びコーター等の適当な塗布方法により塗布される。その後、これを乾燥して、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、レジスト膜膜ともいう)を得る。また、乾燥温度は60〜150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。
次いで、感光性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行った後、現像する。ベーク温度は、感度及び安定性の観点から80℃から150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。これにより良好なパターンを得ることができる。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、及び電子線が挙げられる。これら活性光線又は放射線としては、例えば250nm以下、特には220nm以下の波長を有したものがより好ましい。このような活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、及び電子ビームが挙げられる。特に好ましい活性光線又は放射線としては、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)及び電子ビームが挙げられる。
なお、活性光線又は放射線の照射時に、感光性膜とレンズとの間に空気よりも屈折率の高い液体(純水など)を満たしての露光、即ち、液浸露光を行ってもよい。これにより、解像度を高めることができる。この場合、レジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜と液浸液との接触を避けるために、レジスト膜の上に液浸液難溶性膜(「トップコート」ともいう)を設けてもよい。また、レジスト膜と液浸液との接触を避けるための別の手段として、前述の組成物に予め疎水性樹脂(HR)を添加しておいてもよい。この疎水性樹脂(HR)として具体的には、US2008/0305432A1号明細書の段落0172〜0253で説明されている樹脂などがあげられる。
現像工程では、通常アルカリ現像液を用いる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及びアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン及びn−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン及びメチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、又は、ピロール及びピヘリジン等の環状アミン類を含んだアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を、適当量添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常、0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常、10.0〜15.0である。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
リンス工程においては、現像を行ったウェハをリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
また、現像工程又は、リンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明のパターン形成方法は、本発明に係る組成物を塗布をすることにより形成されるレジスト膜を露光した後に、有機溶剤を主成分とする現像液を用いて現像し、ネガ型パターンを得るプロセスにも用いることができる。このようなプロセスとしては例えば特開2010−217884に記載されているプロセスを用いることができる。
有機系現像液としては、エステル系溶剤(酢酸ブチル、酢酸エチルなど)、ケトン系溶剤(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。有機系現像液全体としての含水率は10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
なお、本発明の組成物を用いてインプリント用モールドを作成する場合のプロセスの詳細については、例えば特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)などを参照されたい。
また本発明は、レジスト塗布マスクブランクスを、露光及び現像して得られるフォトマスクにも関する。露光及び現像としては、上記に記載の工程が適用される。該フォトマスクは半導体製造用として好適に使用される。
本発明におけるフォトマスクは、ArFエキシマレーザー等で用いられる光透過型マスクであっても、EUV光を光源とする反射系リソグラフィーで用いられる光反射型マスクであっても良い。
本発明は、上記感光性膜又はレジスト塗布マスクブランクス、該膜又は該レジスト塗布マスクブランクスを露光すること、及び、該露光された感光性膜又はレジスト塗布マスクブランクスを現像することを含む、レジストパターン形成方法にも関する。本発明において、前記露光が電子線又は極紫外線を用いて行われることが好ましい。
また、本発明は、上記した本発明のレジストパターン形成方法を含む、半導体デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された半導体デバイスにも関する。
本発明の半導体デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容はこれにより限定されるものではない。
[化合物Aの合成]
<化合物(A−1)〜(A−23)の合成>
酸増殖剤として、下記表1に示す化合物(A−1)〜(A−23)を、以下のようにして合成した。
<化合物(A−1)の合成>
3−メトキシ−3−メチルブタノール10gをアセトニトリル140mLに溶解し、33gのトリエチルアミン、414mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた後、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸クロリド25.6gを加え、室温で4時間撹拌した。反応液に酢酸エチル100mLと蒸留水100mLを加え、分液ロートに移し、水層を除去した。その後有機層を200mLの蒸留水で3回洗浄後、有機層を濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=10/1)で精製し、溶媒を減圧留去後、真空乾燥することで化合物(A−1)28.9gが得られた。
1H−NMR(CDCl3:ppm)δ:1.16(6H、s)1.25−1.27(18H、m)、
1.92(2H、t、J=7.6 Hz)、2.91(1H、sept、J=6.9 Hz)、3.12(3H、s)、4.12−4.20(4H、m)、7.17(2H、s)
<化合物(A−2)〜(A−23)の合成>
同様にしてアルコールとスルホン酸ハライドとを塩基性条件下で反応させることにより化合物(A−2)〜(A−23)を合成した。また一般式(1)には該当しない化合物として、比較用の化合物(R−1)〜(R−3)を準備した。
[酸の体積の計算]
上記化合物(A−1)〜(A−23)及び比較化合物(R−1)〜(R−3)が発生し得るスルホン酸の体積を、以下のようにして計算した。即ち、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて、以下のようにして求めた。まず、各化合物が発生し得る酸の化学構造を入力した。次に、この構造を初期構造として、MM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定した。その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算した。
その結果を、上記表1に示す。
〔実施例1A〜43A及び比較例1A〜4A〕
(1)支持体の準備
酸化Cr蒸着した6インチウェハー(通常のフォトマスクブランクスに使用する遮蔽膜処理を施した物)を準備した。
<合成例1:化合物(P1)の合成>
(クロロエーテル化合物の合成)
500mLナス型フラスコに、1−アダマンタンカルボアルデヒド20.0g、オルトギ酸トリメチル16.8g、カンファースルホン酸283mg、ヘキサン100mLを加え、25℃で1時間攪拌を行った。トリエチルアミン617mgを加えて攪拌し、蒸留水150mLで3回、有機層を洗浄した。減圧条件でヘキサンを除去することで、アセタール化合物として、下記に示す化合物1を24.0g得た。
次に、得られた化合物1の20.0gに対し、塩化アセチル8.96gを加え、45℃の水浴で4時間攪拌した。室温に戻した後、減圧条件で未反応の塩化アセチルを除去することで、クロロエーテル化合物として、下記に示す化合物2を20.42g得た。
1H−NMR(CDCl3:ppm)δ:1.58〜1.83(12H、m)、2.02(3H、s)、3.52(3H、s)、5.08(1H、s)
(化合物(P1)の合成)
ポリヒドロキシスチレン化合物としてのポリ(p−ヒドロキシスチレン)(VP−2500,日本曹達株式会社製)10.0gをテトラヒドロフラン(THF)60gに溶解し、トリエチルアミン8.85gを加え、氷水浴中で攪拌した。反応液に、上記で得られた化合物2(4.47g)を滴下し、4時間攪拌した。反応液を少量採取して1H−NMRを測定したところ、保護率は22.3%であった。その後、少量の化合物2を追添して1時間攪拌し、1H−NMRを測定する操作を繰り返し、保護率が目標値である25.0%を超えた時点で蒸留水を加えて反応を停止した。THFを減圧留去して反応物を酢酸エチルに溶解した。得られた有機層を蒸留水で5回洗浄した後、有機層をヘキサン1.5L中に滴下した。得られた沈殿を濾別し、少量のヘキサンで洗浄した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35gに溶解した。得られた溶液からエバポレーターで低沸点溶媒を除去することで、化合物(P1)のPGMEA溶液(23.7質量%)が43.3g得られた。
得られた化合物(P1)につき、1H−NMR測定により、化合物(P1)の組成比(モル比)を算出した。また、GPC(溶媒:THF)測定により、化合物(P1)の重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)、数平均分子量(Mn:ポリスチレン換算)及び分散度(Mw/Mn、以下「PDI」ともいう)を算出した。
下記に示す樹脂群(P2)〜(P9)についても、合成例1と同様に、対応するヒドロキシスチレン化合物と、クロロエーテル化合物を反応させることで合成した。ここで、各樹脂の化学構造、組成比(モル比)、重量平均分子量及び分散度は、以下に示す通りである。
実施例で使用した光酸発生剤の構造を光酸発生剤が発生する酸の体積値と共に以下に示す。ここで、酸の体積値は、上記化合物(A−1)〜(A−23)から発生する酸の体積値と同様の算出方法により得た。
〔光酸発生剤〕
<合成例:PAG−1>
(トリシクロヘキシルベンゼンの合成)
ベンゼン20.0gに塩化アルミニウム6.83gを加え、3℃で冷却攪拌し、シクロヘキシルクロリド40.4gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷水にあけた。酢酸エチルで有機層を抽出し、得られた有機層を40℃で減圧留去した。更に170℃で減圧留去後、室温に冷却し、アセトン50mlを投入し、再結晶させた。析出した結晶を濾取し、トリシクロヘキシルベンゼン14gを得た。
(トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成)
トリシクロヘキシルベンゼン30gを塩化メチレン50mlに溶解し、3℃で冷却攪拌し、クロロスルホン酸15.2gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌し、氷10gを投入後、50%水酸化ナトリウム水溶液を40g投入した。更にエタノールを20g加え、50℃で1時間攪拌後、不溶分を濾過除去し、40℃で減圧留去した。析出した結晶を濾取し、ヘキサン洗浄し、1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30gを得た。
(PAG−1の合成)
トリフェニルスルホニウムブロミド4.0gをメタノール20mlに溶解し、20mlのメタノールに溶解させた1,3,5−トリシクロヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0gを加えた。室温で2時間攪拌後、イオン交換水50mlを加えクロロホルムで抽出した。得られた有機層を水で洗浄後、40℃で減圧留去し、得られた結晶をメタノール/酢酸エチル溶媒で再結晶した。これにより化合物PAG−1を5.0g得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3) δ=7.85(d,6H),7.68(t,3H),7.59(t,6H),6.97(s,2H),4.36−4.27(m,2H),2.48−2.38(m,1H),1.97−1.16(m,30H)
同様にして、PAG−2〜PAG−4についても合成した。
塩基性化合物としては、次式により表される化合物を用いた。
〔塩基性化合物〕
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、以下のものを用いた。
W−1:メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(DIC(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
〔溶剤〕
溶剤としては、以下のものを用いた。
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)。
S3:シクロヘキサノン。
S4:乳酸エチル(EL)。
(2)レジスト塗布液の準備
下記表2に示す成分を同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.04μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで精密ろ過して、固形分濃度2質量%のレジスト塗布溶液を得た。
(3)レジスト膜の作成
上記6インチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いてレジスト塗布溶液を塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚40nmのレジスト膜を得た。すなわち、レジスト塗布マスクブランクスを得た。
(4)ポジ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。照射後に、120℃、90秒ホットプレート上で加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。
(5)レジストパタ−ンの評価
得られたパターンを下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネス(LER)及び経時安定性について評価した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの露光量(電子線照射量)を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力評価〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小の線幅)を解像力とした。
〔パタ−ン形状〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における線幅100nmの1:1ラインアンドスペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのボトム部(底部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す照射量(電子線照射量)で、線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。そして、その長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔経時安定性〕
各組成物を20゜Cにおいて1ヶ月間に亘って保存した後、保存前後の感度(上記の〔感度〕において測定した感度)の変動の度合いを評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいておこなった。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が0.5 μC/cm2未満であった場合
△(Fair) :感度の変動が0.5 μC /cm2以上、かつ、1.0 μC /cm2以下であった場合
×(Insufficient):感度の変動が1.0 μC /cm2より大きかった場合
〔実施例2A〕〜〔実施例43A〕、〔比較例1A〕〜〔比較例4A〕
レジスト液処方で、下記表2に記載の成分以外は実施例1Dと同様にしてレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物2D〜43D、ポジ型レジスト比較組成物1D〜4D)の調製、ポジ型パターン形成及びその評価を行った。
評価結果を下記表3に示す。
表3に示す結果から、本発明に係る組成物は、感度、解像力、パターン形状、LER及び経時安定性に優れることが分かる。
〔実施例1B〜6B並びに比較例1B〜4B〕
(レジスト溶液の調製)
前記表2に示したポジ型レジスト組成物をポアサイズ0.04μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して、固形分濃度2質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.05μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に関し、下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネス(LER)及び経時安定性について評価した。
〔感度〕
得られたレジスト膜に、EUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜30.0mJ/cm2の範囲で0.1mJ/cm2ずつ変えながら、1:1ラインアンドスペースパターンの反射型マスクを介して、露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて現像した。
線幅100nmのパターンを解像する露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量における限界解像力(ラインとスペースとが分離解像する最小の線幅)をLS解像力(nm)とした。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す露光量における線幅100nmの1:1ラインアンドスペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのボトム部(底部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
上記の感度を示す露光量で、線幅100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成した。そして、その長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔経時安定性〕
各組成物室温で1ヶ月間に亘って保存した後、保存前後の感度(上記の〔感度〕において測定した感度)の変動の度合いを評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいておこなった。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が1mJ/cm2未満であった場合
△(Fair) :感度の変動が1mJ/cm2以上、かつ、3mJ/cm2以下であった場合
×(Insufficient):感度の変動が3mJ/cm2より大きかった場合
以上の評価結果を下記表4に示す。
表4に示す結果から、本発明に係る組成物は、感度、解像力、パターン形状、LER性能及び経時安定性に優れることが分かる。
〔実施例1E〜38E、並びに比較例1E〜4E〕
(1)支持体の準備
酸化Cr蒸着した6インチウェハー(通常のフォトマスクブランクスに使用する遮蔽膜処理を施した物)を準備した。
〔樹脂〕
実施例に使用した高分子化合物P10〜P14の化学構造、繰り返し単位の組成比(モル比)、及び重量平均分子量を以下に示す。また、実施例に使用した低分子化合物P15の化学構造を以下に示す。
〔光酸発生剤〕
実施例で使用した光酸発生剤の構造を光酸発生剤が発生する酸の体積値と共に以下に示す。ここで、酸の体積値は、上記化合物(A−1)〜(A−23)から発生する酸の体積値と同様の算出方法により得た。
〔架橋剤〕
架橋剤としては、次式により表される化合物を用いた。
〔塩基性化合物〕
塩基性化合物としては、次式により表される化合物を用いた。
〔有機カルボン酸〕
有機カルボン酸としては、以下のものを用いた。
D1:2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸
D2:2−ナフトエ酸
D3:安息香酸
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、以下のものを用いた。
W−1:メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(DIC(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:PF6320(OMNOVA(株)製;フッ素系)
W−4:ポリシロキサンポリマー(信越化学工業(株)製;シリコン系)
〔溶剤〕
溶剤としては、以下のものを用いた。
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)。
S3:シクロヘキサノン。
S4:乳酸エチル(EL)。
S5:2−ヘプタノン。
S6:γ−ブチロラクトン。
S7:プロピレンカーボネート。
(2)レジスト塗布液の準備
(ネガ型レジスト組成物の塗布液組成)
下記表5に示す各成分を同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.04μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで精密ろ過して、固形分4質量%のレジスト塗布溶液を得た。
(3)レジスト膜の作成
上記6インチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いてレジスト塗布溶液を塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚100nmのレジスト膜を得た。すなわち、レジスト塗布マスクブランクスを得た。
(4)ネガ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。照射後に、120℃、90秒間ホットプレート上で加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。
(5)レジストパタ−ンの評価
得られたパターンを下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、LER性能、スカム、ドライエッチング耐性及び経時安定性について評価した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの露光量(電子線照射量)を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小の線幅)を解像力(nm)とした。
〔パタ−ン形状〕
上記の感度を示す露光量(電子線照射量)における線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのトップ部(表面部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔LER性能〕
上記の感度を示す照射量(電子線照射量)で、線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。そして、その長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔ドライエッチング耐性〕
上記の感度を示す照射量(電子線照射量)で全面照射を行うことにより形成したレジスト膜を、HITACHI U−621でAr/C4F6/O2ガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用いて30秒間ドライエッチングを行った。その後レジスト残膜率を測定し、ドライエッチング耐性の指標とした。
非常に良好:残膜率95%以上
良好:95%未満90%以上
不良:90%未満
〔スカム評価〕
上記〔パターン形状〕と同様の方法でラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。その後、S4800(日立ハイテク社(株)製)により断面SEMを取得しスペース部分の残渣を観察し以下のように評価した。
× スカムが見られ、且つ、パターン間が一部つながっている。
○ スカムが見られるがパターン間はつながっていない。
◎ スカムは見られない。
〔経時安定性〕
各組成物を室温で1ヶ月間に亘って保存した後、保存前後の感度(上記の露光において測定した感度)の変動の度合を評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいて行った。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が0.5μC/cm2未満であった場合
△(Fair):感度の変動が0.5μC/cm2以上且つ1μC/cm2以下であった場合
×(Insufficient):感度の変動が1μC/cm2より大きかった場合。
評価結果を下記表6に示す。
表6に示す結果から、本発明に係る組成物は、感度、解像力、パターン形状、LER性能、スカム、ドライエッチング耐性及び経時安定性に優れることが分かる。
〔実施例1F〜6F並びに比較例1F〜4F〕
(レジスト溶液の調製)
前記表5に示したネガ型レジスト組成物をポアサイズ0.04μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して、固形分2質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したネガ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.05μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に関し、下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、LER性能、スカム、ドライエッチング耐性及び経時安定性について評価した。
〔感度〕
得られたレジスト膜に、EUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜20.0mJ/cm2の範囲で0.1mJ/cm2ずつ変えながら、1:1ラインアンドスペースパターンの反射型マスクを介して、露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて現像した。
線幅100nmのパターンを解像する露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔解像力〕
上記の感度を示す露光量における限界解像力(ラインとスペースとが分離解像する最小の線幅)を解像力(nm)とした。
〔パターン形状〕
上記の感度を示す露光量における線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。ラインパターンの断面形状において、[ラインパターンのボトム部(底部)における線幅/ラインパターンの中部(ラインパターンの高さの半分の高さ位置)における線幅]で表される比率が1.5以上のものを「逆テーパー」とし、該比率が1.2以上1.5未満のものを「やや逆テーパー」とし、該比率が1.2未満のものを「矩形」として、評価を行った。
〔LER性能〕
上記の感度を示す露光量で、線幅100nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。そして、その長さ方向50μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔スカム評価〕
上記〔パターン形状〕と同様の方法でラインアンドスペースのレジストパターンを形成した。その後、S4800(日立ハイテク社(株)製)により断面SEMを取得しスペース部分の残渣を観察し以下のように評価した。
× :スカムが見られ、且つ、パターン間が一部つながっている。
○ :スカムが見られるがパターン間はつながっていない。
◎ :スカムは見られない。
〔ドライエッチング耐性〕
上記の感度を示す照射量(電子線照射量)で全面照射を行うことにより形成したレジスト膜を、HITACHI U−621でAr/C4F6/O2ガス(体積比率100/4/2の混合ガス)を用いて30秒間ドライエッチングを行った。その後レジスト残膜率を測定し、ドライエッチング耐性の指標とした。
非常に良好:残膜率95%以上
良好:95%未満90%以上
不良:90%未満
〔経時安定性〕
各組成物室温で1ヶ月間に亘って保存した後、保存前後の感度(上記の〔感度〕において測定した感度)の変動の度合いを評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいておこなった。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が1 mJ/cm2未満であった場合
△(Fair) :感度の変動が1 mJ/cm2以上、かつ、3 mJ/cm2以下満であった場合
×(Insufficient):感度の変動が3 mJ/cm2より大きかった場合
以上の評価結果を下記表7に示す。
表8に示す結果から、本発明に係る組成物は、感度、解像力、パターン形状、LER性能、スカム、ドライエッチング耐性及び経時安定性に優れることが分かる。