JP5711957B2 - 透明包装体入りトラニラスト含有医薬製剤 - Google Patents

透明包装体入りトラニラスト含有医薬製剤 Download PDF

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本発明は、透明包装体入り医薬製剤に関する。更に詳しくは、内部を視認でき、しかも光によるトラニラストの分解を抑制できる包装体に、トラニラストを収容している透明包装体入り医薬製剤に関する。また、本発明は、トラニラストの光分解を抑制する方法に関する。
トラニラスト(N−(3,4−ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸)は、アレルギー性疾患治療剤として、気管支喘息やアレルギー性鼻炎等に経口投与剤として用いられている。更に、トラニラストは、現在ではアレルギー性疾患用の点眼剤の有効成分としても使用されている。一般に、トラニラストは光に極めて不安定であるために、製造時や開封後の光への曝露に対して製剤の安定性を確保することが極めて重要である。通常、光に不安定な薬理活性物質を含有する製剤を安定に保存するために、褐色やアルミ製の容器に製剤を充填したり、光を透過しない紙箱やビニール製の収容袋に収容して携帯保管できるように工夫が施されている。
ところで、点眼剤、洗眼剤や注射剤といった医薬製剤では、品質管理において異物確認試験が薬事法上(日本薬局方で)規定されており、医薬製剤の容器は内部を観察できる透明の包装体(容器)であることが要求されている。また、このような規定のない製剤であっても、使用者にとっては、残存量の確認のためにも内部を肉眼で観察できる程度の透明性を備えている包装体(容器)が望ましいといえる。
従来、容器入りトラニラスト含有医薬製剤において、容器内のトラニラストの光安定性及び容器内部の視認性の双方を備えさせるために、褐色の容器が採用されていた。しかしながら、従来の褐色容器では、トラニラストの安定性を充分に確保できないという問題点もあった。また、アルミ製の容器や不透明の容器等の光をほぼ遮断できる容器では、内部の製剤の性状や内容量を確認できず、製造工程管理や品質管理において不都合が生じる。さらに、容器入りトラニラスト含有医薬製剤を光を透過しない紙箱やビニール製の収容袋に収容して携帯・保管する方法では、トラニラストの安定性を確保できても、使用者にとって極めて不便であった。一方、例えば、特許文献1及び2には、製剤処方の観点から、薬物の光安定性を改善する方法が提案されているが、薬物を収容する包装体を改変することにより光に対して薬物を安定に保持する手段については開示していない。
このような従来技術を背景として、内部を視認でき、しかも光によるトラニラストの分解を抑制できる包装体に、トラニラストを収容している包装体入り医薬製剤の開発が望まれていた。
特開昭63−215642号公報 特開2003−26575号公報
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。詳細には、本発明は、内部を視認でき、しかも光によるトラニラストの分解を抑制できる包装体に、トラニラストを収容している透明包装体入り医薬製剤を提供することを目的とする。また、本発明は、トラニラストの光による分解を抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、波長350〜450nmの光線を遮断することによって、光によるトラニラストの分解を抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる透明包装体入り医薬製剤である:
項1. トラニラスト又はその塩を含有する医薬製剤を、波長350〜450nmの光線を遮断する透明包装体に入れてなる、透明包装体入り医薬製剤。
項2. 透明包装体の波長350〜450nmの波長領域の平均光透過率が20%以下である、項1に記載の透明包装体入り医薬製剤。
項3. 医薬製剤が液剤である、項1又は2に記載の包装体入り医薬製剤。
項4. 医薬製剤が、点眼剤、洗眼剤、注射剤、皮膚外用剤、点鼻剤又はコンタクトレンズ用剤である、項1乃至3のいずれかに記載の透明包装体入り医薬製剤。
また、本発明は、下記に掲げるアントラニル酸誘導体の光分解抑制方法である:
項5. トラニラスト又はその塩の光による分解を抑制する方法であって、トラニラスト又はその塩を含有する医薬製剤を、波長350〜450nmの光線を遮断する透明包装体に収容することを特徴とする光分解抑制方法。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、水性製剤(又は水性組成物)とは、製剤(又は組成物)中に水を少なくとも5重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上含有するものを意味する。
本発明の透明包装体入り医薬製剤は、トラニラストを含有する医薬製剤を、波長350〜450nmの光線を遮断透明包装体に収容しているものである。
本発明の透明包装体入り医薬製剤の含有成分であるトラニラストとは、N−(3,4−ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸のことである。
本発明の透明包装体入り医薬製剤には、上記トラニラストに代えて、又は組み合わせて、トラニラストの塩を使用することができる。トラニラストの塩としては、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩との塩、或いは、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン等の有機アミンやアミノ酸との塩を挙げることができる。これらのトラニラストの薬学的に許容される塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明において、透明包装体に収容される医薬製剤は、トラニラスト又はその塩を含有するものであれば、特に制限されず、トラニラスト又はその塩のみからなるものであってもよく、またトラニラスト又はその塩の他に、薬学的に(製薬上)許容される基材や担体、その他添加剤を含有するものであってもよい。
透明包装体に収容される医薬製剤中のトラニラスト又はその塩の濃度は、製剤の用途や剤形等によって異なるが、例えば、経口投与される製剤では、一日投与量が50〜500mg、局所投与される医薬製剤では、一日投与量が0.01〜50mgとなるように適宜
製剤設計することができる。例えば、水性製剤として用いる場合には、該製剤の総重量に対してトラニラスト又はその塩が0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%となる割合を挙げることができる。
また、透明包装体に収容される製剤に、上記トラニラスト又はその塩の他に、トラニラストに光安定性を付与する化合物を配合することによって、製剤処方の観点から、トラニラスト又はその塩の光に対する安定性を改善することが可能となる。
トラニラストに光安定性を付与する化合物として、例えば、ベルベリン、フラビンアデニンジヌクレオチド、へスペリジン、オキシキノリン、シアノコバラミン、それらの誘導体、及びそれらの塩を挙げることができる。具体的には、ベルベリン、その塩(例えば塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン等)及びその誘導体(例えば、タンニン酸ベルベリン等)(以下、これらをベルベリン類ともいう);フラビンアデニンジヌクレオチド、その塩(例えばフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等)及びその誘導体(以下、これらをFAD類ともいう);ヘスペリジン、その塩及びその誘導体(例えばメチルヘスペリジン等)(以下、これらをヘスペリジン類ともいう);オキシキノリン、その塩又は誘導体(例えば硫酸オキシキノリン等)(以下、これらをオキシキノリン類ともいう);並びにシアノコバラミン、その塩及びその誘導体(以下、これらをシアノコバラミン類ともいう)を例示できる。これらの化合物は公知であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
また、上記化合物は、薬学的に許容されるものであれば、必ずしも精製された状態でなくても使用できる。例えば、ベルベリン類を用いる場合であれば、これらの化合物を含有しているオウバクやオウレン等の生薬の抽出物やエキスを使用してもよい。
トラニラストに光安定性を付与する上記化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
透明包装体に収容される医薬製剤中にトラニラストに光安定性を付与する上記化合物を配合する場合、トラニラスト又はその塩と、トラニラストに光安定性を付与する上記化合物との配合割合については、使用する化合物の種類によっても異なるが、一例として、トラニラスト又はその塩100重量部に対して、トラニラストに光安定性を付与する上記化合物が0.01〜1000重量部、好ましくは0.05〜500重量部、さらに好ましくは0.1〜300重量部、特に好ましくは0.2〜100重量部程度となる割合を挙げることができる。より具体的には、トラニラスト又はその薬学的に許容される塩100重量部に対するトラニラストに光安定性を付与する上記化合物の配合比として、ベルベリン類の場合であれば、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部;FAD類の場合であれば、0.2〜100重量部、好ましくは0.2〜20重量部;更に好ましくは0.2〜5重量部;ヘスペリジン類の場合であれば、0.02〜1000重量部、好ましくは0.2〜1000重量部、更に好ましくは2〜1000重量部;オキシキノリン類の場合であれば、0.02〜500重量部、好ましくは0.2〜500重量部、更に好ましくは0.2〜50重量部;及びシアノコバラミン類の場合であれば、0.5〜500重量部、好ましくは2〜500重量部、更に好ましくは4〜500重量部、更に特に好ましくは20〜500重量部となる範囲を例示できる。
透明包装体に収容される医薬製剤中におけるトラニラストに光安定性を付与する上記化合物の配合割合は、該化合物の種類、トラニラストの配合割合、製剤の形態等によって異なるが、例えば水性製剤の場合であれば、該製剤の総重量に対して、トラニラストに光安定性を付与する上記化合物が0.00005〜2重量%、好ましくは0.0005〜1重量%となる割合を挙げることができる。より具体的には、容器に収容される医薬製剤が水性製剤であれば、該製剤の総重量に対して、ベルベリン類を配合する場合、0.00005〜0.5重量%、好ましくは0.00005〜0.1重量%;FAD類を配合する場合、0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%、更に好ましくは0.001〜0.005重量%;ヘスペリジン類を配合する場合、0.0001〜2重量%、好ましくは0.0001〜1重量%;オキシキノリン類を配合する場合、0.0001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%;並びにシアノコバラミン類を配合する場合、0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.0001〜0.1重量%、よ
り好ましくは0.001〜0.5重量%、更に好ましくは0.01〜0.5重量%、特に好ましくは0.02〜0.5重量%又は0.1〜0.5重量%となる割合が例示される。
また、透明包装体に収容される医薬製剤には、必要に応じて、溶解補助剤を配合してもよい。特に、医薬製剤を水性製剤として調製する場合には、溶解補助剤の配合が望ましい。かかる溶解補助剤としては、トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;ポリビニルピロリドン、ポリソルベート等の界面活性剤、プロピレングリコール等の多価アルコール、カフェイン等のキサンチン誘導体等が挙げられる。特にポリビニルピロリドン、カフェイン、トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンは、トラニラストに光安定性を付与する上記化合物によるトラニラストの光安定性改善効果を高めるため、好ましい。これらの溶解補助剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
溶解補助剤を配合する場合、医薬製剤中の該溶解補助剤の配合割合としては、水性製剤の場合であれば、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%となる割合が例示される。
また、透明包装体に収容される医薬製剤に特定の非イオン性界面活性剤を配合することにより、トラニラスト又はその塩の光に対する安定性を一層効果的に改善できる。かかる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう)ブロックコポリマー(例えば、ポリオキシエチ
レン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(ポロクサマー407)、ポロクサマー235
、ポロクサマー188など);モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレンオキシステアリン酸トリグリセリド(60E.O.)(POE(60)硬化ヒマシ油)等のPOEヒマシ油又は硬化ヒマシ油;POE(9)
ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル
等のPOE・POPアルキルエーテル類;並びにPOE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。なお、括弧内の数字は付加モル数(平均付加モル数)を示す。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記非イオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。中でも、POE(60)硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、及びポロクサマー407が特に好ましい。
医薬製剤中の非イオン性界面活性剤の含有割合は、該製剤が水性製剤の場合であれば、通常、該製剤の総重量に対して0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%程度である。
また、透明包装体に収容される医薬製剤に更にキレート剤を組み合わせて配合すると、製剤処方の観点から一層優れた光安定性をトラニラスト又はその塩に付与することができる。当該キレート剤としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、クエン酸、酒石酸、リン酸類(ポリリン酸、ヘキサメタリン酸、メタリン酸)、コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸などが例示できる。これらのキレート剤は1種又は2種以上配合でき、薬理学的に又は生理学的に許容される塩として使用してもよい。好ましいキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸およ
びこれらの塩である。特に好ましいキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(エデト酸ナトリウム)などである。
キレート剤の配合比は、例えば、トラニラスト又はその塩の総量1重量部に対して0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜10重量部、更に好ましくは0.001〜1重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部程度が例示される。また、キレート剤の医薬製剤中の配合量としては、例えば、該製剤の総重量に対して、該キレート剤が、通常0.001〜1.0重量%、好ましくは0.001〜0.5重量%、更に好ましくは0.005〜0.3重量%程度が例示される。
また、透明包装体に収容される医薬製剤が水性製剤である場合、上記キレート剤の代わりに又は組み合わせて特定の緩衝剤を該製剤に配合することによって、製剤処方の観点からトラニラスト又はその塩に、より優れた光安定を備えさせることができる。かかる緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、及び炭酸緩衝剤等が挙げられる。これらの中で好ましくは、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤である。緩衝剤を配合する場合、製剤に含まれる緩衝剤の割合としては、緩衝剤の総量の濃度として、通常0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%程度を挙げることができる。
透明包装体に収容される医薬製剤が水性製剤である場合のpHは、通常pH4〜9の範囲、トラニラスト又はその塩の光安定を良好に保持するとの観点から好ましくはpH6〜8.5、より好ましくはpH7〜8.5、特に好ましくはpH7〜8である。水性製剤の場合、その浸透圧は、生理食塩液に対する浸透圧比として通常、0.3〜4.1の範囲、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4程度であることが望ましい。
本発明で使用する医薬製剤は、種々の担体(水等の水性担体、親水性担体、油性担体や、液状担体、粉粒状担体など)と組み合わせることにより、目的に応じた種々の形態、例えば、固形剤、半固形剤、液剤等の剤形に調製できる。具体的には、固形剤(錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ドライシロップなど)、半固形剤[軟膏剤(硬軟膏剤、軟軟膏剤など)、クリーム剤など]、液剤[点眼剤、ローション剤、エキス剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤(用時調製型の注射剤を含む)、エアゾール剤、軟カプセル剤、ドリンク剤など]などの形態に調製できる。特に、本発明では、水溶液中での光の暴露によって引き起こされるトラニラストの不安定化を効果的に抑制できるという本発明の効果に鑑みれば、本発明で使用する医薬製剤の好ましいものとして、水性製剤を挙げることができる。このような水性製剤としては、液剤や、水を含む半固形剤が挙げられる。
本発明で使用する医薬製剤は、注射薬、坐薬、内服薬、吸入用製剤等であってもよく、また、患者に適用した際に光に曝露されやすい局所適用される医薬製剤であってもよい。また、皮膚適用のみならず刺激を感じやすい粘膜(角膜及び結膜等の眼粘膜、歯茎、舌、口唇、口腔粘膜、鼻腔粘膜、咽頭部粘膜等)への適用される医薬製剤であってもよい。例えば、本発明で使用する医薬製剤の一例として、皮膚外用剤(外皮用軟膏、外皮用クリーム、外皮用液剤等)、点眼薬(点眼剤)、洗眼薬(洗眼剤)、眼軟膏薬、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用剤(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューションなど)、点鼻薬(点鼻剤)、鼻洗浄液、口腔咽頭薬、含嗽薬、点耳薬などが挙げられる。なお、本明細書において、コンタクトレンズとは、ハードコンタクトレンズ(酸素透過性ハードコンタクトレンズも含む)、ソフトコンタクトレンズなどのあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する。これらの中で、好ましくは点眼薬(点眼剤)、洗眼薬(洗眼剤)、注射剤、皮膚外用剤、点鼻剤及びコンタクトレンズ用剤を挙げることができる。
特に、外部から容器内の医薬製剤を肉眼で観察して異物の有無の検査が可能であり、日本薬局方における点眼剤の製剤総則の規定や注射剤の不溶性異物検査法を好適に実施できるという本発明の効果に鑑みれば、好ましい医薬製剤として、例えば、点眼剤、洗眼剤、注射剤等を挙げることができる。また、複数回の投与量を含む製剤では、使用毎に使用者が製剤の残存量を視認できるので、好適である。複数回の投与量を含む製剤の具体例としては、点眼剤、洗眼剤、皮膚外用剤、点鼻剤及びコンタクトレンズ用剤を例示できる。
本発明で使用する医薬製剤は、本発明の効果を損なわない限り、上記した成分のほかに、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有してもよい。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼調節薬成分、抗炎症薬成分、収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー薬成分、解熱鎮痛薬成分、健胃薬成分、消化薬成分、胃粘膜修復成分、潰瘍治療薬成分、抗腫瘍薬成分、局所麻酔薬成分、緑内障治療成分、白内障治療成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分、殺菌薬成分、糖類、多糖類又はその誘導体、セルロース又はその誘導体又はそれらの塩、前述以外の水溶性高分子、ステロイド成分、ホルモン類、タンパク質、ペプチド類等が例示できる。
また、本発明で使用する医薬製剤は、必要に応じて、発明の効果を損なわない範囲で、製剤の形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を任意に選択し、併用して配合される。それらの成分または添加物として、例えば、各種製剤の調製に一般的に使用される水性溶媒、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、等張化剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、軟膏基剤、ゲル基剤、油性基剤、懸濁化剤、乳化剤、香料または清涼化剤、キレート剤、緩衝剤などの各種添加剤を挙げることができる。
本発明において、上記医薬製剤を収容する容器は、波長350〜450nmの光線を遮断する透明包装体である。
本発明でいう包装体には、上記組成物を直接収容する包装体(以下、これを一次包装体という)のみならず、包装体に収容されている包装体入り組成物を更に収容し、医薬製剤を二重又はそれ以上に包装するための包装体(以下、これを二次包装体という)も含まれる。
本発明において、二次包装体を有する包装体入り組成物の場合であれば、一次包装体と二次包装体の中のいずれか少なくとも一つの包装体が、上記光線を遮断すればよい。流通時や保管時だけでなく、使用時においても、包装体中のトラニラスト又はその塩の分解を抑制するという観点から、一次包装体が上記光線を遮断するものが望ましい。
当該包装体の形態は、上記医薬製剤を収容できることを限度として特に制限されず、収容する医薬製剤の形態や用途、一次包装体又は二次包装体の別等に応じて適宜選択、設定できる。当該包装体の形態の一例として、一次包装体の場合であれば、サシェットタイプ(小袋タイプ)の包装袋、チューブ状容器、ボトル状容器、PTP包装、点眼剤容器等が挙げられる。また、二次包装体の場合であれば、ピロー包装袋等が例示される。
本発明でいう透明包装体とは、内部を肉眼で観察可能な程度の内部視認性(透明性)を備えている包装体のことである。具体的には、透明包装体として、455〜780nmの可視光領域での光透過率の平均(以下、455〜780nmの可視光領域の平均光透過率という)が、30%以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である包装体を例示できる。かかる455〜780nmの可視光領域の平均光透過率を備えることによって、包装体内部の視認性を確保することができる点で有利である。なお、本発明において、光透過率の測定方法は、JIS K7150に規定の
方法に準じる。また、455〜780nmの可視光領域にける平均透過率は、例えば、455〜780nmの間で、5nm毎に光透過率を測定し、得られた各光透過率からそれらの平均値を算出することによって求めることができる。
なお、本発明において、少なくとも包装体の一部分に上記の内部視認性(透明性)が確保されていれば、包装体内の製剤を視認可能であるので、包装体の内部視認性(透明性)については必ずしも包装体の全面において確保されている必要はない。例えば、収容する医薬組成物が点眼剤や注射剤である場合、日本薬局方における点眼剤の製剤総則の規定や注射剤の不溶性異物検査法を実施するという観点からは、容器(包装体)の側面の面積の少なくと80%以上、好ましくは90%以上において、透明部分が占めていればよい。ここでいう容器の側面とは、容器の側面部分、即ち、容器の全表面から容器のふたに被覆される部位と底に相当する部位を除いた部分を意味する。また、例えば、流通段階であれば、本発明に使用する包装体は、包装体表面に成分や商品名を表示するためのラベルが施されることより包装体の内部視認性(透明性)が損なわれていることを妨げるものではないが、該包装体において、内部視認性(透明性)を有する部分が、使用者にとって包装体内部の製剤の量を確認できる程度に確保されていることが望ましい。
本発明において、波長350〜450nmの光線を遮断するとは、波長350〜450nmの光の透過率の平均(以下、350〜450nmの波長領域の平均光透過率という)が20%以下であることを意味する。ここで、455〜780nmの可視光領域の平均光透過率の場合と同様、350〜450nmの波長領域の光透過率は、JIS K7150
に規定の方法に準じて測定でき、また、350〜450nmの波長領域の平均光透過率は、例えば、350〜450nmの間で、5nm毎に光透過率を測定し、得られた各光透過率からそれらの平均値を算出することによって求めることができる。
トラニラスト又はその塩の光による分解をより効果的に抑制するという観点からは、350〜450nmの波長領域の平均光透過率が、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下の容器が望ましい。
トラニラスト又はその塩を含有する医薬製剤により一層優れた光安定性を備えさせるためには、波長350〜430nmの光線を遮断できるものが望ましい。即ち、波長350〜430nmの光の透過率の平均(平均透過率)が、15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である透明包装体が、より好適である。ここで、波長350〜430nmの光の平均透過率の測定方法については、350〜450nmの波長領域の平均光透過率の測定方法と同様である。
また、例えば、波長365〜430nmの光の透過率の平均(平均透過率)が、15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である透明包装体であれば、トラニラスト又はその塩に優れた光安定性を備えさせることができる。なお、波長350〜430nmの光の平均透過率の測定方法についても、365〜430nmの波長領域の平均光透過率の測定方法と同様である。
このように、透明包装体に波長350〜450nm(好ましくは350〜430nm、365〜430nm)の光を遮断して、当該波長領域の光が容器内に透過することを防止することによって、包装体内のトラニラストに安定性を付与することが可能となる。
上記のように波長350〜450nmの光を遮断する手段については、455〜780nmの可視光領域の上記平均光透過率が確保されることを限度として特に制限されないが、例えば、包装体の材料中に波長350〜450nmの光線を遮断する物質を練り込む方法、包装体に波長350〜450nmの光線を遮断する物質を塗布する方法、波長350
〜450nmの光線を遮断する物質を練り込んだフィルムを包装体に装着する方法を、単独で又は組み合わせて適用できる。上記フィルムを容器に装着する方法として、具体的には、波長350〜450nmの光線を遮断する熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)を包装体に被せ、これを加熱することにより該フィルムを包装体に密着被覆させる方法を例示できる。
波長350〜450nmの光線を遮断する物質については、特に制限されないが、例えば、ハンザ系顔料、ベンズイミダゾリン系顔料、ピラゾロン系顔料等のモノアゾ系顔料;ジアリライド系顔料、ピラゾロン系顔料等のジスアゾ系顔料;エロー系顔料等の縮合アゾ顔料;並びにフタロシアニン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料等の縮合多環系顔料等を挙げることができる。これらの波長350〜450nmの光線を遮断する物質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、当該物質は、それ自身は波長350〜450nmの光線を遮断しない顔料と組み合わせて使用してもよい。
包装体の材料中に波長350〜450nmの光線を遮断する物質を練り込む場合、包装体材料中における該物質の配合割合は、該物質の種類、容器材料の種類等によって異なるが、一例として、包装体材料中に該物質が0.001〜15重量%、好ましくは0.001〜10重量%、更に好ましくは0.01〜5重量%となる割合を挙げることができる。かかる配合割合であれば、350〜450nmの光線を遮断することが可能となる。
本発明で使用される透明包装体(特に容器の形態)の実施態様として、例えば、黄色顔料(pigment yellow 183)と黄色顔料(pigment yellow 110)をそれぞれ単独で又は組み合わせて包装体材料中に0.001〜5重量%の割合で練り込み、厚み0.1〜1mm程度の容器に成形された包装体が例示される。
本発明で使用される包装体は、その素材(材料)については制限されずガラス製、プラスチック製、セルロース製、パルプ製、ゴム製等のいずれであってもよい。水性製剤を収容する場合、スクイズ性及び耐久性の観点からは、プラスチック容器が好ましい。
本発明で使用されるプラスチック包装体の樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)など)などが例示できる。好ましい樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であり、特に好ましい樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
該ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分(フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分など)とジオール成分とで構成された樹脂が使用できる。具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンテレフタレート[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレートなど]、ポリアルキレンナフタレート
[ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4
ルキレンナフタレートなど]、ポリシクロアルキレンテレフタレート[ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)など]、ポリアリレート類(ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)とフタル酸類(フタル酸、テレフタル酸)とで構成された樹脂など)などのホモポリエステルが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂には、前記ホモポリエステル単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル、前記ホモポリエステルの共重合体(PETとPCTとの共重合体など)なども
含まれる。中でも、オレフィン系樹脂(ポリエチレンなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなど)及びポリカーボネート系樹脂が好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)をベースとする芳香族ポリカーボネートである。
本発明においてプラスチック製包装体は、強度、光透過性、ガス又は水蒸気バリア性(透湿性)等に悪影響を及ぼさない限り、ポリマーアロイ(ポリマーブレンドなど)であってもよい。好ましいポリマーアロイには、複数の合成樹脂のポリマーブレンド(PETとPENとのポリマーブレンドなど)が含まれる。また、樹脂は、スクイズ性が良好で、繰り返しの押圧に対して耐久性を有する樹脂、であることが好ましい。また、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤等を樹脂に含有させたり、前記成分を含むコーティング剤を樹脂表面に塗布したりすることにより、本発明の効果と協働させて、さらにトラニラストの光安定性を向上させてもよい。
前述するように、波長350〜450nmの光線を遮断する透明包装体には、トラニラスト又はその塩の光による分解を抑制することができる。故に、本発明は、更に、別の観点から、トラニラスト又はその塩を含有する医薬製剤を、波長350〜450nmの光線を遮断する遮光手段が施されている透明包装体に収容することを特徴とする、トラニラスト又はその塩の光分解抑制方法を提供する。
かかる方法において、使用するトラニラスト又はその塩の種類や医薬製剤中の含有割合、医薬製剤に配合される他の成分、医薬製剤の形態、波長350〜450nmの光線を遮断する透明容器等については、前記透明包装体入り医薬製剤の場合と同様である。
本発明の包装体入り医薬製剤は、視認性を確保した容器内にトラニラストを含有する製剤を収容してなるものであり、包装体内の製剤を肉眼で観察でき、且つ光暴露により引き起こされるトラニラストの分解を顕著に抑制されている。それ故、本発明によれば、トラニラストを含有する製剤の製造工程管理や品質管理を確実ならしめることができ、またトラニラストを含有する製剤の保存安定性を高めることができる。
また、本発明のトラニラストの光分解抑制方法によれば、特定の波長を遮断する透明包装体に、トラニラストを含有する医薬製剤を収容するという簡便な方法で、トラニラストの光による分解を顕著に抑制することができる。よって、当該方法によれば、トラニラストの光による分解を抑制できると共に、包装体内の製剤の量や性状や不溶性異物を肉眼で観察できるので、トラニラスト含有製剤を製造する上での品質管理が容易化される。また、当該方法で得られた包装体入り製剤は、該製剤の使用者にとっても、包装体の外部から該製剤の量や性状を肉眼で確認した上で使用できるという点でも利点がある。
試験例1において使用した赤色フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用した黄色フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用した緑色フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用したポリエチレンテレフタレート製の容器(黄緑色)の光透過性を示す図である。 試験例1において使用した赤紫フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用したガラス製の透明容器の光透過性を示す図である。 試験例1において使用したポリプロピレン製の容器(透明)の光透過性を示す図である。 試験例1において使用したポリプロピレン製の容器(褐色)の光透過性を示す図である。 試験例1において使用した青色フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用した2枚積層した青色フィルムの光透過性を示す図である。 試験例1において使用した3枚積層した青色フィルムの光透過性を示す図である。
以下に、実施例、試験例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1 トラニラストの分解抑制確認試験
表1の処方例1に示すトラニラスト含有製剤を調製し、これを0.2μmメンブランフィルターにてろ過した後、各トラニラスト含有製剤10mlを表2に示す各種容器(容量10ml)に収容し、密閉した。斯くして得られた各種容器入りトラニラスト含有製剤に、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65蛍光ランプを光源として、室温25℃の下、0.5万luxの光を60時間連続照射することにより、各点眼剤に積算照射量30万lux・hrの光を曝光した。その後、各点眼剤中のトラニラスト濃度を高速液体クロマトグラフィーで分析し、トラニラスト
の残存濃度を定量した。測定したトラニラストの残存濃度から、光照射前に対するトラニラストの残存割合(%)を算出した。また、本試験に使用した容器及び容器に装着させた各種フィルムの光透過性を評価するために、各容器及び各種フィルムを平面状に切り取り、これを検体として、眼鏡レンズ分光透過率計TM−1(株式会社トプコン製)により光透過率を測定し(図1〜11参照)、350〜450nmにおける平均光透過率及び455〜780nmにおける平均光透過率を求めた。
試験に使用した容器は、ガラス製の容器、ポリプロピレン(PP)製の容器、及びポリエチレンテレート(PET)製の容器である。これらの容器に、遮光手段として、各種フィルムを装着したもの、及び褐色又は黄緑色の顔料を練り込んで着色したものを試験に用いた(表2参照)。なお、シュリンクフィルム(熱収縮フィルム)の装着は常法に従って容器の側面全体に実施し、その他のフィルムの装着は、容器の側面全体にフィルムを巻き付け、テープで固定することによって行った。なお、試験に使用したフィルムの入手元は、次の通りである:赤色フィルム(株式会社トーヨー、赤色セロファン)、黄色フィルム((株式会社トーヨー、黄色セロファン)、緑色フィルム(株式会社トーヨー、緑色セロファン)、青色フィルム(株式会社トーヨー、青色セロファン)、及び赤紫色フィルム(赤紫色セロファン)。
試験に使用した容器の内部視認性について、下記評価基準基準に基づいて評価した。
<評価基準>
◎ 内部の製剤の量や異物を明瞭に視認できる
○ 内部の製剤の量や異物を視認できる
△ 内部の製剤の量については視認できるが、異物については視認できない
× 内部の製剤の量を視認できない
Figure 0005711957
試験に使用した容器の内、455〜780nmの平均光透過率が30%以上のものは、
内部に収容した製剤を外部から視認することができ、容器に必要とされる透明性を十分に備えていた。また、試験に使用した容器の内、赤色、黄色及び緑色フィルムを装着した容器、及び黄緑色のPET製の容器では、455〜780nmの平均光透過率が30%以上で、しかも350〜450nmの光を効果的に遮断できることが確認された(図1〜4及び表2参照)。
光照射後のトラニラストの残存率の結果を表2に併せて示す。表2から明らかなように、350〜450nm(特に350〜430nm)の光が遮断されている容器に収容したトラニラスト含有製剤では、光照射後のトラニラストの残存率が顕著に高い値を示した。また、表2には示さないが、350〜450nmの範囲内でも特に365〜430nmの波長領域の光線の透過率が低い程、トラニラストが容器内で安定に保持されることが確認された。一方、350〜450nmの光の透過率が高い容器に収容したトラニラスト含有製剤では、光照射によるトラニラストの分解を抑制することはできないことが確認された。
以上の結果から、トラニラストの光暴露による分解には、350〜450nmの光線が関与していることが明らかとなり、かかる波長領域の光を遮断することによって、トラニラストの光暴露による分解を抑制でき、トラニラスト含有製剤を収容する容器の455〜780nmの平均光透過率が30%以上であれば、内部の良好な視認性を確保できることが確認された。
Figure 0005711957
実施例7−11 容器入り点眼剤
表3の処方例2−6に記載の各成分を秤量し適当量の精製水に溶解してpHを
7.5に調整し、精製水で全量を100ml(生理食塩液に対する浸透圧比=1
.0)とした後、無菌環境下でろ過滅菌し、試験例1で使用した「黄色シュリン
クフィルムを装着したPP製透明容器」に充填して容器入り点眼剤(実施例7〜
11)を調製した。得られた容器入り点眼剤(実施例7−11)について、上記
試験例1と同様の方法で積算照射量30万lux・hrの光を曝光したところ、
何れの容器入り点眼剤においてもトラニラスト残存率は80%以上であった。
Figure 0005711957
実施例12−16 容器入り点眼剤
点眼剤用容器として、黄色顔料(pigment yellow 183)及び黄色顔料(pigment yellow
110)をそれぞれ0.1重量%の割合で含有するポリプロピレン樹脂を0.4mmの厚さに成形した容器を準備した。該容器は外部から内部の製剤の量や異物を明瞭に視認できる程度に透明性(内部視認性)を備えていた。表3の処方例2−6に記載の各成分を秤量し適当量の精製水に溶解してpHを7.5に調整し、精製水で全量を100ml(生理食塩液に対する浸透圧比=1.0)とした後、無菌環境下でろ過滅菌し、これらを上記容器に充填して容器入り点眼剤(実施例12〜16)を調製した。得られた容器入り点眼剤(実施例12−16)について、上記試験例1と同様の方法で積算照射量30万lux・hrの光を曝光したところ、何れの容器入り点眼剤においてもトラニラスト残存率は80%以上であった。

Claims (5)

  1. トラニラスト又はその塩0.5g/100mL、およびホウ酸緩衝液を含有する水性点眼剤を、波長365〜430nmの光線を遮断する透明包装体に入れてなる、透明包装体入り水性点眼剤。
  2. さらに、ポリビニルピロリドン、トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する、請求項1に記載の透明包装体入り水性点眼剤。
  3. さらに、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、及びポロクサマー407からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する、請求項1又は2に記載の透明包装体入り水性点眼剤。
  4. 包装体の波長365〜430nmの波長領域の平均光透過率が20%以下である、請求項1に記載の透明包装体入り水性点眼剤。
  5. トラニラスト又はその塩の光による分解を抑制する方法であって、トラニラスト又はその塩0.5g/100mL、およびホウ酸緩衝液を含有する水性点眼剤を、波長365〜430nmの光線を遮断する透明包装体に収容することを特徴とする光分解抑制方法。
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