JP7263579B2 - 眼科用医薬製品 - Google Patents
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Description
をきたさない透明性のある気密容器を使用する必要がある(第十六改正日本薬局方解説書 A-108参照 東京廣川書店)。このため、ブリモニジン及び/又はその塩とブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液を収容する容器として、不溶性異物検査に影響を及ぼすような遮光性容器を使用することには制限がある。更に、マルチドーズタイプの点眼液では、使用者が残存する液量を視認できるように、内部を視認可能な程度に透明性を備える透明容器を使用することが望ましいとされているが、ブリモニジン及び/又はその塩とブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液を透明容器に収容すると、光暴露によ
るブリモニジン及び/又はその塩の分解が懸念される。
る。
項1. ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液が、
波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容されている、
ことを特徴とする、眼科用医薬製品。
項2. 前記透明収容体が点眼容器である、項1に記載の眼科用医薬製品。
項3. 前記点眼液が、マンニトールを含まない、項1又は2に記載の眼科用医薬製品。
項4. ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む
点眼液におけるブリモニジン及び/又はその塩の光安定化方法であって、
前記点眼液を波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容することを特徴とする、安定化方法。
項5. 前記点眼液が、マンニトールを含まない、項4に記載の安定化方法。
本発明の眼科用医薬製品は、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液が、波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容されていることを特徴とする。以下、本発明の眼科用医薬製品について詳述する。
(ブリモニジン及び/又はその塩)
本発明で使用される点眼液には、ブリモニジン及び/又はその塩が含まれる。ブリモニジン及び/又はその塩とブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液において、ブリモニジン及び/又はその塩は、光暴露によって分解され易いが、本発明によれば、後述する特定の収容体に収容することによって、ブリモニジン及び/又はその塩の光安定化を図ることができる。
本発明で使用される点眼液には、ブリンゾラミド及び/又はその塩が含まれる。ブリンゾラミドは、炭酸脱水酵素阻害薬として公知の化合物である。ブリンゾラミドの塩としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、塩酸塩、酢酸塩が挙げられる。
本発明で使用される点眼液には、前述する成分に加えて、浸透圧の調節、成分の溶解補助等のために、2価又は3価のアルコールが含まれていてもよい。
陽イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの界面活性剤の中でも、好ましくは非イオン性界面活性剤、更に好ましくはチロキサポールが挙げられる。
もよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用される点眼液のpHについては、眼粘膜に適用可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、4~8、好ましくは5~8、更に好ましくは、6~7が挙げられる。
本発明で使用される点眼液は、ブリモニジン及び/又はその塩とブリンゾラミド及び/又はその塩の作用によって、眼房水産生抑制と共にぶどう膜強膜流出路を介した眼房水の流出を促進することによって、眼圧を低下させる作用があり、緑内障や高眼圧症の治療用途に好適に使用される。
本発明の眼科用医薬製品では、前記点眼液が、波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容されて提供される。
のまま測定される値である。
mの光の最大透過率が5%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が12%以下であるもの;特に好ましくは波長360~460nmの光の最大透過率が1%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が8%以下であるものが挙げられる。
大透過率が前記範囲内であることを要する。
の領域における光の平均透過率とは、波長480nmから波長580nmまでの範囲と波長700nmから780nmまでの範囲について、波長幅5nmの間隔で光の透過率を紫外可視分光光度計にて測定し、測定された各透過率の平均値を算出することによって求められる値である。
、前述する光透過性に関する特性を備えさせ易く、本発明で使用される透明収容体の構成素材として好適に使用できる。
;波長360~460nmの光を吸収できる物質及び波長600~680nmの光を吸収できる物質を練り込んだフィルム(熱収縮性フィルム等)で点眼容器の外周面を被覆する方法;波長360~460nmの光を吸収できる物質及び波長600~680nmの光を吸収できる物質を練り込んだフィルムで点眼容器をピロー包装する方法;波長360~460nmの光を吸収できる物質及び波長600~680nmの光を吸収できる物質を練り込んだチャック袋に点眼容器を収容する方法等が挙げられる。波長360~460nmの光を吸収できる物質、及び波長600~680nmの光を吸収できる物質については、顔
料、光吸収剤等の中から、適宜選択すればよい。
本発明の光安定化方法は、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液におけるブリモニジン及び/又はその塩の光安定化方法であって、当該点眼液を波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容することを特徴とする。
1.眼科用医薬製品の製造
1-1.点眼液の調製
表1に示す処方1の点眼液(水性懸濁剤)を以下の手順で調製した。先ず、カーボポールを精製水に溶解し、0.8w/v%カーボポール溶液を調製した。次いで、表1に示す組成に従って、精製水にブリモニジン酒石酸塩、チロキサポール、ホウ酸、塩化ナトリウム、プロピレングリコール、ベンザルコニウム塩化物、及び前記0.8w/v%カーボポール溶液を加えて溶かし,水酸化ナトリウムでpHを6.5に調整した後に、ブリンゾラミドを加えて混合し、点眼液(水性懸濁剤)を得た。
前記で得られた処方1の点眼液5mlを表2に示す態様の収容体に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を製造した。具体的には、実施例1~3及び比較例1~4では、点眼液を充填したガラス製容器(容器本体)(株式会社マルエム製)を、各種ポリエチレン製のチャック袋(株式会社生産日本社製、ユニパックカラー半透明C-4 青、赤、黄、無色、緑)に収容し、検体とした。なお、実施例2及び3では、表2に示す種類と所定枚数のチャック袋を重層させた状態にして、点眼液を充填したガラス製容器(容器本体)を収容した。また、比較例5のPET製容器本体(NewマイティアCL(登録商標)(千寿製
薬株式会社)で使用されている容器本体)には容器の被覆体を使用しなかった。また、比較例6では、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートが積層されているフィルム(三菱樹脂株式会社製、テックバリアAX)を用いて、点眼液を充填したガラス製容器(容器本体)を覆うことにより、検体とした。
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT-120A-WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.7万lxの光を28.6時間照射した後、ケミカルランプで5W・h/m2の光を8時間連続照射し、検体に20万lx・h及び40W・h/m2の光を暴露した。
前記で得られた各検体を目視にて観察し、以下の判定基準に従って透明性について評価した。
(判定基準)
○:容器が、不溶性異物試験を行える程度の透明性を有している。
×:容器が不透明であり、不溶性異物検査を行うことができない。
得られた結果を表2に示す。表2から明らかなように、波長360~460nmにおける光の最大透過率が67%超であり、且つ波長600~680nmにおける光の最大透過率が78%超である収容体を使用した場合には、ブリモニジン酒石酸塩の分解率が1%を超えており、ブリモニジン酒石酸塩を安定に保持できていなかった(比較例1、2、4~7)。また、波長360~460nmにおける光の最大透過率が67%以下を満たしていても、波長600~680nmにおける光の最大透過率が78%超である収容体では、ブリモニジン酒石酸塩を安定に保持できていなかった(比較例3)。これに対して、波長360~460nmにおける光の最大透過率が67%以下且つ波長600~680nmにおける光の最大透過率が78%以下を満たす収容体を使用した場合に、ブリモニジン酒石酸塩の分解率が低く、ブリモニジン酒石酸塩に光安定性を備えさせることができていた(実施例1~3)。とりわけ、波長360~460nmにおける光の最大透過率が27%以下且つ波長600~680nmにおける光の最大透過率が44%以下を満たす収容体の場合には、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性が格段に向上していた(実施例2及び3)。
前記試験例1において、ブリモニジン酒石酸塩及びブリンゾラミドを含む点眼剤において、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性を備えさせるには、波長360~460nm及び波長600~680nmにおける光の透過率を低減すればよいことが確認されたが、本試験例2では、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性に影響を及ぼす波長範囲をより詳細に検証するために、以下の試験を行った。
前記試験例1と同様の方法で、表1に示す処方1の点眼液(水性懸濁剤)を調製した。
この点眼液を表3に示す態様の収容体(容器及び被覆体)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)である実施例4~7及び比較例8を製造した。具体的には、点眼液5mlを充填したガラス製容器を、各種セロファン(オキナ株式会社製、品番CCM5(無色透明)、CCM1(赤)、CCM2(緑)、CCM4(黄)、CCM3(青))を用いて覆うことにより、検体とした。
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT-120A-WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.7万lxの光を28.6時間照射した後、ケミカルランプで20W・h/m2の光を20時間連続照射し、検体に20万lx・h及び400W・h/m2の光を暴露した。なお、本試験例2では、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性に影響を及ぼす波長範囲をより詳細に検証するために、試験例1に比べて、過酷な光暴露条件に設定した。
前記試験例1と同様の方法で、前記で得られた各検体の透明性について評価した。
得られた結果を表3に示す。表3から明らかなように、波長360~460nmにおける光の最大透過率と波長600~680nmにおける光の最大透過率が低い程、ブリモニジン酒石酸塩の分解率が低くなる傾向が認められた。特に、ブリモニジン酒石酸塩の分解率が最も低かった実施例5で使用した収容体では、波長360~460nmと600~680nmの光の透過率は低いが、波長480~580nmと700~780nmの可視光領域における光の透過率は高い値を示していた。即ち、実施例5の結果から、ブリモニジン酒石酸塩及びブリンゾラミドを含む点眼剤において、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性
には、波長480~580nmと700~780nmの可視光領域は悪影響を与えておらず、波長360~460nmと600~680nmの可視光が悪影響を及ぼしており、内部視認性を確保しつつブリモニジン酒石酸塩の光安定性を確保するには、波長360~460nmと600~680nmの双方の領域における光の透過率を低くすることが有効であることが明らかとなった。
前記試験例1及び2では点眼液におけるブリモニジン酒石酸塩の含有量が0.1w/v%の場合について評価を行ったので、本試験例3ではブリモニジン酒石酸塩の含有量を0.2w/v%に代えてブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価を行った。
前記試験例1と同様の方法で、表4に示す処方2の点眼液(水性懸濁剤)を調製した。この点眼液を表5に示す態様の収容体(容器及び被覆体)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)である実施例8及び比較例9を製造した。なお、実施例8及び比較例9で使用した収容体(容器及び被覆体)は、それぞれ、前記試験例2にける実施例5及び比較例8で使用したものと同じである。
前記で得られた各検体に対して、前記試験例2と同様の方法で、前記で得られた各検体におけるブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価を行った。また、前記試験例1と同様の方法で、前記で得られた各検体の透明性について評価した。
得られた結果を表5に示す。本結果から、ブリモニジン酒石酸塩及びブリンゾラミドを含む点眼剤において、ブリモニジン酒石酸塩の含有量が0.2gw/v%であっても、波長360~460nmと600~680nmの双方の領域における光の透過率を低くすることによって、内部視認性を確保しつつブリモニジン酒石酸塩の光安定性を確保できることが確認された。
本参考例では、ブリモニジン酒石酸塩及びブリンゾラミドを含む点眼剤において、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性に影響を及ぼす波長と、ブリモニジン酒石酸塩の吸収波長との関係を検証した。
ン酒石酸塩の光安定性に影響を及ぼす波長(即ち、360~460nmと600~680nm)は、ブリモニジン酒石酸塩の吸収波長とは関連性が無いことが確認された。
実施例9
PET製容器(NewマイティアCL(登録商標)(千寿製薬株式会社)に使用されている容器)の外周面にポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートフィルムを3重に被覆し、透明収容体を製造する。この透明収容体(波長360~460nmの光の最大光透過率:30%、600~680nmの光の最大光透過率:40%)に表7の処方3の点眼液を充填し、本発明の眼科用医薬製品を得る。
PET製容器(NewマイティアCL(登録商標)(千寿製薬株式会社)に使用されている容器)に表7の処方4の点眼液を充填する。充填された容器にポリエチレン製の緑色チャック袋で2重包装し(波長360~460nmの光の最大光透過率:26%、600~680nmの光の最大光透過率:45%)、本発明の眼科用医薬製品を得る。
Claims (5)
- ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液が、 波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容されている、ことを特徴とする、眼科用医薬製品。
- 前記透明収容体が点眼容器である、請求項1に記載の眼科用医薬製品。
- 前記点眼液が、ブリモニジン及び/又はその塩を0.01~1w/v%含み、ブリンゾラミド及び/又はその塩を0.1~3w/v%含む、請求項1又は2に記載の眼科用医薬製品。
- ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼液におけるブリモニジン及び/又はその塩の光安定化方法であって、
前記点眼液を波長360~460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600~680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容することを特徴とする、安定化方法。 - 前記点眼液が、ブリモニジン及び/又はその塩を0.01~1w/v%含み、ブリンゾラミド及び/又はその塩を0.1~3w/v%含む、請求項4に記載の安定化方法。
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