JP5710930B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び型内成形用ポリオレフィン系樹脂発泡粒子 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び型内成形用ポリオレフィン系樹脂発泡粒子 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び型内成形用ポリオレフィン系樹脂発泡粒子に関し、更に詳しくは型内成形時の水蒸気圧力を低くできるポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び型内成形時における発泡粒子相互の融着性が良好なポリオレフィン系樹脂発泡粒子に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を成形型内に充填し、水蒸気を導入して型内成形することにより、様々な形状のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体を得る技術が広く知られている。そして、該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、密閉容器内でポリオレフィン系樹脂粒子を水性媒体に分散させると共に、該容器内に発泡剤を導入し、加熱して発泡剤を樹脂粒子に含浸させて発泡性樹脂粒子とし、更に軟化状態の発泡性樹脂粒子を、低圧雰囲気下に放出する方法(以下、分散媒放出発泡方法ともいう。)により製造されることが知られている。また、分散媒放出発泡方法において、密閉容器内で樹脂粒子が加熱された際の樹脂粒子同士の融着、容器内からの樹脂粒子の放出後の樹脂粒子の釜残り、該放出時の発泡粒子の部分融着を防ぐために、分散剤を水性媒体に添加することが知られている。
一方、前記分散剤は上記工程における樹脂粒子同士の融着などを防ぐことができる半面、得られた発泡粒子の表面に付着しており型内成形時に発泡粒子同士の熱融着を阻害することが知られている。このことにより型内成形時の水蒸気圧力を高めなければ、発泡粒子同士を十分に融着させることができないという新たな課題が生じる。なお、前記分散剤の付着量は樹脂粒子の粒子重量、樹脂粒子の基材樹脂の種類、樹脂粒子内の添加剤の種類、前記分散剤の種類、発泡時の添加剤等の処方などにより変化するため、発泡粒子の表面に付着した分散剤量を厳密にコントロールすることは難しい。
そこで従来、上記課題を解決するためには、発泡粒子表面に付着している分散剤を、大量の温水、或いは酸水溶液で洗浄、除去する方法が広く採用されている。また、特許文献1には、界面活性剤を含む洗浄液で発泡粒子を洗浄し、その後に分散剤を含む洗浄液を発泡粒子から分離することが開示されている。
しかし、特許文献1等の上記方法では、型内成形時の水蒸気圧を下げることはできても、発泡粒子の洗浄工程が必要になるので製造コストが高くなり、更に多量な洗浄液を必要とするので、排水量が多くなってしまい、多量の排水処理の問題が発生してしまう。
特開平10−120819号公報
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、特殊な洗浄工程を設けたり、多量の洗浄水を用いる必要がなく、型内成形時の水蒸気圧力を高めなくとも融着性良好な発泡粒子成形体を得ることができるポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び該製造方法に使用されるポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供することをその課題とする。
本発明によれば、以下に示す発泡粒子成形体の製造方法、及び型内成形用の発泡粒子が提供される。
[1]
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を成形型内に充填して水蒸気にて加熱することにより発泡粒子を相互に融着させる発泡粒子成形体の製造方法において、
該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子として、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤を3mg/m 以上付着させてなるものを使用することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[2]
前記アニオン系界面活性剤がポリアクリル酸塩である、前記1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[3]
前記アニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸塩である、前記1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[4]
前記分散剤が珪酸塩鉱物である、前記1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[5]
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の前記アニオン系界面活性剤の付着量が20mg/m以上である、前記1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[6]
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子がポリプロピレン系樹脂発泡粒子である、前記1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[7]
分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤が20mg/m以上付着していることを特徴とする型内成形用ポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
本発明の発泡粒子成形体の製造方法においては、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子であっても該発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤を3mg/m 以上付着させたものを発泡粒子成形体を得るための水蒸気による型内成形に使用することによって、発泡粒子相互の融着性を改善することができる。そのため良好な発泡粒子成形体が得られる成形蒸気圧力を低下させることができる。したがって、型内成形工程におけるエネルギーの削減に繋がる。また、従来、発泡粒子の型内成形前に行われていた発泡粒子表面に付着している分散剤の洗浄除去操作を行わなくとも上記のとおり良好な発泡粒子成形体が得ることができるので、高コストな発泡粒子洗浄のための設備や工程、該洗浄工程の抱える多量の排水処理のための設備や工程を削減できる。
また、特に、クラッキング充填成形などの型内成形方法において薄肉部分における発泡粒子の圧縮充填率が高い場合や、圧縮充填成形などの型内成形方法において発泡粒子の金型内への圧縮充填率が高い場合において、圧縮充填率が高い部分への水蒸気のまわりが悪くなることにより発生する発泡粒子の融着不良の課題が解決できる。また、本発明の製造方法は、圧縮充填率が高い型内成形方法だけでなく、厚肉形状の型内成形においても発泡粒子の融着性改善効果が得られる。したがって、多様な厚みを持ったポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体、特に発泡粒子相互の融着性が不充分になり易いという課題のあった、発泡倍率が低く、薄肉部を有する発泡粒子成形体や薄肉の発泡粒子成形体の型内成形において発泡粒子の融着性良好なものを得ることができる。
本発明の発泡粒子においては、上記のとおり、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子であっても、該発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤を3mg/m 以上付着させることによって、従来の分散剤の洗浄除去操作を行った発泡粒子と比して同等以上の型内成形時融着性を示すものである。特に、圧縮充填率が高い型内成形時に優れた融着性を示すものである。
以下、本発明の発泡粒子成形体の製造方法について詳細に説明する。
本発明の特徴は、特公昭49−2183号公報、特公昭56−1344号公報、特公昭62−61227号公報などに記載の従来公知の分散媒放出発泡方法により製造される分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子とも言う。)を用い、該発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤(以下、単に界面活性剤とも言う。)を付着させることにある。分散剤が付着している発泡粒子は、型内成形時において、該無機物が発泡粒子相互の融着性が阻害される。しかしながら、本発明においては、分散剤が付着している発泡粒子であっても、更に発泡粒子表面に界面活性剤付着させたものを成形型に充填し水蒸気による加熱を行う型内成形に使用することにより、該型内成形時の発泡粒子相互の融着性が改善されるものである。
なお、本発明における発泡粒子表面へのアニオン系界面活性剤の付着においては、発泡粒子へアニオン系界面活性剤を塗布する方法や発泡粒子とアニオン系界面活性剤とを混合機で混ぜる方法等により、該界面活性剤が発泡粒子の表面に存在していればよい。発泡粒子の表面を完全に覆っている態様が好ましい。しかし、本発明においては、必ずしも発泡粒子の表面が完全に覆われている必要はなく、発泡粒子表面に該界面活性剤にて覆われていない部分を有する態様も本発明に包含される。
発泡粒子表面に分散剤が付着することは、分散媒放出発泡方法により発泡粒子を製造する場合、避けることができない問題である。即ち、分散媒放出発泡方法においては、前述したとおり、ポリオレフィン系樹脂粒子(以下、単に樹脂粒子ともいう。)を密閉容器内にて加熱する際に、樹脂粒子相互の融着を防止するなどのために、水性分散媒に分散剤が添加される。従って、該分散媒放出発泡方法により得られる発泡粒子は、発泡粒子表面に分散剤が付着したものとなり、該無機物は積極的に発泡粒子を洗浄しない限り、数百から数千重量ppmのオーダーで発泡粒子表面に存在することになる。その様な分散剤が付着した発泡粒子は型内成形時の融着性が悪いものなので、融着性を向上させるために、型内成形時の水蒸気圧力を高めなければならないのが通常である。また、多量の排水を処理しなければならないので好ましい方法ではないが、前記洗浄工程を設けて、発泡粒子表面の分散剤を洗浄して、発泡粒子の融着性を改善させることが試みられていた。
本発明においては、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子に、更にアニオン系界面活性剤を3mg/m 以上付着させた発泡粒子を採用し、該発泡粒子を成形型内に充填し、水蒸気にて加熱して発泡粒子を融着させることにより、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体が製造される。本発明の製造方法によれば、発泡粒子表面に分散剤が付着し発泡粒子を、そのまま用いて型内成形する場合と比較すると低い水蒸気圧力にて発泡粒子が十分に融着した発泡粒子成形体を得ることができる。また、洗浄工程を設けて、発泡粒子表面に付着している分散剤を洗浄、除去した発泡粒子を用いて型内成形する場合と比較すると、同等以上の型内成形時の水蒸気圧力低減効果が発揮され、相互の発泡粒子が十分に融着した発泡粒子成形体を得ることができる。
なお、本発明における発泡粒子の型内成形には従来公知の方法が採用される。例えば、一対の成形型を用い、大気圧下又は減圧下で発泡粒子を成形型キャビティー内に充填し、型閉めし成形型キャビティー体積を5〜95%減少させるように圧縮し、次いで型内に水蒸気を熱媒として供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成形法やクラッキング成形法(例えば、特公昭46−38359号公報)、発泡粒子を加圧気体により、予め加圧処理して発泡粒子内の圧力を高めて、発泡粒子の二次発泡性を高め、二次発泡性を維持しつつ大気圧下又は減圧下の成形型キャビティー内に発泡粒子を充填し型閉めし、次いで型内に水蒸気等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51−22951号公報)、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧したキャビティー内に、当該圧力以上の条件下で加圧した発泡粒子を差圧を利用して充填した後、キャビティー内に水蒸気等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成型法(特公平4−46217号公報)、その他、特殊な条件にて得られる二次発泡力の高い発泡粒子を、大気圧下又は減圧下の一対の成形型のキャビティー内に充填した後、次いで水蒸気等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる常圧充填成型法(特公平6−49795号公報)、又は上記の方法を組み合わせた方法(特公平6−22919号公報)などが挙げられる。
本発明において用いられる前記分散剤としては、カオリン、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、第三リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化鉄等の無機物質が挙げられる。これらの中でも、後述する物理発泡剤として二酸化炭素を使用する場合には、カオリン等の珪酸塩鉱物を使用することが好ましい。また、該分散剤の平均粒径は通常0.001〜100μmであり、特に0.001〜30μmのものが好ましく用いられる。なお、該平均粒径は遠心沈降式粒度分布測定装置により個数基準で得られた粒度分布より粒子径と個数で算出される値が採用される。
通常、分散媒放出発泡方法により得られる発泡粒子の表面への分散剤付着量は、100〜10000重量ppmである。なお、周知の発泡粒子の酸洗浄により発泡粒子の表面への分散剤付着量は、略0重量ppmとすることができる。
そして、発泡粒子の型内成形時の融着性においては、発泡粒子表面積あたりの分散剤付着量が重要である。例えば、同じ重量で発泡粒子の表面への分散剤付着量が100重量ppmの見かけ密度が異なる2種類の発泡粒子において、両者の型内成形時の融着性を比較すると、見かけ密度の小さな発泡粒子の方が融着性に優れることが分かる。即ち、発泡粒子表面積あたりの分散剤存在量(mg/m)が少ない上記の見かけ密度の小さな発泡粒子の方が、型内成形時に相互に接触している発泡粒子間に介在する分散剤の量が相対的に少なくなることにより、分散剤による該融着性の阻害が起こり難くなる。
一般に、発泡粒子表面積あたりの分散剤付着量が多いほど、発泡粒子同士の熱融着が低下するが、本発明においては該付着量が5mg/m以上であっても、十分な型内成形時の発泡粒子の融着性が確保される。本発明において発泡粒子の融着性改善効果は、発泡粒子の表面への分散剤付着量が、特に5〜400mg/mの範囲内、更に5〜100mg/m、更に5〜50mg/mの範囲で効果的である。なお、酸洗浄などの発泡粒子の洗浄を行ない分散剤の付着量を低減した発泡粒子においては、該表面積あたりの付着量は、多くとも3mg/mであり、通常0mg/mである。
本明細書においては、分散剤の付着量としては、発泡粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量(mg/g)から発泡前の樹脂粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量(mg/g)を引算した値を重量ppmで表した値を発泡粒子の分散剤付着量とする。また、発泡粒子単位表面積あたりの分散剤付着量(mg/m)としては、上記分散剤の付着量を発泡粒子1個あたりの平均重量にて除して発泡粒子1個あたりの分散剤付着量(mg)を算出し、該発泡粒子1個あたりの分散剤付着量(mg)を発泡粒子1個あたりの表面積(m)にて除した値を発泡粒子表面積あたりの分散剤付着量(mg/m)とする。
前記発泡粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量の測定、及び発泡前のポリオレフィン系樹脂粒子(以下、単に樹脂粒子ともいう。)の単位重量当りの燃焼残渣重量の測定は以下の方法で行なうこととする。
分散剤が表面に付着した発泡粒子を80℃、3時間の条件にて乾燥し、さらに、シリカゲル入りデシケーターで3時間放置した後、嵩体積で約280mlの発泡粒子をルツボに採り精秤後、電気炉を用いて微通気可能な条件下、摂氏600℃、1時間の加熱条件で完全酸化させ、灰化するまで加熱して残った灰分をシリカゲル入りデシケーターで3時間放置した後、加熱後の灰分重量を加熱前の発泡粒子重量で割算した値を発泡粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量(mg/g)とする。
また、発泡前の樹脂粒子について、発泡粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量の測定と同様の操作で、灰化するまで加熱して残った灰分の重量を、加熱前の樹脂粒子重量で割算した値を樹脂粒子の単位重量当りの燃焼残渣重量(mg/g)とする。
前記発泡粒子1個あたりの平均重量は、発泡粒子群の重量をその発泡粒子群を構成する発泡粒子の個数にて除することにより求められる値である。
前記発泡粒子1個あたりの表面積の算出は以下に記載する方法で行なうこととする。
相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置した500個以上の発泡粒子の重量を精秤する(発泡粒子群の重量W1)。次に、23℃のエタノールの入ったメスシリンダーを用意し、前記発泡粒子群を、金網などを使用して沈めて、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積を求める。該発泡粒子群の容積をその発泡粒子群を構成する発泡粒子の個数にて除することにより発泡粒子1個あたりの容積V1を求める。
次に、発泡粒子を真球と仮定し、球の体積公式(V1=4πR1/3)と該容積V1から発泡粒子群の真球相当半径R1(m)を導き、真球相当半径R1(m)を球の表面積公式(S1=4πR1)に代入して求められる値S1を、発泡粒子1個あたりの表面積(m)とする。
本発明で用いられる発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的にはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50重量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3重量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記したポリオレフィン系樹脂の中でも、機械的強度と耐熱性とのバランスに特に優れることからポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明方法で用いられる発泡粒子は、前記の通り、発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤を付着させてなるものである。即ち、該発泡粒子は、分散剤が付着していると共に、アニオン系界面活性剤が被覆する等して付着させた状態で、成形型内に充填され、水蒸気にて加熱されて発泡粒子が相互に融着し、発泡粒子成形体となる。
アニオン系界面活性剤を付着させた発泡粒子は、分散剤を積極的に洗浄除去したものではなく、該無機物がかなりの量付着したままであるにも拘わらず、熱融着性が向上するので低い蒸気圧で型内成形が可能となる。具体的には、分散剤が付着したままの従来の発泡粒子で0.28MPa(G)以上の蒸気圧で型内成形しなければ発泡粒子相互の融着性が良好な発泡粒子成形体が得られなかったものが、本発明では、成形体の目的形状、発泡倍率にもよるが0.26MPa(G)以下の蒸気圧で発泡粒子相互の融着性が良好な発泡粒子成形体が得られる。本発明方法においては、界面活性剤を付着させた発泡粒子を用いて型内成形を行なうので、界面活性剤水溶液で洗浄する方法とは異なり、界面活性剤の洗浄工程を必要としないという利点がある。
アニオン系界面活性剤を付着させた発泡粒子の型内成形時の融着性が向上する理由については定かではないが、型内成形時に導入される水蒸気由来の凝集水により分散剤が洗い流されることにより、発泡粒子の融着性が向上することが第一の理由として考えられる。また、アニオン系界面活性剤のマイナス電荷とアニオン性界面活性剤の付着によりマイナス電荷を帯びた分散剤のマイナス電荷が反発するので、分散剤が洗い流されやすくなることも第二の理由として推察される。また同時に、アニオン系界面活性剤が発泡粒子に被覆されていると、アニオン性界面活性剤の湿潤浸透作用により水蒸気が発泡粒子間に導入され易くなり、発泡粒子間の間隙がせまい等の水蒸気が通りにくい所にもより効率的に均一に水蒸気が浸入していくことも第三の理由として考えられる。更に水蒸気に由来するアニオン性界面活性剤を溶解した凝集水が発泡粒子表面に付着し易くなることが第四の理由として考えられる。この凝集水中には界面活性剤が溶解しているため、沸点上昇が起こり、通常の凝集水よりも高温で液体状態が保持される。また、水蒸気の比熱が2.1J/g・Kであるのに対して凝集水は4.2J/g・Kと高くなるため、水蒸気よりも凝集水が付着した場合には熱が保持され、逃げにくくなる。そのため融着性が向上することが第五の理由として推察される。したがって、本発明の上記融着性向上効果は、単位表面積あたりに付着している難溶性無機物量が多い発泡粒子であっても、水蒸気が通りにくい条件での型内成形時に特に大きな効果が得られる。つまりは発泡倍率が低く、薄肉部を有する発泡粒子成形体や薄肉発泡粒子成形体の型内成形において、特筆すべき融着性向上効果が発現する。
本発明において使用されるアニオン性界面活性剤は、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型、高分子型のものが例示される。
カルボン酸型界面活性剤としては、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アルシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。
上記脂肪族モノカルボン酸塩としてはラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、モンタン酸、パルミトイル酸、オレイン酸、マレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ネルボン酸などのナトリウム、及びカリウム塩が挙げられる。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸などのナトリウム、及びカリウム塩が挙げられる。上記N-アルシルサルコシン塩としては、オレオイルサルコシンナトリウム塩などが挙げられる。上記N-アシルグルタミン酸塩としては、オレオイルグルタミンナトリウム塩などが挙げられる。
スルホン酸型界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ホルムアルデヒド縮合物アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、などが挙げられる。
上記ジアルキルスルホコハク酸塩としてはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。上記アルカンスルホン酸塩としてはオレイルスルホン酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。上記アルキルベンゼンスルホン酸塩としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。上記アルキルナフタレンスルホン酸塩としてはドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。上記ホルムアルデヒド縮合物アルキルナフタレンスルホン酸塩としてはホルムアルデヒド縮合物ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。上記アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩としてはラウリルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩が好ましく挙げられる。
硫酸エステル型界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、アルコールエトキシサルフェート油脂硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
リン酸エステル型界面活性剤としては、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩などが挙げられる。
上記アルキルエーテルリン酸塩としては、ラウリルエーテルリン酸ジナトリウムが挙げられる。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ジナトリウムが挙げられる。上記ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルリン酸ジナトリウム等が挙げられる。
高分子型界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ポリアルギン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸アルキル共重合体の塩、ポリメタアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸アルキル共重合体の塩、オレフィンマレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸スルホン酸共重合体の塩が挙げられる。具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸スルホン酸共重合体のナトリウム塩が好ましく挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤の中でも、特に型内成形時の融着性向上効果に優れる発泡粒子が得られることから、アルカンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸スルホン酸共重合体塩を発泡粒子の表面に付着させることが好ましい。
また、本発明において前記アニオン系界面活性剤は単独または2種類以上を混合して用いることができる。
また、型内成形時の融着性向上効果をより高めるためには、発泡粒子にアニオン系界面活性剤を付着させる際に使用するアニオン系界面活性剤水溶液のpHを7以上にすることが好ましく、より好ましくは9以上、更に好ましくは11.5以上である。pHが低すぎると、融着性の向上効果が小さくなる。
前記アニオン系界面活性剤水溶液のpHは、pH調整剤をアニオン系界面活性剤水溶液中に添加することによっても調整することができる。pH調整剤としては炭酸ナトリウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、リン酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩、リン酸カリウム塩、炭酸リチウム塩、リンリチウム酸などが挙げられる。
また、アニオン系界面活性剤のHLBは、好ましくは12〜40、より好ましくは20〜40である。該HLBが上記範囲内の場合、型内成形時の前述の洗浄効果や浸透効果が特に優れることにより、融着性向上効果をより一層高めることができる。また、水への溶解性も良好であることから取り扱いが良好なものとなる。
なお、本明細書において、HLBはデイビス法を用いて、式:(7+Σ(親水基の個数)−Σ(親油基の個数))にて求められる1〜40の値である。なお、HLB値が計算上40を超えるものに関してはHLB値を40とする。
前記アニオン系界面活性剤の分子量は、200〜200000が好ましく、より好ましくは300〜50000であり、さらに好ましくは300〜6000である。
また、前記アニオン系界面活性剤の内で高分子型界面活性剤の数平均分子量は、2000〜200000、より好ましくは特に3000〜50000であり、さらに好ましくは3000〜6000である。
該分子量が上記範囲内であることにより、前述の洗浄能力が強まり、融着性向上効果が高くなる。また、水への溶解性の良化や水溶液の低粘度粘度化の観点から、工業的に扱いやすいものとなる。
なお、本明細書においてアニオン系界面活性剤の分子量は、分子式を基に原子式量から算出することによって求められる値であるが、高分子型界面活性剤の数平均分子量は、GPC測定によるポリエチレングリコール換算値である。
発泡粒子のアニオン系界面活性剤の表面積当たりの付着量は、mg/m以上であり、好ましくは5mg/m以上、特に好ましくは20mg/m以上である。一方、該表面積当たりの付着量の上限は、概ね1000mg/m以下であり、好ましくは100mg/m以下である。該付着量が上記範囲内であることにより、所望の融着性向上効果が一層顕著なものとなる。
本明細書において、アニオン系界面活性剤の発泡粒子への被覆量はTOC測定装置を用いて測定した値を基に算出した値を採用する。
なお、TOCの測定は島津全有機炭素計TOC−VCSHを用いて、TC−IC法にて行なうことができる。具体的には、次のように行なう。
(1)機器の更正を、TC(全炭素量測定)については0〜20mgC/Lのフタル酸水素カリウム水溶液使用にて行い、IC(無機炭素分測定)については0〜20mgC/Lの炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム1:1(モル比)混合溶液使用にて行う。
(2)次に、メーカーの測定した既知濃度の界面活性剤を10000〜20000倍希釈した水溶液を作成する。
(3)界面活性剤希釈水溶液のTC値およびIC値を測定し、TC値からIC値を減算した値をTOC値として、各種界面活性剤のTOC値と濃度で検量線を作成する。
(4)室温摂氏25℃条件で界面活性剤を被覆した発泡粒子を約10gと純水100mlを密閉可能なガラス容器に封入し、良密閉状態で1分間振盪し、純水に界面活性剤を抽出する。
続いて、ガラス濾紙で抽出液を濾過し、そのTOC値を測定する。既知濃度の界面活性剤希釈溶液から作製した検量線を基に抽出液TOC値から界面活性剤濃度を算出し、該濃度と界面活性剤抽出溶液量と測定に使用した約10gの発泡粒子群を構成する発泡粒子の個数に基づき発泡粒子1個あたりの界面活性剤付着量(mg)を算出する。次いで発泡粒子1個あたりの界面活性剤付着量(mg)を前述の方法にて求められる発泡粒子1個あたりの表面積(m)にて除して発泡粒子単位表面積あたりの界面活性剤付着量(mg/m)を求める。
なお、発泡剤を含浸した樹脂粒子を高温高圧の容器内から、低圧域に分散媒体と共に放出する発泡粒子の製造時に、分散媒体に添加される前記分散剤と共に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が、分散助剤として、樹脂粒子100重量部当たり0.001〜0.05重量部の割合で分散媒中に添加されることがある。しかし、該処方により得られる発泡粒子は、アニオン系界面活性剤の発泡体表面の存在量が少ないことから、分散剤が付着している発泡粒子をアニオン系界面活性剤にて付着してなる本発明に係るものとは全く異なり、型内成形時の発泡粒子の融着性の向上効果は期待できない。仮に上記発泡方法において大量のアニオン系界面活性剤が分散媒中に添加された場合には、発泡性樹脂粒子を密閉容器から放出する際に、大量の起泡が発生するため、排水処理、消泡に対処しなければならず、得られる発泡粒子は、発泡直後の付着水分量がかなり多くなるため、脱水用の設備を強化も必要であり、また、良好な発泡粒子が得られなくなることも考えられる為、通常実施されることはない。
本発明において、アニオン系界面活性剤を発泡粒子に付着させる方法としては、分散剤が付着している発泡粒子をアニオン系界面活性剤とともに混合機に投入し、攪拌して処理することで界面活性剤が付着した発泡粒子を得ることが可能である。また、分散剤が付着している発泡粒子を貯蔵槽に空送する途中の配管内で、アニオン系界面活性剤を空送用配管内に投入することで界面活性剤が付着した発泡粒子を得ることでもできる。アニオン系界面活性剤は原剤のまま投入することも可能であるし、分散性を考慮し、希釈することも可能である。更に、界面活性剤は定量ポンプ等を用いて連続的に投入することが効率の観点から好ましい。
投入されるアニオン系界面活性剤の使用量は、発泡粒子に1kg対して0.025〜25gであり、好ましくは0.05〜2gである。なお、界面活性剤が希釈物の場合は、該界面活性剤の使用量は、有効成分量を意味する。該使用量が低すぎると、融着性向上効果が小さくなり、多すぎるとコストが高くなる上に、排水処理に掛かる負荷が大きくなる虞がある。また、水溶液として界面活性剤を添加する場合、その濃度は、0.1〜400g/Lが好ましく、より好ましくは1〜100g/Lである。該濃度が薄すぎると、発泡粒子への付着水分量が過剰となり、乾燥設備が必要となったり、送粒時の配管内付着などの不具合に繋がり易くなり、さらに必要以上の水を使用することになる虞がある。また、該濃度が濃すぎると、界面活性剤溶液粘度が増して流動性が失われることで発泡粒子に均一に界面活性剤を被覆できない虞がある。
本発明において、アニオン系界面活性剤の発泡粒子への付着状態は、必ずしも発泡粒子表面の全面を完全に被覆している必要はなく、発泡粒子表面に部分的に付着している状態も含む。
本発明で用いられる発泡粒子の見かけ密度は、10〜1300g/Lが好ましく、より好ましくは24〜720g/Lである。見かけ密度が十分に小さい発泡粒子は、発泡粒子の表面積に対する分散剤の付着量が相対的に少ないことになる。従って、分散剤の融着性阻害効果が小さくなるので、本発明の融着性向上効果の発現する程度も小さくなる。
なお、上記発泡粒子の見かけ密度は次のようにして測定される値である。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置する。次に同恒温室内にて約500mlの該発泡粒子(発泡粒子群の重量W1(g))を金網などの道具を使用して温度23℃の水の入ったメスシリンダー中に沈める。そして、金網等の道具の水面下の体積を差し引いた、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V1(L)を測定し、メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1を容積V1で割り算(W1/V1)することにより見かけ密度を求める。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、前記本発明の製造方法に好適に用いられるものであり、前記の構成を備えるものである。該発泡粒子を用いて型内成形を行なえば、成形蒸気圧力を低下させることができ成形品厚みが部分ごとに異なる発泡粒子成形体を得る場合や全体が薄肉の発泡粒子成形体を得る場合に、薄肉部の発泡粒子融着性が低下することが防止される。したがって、圧縮充填率が高い型内成形時、好ましくは圧縮充填率が20〜95%、更に50〜95%の型内成形時に優れた融着性を示すものである。尚、本明細書における圧縮充填率(%)とは、発泡粒子を金型内に充填した発泡粒子の真の体積をA(cm3)、金型内(キャビティー)体積をB(cm3)とすると((A−B)/A)×100にて求められる値であり、発泡粒子の真の体積Aは、金型内に充填された発泡粒子の重量を該発泡粒子の見かけ密度で除することにより求められる。該圧縮充填率のコントロールは、発泡粒子の見かけ密度等に応じて充填空気圧を適宜調節する方法、発泡粒子を金型内に充填する際にクラッキングの開き幅を調節して圧縮する方法等によって行うことができる。
また、本発明の発泡粒子を用いると、該発泡粒子は相互の融着性が優れていることから、厚肉形状の大型成形体から、スライスにより任意の厚みの平板の切り出しやダイカットを行なうことにより、発泡粒子間の剥離がない製品を得ることが可能となる。
〔樹脂粒子の製造〕
各種ポリオレフィン系樹脂に種々の添加剤を押出機内で200〜220℃に加熱溶融して混練した後、ストランド状に押出し、次いでペレタイザーで切断し、ポリオレフィン系樹脂粒子1〜7を得た。得られたポリオレフィン系樹脂粒子の性状を表1に示した。
〔発泡粒子の製造〕
ポリオレフィン系樹脂粒子と、分散媒体としての水、分散剤としてのカオリン、マイカ、酸化チタン、又は第三リン酸カルシウム、分散助剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと硫酸アルミニウムを、表2に示すとおり配合し、攪拌機を備えたオートクレーブ内に仕込み、発泡剤としての二酸化炭素または空気をオートクレーブ内に圧入し、攪拌下にて昇温し、発泡温度で15分間保持した後、オートクレーブ中の内容物を大気圧下に放出し、表2に示す発泡粒子を得た。そのポリオレフィン系発泡粒子を40℃、湿度50%のオーブン内で12時間乾燥後、見かけ密度を測定した。なお、表2中の発泡粒子5は、上記操作で得られた発泡粒子に対して二段発泡を行って得られたものである。
なお、オートクレーブ内の各種添加物の配合比、発泡温度、得られた発泡樹脂粒子の性状、分散剤の付着量等を表2に示す。
実施例1〜29
〔アニオン性界面活性剤が付着した発泡粒子の製造〕
上記の方法で得られた表2に示したポリオレフィン系樹脂発泡粒子1〜9と表3に示した界面活性剤1〜11、pH調整剤(pH調整剤は実施例4のみ使用)を表4−1〜4−4および表5に示した割合、コーティング方法にて付着させ、処理後の発泡粒子を40℃、湿度50%のオーブン内で12時間乾燥し、界面活性剤が付着されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得た。
尚、表3に示したpHは界面活性剤有効成分量で40gを純水1Lに溶解させた溶液を測定温度23℃の条件で測定した値を示す。また、表4−1〜4−4および表5に示したpHはコーティング時に使用した界面活性剤溶液を測定温度23℃の条件で測定した値を示す。
表4−1〜4−4におけるコーティング方法:ブレンダーとは、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子25Lと界面活性剤溶液、pH調整剤(pH調整剤は実施例4のみ使用)をブレンダーに投入し、15分間攪拌混合する操作方法を意味する。
また、表5におけるコーティング方法:スプレーとは、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子1.5kgを、端にブロワーをつないだ配管内にスプレーノズルを設置してある長さ10m、内径20cmの配管内を空送し、空送時にスプレーノズルから界面活性剤溶液を噴霧し、発泡粒子に塗布する操作方法を意味する。
比較例1〜15
上記の方法で得られた表2に示したポリオレフィン系樹脂発泡粒子1〜9を、界面活性剤によるコーティングを行なわず、そのまま使用した。なお、比較例15においては、1.5kgのポリオレフィン系樹脂発泡粒子1を、端にブロワーをつないだ配管内にスプレーノズルを設置してある長さ10m、内径20cmの配管内を空送し、空送時にスプレーノズルから水を噴霧する操作方法を行なって得られた発泡粒子を使用した。
〔発泡粒子成形体の製造〕
上記方法で得られた実施例および比較例の発泡粒子を平板金型内にクラッキング充填し、表4−1〜4−4および表5に示す成形条件で水蒸気にて加熱して、発泡粒子を二次発泡させ、発泡粒子を相互に融着させた後に、金型を水冷し、面圧が0.04MPa(G)まで低下したことを確認してから、金型から取り出して発泡粒子成形体を得た。
表4−1〜4−4および表5に発泡粒子成形体の内部融着性評価において合格になった時の下限飽和蒸気圧等についての結果を示した。
また、参考例として上記方法にて得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子10を使用して、該発泡粒子をpH1.0の硫酸水溶液にて15分間洗浄した後、更に純水で15分間洗浄する酸洗浄処理を行うことで、表面に付着した第三リン酸カルシウムを溶解除去した。酸洗浄前の発泡粒子10(参考例1)と酸洗浄後の発泡粒子10(参考例2)を、各々について平板金型内にクラッキング充填し、表6に示す成形条件で水蒸気にて加熱して、発泡粒子を二次発泡させ、発泡粒子を相互に融着させた後に、金型を水冷し、面圧が0.04MPa(G)まで低下したことを確認してから、金型から成形体を取り出して発泡粒子成形体を得た。
表4−1〜4−4および表5において、各比較例と対比されるべき実施例を、各表中の比較例を示す欄の左側の欄に示した。
なお、表中のポリオレフィン系発泡粒子成形体の諸物性は、以下のとおり求めた。
[発泡粒子成形体の密度]
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置した発泡粒子成形体の外形寸法から体積を求め。次いで該発泡粒子成形体の重量を発泡粒子成形体の外形寸法から体積にて除し、単位換算することによりポリオレフィン系発泡粒子成形体の密度(g/L)求めた。


[発泡粒子型内成形時の下限飽和蒸気圧]
発泡粒子を示差走査熱量測定:JIS K7121(1987年)にて10℃/分の昇温速度で常温から200℃まで昇温することにより得られる1回目のDSC曲線に基づき発泡粒子の表面が溶融する温度の下限を予想し、該下限温度に相当する飽和蒸気圧の水蒸気による発泡粒子の型内成形を行い得られた発泡粒子成形体について下記の発泡粒子相互の融着性の評価を行い発泡粒子成形体の融着率が50%未満であることを確かめる。次いで、水蒸気の飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定する以外は、同様にして上記の融着性の評価を行った。水蒸気の飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定して融着性の評価を行う操作を、発泡粒子成形体の融着率が80%以上となるまで順次行い、融着率が80%以上となった時の飽和蒸気圧(融着率が80%以上となる最低の飽和蒸気圧)を型内成形時の下限飽和蒸気圧とした。
また、上記のポリオレフィン系発泡粒子成形体の融着率とは、ポリオレフィン系発泡粒子成形体を折り曲げ略等分に破断させ、破断面を観察して破断面に存在している破断している発泡粒子の数を、該破断面に存在している全ての発泡粒子の数にて除した値の百分率である。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を成形型内に充填して水蒸気にて加熱することにより発泡粒子を相互に融着させる発泡粒子成形体の製造方法において、
    該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子として、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤を3mg/m 以上付着させてなるものを使用することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  2. 前記アニオン系界面活性剤がポリアクリル酸塩である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  3. 前記アニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸塩である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  4. 前記分散剤が珪酸塩鉱物である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の前記アニオン系界面活性剤の付着量が20mg/m以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  6. 前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子がポリプロピレン系樹脂発泡粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  7. 分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子の表面にアニオン系界面活性剤が20mg/m以上付着していることを特徴とする型内成形用ポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
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