JP5710909B2 - 外装用シートおよび外装用シート積層鋼板並びにその製造方法 - Google Patents

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本発明は、屋外で使用され、雨に晒されることで防汚効果を発揮する外装用シート、並びにこれを使用した外装用シート積層鋼板に関する。
従来、金属板をポリ塩化ビニルで被覆した化粧板は、建築物の内装材・外装材、電気製品、雑貨その他各種分野で広く用いられている。中でも、塩化ビニルシートを鋼板にラミネートしたいわゆる塩化ビニル鋼板は、エンボスや印刷が可能でかつ二次加工性にも優れていることから多用されている。
この種の用途に多様されている塩化ビニルシートは、耐候性に優れており、長期間の曝露によりシート自体が劣化するなどの問題はないが、組成物中に可塑剤などを多量に含んでいることに起因すると思われる雨垂れスジなどが付着することにより外観が悪化してしまうという問題があった。
このような問題を解決する手段の一つとして、シート表面の親水性を高める手段を挙げることができる。シート表面を親水化する具体的な方法としては、親水コーティング層を形成したり、シート表面を改質したりする方法が挙げられる。
例えば、塩化ビニルシートの表面に有機溶剤に溶解させたウレタン系樹脂、アクリル樹脂に界面活性剤を添加することで表面を親水化する方法がある。
界面活性剤は、洗剤や乳化剤をはじめとして多くの分野で使用され、日常生活に欠かせない物質であり、1つの分子内に親水基と疎水基を合わせ持った化合物である。界面活性剤をコーティング剤に添加することで、界面活性剤の親水基の効果によりシート表面を親水化できることが知られている。しかしながら、界面活性剤は一般的に低分子組成であり経時変化で表面へ移行(ブリード)し、雨とともに流されてしまうため、長期的な親水性を保持するのは困難である。
また、シートの親水化処理する表面改質の例として、シートのコロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。シートにコロナ処理、又はプラズマ処理を施すことで、シート表面にカルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、水酸基、エーテル基などの親水性官能基が形成されることでシート表面が親水性に変化させることができる。
このような表面改質は、塩化ビニルシートにも処理可能であり、低コストで親水性能を付与することが可能であるが、長期耐候性という点では、表面の親水性官能基が経時変化で失活して親水性を示さなくなることが知られており、本想定用途には適しているとは言えない。
そのほか、塩化ビニルシートの表面に光触媒をコーティングすることにより、表面が親水性になり、かつ光触媒による分解効果により、防汚性を付与することが可能である。光触媒としては酸化チタンを使用した光触媒コート剤が知られている(特許文献1)。
光触媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが知られており、シート表面に光触媒層を形成することで、シートに親水性による防汚効果が期待できる。また付着した汚れを光触媒効果で分解することができることからさらに高い防汚効果が期待できる。しかしながら、シートに直接光触媒層を形成すると、光触媒効果で付着した汚れだけでなく、シートそのものも分解されてしまうため、長期耐候性という点からは好ましくない。シートと光触媒層を分離するためにシート表面にプライマーコートを形成してから光触媒層を形成するなどの方法を行うことも可能であるが、光触媒コート剤は一般的に高価である上に、プライマーコートを形成する工程が増えることで、さらにコスト的に不利になるという問題がある。
特願平8−528290
そこで本発明は、長期耐候性に優れており、長期にわたって雨等に晒されても防汚効果を維持することができ、好ましくは光触媒を含まない、新たな外装用シートを提供せんとするものである。
本発明は、エンボス面を備えた基材シートのエンボス面に親水層を設けてなる外装用シートであって、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が40°以下になることを特徴とする外装用シートを提案する。
本発明の外装用シートの親水層は、雨、特に酸性雨と接触することにより、親水性が高まる特性を備えているため、長期耐候性に優れており、長期にわたって雨等に晒されても防汚効果を維持することができる。
このような親水層は、例えば、バインダーとしてアクリル系樹脂を含み、且つ、フッ素シリケート化合物を固形分として5wt%〜20wt%含むコート剤を塗布することで形成することができ、光触媒を配合することなく形成することができる点も特徴の一つである。
よって、本発明の外装用シートは、建築物の外装材に用いる外装用シートとして特に好適であり、例えば鋼板にラミネートすることで、外装用シート積層鋼板を作製することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本外装用シート>
本実施形態の一例に係る外装用シート(以下「本外装用シート」という)は、エンボス面を備えた基材シートのエンボス面に親水層を形成してなる外装用シートである。
<基材シート>
本外装用シートの基材シートとしては、例えばアクリル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、塩化ビニル系などの各種樹脂を主成分としたシートが使用可能である。中でも、耐候性に優れ、しかも低コストである点から、塩化ビニル樹脂を主成分とする塩化ビニルシートが好適である。塩化ビニルシートとしては、一般的に市販されている塩化ビニルシートを用いることができる。
(エンボス面)
本外装用シートにおいては、基材シートの表面をエンボス面とした上で、該エンボス面に親水層を設けることが重要である。エンボス面を設けないで親水層を形成した場合に比べて、親水性を顕著に高めることができる。
通常、塩化ビニルシートなどのシート表面にエンボスを形成すると、水との接触面積が増加し、逆に撥水性になってしまう傾向があるが、基材シートの表面をエンボス面とした上で、該エンボス面に親水層を設けると、親水性を顕著に高めることができることが判明した。
エンボス面の表面の粗さに関しては、Ra(中心線平均粗さ):1μm以上10μm以下であることが好ましく、Rz(最大高さ):5μm以上20μm以下であることが好ましく、Rz JIS(十点平均粗さ):10μm以上20μm以下であることが好ましく、Rp(平均深さ):2μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、光沢度(グロス)が50%以下、特に30%以下、中でも10%以下であることがさらに好ましい。
ここで、Ra(中心線平均粗さ)、Rz(最大高さ)、Rz JIS(十点平均粗さ)、Rp(平均深さ)は、JISB0601(製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ)に順じて測定するものとし、例えば小坂研究所社製SE−3FK試験機を使用して、2μmRダイヤモンド針を使用して測定することができる。
また、光沢度は、JISZ8741−1997(鏡面光沢度−測定方法)に順じて測定するものとし、例えば、スガ試験機社製のUGV−5DP試験機を使用して測定することができる。光沢度測定における光源の入射角は60°に設定するものとする。
このようなエンボス面を基材シートの表面に形成する方法としては、例えば基材シートをエンボスロールと接触させるようにすればよい。具体的な一例としては、加熱ロール、テイクオフロールを経て、赤外ヒーターで加熱処理した後、ニップロール、エンボスロール、冷却ロールへと送るようにすればよい。
<親水層>
本外装用シートにおける親水層は、エンボス面を消失させないためにも、低温で形成可能な溶剤可溶型コーティング剤により形成するのが好ましい。
具体的には、バインダー及び親水化剤、必要に応じて硬化剤や硬化触媒などを含有する溶剤可溶型コーティング剤を、基材シートのエンボス面に塗布することで形成するのが好ましい。親水層を形成する際に、高温乾燥処理すると、エンボス面を消失させてしまう可能性がある。
また、本外装用シートにおける親水層は、水、好ましくは酸性液と接触すると親水性が高まる特性を備えており、雨、特に酸性雨と接触することにより、親水性が高まる特性を備えた親水層である。
このような特性の有無を判断する評価として、次のように5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角を測定すると言った、加速試験によって評価することができる。
すなわち、本外装用シートは、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が40°以下であることが重要である。当該水接触角が40°以下であれば、雨、特に酸性雨と接触することにより、親水性が高まり、防汚効果を発揮することができる。水接触角がさらに小さくなれば、さらなる効果を期待することができるから、当該水接触角は35°以下であるのがさらに好ましく、中でも30°以下であるのがより一層好ましい。
また、別の見方をすれば、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が、浸漬前に比べて40%以下になる、特に45%以下、中でも特に50%以下となるものがさらに好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、溶剤可溶性で、水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリルポリオール樹脂、アクリルシリコン樹脂、含フッ素シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などを好ましい例として挙げることができる。中でも、外装用途である点及びコスト的な点からアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリルとして、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基など)、および架橋性官能基を有するモノマー、例えばカルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、またはメチロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などの官能基を有するモノマーを含むものが好ましい。
上記官能基を有するモノマーを例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、および上記アミノ基をメチロール化したもの、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどを挙げることができる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
さらに上記以外に、次のようなモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ブチルビニルエーテル、マレイン酸およびイタコン酸のモノあるいはジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニル基を有するアルコキシシラン、および不飽和結合を有するポリエステルなどを共重合成分としてもよい。
(硬化剤)
硬化剤としては、例えばイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂、二塩基酸、シラン化合物、エポキシ樹脂などを用いることができる。中でも、耐候性などの点から、イソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2つ以上有する化合物が好ましい。
例えば、2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、従来公知のもので特に制約はなく、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、水添化ジフエニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、ウレトンイミン変性体、カルボジイミド変性体等も同様に挙げられる。
また、3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、従来公知のもので特に制約はなく、例えばトリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートとトリメチロールプロバンとの付加物、上記ジイソシアネートの3量化物、水との反応により得られるビュレット変性体等を挙げることができる。
以上のジイソシアネート化合物及びポリイソシアネート化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(硬化触媒)
硬化触媒としては、例えば有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、有機チタネート化合物、アルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
(親水化剤)
親水化剤としては、シリケート化合物、中でも、分子量が250〜3000であるシリケート化合物が好ましい。分子量250以上であれば、塗膜を硬化させる際の加熱により揮散するようなことがなく、3000以下であれば、塗膜表面を十分に親水化することが可能である。なお、上記分子量の決定は、先に挙げたGPCで行うことができるほか、市販品の場合にはカタログなどの商品情報に記載された値を用いることができる。
シリケート化合物は、上記分子量を満たしていれば特に限定されず、上記変性シリケートを得るために用いた原料シリケート化合物の中から選択することができる。
上記シリケート化合物の中でも、表面に出やすく、親水化が速やかに進行する点を考慮すると、フッ素変性したシリケート(「フッ素シリケート」とも称する)化合物であることが好ましい。
フッ素シリケート化合物は、先の原料シリケート化合物の説明におけるテトラアルコキシシランの縮合体をフッ素変性した化合物である。このフッ素シリケートの具体的なものとして、ダイキン工業から発売されている、GH−110、GH−700などを挙げることができる。
シリケート化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
以上のように、最も好ましい親水層としては、バインダーとしてアクリル系樹脂を用い、これにフッ素シリケート化合物を配合してなる溶剤可溶型コート剤を塗布し、低温乾燥、好ましくは70℃以下で乾燥させて形成するのが、エンボス面を維持しつつ優れた親水性を得る点で好ましい。さらに好ましい乾燥温度は60〜70℃の範囲であり、乾燥時間は少なくとも2分以上とするのが好ましい。
この際、フッ素シリケート化合物を固形分で5wt%〜20wt%配合するのが好ましい。かかる範囲でフッ素シリケート化合物を配合すれば、十分な親水性が得られ、バインダー中にシリケート化合物が保持されるため塗膜の親水性保持の点から好ましい。かかる観点から、フッ素シリケート化合物を固形分で5wt%以上、或いは15wt%以下の割合で配合するのがより一層好ましく、中でも、5wt%以上、或いは10wt%以下の割合で配合するのがさらに好ましい。
(親水層のSi比率)
親水層は、その表面の元素組成比に関し、Siを10at%(atomic%)以上含んでいるのが好ましい。親水層の表面がSiを10at%以上含んでいれば、十分な親水性が得られるため優れた防汚性機能を得ることができ、Siの比率が高まればさらにこの傾向は高まるから、かかる観点から、親水層の表面はSiを12at%以上含んでいるのがさらに好ましく、中でも特に15at%以上含んでいるのがより一層好ましい。
(親水層の厚み)
親水層の厚さは、低光沢性、加工性、耐久性、コストなどの観点から、1μm〜10μmであるのが好ましく、特に3μm〜7μmであるのが好ましい。
<用途>
本外装用シートは、雨、特に酸性雨に長期間晒されることにより、加水分解反応を生じて親水性を発揮し、防汚効果を維持することができるため、建築物の外装材に用いる外装用シートとして特に好適である。
本外装用シートはそのまま加工して製品化することもできるし、また、鋼板に積層して外装用シート積層鋼板として製品化することもできる。
外装用シート積層鋼板を製造するには、例えば、エンボスが形成されてなる基材シートのエンボス面に、フッ素シリケート化合物を含む溶剤可溶型コート剤をコートし、70℃以下で乾燥して親水層を形成させてなる外装用シートを一旦形成した後、さらに鋼板にラミネートするようにして製造すればよい。但し、この製法に限定するものではない。
なお、さらに好ましい乾燥温度は60〜70℃の範囲であり、乾燥時間は少なくとも2分以上が好ましい。
<用語の説明>
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例を示し、本考案をさらに具体的に説明するが、下記実施例は本考案を制限するものではなく、前、後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本考案の技術範囲に包含される。
先ず、以下の実施例、比較例、参考例において用いた原材料について説明する。
(1)基材シート
基材シートとして、平均重合度1000の塩化ビニル樹脂100質量部に対して、可塑剤30質量部、その他、安定剤及び顔料を適宜量混合し、この混合物をカレンダーリング加工により250μm厚みのシート状に成型してなるシートを使用した。
さらにこのシートを、一方のロール表面に約80μmピッチ、80μm深度のなし地模様のエンボスが刻設された100℃に加熱された一対のロール間を通過させ、エンボス面を形成した。
このようにして形成されたエンボス面は、Ra:2.3μm、Rz:12.0μm、Rz JIS:14.1μm、Rp:4.6μm、グロス:7%以下であった。
(2)コート剤
コート剤1:アクリル系コート剤(日本触媒社製「ユーダブルC3600」)10.00g、イソシアネート硬化剤(旭化成社製、TPA−100)0.78g、希釈溶剤(MEK)9.15gを混合・攪拌したもの。
コート剤2:アクリルシリコン系コート剤(カネカ社製「ゼムラック5920B」)10.00g、アルミキレート系硬化触媒(カネカ社製、CAT−101)2.00g、希釈溶剤(MEK)11.3gを混合・攪拌したもの。
(3)親水化剤
フッ素シリケート系親水化剤A:フッ素変性シリケート(ダイキン社製「ゼッフルGH701」、分子量1200)
アルキルシリケート系親水化剤B:アルキルシリケート(三菱化学社製「MS−57」、分子量1400)
次に、性能評価のために行った試験方法を先に示す。
(4)ブロッキング性
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)の表面にコート層を形成後、コート層裏面と巻取りを行い、40℃×3日養生した後、次の基準でブロッキング性を評価した。
○:ブロッキングが発生しなかった。
×:ブロッキングが発生した。
(5)外観
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)にコート層を形成した後、コート層の乾燥によるエンボス戻りによる外観低下などの外観不良を目視にて観察し、次の基準で評価した。
×:コート層の乾燥によるエンボス戻りによる外観低下などの外観不良が見られた。
○:外観に問題がなかった。
(6)表面Si量
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)の表面を、X線光電子分析装置(ESCA)により表面の元素組成比を測定し、表面層に占めるSiの量を計算した。
(7)初期水接触角
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)の表面をエタノールで洗浄した後、23℃×50%の環境下で、前記表面に標準水(72mN/m)を滴下し、その30秒後に対水接触角測定器(協和界面科学(株)製「FACECA‐X型」)を用いて、水との接触角を計測した。
(8)塩酸浸漬後水接触角
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)を、5%塩酸(常温)に24時間浸漬し、浸漬後サンプルを流水洗浄した後、23℃×50%の環境下で前記表面に標準水(72mN/m)を滴下し、その30秒後に、対水接触角測定器(協和界面科学(株)製「FACECA‐X型」)を用いて水との接触角を計測した。
(9)3ヶ月曝露後外観評価
実施例及び比較例で得たシート(サンプル)を、アクリル系接着剤をコートし、300℃の乾燥炉を通した鋼板に熱ラミネートして試験サンプルを作製した。この試験サンプルを屋外の波板直下に設置し、3ヶ月間曝露試験を行い、3ヶ月後サンプル表面の汚れ状態を目視で確認し、次の基準で評価した。
○:雨垂れ跡がみられない。
△:雨垂れ跡が若干見られる。
×:著しい雨垂れ跡が見られる。
<実施例1>
コート剤1にフッ素シリケート系親水化剤Aを固形分比で5wt%添加してコート組成物を調製した。
前記基材シート(250μm厚みの塩化ビニルシート)のエンボス面に、#10バーコーターで前記コート組成物を塗布してコート層を形成し、60℃×2分乾燥した。コート厚みは、接触式厚み測定機で測定した結果、約3μmであった。乾燥後、上記コート面と塩化ビニルシート裏面を重ね合わせて40℃×3日間養生を行い、シート(サンプル)を得た。
養生後、コート層密着性、外観、表面Si量、初期水接触角、塩酸浸漬後水接触角を測定した。また、サンプルを3ヶ月間屋外曝露し、曝露試験後の防汚性を評価した。試験結果を表1示す。
<実施例2>
乾燥温度を70℃×2分とした以外は、実施例1と同様にしてシート(サンプル)を作製した。
<実施例3>
フッ素シリケート系親水化剤Aを10wt%添加し、乾燥温度を70℃×2分とした以外は、実施例1と同様にしてシート(サンプル)を作製した。
<実施例4>
コート剤として、コート剤2を使用し、乾燥温度を70℃×2分とした以外は実施例1と同様にしてシート(サンプル)を作製した。
<参考例1>
塩化ビニルシートにコート層を設けなかったシート(サンプル)を作製し、参考例1とした。
<比較例1>
コート剤1にフッ素シリケート系親水化剤Aを添加しなかった以外は、実施例1と同様にシート(サンプル)を作製した。
<比較例2>
フッ素シリケート系親水化剤Aを2wt%添加した以外は、実施例1と同様にシート(サンプル)を作製した。
<比較例3>
コート剤としてコート剤2を使用し、フッ素シリケート系親水化剤Aを添加しなかった以外は実施例1と同様にシート(サンプル)を作製した。
<比較例4>
コート剤1にフッ素シリケート系親水化剤Aを添加せず、その代わりにアルキルシリケート系親水化剤Bを固形分比5wt%添加した以外は、実施例1と同様にシート(サンプル)を作製した。
Figure 0005710909
(考察)
このような結果から、少なくとも実施例1−4に係るシートは、親水層が酸性液と接触すると親水性が高まり、5%塩酸に24時間浸漬塩酸に浸漬する促進試験において水接触角が40°以下になることが分かった。そして、このようなシート、すなわちエンボス面を備えた基材シートのエンボス面に当該親水層を設けてなる外装用シートであれば、3カ月の曝露試験においても優れた防汚効果を維持することができることが判明した。
親水性が高まる程度としては、本実施例及びこれまでの試験結果から、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が、浸漬前に比べて40%以下になるのが好ましいと考えることができる。
このような効果は、本外装用シートの親水層は、酸性液と接触することによって加水分解を起こして表面層の親水性が高まることと、エンボス面上にこの表面層を形成したこととによる相乗効果によるものと考えることができる。

Claims (8)

  1. エンボス面を備えた基材シートのエンボス面に、フッ素シリケート化合物を含む親水層を設けてなる外装用シートであって、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が40°以下であなることを特徴とする外装用シート。
  2. 前記親水層は、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が、浸漬前に比べて40%以下になることを特徴とする請求項1記載の外装用シート。
  3. 前記親水層の表面の元素組成比において、Siの元素組成比が10at%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装用シート。
  4. 前記親水層は、バインダーとしてアクリル系樹脂を含み、且つ、フッ素シリケート化合物を固形分として5wt%〜20wt%含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の外装用シート。
  5. 前記基材シートが塩化ビニル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の外装用シート。
  6. エンボス面を備えた基材シートのエンボス面に、フッ素シリケート化合物を含む溶剤可溶型コート剤をコートし、70℃以下で乾燥して親水層を形成することにより、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が40°以下になる外装用シートを製造することを特徴とする外装用シートの製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の外装用シートを鋼板に積層してなる外装用シート積層鋼板。
  8. エンボス面を備えた基材シートのエンボス面に、フッ素シリケート化合物を含む溶剤可溶型コート剤をコートし、70℃以下で乾燥して親水層を形成するようにして外装用シートを一旦形成した後、この外装用シートを鋼板にラミネートすることにより、5%塩酸に24時間浸漬した後の表面の水接触角が40°以下になる外装用シートを製造することを特徴とする外装用シート積層鋼板の製造方法。

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