JP3966520B2 - プレコート金属板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭用電気製品や自動車用車載部品などの外板材や構造部材、更には建材、屋根材等様々な用途に使用されるプレコート金属板およびその製造方法に関する。
鋼板やアルミニウム板またはアルミニウム合金板に代表される金属薄板材は、高い強度と加工性を兼ね備えており、様々な加工を施すことにより家庭用電気製品、自動車用車載部品、更には建材など様々な用途に適用されている。これらの用途に使用される金属板の加工品は、外観や耐食性等の向上を目的として表面処理が行なわれることがある。この表面処理は、従来、金属板を所定の形状に加工してから行なうポストコート方式が主流であったが、最近では、職場環境の改善や加工工程の簡素化とコスト低減などを目的として、予め金属板に表面処理されたプレコート金属板を所定の形状に成形加工して用いるプレコート方式も定着している。さらに、近年、かかるプレコート金属板は、製品・機器の多様化と高級化に応えるため、種々の機能、例えば耐指紋性、耐疵付き性、アース接続性、放熱性、遮熱性、抗菌性等を付与した機能性プレコート金属板が開発され、広く普及している。
プレコート金属板では、表面塗装が施された状態で成形加工が行なわれるので、塗膜には優れた成形加工性が要求されるばかりでなく、プレス成形後の外観がそのまま製品外観になるため、優れた表面外観・性状等が要求される。例えば、特許文献1には、アルミニウム合金板材に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂の単独或いはその混合物をベース樹脂とし、粒径0.1μm以下のSiO2を5〜40%、および潤滑剤を5〜60%含む塗料が、0.5〜10μmの厚さで塗装され、摩擦係数を0.15以下に制御した成形性と耐疵付性に優れたプレコート金属板が提案されている。
特許文献1記載のプレコート金属板は、アルミニウム合金板材から構成されているが、一般にアルミニウムを素材とするプレコート金属板は軽さが求められる用途に好評を得ており、例としては、ノートパソコン搭載用の光ディスクドライブのカバー類や、液晶表示装置のフレーム、バックカバー類、車載用電装品である、ECU(Electronic Control Unit)やカーステレオ、カーナビゲーションシステム、ディスクオートチェンジャー等のカバー類や構造部材にも使用されている。この中で光ディスクドライブやオートチェンジャーに使用される場合には、CDやDVDなどのディスクが搭載されるが、最近では書き込み型ドライブの普及により、音楽CD等を個人的に編集して、自作ディスク10を作製することも多くなってきている。また、このような自作ディスク10は、ディスクDの表面に識別用の識別ラベルLが接着された状態で使用されることがある(図1参照)。
特許第3338156号公報(段落番号0008〜0017)
しかしながら、前記した光ディスクドライブやディスクオートチェンジャーの例の様に、装置内に識別ラベルLの様な粘着物が挿入される可能性のある用途では、装置の熱などによって、識別ラベルLの一部が剥離し、むき出しとなった粘着部Lnが、その後、装置内の各部位に再付着する危険性に備えておく必要がある。
この様な危険性を防ぐための手法の一つとして、粘着物(識別ラベルL)が付着する可能性のある部位に、粘着物(識別ラベルL)が付着しにくい表面処理を施す方法が有効と考えられる。例えば、光ディスクドライブ20の例では、自作ディスク10が載るトレイ21の上や、自作ディスク10を覆うカバー22の内側など、自作ディスク10に隣接し、かつ面積の大きい部材ほど粘着物(識別ラベルL)が付着するリスクが大きいと考えられる。従って、これらの部品に加工して使用されるプレコート金属板に、あらかじめこの様な粘着物(識別ラベルL)が付着しにくい表面処理を施すことが危険性回避に有効と考えられる。また、この様な粘着物(識別ラベルL)の付着しにくい性質は、実際には、粘着物(識別ラベルL)のみならず、油や汚れなどの様々な物質をはじく性質を兼ね備えるため、建材、自動車用車載部品、屋内機器など、長期間使用する用途に対しても、メンテナンスの頻度をさげられるという点で期待されている。
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、成形加工して使用するプレコート金属板にとって基本的な、優れた成形性、潤滑性を有し、外観にも優れ、粘着物を併用する用途に使用しても粘着物が付着しにくく、汚れや油がつきにくい特性を兼ね備えたプレコート金属板およびその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、金属板と、その表面に形成されたフッ素系樹脂皮膜とを備えるプレコート金属板であって、前記フッ素系樹脂皮膜の最表面でのフッ素濃度の割合を下式(1)で計算したとき、その割合が20%以上であると共に、前記フッ素系樹脂皮膜の皮膜内部のフッ素濃度を下式(1)で計算したとき、その割合が15%以下であるプレコート金属板として構成したものである。
A(%)={F/(F+C+O+N)}×100・・・(1)
前記式(1)において、Aはフッ素濃度の割合、Fはフッ素質量%、Cは炭素質量%、Oは酸素質量%、Nは窒素質量%である。
このように構成すれば、フッ素系樹脂皮膜のフッ素が最表面で濃化するため、フッ素系樹脂皮膜の粘着物の剥離強度を低く維持できる。また、同時に最表面を除いた皮膜内部ではフッ素濃度が低く抑えられているため、樹脂系プライマー層や接着剤層を形成しなくても、フッ素系樹脂皮膜が金属板と強固に接着する。
また、請求項2の発明は、前記フッ素系樹脂皮膜は、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基のうち少なくとも一種類を有するフッ素系樹脂と、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とがウレタン結合、酸アミド結合および尿素結合のうち少なくとも一種類の化学結合で結合されているプレコート金属板として構成したものである。このように構成すれば、フッ素系樹脂の分子が、これらの化学結合によって架橋反応することにより三次元網目構造を形成するため、フッ素系樹脂皮膜が金属板とより一層強固に接着する。
また、請求項3の発明は、前記フッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で20万以下であるプレコート金属板として構成したものである。このように構成すれば、フッ素系樹脂と、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物との相溶性が向上し、得られたフッ素系樹脂皮膜の表面光沢度が60度鏡面光沢度測定で80を超え、光沢性に優れた外観が得られる。
また、請求項4の発明は、前記金属板と前記フッ素系樹脂皮膜との間に、耐食性皮膜を備えるプレコート金属板として構成したものである。このように構成すれば、プレコート金属板の耐食性が向上すると共に、フッ素系樹脂皮膜が金属板とよりいっそう強固に接着する。
また、請求項5の発明は、前記金属板はアルミニウム板またはアルミニウム合金板であるプレコート金属板として構成したものである。このように構成すれば、他の金属板を使用した場合と比べて軽量化が図れる。
また、請求項6の発明は、金属板と、その表面に形成されたフッ素系樹脂皮膜とを備える請求項1ないし請求項5に記載のプレコート金属板の製造方法であって、前記金属板の表面にフッ素系塗料を塗布する第1工程と、前記フッ素系塗料を200℃以上280℃以下で焼付処理してフッ素系樹脂皮膜を形成する第2工程とを含むプレコート金属板の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、所定温度の焼付処理によって、フッ素系樹脂皮膜のフッ素濃度の割合が皮膜最表面で濃化されると共に、皮膜内部では低く抑えることが可能となるため、フッ素系樹脂皮膜の粘着物の剥離強度がより一層低く維持できる。また、フッ素系樹脂皮膜が金属板とより一層強固に接着する。
本発明に係るプレコート金属板によれば、金属板の表面に形成されたフッ素系樹脂皮膜によって、成形加工して使用するプレコート金属板にとって基本的な、優れた成形性、潤滑性、外観だけでなく、粘着物を併用する用途に使用しても、粘着物が付着しにくく、汚れや油がつきにくい特性を兼ね備えることができると共に、樹脂系プライマー層や接着剤層を介さずにフッ素系樹脂皮膜を金属板に強固に接着することができる。また、フッ素系塗料の主剤となるフッ素系樹脂の分子量を制御することにより、表面光沢を制御することができる。
また、本発明に係るプレコート金属板の製造方法によれば、粘着物剥離強度が小さいプレコート金属板が、樹脂系プライマー層や接着剤層の形成なしに、製造される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.プレコート金属板
本発明のプレコート金属板は、ベース素材である金属板と、金属板の表面に形成された、皮膜最表面と皮膜内部のフッ素濃度が所定の値となる様に制御されたフッ素系樹脂皮膜とを備える。ここで、表面とは、金属板の少なくとも一方の面を意味し、好ましくは両面を意味する。次に、各構成について説明する。
(1)金属板
本発明で用いられる金属板には特に制限がなく、最も一般的な冷延鋼板の他、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板や銅めっき鋼板、錫めっき鋼板等の各種めっき鋼板、更には、ステンレス鋼などの合金鋼板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金板や、銅または銅合金板などの非鉄金属板等の全てが適用可能である。また、ノートパソコン搭載用の光ディスクドライブのカバー類や、液晶表示装置のフレーム類、車載用電装品のカバーなど軽さが求められる用途に対しては、アルミニウムまたはアルミニウム合金板が好ましい。特に、JISに規定する5052や5182に代表されるAl−Mg系合金がより好ましい。
(2)フッ素系樹脂皮膜
(フッ素濃度の割合)
本発明における実施形態は、フッ素系樹脂皮膜の最表面でのフッ素濃度の割合を下式(1)で計算したとき、その割合が20%以上であることを特徴とするとともに、同時に同じ下式(1)で計算したときの、フッ素系樹脂皮膜の皮膜内部のフッ素濃度の割合が15%以下であることを特徴とするプレコート金属板である。
A(%)={F/(F+C+O+N)}×100・・・(1)
前記式(1)において、Aはフッ素濃度の割合、Fはフッ素質量%、Cは炭素質量%、Oは酸素質量%、Nは窒素質量%である。
ここで、フッ素濃度の割合は、ESCA等で測定、換算した、フッ素系樹脂皮膜の最表面および皮膜内部のフッ素質量%、炭素質量%、酸素質量%および窒素質量%を使用して、前記式(1)で計算される。なお、最表面の測定は、プレコート金属板の表面を、そのまま測定し、皮膜内部の測定は、フッ素樹脂皮膜の最表面から、厚さ方向に皮膜厚さの1/2〜1/3の部分を測定することが好ましい。すなわち、最表面とは、プレコート金属板の表面を言い、皮膜内部は、最表面から厚さ方向に皮膜厚さの1/2〜1/3の部分を言う。
後記する比較例に示す様に、フッ素系樹脂皮膜の架橋反応が十分で無い場合や、熱劣化(分解)が生じている場合には、最表面のフッ素濃度の割合が20%未満となる場合がある。この場合、フッ素系樹脂皮膜の最表面に存在する、粘着物の剥離性に関与するフッ素の割合が少ないため、フッ素系樹脂皮膜の粘着物剥離強度が大きくなると共に、汚れや油がつきやすくなる。一方、皮膜内部のフッ素濃度の割合が15%を超えてしまうと、樹脂プライマー層や接着剤層等を形成するなどの何らかの処置をしないと、皮膜を金属板表面に強固に接着させることができなくなる。
フッ素系樹脂皮膜は、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基のうち少なくとも一種類を有するフッ素系樹脂と、2個以上のイソシアネート基、好ましくは3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とがウレタン結合、酸アミド結合および尿素結合のうち少なくとも一種類の化学結合で結合(架橋)されていることが好ましい。これにより、フッ素系樹脂皮膜に安定した架橋構造が形成され、フッ素系樹脂皮膜が金属板とより一層強固に接着する。水酸基としては、アルコール系水酸基やフェノール系水酸基はもちろん、イソシアネート基と反応する誘導体は広い意味でこれに該当する。またカルボキシル基としてはカルボキシル基単体はもちろん、無水化されたカルボキシル基など、イソシアネート基と反応する誘導体はすべて該当する。同様にアミノ基についてもイソシアネート基と反応する誘導体はすべて本発明に含まれる。なお、架橋されたフッ素系樹脂皮膜の架橋度は、その架橋度の指標であるJISK6796に規定されたゲル含量で、80%以上が好ましい。
(フッ素系樹脂の分子量)
フッ素系塗料の主剤となるフッ素系樹脂の分子量は、フッ素系樹脂皮膜の表面光沢に影響し、結果的にプレコート金属板の表面光沢を決定するものである。本発明に係るプレコート金属板の表面光沢は、光沢の高いもの、光沢の低いもの(艶消し外観)のいずれでもよいが、家庭用電気製品の外板材等の用途を考慮すると、光沢の高いものが好ましい。そして、フッ素系樹脂の分子量と表面光沢の関係は以下の通りである。
フッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で20万以下の場合には、主剤と硬化剤とが均一に相溶し合うため光沢性の高いフッ素系樹脂皮膜となる。また、主剤となるフッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で20万を超えた場合には、主剤と硬化剤との相溶性が低下するため、艶消し外観になるものと考えられる。なお、主剤であるフッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で20万を超えた場合、主剤の粘度が高くなりすぎるため、主剤を重合する際に均一に反応し難くなったり、ロール塗装時に塗料のピックアップ性が低下し、表面の光沢度が均一になり難い。また、主剤であるフッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で10万以下の場合、主剤の粘度が低くなりすぎるため、例えば、ロール塗装により金属板表面にフッ素系樹脂皮膜を形成する際に膜厚の均一性が保ち難くなることがある。
(フッ素系樹脂皮膜の厚さ:0.1〜20μm)
フッ素系樹脂皮膜の厚さは、0.1〜20μmが好ましい。厚さが0.1μm未満であると、金属板の全面を均一に被覆することができず、粘着物の剥離強度が大きくなる。また、厚さが20μmを超えると、金属板との密着性が低下し、フッ素系樹脂皮膜が金属板に接着しづらくなる。
次に、本発明のプレコート金属板は、金属板とフッ素系樹脂皮膜との間に、耐食性皮膜を備えるものであってもよい。耐食性皮膜が形成されていることによって、プレコート金属板に耐食性が付与されると共に、金属板との接着性が向上する。耐食性皮膜の構成は、例えば、以下の通りである。
(耐食性皮膜)
耐食性皮膜としては、CrまたはZrを成分として含む従来公知の耐食性皮膜である、リン酸クロメート皮膜、クロム酸クロメート皮膜、リン酸ジルコニウム皮膜、酸化ジルコニウム系皮膜、塗布型クロメート皮膜、あるいは塗布型ジルコニウム皮膜等を適宜使用することができる。また、耐食性皮膜の付着量は、CrまたはZr換算値で10〜50mg/m2が好ましい。耐食性皮膜の付着量が10mg/m2より少なくなると、金属板の全面を均一に被覆することができず、耐食性の確保が難しくなり、長期間の使用に耐えられなくなる。また、付着量が50mg/m2を超えると、プレス成形等において、耐食性皮膜自体に割れ(剥離)を生じ、長期間にわたって高い耐食性を維持することが難しくなる。
2.プレコート金属板の製造方法
本発明のプレコート金属板の製造方法は、金属板の表面にフッ素系塗料を塗布する第1工程と、フッ素系塗料を200℃以上280℃以下で焼付処理してフッ素系樹脂皮膜を形成する第2工程とを含むものである。以下、各工程について説明する。
(第1工程)
金属板の表面にフッ素系塗料を塗布する工程であって、フッ素系塗料は、主剤として水酸基、カルボキシル基およびアミノ基のうち少なくとも一種類を有するフッ素系樹脂に、硬化剤として、2個以上、好ましくは3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、さらに好ましくはイソシアネート基をブロックしたブロックドイソシアネート化合物を混合したものが好ましい。また、フッ素系塗料に天然ワックス、石油ワックス、合成ワックスまたはそれらの混合物等の潤滑剤を添加してもよい。さらには着色を目的とした染料や顔料、樹脂皮膜の硬さや耐疵付き性を高めるための各種無機充填剤、導電性添加剤などの添加剤は、本発明の請求項の内容から外れない範囲で自由に添加することができる。
ブロックドイソシアネート化合物とは、イソシアネート化合物の活性イソシアネート基が活性水素化合物等のブロック化剤によって安定化されたもので、常温では反応性がない。このブロックドイソシアネート化合物は、焼付処理等の加熱によって、ブロック化剤が解離して、活性イソシアネート基が再生され、反応性を有することとなる。ブロックドイソシアネート基のブロック化剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びtert−ブタノール等のアルコール類、フェノール、m−クレゾール及びイソオクチルフェノールおよびレゾルシノール等のフェノール類、ε−カプロラクタム類、オキシム類、アセチルアセトン、メチルエチルケトン及びエチレンクロルヒドリン等の活性メチレン化合物類ならびに亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。一方、ブロックドイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、多価アルコール変性タイプのポリイソシアネート及びビュウレット結合またはイソシアネート結合によるポリイソシアネート等もイソシアネート化合物として挙げられる。
この様にブロック化された硬化剤を使用したフッ素系塗料は、常温では硬化剤のイソシアネート基がブロックされているため、主剤の水酸基、カルボキシル基およびアミノ基と硬化剤のイソシアネート基との反応(架橋反応)は進行せず、後記する第3工程の焼付処理によってはじめて反応(架橋)して、フッ素系塗料が硬化する。したがって、フッ素系塗料を主剤と硬化剤とを混合した状態で長期間保存することが可能となると共に、フッ素系塗料を長尺の金属板へ連続塗布することが可能となり、工業的に有利となる。
フッ素系塗料の塗布は、はけ、ロールコータ、カーテンフローコータ、ローラーカーテンコータ、静電塗装機、ブレードコータ、ダイコータ等、いずれの方法で行ってもよいが、特に、塗布量が均一となると共に、作業が簡便なロールコータの使用がさらに好ましい。塗布量は、金属板の表面に厚さ0.1〜20μmのフッ素系樹脂皮膜が形成されるように、金属板の搬送速度、ロールコータの回転方向と回転速度等を考慮して、適宜設定する。
フッ素系塗料の塗布に先立って、金属板の表面を脱脂する脱脂工程を設けてもよい。例えば、金属板の表面にアルカリ水溶液をスプレーし、その後、水洗して、金属板の表面を脱脂する。さらに、前記したように、金属板とフッ素系樹脂皮膜との間に耐食性皮膜を備える場合には、脱脂工程に引き続いて、クロムイオン等を含む化成処理液を金属板の表面にスプレー等することで耐食性皮膜を形成することができる。
(第2工程)
金属板の表面にフッ素系樹脂皮膜を形成する工程であって、第1工程で塗布したフッ素系塗料を200℃以上280℃以下で焼付処理して、フッ素系塗料を硬化(架橋)させる。そして、フッ素系塗料が硬化(架橋)することによって、皮膜最表面のフッ素濃度の割合が20%以上、かつ皮膜内部のフッ素濃度の割合が15%以下のフッ素系樹脂皮膜が形成される。また、フッ素系樹脂皮膜が金属板に強固に接着する。ここで、焼付温度とは、金属板の温度のピーク温度とする。
焼付温度が200℃未満であると、フッ素系塗料の硬化(架橋)が不十分となり、焼付温度が280℃を超えると、フッ素系塗料が熱劣化(分解)するため、フッ素濃度の割合が狙っている値とすることができず、皮膜表面の粘着物剥離強度が高くなる。焼付処理時間は20〜60秒が好ましい。処理時間が20秒未満では焼付が不十分となりやすく、60秒を超えると焼付処理時間が長すぎて時間あたりの生産性が低下しやすい。また、焼付処理は、例えば、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉を用いて行う。
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、前記の製造方法に従ってプレコート金属板を作製した。プレコート金属板の各構成は以下のとおりである。
(金属板)
厚み0.5mm、JIS規定の5052−H34のアルミニウム合金板を使用した。
(耐食性皮膜)
アルミニウム合金板の両面にリン酸クロメート皮膜を形成した。リン酸クロメート皮膜の付着量はCr換算で20mg/m2であった。
(フッ素系樹脂皮膜)
リン酸クロメート皮膜の最表面にフッ素系塗料を塗布し、焼付温度(金属板のピーク温度)200、220、250、260、280℃で焼付処理を行い、皮膜厚さ5μmのフッ素系樹脂皮膜とした。ここで、フッ素系塗料としては、以下の二液混合型のフッ素系塗料を使用した。
(主剤):水酸基を有するフッ素系樹脂(重量平均分子量:176000)。
(硬化剤):3個のイソシアネート基を有するブロックドイソシアネート化合物。
(比較例1〜7)
比較例1〜4として、焼付温度125、150、170、300℃で行った以外は実施例1〜5と同様にして、プレコート金属板を作製した。また比較例、5、6として本発明とは異なるフッ素系樹脂を使用してフッ素系樹脂被覆アルミニウム板を作製した。なお被覆膜(樹脂皮膜)として使用したETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)フィルムは、そのままではアルミ板表面に接着することができなかったため、樹脂系プライマーを介してETFEフィルムをラミネートする方法を選択した。また、比較例7として、フッ素系塗料の代わりにエポキシ系塗料を使用した以外は実施例3と同様にして、プレコート金属板を作製した。
つぎに、実施例1〜5、比較例1〜7のプレコート金属板の樹脂皮膜について、樹脂皮膜の最表面及び皮膜内部におけるフッ素濃度の割合、ウレタン結合の有無を測定し、その結果を表1に示した。なお、各特性の測定方法は以下のとおりとした。
(フッ素濃度の割合)
樹脂皮膜の最表面および皮膜内部を、ESCA(島津製作所製)で測定して、フッ素、炭素、酸素、窒素およびアルミニウムの5元素の原子%を得た。これらの原子%を、各元素の原子量を使用して質量%に換算した。このうち、皮膜を構成する元素のみ、即ちフッ素質量%(F)、炭素質量%(C)、酸素質量%(O)および窒素質量%(N)だけを使用して、下式(1)でフッ素濃度の割合(A(%))を算出した。
A(%)=[F/(F+C+O+N)]×100・・・(1)
ここで、最表面については、前記で作製したプレコート金属板の表面を、そのまま測定し、皮膜内部については、アルゴンイオンスパッタリングで樹脂皮膜を厚さ方向に皮膜厚さの1/2までエッチングした後の表面を測定した。ただし、最表面および皮膜内部共に、油類等で汚染を受けていない部位を選択して測定した。
(ウレタン結合)
樹脂皮膜をFTIR(サーモ・ニコレージャパン社製)で測定し、ウレタン結合に相当する吸収ピークの有無を確認した。
つぎに、実施例1〜5、比較例1〜7のプレコート金属板の粘着物剥離性を測定、評価し、その結果を表1に示した。なお、粘着物剥離性の測定、評価方法は以下のとおりとした。
(粘着物剥離性)
粘着物剥離強度は、JISK6854−2に規定された180度剥離試験により測定した。粘着物には、コニカインクジェットペーパーフォトラベル(コニカミノルタホールディングス(株)製、品番QP10A4GMT)を使用した。また、測定条件として、長さ100mm×巾60mmのプレコート金属板、長さ100mm×巾6mmのラベルを使用し、剥離速度を50mm/minとした。なお、表1における剥離評価は、粘着物剥離強度が0.1N/6mm以下の場合に「○」で優れている、0.1N/6mmを超える場合に「×」で不良とした。
Figure 0003966520
表1の結果から、実施例1〜5のプレコート金属板は、粘着物剥離強度が小さいことが確認された。一方、比較例1〜4および比較例7のプレコート金属板は、粘着物剥離強度が高い結果となり、比較例5および比較例6のプレコート金属板は、粘着物剥離強度は低いものの、樹脂皮膜を金属板に被覆(接着)することが難しかった。
また、実施例1〜5のプレコート金属板を、光ディスクドライブのトレイ(自作CDを載せる部位)および光ディスクドライブの上カバー(自作CDをカバーする部位)にプレス加工した。その際、成形不良等の発生もなく、作製されたディスク表面には疵等の外観不良、汚れや油等の付着もなかった。さらに、実施例1〜5のプレコート金属板の摩擦係数をバウデンすべり試験にて測定した結果、摩擦係数が0.04〜0.05で、潤滑性においても極めて良好であることが確認できた。なお、摩擦係数は、3/16インチ鋼球、荷重0.5kg、すべり速度200mm/min、無塗油、金属板の圧延方向に直角に測定した。
(実施例6〜13)
次に、主剤となるフッ素系樹脂の重量平均分子量と外観に関する実施例について説明する。実施例6〜13として、前記の製造方法に従ってプレコート金属板を作製した。プレコート金属板の各構成は以下のとおりである。
(金属板)
厚み0.5mm、JIS規定の5052−H34のアルミニウム合金板を使用した。
(耐食性皮膜)
アルミニウム合金板の両面にリン酸クロメート皮膜を形成した。リン酸クロメート皮膜の付着量はCr換算で20mg/m2であった。
(フッ素系樹脂皮膜)
リン酸クロメート皮膜の最表面にフッ素系塗料を塗布し、焼付温度(金属板のピーク温度)250℃で焼付処理を行い、皮膜厚さ5μmのフッ素系樹脂皮膜とした。ここで、フッ素系塗料としては、以下の二液混合型のフッ素系塗料を使用した。
(主剤):水酸基を有するフッ素系樹脂。重量平均分子量は130000〜224000の範囲の8種類を使用。
(硬化剤):3個のイソシアネート基を有するブロックドイソシアネート化合物。
つぎに、実施例6〜13のプレコート金属板の樹脂皮膜について、表面の光沢度を測定し、その結果を表2に示した。なお、測定方法は以下のとおりとした。
(光沢度)
光沢度計(日本電色工業製)を使用し、JIS Z8741に基づく60度鏡面光沢条件にて、プレコート金属板の樹脂皮膜面の光沢度を測定した。測定は、アルミニウム合金板の圧延平行方向と圧延直角方向で測定し、平均値を算出した。
(目視外観評価)
無作為に抽出した10人に、プレコート金属板の外観を目視で観察してもらい、光沢性があると判断した人数が9人以上の場合を「光沢」、光沢性があると判断した人数が8人以下の場合を「艶消し」と評価した。
つぎに、実施例6〜13のプレコート金属板の粘着物剥離性を測定、評価し、その結果を表2に示した。なお、粘着物剥離性の測定、評価方法は、実施例1同様の方法で実施した。
Figure 0003966520
表2の結果から、実施例6〜13のプレコート金属板は、いずれも粘着物剥離強度が小さいことが確認された。
また、主剤となるフッ素系樹脂として、重量平均分子量が200000以下のものを使用した実施例6〜11のプレコート金属板の光沢度は、すべて80以上であり、目視評価でも優れた光沢性を有していた。
(a)は、自作ディスクの構成、および識別ラベルの一部が剥がれた状態を概略的に示す斜視図、(b)は、光ディスクドライブの構成を概略的に示す斜視図である。
符号の説明
10 自作ディスク
20 光ディスクドライブ
21 トレイ
22 カバー
D ディスク
L 識別ラベル
Ln 粘着部

Claims (6)

  1. 金属板と、その表面に形成されたフッ素系樹脂皮膜とを備えるプレコート金属板であって、
    前記フッ素系樹脂皮膜の最表面でのフッ素濃度の割合を下式(1)で計算したとき、その割合が20%以上であると共に、
    前記フッ素系樹脂皮膜の皮膜内部のフッ素濃度の割合を下式(1)で計算したとき、その割合が15%以下であることを特徴とするプレコート金属板。
    A(%)={F/(F+C+O+N)}×100・・・(1)
    前記式(1)において、Aはフッ素濃度の割合、Fはフッ素質量%、Cは炭素質量%、Oは酸素質量%、Nは窒素質量%である。
  2. 前記フッ素系樹脂皮膜は、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基のうち少なくとも一種類を有するフッ素系樹脂と、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とがウレタン結合、酸アミド結合および尿素結合のうち少なくとも一種類の化学結合で結合されていることを特徴とする請求項1に記載のプレコート金属板。
  3. 前記フッ素系樹脂の分子量が、重量平均分子量で20万以下であることを特徴とする請求項2に記載のプレコート金属板。
  4. 前記金属板と前記フッ素系樹脂皮膜との間に、耐食性皮膜を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  5. 前記金属板は、アルミニウム板またはアルミニウム合金板であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  6. 金属板と、その表面に形成されたフッ素系樹脂皮膜とを備える請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のプレコート金属板の製造方法であって、
    前記金属板の表面にフッ素系塗料を塗布する第1工程と、
    前記フッ素系塗料を200℃以上280℃以下で焼付処理してフッ素系樹脂皮膜を形成する第2工程とを含むことを特徴とするプレコート金属板の製造方法。
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