次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるハイブリッド式ショベルを示す側面図である。
ハイブリッド式ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
図2は、図1に示すハイブリッド式ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は実線でそれぞれ示されている。
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
コントロールバルブ17は、ハイブリッド式ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
また、旋回機構2を駆動するための旋回油圧モータ21と、旋回油圧モータ21に関連して油圧で駆動される旋回回生用油圧モータ310とがコントロールバルブ17に接続される。旋回油圧モータ21と旋回回生用油圧モータ310とは、油圧回路320を介してコントロールバルブ17に接続されるが、図2には油圧回路320は示されていない。油圧回路320に関しては後で説明する。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器としてのキャパシタを含む蓄電系120が接続される。蓄電系120には、インバータ18Bを介して旋回回生用発電機300が接続される。図2において、図示の便宜上、旋回回生用発電機300と旋回回生用油圧モータ310とは離れて示されているが、旋回回生用油圧モータ310の回転軸は旋回回生用発電機300の回転軸に機械的に接続されている。したがって、旋回回生用油圧モータ310が油圧駆動されて回転軸が回転することで、旋回回生用発電機300が駆動され、発電運転が行なわれる。旋回回生用発電機300で発電された電力は、回生電力としてインバータ18Bを経て蓄電系120に供給される。
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。 操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
コントローラ30は、ハイブリッド式ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、蓄電系120の昇降圧コンバータを駆動制御することによりキャパシタの充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタの充電状態、及び電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、旋回回生用発電機300の運転状態(発電運転)に基づいて、昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタの充放電制御を行う。ここで、キャパシタ19を例にとって説明したが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
次に、本実施形態における旋回油圧モータ21と旋回回生用油圧モータ310との駆動を制御する油圧回路320について説明する。
図3は、旋回油圧モータ21と旋回回生用油圧モータ310とが接続された油圧回路320の回路図である。油圧回路320は、コントロールバルブ17から旋回油圧モータ21のAポートに油圧を供給する油圧ライン322Aと、コントロールバルブ17から旋回油圧モータ21のBポートに油圧を供給する油圧ライン322Bとを有している。
油圧ライン322Aを介してコントロールバルブ17から旋回油圧モータ21のAポートに高圧の作動油が供給されると、旋回油圧モータ21は所定の方向に回転する。Aポートに供給された高圧の作動油は旋回油圧モータ21を駆動して低圧の作動油となり、Bポートから排出されて油圧ライン322Bを介してコントロールバルブ17に戻る。反対に、油圧ライン322Bを介してコントロールバルブ17から旋回油圧モータ21のBポートに高圧の作動油が供給されると、旋回油圧モータ21は逆方向に回転する。Bポートに供給された高圧の作動油は旋回油圧モータ21を駆動して低圧の作動油となり、Aポートから排出されて油圧ライン322Aを介してコントロールバルブ17に戻る。
コントロールバルブ17の両端には、コントロールバルブ17に供給される旋回パイロット圧を検出する圧力センサ40A,40Bが設けられている。例えば、圧力センサ40Aは旋回モータ21を左回りに回すためにコントロールバルブを動作するためのパイロット圧を検出し、圧力センサ40Bは旋回モータ21を右回りに回すためにコントロールバルブを動作するためのパイロット圧を検出する。
なお、旋回油圧モータ21の回転軸は変速機22を介して旋回機構2に接続されており、旋回油圧モータ21が駆動されることで旋回機構2が作動し、上部旋回体3を旋回させることができる。旋回油圧モータ21が一方向に回転することで、上部旋回体3を例えば右方向に旋回させることができ、旋回油圧モータ21が逆方向に回転することで、上部旋回体3を例えば左方向に旋回させることができる。
油圧ライン322Aには、リリーフバルブ324Aの油圧供給ポートが接続される。リリーフバルブ324Aの油圧開放ポートは、メイクアップ油圧ライン326に接続される。メイクアップ油圧ライン326は、作動油タンク330に戻る低圧の作動油が流れる油圧ラインである。同様に、油圧ライン322Bには、リリーフバルブ324Bの油圧供給ポートが接続される。リリーフバルブ324Bの油圧開放ポートは、メイクアップ油圧ライン326に接続される。
油圧ライン322Aの、リリーフバルブ324Aが接続された位置とコントロールバルブ17との間には、逆止弁328Aの閉止側ポートが接続される。逆止弁328Aの開放側ポートはメイクアップ油圧ライン326に接続される。すなわち、逆止弁328Aは、メイクアップ油圧ライン326から油圧ライン322Aへの作動油の流れは許容するが、油圧ライン322Aからメイクアップ油圧ライン326への作動油の流れは許容しない。
同様に、油圧ライン322Bの、リリーフバルブ324Bが接続された位置とコントロールバルブ17との間には、逆止弁328Bの閉止側ポートが接続される。逆止弁328Bの開放側ポートはメイクアップ油圧ライン326に接続される。すなわち、逆止弁328Bは、メイクアップ油圧ライン326から油圧ライン322Bへの作動油の流れは許容するが、油圧ライン322Bからメイクアップ油圧ライン326への作動油の流れは許容しない。
以上のようにリリーフバルブ324A,324B及び逆止弁328A,328Bを含む油圧回路は、旋回油圧モータ21の駆動を制御するための一般的な油圧回路である。
ここで、本実施形態では、旋回油圧モータ21のAポートの油圧を検出するために、油圧ライン322A内の油圧を検出する圧力センサ340Aが設けられる。圧力センサ340Aは、リリーフバルブ324Aが油圧ライン322Aに接続された位置と旋回油圧モータ21のAポートとの間であって、Aポートに近い位置に接続される。したがって、圧力センサ340Aで検出した油圧ライン322A内の油圧は、旋回油圧モータ21のAポートにおける油圧に等しいとみなすことができる。また、旋回油圧モータ21のBポートの油圧を検出するために、油圧ライン322B内の油圧を検出する圧力センサ340Bが設けられる。圧力センサ340Bは、リリーフバルブ324Bが油圧ライン322Bに接続された位置と旋回油圧モータ21のBポートとの間であって、Bポートに近い位置に接続される。したがって、圧力センサ340Bで検出した油圧ライン322B内の油圧は、旋回油圧モータ21のBポートにおける油圧に等しいとみなすことができる。圧力センサ340A,340Bが検出する油圧は、後述のように旋回回生用油圧モータ310の駆動を制御するために用いられる。
本実施形態では、旋回油圧モータ21に対して並列に、油圧ライン322Aと油圧ライン322Bとを接続する接続油圧ライン350が設けられる。接続油圧ライン350の途中には2つの逆止弁352A,352Bが互いに逆向きに設けられる。逆止弁352Aの閉止側ポートは油圧ライン322A側に接続され、逆止弁352Bの閉止側ポートは油圧ライン322B側に接続される。したがって、逆止弁352Aと逆止弁352Bの間の接続油圧ライン350の部分には、油圧ライン322A及び油圧ライン322Bから作動油が流れ込むことができるが、油圧ライン322A及び油圧ライン322Bに向かって作動油が流れ出ることはできない。
旋回回生用油圧モータ310は、旋回回生弁360を介してこの逆止弁352Aと逆止弁352Bの間の油圧ライン350aと、上述のリリーフバルブ324Aとリリーフバルブ324Bとの間の油圧ライン326aに接続されている。すなわち、旋回回生用油圧モータ310の一方のポート(Bポート)は、旋回回生弁360を介して、逆止弁352Aと逆止弁352Bの間の油圧ライン350aに接続可能であり、他方のポート(Aポート)は、旋回回生弁360を介して、リリーフバルブ324Aとリリーフバルブ324Bの間の油圧ライン326aに接続される。
旋回回生弁360は切替弁であり、旋回回生用油圧モータ310への油圧の供給と停止を切り替える。旋回回生弁360の切替動作は、油圧アクチュエータ362により行なわれる。油圧アクチュエータ362は電磁弁の動作により油圧でプランジャを移動するものであり、プランジャの動作により旋回回生弁360の切替動作を行なう。また、旋回回生弁360には、回生が不要な場合に、旋回回生用油圧モータ310への作動油の供給を防止するため、チェック弁が備えられている。
なお、旋回回生用油圧モータ310に並列に設けられた逆止弁370は、旋回回生用油圧モータ310への油圧供給が停止されているときに、旋回回生用油圧モータ310が空回りできるようにするためのものである。
旋回回生用油圧モータ310の回転軸は、旋回回生用発電機300の回転軸に接続されており、旋回回生用油圧モータ310に油圧が供給されて駆動されると旋回回生用発電機300が発電運転される。旋回回生用発電機300が発電した電力は、インバータ18Bを介して蓄電系120に供給され、蓄電系120の蓄電器(キャパシタ)に蓄電される。
次に、上述の油圧回路320による旋回油圧モータ21と旋回回生用油圧モータ310との駆動制御について説明する。
図4は上部旋回体3を旋回させる際に旋回油圧モータ21を駆動して加速するときの、油圧回路320内での作動油の流れを示す図である。図4に示す例では、矢印B1,B2で示すように、コントロールバルブ17から油圧ライン322Bを流れて旋回油圧モータ21のBポートに高圧の作動油が供給されている。Bポートに供給された高圧の作動油は、旋回油圧モータ21を回転させてエネルギを放出し、低圧の作動油となってAポートから排出される。旋回油圧モータ21のAポートから排出された低圧の作動油は、矢印A1,A2で示すように、油圧ライン322Aを流れてコントロールバルブ17に戻る。
この際、コントロールバルブ17から油圧ライン322Bに供給される高圧の作動油が所定の圧力以上となると、油圧ライン322Bに接続されているリリーフバルブ324Bが開き、矢印B3で示すように、高圧の作動油の一部が油圧ライン326aからメイクアップ油圧ライン326に流れるようになる。これにより、旋回油圧モータのBポートに過大な油圧が加わらないようにしている。したがって、リリーフバルブ324Bのリリーフ圧力を適切な値に設定することで、旋回油圧モータ21に加える油圧を調節している。このように高圧の作動油の一部をリリーフバルブ324Bからメイクアップ油圧ラインに326に逃がすことは、高圧にした作動油を何の仕事もさせずに低圧に戻していることであり、油圧エネルギを捨てていることとなる。本実施形態では、リリーフバルブ324Bを介して捨てている油圧エネルギを回収して電気エネルギに変換し、再利用する。油圧エネルギの回収については後述する。
また、旋回加速時に旋回油圧モータ21の駆動を開始した直後は、旋回油圧モータ21の回転数が小さいため、旋回油圧モータ21のBポートからAポートに少量の作動油しか流れることはできない。したがって、旋回油圧モータ21の駆動を開始した直後は、油圧ライン322Bには少量の作動油しか流れることができない。ところが、旋回油圧モータ21を駆動するためにコントロールバルブ17が開くと、旋回油圧モータ21を必要な回転数で駆動できるだけの量の作動油が油圧ライン322Bに流れ込もうとするため、油圧ライン322B内の油圧は急激に上昇し、リリーフバルブ324Bのリリーフ圧を越えてしまう。このため、旋回油圧モータ21の駆動を開始した直後にリリーフバルブ324Bが開き、高圧の作動油の大部分が、矢印A3で示すようにリリーフバルブ324Bを通って油圧ライン326aからメイクアップ油圧ライン326に流れるようになる。このときのリリーフバルブ324Bを介して作動油を逃がすことも、油圧エネルギを捨てていることとなる。
そこで、本実施形態では、リリーフバルブ324Bから逃がす作動油を旋回回生用油圧モータ310に導いて旋回回生用油圧モータ310を駆動することで油圧エネルギを動力に変換し、得られた動力で旋回回生用発電機300を駆動して発電する。すなわち、リリーフバルブ324Bから逃がす作動油の油圧エネルギを、旋回回生用油圧モータ310と旋回回生用発電機300とにより電気エネルギに変換し、蓄電系120に供給して再利用する。
リリーフバルブ324Bから逃がす作動油を旋回回生用油圧モータ310に導くためには、リリーフバルブ324Bから作動油が逃げているか否かを判定し、逃げていると判定されたときだけ旋回回生弁360を切り替えて油圧ライン322Bを旋回回生用油圧モータ310に繋げる必要がある。
そこで、まず、リリーフバルブ324Bから作動油が逃げているか否かの判定を、圧力センサ340Bが検出する油圧に基づいて行なう。圧力センサ340Bは油圧ライン322Bに接続された油圧ライン350の油圧(旋回回生用油圧モータ310のAポートの油圧に相当する)を検出しており、リリーフバルブ324Bが作動して油圧を逃がしているときには、圧力センサ340Bが検出する油圧は、リリーフバルブ324Bのリリーフ圧より高くなっている。そこで、圧力センサ340Bが検出した油圧が、リリーフバルブ324Bのリリーフ圧(最大リリーフ圧)より低い所定の閾値(第1の閾値TH1)を超えているかを判定し、超えている場合はリリーフバルブ324Bから作動油が逃げていると判定することができる。
このようにして、リリーフバルブ324Bから作動油が逃げていると判定されると、旋回回生弁360を切り替えて、油圧ライン322Bが旋回回生用油圧モータ310のポートに繋がるようにする。すなわち、コントローラ30は、圧力センサ340Bが検出する油圧を監視しており、圧力センサ340Bが検出した油圧が第1の閾値TH1を超えたときに旋回回生弁切替信号(電気信号)を生成し、油圧アクチュエータ362に送る。旋回回生弁切替信号が供給されると、油圧アクチュエータ362は作動して旋回回生弁360を切り替える(開いた状態とする)。これにより、矢印B4,B5,B6で示すように、油圧ライン322Bから高圧の作動油が接続油圧ライン350及び旋回回生弁360を介して旋回回生用油圧モータ310のBポートに供給される。なお、図4には、旋回回生弁360が切り替えられた状態(開いた状態)が示されている。
旋回回生弁360が切り替えられた状態(開いた状態)では、油圧ライン322Bが旋回回生用油圧モータ310のBポートに接続されるのと同時に、旋回回生用油圧モータ310のAポートは、2つのリリーフバルブ324A,324Bの間のメイクアップ油圧ライン326に接続される。したがって、旋回回生用油圧モータ310のBポートに供給された高圧の作動油は旋回回生用油圧モータ310を駆動してから低圧の作動油となってAポートから排出され、メイクアップ油圧回路326に流れる。
以上のように、旋回加速時には、圧力センサ340Bが検出した油圧が第1の閾値TH1を超えたら旋回回生弁360が切り替えられて高圧の作動油が旋回回生用油圧モータ310に供給される。これにより、旋回回生用油圧モータ310が駆動されて旋回回生油圧モータ300が発電運転を行い、得られた電力が蓄電系120に供給される。
次に、旋回減速時の油圧回路320内での作動油の流れについて説明する。図5は旋回減速時の油圧回路320内での作動油の流れを示す図である。
上部旋回体3の旋回運動を減速あるいは停止するときには、コントロールバルブ17を閉じて高圧の作動油の供給が停止される。コントロールバルブ17が閉じられると、コントロールバルブ17から作動油は供給されず、また、作動油はコントロールバルブ17に戻ることはできない。
ここで、上部旋回体3の旋回運動を減速あるいは停止するときには、旋回油圧モータ21は瞬時に減速あるいは停止することはできず、上部旋回体3や旋回機構2の慣性力により旋回油圧モータ21は回転を続けながら、徐々に回転速度が下がっていくこととなる。旋回油圧モータ21が回転を続けるためには、Bポートから作動油を吸い込み、吸い込んだ作動油をAポートら吐出しなければならない。
ここで、吸い込み側のBポートの油圧を低くし、吐出側のAポートの油圧を高くすると、旋回油圧モータ21で油圧を発生させることになり、旋回油圧モータ21で油圧エネルギをするだけの動力が消費されることとなる。この動力は旋回油圧モータ21の回転力を抑止する力となり、上部旋回体3や旋回機構2の慣性力を強制的に減少させて減速させるための制動力となる。
油圧回路320では、このような制動力を得ることができる。すなわち、コントロールバルブ17が閉じられて油圧ライン322Bへの高圧の作動油の供給が停止されると、まず、旋回油圧モータ21の回転によりBポートの油圧が低下していく。一方、コントロールバルブ17が閉じられると作動油はコントロールバルブ17に戻ることができないため、油圧ライン322A内に作動油が溜まり、Aポートの油圧は上昇していく。
Bポートの油圧(すなわち、油圧ライン322B内の油圧)が低下して、メイクアップ油圧ライン326の油圧より低くなると、逆止弁328Bが開いてメイクアップ油圧ライン326から低圧の作動油が、矢印B7に示すように逆止弁228Bを通って油圧ライン322Bに流れ込む。メイクアップ油圧ライン326から流れ込んだ低圧の作動油は、矢印B8に示すように油圧ライン322Bを流れて旋回油圧モータ21のBポートに供給される。
一方、旋回油圧モータ21のAポートから吐出される作動油は、矢印A4で示すように油圧ライン322Aに流入して溜まっていき、Aポートにおける油圧(すなわち油圧ライン322A内の油圧)は上昇していく。このAポートにおける油圧の上昇によって上述のように旋回油圧モータ21で制動力を発生することができる。
ここで、油圧ライン322Aに接続油圧ライン350が設けられていない場合(すなわち、一般的な油圧回路)、油圧ライン322A内の油圧がリリーフバルブのリリーフ圧を超えるとリリーフバルブ322Aが開き、油圧ライン322A内の高圧の作動油はリリーフバルブ324Aを通ってメイクアップ油圧ライン326に流れ込むこととなる。旋回加速時と同様に、リリーフバルブ324Aを通ってメイクアップ油圧ライン326に流れ込ませて低圧の作動油とすることは、油圧エネルギを捨てていることとなる。
そこで、本実施形態では、リリーフバルブ324Aを通ってメイクアップ油圧ライン326に流れ込む作動油を、旋回回生用油圧モータ310に導いて旋回回生用油圧モータ310を駆動し、これにより旋回回生用発電機300を発電運転して、油圧エネルギを回生電力として回収する。そのために、本実施形態では、油圧ライン322Aに接続油圧ライン350が接続されている。
上述のように旋回油圧モータ21のBポートの油圧が低下しながら、Aポートの油圧が上昇していくと、ある時点でAポートの油圧(すなわち油圧ライン322A内の油圧)がBポートの油圧(すなわち油圧ライン322B内の油圧)より高くなる。すると、油圧ライン322Aに溜まった作動油は、矢印A5で示すように接続油圧ライン350及び逆止弁352Aを流れて、逆止弁352A,352Bの間の油圧ライン350aに流れ込む。油圧ライン350aに流れ込んだ作動油は、逆止弁352Bがあるので油圧ライン322Bには流れることができず、油圧ライン350aに溜まっていくこととなる。このとき、旋回回生弁360は閉じた状態となっており、油圧ライン350aから旋回回生油圧モータ310のBポートに作動油が流れないようになっている。
旋回油圧モータ21が回転し続けると、油圧ライン322A、接続油圧ライン350及び油圧ライン350aに溜まった作動油の圧力は次第に上昇し、結局は油圧ライン322A内の油圧がリリーフバルブのリリーフ圧を超えるとリリーフバルブ322Aが開き、油圧ライン322A内の高圧の作動油はリリーフバルブ324Aを通ってメイクアップ油圧ライン326に流れ込むこととなる。
そこで、本実施形態では、圧力センサ340Aで検出した油圧ライン322A内の油圧が、リリーフバルブ324Aのリリーフ圧(最大リリーフ圧)より低い所定の閾値(第1の閾値TH1)となったら、油圧アクチュエータ362を作動させて旋回回生弁360を切り替えて開いた状態とし、油圧ライン350a内の高圧の作動油が旋回回生用油圧ポンプ310のBポートに流れるようにする。これにより、旋回油圧モータ21のAポートから吐出される高圧の作動油の大部分は、矢印A5,A6で示すように、接続油圧ライン250、逆止弁352A、油圧ライン350a、及び旋回回生弁360を通って旋回回生油圧モータ310に供給されることとなる。
旋回回生油圧モータ310のBポートに供給された高圧の作動油は、旋回回生油圧モータ310を駆動して低圧の作動油となり、Aポートから排出される。旋回回生油圧モータ310のBポートから排出された低圧の作動油は、矢印A7で示すように、旋回回生弁360を通って、リリーフ弁324Aとリリーフ弁324Bとの間のメイクアップ油圧ライン326に流れる。
以上のように、旋回減速時には、圧力センサ340Aが検出した油圧が第1の閾値TH1を超えたら旋回回生弁360が切り替えられて高圧の作動油が旋回回生用油圧モータ310に供給される。これにより、旋回回生用油圧モータ310が駆動されて旋回回生発電機300が発電運転を行い、得られた電力が蓄電系120に供給される。
次に、旋回回生弁360の切替制御及び旋回回生発電機300の動作制御について説明する。図6は、コントローラ30が行なう、旋回回生弁360の切替制御及び旋回回生発電機300の動作制御を示す制御ブロック図である。
まず、旋回回生弁360の切替制御について説明する。旋回回生弁360の切替制御では、まず、旋回油圧モータ21のAポートの圧力とBポートの圧力を検出する。そして、最大選択部401は、2つの検出値を比較して大きい方を選択する。旋回油圧モータ21のAポートの圧力とBポートの圧力は、圧力センサ340Aと圧力センサ340Bで検出する圧力に相当する。
ここで、図4に示す旋回加速時には、高圧の作動油が旋回油圧モータ21のBポートに供給され、低圧の作動油となってAポートから排出される。したがって、旋回油圧モータ21が図4に示す方向に回転する場合で、旋回油圧モータ21のBポートの圧力のほうがAポートの圧力より大きい場合は、旋回油圧モータ21は、加速中であると判定することができる。一方、旋回油圧モータ21が図5に示す方向に回転する場合で、旋回油圧モータ21のAポートの圧力のほうがBポートの圧力より大きい場合は、旋回油圧モータ21は減速中であると判定することができる。
旋回油圧モータ21の回転方向は、上部旋回体3の旋回方向により決まる。したがって、例えば操作装置26でのレバー操作を検出することで、現在、上部旋回体3がどちらの方向に旋回しているかを判定することができ、これにより旋回油圧モータ21がどちらの方向に回転しているかを判定することができる。
そこで、旋回油圧モータ21の回転方向に基づいて、例えば旋回油圧モータ21が図4に示す方向に回転していると判定され、且つBポートの圧力のほうがAポートの圧力より大きい場合は旋回加速中であると判定される。そして、閾値比較部402は、最大選択部401が選択したBポートの圧力と第1の閾値TH1とを比較する。そして、圧力センサ340Bが検出したBポートの圧力が、リリーフ最大圧よりやや低めの値に設定された第1の閾値TH1を超えたら、閾値比較部402は、リリーフバルブ324Bが開いていると判定して、旋回回生弁開口信号を油圧アクチュエータ326に供給する。これにより、旋回回生弁360は開いた状態に切り替えられ、旋回回生用油圧モータ310が駆動され、旋回回生が行なわれる。
一方、例えば旋回油圧モータ21が図5に示す方向に回転していると判定され、且つAポートの圧力のほうがBポートの圧力より大きい場合は、旋回減速中であると判定される。そして、閾値比較部402は、圧力センサ340Aが検出したAポートの圧力と第1の閾値TH1とを比較する。そして、圧力センサ340Aが検出した圧力が第1の閾値TH1を超えたら、閾値比較部402は、リリーフバルブ324Aが開いていると判定して、旋回回生弁開口信号を油圧アクチュエータ326に供給する。これにより、旋回回生弁360は開いた状態に切り替えられ、旋回回生用油圧モータ310が駆動され、旋回回生が行なわれる。
ここで、第1の閾値TH1は、リリーフバルブ324A,324Bのリリーフ圧(最大リリーフ圧)より小さな値に設定される。リリーフバルブ324A,324Bのリリーフ圧とは、リリーフ最大圧であり、実際はリリーフ最大圧よりも低い圧力でリリーフバルブ324A,324Bは開き始める。すなわち、リリーフ圧(リリーフ最大圧)となるときには、リリーフバルブ324A,324Bは完全に開いている状態であり、すでに多量の作動油がリリーフバルブ324A,324Bから放出されている。そこで、本実施形態では、第1の閾値TH1をリリーフ圧より低い値に設定し、リリーフバルブ324A,324Bが開き始めた時点の近くから旋回回生弁360を切り替えるようにしている。
上述のように旋回回生弁開口信号が油圧アクチュエータ326に対して出力されると、油圧アクチュエータ326が作動して旋回回生弁360を開いた状態に切り替える。これにより旋回回生用油圧モータ310に油圧が供給されて回転し始め、旋回回生用発電機300も回転し始める。
ここで、旋回回生用発電機300は、発電運転を行なわないときには、出力トルクはゼロとする必要があるので、ゼロトルク制御に基づいてより制御される。すなわち、旋回回生用発電機300による発電を行なわないときには、旋回回生用発電機300には0トルク指令が入力されており、旋回回生用発電機300は停止しているか、あるいは回転していても空回りしている状態となる。
例えば図4に示すように旋回回生用油圧モータ310のBポートに油圧が供給されて回転しているときには、旋回回生用発電機300は発電運転を行なうことができる状態である。そこで、旋回回生用発電機300を発電運転状態に切り替える必要がある。旋回回生用発電機300が発電運転を行なうときには、旋回回生用発電機300を速度制御する必要があり、旋回回生用発電機300の制御をゼロトルク制御から速度制御に切り替える必要がある。
そこで、図6に示すように、発電判定部403は、旋回油圧モータ21のBポートの圧力とAポートの圧力のいずれか大きい方の圧力を監視し、大きい方の圧力が所定の閾値(第2の閾値TH2)を超えたら、旋回油圧モータ21が油圧駆動されており旋回回生用発電機300により発電できる状態であると判定して、旋回回生用発電機300の制御をゼロトルク制御から速度制御に切り替えるための切替信号を出力する。
すなわち、発電判定部403は、旋回油圧モータ21のBポートの圧力とAポートの圧力のいずれか大きい方の圧力が、閾値TH2以下の場合は"0"信号を出力し、閾値TH2を超えている場合は"1"信号を出力する。そして、制御切替部408は、発電判定部403からの信号が"0"信号である場合は(すなわち、旋回回生弁360が閉じられ状態)、旋回回生用発電機300がゼロトルク制御で制御されるように、0トルク制御部406からの信号に切り替える。一方、発電判定部403からの信号が"1"信号である場合は、制御切替部408は、旋回回生用発電機300が速度制御で制御されるように、速度制御部407からの信号に切り替える。0トルク制御部406からの信号、又は速度制御部407からの信号は、制限器409に供給される。
ここで、第2の閾値TH2は、上述の第1の閾値TH1より僅かに低い値とすることが好ましい。旋回油圧モータ21のBポートの圧力とAポートの圧力のいずれか大きい方の圧力が第1の閾値TH1となると、上述のように旋回回生用油圧モータ310が回転を始め、これにより旋回回生用発電機300も回転し始める。したがって、この時点ではすでに旋回回生用発電機300が速度制御されている状態に切り替えておくことが好ましい。そこで、旋回油圧モータ21のBポートの圧力とAポートの圧力のいずれか大きい方の圧力が、第1の閾値TH1より低い第2の閾値TH2となった時点で、ゼロトルク制御から速度制御に切り替えておくことで、旋回回生用発電機300が回転し始める直前に速度制御に切り替えておくことができる。旋回回生用発電機300が回転し始めると速度制御による発電制御が始まるので、切替制御と発電制御の開始とが同時に行なわれたときに制御が不安定となるおそれがあるが、旋回回生用発電機300が回転し始める直前に速度制御に切り替えておくことにより、このような制御上の問題を回避することができる。
一方、旋回回生用発電機300の速度制御では、旋回回生用発電機300が回転し始めた時点から、旋回回生用発電機300に速度指令を与えて旋回回生用発電機300の回転速度を制御することにより発電制御を行なう。したがって、速度制御では、まず、速度指令算出部404は、旋回油圧モータ21のBポートの圧力とAポートの圧力のいずれか大きい方の圧力が第1の閾値TH1となった時点で適当な速度値を算出し、減算部405に出力する。ここで、速度指令算出部404が生成する速度値(指令値)は段階状に与えられ、例えば、最大速度のN%に設定される。減算部405は、速度指令算出部404から供給された速度値から、旋回回生用発電機300の速度を検出した速度値を減算して求めた速度値を速度制御部407に供給する。速度制御部407は、減算部405から供給される速度値を、旋回回生用発電機300の速度指令値として設定する。したがって、制御切替部408が速度制御に切り替えられたときには、速度制御部407からの速度指令値が、制限器409に供給される。制限器409からは、減算部405での算出された速度偏差、すなわち、速度指令値が正の値の場合に、0の発電機制御電流指令値が出力される。また、速度指令値が負の値の場合には、速度指令値に対応した発電機制御電流指令値が制限器409より出力される。すなわち、発電機制御電流指令値は、速度指令値の符号に応じて制限器409により制限される。
このように、旋回回生用発電機300の回転速度が予め設定された速度指令(回転数:N%)に達した時点で発電が開始され、予め設定された速度指令(回転速度)が維持されるように発電量を制御する。すなわち、旋回回生用発電機300の回転速度が予め設定された速度指令(回転速度)を維持するように、旋回回生用発電機300から出力される電流値を制御する。
以上のように旋回回生弁360の切替制御と旋回回生用発電機300の発電制御を行なうことで、旋回加速時及び旋回減速時にリリーフバルブから放出されるべき油圧を旋回回生用油圧モータ310に導き、旋回回生用発電機300により発電を行なって旋回回生電力を得ることができる。
次に、上述のように旋回回生用発電機300により旋回回生電力を得る際の各部の動作について図7を参照しながら説明する。
ハイブリッド式ショベルの上部旋回体3がブーム上げ右旋回を行ない、その後ブーム下げ左旋回を行なった場合について説明する。まず、時刻t1において上部旋回体3が右旋回方向に加速し始め、図7(a)に示すように、旋回速度は次第に大きくなる(右旋回速度を正の値とする)。上部旋回体3が目標旋回停止位置に近づくと、時刻t2において減速が開始され、旋回速度は次第に小さくなり、時刻t6において上部旋回体3の旋回運動は停止する。
以上の右旋回動作の際、旋回油圧モータ21のBポートでの圧力とAポートでの圧力は以下のように変化する。まず、旋回加速が開始された時刻t1では、コントロールバルブ17が開いて高圧の作動油が油圧ライン322Bに供給され、高圧の作動油は旋回油圧モータ21のBポートに流れるため、図7(b)の点線で示すように、Bポートの圧力が急激に上昇する。ブーム上げ旋回動作では、旋回とともにブーム上げが行なわれるため、ブーム上げに油圧が使用されるので、コントロールバルブ17から油圧ライン322Bに供給される作動油の量はそれほど多く無く、Bポートの圧力は第2の閾値TH2を超えない程度である。ただし、多量の高圧の作動油が油圧ライン322Bに供給された場合は、Bポートの圧力が第2の閾値TH2及び第1の閾値TH1を超える場合もあり得る。そのような場合には、旋回回生用油圧モータ310に高圧の作動油が供給され、後述のように旋回回生が行なわれることもある。ここで、旋回回生弁360にはチェック弁が備えられているので、Bポート圧力が第1の閾値TH1に到達するまでは、旋回回生用油圧モータ310への作動油の供給が防止される。このため、高圧の作動油を旋回油圧モータ21へ供給することができる。
時刻t2より手前で旋回加速は停止され、旋回減速が開始される。旋回減速が開始されると、油圧ライン322Bに供給されていた高圧の作動油の供給は停止され、図7(b)の点線で示すように、旋回油圧モータ21のBポートの圧力は低下し、時刻t2において所定の低圧(メイクアップ圧力)となる。一方、旋回油圧モータ21のAポートの圧力は、図7(b)の実線で示すように、時刻t1から時刻t2までの間はメイクアップ圧であるが、旋回減速が開始されてコントロールバルブ17が閉じられるため、旋回油圧モータ21の速度が低下し始める時刻t2において急激に上昇し、第2の閾値TH2を超え、さらに第1の閾値TH2及び第3の閾値TH3も超えた圧力となる。
時刻t2において旋回油圧モータ21のBポートの圧力が上昇して第2の閾値TH2を超えると、発電判定部403から信号"1"が制御切替部404に出力され、旋回回生用発電機300の制御がゼロトルク制御から速度制御に切り替えられる。旋回回生用発電機300の制御がゼロトルク制御から速度制御に切り替えられると、図7(d)の点線で示すように、旋回回生用発電機300の速度指令値(回転数指令値)がゼロから所定の値(N%)になり、発電を行なう準備が整う。
また、時刻t2において旋回油圧モータ21のBポートの圧力が上昇して第1の閾値TH1を超えると、図7(c)に示すように、閾値比較部402から旋回回生弁開口信号が出力され、旋回回生弁360が開口する。これにより、旋回回生用油圧モータ310のBポートに油圧が供給され、旋回回生用油圧モータ310が回転を始めて、旋回回生用油圧モータ310に連結された旋回回生用発電機300も回転し始める。
さらに、時刻t2において旋回油圧モータ21のBポートの圧力が上昇して第3の閾値TH3を超えると、速度指令算出部404から指令値(N%)が出力される。ところが、旋回回生用発電機300の速度は、図7(d)の実線で示すように時刻t2から徐々に上昇していくため、時刻t3までは、速度制御部407からの発電指令は発電を指示する負の値にはならない。このため、制限器409より出力される発電機制御電流指令値は0となる。したがって、時刻t1から時刻t3までの間は、旋回回生用発電機300は発電することができない。
時刻t3になると、旋回回生用発電機300の回転数が速度指令算出部404からの指令値を上回るようになり、減算部405で演算されて速度制御部407から出力される速度指令値は負の値となる。そして、速度指令値に応じた発電機制御電流指令値が制限器409より出力される。これにより、図7(e)に示すように、時刻t3において旋回回生用発電機300が発電を開始し、発電電力が得られる。
時刻t2で上昇した旋回油圧モータ21のBポートの圧力は、時刻t3を過ぎて時刻t4となると、第3の閾値TH3まで下降し、その後、第3の閾値TH3より僅かに低い閾値TH1まで下降して、時刻t5まで閾値TH1を維持する。したがって、時刻t4以降は、旋回油圧モータ21のBポートの圧力が第3の閾値TH3より低くなるので、速度指令算出部404から出力される指令値はN%からゼロに変化する)。これにより、速度制御部407から出力される速度指令値は急激に上昇する(負の値が大きくなる)ため、図7(e)に示すように、旋回回生用発電機300の発電電力は時刻t4において急激に上昇する。
ところが、時刻t4を過ぎてから時刻t5までの間に、旋回油圧モータ21のBポートの圧力は減少してゼロになり、これに伴って図7(d)に示すように、旋回回生用発電機300の回転数は、時刻t4から時刻t5までの間に減少し、時刻t5においてゼロとなる。したがって、旋回回生用発電機300の発電電力は時刻t4において急激に上昇した後時刻t5まで減少し、時刻t5でゼロとなる。
時刻t5を過ぎてから、時刻t6で旋回油圧モータ21のBポートの圧力はゼロとなり、これにより旋回回生用発電機300が停止して発電電力はゼロとなる。
なお、時刻t2直後は多量の作動油が旋回回生弁360を通過して旋回回生モータ310に流れようとする。ここで、時刻t4において、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が第3の閾値まで減少すると、速度制御部404からの指令値は"0"となる。このため減算部405で減算された速度指令値はより小さな値(大きな負の値)となり、制限器409より出力される発電機制御電流指令値はより小さな電流値(大きな負の値)となる。このように、第3の閾値まで低下した時点で、油圧旋回回生用発電機300の回転数をゼロに近くしておくことで、旋回回生用発電機300の慣性による回転を抑制し、より大きな発電電力を得ることができる。また、仮に、時刻t4において、旋回回生弁360が完全に閉じられたときに旋回回生用発電機300に連結された旋回油圧モータ310が大きく回転していると、旋回油圧モータ310の入力側(この場合Bポート)の圧力が大きく負圧となり、キャビテーションが発生してしまうおそれがある。このため、旋回回生弁360を開閉させる閾値よりも、旋回回生用発電機300を停止させるための閾値を大きくすることで、旋回回生用発電機300の回転中は、旋回回生弁360の開口が維持されるようにすることができる。
その後、時刻t5までは、Aポートの圧力は第3の閾値と第1の閾値との間の圧力値となる。そして、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が第1の閾値まで減少した時刻t5において、閾値比較部402は旋回回生弁開口信号"0"を出力し、旋回回生用発電機300を速やかに停止させる。
以上で、ブーム上げ右旋回動作による回生電力の取得が終了する。その後、時刻t7において、今度はブーム下げ左旋回動作が行なわれ、この動作においても回生電力の生成が行なわれる。
時刻t7において上部旋回体3が左旋回方向に加速し始め、旋回速度は次第に大きくなる(左旋回速度を負の値とする)。上部旋回体3が目標旋回停止位置に近づくと、時刻t10の手前において減速が開始され、時刻t10から旋回速度は次第に小さくなり、時刻t14において上部旋回体3の旋回運動は停止する。ブーム下げ旋回動作では、ブームを下げる力はブーム4の自重によるところが大きく、コントロールバルブ17に供給される油圧のほとんどが、旋回動作に用いられる。このため、コントロールバルブ17から油圧ライン322Aに多量の作動油が供給され、油圧ライン322Aの圧力(すなわち、旋回油圧モータ21のAポートに供給される油圧)が急激に上昇してリリーフ弁324Aのリリーフ圧を超えようとする。
ところが、時刻t7において、旋回油圧モータ21のAポートに供給される油圧が第1の閾値TH1を超えると、閾値比較部402から旋回回生弁開口指令が出力され、図7(c)に示すように旋回回生弁360が開口する。これにより、旋回回生用油圧モータ310のBポートに油圧が供給され、旋回回生用油圧モータ310が回転を始めて、旋回回生用油圧モータ310に連結された旋回回生用発電機300も回転し始める。
また、時刻t7において旋回油圧モータ21のAポートの圧力が上昇して第3の閾値TH3を超えると、速度指令算出部404から指令値(N%)が出力される。ところが、旋回回生用発電機300の速度は、図7(d)の実線で示すように時刻t7から徐々に上昇していくため、時刻t3までは、速度制御部407からの発電指令は発電を指示する負の値にはならない。したがって、時刻t7から時刻t8までの間は、旋回回生用発電機300は発電することができない。
時刻t8になると、旋回回生用発電機300の回転数が速度指令算出部404からの指令値を上回るようになり、減算部405で演算されて速度制御部407から出力される速度指令値は負の値となる。これにより、図7(e)に示すように、時刻t3において旋回回生用発電機300が発電を開始し、発電電力が得られる。
旋回油圧モータ21のAポートの圧力は、時刻t8を過ぎたところから、上昇から下降に転じ、時刻t9を過ぎて時刻10においてゼロとなる。ここで、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が減少しはじめてから時刻t9になると、旋回油圧モータ21のAポートの圧力は第3の閾値にまで減少し、その後さらに減少して第1の閾値に維持される。したがって時刻9において、図7(d)に示すように、速度指令算出部404から出力される指令値がN%からゼロに切り替わり、そのため、速度制御部407から出力される速度指令値は急激に上昇する。これにより、図7(e)に示すように、時刻t9において旋回回生用発電機300の発電電力は増大し、その後、旋回回生用発電機300の回転数がゼロとなる時刻t10の手前で減少して、時刻t10においてゼロとなる。
なお、時刻t7直後は多量の作動油が旋回回生弁360を通過して旋回回生モータ310に流れようとする。ここで、時刻t9において旋回油圧モータ21のAポートの圧力が第3の閾値となると、速度制御部404からの指令値は"0"となる。このため減算部405で減算された速度指令値はより小さな値(大きな負の値)となり、制限器409より出力される発電機制御電流指令値はより小さな電流値(大きな負の値)となる。このように、第3の閾値まで低下した時点で、油圧旋回回生用発電機300の回転数をゼロに近くしておくことで、旋回回生用発電機300の慣性による回転を抑制し、より大きな発電電力を得ることができる。また、仮に、時刻t9において、旋回回生弁360が完全に閉じられたときに旋回回生用発電機300に連結された旋回油圧モータ310が大きく回転していると、旋回油圧モータ310の入力側(この場合Bポート)の圧力が大きく負圧となり、キャビテーションが発生してしまうおそれがある。このため、旋回回生弁360を開閉させる閾値よりも、旋回回生用発電機300を停止させるための閾値を大きくすることで、旋回回生用発電機300の回転中は、旋回回生弁360の開口が維持されるようにすることができる。
その後、時刻t10までは、Aポートの圧力は第3の閾値と第1の閾値との間の圧力値となる。そして、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が第1の閾値まで減少した時刻t10において、閾値比較部402は旋回回生弁開口信号"0"を出力し、旋回回生用発電機300を速やかに停止させる。
なお、旋回油圧モータ21のAポートの圧力は、減少していく途中で時刻t10を過ぎた直後に、第1の閾値に達し、それ以後も低下してゼロになる。したがって、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が、時刻t10を過ぎた直後に第1の閾値に達した時点で、発電制判定部403からの出力される信号が、"0"に切り替わる。これにより、制御切替部408は、旋回回生用発電機300の制御を、速度制御からゼロトルク制御に切替える。ゼロトルク制御では、旋回回生用発電機300は発電を行なわず、空回りすることができるようになる。
その後、時刻t11より手前で旋回加速は停止され、旋回減速が開始される。旋回減速が開始されると、油圧ライン322Aに供給されていた高圧の作動油の供給は停止され、図7(b)の点線で示すように、旋回油圧モータ21のAポートの圧力は低下し、時刻t11において所定の低圧(メイクアップ圧力)となる。一方、旋回油圧モータ21のBポートの圧力は、図7(b)の実線で示すように、時刻t7から時刻t11までの間はメイクアップ圧である。ところが、時刻t11より僅かに手前で旋回減速が開始されてコントロールバルブ17が閉じられるため、旋回油圧モータ21の速度が低下し始める時刻t11において、旋回油圧モータ21のBポートの圧力は急激に上昇し、第2の閾値TH2を超え、さらに第1の閾値TH2及び第3の閾値TH3も超えた圧力となる。
ここで、時刻t11において、旋回油圧モータのBポートの圧力が急激に上昇して、第2の閾値を超えると、発電判定部403から信号"1"が制御切替部404に出力され、旋回回生用発電機300の制御がゼロトルク制御から速度制御に切り替えられる。
旋回回生用発電機300の制御がゼロトルク制御から速度制御に切り替えられると、図7(d)の点線で示すように、旋回回生用発電機300の速度指令値(回転数指令値)がゼロから所定の値(N%)になり、発電を行なう準備が整う。
また、時刻t11において旋回油圧モータ21のBポートの圧力が上昇して第1の閾値TH1を超えると、図7(c)に示すように、閾値比較部402から旋回回生弁開口信号が出力され、旋回回生弁360が開口する。これにより、旋回回生用油圧モータ310のBポートに油圧が供給され、旋回回生用油圧モータ310が回転を始めて、旋回回生用油圧モータ310に連結された旋回回生用発電機300も回転し始める。
さらに、時刻t11において旋回油圧モータ21のBポートの圧力が上昇して第3の閾値TH3を超えると、速度指令算出部404から指令値(N%)が出力される。ところが、旋回回生用発電機300の速度は、図7(d)の実線で示すように時刻t11から徐々に上昇していくため、時刻t12までは、速度制御部407からの発電指令は発電を指示する負の値にはならない。したがって、時刻t12から時刻t13までの間は、旋回回生用発電機300は発電することができない。
時刻t12になると、旋回油圧モータ21のBポートの圧力が第1の閾値TH1 まで下がり、その後時刻t13まで、Bポートの圧力は第1の閾値TH1を維持する。ここで、上部旋回体3の旋回速度は時刻t11から減少しているので、旋回回生用発電機300の速度は、図7(d)の実線で示すように時刻t12から徐々に下降して時刻t13においてゼロとなる。
一方、時刻t11で上昇した旋回油圧モータ21のBポートの圧力は、時刻t11から減少し始め、時刻t12となると、閾値TH3まで下降し、その後、第3の閾値TH3より僅かに低い第1の閾値TH1まで下降して、時刻t13まで第1の閾値TH1を維持する。したがって、時刻t12以降は、旋回油圧モータ21のBポートの圧力が第3の閾値TH3より低くなるので、速度指令算出部404から出力される指令値はN%からゼロに変化する。これにより、旋回回生用発電機300回転数は減少しているのにもかかわらず、速度制御部407から出力される速度指令値は急激に上昇する(N%がゼロとなった分だけ負の値が大きくなる)ため、図7(e)に示すように、旋回回生用発電機300の発電電力は、時刻t12において急激に上昇し、その後一定値となってから次第に減少し、上部旋回体3の旋回動作が停止する時刻t13においてゼロとなる。
なお、時刻t11直後は多量の作動油が旋回回生弁360を通過して旋回回生モータ310に流れようとする。ここで、時刻t12において、旋回油圧モータ21のAポートの圧力が第3の閾値となると、速度制御部404からの指令値は"0"となる。このため減算部405で減算された速度指令値はより小さな値(大きな負の値)となり、制限器409より出力される発電機制御電流指令値はより小さな電流値(大きな負の値)となる。このように、第3の閾値まで低下した時点で、油圧旋回回生用発電機300の回転数をゼロに近くしておくことで、旋回回生用発電機300の慣性による回転を抑制し、より大きな発電電力を得ることができる。また、仮に、時刻t12において、旋回回生弁360が完全に閉じられたときに旋回回生用発電機300に連結された旋回油圧モータ310が大きく回転していると、旋回油圧モータ310の入力側(この場合Aポート)の圧力が大きく負圧となり、キャビテーションが発生してしまうおそれがある。このため、旋回回生弁360を開閉させる閾値よりも、旋回回生用発電機300を停止させるための閾値を大きくすることで、旋回回生用発電機300の回転中は、旋回回生弁360の開口が維持されるようにすることができる。
その後、時刻t13までは、Bポートの圧力は第3の閾値と第1の閾値との間の圧力値となる。そして、旋回油圧モータ21のBポートの圧力が第1の閾値まで減少した時刻t13において、閾値比較部402は旋回回生弁開口信号"0"を出力し、旋回回生用発電機300を速やかに停止させる。
以上のように、本実施形態によれば、旋回加速時には、圧力センサ340Bが検出した油圧が第1の閾値TH1を超えたら旋回回生弁360が切り替えられて高圧の作動油が旋回回生用油圧モータ310に供給される。これにより、旋回回生用油圧モータ310が駆動されて旋回回生油圧モータ300が発電運転を行い、得られた電力が蓄電系120に供給される。また、旋回加速時には、圧力センサ340Aが検出した油圧が第1の閾値TH1を超えたら旋回回生弁360が切り替えられて高圧の作動油が旋回回生用油圧モータ310に供給される。これにより、旋回回生用油圧モータ310が駆動されて旋回回生油圧モータ300が発電運転を行い、得られた電力が蓄電系120に供給される。
なお、図3において、旋回回生用油圧モータ310への油圧供給が停止されているときに、旋回回生用油圧モータ310が空回りできるようにするために、逆止弁370を旋回回生用油圧モータ310に並列に設けているが、他の構成としてもよい。
図8は、逆止弁370の代わりに切替弁380を設けた場合の油圧回路の回路図である。切替弁380は、旋回回生弁360が閉じているときに、旋回回生用油圧モータ310のAポートとBポートを短絡する切替弁である。旋回回生弁360を閉じるために油圧アクチュエータ362に供給されるパイロット油圧が切替弁380にも供給されて、切替弁380は開いた状態となり、旋回回生用油圧モータ310のAポートとBポートが短絡される。
図9は、逆止弁370の代わりに切替弁380を設け、且つ旋回回生弁360を変更した場合の油圧回路の回路図である。図8と同様に切替弁380は、旋回回生弁360が閉じているときに、旋回回生用油圧モータ310のAポートとBポートを短絡する切替弁である。さらに、図9に示す例のように、旋回回生弁390が3位置に切替え可能な切替弁で構成することもできる。