JP5123024B2 - 走行作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、ホイールローダなどの走行作業車両に関し、特に、走行作業車両における駆動源として、エンジンからの動力と電動機からの動力とを組み合わせてハイブリッド化を図った走行作業車両に関する。
ホイールローダなどの走行作業車両では、エンジンを駆動源としてブーム、バケットなどの作業機と、車輪などの走行体とが作動される構成が、従来から一般的な構成として知られている。そして、例えば、ホイールローダでは、走行上の起動停止パターンと作業機による土砂のすくい込みパターンと土砂持ち上げ及び排土等のパターンとを組合せた使われ方がされている。しかも、これらの組み合わせたパターンは、短い時間サイクル内において繰り返し行われることになる。
その結果、動力源としてのエンジンは、激しい変動負荷に合わせて制御されることになるため、エンジン出力トルクとエンジン回転数とが頻繁に調整されることになる。しかも、激しい変動負荷に合わせて、エンジン回転数とエンジン出力トルクとを調整せざるを得なくなり、燃費の悪化や排気ガスを抑制することに対しての妨げになっている。
これに対し、近年では、走行作業車両の駆動源としてのエンジンからの動力と電動機からの動力とを組み合わせてハイブリッド化を図り、エンジンに加わる負荷変動を抑える試みが行われている。
ハイブリッド化を図った走行作業車両としては、従来のホイールローダでは、エンジン出力をトルクコンバータやHST回路を介して、作業機用ポンプと走行用トランスミッションとに動力配分する構成であったのに対して、特に要求動力が大きな走行側のみを電動化したハイブリッド式建設車両(特許文献1参照。)が提案されている。また、作業機用の動力源とした電動モータと走行用の動力源とした電動モータとをそれぞれ別個に設けたハイブリッド駆動式のホイール系作業車両(特許文献2参照。)なども提案されている。
更に、エンジンからの出力を変速する無段階変速機を、2台の電動モータと3つの遊星減速機とによって構成し、低速から高速までの要求通りに、動力の切り替えを可能とした電気機械式トランスミッション(特許文献3参照。)や、エンジンの出力軸上に発電機としても作用する2つの電動モータを配置し、前記2つの電動モータと1つの遊星減速機とによって無段階変速機を構成したハイブリッド型車両(特許文献4参照)などが提案されている。
特許文献1に記載されたハイブリッド式建設車両を、本発明に係わる従来例1として、図9にはハイブリッド式建設車両の全体構成図を示している。図9に示すように、エンジン50から出力された動力は、動力分配機構55を介して分配され、作業機アクチュエータ用の油圧ポンプ51と電気エネルギーに変換する発電機52とを駆動している。
発電機52により発電された電気エネルギーは、バッテリ54に充電されるとともに、バッテリ54からの電力が、走行動力としてのモータ53に供給される構成になっている。そして、バッテリ54を電気エネルギーモードにおいてバッファとして機能させることができるので、建設車両の走行時に要求される激しい動力の変動負荷を、バッテリ54によって吸収することができる。従って、エンジン50の出力変動を平準化することができる。また、エンジン50の出力軸にクラッチ56を設けておくことで、アイドリングストップを行わせることも可能にしている。
特許文献2に記載されたハイブリッド駆動式のホイール系作業車両を、本発明に係わる従来例2として、図10にはハイブリッド駆動式のホイール系作業車両の全体構成図を示している。図10に示すように、作業機用の動力源とした電動モータ61と走行用の動力源とした電動モータ62とをそれぞれ別個に設けている。エンジン60からの駆動エネルギーは、発電機63によって電気エネルギーに変換されて、バッテリ64に充電される。そして、電動モータ61と電動モータ62とは、バッテリ64に充電された電気エネルギーによって駆動される。
このように、作業機用の電動モータ61と走行用の電動モータ62とを、全く独立した動力源としてそれぞれ制御することができるので、運転条件に係わらず、必要な動力のみをバッテリ64から取り出して使うことができる。そして、エンジン60を、燃費の点においても、また排ガスの点においても、最適な条件下で運転させることが可能になる。また、作業機からの回生エネルギーも、走行動力からの回生エネルギーも、電動モータ61、62をそれぞれ発電機として働かせることにより、バッテリ64に蓄えておくことができる。
特許文献3に記載された電気機械式トランスミッションを、本発明に係わる従来例3として、図11には電気機械式トランスミッションの全体構成図を示している。図11に示すように、エンジン70からの動力は、無段階変速機を介して出力シャフト71から取り出され、車両を走行させる動力として使用される。無段階変速機は2台の発電電動モータ72、73と3つの遊星減速機74、75、76とによって構成されており、車両を低速走行から高速走行まで、要求通りの速度切り替えが可能となっている。
特許文献4に記載されたハイブリッド型車両を、本発明に係わる従来例4として、図12にはハイブリッド型車両の全体構成図を示している。図12に示すように、エンジン80の出力軸81上に発電機としても作用する2つの電動モータ82、83を配置し、2つの電動モータ82、83と1つの遊星減速機84とによって無段階変速機を構成している。
このように構成されているので、エンジン回転数を一定に維持したモードのままで、ハイブリッド型車両が前後進を行う時の加減速制御を、2つの電動モータ82、83の制御によって自在に制御することが可能となる。
特開2005−133319号公報 特開2006−233843号公報 特開2000−108693号公報 特開平05−281542号公報
ホイールローダの様な走行作業車両では、掘削時には非常に大きな走行動力が要求されている。即ち、掘削時には低速走行を行いつつ、大トルクによる大きな牽引力が要求されている。そこで、特許文献1、2に示したハイブリッド式建設車両やホイール系作業車両において、低速走行を行いつつ、大きな牽引力を得ようとすると、電動モータを大型化することが避けられない。
更に、大トルクの要求を満たすためには、電動モータにおける回転子の構成として、軸方向の寸法に比べて径方向の寸法を大型化することが望ましい構成となる。しかし、一方において走行作業車両の巡航走行時においては、電動モータを高速回転させることが必要となり、そのためには、電動モータの回転子を軸方向に長く、かつ径方向の寸法を小さく構成しておくことが望ましい構成となる。
このように、モータ設計上において互いに相反する背反事情が発生してしまう。従って、特許文献1、2に示したハイブリッド式建設車両やホイール系作業車両では、低速時において大トルクの取り出しを優先させると、逆に、巡航走行時において最高速度を満たすことが困難になってしまう問題を抱えている。
即ち、特許文献1のハイブリッド式建設車両では、走行動力が単一の電動モータ53によって、まかなわれる構成となっている。このため、電動モータ53としては、低速時には大きなトルクを出力させることができ、高速走行時には高速回転を行わせることができるといった、両方の特性を有しなければならなくなる。この両方の特性を満足させるためには、電動モータ53としては、非常に大きな構成にしておかなければならないことになる。
また、特許文献2のホイール系作業車両では、特許文献1のハイブリッド式建設車両の場合と同様に、走行動力用モータを大きく構成しておかなければならない。しかも、作業機用としても電動モータ61を別個に配置しているので、作業機を駆動する時以外は全く使用されない電動モータ61が搭載されることになる。更に、電動モータ61、62を搭載するスペースを広く構成しておくことが必要となる。
更にまた、特許文献2のホイール系作業車両では、エンジン60からの駆動出力の全てを、発電機63によって電気エネルギーに変換して、バッテリ64に充電している。そして、バッテリ64に充電された電力を、作業機操作用の電動モータ61や走行用の電動モータ62の駆動用の電力として活用する構成になっている。このため、システム全体におけるエネルギー活用効率という面から特許文献2のホイール系作業車両を見ると、システム全体におけるエネルギーの活用効率が低下してしまうという問題が生じている。しかも、この問題は、無視しておくことができないくらいの大きな問題になっている。
これら特許文献1、2に示したハイブリッド式建設車両やホイール系作業車両における問題を解決する手段として、特許文献3、4で示したような、エンジンからの駆動動力に電動モータからの動力を組み合わせた無段階変速機が提案されている。
特許文献3に示した電気機械式トランスミッションを備えた走行作業車両では、最も頻繁に使われる低速域から中速域においてクラッチ係合を行うことが避けられず、ギアシフトを行う度ごとにクラッチ係合回数が多くなってしまう。また、作業時にも頻繁にクラッチ係合が行われるので、変速ショックに加えて、クラッチの寿命の悪化が発生してしまう。あるいは、クラッチの寿命の悪化を防止するためには、クラッチの大型化が避けられないことになる。
特許文献4に示したハイブリッド型車両では、ハイブリッド型車両で高速巡航の運転を行う際に、搭載される電動モータ82、83の回転数が非常に大きくなり過ぎてしまう。そのため、潤滑機器や冷却装置の大型化を図っておかなければならない。しかも、電動モータ82、83の回転部における寿命低下や回転部ロスに伴うシステム効率の低下、電動モータ82、83の信頼性低下といった問題を招いている。
本発明は、システム全体におけるエネルギー効率を改善し、簡素な構造で前後進の加減速を制御可能とし、エンジンの燃費、排ガスの面から見ても最も効率的なエンジン運転を可能とし、更に作業機動力と走行動力とを効率よく、しかも、リアルタイムに変速ショックなく分配できる動力伝達構造を備え、更に、中低速走行時には、低速回転で高トルクによって駆動させることができ、高速走行時には、高速回転によって駆動させることができる走行作業車両を提案する。
本発明の課題は請求項1〜3に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本発明の走行作業車両では、エンジンの出力軸に接続した第一発電電動機及び油圧ポンプ駆動システムと、直列に二列配した遊星歯車機構と、前記一列目の遊星歯車機構と二列目の遊星歯車機構との間に配した第二発電電動機と、前記第一発電電動機及び前記第二発電電動機に、それぞれインバータを介して接続した蓄電装置と、ホイール駆動システムと、を備え、
前記一列目の遊星歯車機構における異なる入力部に、前記第一発電電動機の出力軸と前記第二発電電動機における出力軸の一端側とがそれぞれ接続してなり、前記二列目の遊星歯車機構における入力部に、前記第二発電電動機における出力軸の他端側が接続してなり、前記ホイール駆動システムの入力軸が、前記一列目の遊星歯車機構における出力部に接続した中低速用出力軸と、前記二列目の遊星歯車機構における出力部に接続した高速用出力軸とに接続してなり、
前記エンジン、前記第一発電電動機及び前記第二発電電動機によって制御された動力が、前記中低速用出力軸から出力され、前記第二発電電動機によって制御された動力が、前記高速用出力軸から出力されてなることを最も主要な特徴となしている。
また、本発明の走行作業車両では、前記中低速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接し、また、前記高速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接する切断手段が、設けられてなることを主要な特徴となしている。
更に、本発明の走行作業車両では、前記切断手段が、クラッチと、クラッチ又はブレーキとの組み合わせによって構成されてなることを主要な特徴となしている。
本発明の走行作業車両では、エンジンからの動力を、第一発電電動機と油圧ポンプ駆動システムとに伝達することができる。また、エンジンからの動力は、第一発電電動機を介して、一列目の遊星歯車機構に伝達することができる。しかも、エンジンからの駆動系とは別の駆動系として構成した第二発電電動機からの動力を、同じ一列目の遊星歯車機構に伝達することができる。更に、第二発電電動機からの動力は、二列目の遊星歯車機構にも伝達している。
そして、一列目の遊星歯車機構からは、中低速用の出力を取り出すことができ、二列目の遊星歯車機構からは、高速用の出力を取り出すことができる。取り出した中低速用の出力としては、エンジン、第一発電電動機及び第二発電電動機によって制御された動力が出力し、高速用の出力としては、第二発電電動機によって制御された動力が出力する構成となっている。
これによって、中低速用出力軸から出力される駆動回転数としては、エンジンと第一発電電動機とは連結されているので、同一回転もしくは一定のギア比で連動して回転する。
しかも、第一発電電動機によって、エンジン側から一列目の遊星歯車機構に入力される回転数の変動量が最小限となるように抑制しておくことができる。そして、電動機として働かせた第二発電電動機の回転数を大幅に変動させることで、中低速用出力軸から出力される駆動回転数を、走行作業車両が前後進動作を行うのに必要な回転数となるように制御することが可能となる。
また、高速用出力軸から出力される駆動回転数としては、第二発電電動機によって制御された高速回転が取り出されることになる。即ち、高速運転時には、第二発電電動機を電動機として働かせて、第二発電電動機の動力によって走行作業車両を駆動する構成となっている。この構成によって、第二発電電動機の電動機を設計する上において各諸元を決定するに際して、この高速運転領域に合わせた高効率な駆動が可能となるように各諸元を設定することができる。従って、理想的な車両駆動を行わせる第二発電電動機を設計することができる。
また、高速運転中に、電動機として働かせた第二発電電動機を制御するだけで、走行作業車両の速度調整を行うことが可能となる。そして、このとき、エンジンは一定回転で回転させておくことができ、エンジンに対しても高効率の運転を行わせることが可能となる。しかも、第二発電電動機と高速用出力軸との間に、できるだけ歯車を介在させない状態で、第二発電電動機の回転を高速用出力軸に伝達させることができるので、エネルギーの伝達効率が良くなり、しかも第二発電電動機によって走行作業車両を直接回転駆動させているのに近い状態に構成しておくことができる。
このように本願発明では、中低速の大トルク状態から高速走行までの間で、第一発電電動機と第二発電電動機とを作業パターンに合わせて、第一発電電動機と第二発電電動機とにおけるそれぞれの作動モードを選択的に切り替えることができる。従って、エンジンを高効率駆動させることができ、エンジンにおける燃費の低減を図ることができる。
しかも、走行動力に要求される回転数とエンジンが要求する最適回転数とを、遊星歯車機構を介して、第二発電電動機によって最適回転数となるように調整することができる。そして、エンジンに要求される負荷に応じて、エンジン回転数を燃費と排ガス低減とに最も適した回転数となるように設定することが可能となる。
更に、エンジンに要求される負荷と最適なエンジン回転数とが、第二発電電動機に対する制御だけでは調整しきれない場合には、エンジン軸と直結している第一発電電動機によってアシストすることができる。第一発電電動機を電動機として働かせてエネルギーの不足分を補うことで、エンジンの負荷を減じさせることもできる。また、逆に第一発電電動機を発電機として働かせて発電させる(エンジンに対するブレーキをかけることになる)ことによって、エンジンに加わる負荷を増大させることもできる。
また、作業時の走行において、エンジンの動力だけで充分に、油圧ポンプ駆動システムやホイール駆動システムを駆動するのに必要なエネルギーが得られているときには、第一発電電動機をフリーなモードとして作動させることで、エンジンの出力軸に設けた一種のフライホイールとして第一発電電動機を働かせておくことができる。また、エンジンの動力が余っているときや、油圧ポンプ駆動システムから動力が戻ってきたときには、第一発電電動機を発電機として働かせることによって、余ったエネルギーや回生エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄電装置に充電しておくことができる。
更に、作業時の走行中に行われる走行作業車両の前後進と加速・減速動作中において、ホイール駆動システム側から減速装置に戻ってきた動力による回生エネルギーは、発電機として作用させた第一発電電動機及び/又は第二発電電動機によって電気エネルギーに変換して、蓄電装置に充電しておくことができる。
このようにして蓄電装置に充電された電気エネルギーは、第一発電電動機及び第二発電電動機を電動機として働かせるときの駆動エネルギーとして使用することができる。
尚、第一発電電動機及び第二発電電動機におけるそれぞれの使用モードの切り替えは、エンジンの回転数と、走行作業車両の走行モードと、ホイール駆動システムの入力軸における回転数とに応じて制御することができる。
第一発電電動機及び第二発電電動機におけるそれぞれの使用モードとしては、トルクを発生させないフリー回転のモードと、発電機として働かせるモードと、電動機として働かせるモードとすることができる。
そして、エンジンの回転数と、走行作業車両の走行モードと、ホイール駆動システムの入力軸における回転数とに応じて、第一発電電動機及び第二発電電動機におけるそれぞれの使用モードを切替えることができる。このようにして、第一発電電動機及び第二発電電動機におけるそれぞれの使用モードを切替えることによって、ホイール駆動システムに与えるトルク及び回転数が最適となるように制御することができる。
また、ホイール駆動システムから第一発電電動機及び第二発電電動機に戻ってくる動力を、第一発電電動機及び/又は第二発電電動機において吸収できるように、第一発電電動機及び第二発電電動機におけるそれぞれの使用モードを切替えることができる。
更に、通常作業時における低速から中速域までの速度を得る場合には、中低速用出力軸をホイール駆動システムの入力軸に接続させておくだけで、ホイール駆動システムに対して、クラッチやブレーキの係合を含む変速切替なしで、第一電動機及び第二電動機の制御のみで、必要とする回転数を与えることができる。従って、変速ショック等の心配が一切なくなる。
また、本発明の走行作業車両では、切断手段を設けておくことができ、切断手段によって、前記中低速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接させたり、また、前記高速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接させたりすることができる。
そして、走行作業車両を中低速走行させるときには、切断手段によって、第二発電電動機における出力軸の一端側とホイール駆動システムの入力軸とを接続させ、第二発電電動機における出力軸の他端側とホイール駆動システムの入力軸とが接続されていない状態にしておくことができる。
また、走行作業車両を高速走行させるときには、切断手段によって、第二発電電動機における出力軸の一端側とホイール駆動システムの入力軸とが接続されていない状態にしておき、第二発電電動機における出力軸の他端側とホイール駆動システムの入力軸とが接続された状態にしておくことができる。
これにより、切断手段を切換えるだけで簡単に、高速走行用の回転をホイール駆動システムに供給したり、中低速走行用の回転をホイール駆動システムに供給したりすることができる。
また、切断手段としては、クラッチとクラッチとの組合せによって構成しておくことや、クラッチと遊星歯車機構における構成を利用したブレーキとを組み合わせによって構成しておくことができる。
通常作業時における低速から中速域までの速度を得る場合には、切断手段を使用せずに、ホイール駆動システムに対して簡単に必要とする回転数を与えることができるので、変速ショック等の心配が一切なくなる。
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本発明の走行作業車両の構成としては、以下においてはホイールローダを例に挙げて説明を行う。しかし、本発明の走行作業車両としては、以下で説明するホイールローダの構成以外のものであっても、例えば、フォークリフトなどの走行作業車両に対しても本願発明を好適に適用することができる。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
図1は、本発明の実施形態に係わる走行作業車両1の内部構造を示す全体構成図である。図1に示すように、エンジン2からの動力は、エンジン2の出力軸である軸Aに接続した第一発電電動機3に伝達されるとともに、第一発電電動機3の出力軸である軸Bを介して一列目の遊星歯車機構8のリング歯車8dに伝達される。また、軸Bからは、リング歯車8dを介して油圧ポンプ駆動システム6に回転が伝達される構成となっている。
エンジン2とは別の駆動源として構成した第二発電電動機4は、一列目の遊星歯車機構8と二列目の遊星歯車機構9との間に配されている。即ち、第二発電電動機4の動力は、軸Dを介して一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aに伝達されるとともに、二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aに伝達される構成となっている。そして、第二発電電動機4と太陽歯車8aとの間には第一クラッチCL1が配設されており、第二発電電動機4と太陽歯車9aとの間には第二クラッチCL2が配設されている。
尚、第二発電電動機4を貫通する形で軸Dが配されている構成を例示しているが、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aと二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aとを接続する軸Dと第二発電電動機4とを別体の配設構成にしておき、伝動歯車等の伝達手段を介して第二発電電動機4の回転が軸Dに伝達されるように構成しておくこともできる。
一列目の遊星歯車機構8におけるキャリア8cは、中低速回転を出力する中低速用出力軸5bに接続している。また、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cは、高速回転を出力する高速用出力軸5aに接続している。中低速用出力軸5b及び高速用出力軸5aは、ホイール駆動システム10の入力軸11に接続している。入力軸11には、入力軸11の回転数を検出する速度センサ30が設けられている。
第一クラッチCL1が接続され、第二クラッチCL2が切り離されているときには、第二発電電動機4からの回転が一列目の遊星歯車機構8に入力されて、一列目の遊星歯車機構8からは中低速用の回転を中低速用出力軸5bに出力することができる。そして、中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に動力を伝達することができる。
このとき、入力軸11の回転によって、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cも回転することになる。しかし、このとき第二クラッチCL2が切り離されているので、二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aは、フリー回転状態となっている。従って、キャリア9cの回転は、入力軸11の回転に対しての抵抗とはならずに、一種のフライホイールとして機能することになる。
また、第二クラッチCL2が接続され、第一クラッチCL1が切り離されているときには、第二発電電動機4からの回転が二列目の遊星歯車機構9に入力される。そして、二列目の遊星歯車機構9からは高速用の動力を高速用出力軸5aに出力することができる。即ち、高速用出力軸5aからホイール駆動システム10の入力軸11に動力を伝達することができる。
このとき、入力軸11の回転によって、一列目の遊星歯車機構8におけるキャリア8cも回転することになる。しかし、このとき第一クラッチCL1が切り離されているので、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aは、フリー回転状態となっている。従って、軸Bからの回転力によって回転するリング歯車8dと、中低速用出力軸5bからの回転力によって回転するキャリア9cと、におけるそれぞれの回転は、太陽歯車8aの回転によって吸収することができ、中低速用出力軸5bと軸Bとの間における動力の伝達を遮断しておくことができる。
ホイール駆動システム10から戻ってきた動力や軸Bに接続した油圧ポンプ駆動システム6から戻ってきた動力が、軸Bに作用するときには、軸Bは第一発電電動機3の出力軸とはならずに、第一発電電動機3を発電機として働かせる入力軸として機能することになる。
同様に、エンジン2に過負荷が加わらないようにするときや、ホイール駆動システム10から戻ってきた動力が、軸Dに作用するときには、軸Dは第二発電電動機4の出力軸とはならずに、第二発電電動機4を発電機として働かせる入力軸として機能することになる。
またこのとき、高速用出力軸5a又は中低速用出力軸5bは、ホイール駆動システム10から戻ってきた動力を一列目の遊星歯車機構8又は二列目の遊星歯車機構9に入力させるときには、入力軸として機能することになる。
高速用出力軸5a又は中低速用出力軸5bからの回転は、入力軸11からホイール駆動システム10に導入されることになる。ホイール駆動システム10は、入力軸11からの出力が伝達される動力伝達機構15と、動力伝達機構15からの出力がそれぞれ伝達される前デファレンシャル16a、後デファレンシャル16bと、前デファレンシャル16a及び後デファレンシャル16bによって分配された回転によって回転駆動される一対の前輪18a及び一対の後輪18bとを備えた構成になっている。
また、前輪18aと後輪18bに対しては、それぞれの車輪に対して制動を加える前輪ブレーキ17aと後輪ブレーキ17bとが設けられている。前輪ブレーキ17a及び後輪ブレーキ17bは、ブレーキペダル27の操作によって作動する。
軸Bからの回転力が、伝動歯車7を介して伝達される油圧ポンプ駆動システム6は、アクチュエータ駆動用の可変容量型油圧ポンプ6aとパイロット圧の供給や補機駆動用の圧油を供給する固定容量型油圧ポンプ6bを備えた構成となっている。伝動歯車7は、一列目の遊星歯車機構8のリング歯車8dに形成した外歯歯車と噛合している。
尚、図示例では、可変容量型油圧ポンプ6aと固定容量型油圧ポンプ6bとを並列に配した構成を示しているが、可変容量型油圧ポンプ6aと固定容量型油圧ポンプ6bとを直列に配した構成としておくこともできる。
第一発電電動機3は、第一インバータ20aを介して蓄電装置であるバッテリ21に接続されており、第二発電電動機4は、第二インバータ20bを介して蓄電装置であるバッテリ21に接続されている。第一インバータ20a及び第二インバータ20bは、コントローラ25からの制御信号に応じて、第一発電電動機3及び第二発電電動機4をフリー回転のモードと、発電機として働かせるモードと、電動機として働かせるモードとに切替えることができる。
そして、第一発電電動機3及び第二発電電動機4を発電機として働かせているときには、第一発電電動機3及び第二発電電動機4で発電した電気エネルギーを、バッテリ21に充電させておくことができる。また、第一発電電動機3及び第二発電電動機4を電動機として働かせているときには、バッテリ21に充電した電力で第一発電電動機3及び第二発電電動機4を電動機として働かせることができる。
コントローラ25には、入力軸11における回転数を検出する速度センサ30からの検出信号が入力されるとともに、アクセルペダル26の操作量、ブレーキペダル27の操作量、前後進切替レバー28における切替位置等に係わる信号が入力される。コントローラ25は、これらの入力信号の値等に基づいて、図示せぬ燃料噴射装置に対してエンジン2への燃料量を制御するとともに、第一インバータ20a及び第二インバータ20bに対する制御信号、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2に対する断接制御信号を出力する。
即ち、エンジン2からの動力が不足しているとコントローラ25が判断したときには、第一発電電動機3及び/又は第二発電電動機4を電動機として働かせるように、第一インバータ20a及び/又は第二インバータ20bに対しての制御を行う。また、ホイール駆動システム10や軸Bに接続した油圧ポンプ駆動システム6から戻ってきた動力があると判断したときには、あるいは、エンジン2からの動力が余っていると判断したときやエンジン2に過大の過負荷が加わってしまうと判断したときなどには、第一発電電動機3及び/又は第二発電電動機4を発電機として働かせるように、第一インバータ20a及び/又は第二インバータ20bに対しての制御を行う。
第一発電電動機3の軸Bは、一列目の遊星歯車機構8のリング歯車8dに接続しており、第一クラッチCL1が接続されているときには、第二発電電動機4の軸Dは一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに接続している。エンジン2と第一発電電動機3とは軸Aで連結されているので、同一回転で連動して回転する。尚、軸Aに変速ギアを介在させておいた場合には、エンジン2と第一発電電動機3とは一定のギア比で連動して回転することになる。
また、高速用出力軸5aから出力される高速用の回転数は、第二発電電動機4における回転数だけによって制御することができるので、高速走行時には第二発電電動機4だけでホイールローダを駆動させることができる。しかも、第二発電電動機4を制御することだけで、ホイールローダの走行速度を調整することができるので、高速走行時にはエンジン2からの動力を必要としない。このため、エンジン2は一定回転で回転させておくことができ、エンジン2を高効率で運転することが可能となる。
また、高速走行時には第二発電電動機4だけでホイールローダを駆動させている構成となっているので、第二発電電動機4を設計する上において必要となる諸元の決定において、高速運転領域に合わせた高効率な駆動が可能となるように諸元を決定することができる。従って、理想的な高速走行が可能となるようにホイールローダを構成することができる。
中低速走行時には、第一発電電動機3と第二発電電動機4とを、それぞれ正逆回転と力行及び回生との四象限運転を行わせることによって、従来のようにエンジンからの動力だけで行っていたときの操作と同じ操作で、走行作業車両に対する前後進及び加速・減速の各動作を行わせることができる。そして、それぞれの動作を行わせるのに必要な動力を、満遍なくホイール駆動システム10に与えることができる。
更には、ホイール駆動システム10から戻ってきた動力を第一発電電動機3と第二発電電動機4とによって吸収することができる。しかも、ホイール駆動システム10から戻ってきた動力を第一発電電動機3と第二発電電動機4とによって吸収することができるので、ホイール駆動システム10から戻ってきた動力によって、エンジン2に過大の負荷が加わってしまうのを防止できる。
ここで、上述した四象限運転について、説明を加えていくことにする。ここでいう四象限とは、第一発電電動機3の軸Bと第二発電電動機4の軸Dとホイール駆動システム10の入力軸11とにおける回転方向とトルクの符号との相対関係を示すための象限として定義している。
即ち、回転数とトルクの双方がプラス符号の場合を第I象限とし、回転数がマイナスの符号でトルクがプラスの符号の場合を第II象限、回転数とトルクの双方がマイナス符号の場合を第III象限、回転数がプラスの符号でトルクがマイナス符号の場合を第IV象限としている。そして、第二発電電動機4を電動機として使用する第I及びIII象限を力行、第二発電電動機4を発電機として使用する第II及びIV象限を回生という。これを図示したものが、図2である。
四象限運転についての説明を、走行作業車両1として用いたホイールローダにおける代表的作業であるVシェープ運転が行われる場合を例に挙げて説明する。Vシェープ運転とは、山積みされている土砂を掘削して土砂をホイールローダのバケット内に積み込み、積み込まれた土砂をダンプトラックに積み替えし、積み替え後に元の待機位置にまで戻る一連の動作を、1サイクルとする作業(運転)のことである。
この一連のサイクル作業を従来のようにエンジンからの動力だけで行ったときに、ホイール駆動システム10に入出力される回転数とトルクとの時間変化としては、図3に示すようなグラフとなる。本願発明におけるハイブリッド化した走行作業車両1においても、エンジン2や第一発電電動機3や第二発電電動機4の駆動源を以下で説明するように制御することで、ホイール駆動システム10に入出力される入力軸11における回転数とトルクとの時間変化のグラフを、図3に示しているグラフと同じグラフとなるように描かせることができる。
そこで、以下においては、図3に示しているグラフを、本願発明によって得られたグラフでもあるとして説明を続けていくことにする。
尚、Vシェープ運転においてホイールローダを中低速走行させている状態では、第二発電電動機4の軸Dにおける第一クラッチCL1が接続され、第二クラッチCL2が切り離されている。そして、第二発電電動機4の軸Dは、一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aと接続した状態になっている。
但し、Vシェープ運転においてホイールローダを高速走行させるときには、第二発電電動機4の軸Dにおける第一クラッチCL1が切り離され、第二クラッチCL2が接続されている。そして、第二発電電動機4からの動力によってホイールローダを高速走行させることになるが、以下では、ホイールローダを中低速走行させている状態について説明を行う。
図3において、太線はホイール駆動システム10の入力軸11に入出力される回転数を示し、点線はホイール駆動システム10の入力軸11に入出力されるトルクを示している。回転数とトルクとには、プラスとマイナスの符号を付している。
走行作業車両1であるホイールローダの入力軸11が、前進を行う方向に回転を行っているとき、回転数の符号としてプラスの符号を付しており、ホイールローダの入力軸11が後進を行う方向に回転を行っているとき、回転数の符号としてマイナスの符号を付している。また、回転数とトルクとの符号がともにプラスのときと、ともにマイナスのとき、エンジン2や第一発電電動機3や第二発電電動機4の駆動源が力行を行って状態を示し、回転数とトルクの符号が互いに逆の符号のとき、ホイール駆動システム10から戻された動力によって回生が行われている状態を示している。
図1を参照しながら、図3の説明を行う。
図3の表における「1」の停止モード。
ホイールローダが、空荷状態で停止している停止モードでは、ブレーキ27が踏み込まれ、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bの回転が停止している。このため、エンジン2からの回転は、一列目の遊星歯車機構8を介して第二発電電動機4の軸Dに伝わる。そして、第二発電電動機4はマイナス方向に空回りし、エンジン2からの回転を吸収することになる。このとき第二発電電動機4としては、トルクを発生させないフリーなモードになって、エンジン2に対しての負荷となっていない。
図3に示した表について説明を加えると、横軸の項目として「1」〜「10」の各動作モードを配しており、縦列の項目として、第二発電電動機4、第一発電電動機3、エンジン2、軸B、軸C(油圧ポンプ駆動システム6への入力軸を軸Cとして代表させている。)、アクセルペダル26、ブレーキペダル27、前後進切替レバー28の各部材を、この順番で配している。そして、縦軸の項目と横軸の項目とが重なったところが、横軸の項目とした動作モードでの、縦軸の項目で示した部材のモード状態を示している。
例えば、「1」の停止モードでは、第二発電電動機4は第II象限運転の状態にあり、トルクを発生させないフリーなモードになっている。第一発電電動機3及びエンジン2と軸Bは、ともに第I象限運転の状態にある。軸Cは、ホイールローダの走行とは関係ない「−」の状態となっている。アクセルペダル26は、作動していない「OFF」状態となっており、ブレーキペダル27は、作動している「ON」状態となっており、前後進切替レバー28は、中立位置「N」位置に置かれていることを示している。
また、ローマ数字「I」、「II」、「III」、「IV」は、それぞれ図2で示した象限を表しており、前後進切替レバー28の列における「N」、「F」、「B」は、前後進切替レバー28の切替え位置がそれぞれ中立位置、前進位置、後進位置であることを表している。
図3の表における「2」の前進発進モード。
この前進発進モードでは、前後進切替レバー28が前進位置「F」に入り、ブレーキペダル27が「ON」状態から「OFF」状態となり、アクセルペダル26が「OFF」応対から「ON」状態に踏み込まれることになる。アクセルペダル26の踏み込み量に比例したトルクが、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおいて発生するように、第一発電電動機3、第二発電電動機4、又はエンジン2の軸Aがトルクを発生させる。このとき、トルクの配分は、一列目の遊星歯車機構8における遊星歯車の結合方法とそのときのギア比とによって、第二発電電動機4と第一発電電動機3又はエンジン2の軸Aとで配分することができる。
アクセルペダル26が踏み込まれると、エンジン2に燃料を供給する図示せぬスロットルが開き、エンジン2はトルク出力と共に回転数を上げようとする。このとき、エンジン2の回転によって中低速用出力軸5bを回転させようとする。しかし、ホイールローダを走行させるためには、所定以上の駆動トルクを必要とするが、中低速用出力軸5bを回転させようとする駆動トルクが所定の駆動トルク以下であるときには、ホイールローダは停止中となっている。
このため、ホイール駆動システム10に接続している一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bは、停止している。そこで、停止している中低速用出力軸5bからエンジン2に戻されようとする反力トルクは、第二発電電動機4の軸Dの方に流れることになる。
このとき、第一発電電動機3は、エンジン2から出力された回転数を一定に保ちながら、中低速用出力軸5bを、ホイールローダの前進方向に回転させるように制御されている。
そして、第二発電電動機4は、エンジン2の回転数をモニタしているコントローラ25によって、中低速用出力軸5bの回転数が所定の回転数となるように、回転数制御される。中低速用出力軸5bの回転数が所定の回転数となったか否かは、入力軸11に設けた速度センサ30によって、検出することができる。
発進段階において、マイナス方向に空回り逆転していた第二発電電動機4は、上述したトルクと回転数の関係式を満たすように、マイナス方向に回転して発電を行いながら所定の回転数で制御される(第II象限運転)ことになる。これにより、エンジン回転数を一定にしたモードのまま、ホイールローダを前進させるのに必要な大きなトルクを、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bから出力させることができる。
このモードにおいては、第二発電電動機4は発電機として働くことになり、発電されたエネルギーは、バッテリ21に充電されるか、あるいは電動機として働いている第一発電電動機3によって消費されることになる。
図3の表における「3」の前進モード。
前進モードとなって、ホイールローダが前進し始めると、第二発電電動機4は、回転数を徐々に小さくして行き、ついにはゼロ速度にまで到達する。一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bは、軸Bと軸Dとの相対回転数に基づいて回転を行うため、中低速用出力軸5bがある回転数にまで達すると、第二発電電動機4はゼロ速度にまで到達し、更にマイナス方向の回転からプラス方向の回転へと回転数の符号を反転して、車両を加速させ続ける。
このとき、アクセルペダル26は踏まれた「ON」モードのままにあるので、更に加速を続けようとして、第二発電電動機4の回転数は、逐次、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数とエンジン回転数とに応じて、所望の回転数となるように制御されることになる。
第二発電電動機4の回転数における符号がマイナスからプラスに反転すると、第二発電電動機4は発電モードから力行モード(第I象限)へと移行する。即ち、第二発電電動機4の回転数の符号がプラスに反転することによって、第二発電電動機4は電動機として働くことになる。
これによって、第二発電電動機4は、今まで第一発電電動機3への給電用に発電エネルギーを供給していたが、自身が電動機として働くためにエネルギーが必要となる。第二発電電動機4と同時にエンジン2も第I象限において運転しているため、第一発電電動機3は、発電機(第IV象限)となって、第二発電電動機4へのエネルギーを供給することになる。このようにして、減速装置5の中低速用出力軸5bにおける回転数とトルクとして、図3の前進時におけるグラフと同じグラフを描かせることができる。
図3の表における「4」、「5」の前進・掘削モード。
この前進・掘削モードでは、土砂を掘削しながら、前進することになる。このモードでは、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bからの出力としては、ホイールローダが中低速走行を行い、しかも、大きなトルクが得られることが要求される。そしてこのモードにおいては、ホイールローダが土砂からの反力を受けるため、車速も不安定になり易い。
その結果、ホイールローダとしては、発進、停止、前進を小刻みに繰り返すこととなり、上述した前進発進のモードと前進モードとが逐次、ホイールローダの走行モードに従って切り替わることになる。このとき、最も頻繁に動作を切り替える必要があるのは第二発電電動機4である。
しかし、最も頻繁に動作が切り替わる第二発電電動機4について検討を加えて見ると、エンジン2の軸A又は第一発電電動機3の軸Bの回転数と一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bの回転数(本願では、ホイール駆動システム10の入力軸11の回転数として速度センサ30で検出。)と、を常時モニタしておくことで、アクセルペダル26によるアクセル開度とホイールローダの車速とから、最適なトルク及び回転数が第二発電電動機4から引き出せるように、第二発電電動機4の回転が制御されているに過ぎないことがわかる。
このときも、第一発電電動機3及び第二発電電動機4を制御することによって、減速装置5の中低速用出力軸5bにおける回転数とトルクとして、図3の前進掘削時におけるグラフと同じグラフを描かせることができる。
図3の表における「6」の後進(土砂運搬)モード。
この後進(土砂運搬)モードにおいて、前後進切替レバー28が、後進位置「B」へと切り替えられると、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数の方向を逆転させるように、第一発電電動機3と第二発電電動機4とが連動して制御スキームを変更する。
即ち、アクセルペダル26によるアクセル開度により、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bが逆転方向に回転するように、第一発電電動機3と第二発電電動機4とが制御される。第二発電電動機4としては、回転数とトルクの符号が反転した第III象限運転モード、第一発電電動機3はエンジン2と同軸上にあるため、回転数は一定だが、トルクの符号が反転する第IV象限運転モードとなる。
第二発電電動機4は前進時と同様に、エンジン2の回転数と一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数とにより、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bを所定の回転数にするための回転数制御が行われる。第一発電電動機3は、アクセルペダル26によるアクセル開度によって、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bから配分されるトルクを吸収するためのトルク制御が行われる。このとき、基準となる回転数としては、エンジン2の回転数によって決定されることになる。
このときも、第一発電電動機3及び第二発電電動機4を制御することによって、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数とトルクとして、図3の後進(土砂運搬)時におけるグラフと同じグラフを描かせることができる。
図3の表における「7」の前進発進モード、「8」の前進モード、「9」の前進・積込みモード、及び「10」の後進モードは、それぞれ上述した「1」〜「6」の各モードと同様の制御が繰り返し行われることになる。
このように、本発明では、走行作業車両をハイブリッド化した利点を活かしつつ、ホイールローダにおける各作業モードに対応して、エンジン2と第一発電電動機3と第二発電電動機4とを制御することによって、エンジン単独にて行っていた場合と同様の回転数とトルクとを一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bに対して与えることができる。即ち、エンジン単独にて行っていたときと同じ操作で、ハイブリッド化したホイールローダ等の走行作業車両を操作することが可能となる。
図1に戻って説明を続けると、ホイールローダとしては、掘削・積み込み作業の際に求められる走行速度は、低速域から中速域までの間における速度しか求められていない。しかし、一方において、作業場内での移動時等においては、高速走行を行えることが必要となる。
そこで、高速走行を行うときには、第一クラッチCL1を切り離して、第二クラッチCL2を接続させて、第二発電電動機4の駆動によって、高速走行時に必要とされる回転数を高速用出力軸5aからホイール駆動システム10の入力軸11に与えることができる。
また、通常作業時には、上述した通り、低速域から中速域までの間における速度に限られるため、
第一クラッチCL1を接続させて、第二クラッチCL2を切り離して、第二発電電動機4の駆動を一列目の遊星歯車機構8に導入することによって、中低速走行時に必要とされる回転数を中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に与えることができる。このため、変速ショック等の心配が一切なくなる。
ところで、高速走行が要求される際には、バケットなどの作業機内に土砂などが積み込まれていない空荷状態で発進することになるため、第一クラッチCL1と第二クラッチCL2との断接を切替える時に、中速から高速走行に切り替わるので変速ショックも大きな問題にはならない。
このように本願発明は構成されているので、低速から高速の全速度領域において、従来のエンジン単独で行っていた場合と同じ操作で、ハイブリッド化した走行作業車両を操作することができる。
また、エンジン2の軸Aと連動して回転する一列目の遊星歯車機構8への入力軸である軸Bを、極力回転数の変動が少なくなるように回転させることが可能となる。または、エンジン2に要求される負荷に対応して、燃費と排ガス低減に最も適したエンジン回転数となるように、エンジン2の回転数を制御することが可能となる。
本願発明における、エンジン2、第一発電電動機3、第二発電電動機4、一列目の遊星歯車機構8、二列目の遊星歯車機構9、高速用出力軸5a及び中低速用出力軸5bにおける、それぞれの機器における機能としては、次のようにまとめることができる。
即ち、エンジン2としては、要求負荷に合わせて最適な回転数を出力することが求められており、しかも、燃費と排ガス低減に最も適したエンジン回転数となるように求められている。即ち、エンジン2には、ホイールローダを走行させる走行動力を得るのに要求される一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数と、ホイールローダ駆動システム10の入力軸11に要求される回転数を出力するとともに、エンジン2に要求される最適回転数を満たすことが求められている。
第二発電電動機4としては、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bにおける回転数に要求される回転数が出力できるように、一列目の遊星歯車機構8を介してエンジン2からの回転数を調整することになる。また、第二発電電動機4は、高速用出力軸5aに要求される回転数が出力できるように制御されることになる。
第一発電電動機3としては、エンジン2からの出力と第二発電電動機4からの出力とからでは、エンジン2に要求される負荷と最適なエンジン回転数とを調整することができない場合には、第一発電電動機3が電動機として働くことによって、不足分をアシストする。これによって、エンジン2の負荷を減じることができる。
また、エンジン2を最適回転数で回転させるために、エンジン2に対する負荷として働くことも、バッテリ21へ電力を供給する発電機として働くこともある。しかも、油圧ポンプ駆動システム6に入力される回転は、回転変動が少なく、かつ一方向にしか回転しない構成となるので、効率よくポンプ負荷をいつでも駆動することが可能となる。
第一発電電動機3を発電機として働かせて発電を行なうことで、エンジン2の回転に対してブレーキを掛けることができ、エンジン2に加わる負荷を大きくすることも可能となる。
但し、第二発電電動機4の動力源であるバッテリ21内に蓄えられている蓄電量によっても、第一発電電動機3を発電機として働かせたときの発電量が制約されることになる。
このように、作業機アクチュエータ用の第一油圧ポンプ6aが、エンジン2と第一発電電動機3とに直結した構成となっているので、大きな作業機動力が瞬時に要求される場合においても、第一発電電動機3によって応答遅れなく、作業機アクチュエータに対して大きな動力を振り向けることができる。そして、作業機アクチュエータの機敏な動作を行わせることが可能となる。
一列目の遊星歯車機構8としては、エンジン2及び第一発電電動機3からの軸Bと、第二発電電動機4の軸Dとから入力された回転数、トルクとを、一列目の遊星歯車機構8内で調整して中低速用出力軸5bに出力することができる。また、入力軸11が高速回転しているときには、入力軸11における高速回転が、軸Bに伝達させない機能も備えている。
また、一列目の遊星歯車機構8の中低速用出力軸5bとしては、ホイールローダの走行速度に合わせた回転を出力することができる。そして、第一クラッチCL1と第二クラッチCL2とを断接することで、ホイール駆動システム10に中低速回転を供給することができる。
二列目の遊星歯車機構9としては、第二発電電動機4の高速回転を高速用出力軸5aに出力させるとともに、入力軸11が中低速回転しているときには、入力軸11における中低速回転の妨げとならないように、入力軸11に接続した高速用出力軸をフリー回転させる機能も備えている。
図4は、本願発明に係わる第2実施例であり、実施例1における第二クラッチCL2を設ける代わりに、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dにブレーキBLを設けた構成となっている。他の構成は、実施例1と同様の構成となっている。そのため、同じ部材に関しては実施例1において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略する。
尚、実施例1では第一クラッチCL1としていたものを、実施例2ではクラッチCLとしている。また、図1に示したコントローラ25、速度センサ30、アクセルペダル26等の一部の構成に関して、図4ではそれらの部材の図示を省略している。
また、以下で説明する実施例3から実施例6の構成をそれぞれ説明する図5〜図8においても、同じ部材に関しては実施例1、2において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略している。更に、図1に示したコントローラ25、速度センサ30、アクセルペダル26等の一部の構成に関しても、図5〜図8でもそれらの部材の図示を省略している。
図4に示すように、第二発電電動機4の軸Dは、一端側においてクラッチCLを介して一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに接続し、他端側は、二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aに直接接続した構成となっている。実施例1における第二クラッチCL2を設けない代わりに、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dにはブレーキBLが設けられている。
クラッチCLを接続して、ブレーキBLの作動を解除させておけば、第二発電電動機4の回転は一列目の遊星歯車機構8に導入することができる。またこのとき、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dはフリー回転可能な状態となっているので、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aの入力された回転は、遊星歯車9b及びリング歯車9dをフリー回転させるだけで、遊星歯車9bを支承しているキャリア9cを回転させることはない。
従って、ブレーキBLの作動が解除されている状態では、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cに接続した高速用出力軸5aに、第二発電電動機4からの回転が伝達されることがない。またこのときには、一列目の遊星歯車機構8からの出力によって中低速用出力軸5bは回転駆動されることになるので、中低速用出力軸5bに接続したホイール駆動システム10の入力軸11から高速用出力軸5aにも回転が伝達されることになる。
しかし、入力軸11から高速用出力軸5aに伝達された回転と、第二発電電動機4から太陽歯車9aに伝達された回転は、二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9dのフリー回転によって吸収することができる。そのため、高速用出力軸5aと第二発電電動機4の軸Dとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
クラッチCLを切り離して、ブレーキBLを作動させれば、第二発電電動機4の回転は二列目の遊星歯車機構9に導入することができる。またこのとき、一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aはフリー回転可能な状態となっているので、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、遊星歯車8b及び太陽歯車8aをフリー回転させるだけで、遊星歯車8bを支承しているキャリア8cを回転させることはない。
またこのときには、二列目の遊星歯車機構9からの出力によって高速用出力軸5aは回転駆動されることになるので、高速用出力軸5aに接続したホイール駆動システム10の入力軸11から中低速用出力軸5bにも回転が伝達されることになる。
しかし、入力軸11から中低速用出力軸5bに伝達された回転と、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aのフリー回転によって吸収することができる。そのため、入力軸11に接続した中低速用出力軸5bとエンジン軸側の軸Bとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
実施例2では、第二発電電動機4の軸Dにクラッチを1つだけ配設した構成となっているので、クラッチを1つ少なくした分だけ一列目の遊星歯車機構8と二列目の遊星歯車機構9との間隔を短く構成することができる。
図5は、本願発明に係わる第3実施例であり、実施例2におけるクラッチCLの配設部位を、第二発電電動機4の軸Dに設ける代わりに中低速用出力軸5bに設けた構成となっている。他の構成は、実施例2と同様の構成となっている。そのため、同じ部材に関しては実施例1及び2において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略する。
図5に示すように、第二発電電動機4の軸Dは、一端側において一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに直接接続し、他端側は、二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aに直接接続した構成となっている。そして、第二発電電動機4の回転は、常に一列目の遊星歯車機構8と二列目の遊星歯車機構9とに導入されている。
クラッチCLを接続して、ブレーキBLの作動を解除させておけば、一列目の遊星歯車機構8からの出力は、中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に伝達されることになる。このとき、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dはフリー回転可能な状態となっているので、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aの入力された回転は、遊星歯車9b及びリング歯車9dをフリー回転させるだけで、遊星歯車9bを支承しているキャリア9cを回転させることはない。
従って、ブレーキBLの作動が解除されている状態では、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cに接続した高速用出力軸5aに、第二発電電動機4からの回転が伝達されることがない。またこのときには、中低速用出力軸5bに接続したホイール駆動システム10の入力軸11から高速用出力軸5aにも回転が伝達されることになる。
しかし、入力軸11から高速用出力軸5aに伝達された回転と、第二発電電動機4から二列目の太陽歯車9aに伝達された回転とは、二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9dのフリー回転によって吸収することができる。そのため、高速用出力軸5aと第二発電電動機4の軸Dとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
クラッチCLを切り離して、ブレーキBLを作動させれば、第二発電電動機4の回転は二列目の遊星歯車機構9から高速用出力軸5aに出力させることができる。またこのとき、クラッチCLが切り離されているので、入力軸11から中低速用出力軸5bに動力が伝達されることはない。しかも、一列目の遊星歯車機構8からの出力軸である中低速用出力軸5bはフリー回転可能な状態となっているので、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、中低速用出力軸5bをフリー回転させるだけとなる。
実施例3のように構成することによっても、実施例1及び実施例2における構成と同様の効果を奏することができる。特に、クラッチCLを一列目の遊星歯車機構8と二列目の遊星歯車機構9との間における軸D上には設けていないので、クラッチをなくした分だけ一列目の遊星歯車機構8と二列目の遊星歯車機構9との間隔を更に短く構成することができる。
図6は、本願発明に係わる第4実施例であり、実施例2におけるブレーキBLを、二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9dに作用させる構成の代わりに、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cに対して作用させる構成としている。そして、高速用出力軸5aをリング歯車9dに接続した構成としている。他の構成は、実施例2と同様の構成となっている。そのため、同じ部材に関しては実施例1及び2において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略する。
図6に示すように、第二発電電動機4の軸Dは、一端側においてクラッチCLを介して一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに接続し、他端側は、二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aに直接接続した構成となっている。実施例2ではブレーキBLをリング歯車9dに作用させる構成としていたが、実施例4では、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cに対してブレーキBLが作用する構成としている。
クラッチCLを接続して、ブレーキBLの作動を解除させておけば、一列目の遊星歯車機構8からの出力は、中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に伝達されることになる。このとき、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cはフリー回転可能な状態となっているので、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aの入力された回転は、キャリア9cをフリー回転させるだけで、リング歯車9dに回転を伝達させることはない。
従って、ブレーキBLの作動が解除されている状態では、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dに接続した高速用出力軸5aに、第二発電電動機4からの回転が伝達されることがない。またこのときには、第二発電電動機4からの動力は、一列目の遊星歯車機構8に伝達され、中低速用出力軸5bから入力軸11を介してホイール駆動システム10に中低速用の動力が伝達されることになる。
このとき、ホイール駆動システム10の入力軸11から高速用出力軸5aに、回転が伝達されることになるが、入力軸11から高速用出力軸5aに伝達された回転と、第二発電電動機4から二列目の太陽歯車9aに伝達された回転とは、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cのフリー回転によって吸収することができる。そのため、高速用出力軸5aと第二発電電動機4の軸Dとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
クラッチCLを切り離して、ブレーキBLを作動させれば、第二発電電動機4の回転は二列目の遊星歯車機構9から高速用出力軸5aに出力させることができる。またこのとき、クラッチCLが切り離されているので、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aは、フリー回転状態となっている。
このため、入力軸11から中低速用出力軸5bに伝達された回転と、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aのフリー回転によって吸収することができる。そのため、入力軸11に接続した中低速用出力軸5bとエンジン軸側の軸Bとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
実施例4のように構成することによっても、実施例1〜実施例3における構成と同様の効果を奏することができる。
図7は、本願発明に係わる第5実施例であり、実施例2における第二発電電動機4の軸Dを、二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aに接続させた構成の代わりに、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cに接続させた構成としている。そして、高速用出力軸5aを二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aに接続させた構成としている。他の構成は、実施例2と同様の構成となっている。そのため、同じ部材に関しては実施例1及び2において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略する。
図7に示すように、第二発電電動機4の軸Dは、一端側においてクラッチCLを介して一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに接続し、他端側は、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cに接続した構成となっている。また、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dにはブレーキBLが設けられている。
クラッチCLを接続して、ブレーキBLの作動を解除させておけば、一列目の遊星歯車機構8からの出力は、中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に伝達されることになる。このとき、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dはフリー回転可能な状態となっているので、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cに入力された回転は、リング歯車9dをフリー回転させるだけで、太陽歯車9aに回転を伝達させることはない。
従って、ブレーキBLの作動が解除されている状態では、二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aに接続した高速用出力軸5aに、第二発電電動機4からの回転が伝達されることがない。またこのときには、第二発電電動機4からの動力は、クラッチCLを介して一列目の遊星歯車機構8に伝達され、中低速用出力軸5bから出力された動力は、入力軸11を介してホイール駆動システム10に中低速用の動力として伝達されることになる。
このとき、ホイール駆動システム10の入力軸11から高速用出力軸5aを介して、太陽歯車9aが回転することになるが、入力軸11から太陽歯車9aに伝達された回転と、第二発電電動機4から二列目のキャリア9cに伝達された回転とは、二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9d及び遊星歯車9bにおけるフリー回転によって吸収することができる。そのため、高速用出力軸5aと第二発電電動機4の軸Dとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
クラッチCLを切り離して、ブレーキBLを作動させれば、第二発電電動機4の回転は二列目の遊星歯車機構9から高速用出力軸5aに出力させることができる。またこのとき、クラッチCLが切り離されているので、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aは、フリー回転状態となっている。
このため、入力軸11から中低速用出力軸5bに伝達された回転と、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aのフリー回転によって吸収することができる。そのため、入力軸11に接続した中低速用出力軸5bとエンジン軸側の軸Bとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
実施例5のように構成することによっても、実施例1〜実施例4における構成と同様の効果を奏することができる。
図8は、本願発明に係わる第6実施例であり、実施例2におけるブレーキBLを、二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9dに作用させる構成の代わりに、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cに対して作用させる構成としている。そして、第二発電電動機4の軸Dを二列目の遊星歯車機構9におけるリング歯車9dと接続させ、高速用出力軸5aを二列目の遊星歯車機構9における太陽歯車9aに接続させた構成としている。
他の構成は、実施例2と同様の構成となっている。そのため、同じ部材に関しては実施例1及び2において用いた部材符号と同じ符号を用いることで、その説明を省略する。
図8に示すように、第二発電電動機4の軸Dは、一端側においてクラッチCLを介して一列目の遊星歯車機構8の太陽歯車8aに接続し、他端側は、二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dに直接接続した構成となっている。そして、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cにはブレーキBLが設けられている。
クラッチCLを接続して、ブレーキBLの作動を解除させておけば、一列目の遊星歯車機構8からの出力は、中低速用出力軸5bからホイール駆動システム10の入力軸11に伝達されることになる。このとき、二列目の遊星歯車機構9のキャリア9cはフリー回転可能な状態となっているので、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dに入力された回転は、キャリア9cをフリー回転させるだけで、太陽歯車9aに回転を伝達させることはない。
従って、ブレーキBLの作動が解除されている状態では、二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aに接続した高速用出力軸5aに、第二発電電動機4からの回転が伝達されることがない。またこのときには、第二発電電動機4からの動力は、一列目の遊星歯車機構8に伝達され、中低速用出力軸5bから入力軸11を介してホイール駆動システム10に中低速用の動力が伝達されることになる。
このとき、ホイール駆動システム10の入力軸11から二列目の遊星歯車機構9の太陽歯車9aにも、回転が伝達されることになるが、入力軸11から太陽歯車9aに伝達された回転と、第二発電電動機4から二列目の遊星歯車機構9のリング歯車9dに伝達された回転とは、二列目の遊星歯車機構9におけるキャリア9cのフリー回転によって吸収することができる。そのため、高速用出力軸5aと第二発電電動機4の軸Dとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
クラッチCLを切り離して、ブレーキBLを作動させれば、第二発電電動機4の回転は二列目の遊星歯車機構9から高速用出力軸5aに出力させることができる。またこのとき、クラッチCLが切り離されているので、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aは、フリー回転状態となっている。
このため、入力軸11から中低速用出力軸5bに伝達された回転と、エンジン軸側から一列目の遊星歯車機構8に入力された回転は、一列目の遊星歯車機構8における太陽歯車8aのフリー回転によって吸収することができる。そのため、入力軸11に接続した中低速用出力軸5bとエンジン軸側の軸Bとの間における動力の伝達は、遮断された状態になっている。
実施例6のように構成することによっても、実施例1〜実施例5における構成と同様の効果を奏することができる。
本発明は、本発明の技術思想を適用することができる装置等に対しては、本発明の技術思想を適用することができる。
本発明の実施形態に係わる走行作業車両の全体構成図である。(実施例1) IV象限の説明図である。(説明図) 走行作業車両の動作パターンに対応した各構成部材の状態を示した図である。(実施例) 走行作業車両の他の全体構成図である。(実施例2) 走行作業車両の別の全体構成図である。(実施例3) 走行作業車両の更に別の全体構成図である。(実施例4) 走行作業車両の更に他の全体構成図である。(実施例5) 走行作業車両のまた他の全体構成図である。(実施例6) 走行作業車両の全体構成図である。(従来例1) 走行作業車両の全体構成図である。(従来例2) 走行作業車両の全体構成図である。(従来例3) 走行作業車両の全体構成図である。(従来例4)
符号の説明
1・・・走行作業車両、3・・・第1発電電動機、4・・・第2発電電動機、5・・・減速装置、6・・・油圧ポンプ駆動システム、8・・・一列目の遊星歯車機構、9・・・二列目の遊星歯車機構、10・・・ホイール駆動システム、11・・・入力軸、20a・・・第一インバータ、20b・・・第二インバータ、21・・・バッテリ、25・・・コントローラ、50・・・エンジン、51・・・油圧ポンプ、52・・・発電機、53・・・モータ、54・・・バッテリ、60・・・エンジン、61、62・・・発電モータ、63・・・発電機、64・・・バッテリ、70・・・エンジン、72、73・・・発電電動モータ、74〜76・・・遊星減速機、80・・・エンジン、82、83・・・電動モータ、84・・・遊星減速機。

Claims (3)

  1. エンジンの出力軸に接続した第一発電電動機及び油圧ポンプ駆動システムと、
    直列に二列配した遊星歯車機構と、
    前記一列目の遊星歯車機構と二列目の遊星歯車機構との間に配した第二発電電動機と、
    前記第一発電電動機及び前記第二発電電動機に、それぞれインバータを介して接続した蓄電装置と、
    ホイール駆動システムと、
    を備え、
    前記一列目の遊星歯車機構における異なる入力部に、前記第一発電電動機の出力軸と前記第二発電電動機における出力軸の一端側とがそれぞれ接続してなり、
    前記二列目の遊星歯車機構における入力部に、前記第二発電電動機における出力軸の他端側が接続してなり、
    前記ホイール駆動システムの入力軸が、前記一列目の遊星歯車機構における出力部に接続した中低速用出力軸と、前記二列目の遊星歯車機構における出力部に接続した高速用出力軸とに接続してなり、
    前記エンジン、前記第一発電電動機及び前記第二発電電動機によって制御された動力が、前記中低速用出力軸から出力され、前記第二発電電動機によって制御された動力が、前記高速用出力軸から出力されてなることを特徴とする走行作業車両。
  2. 前記中低速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接し、また、前記高速用出力軸を介した前記第二発電電動機から前記ホイール駆動システムの入力軸までの間における動力の伝達を断接する切断手段が、設けられてなることを特徴とする請求項1記載の走行作業車両。
  3. 前記切断手段が、クラッチと、クラッチ又はブレーキとの組み合わせによって構成されてなることを特徴とする請求項2記載の走行作業車両。
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