JP5710171B2 - レーザ溶接方法および装置 - Google Patents
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Description
このような二重伝熱管では、単位となる1本の管は、長さ10mから20mという長尺な管である。蒸気発生器に用いるためには、複数本の管を溶接により継ぎ足している。
図1は、二重管内に配置されている本実施形態によるレーザ溶接装置を示す断面図である。この図1において、参照番号1は、二重管を示し、参照番号10は、レーザ溶接装置を示している。図2は、レーザ溶接装置10の構成を示す断面図である。
二重伝熱管1は、外管2と内管3が同軸になった二重管で、外管2と内管3の間には、組網線4が挟さみ込まれている。
この固定機構16は、駆動源であるエアシリンダ18と、胴部を構成する円筒状の外側フレーム20と、パッド21を含む。エアシリンダ18は、外側フレーム20の内側で、軸線上に配置されているシャフト22と連結されている。このエアシリンダ18は、シャフト22を軸方向に移動させることで、外側フレーム20からパッド21を半径方向に押し出したり、外側フレーム20に引き込んだりすることができる。
このレーザ溶接ヘッド12は、溶接ヘッドの本体を構成する胴部ケース30を含む。この胴部ケース30の内部には、2枚一組の組レンズ31、32(組レンズ31、32に替えて単体レンズが用いられる場合もある。)と反射ミラー33が設けられている。レーザ光はレーザ溶接ヘッド12に光ファイバー34を用いて導かれ、組レンズ31、32によって集光されてから、反射ミラー33で反射して溶接ノズル35から照射される。光ファイバー34は、外筒ホース36に収納されている。この外筒ホース36は柔軟性の高い材料で形成されて撓むことができるようになっている。外筒ホース36の端部は、外筒コネクタ37を介して胴部ケース30と接続されている。この場合、外筒コネクタ37と胴部ケース30の間に軸受38が介装されており、外筒コネクタ37は回転可能に胴部ケース30に接続されている。
図2において、回転機構14は、レーザ溶接ヘッド12を回転させる駆動源であるサーボモータ40と、レーザ溶接ヘッド12を支持する偏心腕42と、を含む。
図5に示すように、偏心腕42は、軸部43と、この軸部から半径方向に直角に延びるフレーム部44とから構成されている。サーボモータ40と連結されている減速機の出力軸40aは、軸部43に嵌合させて連結されており、この軸部43はサーボモータ40のハウジング41に軸受45を介して回転自在に支持されている。
治具本体57a、57bの裏面には、円環状の溝58が形成されており、この円環状の溝58は、二重管1の内管3の端部に嵌合する。そして、治具本体57a、57bには、レーザ溶接ヘッド12の胴部ケース30が嵌合する半割の貫通穴59と、空圧ケーブルや電気ケーブル等が通過する半割穴60が形成されている。治具本体57a、57bは、ヒンジ部32により開閉自在に連結されている。図7は、治具本体57a、57bが閉じている状態を示し、図8は、治具本体57a、57bが開いている状態を示している。
まず、図9は、レーザ溶接装置10が長い方の二重管2に収容されて固定されている状態を示す。二重伝熱管を構成する二重管1の溶接部の開先形状の関係は、次のようになっている。突き合わせ溶接される二重管同士では、一方の二重管1の外管2と内管3とでは、内管3の溶接部が少し突き出ており、他方のこれから継ぎ足す二重管1では、逆に、外管2の溶接部が出ているという関係にある(図14参照)。
これに対して、本実施形態のように、溶接面に対して斜めにレーザビーム72を入射させると、溶接部で発生するガス77が抜け易すいように溶融池76は形成されるので、ブローホールの発生リスクを低減させることができる。
溶接される前の一本の二重管1の長さは、10mから20m程度である。高速増殖炉の蒸気発生器等で使用される伝熱管の製造では、二重管1同士に突き合せ溶接を実施しながら、長尺な伝熱管につなげていく。突き合せ溶接を続けていくと、二重管1はどんどん長くなっていき、最終的には1本が数十、数百mにもなる。
この調整作業は、レーザ溶接ヘッド12を二重管1に入れる前に実施する。まず最初に、二重管1の内管3の内径を計測する。そして図11に示したように、レーザ溶接ヘッド12の胴部ケース30を手動で回すことにより、反射ミラー33の捻り角度を調整して、内管3の内面面にレーザスポットが正確に合うように、照射ノズル35から照射点までの距離(ワークディスタンス距離)を修正する。
次に、図9において、レーザ溶接ヘッド12に位置決め治具56を取り付けておく。そして、溶接する二重管のうち、長い方の二重管1A(継ぎ足される方の管)の中に、固定機構16の方から入れ、レーザ溶接ヘッド12に取り付けてある位置決め治具56を内管3の端面に嵌合させる。
回転機構14を作動させサーボモータ40でレーザ溶接ヘッド12を旋回させながら、光ファイバー34に赤色レーザなどの可視光を通し、内管3の内面に向けてレーザ照射を行う。その際、目視によって、レーザスポットの位置が内管3の端部の被溶接部にあるかどうか、ピントが合っているかどうか、を確認する。ピント状態が不整合であれば、レーザ溶接装置10の固定を解除して内管3から取り出し、最初に戻って、反射ミラー33の捻り角度の再調整を行う。レーザスポットの照射位置が不整合であれば、レーザ溶接ヘッド12の胴部ケース30に対する位置決め治具56の取り付け位置を再調整する。
次に、図14において、長い方の二重管1Aの内管3の端部から、レーザ溶接装置10の代わりに、予熱器具80として電磁誘導コイルや予熱ヒータなどを差し込み、管内面を約250℃まで予熱するための準備を行う。これと同時に溶接する相手方の短い二重管1Bの端部からも予熱器具82として電磁誘導コイルや予熱ヒータを差し込んでおく。このとき、短い方の二重管1Bの溶接端部とは反対側からレーザ溶接装置10を管内に入れ、溶接端部より1m程度に近づいた位置まで固定機構14を接近させておくことが好ましい。この状態で、二重管1A、1Bのお互いの溶接する管端部を突き合わせの向きにして、Vブロック等を用いて一直線上に並べてお互いに接近させ、この状態で、二重管1A、1Bの溶接部である管端部の予熱を行う。この予熱を効果的に行うために、二重管1A、1Bの外側を断熱材で覆ったり、管端部を断熱ケースで覆うなどして、予熱過程での放熱を防止する措置を併用するようにしてもよい。
レーザ溶接
次に、予熱器具80、82を取り外した後に、直ちに、短い方の二重管1Bの溶接しない方の管端部から外筒ホース36を送り込むことで、外筒ホース36と繋がっているレーザ溶接装置10を長い方の二重管1Aの内管3の中に押し込み、図15に示されるように、位置決め治具56をレーザ溶接ヘッド12に取り付けてから、固定機構16を作動させて、パッド21を内管3の内周面に押し付け、レーザ溶接ヘッド12の管軸方向の位置を固定する。
Claims (8)
- 管と管の端部を突き合わせ、管の内部から該管の内周面にレーザ光を照射して突き合わせ溶接を行うレーザ溶接装置において、
光ファイバーで導いたレーザ光を反射ミラーで反射させて溶接対象物の管の内周面に照射する光学系を有するレーザ溶接ヘッドと、
前記管の管軸に対して前記レーザ溶接ヘッドの軸線が偏心した位置に該レーザ溶接ヘッドを支持し、前記管軸上にある回転軸回りに前記レーザ溶接ヘッドを旋回させる回転機構と、
前記回転機構と連結され前記管の内周面に押し付け可能なパッドを有する胴部を管軸と同軸に固定するとともに前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する固定機構と、を具備し、
前記回転機構は、前記回転軸に連結され前記レーザ溶接ヘッドを回転軸から偏心した位置に支持する偏心腕と、前記レーザ溶接ヘッドの反射ミラーで反射するレーザ光の反射方向を光学系の光軸回りに回転させて任意の方向に変え、ピントを調整可能なピント調整手段とを備えたことを特徴とするレーザ溶接装置。 - 前記ピント調整手段は、前記反射ミラー、レンズが収容される胴部ケースの端部に形成した雄ねじと、前記胴部ケースの雄ねじに螺合する雌ねじを有し、偏心腕に前記胴部ケースを固定する固定キャップからなることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。
- 前記胴部ケースに接続される光ファイバーは、可撓性のある外筒に収納され、前記外筒は、軸受を有する継手を介して回転可能に前記胴部ケースに接続されたことを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接装置。
- 管と管の端部を突き合わせ、管の内部から該管の内周面にレーザ光を照射して突き合わせ溶接を行うレーザ溶接装置において、
光ファイバーで導いたレーザ光を反射ミラーで反射させて溶接対象物の管の内周面に照射する光学系を有するレーザ溶接ヘッドと、
前記管の管軸に対して前記レーザ溶接ヘッドの軸線が偏心した位置に該レーザ溶接ヘッドを支持し、前記管軸上にある回転軸回りに前記レーザ溶接ヘッドを旋回させる回転機構と、
前記回転機構と連結され前記管の内周面に押し付け可能なパッドを有する胴部を管軸と同軸に固定するとともに前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する固定機構と、
前記レーザ溶接ヘッドが嵌合する穴を有し、前記レーザ溶接ヘッドを保持する一対の半割構造の治具本体を有し、溶接対象の管の端部に着脱自在に嵌合して前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めする位置決め治具と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接装置。 - 管と管の端部同士を突き合わせ、管の内部から該管の内周面にレーザ光を照射して突き合わせ溶接を行うレーザ溶接方法において、
光ファイバーで導いたレーザ光を反射ミラーで反射させて溶接対象物の管の内周面に照射する光学系を有するレーザ溶接ヘッドと、前記管の管軸に対して前記レーザ溶接ヘッドの軸線が偏心した位置に該レーザ溶接ヘッドを支持し、前記管軸上にある回転軸回りに前記レーザ溶接ヘッドを旋回させる回転機構と、前記回転機構と連結され前記管の内周面に押し付け可能なパッドを有する胴部を管軸と同軸に固定するとともに前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めする固定機構と、を有するレーザ溶接装置を準備する工程と、
前記レーザ溶接装置を一方の管の中の管端部近くに収容し、前記固定機構によって前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する工程と、
前記レーザ溶接ヘッドから管の内周面にレーザ光照射の試行を行い、レーザスポットの照射位置、ピント状態の事前調整を行う工程と、
前記固定機構を開放して前記レーザ溶接装置を前記一方の管内から取り出して前記他方の管内に退避させ、前記一方の管および他方の管のそれぞれ管端部から予熱手段を入れてから、前記管同士を突き合わせの向きに接近させ、前記予熱手段により前記管端部の予熱を行う工程と、
前記レーザ溶接装置を他方の管から一方の管に押し込み、前記固定機構によってレーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めし、両方の管を突き合わせ、前記回転機構により前記レーザヘッドを旋回させながらレーザ光を溶接部の内周面に照射してレーザ溶接を行う工程と、
溶接終了後に管内からレーザ溶接装置を回収する工程と、からなり、
前記レーザ溶接を行う工程では、前記溶接部の内周面に対して入射するレーザ光と前記内周面とがなす周方向の角度が鈍角となっている方向に、前記レーザ溶接ヘッドを旋回させながら、突き合わせ溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 管と管の端部同士を突き合わせ、管の内部から該管の内周面にレーザ光を照射して突き合わせ溶接を行うレーザ溶接方法において、
光ファイバーで導いたレーザ光を反射ミラーで反射させて溶接対象物の管の内周面に照射する光学系を有するレーザ溶接ヘッドと、前記管の管軸に対して前記レーザ溶接ヘッドの軸線が偏心した位置に該レーザ溶接ヘッドを支持し、前記管軸上にある回転軸回りに前記レーザ溶接ヘッドを旋回させる回転機構と、前記回転機構と連結され前記管の内周面に押し付け可能なパッドを有する胴部を管軸と同軸に固定するとともに前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めする固定機構と、を有するレーザ溶接装置を準備する工程と、
前記レーザ溶接装置を一方の管の中の管端部近くに収容し、前記固定機構によって前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する工程と、
前記レーザ溶接ヘッドから管の内周面にレーザ光照射の試行を行い、レーザスポットの照射位置、ピント状態の事前調整を行う工程と、
前記固定機構を開放して前記レーザ溶接装置を前記一方の管内から取り出して前記他方の管内に退避させ、前記一方の管および他方の管のそれぞれ管端部から予熱手段を入れてから、前記管同士を突き合わせの向きに接近させ、前記予熱手段により前記管端部の予熱を行う工程と、
前記レーザ溶接装置を他方の管から一方の管に押し込み、前記固定機構によってレーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めし、両方の管を突き合わせ、前記回転機構により前記レーザヘッドを旋回させながらレーザ光を溶接部の内周面に照射してレーザ溶接を行う工程と、
溶接終了後に管内からレーザ溶接装置を回収する工程と、からなり、
前記ピント状態の事前調整を行う工程では、前記レーザ溶接装置を管に固定する前に、前記管の内径を計測し、レーザ溶接ヘッドの照射ノズルから照射点までの距離を調整し、前記レーザ溶接ヘッドの反射ミラーで反射するレーザ光の反射方向を光学系の光軸回りに回転させて任意の方向に変えピントをあらかじめ調整しておくことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 管と管の端部同士を突き合わせ、管の内部から該管の内周面にレーザ光を照射して突き合わせ溶接を行うレーザ溶接方法において、
光ファイバーで導いたレーザ光を反射ミラーで反射させて溶接対象物の管の内周面に照射する光学系を有するレーザ溶接ヘッドと、前記管の管軸に対して前記レーザ溶接ヘッドの軸線が偏心した位置に該レーザ溶接ヘッドを支持し、前記管軸上にある回転軸回りに前記レーザ溶接ヘッドを旋回させる回転機構と、前記回転機構と連結され前記管の内周面に押し付け可能なパッドを有する胴部を管軸と同軸に固定するとともに前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めする固定機構と、を有するレーザ溶接装置を準備する工程と、
前記レーザ溶接装置を一方の管の中の管端部近くに収容し、前記固定機構によって前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する工程と、
前記レーザ溶接ヘッドから管の内周面にレーザ光照射の試行を行い、レーザスポットの照射位置、ピント状態の事前調整を行う工程と、
前記固定機構を開放して前記レーザ溶接装置を前記一方の管内から取り出して前記他方の管内に退避させ、前記一方の管および他方の管のそれぞれ管端部から予熱手段を入れてから、前記管同士を突き合わせの向きに接近させ、前記予熱手段により前記管端部の予熱を行う工程と、
前記レーザ溶接装置を他方の管から一方の管に押し込み、前記固定機構によってレーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を位置決めし、両方の管を突き合わせ、前記回転機構により前記レーザヘッドを旋回させながらレーザ光を溶接部の内周面に照射してレーザ溶接を行う工程と、
溶接終了後に管内からレーザ溶接装置を回収する工程と、からなり、
前記レーザ溶接ヘッドの管軸方向の位置を固定する工程では、前記前記レーザ溶接ヘッドが嵌合する穴を有し、前記レーザ溶接ヘッドを保持する一対の半割構造の位置決め治具を用い、前記レーザ溶接ヘッドからの照射点が溶接部に位置するように管軸方向の位置決めすることを特徴とするに記載のレーザ溶接方法。 - 前記管は、内管と外管の隙間に網状の組網線が挟み込まれた高速増殖炉の蒸気発生器等で使用される二重管であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかの項に記載のレーザ溶接方法。
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