JP5710153B2 - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子の製造方法に関し、特に、圧電素子を構成する圧電薄膜層の結晶配向を制御する技術に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3、以下PZTという)は、強誘電性を有するためFeRAMの材料として利用されている。また、PZTは、圧電性をも有するため圧電素子(例えば、MEMSセンサーや、光走査装置等のアクチュエータ)を構成する圧電薄膜層の材料としても利用されている(以下PZTからなる圧電薄膜層をPZT圧電薄膜層という)。
一般的に、圧電素子は、シリコン等の基板上に、下部電極層、PZT圧電薄膜層及び上部電極層を順次積層して構成されるものである。PZT圧電薄膜層は、その結晶の電気分極を利用して圧電機能を発揮するので、基板上に成膜する時にその結晶の配向を適切に制御することにより、その圧電性能を高めることができる。理論的には、PZT圧電薄膜層を(001)面又は(100)面配向させると、圧電素子の圧電性能を最高にすることができることが知られている。ところで、シリコン基板等の表面を熱酸化した基板に白金(Pt)の下部電極層を成膜し、その上に直接PZT圧電薄膜層を形成した場合、PZT圧電薄膜層の結晶は(111)面配向されてしまうことが知られている。このため、近年、PZT圧電薄膜層が(001)面又は(100)面配向するように、PZT圧電薄膜層の結晶の配向を制御可能な様々な、圧電素子の製造方法が提案されている。
この種の圧電素子の製造方法としては、例えば、特許文献1等に記載されたものがある。特許文献1に記載された圧電素子の製造方法は、(100)面が表面にでるように切り出した酸化マグネシウム(MgO)からなる特殊な単結晶の基板上に、(100)面配向した白金からなる下部電極層を形成し、この下部電極層上に、その表面に対して垂直方向に(001)面を優先配向したPZT圧電薄膜層を形成する構成である。また、別の製造方法としては、SrRuO、IrO、RuO、LaNiO、LaSrCoO等の特殊な酸化物を下部電極層として使用し、PZT圧電薄膜層の結晶配向を制御する構成のものもある。
特開平10−209517号公報
しかしながら、上述の特許文献1等に記載されるような従来の圧電素子の製造方法は、圧電素子を形成する基板として、酸化マグネシウムからなる特殊な単結晶基板を用いる構成である。この酸化マグネシウムからなる単結晶基板は、通常圧電素子を形成する基板として使用されるシリコン基板と比較して高価なものであるため、圧電素子の製造コストが高くなっていた。また、上述したSrRuO等の特殊な酸化物を下部電極層として使用する場合、通常電極として一般的に使用される白金を成膜する場合と比較すると、プロセスが複雑になるため、圧電素子の製造コストが高くなっていた。
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、特殊な材料からなる基板及び電極を用いることなく、PZT圧電薄膜層の結晶配向の制御を適切に行うことが可能な圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による圧電素子の製造方法は、シリコン基板上酸化膜上にチタンと白金を順次積層して下部電極層を形成、上記下部電極層の表面に形成した上記白金からなるヒロックを成長核とする(100)面配向のチタン酸鉛からなるシード層上に、(001)又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電薄膜層上部電極層を順に形成上記シード層の膜厚調整により圧電薄膜層の(001)又は(100)面配向のピーク強度を極大化する構成とする。
このような構成により、シリコン基板上酸化膜上にチタンと白金からなる下部電極層を形成し、上記下部電極層の表面に形成した白金からなるヒロックを形成し、該下部電極層上にヒロックを成長核として、(100)面配向のチタン酸鉛からなるシード層を形成し、該シード層上に(001)又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電薄膜層を形成し、該圧電薄膜層上に上部電極層を形成する。そして、圧電薄膜層の(001)又は(100)面配向のピーク強度は、シード層の膜厚調整により極大化されている。
本発明の圧電素子の製造方法によれば、シリコン基板上に、酸化膜と、チタン及び白金からなる下部電極層と、シード層とを介して、(001)面又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電薄膜層を形成することができる。したがって、酸化マグネシウム等の特殊な基板や、特殊な酸化物からなる電極層を用いることなく、PZT圧電薄膜層の結晶配向の制御を適切に行うことができる。このように、特殊な材料からなる基板や電極を用いないため、製造コストを高めることなく結晶配向が適切に制御されたPZT圧電薄膜層を有した圧電素子を製造することができる。また、圧電薄膜層の(001)又は(100)面配向のピーク強度は、シード層の膜厚に依存するため、シード層の膜厚を適切に調整することによって、(001)又は(100)面配向の圧電薄膜層をより適切に形成することができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法の一実施形態を説明する製造工程図である。 図1に続く製造工程の説明図である。 本実施形態の製造方法により作製されたPZT圧電薄膜層のX線回折パターンを示す図で、(a)はシード層の成膜時間が0minの場合、(b)は0.5minの場合、(c)は1minの場合、(d)は1.5minの場合、(e)は2minの場合、(f)は4minの場合、(g)は6minの場合を示す。 本発明の圧電素子の製造方法を適用して作製した光走査装置の一例を示す平面図である。 図4のX−Y矢視断面図である。
以下、本発明に係る圧電素子の製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、圧電素子の製造工程(a)〜(d)を示すものであり、図2は、図1に続く製造工程(e)〜(g)を示すものである。尚、図1(a)は、圧電素子を形成するベースとなる基板の断面図であり、以降図1(b)〜図1(d)及び図2(e)〜図2(g)の図は、図1(a)に示す基板上に各工程の成膜物が積層等されている状態を示す。以下の説明において、圧電素子100とは、後述する下部電極層、シード層、圧電薄膜層及び上部電極層で構成されたものを示す。
本実施形態における圧電素子の製造方法は、シリコン基板を準備する工程(a)と、シリコン基板上に、酸化膜を形成する工程(b)と、酸化膜上に、チタンと白金を順次積層して下部電極層を形成する工程(c)と、下部電極層の表面に、上記白金からなるヒロックを形成する工程(d)と、下部電極層上に、ヒロックを成長核として、(100)面配向のチタン酸鉛からなるシード層を形成する工程(e)と、シード層上に、(001)面又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電薄膜層(PZT圧電薄膜層)を形成する工程(f)と、圧電薄膜層上に、上部電極層を形成する工程(g)と、を有して構成される。
以下に本実施形態における上記各工程について説明する。
工程(a)では、圧電素子を形成する基板として、例えば、SOI基板101を準備する。SOI基板101は、酸化膜(SiO)層102をシリコン層103で挟んだサンドイッチ構造であり、例えば、厚みは上側シリコン層20μm、SiO膜1μm、下側シリコン層400μm、大きさは2.0×2.0cmである。
工程(b)では、用意したSOI基板101の両面に、熱酸化によってシリコンの酸化膜(SiO2膜)104,104を形成する。
工程(c)では、例えば、スパッタ法を用いて、320℃に加熱したSOI基板101の酸化膜(SiO2膜)104上に、チタン層110(例えば厚さ20nm)と白金層120(例えば厚さ240nm)を順次積層して下部電極層130を形成する。ここで、酸化膜104に対して白金の密着性は不十分であるが、酸化膜104と白金層120との間に、チタン層110を介在させることにより、チタン層110内のチタンが、酸化膜104及び白金層120へ拡散することで良好な密着性を確保することができる。なお、この工程(c)後の下部電極層130の表面(すなわち、白金層120)は、(111)面配向されている。
ここで、上記条件で下部電極層130を形成した後、下部電極層130の表面をAFM(原子間顕微鏡)によって観察して表面粗さを計算すると、算術平均粗さ(Ra)は0.750nm、十点平均粗さ(Rz)は3.695nm、最大山高さ(Rp)は3.107nm、最大谷深さ(Rv)は2.544nm、最大高さ(Ry=Rp+Rv)は5.651nmであった。ここで、上記Ra、Rz、Rp、Pv及びRyは、それぞれJIS B0601:1994に基づいて定義される表面粗さのパラメータである。
工程(d)では、下部電極層130の表面に、白金からなるヒロック(丘状突起物)135を形成する。具体的には、酸素雰囲気中で、酸化膜104及び下部電極層130が成膜されたSOI基板101を、例えば、後述する工程(e)及び工程(f)で用いる有機金属化学気相蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を利用したMOCVD装置の加熱ステージ上で、約700℃で20分間熱処理を行う。このように熱処理を行って、下部電極層130の表面に従来好ましくないものとして扱われていたヒロック135を下部電極層130の表面全体に積極的に形成する。ここで、前述したように工程(c)において、下部電極層130は(111)面配向されているが、本工程(d)によって下部電極層130の表面に生成されたヒロックは、(100)面配向である。このヒロックにより下部電極層130の表面を(100)面配向にすることができる。なお、熱処理はMOCVD装置内で行うものとしたが、他の装置で行ってもよい。また、熱処理の条件は、上述した約700℃20分間に限らず、例えば、650℃で40分間、750℃で10分間等でもよく、熱処理温度を低くする場合は熱処理時間を長くし、熱処理温度を高くする場合は熱処理時間を短くすることができる。なお、図1(d)は、熱処理された後の下部電極層130の表面の状態を模式的に表した図である。実際は、下部電極層130の表面は、図1(d)に示すように平坦ではなく、全体に丘状突起物が形成された状態となっている。
一般的に知られている上記ヒロック135の発生原理を以下に概略説明する。上記熱処理により、チタン層110内のチタンが白金層120内に拡散し、白金層120内に拡散したチタンが、酸化チタン(TiO2)になり体積が倍程度になる。その結果、白金層120内の白金が酸化チタンによって表面に追いやられ、白金層120の表面にヒロック135が発生する。
前述した条件(700℃20分間)の熱処理によってヒロック135が形成された下部電極層130の表面をAFMによって観察して表面粗さを計算させると、算術平均粗さ(Ra)は1.015nm、十点平均粗さ(Rz)は7.861nm、最大山高さ(Rp)は5.940nm、最大谷深さ(Rv)は4.043nm、最大高さ(Ry)は9.983nmであった。
工程(e)では、下部電極層130上に、ヒロック135を成長核として、(100)面配向のチタン酸鉛(PbTiO)からなるシード層140を形成する。具体的には、MOCVD装置を用いてシード層140を形成する。
ここで、MOCVD装置について、簡単に説明する。薄膜原料を高温中で反応させて基板上に成膜するCVDプロセスのうち、特にその原料に有機金属を用いる方法を有機金属化学気相蒸着法(MOCVD法)と呼ぶ。このMOCVD法をもちいた成膜装置を一般的にMOCVD装置という。MOCVD装置は、成膜原料となる金属錯体を原料槽に入れて液体状態になるようにヒーターで加熱し、さらに気化させ、気化した原料ガスを、配管を通じて反応室へと運び、この気化した原料を加熱ステージ上の基板上に蒸着させて成膜を行うものである。また、MOCVD装置は、反応室へ流量制御された酸素を供給する配管及び各原料槽と反応室との間の配管には流量を制御する流量制御バルブを備えており、この酸素及び各原料の流量を適切に制御することにより所望の成膜を行うことができるように構成されている。
本実施形態におけるMOCVD装置は、Pb、Zr、Tiの原料槽(工程(e)においては、Zrは不要である)を備え、原料ガスを反応室へ運ぶキャリアガスとしてはアルゴン(Ar)ガスを用いている。本工程(e)においては、例えば、加熱ステージの温度を約300〜500℃とし、Pb及びTi等の流量を適切に調整してチタン酸鉛の成膜速度を3.5nm/minに設定する。そして、成膜時間を調整して所定の厚みのシード層140を、下部電極層130上にヒロックを成長核として(100)面配向させて形成する。この(100)面配向されたシード層140により、後述するPZT圧電薄膜層150を(001)面又は(100)面配向させて成長させることができる。ここで、下部電極層130上に、直接PZT圧電薄膜層150を形成すると、PZT圧電薄膜層形成の初期にジルコニウムの酸化物(ZrO2)からなる結晶性の低い層が形成されてしまうことが知られている。上記シード層140は、ジルコニウムが存在しないため、ZrO2の形成を防ぐことができる。このように、ヒロックを成長核として(100)面配向させたチタン酸鉛からなるシード層140は、PZT圧電薄膜層150の結晶配向を制御することができる共に、結晶性の低い層の形成を防止して、より結晶性の高いPZT圧電薄膜層150の形成を可能にすることができる。なお、ZrO2の形成を防止するシード層を形成すること自体は、従来から通常行われていることであるため、本工程(e)により製造工程が、従来の製造工程と比較して複雑になることはない。
工程(f)では、シード層140上に、(001)面又は(100)面配向のPZT圧電薄膜層150を形成する。具体的には、上記MOCVD装置を用いて、例えば、加熱温度を約650℃とし、Pb、Zr及びTi等の流量を適切に調整して、PZTの成膜速度を6.5nm/min、成膜時間を60minとし、厚さ390nmのPZT圧電薄膜層150を形成する。このようにして、(100)面配向のシード層140により、PZT圧電薄膜層150を(001)面又は(100)面配向させて成膜することができる。
工程(g)では、スパッタ法等を用いて、圧電薄膜層150上に、例えば白金からなる上部電極層160(例えば240nm)を形成する。以上の工程により、下部電極層130、シード層140、圧電薄膜層150及び上部電極層160で構成される圧電素子100を形成する。
このような構成により、本実施形態に係る圧電素子の製造方法は、一般的な材料からなるSOI基板101及び下部電極層130を用い、下部電極層130の表面に従来好ましくないものとされていた白金からなるヒロック135を積極的に形成し、このヒロック135を利用して、(001)面又は(100)面配向のPZT圧電薄膜層150を形成することができる。したがって、酸化マグネシウム等の特殊な基板や、特殊な酸化物からなる電極層を用いることなく、PZT圧電薄膜層の結晶配向の制御を適切に行うことができる。このように、特殊な材料からなる基板や電極層を用いないため、製造コストを高めることなく結晶配向が適切に制御されたPZT圧電薄膜層を有した圧電素子を製造することができる。
また、本実施形態のように、シード層140及びPZT圧電薄膜層150の形成をMOCVD装置で行う場合は、工程(d)〜工程(f)までを一つの装置で行うことができるという利点がある。すなわち、圧電薄膜層150を成膜するMOCVD装置は、Pb、Zr、Tiの原料槽、各原料等の供給配管及び各流量制御バルブを備えており、シード層140の成膜に必要な原料槽、供給配管及び流量制御バルブも含まれているため、シード層140及び圧電薄膜層150の成膜を一つの装置で行うことができ、さらに、ヒロック135の生成も、加熱ステージ上でできる。また、シード層140及びPZT圧電薄膜層150の形成をMOCVD装置で行う場合は、前述した流量制御バルブ及び加熱ステージの温度を適切に調整等するだけで、工程(d)〜工程(f)の工程切替えを行うことができるため、工程切替えの作業が容易になるという利点もある。
次に、前述した工程(e)におけるシード層140の成膜時間を0〜6minの範囲で調整して、シード層140成膜厚さを変化させた場合の、(001)面又は(100)面配向のPZT圧電薄膜層150のピーク強度が、どのように変化するかを、図3に基づいて説明する。
図3(a)〜図3(g)は、本実施形態の製造方法により作製されたPZT圧電薄膜層150のX線回折パターンを示す図で、(a)はシード層140の成膜時間が0minの場合、(b)は0.5minの場合、(c)は1minの場合、(d)は1.5minの場合、(e)は2minの場合、(f)は4minの場合、(g)は6minの場合である。本実施形態においては、工程(e)で説明したように、シード層140(チタン酸鉛)の成膜速度は3.5nm/minとしているので、シード層140の厚みは、(a)では0nm、(b)では1.75nm、(c)では3.5nm、(d)では5.25nm、(e)では7nm、(f)では14nm、(g)では21nm、である。図3に示すように、(a)ではPZT(001)又は(100)面配向のピークは検出されず、膜厚が厚くなると、(c)において、PZT(001)又は(100)面配向のピーク強度が急激に増し、さらに膜厚が厚くなるにつれて、PZT(001)又は(100)面配向のピーク強度は低下していることが分かる。このように、PZT(001)又は(100)面配向のピーク強度は、シード層140の膜厚に依存している。したがって、シード層140の膜厚を適切に調整することによって、(001)面又は(100)面配向のPZT圧電薄膜層150をより適切に形成することが可能となる。例えば、本実施形態においては、シード層140は、3.5〜4.0nm程度の厚みで成膜するとよい。この厚さは、前述したように、ヒロック135形成後の下部電極層130の表面の十点平均粗さ(Rz)の値(7.861nm)の半分程度の値である。このように、シード層140は、ヒロック135形成後の下部電極層130の表面の十点平均粗さ(Rz)の値の略半分の厚みで形成するとよい。
また、上記全ての説明において、基板はSOI基板を用いた場合で説明したが、SOI基板に限らず、シリコンの単結晶基板を用いてもよい。
また、シード層140及びPZT圧電薄膜層150は、MOCVD装置を用いて形成する場合で説明したが、これに限らず、スパッタ法によって行ってもよい。この場合でも、PZT圧電薄膜層150のターゲットとしてPb、Zr、Tiを用意しておけば、シード層140のターゲットとしても利用可能である。
次に、本発明の圧電素子の製造方法を適用して作製した光走査装置の一例について説明する。図4は、上記光走査装置の平面図である。
図4において、光走査装置1は、光ビームを反射するミラー部2と、このミラー部の周囲に配置した4つの可動支持体3A〜3Dと、この4つの可動支持体3A〜3Dの周囲を囲む固定枠部4とを備え、可動支持体3A〜3Dの内側に、トーションバー5、6を介してミラー部2を回動可能に軸支し、固定枠部4の内側に、トーションバー5、6と軸方向が直交する連結部7A〜7Dにより可動支持体3A〜3Dを回動可能に軸支する構成である。これらミラー部2、可動支持体3A〜3D、固定枠部4、トーションバー5、6及び連結部7A〜7Dは、半導体基板として、例えば、酸化膜(SiO)層12をシリコン層11で挟んだサンドイッチ構造のSOI(Silicon-on-insulator)基板(図5に示す)を用いて一体に形成される。
前記ミラー部2は、円形状に形成され、図4のX−Y矢視断面図である図5に示すように、SOI基板表面に形成した酸化膜(SiO)12上に、光ビームを反射するミラー2Aが積層形成されている。本例では、ミラー2Aは、後述する圧電部20の金属薄膜で構成される下部電極層21と同じ金属薄膜で形成したが、別の金属素材を用いて形成してもよいことは言うまでもない。
前記4つの可動支持体3A〜3Dは、前記ミラー部2を回動可能に支持する支持体としての役割を有すると共に、それぞれに前記圧電部20を備えてミラー部2を駆動する圧電駆動部としても機能するものである。可動支持体3A〜3Dは、円形状のミラー部2と同心でそれぞれ円弧状に形成され、図5に示すようにSOI基板表面の酸化膜12上に圧電部20が形成されている。圧電部20は、前述した本発明の圧電素子の製造方法により製造された圧電素子100からなり、下部電極層21、シード層22、圧電薄膜層23及び上部電極層24の積層構造である。すなわち、下部電極層21は、チタン(Ti)層21aと白金(Pt)層21bで形成されており、下部電極層21の表面(すなわち白金層21bの表面)には、ヒロックが生成されている。シード層22は、上記ヒロックを成長核として形成された(100)面配向のチタン酸鉛からなるものである。圧電薄膜層23は、(001)面又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成され、上部電極層24は、例えば白金(Pt)で形成されている。
ミラー部2と4つの可動支持体3A〜3Dを連結するトーションバー5、6のミラー部側端部は、ミラー部2にその周縁部から中央に向けて切込み8を設けてミラー部2の周縁部より中央部寄りでミラー部2と連結している。こうすることにより、トーションバー5、6の長さを、可動支持体3A〜3Dとミラー部2間の距離よりも長くしてトーションバー5、6に柔軟性を持たせると共に、ミラー部2とトーションバー5、6の連結部分に作用する応力を緩和するようにしている。また、トーションバー5、6の可動支持体側端部は、二股状に分割形成し、一方のトーションバー5は、2つの可動支持体3Aと3Bの互いに近接する端部の内側角部に連結し、他方のトーションバー6は、2つの可動支持体3Cと3Dの互いに近接する端部の内側角部に連結している。
前記固定枠部4は、その内側にミラー部2及び可動支持体3A〜3Dと同心の円形状の開口を有し、この開口部分に可動支持体3A〜3Dを支持している。固定枠部4の表面は前述した圧電部20の下部電極層21で覆われている。
固定枠部4と可動支持体3A〜3Dを連結する連結部7A〜7Dは、トーションバーの機能を有するように形成され、その可動支持体側は、トーションバー5、6と軸方向が直交するように各可動支持体3A〜3Dのトーションバー5、6が連結している前記内側角部と対角位置にある各外側角部にそれぞれ連結している。そして、固定枠部4の例えば4隅には、各可動支持体3A〜3D上の各圧電部20に外部回路から駆動信号を供給するため4つの電極端子9A〜9Dが形成されている。
本例の光走査装置1では、4つの可動支持体3A〜3Dにそれぞれ形成した4つの圧電部20のうち少なくとも1つに、電極端子9A〜9Dを介して上部電極層24と下部電極層21に交流駆動信号を印加すると、可動支持体3A〜3Dに設けた圧電薄膜層23が収縮する。印加する交流駆動信号の周波数を、ミラー部2、可動支持体3A〜3D、トーションバー5、6及び連結部7A〜7Dの可動部分におけるトーションバー5、6回りの固有振動数に対応する共振周波数とすると、ミラー部2がトーションバー5、6を軸として揺動する。また、4つの圧電部20のうち少なくとも1つに、印加する交流駆動信号の周波数を、ミラー部2、可動支持体3A〜3D、トーションバー5、6及び連結部7A〜7Dの可動部分における連結部7A〜7D回りの固有振動数に対応する共振周波数とすると、連結部7A〜7Dを軸として可動支持体3A〜3Dとミラー部2が一体となって揺動する。更に、トーションバー5、6回りの固有振動数に対応する共振周波数と連結部7A〜7D回りの固有振動数に対応する共振周波数の交流駆動信号を、4つの圧電部20のうち少なくとも2つにそれぞれ同時に印加した場合には、ミラー部2は、トーションバー5、6回りに揺動すると共に、同時に連結部7A〜7D回りに揺動する。
従って、4つの圧電部20のうち少なくとも1つに、トーションバー5、6回りの固有振動数に対応する共振周波数の交流駆動信号を印加するか、或いは、連結部7A〜7D回りの固有振動数に対応する共振周波数の交流駆動信号を印加すると、ミラー部2のミラー2Aで反射した反射光ビームを一次元的に走査できる。また、前述の各固有振動数にそれぞれ対応した各共振周波数の交流駆動信号を、少なくとも2つの圧電部20にそれぞれ同時に印加した場合、ミラー部2のミラー2Aで反射した反射光ビームは、トーションバー5、6回りの揺動モードと連結部7A〜7D回りの揺動モードが複合したリサージュ走査となり、光ビームを2次元走査できる。
次に、上記光走査装置の製造方法の一例を簡単に説明する。まず、前述した圧電素子の製造方法を適用して作製した図2(g)に示す圧電素子100の上部電極層160上に、レジストを塗布し、露光、現像を行って上部電極層160、PZT圧電薄膜層150及びシード層140のエッチング用マスクパターンを形成し、このマスクパターンにより圧電部20形成部分をマスクしてRIE(Reactive Ion Etching)により上部電極層、圧電薄膜層及びシード層をエッチングし、マスクパターンを除去する。これにより、電極端子9A〜9Dから連結部7A〜7Dを経由して可動支持体3A〜3Dに亘る圧電部20形成部分以外の上部電極層160、PZT圧電薄膜層150及びシード層140を除去し、電極端子9A〜9Dから連結部7A〜7Dを経由して可動支持体3A〜3Dに亘る圧電部20を形成する。次に、下部電極層130上に、レジストを塗布し、露光、現像を行って下部電極層130、SOI基板101上の酸化膜104、シリコン層103のエッチング用マスクパターンを形成し、このマスクパターンにより、圧電部20、トーションバー5,6及びミラー部2の各形成部分をマスクしてRIEにより下部電極層130、酸化膜104及びシリコン層103をエッチングし、マスクパターンを除去する。これにより、下部電極層130をミラーとするミラー部2、トーションバー5、6、可動支持体3A〜3D及び連結部7A〜7Dからなる可動部分に相当する部分を形成する。最後に、裏面側の酸化膜104に、レジストを塗布し、露光、現像を行って、裏面側の酸化膜104及びシリコン層103、酸化膜層102、のエッチング用マスクパターンを形成し、このマスクパターンにより、固定枠部に相当する部分をマスクしてRIEにより裏面側の酸化膜104及びシリコン層103、酸化膜層102を順次エッチングし、マスクパターンを除去する。これにより、図4に示す本例の光走査装置1が完成する。
100 圧電素子
101 SOI基板(シリコン基板)
104 酸化膜
110 チタン層
120 白金層
130 下部電極層
135 ヒロック
140 シード層
150 圧電薄膜層(PZT圧電薄膜層)
160 上部電極層

Claims (5)

  1. シリコン基板上の酸化膜上にチタンと白金を順次積層して下部電極層を形成し、
    上記下部電極層の表面に形成した上記白金からなるヒロックを成長核とする(100)面配向のチタン酸鉛からなるシード層上に、(001)又は(100)面配向のチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電薄膜層と上部電極層を順に形成し、
    上記シード層の膜厚調整により圧電薄膜層の(001)又は(100)面配向のピーク強度を極大化する圧電素子の製造方法。
  2. 上記ヒロックは、酸素雰囲気中で、上記酸化膜及び下部電極層が形成されたシリコン基板熱処理を行って形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
  3. 前記熱処理は、約700℃で約20分間行うことを特徴とする請求項2に記載の圧電素子の製造方法。
  4. 上記シード層は、上記ヒロック形成後の下部電極層の表面の十点平均粗さの値の略半分の厚みで形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧電素子の製造方法。
  5. 上記シード層及び上記圧電薄膜層は、有機金属化学気相蒸着法を用いて形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の圧電素子の製造方法。
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