JP5708472B2 - マグネトロンスパッタリングカソード及びこれを備えたスパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スパッタリングターゲットの使用効率の向上を企図したマグネトロンスパッタリングカソード及びこれを備えたスパッタリング装置に関し、更にこのスパッタリング装置を使用したスパッタリング方法に関する。
近年、携帯電話等の電子機器に使用されるフレキシブル基板の配線はますます微細化する傾向にあり、これに伴ってフレキシブル基板の成膜工程にはより厳しい品質管理が求められている。フレキシブル基板は、一般に真空チャンバー内にマグネトロンスパッタリングカソードを備えたスパッタリング装置で成膜されるが、その際、マグネトロンスパッタリングカソードのスパッタリングターゲットからたたき出されるスパッタリング粒子は、フレキシブル基板の基材の表面のみならず、真空チャンバーの内壁部等に堆積することがある。
この堆積物は何らかの要因で剥離し、その剥離物の一部が基材に付着して半導体素子やフレキシブル基板の配線に短絡などを起こしたり、歩留まりを低下させたりする問題が生じていた。特に、近年は問題となる剥離物のサイズも数μm以下と微細になってきており、この微細な剥離物の発生を抑制することが重要な課題になっている。
一般的に、マグネトロンスパッタリングカソードは、磁気発生機構と冷却機構とを内部に備えた筐体でスパッタリングターゲットを支持する構造になっており、支持したスパッタリングターゲットを効率よく冷却すべく、スパッタリングターゲットを筐体に押さえつけて固着させる治具が用いられている。このような固着治具は、当然のことながらスパッタリングターゲットの極近傍に位置しているためスパッタリング粒子の堆積量も多く、これによる剥離物の発生も少なくない。
かかる固着治具へのスパッタリング粒子の堆積やその剥離物の発生を抑制するため、従来から様々な構造が提案されている。例えば特許文献1〜3には、スパッタリングターゲットを押さえつける固着治具に、ターゲット面に対して傾斜させたテーパー面を備えた治具を用いる技術が示されている。しかしながら、これらの特許文献に示される固着治具は、そのテーパー面がスパッタリング粒子の発生するターゲット面を臨むように取り付けられているため、当該テーパー面へのスパッタリング粒子の堆積を十分に防止することは出来なかった。
また、特許文献2の固着治具は、そのターゲット側端部にArイオンの衝突が起きることを企図して設置されたものであるため、当該固着治具がスパッタリングターゲットとは異種の素材である場合、固着治具から発生するスパッタリング粒子が不純物となって、製品となるフレキシブル基板の品質を更に低下させるおそれがあった。
一方、特許文献4には、スパッタリングターゲットの端部に段状部を形成し、この段状部を固着治具で固定する方法が示されている。しかしながら、この特許文献4の固定方法は、熱膨張で生じうる変形や溶融破損の問題を防止する技術については記載されているものの、上記したような堆積物の剥離や固着治具がスパッタリングされることにより生じる薄膜への不純物混入の問題については考察されていない。
特開平06−145971号公報 特開平05−093266号公報 特開昭61−012865号公報 特開2003−226967号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、磁気発生機構と冷却機構とを内部に備えたマグネトロンスパッタリングカソードの筐体にスパッタリングターゲットを固着させる固着治具に対して、スパッタリング粒子の堆積を低減させてその剥離物が基材に付着するのを防止することと、固着治具がスパッタリングされてスパッタリング膜に不純物が混入するのを防止することとを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供するマグネトロンスパッタリングカソードは、スパッタリングターゲットを支持すると共に内部に外側磁極及びこれとは異極の内側磁極で構成される磁気発生機構を収納する筐体と、該スパッタリングターゲットをその縁部に形成した段状部において押さえつけて該筐体に固着させる固着治具とからなるマグネトロンスパッタリングカソードであって、前記固着治具は前記スパッタリングターゲットの被スパッタリング面よりも前記筐体側に位置しており、前記被スパッタリング面に直交する方向から見たとき、前記固着治具の前記スパッタリングターゲットの中心側の縁部と、前記外側磁極の前記スパッタリングターゲットの中心側とは反対側の縁部との間が離間しており、前記固着治具の前記段状部に当接する面とは反対側の面が、前記被スパッタリング面に垂直な中心線を望むように傾斜する少なくとも1つのテーパー面を有していることを特徴としている。
本発明が提供する上記マグネトロンスパッタリングカソードは、前記離間している距離が1〜10mmであり、前記スパッタリングターゲットの被スパッタリング面のうち前記固着治具に最も近接する部分に、該被スパッタリング面の縁部に沿って幅1〜3mmの非スパッタリング領域が形成されることが好ましい。また、前記固着治具のうち前記筐体から最も遠くに位置する部分が、前記被スパッタリング面から0.5〜5.0mm前記筐体側に位置していることが好ましい。
本発明によれば、固着治具へのスパッタリング粒子の堆積が少なくなるため、固着治具から剥離する異物を減少させることができ、極めて凹凸の少ない表面を備えたスパッタリング薄膜を基材上に成膜することができる。また、固着治具がスパッタリングされなくなるので、固着治具からのスパッタリング粒子が不純物としてスパッタリング薄膜に混入するのを避けることができる。これにより、純度が高く且つ極めて平坦なスパッタリング薄膜を備えた製品を得ることができる。
本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードの一具体例の断面図である。 図1のマグネトロンスパッタリングカソードにおいて、スパッタリングターゲットにエロージョン領域と非エロージョン領域とが形成された状態を示す断面図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードが有する固着治具の具体例を示す断面図である。 本発明に係るマグネトロンスパッタリングカソードを備えたスパッタリング成膜装置の模式的正面図である。 比較例のマグネトロンスパッタリングカソードの断面図である。
以下、本発明のマグネトロンスパッタリングカソードについて、図1に示す一具体例を参照しながら説明する。この本発明の一具体例のマグネトロンスパッタリングカソード100は、図1に示すように、ハウジング11とベースプレート12とで構成される筐体10内に磁気発生機構20を備えた構造になっている。ハウジング11は上部が開口した略直方体形状を有しており、この開口部分を略矩形板状のベースプレート12がを覆っている。このベースプレート12は、更にスパッタリングターゲット30を支持する役割をも担っている。
ハウジング11の底部は、絶縁部材40を介してアースシールド50の底部51に固定されている。これにより、ハウジング11とベースプレート12とで構成される筐体10は、電気的にアースから切り離されている。尚、アースシールド50には、その底部51の周縁部から壁部52が立設しており、この壁部52によって筐体10及びスパッタリングターゲット30が囲まれている。
磁気発生機構20は、略矩形又は略長円形の環状の外側磁極21と、その内側の中心部分に位置し、外側磁極21の長辺方向に沿ってこれに略平行に配置された内側磁極22とを備えている。これら外側磁極21及び内側磁極22は、互いに極を異にしている。外側磁極21と内側磁極22の間には、必要に応じて中間磁極(図示せず)を設けてもよい。そして、これら磁極は、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30a(ターゲット面とも称する)に平行な磁界を形成するように、磁気ヨーク23の表面に設けられている。
ベースプレート12は、その縁部に設けられたベースプレート押さえ治具60、及びこのベースプレート押さえ治具60とベースプレート12とを貫通してハウジング11に螺合する図示しないボルトによって着脱自在にハウジング11に取り付けられている。また、ベースプレート12とハウジング11との間にはOリング70が配置されている。これにより、マグネトロンスパッタリングカソード100の筐体10内の気密性が確保されると同時に、該マグネトロンスパッタリングカソード100が配されるスパッタリング成膜装置の真空チャンバー内の真空度が維持される。このスパッタリング成膜装置については後に詳細に説明する。
Oリング70は、更にスパッタリング成膜の際に筐体10内の冷媒が真空チャンバー内に流出することを防止する役割も担っている。すなわち、筐体10内には、ベースプレート12を介してスパッタリングターゲット30を冷却すべく冷却水等の冷媒が循環しており、これが真空チャンバー内に漏れ出さないように、ハウジング11とベースプレート12の間がOリング70でシールされている。
上記冷媒によるスパッタリングターゲット30の冷却を効果的に行うべく、スパッタリングターゲット30は、固着治具80によってベースプレート12に固着されている。この固着治具80の構造についてより詳しく説明すると、矩形板状若しくは円板状のスパッタリングターゲット30は、その外縁部に、被スパッタリング面30aからベースプレート12側に1段下がるように形成された段状部30bを有している。この段状部30bにおいてベースプレート12に対向する面とは反対側の面(すなわち、スパッタリング放電側の面)は、前述したベースプレート押さえ治具60におけるベースプレート12に対向する面とは反対側の面と同一面上に位置している。そして、同一面上のこれら両方の面に渡って固着治具80が設けられている。
固着治具80のうちのベースプレート押さえ治具60側端部には貫通孔(図示せず)が設けられており、ここを挿通する図示しないボルトがベースプレート押さえ治具60に螺合している。かかる構造により、固着治具80のうちのスパッタリングターゲット30側端部とベースプレート12との間でスパッタリングターゲット30の段状部30bを挟み込んでいる。これにより、スパッタリングターゲット30は、その被スパッタリング面30a側から筐体10に押さえつけられている。
固着治具80は、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aよりも筐体10側に位置している。換言すれば、固着治具80において、ベースプレート12から最も遠くに位置する部分(図1では固着治具80のうち、段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に対向する面とは反対側の面80a)が、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aよりもベースプレート12側に位置している。
上記ベースプレート12から最も遠くに位置する部分と被スパッタリング面30aとの距離D1は0.5〜5.0mmの範囲内にあるのが好ましい。距離D1をこの範囲内にすることにより、被スパッタリング面30aから放出されるスパッタリング粒子の進行経路から固着治具80が外れるため、この固着治具80へのスパッタリング粒子の堆積が著しく減少する。よって、固着治具80からの堆積物の剥離も著しく減少する。
この距離D1が0.5mm未満の場合は、距離が短すぎて上記効果が得られにくくなる。一方、この距離D1を5.0mmを超えて大きくするには、スパッタリングターゲット30の肉厚を厚くするか、固着治具80の肉厚を薄くする必要がある。しかし、前者の場合はスパッタリングターゲット30から放出する二次電子に作用する磁気発生機構20からの磁力が弱くなるので好ましくなく、後者の場合は固着治具80の強度が弱くなるので好ましくない。
固着治具80は、更に被スパッタリング面30aに直交する方向から見たとき、固着治具80のスパッタリングターゲット30の中心側の縁部80bと、外側磁極21のスパッタリングターゲット30の中心側とは反対側の縁部21aとの間が離間している。この固着治具80の縁部80bと外側磁極21の縁部21aとが離間する距離D2は、1〜10mmの範囲内にあることが好ましく、約5mmがより好ましい。
距離D2を上記範囲内にすることにより、スパッタリングが進行するにつれて、図2に示すように、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外周部にスパッタリングされない非エロージョン領域30cが形成される。例えば、上記した固着治具80の縁部80bと外側磁極21の縁部21aとが離間する距離D2を1〜10mmとすることによりスパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外縁部に沿って幅1〜3mmの非エロージョン領域30cが形成される。このように、被スパッタリング面30aの外周部に非エロージョン領域30cを形成することにより、固着治具80がスパッタリングされるのを確実に防止することができる。
また、距離D2を1〜10mmとすることにより、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aがスパッタリングされてエロージョン領域が掘られていく場合においても、該被スパッタリング面30aの外周部に位置する非エロージョン領域30cは掘られることなくそのまま当初の被スパッタリング面30aの高さを維持する。
その結果、被スパッタリング面30aから放出されるスパッタリング粒子の進行経路から固着治具80がますます外れていく。つまり、スパッタリングが進むに従って被スパッタリング面30aの外周部である非エロージョン領域30cが堤防となり、これが固着治具80へのスパッタリング粒子の堆積を防いで、スパッタリング粒子堆積物の剥離を減少する役割を果たす。
固着治具80をその近傍のスパッタリングターゲット30の縁部の延在方向に垂直な面で切断したときの断面形状は、図3(a)に示すように略矩形でもよいし、図3(b)〜(c)に示すようにスパッタリングターゲット30に向かって先細となるくさび状や台形であってもよい。
あるいは、段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に対向する面とは反対側の面80aが、図3(d)に示すようにスパッタリングターゲット30に向かって徐々に急斜面になるように屈曲するか、又は図3(e)に示すように外側に凸(すなわち、スパッタリング放電側に凸)となるように湾曲しているのが好ましい。特に、上記面80aを湾曲させた場合は、熱膨張によるスパッタリング粒子堆積物への応力集中を少なくし、固着治具80からスパッタリング粒子堆積物の剥離を少なくすることができるのでより好ましい。
以上、本発明のマグネトロンスパッタリングカソードの一具体例について説明したが、マグネトロンスパッタリングカソードは上記した構造に限定されるものではなく、例えば外側磁極21と内側磁極22の間にエロージョンを補正するための中間磁極を設けてもよい。また、環状の外側磁極21に代えて、内側磁極22を両側から挟む1対の棒状の外側磁極を用いてもよい。
ベースプレート12の素材は、スパッタリングターゲット30を十分に冷却できるものであればどのようなものを使用してもよい。一方、スパッタリングターゲット30の材料には、Cu、Ni、Al、Cr、Mn、V、Co、Mo、In、Sn、Zn等の金属、その合金又は酸化物を使用することができる。また、被スパッタリング面30aとは反対側に、上記材料とは異種の金属製のバッキングプレートを設けてもよい。
例えば、銅若しくはニッケル合金製のスパッタリングターゲット板に、このスパッタリングターゲット板の被スパッタリング面より大きな表面を有する銅製のバッキングプレートをロウ付けしたものをスパッタリングターゲット30とすることができる。この場合は、スパッタリングターゲット板とバッキングプレートの表面の大きさの違いを利用して段状部30bを形成することができる。あるいは、上記した異種金属のバッキングプレートを使用せずに、銅若しくはニッケル合金製のスパッタリングターゲット板の縁部を加工して段状部30bを形成してもよい。
上記した本発明のマグネトロンスパッタリングカソードは、スパッタリング成膜装置の真空チャンバー内に配置して使用される。この装置は、長尺状のフレキシブル基材をロール・トゥ・ロールで搬送しながら、その表面にスパッタリングで成膜を行うものである。フレキシブル基材には、例えばPETフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム等の樹脂フィルム、その上に金属や酸化物を積層させた複合フィルム、金属箔等を使用することができる。
図4を参照しながらスパッタリング成膜装置について具体的に説明すると、スパッタリング成膜装置1は、減圧した真空チャンバー2内において長尺状のフレキシブル基材Fを巻出ロール3から巻出し、ガイドロール4や冷却ドラム5で搬送して巻取ロール6に巻取りながら、マグネトロンスパッタリングカソード100により基材Fの表面に成膜を行う。
各マグネトロンスパッタリングカソード100は、スパッタリングターゲットのターゲット面が冷却ドラム5の外周面に対向するように配置する。また、マグネトロンスパッタリングカソード100の長辺方向が、搬送されるフレキシブル基材Fの幅方向と略平行となるように配置する。冷却ドラム5の内部には真空チャンバー2の外部から冷却水等の冷媒が供給される。これにより、成膜の際にフレキシブル基材Fを冷却できるようになっている。更に、隣接するマグネトロンスパッタリングカソード100の間には、スパッタリング粒子の混入や成膜雰囲気ガスの混入を防ぐための仕切板7が設置されている。
上記構成を有するスパッタリング成膜装置1で成膜する際、先ず真空チャンバー2内を真空にしてプロセスガスとして例えばArガスを導入する。この状態でスパッタリングターゲットに電圧を印加すると、スパッタリングターゲットから放出された電子によりArガスがイオン化し、このイオン化されたArガスがスパッタリングターゲットの表面に衝突してスパッタリングターゲットから物質がたたき出される。これにより、スパッタリングターゲットの物質がフレキシブル基材Fの表面に堆積して薄膜が形成される。
[実施例1]
ロール・トゥ・ロール方式のスパッタリング成膜装置を用い、長尺状のフレキシブル基材としてポリイミドフィルムを搬送しながらその表面にスパッタリングにより成膜した。マグネトロンスパッタリングカソードには図1に示すような構造のものを用い、1層目はNiCr合金スパッタリングターゲットを用いて30nm成膜し、2層目はCuスパッタリングターゲットを用いて150nm成膜した。各スパッタリングターゲット30は20mm厚で長辺と短辺の比が5:1の矩形板状のものを使用し、その長辺側の両端の全長に亘って、それぞれ短辺の長さに対して4%の長さ分だけ10mm薄くして厚み10mmの段状部30bを形成した。
固着治具80には、厚さ9.5mmのSUS製の短冊状部材を使用し、固着治具80のうち段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に接する面と反対側の面80aが、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aより0.5mmベースプレート12側に位置する状態(すなわち、D1=0.5mm)でスパッタリングターゲット30を保持固定した。
被スパッタリング面30aに直交する方向から見たとき、外側磁極21においてスパッタリングターゲット30の中心側とは反対側の縁部21aが、固着治具80においてスパッタリングターゲット30の中心側の縁部80b(図1では、この縁部80bの位置はスパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外周の稜の位置にも対応している)から5mm離間するようにした(すなわち、D2=5mm)。
上記の条件でポリイミドフィルムへの成膜を20,000m実施した。その結果、固着治具80からのスパッタリング粒子堆積物の剥離は無かった。スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外周部には、縁部に沿って幅1mmの非エロージョン領域30cが形成されていた。また、ICP法により成膜された膜中に含まれるSUS成分を分析したところ、検出下限以下であった。
[実施例2]
固着治具80には、厚さ5mmのSUS製の短冊状部材を使用し、固着治具80のうち段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に接する面と反対側の面80aが、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aより5.0mmベースプレート12側に位置する状態(すなわち、D1=5.0mm)でスパッタリングターゲット30を保持固定した。
また、被スパッタリング面30aに直交する方向から見たとき、外側磁極21においてスパッタリングターゲット30の中心側とは反対側の縁部21aが、固着治具80においてスパッタリングターゲット30の中心側の縁部80bから7mm離間するようにした(すなわち、D2=7mm)。
上記以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングによりポリイミドフィルムへの成膜を20,000m実施した。その結果、固着治具80からのスパッタリング粒子堆積物の剥離は無かった。スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外周部には、縁部に沿って幅3mmの非エロージョン領域30cが形成されていた。また、ICP法により成膜された膜中に含まれるSUS成分を分析したところ、検出下限以下であった。
[比較例1]
図1のマグネトロンスパッタリングカソード100に代えて図5のマグネトロンスパッタリングカソード150を用いてスパッタリングによる成膜を行った。スパッタリングターゲット35には段状部のない12mm厚の平板を使用し、ベースプレート押さえ治具65にも12mm厚のものを使用した。そして、固着治具85をベースプレート押さえ治具65に取り付けて、固着治具85とベースプレート12との間でスパッタリングターゲット35の縁部を挟み込んだ。
このように、比較例1の固着治具85は、スパッタリングターゲット35の被スパッタリング面35aよりもスパッタリング放電側に位置していた。また、被スパッタリング面35aに直交する方向から見たとき、固着治具85は、そのスパッタリングターゲット35の中心側の縁部85bが、外側磁極21のスパッタリングターゲット35の中心側とは反対側の縁部21bにまで至るものを使用した(すなわち、D2=0mm)。
上記以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングによりポリイミドフィルムへの成膜を行ったところ、8,360m実施した時点で固着治具85からのスパッタリング粒子堆積物の剥離が発生した。また、ICP法により成膜された膜中に含まれるSUS成分を分析したところ、Fe成分で0.02μg/cmであった。
[比較例2]
固着治具80には、厚さ10mmのSUS製の短冊状部材を使用し、固着治具80のうち段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に接する面と反対側の面80aがスパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aと同一面となるようにした(すなわち、D1=0.0mm)。
また、被スパッタリング面30aに直交する方向から見たとき、外側磁極21においてスパッタリングターゲット30の中心側とは反対側の縁部21aが、固着治具80においてスパッタリングターゲット30の中心側の縁部80bから5.0mm離間するようにした(すなわち、D2=5mm)。
上記以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングによりポリイミドフィルムへの成膜を行ったところ、14,550m実施した時点で固着治具80からのスパッタリング粒子堆積物の剥離が発生した。スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aの外周部には、縁部に沿って幅1mmの非エロージョン領域30cが形成されていた。また、ICP法により成膜された膜中に含まれるSUS成分を分析したところ、検出下限以下であった。
[比較例3]
固着治具80には、厚さ5mmのSUS製の短冊状部材を使用し、固着治具80のうち段状部30b及びベースプレート押さえ治具60に接する面と反対側の面80aが、スパッタリングターゲット30の被スパッタリング面30aより5.0mmベースプレート12側に位置する状態(すなわち、D1=5.0mm)でスパッタリングターゲット30を保持固定した。
この比較例3では、スパッタリングターゲット30の段状部30bを幅広に形成すると共に、固着治具80にも幅広のものを使用し、被スパッタリング面30aに直交する方向から見たとき、当該固着治具80のスパッタリングターゲット30の中心側の縁部80bが、外側磁極21のスパッタリングターゲット30の中心側とは反対側の縁部21aにまで至るものを使用した(すなわち、D2=0mm)。
上記以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングによりポリイミドフィルムへの成膜を20,000m実施した。その結果、固着治具80からのスパッタリング粒子堆積物の剥離は無かった。また、ICP法により成膜された膜中に含まれるSUS成分を分析したところ、Fe成分で0.01μg/cmであった。上記した実施例及び比較例における剥離の発生位置及び成膜された膜中のSUS成分を下記表1にまとめて示す。
Figure 0005708472
F 長尺状フレキシブル基材
1 スパッタリング成膜装置
2 真空チャンバー
3 巻出ロール
4 ガイドロール
5 冷却ドラム
6 巻取ロール
7 仕切板
11 ハウジング
12 ベースプレート
10 筐体
20 磁気発生機構
21 外側磁極
22 内側磁極
23 磁気ヨーク
30 スパッタリングターゲット
40 絶縁部材
50 アースシールド
60 ベースプレート押さえ治具
70 Oリング
80 固着治具
100 マグネトロンスパッタリングカソード

Claims (6)

  1. スパッタリングターゲットを支持すると共に内部に外側磁極及びこれとは異極の内側磁極で構成される磁気発生機構を収納する筐体と、該スパッタリングターゲットをその縁部に形成した段状部において押さえつけて該筐体に固着させる固着治具とからなるマグネトロンスパッタリングカソードであって、前記固着治具は前記スパッタリングターゲットの被スパッタリング面よりも前記筐体側に位置しており、前記被スパッタリング面に直交する方向から見たとき、前記固着治具の前記スパッタリングターゲットの中心側の縁部と、前記外側磁極の前記スパッタリングターゲットの中心側とは反対側の縁部との間が離間しており、前記固着治具の前記段状部に当接する面とは反対側の面が、前記被スパッタリング面に垂直な中心線を望むように傾斜する少なくとも1つのテーパー面を有していることを特徴とするマグネトロンスパッタリングカソード。
  2. 前記離間している距離が1〜10mmであり、前記スパッタリングターゲットの被スパッタリング面のうち前記固着治具に最も近接する部分に、該被スパッタリング面の縁部に沿って幅1〜3mmの非スパッタリング領域が形成されることを特徴とする、請求項1記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  3. 前記固着治具のうち前記筐体から最も遠くに位置する部分が、前記被スパッタリング面から0.5〜5.0mm前記筐体側に位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  4. 前記スパッタリングターゲットが、銅若しくはニッケル合金製のスパッタリングターゲット板に、前記段状部を形成すべく該スパッタリングターゲット板の被スパッタリング面より大きな表面を有する銅製のバッキングプレートをロウ付けしたものであるか、又は銅若しくはニッケル合金製のスパッタリングターゲット板を加工して前記段状部を形成したものであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のマグネトロンスパッタリングカソード。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のマグネトロンスパッタリングカソードを装着することを特徴とするスパッタリング成膜装置。
  6. 請求項記載のスパッタリング成膜装置を用いてスパッタリングすることを特徴とするスパッタリング方法。
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